【第4回】こちら葛飾区亀有公園前派出所「ドキッ!?ハイレグだらけの慰安旅行の巻」





 照りつく太陽。眩しく光り輝く海。目が眩んでしまうほど真っ白な砂浜。
「やっぱり海はいいな」
 ホテルの窓に映し出される絵画のような絶景を眺めながら両津は冷蔵庫から取り出した缶ビールを一気に飲み干す。
「東京湾じゃこうはいかん」
 空き缶をクシャッと潰してテーブルに置くと、早速上着を脱ぎ始める。
「ハワイからこの島に変更になった時は少し心配でしたけど、良いところですね」
 高身長でハンサム。ゴリラ体型の両津とは全てが正反対の後輩、中川が感心したように言う。
「ハハハ、中川リゾートも参入を検討したほうがいいんじゃないか?」
 そう笑う両津は既に水着に着替え終えていた。アロハシャツを羽織り、麦わら帽子もかぶって準備万端だ。
「婦警のみんながハワイから変更になったって怒ってましたけど、ここなら大丈夫そうですね」
「あいつらもすぐに満足するさ。文句も言えないくらいにな! ほら、こんなことより早く海に行くぞ!」
 見るからに高級そうな水着に着替えた中川の腕を引っ張り、2人はホテルの目の前に広がるビーチへと向かった。

 砂浜にはまだ人の姿はなかった。砂の上に2人の足跡だけが伸びていく。
「みんな遅いですね」
「どうせ着替えに手間取っているんだろう。女の支度は男の5倍はかかるからな」
 両津はテキパキと大きなパラソルと、座り心地の良さそうなビーチベッドを設置していく。
「まさか僕たち以外の男子署員が集団食中毒で来られなくなるなんて思いませんでしたよ。僕はドバイにいて無事でしたけど」
「部長も所長も戦争を経験したくせに鍛え方が足りん! まあボルボや左近時もノックアウトされてたけどな」
「先輩はよく無事でしたね」
「ワシの胃袋は鋼鉄だからな!」
 ビーチベッドのセッティングを終え、その上で横になりながらゲラゲラと笑った。
「ワシは一眠りするぞ。麗子たちが来たら起こしてくれ」
「わかりました。ってもう寝ちゃってる……」
 いびきをかいて爆睡する両津と、呆れる中川へ向けて1人の女性が手を振っていた。
「両ちゃ〜ん、圭ちゃ〜ん」
 遠くから手を振る麗子はピンク色のハイレグ水着姿だった。






 葛飾署の慰安旅行の2ヶ月前。



 亀有公園前派出所。


 
 下町にある何の変哲も無い交番。しかし、お巡りさんが常駐する場所とは思えない会話が、奥の休憩室で繰り広げられていた。
「結局、麗子にバレて婦警の水着写真は全部没収されちまったってわけだ」
 部屋の中央のテーブルには、メモリーカードが抜き取られた一眼レフカメラが置かれている。
「それでこの私に頼みっていうのは何なんだねゴリラくん?」

 テーブルを挟んで両津の向かいに座る老紳士が聞いた。白髪に丸メガネに英国紳士風のファッションで決めた絵崎コロ助は、パイプをうまそうにふかす。
「なあに簡単なことだ。麗子や他の婦警どもが大人しくワシの言うことを聞く水着を作ってくれればいい」
「ふむ……」
 ふううと煙を吐き出す教授。
「心配するな礼くらいはする」
「勘違いしないでくれたまえゴリラくん。私は金で簡単に動いて犯罪に加担するような男ではーー」
 両津は1枚の写真を差し出す。眩しいビキニ姿の麗子がビーチボールを勢い良くアタックしているというベストショットだった。
「着た者がキミのことを神と崇める水着を作ればいいのだな?」
 絵崎は素早く麗子の写真をスーツの内ポケットに収めた。
「話が早くて助かるぜ教授」
 交渉がまとまると、絵崎教授は愛車のジャガーマークUに乗り込み派出所を後にした。










 葛飾署の慰安旅行の1ヶ月前。



 ニコニコ寮。




 両津のもとへ1つの小さな小包が届いた。送り主は絵崎コロ助と書いてある。乱暴に包み紙を開けると中には1着のハイレグ水着が丁寧に畳まれ収められていた。
「なんだこの水着は……あのトンデモ教授、バブル時代で記憶が止まってるんじゃねえか……?」
 部屋の中でピンク色の女性用水着を広げて掲げる両津。伸縮性が高い柔らかい素材が使われた見た目はごく普通の女性用水着だった。
「1着だけか……試しに纏に着せてみるか……? いいや、やはりアイツに着せねばワシの腹の虫は収まらん!」



 ついに両津の作戦が始動する日がやってきた。
 他の署員たちよりも早めに出勤してくる麗子は、1人だけの更衣室で着替えていた。上着を脱ぐと、ハンガーへかけるためにロッカーを開ける。いつもの制服へと手を伸ばす。すると見慣れない物がハンガーにかけられていることに気づいた。真新しいピンク色のハイレグのキツい水着が1着のみ。当然、こんな水着は持っていないし、職場のロッカーにしまうなんてありえない。不審な水着を恐る恐る手に取ってみると、封筒が挟まれてていた。
「水難事故が増える時期になりました。葛飾署の署員たちには、制服の下に水着を着用していただき、万が一の事故から市民を守ってーー」
 封筒の中には所長の判子も押されている文書が入っている。
 住民の平和と安全のためなら仕方ない。とりあえず麗子は水着を着てみることにした。
「う〜ん……ちょっとキツいわね……でも確かに体にフィットして動きやすいかも……」

 鋭い切れ込みの水着を着るのは久しぶりだった。お尻の食い込みを直してから、制服を手に取る。
 そのタイミングで更衣室のドアが開いた。
「麗子……そんな格好で何やってるの……?」
 同僚の早乙女リカだった。水着姿の麗子を見て固まってしまう。
「今日から制服の下にこれを着るようにって……」

「はあ!?」

 麗子の言葉にリカはギョッとして自分のロッカーへと走る。
「そんな水着入ってないわよ?」
 ロッカーに首を突っ込んで見回しながら、リカはホッとした声で言った。
「嘘ッ!?」
 しかしリカが嘘をついて得することなんてない。やっと麗子はピンと来た

「さては両ちゃんね!」
 ここまで手の込んだイタズラをするのはあの男以外に考えられない。心当たりもある。
「絶対に水着盗撮事件の逆恨みよ! ホント最低な奴ね!」
 当の本人の麗子よりもリカの方が怒っている。
「そんなもんさっさと脱いで捨てちゃいなさい!」
 怒りに任せてパパッと制服へと着替えたリカは、そう言い残して更衣室を出て行った。




 言われなくても麗子もそうするつもりだった。偽の書類を封筒に戻す。その時、もう1枚別の紙が入っていることに気づいた。小さく折られている紙を取り出してみる。
『水着は脱ぐな。制服の下に着たまま派出所に来い。取り上げたメモリーカードも忘れずに持ってこい。 両津』
 走り紙で書かれた汚い字だった。麗子は読み終えると、2枚の紙を丁寧に戻しロッカーへとしまった。
「メモリーカード……どこにしまったかしら……」
 ハイレグ水着を隠すように制服をかっちり着固め、麗子は更衣室を後にした。






 麗子が亀有公園前派出所にやってきたのは、すっかり日も落ちて、街のBGMがセミから羽虫の鳴き声にバトンタッチされた頃だった。彼女はトレードマークのピンク色の派手な制服姿でやってきた。
 派出所の当直は両津1人で、仕事もそこそこにカメラの手入れに熱中していた。望遠レンズを置くと、超望遠レンズを手に取る。
「両ちゃん」
 名前を呼ばれてやっと彼女の存在に気づいた両津が顔を上げる。しかし、慌てる様子はない。麗子を見る前にまず壁掛け時計を確認する。
「もうこんな時間か。奥で待ってろ」
「わかったわ」
 麗子は頷くと、1人休憩室へと向かった。
 部屋の中へと消えていく彼女の姿を両津は睨みつけるように観察してからニヤリと笑う。レンズを防湿ケースへ放り込み、カメラ片手に自らも休憩室へと入って行った。




 部屋の中では麗子が正座をして座って待っていた。テーブルを挟んで向かい側に両津が腰を下ろして大きくあぐらかをかく。
「ちゃんと持ってきたんだろうな?」

 両津が手を出すと、麗子はポーチの中から小さなチップを彼の手に乗せた。
「小町ちゃんの机の引き出しの中に隠しておいたの」
 両津はすぐにカメラに挿して確認をする。

「よし! データも全部無事だ。よくやったぞ麗子」
「他でもない両ちゃんの頼みだもの。これくらい当然よ」

 両津のカメラの液晶ディスプレイに表示される婦警たちの水着姿を一緒に見ながら麗子は笑顔で答える。
「そうか。ワシのためなら何でもするか?」
「もちろんよ。私にとって両ちゃんは神様みたいなものだもの」
「ははは。なんか本当に神になった気分だよ」
 勝ち誇って笑う両津をうっとりとした顔で麗子は見つめる。

「お茶でも飲む?」
「ああ、頂こう!」
 麗子はスッと立ち上がり、給湯室へと向かった。あの麗子が正義を曲げ、仲間を裏切ってまで自分のために鼓動している。両津は絵崎の水着の効力を確信した。気分良く彼女の淹れてくれたお茶を待つ。




 しばらくして湯呑みを盆に乗せた麗子が戻ってきた。
「お待たせ!」
「な、なんて格好をしてるんだ!?」
 両津はびっくりしてひっくり返りそうになった。麗子はいつの間にか制服を脱ぎ捨てて、ピンクのハイレグ水着1枚になっていた。
「あら、両ちゃんがプレゼントしてくれたんじゃない」
「そ、それはそうだが……」
 口を開けて見上げる両津へお茶を差し出すと、麗子は真剣な顔つきになって姿勢を正した。
 次の瞬間、膝を曲げてガニ股になってコマネチのような動きを3回繰り返す。

「ハイグレッハイグレッハイグレッ」

「ぶはっ!?」

 麗子の突然の奇行に両津は口に含んだお茶を全て吹き出してしまった。
「何をしているんだ!?」
「何ってハイグレよ。ハイグレッハイグレッハイグレッ」
 涼しい顔で当然のように麗子は再び3度同じ動作を行った。

「あのトンデモ教授……なんて副作用を……」
 両津は落ち着くためにお茶をすすって、今後の作戦を考える。謎の動作はきになるが、麗子が自分に服従していることは間違いない。この副作用を抑えるために水着を脱がせるわけにはいかない。
「麗子、人前で勝手に水着姿になるんじゃないぞ。そのポーズはワシの前以外では禁止だ。これだけは絶対に守れ」
「え〜……こんなに気持ちいのに……でも両ちゃんの命令は絶対だから我慢するわ」
 水着の効果は絶大だった。ハイレグ水着を着せている限り、麗子はもう両津に逆らうことはできない。

「それじゃあ本題だ。麗子は今回の慰安旅行の幹事だったよな?」
 麗子がこくりと頷く。ハイレグ姿のまま座布団の上にちょこんと座っている。
「場所をハワイからここに変更してほしい」
 テーブルに置かれた一冊のパンフレット。貸切の南国プライベートビーチという大きな見出しが躍っている。
「今からだと違約金が発生しちゃうけど……」
「そうか……」
「全員のキャンセル代と新しい旅行先の費用……数千万くらいで済みそうね」
「え……?」
「みんなには内緒にして、両ちゃんが安い穴場を教えてくれたことにしていておくわ」
 頼まれなくても献身的に計画の障害を取り除いていく。
「あの……」
 ひとつ目の話が片付いてから切り出す予定だったが、麗子の全面的な協力であっさりと解決してしまったため、なんだかさらにお願いする事が申し訳なくなってくる。しかし、本当に重要な話はこれからだ。
「その……これもあいつらには内緒で……向こうで水着の撮影会をやりたいんだけど……」
「私はいいけど、みんながOKするかはわからないわよ?」
「そんなことはわかっているよ」
 麗子の参加は確定した。この水着を着た女は水着撮影の命令も拒否できない。満を持して両津は麗子に命令を下す。
「お前が着ている水着をやつらにも着せるんだよ。旅行前にあと数着用意できるから頼んだぞ」
「私がみんなに水着を着せるの?」
「ワシがやったら犯罪だろうが」
 誰がやっても犯罪だし、現時点ですでに重罪な気もするが、ここで動揺してはいけない。両津は自分に言い聞かせる。麗子は絶対に自分に逆らえない。
「いいか、お前があいつらに水着を着せるんだ」
「わかったわ」
 麗子は即答だった。
「水着が用意できたら教えてちょうだい。必ず成功させてみせるわ」
 すでに善悪の基準よりも両津の命令の方が優先されるようになってしまった麗子に断る理由はなかった。彼の命令通りに動くことに疑問すら思い浮かばない。
「全員分用意できるのは出発ギリギリになるだろうから、着せる相手は慎重にこっちで選ぶ」
「わかったわ!」
 話が終わると両津は麗子に服を着るように促す。麗子は名残惜しそうにハイグレポーズを行ってから、制服姿に戻った。その格好でも再びハイグレポーズを行う体制に入るも両津に止められ、少し寂しそうに麗子は派出所を後にした。








 葛飾署の慰安旅行の2週間前。
 更衣室。



 麗子はいつものように早めの出勤をする。あの一件があってからも変わらない日常を過ごしていた。服の下にハイレグを着ている以外は何一つ変わらない日常。
 だが、今日は少し騒がしい1日になるかもしれない。麗子はバッグに入れた包み紙の感触を確かめ小さく微笑む。

 更衣室にはまだ誰もいない。この日のために作った合鍵でロッカーを開けて、包み紙を放り込む。

「おはよ!」

 早乙女リカが部屋に入ってくる。ここまでは予定通りに進んでいる。麗子も挨拶を返す。ほどなくしてリカの悲鳴があがる。ここまでは予定通りだ。彼女はロッカーの中に入っていた包み紙の中身を確認して更に絶叫している。
「また両津勘吉の仕業ね! ホンット最ッ低!!」
 ロッカーの中へと全力投球された黒いハイレグ水着はくしゃくしゃになって隅に収まった。
「もう許せない!」
「待って!」

 怒りくるうリカを麗子がなだめる。
「その水着なんだけどね、本当に署で決まったものらしいのよ」
 そう言って麗子は自らの上着を脱いで見せた。ピンク色のハイレグに包まれた乳房がぷるんと姿を現わす。

 リカは恨めしそうに麗子の胸を眺めた後、観念したようにシワシワになっている黒い水着を手に取った。
「それはそうと、なんで今更ハイレグなの?」
 ぶつぶつ文句を言いながらも右足、左足と水着に通していく。

「どうせならもっと可愛い水着にして欲しかったな」
 水着への着替えを終えて、鏡を見ながらも愚痴は止まらない。
「もう脱いだらダメよ」

「え……」

「あの人に脱いでいいって言われるまで私たちはハイグレ姿でいなければいけないのよ」

「はい……両津……様がいいとおっしゃるまで私はハイグレ姿でいます」

 麗子は虚ろな瞳のリカを見て不敵な笑みを浮かべる。

「両ちゃんの前以外では服を着るのよ」
 リカにシャツを羽織らせてあげると、彼女は黙って袖を通しボタンをかけた。

「夜になったら両ちゃんのところへ行きましょね」

「うん……」






 深夜のニコニコ寮。こんな時間に明かりが点いているのは両津の部屋くらいだった。
「う〜ん、実にいい眺めだ」
 座らせず直立させた婦警の水着を堪能する。
「早乙女は気が強いから少し効力を強めにしてもらったからな。さすがのコイツもこの水着の力には逆らえんだろう」
 早乙女リカは麗子の隣で黒いハイレグ水着1枚となって屈辱的に両津を見下ろしている。

「ああーなんか喉が渇いたなー
 ワザとらしく両津が言った。
「ハイグレッハイグレッハイグレッ」
 すかさずリカの隣に立つ麗子が了解のハイグレを行った。
「リカちゃん、両ちゃんにお茶を」

「なんで私が……くっ……ハイグレッハイグレッハイグレッ」
 文句を言いながらも彼女の意思に反して、リカの股は開き、腕は交差し、口も勝手に動いてしまう。
「ぐ……ただいま御用意致します……お待ちください両津……様……」
 渋々リカは台所へ向かう。

「おう! 早くしろよ」
 両津は笑顔でリカを見送る。
「ごめんなさい。あの子はまだ……」
「気にするな。明日には大人しくなるだろ。その過程もじっくり楽しむのが江戸っ子の粋ってもんだ」
 2つの小包がちゃぶ台の上に置かれる。今朝、麗子が持っていたものと同じものだ。
「次は誰に着せればいいのかしら?」
 命じられる前に麗子は小包を受け取る。

「早乙女とお前以外のリーダー格と言ったら纏あたりか。あとマリアは出発前にこちら側に置いておきたい」
「纏ちゃんとマリアちゃんね。2人ともとっても似合いそう!」
 麗子は嬉しそうに胸元で両手を合わせる。
 盛り上がっていると、リカがお盆を持って部屋に戻ってきた。

「……お待たせしました」

 両津の前に湯呑みが置かれる。湯気が立つお茶を睨みつけながら両津が言う。
「何か変なもの入れてないだろうな?」
「アンタのお茶に変なものなんて入れるわけないでしょ!」
「えっ!?」

 猫騙しを受けたように両津は怯んでしまう。
「だから、両津様のお茶にそんなことしないって言ってるのよ……」
「あ、ああ……い、いい心がけだ。その調子でワシのためにどんどん働けよ」
 リカの言葉に湯飲みを握る両津の方が動揺してしまう。

「ハイグレッハイグレッハイグレッ」
 そんな両津へと瞬時にリカははイグレポーズを返した。両津のために働いたことによって一気に洗脳が進んだのか、顔から抵抗の色はかなり薄くなっていた。

「お前の水着姿も一部のマニアは喜ぶだろうから楽しみにしてるぞ」
「一部のマニア……!? 私たちで商売するつもり!?」
 リカの表情がキッ強張った。

 水着の力が破られてしまったかと両津に緊張が走る。
「そ、そうだ。いかんのか?」
「良いに決まってるでしょ! ただ私の写真はマニアだけじゃなくて普通の男にも売れるわよ!」
「なんだソコかよ……」
 両津は拍子抜けして畳に寝っ転がる。
「お前の写真がマニア受けしようがイケメン受けしようがワシには関係ない。だがこれを見てみろ」
 両津が取り出したのは1枚のCD-ROMだ、それをパソコンに投入してデータを再生する。液晶モニターにはリカも含んだ婦警たちの水着姿が記録されていた。

「そ、その写真は全部没収したはず……どうして!?」
「麗子が救出してくれたよ」
 両津は得意げにリカに言う。
「ワシはこの画像たちを予定通り販売する。お前の扱いはその売り上げ次第だな」
「望むところよ! 売り上げが良かったら、ちゃんと私の出番を増やしなさいよ!」
「良い心がけだ。だが、そのためにも出発前にマリアと纏にもハイレグを着せるんだ。わかったな?」
 両津が真面目な顔で2人の手駒に聞いた。

「ハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッ」

 手駒たちは揃ったはイグレポーズで答える。
「わかってるわよ。必ずあの2人にもハイグレの素晴らしさを教えてあげるわ。両津様のために!」
「リカちゃんもすっかりハイグレの魅力に気づけたようね。一緒に頑張りましょう!」
 麗子たちは両津に言われるがまま、さらに仲間を増やす決意を固めた。
 最後はハイレグのまま寮から帰ろうとしたところを、慌ててやってきた両津に止められ、渋々服を着てそれぞれの家へと帰っていった。








 葛飾署の慰安旅行の前日。


 葛飾署。




 旅行を翌日に控えた葛飾署は、どこか落ち着かない雰囲気だった。新しい服を買っただの、日焼け止めクリームはどのメーカーがいいかだの浮かれた会話があちこちから聞こえてくる。
 両津は楽しそうな署員たちに見向きもせず会議室へと向かった。午前中はこの部屋は誰も使う者がいないことは、リカを使って調査済みだった。

 無数の机と椅子が並べられた薄暗い部屋に入る。会議室の中央には1人の女性が立っていた。
「遅いですわ両様」
 淡い紫色の制服を着て、腰ほどまである艶やかな黒髪をなびかせながら女は不貞腐れたように両津の名前を呼んだ。
「すまんなマリア」
 両津は片手で謝るポーズを作ってから椅子に腰掛けた。

「それで私に頼みたいことっていうのは……?」
 マリアは早急に本題に入った。両津に呼び出されマリアは会議室までやってきたのだ。
「ああ。実は明日の旅行先で婦警たちの水着を撮影してひと儲けしょうと思ってな。お前にも是非手伝って欲しい」
 両津はさらっと告げると、缶コーヒーのプルタブを開け、一気に飲み干した。

「何をおっしゃっていますの!? もちろんお断りさせていただきます!」
 困惑と嫌悪感に満ちた声と表情でマリアは両津の提案を突っぱねた。
「そう言うだろうと思っていたよ。だが、どうしてもお前の力は必要なんだ。必ず協力してもらうぞ」
「たとえ両様であっても間違ったことをしようとしているなら私は全力で止めてみせますわ」
 マリアの目つきが鋭くなる。
「手加減はしませんわよ」
 両足を肩幅程度に開き、両腕を顔の前に立たせて、マリアは戦闘態勢に入った。
「構わん。その代わりこっちも全力で行かせてもらう」

「え?」

 好戦的に来るとは思わず、マリアは一瞬戸惑いを見せる。そのとき生まれた一瞬の隙を両津は見逃さなかった。

「今だ! 行け!」
「はい。両津様」
 両津の命令で飛び出してきたのはリカだった。漆黒のハイレグ水着を身にまとい、臆せずマリアへと向かっていく。

「これは一体……キャッ!?」
 リカは高く跳躍し、マリアの後頭部に飛び蹴りを浴びせた。致命的なほどの一撃を、まさか同僚婦警から受けるとはマリアも予想していなかった。
「油断……しましたわ……」
 ブレる視界から脳が揺れているのを感じながら、マリアはふらふらと床に倒れこむ。
「今がチャンスだぞ!」
「はい。両津様」
 リカは素早くマリアの制服を脱がしていく。あっという間にYシャツのボタンも外され、マリアはあっという間に下着姿にされてしまった。

「な、何をするつもりですの……?」

「これをマリアちゃんもすぐに私たちの仲間になれるわ」

 リカは手際よく下着も剥ぎ取ると、紫色のハイレグ水着にマリアの四肢を通していく。




「マリア、大丈夫か!?」
 会議室の扉が勢いよく開かれた。
「ゲッ、纏!!」
「麗子を操っていたのはやっぱり勘吉だったか」
 纏は両津に詰め寄っていく。

「リカまで……催眠術か何だか知らないけど、早くみんなを元に戻せ!」
「お前なんでこの場所を……」
「麗子が水着を着てみろってしつこいからさ。怪しいと思って聞き出したんだよ。やっぱりお前の差し金だったんだな!」
 まくしたてるように纏は両津を攻め立てる。

「……麗子は?」
「更衣室に閉じ込めた」
「うぐぐ……ワシの完璧な作戦が……」

「大人しくお縄につけ。今なら……れ、麗子!?」
 麗子に羽交い締めにされて、初めて纏は彼女の存在に気づいた。
「残念だったな、纏」
 両津は勝ち誇ったように纏を見上げた。

「お前をここへ誘き出すために麗子は一芝居打っただけだ。ワシの命令でな」
「纏ちゃんも私たちと一緒に両ちゃんのために働きましょう」
 麗子は興奮のあまり、纏の腕の拘束にも力が入る。
「みんな目を覚ませ! こんな奴の言いなりになんてなるな!」
 纏は必死に拘束から逃れようと暴れるが、麗子の腕力が勝っていた。床に倒れているマリアを見る。麗子に勝てるのは彼女しかいない。

「マリア! 立てるか!?」
 纏の呼びかけに、彼女の体がピクッと反応する。
「は、はい……大丈夫ですわ……」
 少しフラつきながらも、ゆっくりと立ち上がった。リカに無理やり着せられたため水着の肩紐は捻れて、フルバックのお尻部分はTバックのように食い込んでいたりひどく不恰好だった。

「纏さん、今すぐ助けますわ」
 マリアは丁寧に水着を直しながら、纏のもとへと向かう。
「おっとマリア、忘れ物だ」
 美しくぴっちりとハイレグ水着を体に張り付かせたマリアを両津が呼び止めた。彼の手にはマリアが着ているものと色違いの水着が握られていた。

「これを着せてやれ」

 マリアは両津へと向き直ると、素早く腰を落とした。
「ハイグレッハイグレッハイグレッ! かしこまりましたわ両様!」
 満面の笑みではイグレポーズを行ってからマリアは水着を受け取った。
「さあ纏さん、いま助けて差し上げますわ」
 マリアは青いハイレグ水着の肩紐を両手でつまみながら纏のもとへと歩いていった。
















「嘘だろ……おい麗子、離せ! リカもこれでいいのかよ!?」
 リカは冷たい視線を纏に浴びせる。それはいつも両津へ向けられているものと同質のものだった。

「マリアだけじゃ難しだろう。早乙女、お前も手伝ってやれ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッ! かしこまりました両津様」
 リカはその場で丁寧にはイグレポーズを行うと、すみやかにマリアに加勢した。

「うわっちょっと!? みんなやめろって!」
 足をバタつかせたりと必死の抵抗を見せた纏だったが、あっという間に丸裸にされてしまった。制服と下着が無残にも机の上に放り投げられる。次の瞬間、左足首を強い力で掴まれ、持ち上げられた。

「うわぁ!?」

 纏はバランスを崩して腰から床へと崩れてしまう。しかし、纏の尻に床の冷たく硬い感触が伝わることはなかった。左に次いで右足首もしっかりと掴まれていた。両手両足を持ち上げられ、纏はまるで神輿のような状態になってしまう。
 上腕をしっかりと固め、纏を見下ろす麗子。同じく両足首を握りながらリカも纏を見る。マリアはその間立って優しく微笑む。

 纏は視線を体に落とした時、ようやく自分の両足に水着が通されていることに気がついた。
 ひざ下で遊んでいる水着にマリアが手をかける。

「やめろぉ!」

 体の全ての力を振り絞って暴れる纏だったが、拘束を振りほどくどころか、マリアの侵攻すら止めることができずにいた。
 マリアは青いハイレグ水着を一気に腰まで引き上げる。鋭い切れ込みの入ったVラインを纏の股間はがっちりと受け止めた。

「やめっ……ああああああああああああ!?」

 経験したことのない刺激が纏を貫く。マリアは水着を肩まで到達させる。マリアが肩に通そうと引っ張る度に、股間に鋭く水着が食い込んでいく。

「マリアァァァ……だめっだっそ、それ以上は……あっああっあっはああああああああ!」

 マリアが水着のシワや偏りを調整する度にハイレグがグイグイと伸縮を繰り返し纏の理性を奪っていく。

「くっ、か、勘吉ィ……! 絶対にひゃあんっ……ゆっあっゆっ……許さないからなあああ!」

 纏は両津を睨み続ける。すでにハイレグ水着は纏のお腹を超えて、青い生地は胸まで達していた。しっかり体にフィットするようマリアの微調整が続けられる。

「悪いな。お前は作戦を完璧に進めるために必要なんだ」

「ひっはあんっ必要……?」
 マリアの手が偶然胸を撫でただけで、ビクンと体を震わせる纏。

「そうだ。お前らは女子たちへの影響力がデカイからな。そのハイレグ水着を着てワシのために働いてもらう」
「お前の下劣な計画には……ぐっ……絶対に……手を貸さな……んっ……ああああああああそれ以上引っ張ったらああああああーー」

 無理やり右腕に水着を通した際に、股布が急激に引っ張り上げられたショックで纏は断末魔を残してぐったりと力が抜けてしまった。腰をヒクヒクさせながら麗子とリカに体の全てを預けている。

「勘吉の計画になんて……こんな水着なんて……絶対にお前のために働くもんか……」

 焦点の合わない目で纏は抵抗する言葉をうわ言のように繰り返している。

「もういいだろう」
 両津の言葉で神輿は床へと下された。纏の自由になった四肢に力が入ることはなく、だらんと床へ投げ出される。

「マリア、仕上げだ」

「はい! 両様!」

 もう抵抗することのなくなった纏の体は簡単に陥落した。肩紐が両腕を通り抜ける。肩紐は胸を持ち上げ、キュッとお尻を引っ張り上げる。ついに青いハイレグ水着が彼女の体を包んだ。真新しい上半身と、ぐっしょりと濡れてくたびれた下半身のコントラストが壮絶な戦いがあったことを物語っている。

「おい纏」

 両津が名前を呼ぶと、ピクンと纏の体が反応した。


「立て」


 今度ビクンと電気が走ったように彼女の体が小さく震えた。纏の目に光が戻る。

「立てないか?」
 心配になった両津は纏に手を差し出す。
「ありがとう。でも大丈夫。1人で立てるよ」
 纏は両津の助けを借りずに立ち上がった。

「うわあ……グシャグシャだなあ……」

 暴れていた際にひどく乱れた水着を直していく。下半身は布がズレていたり食い込んでいたりと前後共にひどく荒れていた。汗などで濡れてギュッと硬くなっていて、直すのにも少し力が要った。
 見栄えがよくなっていくが、少しづつ物足りなさも感じる。纏はその感情をぐっとこらえて、下半身に続いて肩や胸も整えていく。

 最後のもう1度、尻と股間の具合を調整すると、纏はひとつ大きなため息をつく。それから両津を見た。

「私が必要って言ったのは本当なんだろうな勘吉」
「ああ。お前にも婦警の水着撮影会を手伝ってもらう」
 纏はしばらく両津の目を見つめた後、腰に当てていた両手に力を込める。

「うん。私も勘吉のためにがんばるよ。みんなで力を合わせて最高のハイグレ撮影会にしよう! ハイグレッハイグレッハイグレッ!!」
 名前こそ呼び捨てだったが、纏は身も心も両津と水着に屈服していた。

「ハイグレェッハイグレェッハイグレェッ、早くみんなにもハイグレの素晴らしさを教えてあげないとね! ハイグレェッ!」
「ハイグレ、ハイグレ、ハイグレ、ハイグレ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレェ、ハイグレェ、ハイグレェ、ハイグレェ」

 それからしばらく会議室には4人の婦警たちのハイグレコールで満たされた。4人の手駒とともに両津の史上最低の作戦が始まる。












「両ちゃ〜ん、圭ちゃ〜ん」
 麗子は笑顔で手を振り歩いてくる。中川も手を振り返す。
「先輩、麗子さんが来ましたよ」
 一瞬にして熟睡モードに入った両津を、中川が体を揺すって起こす。

「んあ〜! 随分と時間がかかったじゃねえか」
 ビーチベッドの上で両津が大きくあくびをする。

「先輩が寝てからまだ数分も経っていませんよ」
 呆れる中川を横目に両津は麗子を確認する。

 こちらへ向けて手を振りながら歩いてくる麗子はしっかりとピンクのハイレグ水着を着ている。その後ろには数人の女子署員たち。彼女たちも色とりどりのハイレグ水着へと着替えていた。

「ワシはもっと早くここへ来るように命令したんだがな」

「え、命令ってうわ!?」
 言い終える前に中川は女子署員たちに飛びかかられて砂浜へと倒れてしまった。

「な、なにをするんだ!」

 ホテルに入る前までは中川に対して黄色い声を送っていた彼女たちは敵意むき出しで彼にしがみつく。

「両津様が中川さん邪魔だから捕まえるようにと……」

「私たちにとって両津様の命令は絶対ですから……」
 赤、青、黄色とカラフルなハイレグ水着姿になった女子署員3人が力強い締め技で中川の自由を奪う。

「なはは! そういうことだ中川。お前ら、身ぐるみ剥がしてホテルの地下倉庫へ閉じ込めておけ」
「「「はい! 両津様!」」」

 中川は手際よく裸にされてしまった。女子署員たちは彼の裸体には目もくれず、サクッと縄で縛り上げるとホテルへと運んで行った。







 再びビーチは静けさを取り戻し、波の音がしっとりと聞こえるようになった。

「ご苦労だったな麗子」

「ハイグレッハイグレッハイグレッ! 今、纏ちゃんたちもホテルで活動しているわ」
 砂浜に足を埋めながら、麗子はハイグレポーズを行う。

「そうか」
 両津は再びベッドに横になった。

 何も言わずに麗子は大きなうちわを取り出して両津を扇ぎ始める。

「おいおい、そこまでせんでいいぞ」
 突然の心地良いそよ風に両津は飛び起きる。

「撮影はこれからが本番なんだから両ちゃんはゆっくり休んでて」
「あ、ああ……」
 落ち着かない様子で両津は再び横になった。

「こりゃあ寝られそうにないな……」

「何か言った?」

「いや何でもない」

 両津は悟られないようにゆっくり目を閉じる。








「両津が困惑している時、纏たちはまさに作戦の真っ最中だった。
 纏、リカ、マリアの3人は両津から合同作戦を命じられていた。

「見て奈緒子! すっごい綺麗!」
「もう小町ったら、子どもみたいだからやめなさい」
 交通課コンビはホテルの部屋で水着に着替えていた。

「見て奈緒子!」
「もう! やめなって――」
「違うのよ! 中川さんが……!」
 小町の慌てぶりと、なにより彼女の口から出た名前を聞き、反射的に奈緒子も窓へ駆け寄った。


 遠くの砂浜で、縄で縛りあげられた中川が同僚婦警たちに担がれて運ばれていく。

「一体どういうこと……?」

「あれは……両津勘吉!!」
 小町がビーチベッドで気持ちよさそうに仰向けになって寝転がる両津の姿を見つけた。

「その隣に立っているのは……れ、麗子さん!?」
 小町がうちわで両津を扇ぐ麗子を見つける。

「みんなレースクイーンみたいな水着を着てるわね」

「両津勘吉の仕業ね!」
 ピンクのハイレグ水着を着て、従順に両津に付き従う麗子の姿を見て2人は確信した。
 現場に向かおうと、ビキニ姿のまま部屋の出口へと向かう。

「キャッ!」
 ドアを開けると、廊下で纏が仁王立ちしていた。

「ま、纏ちゃん……」
 纏は青いハイレグ水着姿だった。

「奈緒子先輩、小町先輩。お話したい事があるんだけど」
 纏は言いながら強引に部屋に押し入る。

「わ、私たちこれから中川さんを助けに……」

「それについても詳しく話すよ」
 纏はキーチェーンをしっかりとドアにかける。


「その格好……まさか纏ちゃんも両津勘吉に……」
「あいつは一体何を考えているの!?」
 じりじりと窓際に追い込まれながら小町たちが聞いた。

「これかい? そう、勘吉に貰ったんだ。この締め付け具合が最高に気持ち良いよ」
 纏は顔を火照らせながら、ハイレグの上から優しく股間を揉む。

「おっと、また夢中になっちゃうところだった……。勘吉の命令なんだ。先輩たちにもハイグレを着てもらうよ」

 纏は茶色のハイレグ水着2着を高々と掲げた。


「うわっダサい……」
「何この色……このタイプの水着なだけでも嫌なのに……」
 ひらひらと揺れる水着を見上げながら2人は不満を漏らす。
「2人にはこの色が似合うだろうって勘吉が選んでくれたんだよ。あと――」

 言葉を続ける前に、纏は茶色いハイレグ水着を丁寧にベッドの上に置く。それから改めて2人を見つめる。

「勘吉の悪口はいくら言ってもかまわないけど……ハイグレの悪口はいくら先輩たちでも許さないよ!」

 堂々と胸を張りながら、纏はガニ股になった。

「ハイグレッ!! ハイグレッ!! ハイグレッ!!」

 勢いよくハイグレポーズを披露する。
 3度目のハイグレポーズを終えた後、満足そうにため息を漏らしながら、だらしない笑顔を隠そうとすることもなく無く晒す。

 小町と奈緒子は彼女の奇行を目をギョッとさせて見つめていた。

「ハイグレの素晴らしさは着てみないとわからない。でも、1度着たら病みつきになるよ。さあ、2人もハイグレを着よう!」

 じゅるりと垂らしたヨダレを手の甲で拭ってから、纏は再び茶色のハイレグ水着を手に取り、2人へと近づいていく。



「「いやああああああ!!」」









 静かな砂浜で心地よい波の音と涼風に癒されている両津。突如、彼を凄まじいい衝撃が襲った。

「かんきちいいいいいいいいいい!」


「何事……うぐええええええええ――」

 纏は両手で両津の首を絞めて、ぶんぶんと上体を揺らした。ビーチベッドが前後に激しく揺れて、ついには砂浜に投げ出された。

「ゲホッゲホッ! いてて……殺す気か!」

「ご、ごめん……」
 咳き込みながら立ち上がる両津に、両手を合わせて謝る纏。両津は彼女の後ろに新顔がいることにようやく気付いた。

「ほう……」
 砂浜に茶色のハイレグ水着を着た女たちが両津へとひれ伏していた。

「なかなか似合ってるじゃねえか」
 両津はすぐに彼女たちが小町と奈緒子だとわかった。

「ほら、勘吉に挨拶」
 纏に促され、小町と奈緒子が素早く立ち上がる。


「ハイグレッハイグレッハイグレッ」
「ハイグレッハイグレッハイグレッ」


 膝と肘に付いた砂を払うこともせず、2人は両津へ向けて股を開いた。


「お前たちもしっかり働いてもらうぞ」
 反両津の急先鋒でありながら、あっさりと自分の軍門へと降った小町と奈緒子の姿に気を良くした両津は笑いながらビーチベッドに腰掛ける。


「ハイグレッハイグレッハイグレッ! 両津様のために働けるなんて夢見たいです!」

「ハイグレッハイグレッハイグレッ! 私たちは両津様に絶対服従を誓います! なんなりとご命令を!」

 淀みのない真っ直ぐな目で2人は両津へと忠誠を固く誓った。
 彼女たちの無様な姿を反両津のお仲間の婦警が見たらなんと言うだろうか。

「「「ハイグレッハイグレッハイグレッ! 両津様、ただいま戻りました!」

 中川を連行した婦警たちが戻ってきた。

 葛飾署の反両津勢力は既に自分の手駒になっていたのを思い出す。ハイレグ女の一団に最後の残党2人も加わり、抵抗勢力は壊滅した。

 砂浜で1列に並ぶ婦警たち。全員が姿勢を正して両津を見つめている。色とりどりのハイレグ水着が並び壮観な光景だった。









「なんだか喉が渇いたな」
 両津が何気なく漏らした言葉にハイレグ女たちは敏感に反応する。

「両津様、ビールはいかがですか?」
 奈緒子が片膝を付き、クーラーボックスで持参した缶ビールを差し出す。

「おお。サンキュー」
 両津は快く缶ビールを受け取る。

「ちょっと抜け駆けなんてズルいわよ!」
 ビールを渡し終えて列に戻る奈緒子へ小町が恨めしそうに言った。

 両津は意気揚々とプルタブを指で引っ掛けて口を開ける。プシュッと気持ちの良い音が響く。
「やっぱり海にはビールだよな」


 ものの数時間で旅行に参加した婦警たちはほぼ全員がハイレグ水着へと着せ替えられ、両津へと忠誠を誓い砂浜へと集合していた。

 両津はビーチベッドの上で、ハイレグ婦警たちの羨望の眼差しに見守られながら、撮影に使用するカメラのレンズを丁寧に磨いていた。



「「「ハイグレッハイグレッハイグレッ」」」

「「「ハイグレッハイグレッハイグレッ」」」

「「「ハイグレッハイグレッハイグレッ」」」



 息の合ったハイグレコールが聞こえ、両津は顔を上げる。終始、両津を扇ぎ続けていた麗子も手を止め、ハイグレに参加していた。
 婦警たちをかき分けるようにようにして、纏が両津の前へとやってきた。纏が切り開いた道を3人のハイグレ婦警が続く。

「ハイグレッハイグレッ、お忙しいところ申し訳ありません両津様」
 茶色いハイレグ姿の小町が頭を下げる。

「旅行参加者の最後の1人の乙姫菜々を連れてきました」
 同じく茶色のハイレグ水着を着た奈緒子も頭を下げる。2人の間でモジモジと立っていた乙姫は、小さい体を精一杯動かして挨拶する。

「ハイグレッハイグレッハイグレッ! 私はずっと逃げ回っていたことを反省し、両津様の撮影に協力させて頂きます! こんな私で良ければなんなりとご命令ください」

 そう宣言して乙姫は砂浜に深々とひれ伏した。
 彼女の肌は砂よりも白い。乙姫はバイクに乗っている時も漫画を描いている時も隠していた透き通る肌を惜しみなく白昼に晒している。
 ハイグレポーズを行って胸も股間も両津へを披露し、その全てを両津へと献げることを誓った。この島へは毎回邪魔をする竜千士の手も届かない。最後まで逃げ続けた乙姫も水着を着せられたら最後、両津の忠実な手駒と成り果ててしまった。


「よし、これで全員揃ったな」

 両津は望遠レンズを一眼レフカメラに取り付ける。カチッと気持ちの良い音が鳴った。

「いいかお前ら、これはビジネスだ。既にたっぷり予約も入ってる。数千万の利益は確実だ。しっかり働いてもらうぞ!」

「「「ハイグレッハイグレッハイグレッ!! 全ては両津勘吉様のために!!」」」
 麗子やマリア、纏たちと筆頭に乙姫も加わった婦警たち全員が揃ったハイグレを披露し、真夏の砂浜で両津への絶対服従を改めて誓った。







 両津はピカピカに磨き上げられた大きなカメラを首からぶら下げていた。
「もっとしっかり開け! それではその辺りのグラビアアイドルと変わらんぞ早乙女!」
 砂浜では、股を開いてしゃがみ込んで、ハイレグ越しに両津へ股間を晒していた。
「も、もっと……!?」
 両津のダメ出しを受けて、リカは開脚の角度を広くしていく。限界まできたところで両津を見上げる。


「ダメだ全然弱い。もっとだもっと!」
「これ以上は無理よ!」

「ワシに口答えするのか?」

「ぐ……申し訳ありませんでした両津様……くっ……い、いかがでしょう……」

 仰け反るような体制になりながら、精一杯の深いガニ股を見せつける。

「やればできるじゃねえか。ほら、もう再開して良いぞ」

「は、はいい……ありがとうございます両津様ぁ」
 リカは体制はそのままに、解放されたように、両手をVラインに当てた。

「ハイグレェ! ハイグレェ! ハイグレェ! ハイグレェェェェェェェーー」

 4回目の叫び声を上げると、リカはどさりと鈍く柔らかい音をたてて砂浜へと後頭部からダイブした。

「ご苦労」

「あ、ありがとうございまたぁ〜……」







 撮れ高を確認すと、果てたリカを砂の上に放置して両津は別の撮影場所へと向かった。
 両津が寝ていたビーチベッドを、お揃いの茶色いハイレグ水着を着た2人の婦警が占領している。
 もちろん優雅に寝っ転がっているわけもなくギシギシと激しくスチールの骨組みを軋ませて、ハイレグの上からお互いの秘部を舐め合っていた。

「順調か?」
 2人へ向けてシャッターを切り続ける乙姫菜々に声をかける。
「はい。両津様」

 その間も菜々の人差し指は休むことなくシャッターボタンを押し込んでいる。ファインダー越しに2人の戯れを覗いている菜々の薄紫色の股間もまたじっとりと湿っていた。
 両津は彼女以上に股布をべっとりと濡らし合って乱れ落ちる小町と奈緒子へと視線を向ける。

「さすがは葛飾署の名コンビだな。実にお似合いだ」
 ゲラゲラと笑われているにもかかわらず、2人は耳に入る両津の言葉に頬を紅潮させながら与えられた仕事に励んでいた。

 うつ伏せになって奈緒子に覆いかぶさる小町へ両津の手が伸びていく。

「んぱっんぷ……ぷは……むほっ!? りょ、りょうるらま!?」
 仰向けの体勢で、小町の股の間から顔を出した奈緒子が、迫ってくる両津の気配に気づいた。

「気にするな。そのまま休まず続けていればいい」

 両津はニヤリと笑い、小町のハイレグのお尻の布を鷲掴みにしてぐいっと引っ張る。

「あきゃっ! 両津様!?」
 浮いてしまいそうな勢いで引っ張り上げられたハイレグ水着。小町は紐のように細くなった水着をギュウッと食い込ませながら、振り返り犯人の名前を呼んだ。

「ハハハ、ワシが原始人ならお前らはまるで猿だな!」

 妨害を受けても、なお体を求め合う2人の様子を見て両津が笑う。

「両津様は原始人ではありません!」 私たちの偉大なるご主人様です!」
 奈緒子が思わず小町の股の隙間から声を振り絞って反論する。

「猿は否定しないとはわかってるじゃねえか」

「両津様が、私たちを、猿とおっしゃれば、私たちはっ猿ですぅ……」

 ハイレグの鋭い食い込みに加え、奈緒子による柔らかくて優しい、それでいて着実に快感のツボを押さえた口撃を受けて小町は、腰をぴくんぴくんと小刻みに震わせながら答える。

「猿なら猿らしくしろ! サボってるんじゃねえ!」

「もっ申し訳ありません!」

 2人は慌てて互いの股間へと口を着ける。唇を通じて温もりを感じ合う。
 しかし、小町は奈緒子の下の口を味わうことなく顔を上げた。

「りょ、両津様……奈緒子……! だめええええええええええ」
 ハイレグが両津によって引っ張られて食い込み、半分以上が露わになった秘部を奈緒子が舌をトカゲのように動かして刺激を与え続ける。両津も決して掴んだハイレグを離さない。むしろ一層強く引き上げていく。


 その瞬間、掴んでいたハイレグ水着を伝ってぷるぷると振動を感じた。
 ちょろちょろと小町の黄金色の体液が水着から滲み出て脚を伝って砂浜へと吸い込まれていく。これまでのねっとりとした分泌物とは違ってサラサラとしていた。
 黄金水の勢いは落ちるどころか次第に増していく。溢れ出る温水は直結していた奈緒子へも降り注ぐ。
 小町は恥ずかしさの余り顔を耳まで真っ赤に染めて歯を食い縛るが、体は言うことを聞いてくれない。女としての本能が起こした生理現象に大人しく従うしかなかった。

「まるで犬だな。猿と犬は仲が悪いはずなんだけどな。ほら、奈緒子もちゃんと受け止めてやれよ」
 命令されずとも、既に奈緒子の口はパンパンに膨れていた。
 しばらくして噴水は打ち止めとなった。

「ちゃんと撮ったか?」
「はい。両津様」
 乙姫はその瞬間も夢中でシャッターを切り続けている。

「今のはかなり良かった。マニアに売れるぞ。その調子でワシをじゃんじゃん儲けさせてくれ」

 両津が水着から手を離すと、ぺちんと小町の尻の頬を叩いてTバックのように割れ目に収まった。

「「ふぁい……ありがとうございます両津様……」」
 小町はお礼を言うと、泥のように奈緒子の上に崩れ落ちる。奈緒子もそれを拒むことなく受け入れ、自らもぐったりとベッドへ身を預けて重なり合った。











 砂浜を歩く両津の表情は明るかった。
「この調子だと副業の方が本業より儲かってしまいそうだ。仕事をやめてこっちに専念するのもアリだな」

 勝ち誇った顔で売り上げの計算をする。商品の生産体制は整った。あとは顧客を増やすだけだ。

「教授の発明は大味だが、今回は珍しく大当たりだったな。ハイレグはビキニより露出がないのが欠点だが……」

「ハイグレの何が欠点だって?」
「うはっ!? なんだ纏か……急に話かけるなよ」
 いつの間にか後ろに立っていた纏にびっくりして両津は飛び上がって驚いてしまった。

「それは悪かった。次から気をつけるよ」
「なんかやけに素直だな……ああ、そうか……」
 纏も他の婦警たちと同様に、ハイレグ水着1枚で行動している。口調こそ普段通りだがしっかり洗脳されている。むしろハイレグ水着がよほど気に入ったのか、口調以外は彼女が最も水着の影響を受けているといっても過言ではなかった。

「……? 両津の命令に従うのはハイグレ人間として当然だろ」

 きょとんとした目をして纏が言う。

「そんなことより私は何をすればいいんだよ?」

 身を乗り出す勢いで纏が聞く。

「そ、そうえばまだ考えてなかったな……」

「ハイグレの魅力を伝える写真集なんだろ? ハイグレのためなら私はどんなことでも協力するから何でもいってくれよ!」
 笑顔で宣言する纏は、すかさずガニ股になった。

「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」

 彼女の勢いに両津の方が気圧されてしまう。

「なんでもって言ってもなあ……」

「両津さえよければ小町先輩や奈緒子先輩みたいなこともするよ?」
「冗談でもそんなことをさせたらワシがゲパルトとレモンに殺されてしまうぞ」
 笑顔の纏に両津は真顔で答える。

「殺されるも何も、もうこの島に呼んでるよ」

 彼女の発言を聞いた両津の顔からみるみる血の気が引いていく。

「何だと!? ゲパルトをか!? それはいろいろとマズいぞ!」
「いやレモンだけだよ」
「なんだ……よかった。いや、全然良くないぞ健全な少年誌的に!」
 ぶんぶんと首を横に振る両津。

「勘吉はさっきから一体何を言ってるんだ?」
「ワシらはそんなことをする奴らを取り締まる側だろう」
「ハイグレの素晴らしさを教えて何でも取り締まられなくちゃいけないんだよ」
 纏の眉がつり上がる。両津は徐々に険しくなる纏の表情を見ながら、どうやってなだめようか考える。
 しかし、険悪なムードを掻き消す爆音が島に近づいてきた。

 水辺線の彼方から、1機のヘリコプターが接近していた。

「お前たち、撮影は一旦終了だ! 纏、麗子、マリア以外はホテルの部屋に戻れ!」
 両津は素早くハイグレ人間たちに命令する。

「「「ハイグレッハイグレッハイグレッ」」」
 ヘリはあっという間に両津たちの頭上へとやってきた。
「かんきち〜!!」
「その声は……レモンか!?」
 プロペラが発する爆風と爆音に混じって聞き慣れた声が届いた。

「やっと着いたみたいだね」
 妹の声に纏も空を見上げながら笑った。






 次の瞬間。ヘリの搭乗口から小さい影が飛び出したのを両津は見逃さなかった。
「かんきち〜!」
「バカ野郎! 何考えてんだ!」
 両津は落下点へと向かって砂浜をダッシュする。
 スライディングで滑り込み、がっしりとレモンをキャッチする。
「危ないだろ。落ちたらどうするつもりだ!」
 抱きしめ懐に収まっているレモンに両津が声を荒げる。
「勘吉なら大丈夫だと思ったから」
 キラキラとした眩しい瞳で見つめられたら、両津もこれ以上は小言を言う気分にはなれなかった。
「そういや、なんだその格好は」

「知らんのか? これはスクール水着じゃ」
 レモンは紺色のローレグワンピースの水着を着ていた。胸元には平仮名で『ぎぼし』と書かれている。

「いやそうじゃなくて、なんでそんなもの着てるんだと聞いて……うおお!?」

 砂浜にヘリコプターが着陸する。激しい風が両津を襲う。

「ハーイ、両津!」
「その声はジョディーか!」
 操縦席に座りながら手を振る金髪の女性に両津も手を振り返す。

「「来たで両さん!」」
 仲良くハモって現れたのは双子の姉妹の日光と月光だった。顔もショートヘアな髪型も、スタイルまでそっくりな2人は、青と赤の色違いのビキニ姿でうきわ片手に砂浜に着地した。

「日光ちゃん、月光ちゃん、あまり騒いじゃ迷惑になるわよ」
 彼女たちの姉で、同じく双子の姉妹である右京と左京も降りてきた。それぞれ白と黒のビキニを着ていた。

「両津さん、みんなまでお誘い頂きありがとうございます」
 さらにその後ろには赤と白のボーダーのブラトップを付けホットパンツを穿いた磯鷲早矢が続く。

「そないなことより中川さんはどこにおるんや!?」
「ハルちゃん、そないな言い方したらアカンよ」
 最後尾で威勢良く飛び出して来たのは通天閣所の御堂ハルと芦原レイだった。2人とも通天閣所の制服姿だった。
 乗員を全員下ろすと、最後にジョディーが降りてきた。彼女は真っ赤なTシャツにデニムのホットパンツ姿だったが、持ち前のダイナマイトボディで他の女性陣に見劣りすることのない存在感を発揮していた。

「またこれはたくさん呼んだな……」
「お前も人数は多いほうがいいだろ?」
「それはそうだが……」

 纏はすでに人数分の水着が入ったカバンをスタンバイさせていた。
「それじゃあみんなハイグレ水着に着替えてもらうよ」
 纏が真っ白いハイレグ水着を広げて高く掲げた。
 彼女の目は早矢へと向けられていた。早矢がこの水着を着てはいグレポーズをしている光景まで既に見えているようだった。

「なんでやねん!」
 早矢へ歩み寄ろうとするチャキチャキの江戸っ子に対して、ハルが本場大阪のツッコミをぶつける。

「みんな水着は着とるやろ! なんでわざわざ着替えへんといけへんのや!?」
 早矢たちを押しのけてハルは最前列へとやってきて纏を見上げる。

「それはまだハイグレの素晴らしさがわかっていないだけさ。ハイグレを着ればすぐにわかるよ」
 真顔で纏が反論する。

「そんなけったいな水着を……あ、2人とも何をするつもりや!?」
 激しく抗議するハルの脇をすり抜けて、日光と月光が纏の間へ進み出た。

「う、うちらは着ます!」
 緊張した面持ちで日光が続ける。

「芸人を目指すからには、恥ずかしい水着だって着ます!」
「そうや! 素人でもやるときはやるんや!」
 月光が胸をドンと叩く。ぽわんと黒のブラが揺れる。
「いい心掛けだ。はい、これね」
 纏が1着づつ水着を手渡す。
 双子たちは纏から水着を受け取ると、ヘリコプターの中へと入っていった。

「あんたたち芸人をなんだと思っとるんや……」
 ハルが呆れた顔で大きなため息をついた。

「さあ、みんなも早くハイグレを着よう!」
 纏は布教の手を緩めることなく、残りのメンバーにもハイレグ水着を進める。

「あの……」
 手を挙げたのは磯鷲早矢だった。
「私たち、もう水着姿ですし……無理に着替える必要は……」
「どうせあのトーキョーモンが悪巧みしとるんやろ!」
 ハルは両津を指差して叫んだ。
 名指しされた両津へと視線が集まる。

 両津は不敵に口元を緩ませながら反論する。

「なぜワシがそんなことせにゃいかんのだ。なあ纏?」

「そうだよ。ハイグレは葛飾署で今流行ってるんだよ。ほらみんなもこっちに来なよ」
 纏に呼ばれて、次々とハイレグ姿の署員が姿を表す。

「早乙女さんも……」
 色とりどりのハイレグ姿の署員たちの中に反両津の急先鋒であるリカがいるのを早矢は見つけた。

「あら早矢、あなたも来ていたの?」
 早矢の視線に気づいたリカが話しかける。

「あなたにはこの色が似合うんじゃないかしら」
 そういってリカが手に取ったのは真っ白いハイレグ水着だった。

「この色なら上から弓を持っても映えると思うわ」
 じりじりとリカは早矢へと詰め寄っていく。

「ははは、早乙女も意外と強引な所があるんだな」
 その様子を見ながら両津は缶ビールを手に取った。本日3本目である。

「こらトーキョーモン! 酒なんて飲んどらんで説明せーや! これはいったいどういうことなんや! うちの中川さんはどこや!」
 プルタブに指をかけたところで両津はハルに飛びかかられる。

「うわ!? なにをするんだ! やめろ離れろ!」

「離れろ言われて離してたまるか!」
 ハルは両津にがっちりとしがみ付き離れない。

「マリア!」
「はい両様! ほら女の子が乱暴なんてしたらダメですわ」
 両津の命令を受けたマリアは素早くハルを引き剥がした。

「ちょっと離してや! なんでこんな男の味方なんてすんねん!」
 じたばたと暴れるハルだったが、マリアに持ち上げられて、文字通り手も足も出ない状態になってしまっていた。

「私は両様に生涯付き従うと心に誓いましたから」

「ははは、照れるじゃねえか」
 ご機嫌な様子で両津は缶ビールを開栓する。

「うお!?」
 ハルとの乱闘で激しく振られていたビールは、プルタブを引くとものすごい勢いで噴き出した。

「す、すまん!」

「ほほほ、大丈夫ですわ」
 笑顔で答えたのは、ずぶ濡れになった早矢だった。びっしょりと濡らした髪から水滴を滴らせている。

「でもちょっと水着が濡れて気持ち悪いですわね……ほほほ」
 そういって早矢はビキニのブラトップを脱ぎ捨てた。早矢は笑顔でたわわに実った胸を放り出す。

「なッ!?」
 ぶるんと揺れる2つの乳房を目の前で見せつけられて、両津は缶を砂浜に落としてしまうほど呆気に取られていた。

「まだ気持ち悪いですわ」
 笑いながら早矢は腰へと手を伸ばす。ホットパンツが勢い良く下される。

「ストップ!」
 リカが素早く回りこみ、早矢がパンツを脱ぎ捨てると同時にハイレグ水着を穿かせることに成功した。

「ほら早矢、新しい水着よ」

「ありがとうございます。ほほほ……」
 リカはグイッと勢い良く水着を肩まで引き上げ、露わになっていた胸も隠す。
「あっそこは……」

「すぐに慣れるから我慢しなさい」
 両腕を肩紐に通して、早矢の着せ替えが完了した。最後に背中やお尻の食い込みなど細かい部分を手直ししてあげる。

「これでもう気持ち悪くないわね?」

「はい……なんだかとっても気持ちいです……」
 リカの問いに早矢はコクリと頷く。

「ハイグレが気持ちいと思えたら、もう立派な私たちの仲間だね」
「そうね。じゃあ早矢も一緒にやりましょう」
 纏とリカは素早くガニ股になる。
「はい!」
 彼女たちに続いて早矢もガニ股になった。

「「ハイグレッ!! ハイグレッ!! ハイグレッ!! ハイグレッ!!」」

「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
 3人は向き合ってハイグレポーズを披露する。早矢も先輩2人に続くようにして、気持ちよさそうにハイグレポーズを繰り返す。

 本人は気づいていない様子だったが、早矢の真っ白いハイレグ水着には既に酒でも汗でもないシミがくっきりと浮かんでいた。








「これは一体……」
「気になるのか、ハル?」
 わざとらしく両津が聞いた。

「そうやない! みんな水着と一緒で少し行動がおかしいって言ってるんや!」

「じゃあ、そろそろ種明かしと行くか。日光、月光!」

「「今行くで!!」」
 両津に名前を呼ばれた双子がヘリコプターから勢い良く飛び出してくる。
 日光はオレンジ、月光は黄緑のハイレグ水着にキチンと着替えていた。明るい色が太陽に反射して目に刺さるように眩しい。
 2人は素早く両津の両脇に並んだ。

「いくで月光!」

「それはこっちのセリフや日光」
 2人は目で合図をしてから、大げさなほどのガニ股を作った。

「「せーのっ、ハイグレッハイグレッハイグレッ!!」」
 カラフルなハイグレが上下にクイクイっと揺れる。

「さあ、これをチビ太に着せてやれ」
 両津は1着の黄色いハイレグ水着を手渡した。

「お安い御用や!」

 日光が水着を受け取ると、双子はマリアに拘束されているハルへと向かって歩いていく。

「や、やめんかい! うちは絶対そんなもんは着ないで!」
 再びばたばたと暴れ始めるが、マリアは全く微動だにしない。

「いやや! 離せ! 触るなぁ!!」

 既に月光の手がハルの足に伸びていた。彼女が乱暴に靴を脱がすと、相方の日光がスカートのホックに手をかける。

「ハルちゃん嫌がってるやないですか!」

「おっとダメだよ」
 ハルの相棒の芦原レイが止めに入ろうとするも、纏が彼女の行く手に立ちふさがる。

「ハイグレ人間になるのは一生に1度だけの大切な瞬間なんだ。邪魔しちゃダメだ」

「ハイグレ……人間?」
 聞き慣れない言葉に思わず聞き返してしまうレイ。

「ハイグレ人間というのはーー」

「今はそんなことどうでもええわ! 誰か助けてや!」
 ハルの悲鳴にも似た叫びに右京と左京が反応する。ハルは下着を奪われ、両足には既に水着が通されていた。が、駆け寄ろうとする2人の顔スレスレを1本の弓矢が通り過ぎて行った。

「両津様の邪魔をする人は私が許しません」
 もはやハイレグ水着を弓道衣のように着こなしている早矢が、どこからか取り出した弓を2人に向けて構えている。
「次は本気で狙います」

「磯鷲さん……?」

「彼女の目は本気だ」
 弓を人に向ける早矢を左京は睨みつける。

「両津様の邪魔をするなら私はこのハイグレに誓って、どんな手を使ってでも止めます」
 3人が膠着状態を続ける中、ハルには着々とハイグレの魔の手が迫っていた。

「次は上着やね」

「やめんかい!」

「おかしいなあ……もうアソコは気持ち良くなっててもおかしくないはずやのに」
 ハルの下半身はハイレグ水着を穿かされ、びっちりとした布が食い込んでいた。日光と月光はシャツのボタンを外していく。

「こんなんで誰が気持ち良くなんてなるかい!」

「ぎゃっ!?」
 ハルの渾身の蹴りが月光にヒットした。月光は勢いよく砂浜にダイブした。

「大丈夫か月光!?」
 両津が思わず駆け寄ろうとするが、月光は素早く立ち上がった。

「てて……日光の突っ込みに比べたらこのくらい何でもないで……」

「月光! ボサッとしてないで手伝ってや!」

「あっ今行くで!」
 黄緑色のハイレグに付いた砂を払うと、すぐさま月光は戦線に戻った。

「あとは引き上げるだけや」
 シャツと下着に護られていたハルの小ぶりな乳が露わになっていた。ピンク色の乳頭が汗できらりと光っている。

「まかせとき!」
 月光が水着の肩紐をぎゅっと掴み引き上げる。

「はなせえええええ!」
 しかし、マリアの力はとても強く、ハルの乳房は黄色いハイレグ水着で覆われた。

「嫌がってる割には乳首立っとるで」
 日光は面白そうに、胸にぷっくりと浮かぶ突起をひとつ摘む。
「ああっそこは……!」
 びくんとハルの体が震え、抵抗してた力が弱まった。
「そこがどうしたんや?」
 月光も残り1つの突起を抓る。
「ああああああっ!?」
 ハルは天に向かって吠える。

「くっ……」

「よっぽどハイグレが気に入ったんやね。それやったらこっちも……」
 日光はコリコリと乳首を弄りながら、残りの手をハルの股間へと這わせていく。

「そっちはやめ……」

「やめたげなーい。一緒にハイグレの素晴らしさを堪能しようや」

「こら! 遊んでる暇はないぞ!」
 目的からそれていた2人を両津が一喝する。
「「はーい」」
 日光と月光は名残惜しそうにハルの体から手を離すと、あっさりと黄色い肩紐をハルの腕に通していく。

「くう……みんな、ウチはもうダメや……せめて子どもだけでも守ってあげ――」

 パチン。とハルの両肩にハイレグ水着の肩紐が音をたててフィットする。その音を合図にマリアの強力な拘束が解かれた。
 自由になった体をフラつきならもハルは自力で支える。ゆっくりと辺りを見回して、マリア、日光、月光の次に両津を見つけた。

 その瞬間、ハルの目が鋭く光った。
 股間の食い込みを直し、ねじれた肩紐を整える。彼女のひとつひとつの行動を全員が見つめていた。
 ハルはゆっくりと両津へと歩み寄る。
 両津に手が届く距離まで近づくと、ハルは深くまたを開いた。

 両津の顔が卑しく歪んだ。

「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ! 御堂ハル、ハイグレ人間へ転向完了しました! 偉大なる両津様に絶対の忠誠を誓います! ハイグレッ、ハイグレッ、ハイグレェッ!!」

 ハイグレ人間たちは、新たな仲間の誕生を祝福する。笑顔でハイグレを送り合うハイグレ人間たちの想いはひとつ。両津の野望の実現だ。

「「「「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」」」」









 右京は静かに周囲を確認する。
 ハルだけでなく、早矢も不思議な水着を着せられて操られてしまっている。既に島にいる婦警たちは両津の手に落ちてしまっていると考えて間違いない。

「みなさん、逃げましょう!」
 ハルの相棒の芦原レイはレモンを抱きかかえて叫んだ。
「逃げると言っても……」
「ヘリで脱出しよう」
 困惑する左京に右京が提案する。
「それはムリよ」
 答えたのはこの島までヘリコプターの操縦を担当したジョディーだった。
「なぜです?」
「故障ですか?」
 右京と左京が焦りと不安の混じった顔で聞いた。
「いいえ。そうじゃないわ」

 ジョディーはヘリへの進路を塞ぐように構えながら不敵に笑う。
「まさか……」
「あなたたちも、ここでハイグレ人間になってもらうわ。ハッ!!」
 ジョディーは誇らしげにTシャツを脱ぎ捨てると、赤いタンクトップのような姿になった。続いて躊躇うことなくホットパンツを下す。
 彼女が着ていたのはタンクトップなどではなく、真っ赤なハイレグ水着だった。

「いかにも。私は両津に忠誠を誓ったハイグレ人間よ」
 誇らしげに宣言すると、ジョディーもガニ股になった。
「ハイグレッハイグレッハイグレッ! さあ、あなたたちもハイグレ姿にしてあげるわ」

 ジョディーは右京と左京と対峙する形なって睨み合う。
「その子を連れて逃げろ!」
「逃げろってどこへ……?」
 レモンを抱いたまま芦原が弱々しく問いかける。
「どこでもいい! ここから遠くへ!」
「は、はい!」

 芦原レイはガムシャラに砂浜を走り出した。
「逃がしませんわ。キャッ!?」
 追いかけようとするマリアは、右京が巻き上げた砂を浴びてしゃがみ込んでしまう。
「お前たちの相手は私だ!」
 幼い子供にまであんな水着を無理やり着せるわけにはいかない。右京と左京はハイグレ人間たちと戦う覚悟を決めた。


 右京たちが足止めしてくれている間に、芦原レイはレモンとともに砂浜から少し離れた林の中へ逃げ込んだ。
「これからどうすればええんやろ……」
 レモンを抱いたまましゃがみ込むレイ。
「さっきからなんで逃げるのじゃ?」
 無垢な瞳でレモンが見つめてくる。

「なんでみんなハイグレを嫌がるんじゃ? 纏は素晴らしい服だと言っておったぞ」
「え?」
 レモンはぴょんと立ち上がる。それから着ている紺色のスクール水着に手をかける。ためらうことなくレモンはスクール水着を脱ぎ捨てた。

「ちょっと……えっ!?」
 水着を脱いだレモンは裸になることはなく、同じ紺色の一回り小さい水着をもう一枚着込んでいた。スクール水着と違って、非常に薄く、切れ込むも鋭いハイレグだった。

「纏が言っておったぞ。ハイグレを嫌いな人間はいないと。レモンも嫌だったのは最初だけで今は大好きじゃ」
 真顔で淡々と語るレモンは、未成熟な体をいっぱいに使って元気よくはイグレポーズを開始した。
「はいぐれっはいぐれっはいぐれっ! 纏〜! こっちじゃ〜!」

 レモンの声を聞いた纏は、すぐさま茂みへと駆け付けた。

「おお〜よくやったぞレモン!」
 纏は笑顔でレモンの頭を撫でる。
「レモンだってハイグレ人間の端くれなのだから、勘吉の役に立てて良かったぞ」
「みんな、出番だよ」
 纏が大きく手を振る。
 すると、3人のハイグレ人間がやってきた。

「ハイグレッハイグレッハイグレッ!」
「ハイグレッハイグレッハイグレッ!」
「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」

 右京、左京、ハルの3人が纏へとハイグレを行った。



「さあ、最後の1人をハイグレ人間にしてあげるんだ」
 纏は目を輝かせながらレイを見つめる。

「はい! 両津様のために1人でも多くのハイグレ人間を生み出すのが我々の使命」
 灰色のハイレグに身を包んだ左京が、緑色のハイレグ水着を手にじりじりとレイに近寄っていく。

「全ては偉大なる両津勘吉様のために……」
 右京も左京と共にレイとの間合いを詰めていく。

「うちらの手で東京モ……両津様の素晴らしい計画を成功させるんや」
 黄色にハイグレを着せられ、両津の下僕と化したハルも2人のハイグレ人間と同じ行動をとる。

「正気になって春ちゃん……正義感溢れる春ちゃんに戻って……」
「うちはずっと正気やで。ただな、ハイグレを着せて頂いて、うちのちっぽけな正義なんかより両津様の正義こそが本物と気づいただけや」
 ハルは左京から緑色のハイレグを受け取る。
「もう逃がさんで。さあ、ハイグレを着るんや……」
「いやああああああああああ――」










「「「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」」」

 1列に並べられたハイグレ人間たち。彼女たちは一心不乱に両津へとハイグレポーズを捧げている。もはやその光景はある意味では美しい芸術のようですらあった。最後にハイレグ水着を着せられた芦原レイも、すっかり水着の虜になって集団の一部となっていた。一番端っこで懸命にハイグレポーズを繰り返している。
 色とりどりのハイグレ人間を肴に両津はビールを煽る。勝利の美酒の味は格別で缶はすぐに空になってしまった。
「ハハハ。ついにこの時が来たな」
 ハイグレポーズを取り続ける女たちを見ながら両津が笑う。
「しかし終わってみると拍子抜けするくらい呆気なかったな」
 両津に何を言われても、顔をしかめる女はいない。誰も水着の力に打ち勝つことはできなかった。みんな笑顔か真剣な表情で彼の言葉を聞きながらハイグレに勤しんでいる。両津にとってもそれが更に勝利の余韻を高めてくれるから気分がいい。
「お前たちの写真集なら何十万でも買う奴は多いだろうからな。しばらく金の心配はしなくて済みそうだ」
 最低な発言にもかかわらず、ハイグレ人間たちは両津から高い評価を貰い満更でもない様子だった。
 両津のために働く人形と成り下がったハイグレ人間たち。彼女たちはもちろん彼のこの言葉にも迷いなく返事をするのだった。

「金のためなら容赦はしねえぞ! 何でもアリの水着写真集の撮影開始だ!」

「「「ハイグレッハイグレッハイグレェッ!!」」」







 両津はホテルの部屋でノートパソコンと睨めっこしていた。液晶ディスプレイには女性陣の惜しみないセクシーショットが次々と映し出されている。
「早乙女は需要も怪しいし、この位で大丈夫だろう」
 ハイグレポーズはもちろん数枚の悩殺ショットが数枚記録されている。しかし、残りはM字開脚や逆立ちなど珍ポーズが目立つ。更に1番下には、連写で撮られた早乙女の土下座も収められていた。両津はニヤつかせながら砂浜で自分へとひれ伏す、かつての宿敵の哀れな姿を全画面のコマ送りで堪能する。

「顔も髪も見事に砂だらけだな。思わず同情してしまいそうになるくらい無様だが、このワシに逆らい続けた罰だ」

 満足して画面を閉じる。続いて磯鷲早矢のフォルダを開いた。頬を赤らめて、あられもないポーズを披露している早矢。それでもやはり弓を持っている姿はとても絵になった。右京左京姉妹と3人並んでいる写真もある。
「この撮影は楽しかったな」
 両津は動画ファイルをクリックして再生を開始した。



「今から弓道のシーンの撮影をするぞ」

「「「ハイグレッハイグレッハイグレッ」」」
 早矢、右京と左京が素早く返事をする。
 両津はビデオカメラ片手に、撮影の段取りを説明していく。
 両津の行為は彼女たちが長年打ち込んできたことを冒頭するに等しかったが、3人は抵抗や反論はおろか、嫌な表情ひとつ見せず撮影の指示を聞いている。

「麗子、迫力ある写真を頼むぞ」
「まかせて!」
 ピンクのハイレグ姿の麗子の方には一眼レフカメラがぶら下がっている。
「試しに構えてみろ」
「はい、両津様」
 その瞬間、早矢の表情が一変して、キリッと真剣なものになる。真っ白いハイレグ姿で弓を引く彼女は美しかった。続いて右京と左京も同じように弓を引く。股布がギュッと食い込んだ股間すらも、その構えのためには必須であるかのように思えてくる。
「よし早矢、次はあの的を狙ってみろ」
 両津が指差した先には、大きなベニヤ板の前に立つ早乙女リカがいた。彼女の頭には真っ赤なリンゴが乗っている。
「人に当たる危険性が……」
 難色を示す早矢だったが、両津はリカへ向けて伸ばした腕を下さない。
「わかりました。両津様」
 ハイグレ人間になる前の倫理観や信念なんて全くの無意味だ。早矢も例外ではない。両津の命令であれば逆らうことはできない。早矢はすみやかに弓を構えた。

「早乙女、こっちの準備はOKだ」
「はい両津様。こちらも準備も整いました。ハイ、グレ!」
 もちろんリカも両津の命令に逆らうという思考は完全に摘み取られていた。身の危険を伴うことであっても主人の命令なら従うのみだ。リカは事前の打ち合わせ通り、ハイグレポーズのまま固まった。

「行きますよ、リカさん」
「いつでもいいわよ!」

 その言葉を交わしてから、一体を静寂が包み込んだ。早矢の両腕はブレない。
「――を狙え」
「え!?」
 両津の命令に早矢は1度構えを崩した。
「いいから」
「は、はい……わかりました両津様」
 小さく頷くと、早矢は再び弓を引く。矢から指が離れると、矢は一瞬でリカの後ろに立てかけられいる板を射抜いた。
「ひゃあっ!?」
 リカの素っ頓狂な悲鳴が響く。早矢の放った弓矢はリカの股間の数センチ下に突き刺さっていた。ガニ股によって強調されている股間の真下に弓が伸びる。
「は、早矢! どこを狙ってるのよ!」
 当然、狙いを大きく外したと思っているリカの怒号が飛ぶ。
「もう1発行くぞ、動くなよ!」
「え……?」
 もちろんリカはハイグレ状態のまま動いていなかったが、状況は全く飲み込めていない。
「打て」
「はい!」
 今度は躊躇いなく早矢は矢を放った。
「ひゃああぁっ!?」
 弓矢は鮮やかにリカのハイレグの股布をかすめ、布ごと板へ突き刺した。
「お見事!」
「ありがとうございます。ハイグレッハイグレッハイグレッ」
 早矢は深々とお辞儀をしたあと、ハイグレポーズも行って二重で礼をした。
「な、なんで私ばかりこんな目に……」
 瞳を赤く潤ませるリカの股布を貫いた矢からは、ちょろちょろと黄色い液体が滴り落ちていた。
「麗子、しっかり記録しておくんだぞ」
「もちろんよ」
 すでに麗子のカメラにはリカの失禁の様子もたっぷり収められていた。真っ先にハイグレ人間となった麗子は、両津に命じられなくとも彼が望む行動をとれるようになっていた。自分のご主人様が望むアングルを自ら考えカメラに収めていく。例えそれが同僚の恥ずかしい写真となっても、全く影響を及ぼさないほど既に麗子は心の奥深くまでハイグレに支配されていた。


「やはり麗子が撮った写真は見事だな」
 モニター越しに両津が簡単の声を上げる。
「女が1番取られたくない場所、男が見たいアングルを的確に押さえている」
 弓矢にキュッと引っ張られ、お漏らしによって自ら硬くした股布は、リカの性器の形をクッキリと浮き立たせていた。麗子がそれを見逃すはずもなく、余すことなくメモリーカードに刻まれている



「わしのせくしーしょっとも早くとってほしいんじゃが」
「いやあレモンにはまだ15年はや……レモン!! なんでこの部屋にいるんだ!?」
 ホテルの部屋のベッドの上に立つレモンの姿に勘吉は飛び上がって驚いた。
「纏に撮ってくれとお願いしたら、勘吉に頼めと言われたんじゃ」
「あいつ妹をなんだと思ってんだ……何度も言わせるんじゃない。レモンはダメだ」
 両津はレモンを部屋から追い出そうと立ちあがる。
「いやじゃ! はいぐれっ! はいぐれっ! はいぐれっ! どうじゃ? マニアックな層には売れると思うぞ」
「そんなヤバい層にお前の写真を売るわけにはいかん」
「いやじゃいやじゃ! レモンだって勘吉の役に立ちたい! ハイグレ人間として仕事をしたいのじゃ!」
「わかった、わかったよ!」
 レモンに押し負けた両津は纏の携帯電話に着信を入れる。呼び出せばハイグレ人間はすぐに駆けつける。便利だ。
「どうした勘吉?」
 青いハイレグ姿の纏は、何食わぬ顔でやってきた」
「レモンの撮影を頼んだ」
 その言葉に姉妹の表情がパアっと明るくなる。
「良かったなレモン!」
「うん!」
「ただし」
 両津が改めて釘を刺す。
「レモンはまだ幼稚園児だ。変なことはさせるなよ」
「わかってるよ。妹にそんなことさせるわけないだろ」
「ならいいんだが……」
 キラキラと輝く纏の目が逆に信用できない。今の纏は何をしでかすか全く予想ができない不安を抱きながら渋々両津はカメラを渡した。

「両津様、いらっしゃいます?」
 纏がカメラを受け取ったのと同時に、部屋のドアが小さくノックされた。御堂春の声だった。時計を見ると朝の7時だ。
「ああ、入っていいぞ」
 許可を貰い、春はゆっくりと扉を開ける。春は黄色いハイレグ姿となった小さい体を大きく動かしながら挨拶した。
「ハイグレ、ハイグレ、ハイグレ。おはようございます両津様。御朝食の準備が整いました」
 毒を抜かれたように従順なハイグレ人間となった春はハイグレポーズのあとに深々と頭をさげる。
「わかった。いまいく」
 両津は纏とレモンを置いて部屋を後にする。ホテルは完全貸切状態で、レストランも無人のためハイグレ人間たちが腕をふるった得意料理が提供されていた。



「だからといって朝から串カツはないだろ……」
 皿に並べられた種類豊富なフライを見つめながら両津がつぶやく。
「えー! 串カツ美味しいですやん」
「うまいけど朝は焼き魚とか……ほらワシ和食党だし…」
「はい! こちらもどうぞ」
 春は更にもう一皿追加する。
「な、なんだこれは……」
「あたしの『愛のオニオンリング串カツ』です。きゃあ! ハイグレッハイグレッハイグレッ」
 ハート型になったオニオンリングがずらっと並んでいる。春は照れ臭いのを誤魔化すようにハイグレを捧げる。
「両津様ならソースの2度漬けもオッケーやで!」
「あ、ああ……」

 なんだかんだ言いながらも両津は熱々の串カツを頬張る。味は文句なしの美味しさで次々と平らげていく。

「ハイグレッハイグレッハイグレッ、両津様、よろしいですか?」
「どうした?」
 緑色のハイグレ人間。この島で最後にハイグレ人間になった芦原レイは、両津の座る椅子の隣に跪いた。
「明日のお昼頃に東京へ戻る飛行機が到着する予定です。まだ撮影が終わってないハイグレ人間がおったらお早めにお願いしたします」

「なんや寂しなるなあ……でも昨日の撮影は楽しかったで」
 恥ずかしそうに顔を赤らめながらハルが言う。

 この島での実権を掌握したあの日から、両津は休みなく副業に没頭していた。モデルとなるハイグレ人間たちは自分の撮影がない時は雑用や休憩だが、カメラマンから監督までこなす両津に休みはない。それでも、ハルの撮影は画像を確認しなくても鮮明に思い出すことができた。

 ビーチベッドの上で飼い主の命令を待つ犬のようなハルは、両津の創作意欲を強く掻き立てた。あれほど自分をトーキョーモンと侮蔑していた女が仰向けの服従ポーズを取っている。ブンブンと激しく振られる尻尾が見えるみたいだ。ハルの完膚なきまでの屈服に嫌でも顔がニヤけてしまう。

 無難なお色気ショットを撮ってみたが、ハルの身長からはお世辞にも他の女性陣並みの色気は感じられない。この路線は諦めざるを得なかったが、両津の溢れ出る創作欲は次から次へとアイデアを生んで行った。ボツにするかはとりあえず撮ってみてから決める。両津のどんな要求にもハルは逆らうことなく従うから悩む必要はない。

 両手両足を広げてビーチベッドへ仰向けになり次の命令を待つハル。見えない尻尾を全力で振りまくって両津の言葉を待っている。



「そういえばチビ太、変な小物いっぱい持ってたよな」
 犬のチンチンのポーズをさせている時に、思い出したように両津が聞いた。
「これのことですか?」
 ハルは巾着に入ったアイテムを取り出す。中には拳銃の予備弾からプリ帳まで多彩なジャンルの小物が入っていた。
「これはもしや……」
「気をつけてや。それはあたし特製のスタンガンや」
 それは一昔前まではコンビニなどでもよく見かけたレンズ付きフィルムの残骸だった。どちらかというとハルより両津の方が馴染みが深いアイテムだ。
「使い捨てカメラを分解すると感電するのはコイツが原因だからな。ワシも現像代をケチって痺れた時がある」
 両津はハルから使い捨てカメラを受け取る。
「ここをこうしてこうすると……こうなったところをこうして……よし!」
 小慣れた様子で自作スタンガンに手を加えていく両津。
「なにしてはるんですか?」
 ハルが覗き込もうとした瞬間、両津は使い捨てカメラをハルの胸へと当てた。その瞬間、風船が破裂したような音が炸裂した。
「こうすると電圧が上がって更に効果が――」
「きゅうう……」
 スタンガンの電撃をもろに浴びたハルは、力を失い顔面から砂浜へと崩れ落ちた。
「ありゃ、ちょっと強すぎたか……大丈夫かハル、起きろ」
 両津は背中の布を引っ張りハルを持ち上げる。
「あはあ……電気とハイグレの喰い込み、どっちも気持ちいい……」
「こんな時に何を言っとるんだお前は」
 両津はハルをベッドに仰向けに寝かせた。
「もう1回……今度はハイグレしとる時に……」
「なにをバカなことを……いや待てよ……?」
 新たなネタを思いついた。下品な笑顔を隠すことなく両津はニヤリと口元を緩ませた。
「いいぞハル。たっぷり堪能させてやる。いい画を期待してるぞ」
 両津は威力を弱めに調整する。
「シャッターチャンスを逃すなよ?」
「はい。春ちゃんいつでもええで」
 芦原レイが頷きカメラを構える。



「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」
 ハルは待ちわびていたハイグレを開始する。

「それじゃいくぞ」
 両津は早速、スタンガンをハルのお腹へと当てた。
「ハイグレッんっ……ハイグ……あっ……ハイグレッハイグレッ、もっと、もっと下へ……!」
「この辺か?」
 両津はおヘソより少し下へと当てて電気を流す。
「あぁっ! ハイグレェ! ハイグレェ! 両津さまぁ……もうちょっと下……下ですぅ……ハイグレェ!」
 1度だけビクンと体を反らせたハルは、更なる場所の変更を要求する。
「もっと下って……ええい、いくぞ!」
 両津は電流の発生先をハルの秘部へと合わせる。股布にスタンガンを押し付けてスイッチを押した。
「ハイグレッ、ハイグレッ、ハイッグレエエエエエエ!」
 その瞬間、ハルの体は反り返り、スタンガンが当てられた場所から勢い良く潮が吹き出した。
「ぎゃああああああ!?」
 ハルの潮吹きを直撃した両津も巻き添えで感電する。
「ハァ……ハァン……最高やあ……両津様……もっとぉ……はいぐれぇ〜……」





 弾け飛んだ両津の安否など気にすることなくハルは更におかわりを要求する。飼い主の心配をしないとはとんだ駄犬だ。
「なにがもっとだ。そこまでいうならクレてやる」
 両津は再びスタンガンを弄る。
「いくぞ!」
「はいぐれぇ、はいぐれぇ、ふぁあいぐっほおおおおおおおおおおおおお」
 スタンガンを最高出力でハルのワレメへと突き刺した。
 現劇を受ける仰け反りながら腰をビクンビクンと振る。たまらず新たな潮を吹き出すが、こうなったら両津も意地がある。スタンガンを更に強く押し付け、グリグリと捻りも加えた。
「んああああああ!! いぐううううううううう〜……いっぐうううううう〜!! ひゃっひゃいぐへええええええええ!!」
 
 断末魔を残し果てた春は頭から倒れて、仰向けになったまま意識を閉じた。
「勝ったぁ……」
 ハルの蜜でベタベタになったスタンガンを握りしめなながら両津も崩れ落ちる。
 レイだけが黙々と昇天したハルをフィルムに収めていた。




「ワシですら死ぬかと思ったのに、よくケロッとしていられるな」
 両津はタブレットで、その時の画像を確認する。最後にはレイによって撮影されたハルのアヘ顔もたっぷりと記録されている。

「ハイグレから伝わる刺激は格別やもん」
 力説するハルの股間は再びじっとりと濡れていた。無意識のうちに指で割れ目をなぞるように撫でている。ここで2回戦を期待しているようだが、両津にはたっぷり仕事が残っていた。もうハルは逃げも隠れもしない。戦いを挑んでくることもなく、いつでも股を開ける準備をして両津を待っている。当然ここでぞんざいに扱ってもハルは笑顔でハイグレで見送るはずだ。だから今はビジネスを優先する。
「よくわからんが、ごちそうさん。とりあえず部屋へ戻る」
「「ハイグレッハイグレッハイグレッ」」
 ハルとレイの見送りを受けて、両津は自室へと戻った。







 巨大なホテルの最上階に両津の部屋はある。麗子にホテルで最もランクの高いロイヤルスイートを確保させたため居住性は抜群だった。
「さて、午前中に『日光と月光のハイレグ喰い込みど突き漫才』のチェックをして、撮り直しの必要がなければ、全員での撮影で〆るとするかな」
 ぶつぶつと計画を呟きながら両津はロイヤルスイートへと続く長い廊下を歩き終える。もう慣れた様子でロックを解除すると、部屋の中へと入った。
「ちょっと横になるか……レモンは纏と自分の部屋へ戻れ……ってあれ? 2人ともどこへいった?」
 ベッドには少し前まで人がいた痕跡は残っている。カメラが戻されている様子はない。
 部屋の外へ出て海あたりで撮影していのだろう。両津は机に向かった。ノートパソコンを起動すると、早速日光と月光による漫才が始まった。
 マイクの前でオレンジと黄緑のハイレグ人間が立っている。
『この前、ハイグレマンションっての見つけたんよ。きっと住んでる人みんなハイグレ人間なんやで』
『月光、それを言うならハイグレードマンションやろ』
 オレンジのハイグレ人間が黄色いハイグレ人間の胸へポンとツッコミを入れる。ぷるんと月光の胸が震えた。
『ハイグレっちゅうんは……』
 軽くツッコミを入れた他直後、日光は軽やかに飛び上がった。
「月光! 行くでェ! ハイグレっちゅうんは……これのことじゃあ!』
 大股を開き、日光は月光の顔面へと飛び込んでいく。
『ふがっ!』
 オレンジ色の股間を口へと押し付けられ、月光は頭から倒れる。
『どうや本物のハイグレは! ハイグレッハイグレッハイグレッ!』
 そのまま日光ははイグレポーズを開始する。オレンジの布にぺったりと鼻と口を塞がれ、月光は苦しそうにもがいている。
『ふぐっ……でえい!』
 月光がハイグレポーズに興じる日光の両脚を掴んで投げ飛ばす。
『ハイグレ、きゃあ!?』
 頭から床に投げ出され仰向けになる日光。
『私だってハイグレ人間なんやからハイグレくらい知っとるがな!』
 今度は月光が同じように日光の顔の上に跨った。
『ハイグレッハイグレッハイグレッ! ハイグレェ!!』
 そこで両津はパソコンを閉じた。

「全っ然ツボがわからん」

 編集を諦め、ベッドになろうと椅子から立ち上がる。





「こんな感じでいいか?」

 レモンの声が聞こえた。方角は風呂場だった。
 
大人2人が余裕で寝られるくらいの広さの浴室でレモンはシャワーを浴びていた。纏が楽しそうにその姿をカメラに収めている。

「なにやってるんんだお前たち……」

「いやあ、柔軟体操とかツイスターゲームとか色々やってもらったんだけどさ、風呂も外せないかなあと思って。それにこうするとハイグレが固く締まって気持ちいいいんだよ」
 纏が笑顔で答える。
「あとは例のプールがあれば……」
「例のプールとかいうな! そんなこといいから早くレモンの水着を乾かしてやれ」
「え〜……」
 早く終わらせようとする両津へブーイングを飛ばしたのは纏でなくレモンだった。
「これはレモンが纏に頼んでやってもらっているんじゃ」
「く……レモンも纏に似て頑固だな……わかったもう好きにしろ!」
 扉を閉めて両津は部屋へ戻っていった。


「勘吉はなんであんなに怒っているのじゃ?」
「さあ。でも好きにしろって言ってたし、勘吉もやっぱりレモンが可愛いんだな」
 纏は楽しそうにポンプからボディーソープをプッシュする。
「神聖なハイグレだから丁寧に洗うんだぞ」
「もちろんじゃ!」
 それをレモンの紺色のハイレグの上から塗りこんでいく。
「うっ」
「冷たいか? もうちょっとだから我慢しな」
 ビクッと震えるレモンを気遣いながらも、纏はさらに数プッシュ分の白液を水着に刷り込んでいく。
 紺のハイレグ水着は胸からお腹にかけて白く染まっていた。纏の手はレモンの背中へと伸びる。両手でレモンの体を挟むようにして、前後から丁寧に撫でる。
「さてと。ここで終わりだ」
 最後にワンプッシュすると、纏の手はゆっくりとレモンの股へと伸びていく。
 人差し指と中指で優しくボディーソープを股布へと塗り込んで行く。
「あうっ」
 びくんと電撃が走ったようにレモンは体を震わせる。纏の優しくも無駄のない指さばきで、つるっとした薄い生地は瞬く間に湿り、白濁に染まった。
「さあ、よく泡立てるんだよ」
 お手本として纏が、お腹を強く擦る。水分をたっぷり含んだハイレグはスポンジのようにキメの細かい泡を立てていく。
「う、うん……」
 レモンも自らの小さな手で、右の胸をさする。少しずつ泡が広がっていった。
「上手いじゃないかレモン」
 纏が左胸を小気味よく揉み始める。
「えっちょっと、纏……痛いっ」
 纏の攻めにびっくりしたレモンは、両手をハイレグから離して彼女の手首を掴んだ。
「大丈夫。痛いのは一瞬ですぐ気持ちよくなるよ」
 纏は怯むことなく、妹の平らな胸部を攻め立てる。両手で左右の胸をゆっくり泡立てると、親指と人差し指を器用に使って刺激を与えていく。
 しばらくして、2つの小さな突起がハイレグの上からでもハッキリ確認できるようになった。そのポッチを纏はコリコリと刺激していく。
「ほら気持ち良いだろ?」
 姉の問いにレモンは、顔を火照らせながら、こくこくと数回首を縦に振る。
「続きは自分でやってみな」
「うん……」
 纏の手が離れると、すうっと吸い寄せられるようにレモンの小さな指がやってきた。目の前に現れた2つの突起から流れた刺激は初めての味だった。鼻息を少し荒げながらレモンは再び快感を求めて自らの固くなった乳首を抓る。
「ああああっ……」
 声にならない声を上げるレモン。
「ううう……」
 小さな指で抓ったり撫でたり強弱をつけて愛でていく。どれだけ刺激を与えても、快感への欲求はどんどん強くなっていった。レモンは本能に従ってさらに強く乳首を抓りあげた。
「あっ!?」
 その瞬間、ちょろちょろとレモンの脚を泡とともに黄色い液体が流れる。
 生ぬるい液体は、びっちり貼り付いた股間のワレメから湧き出ていた。股布の泡を洗い流し、排水溝へとゆっくり吸い込まれていく。
「レモンったら……」
「くああ〜……」
 粗相をしても、レモンの両手は乳首から離れない。尿を垂れ流している間も股間を隠すことなく両手は胸の位置にキープされている。

「レモン、そっちも良いけど、おしっこで汚しちゃったハイグレもしっかり洗いなさい」
「は、はい」
 纏に怒られて、レモンの両手は名残惜しそうに胸に別れを告げる。それから、泡が流れ落ちてしまったお股へと手をやった。自らの手でまだ未開拓の丘を揉んで再び泡立てていく。
「ああっ纏……なんか変じゃ……いつもと違っう……」
 指をなぞるたびにレモンの体がビクンとうねる。
「全然おかしくないよ。そんなこといってハイグレを汚したことを誤魔化そうとしてもダメだよ」
「ごまかしてなんかないもん……ただこれ以上は……」
 しかし、レモンの手は止まることなく股布を泡立て続ける。
「わかった。じゃあハイグレを汚したことを、ちゃ〜んと謝らないとな」
「うん……」

 纏の言葉にレモンはこくりと頷く。震える脚をゆっくり開きガニ股になる。
「ハイグレ、ハイグレ、ハイグレェッ!?」
 3回目でレモンの体が跳ね上がった。
「どうした?」
「そ、その……アソコが熱いんじゃ……」
 妹は助けを請うように姉を見上げる。
「それはハイグレをしない理由にならないな」
「うう……」
 訴えを却下されると、レモンは観念して、再び腕をVラインへ伸ばした。
「ハイグレェ! ハイグレェ! 大切なハイグレを汚してゴメンなさい! ハイグレッ、ハッハイグレェェェェェ!?」
 謝罪を済ませた直後、ホッとしたのか再びさっきと同じ場所から黄金の液体が噴き出した。
 自らの力ではどうにもならない現象に、レモンはハイグレポーズのまま固まってしまう。
「ダメじゃないかレモン」
 纏が笑いながら言う。
「だって……ハイグレ……気持ち良いんだもん……」
 気力も体力も底を尽き、レモンは纏へと崩れ落ちた。
「よしよし。よく頑張ったな」
 纏は妹を優しく抱きかかえると、再び汚れてしまった股間を優しく洗ってあげる。
「あっんっんん……はいぐれえええ〜……はいぐれえ〜……」
 よほど気持ちい良いのか、纏に抱かれながら、うわ言のように忠誠の言葉を繰り返すレモン。
「ふふっこれでレモンも立派なハイグレ人間だよ。ハイグレッ」




【最終話】





 眩しい太陽がてっぺんを超えた頃、クーラーがキンキンに効いた部屋を両津は出た。スイートからフロント直結の高速エレベーターを降りる。
 ホテルを出ると、ジリっとした熱戦が降り注ぐ。アロハシャツに短パン。大きなサングラスをかけた両津は、空を見上げる。雲ひとつない青空だった。

 砂浜へ続く道を歩く。真っ白い砂浜と、青い海のコントラストが美しい。波の音と潮風が強くなるにつれて、砂浜に並ぶカラフルな一団の姿も確認できるようになってきた。

「「両津様がご到着になられました!!」」
 ビーチサンダルが最初の砂を踏むと当時に、小町と奈緒子の通る声が聞こえた。

「「「ハイグレッ、ハイグレッ、ハイグレッ、ハイグレッ」」」

 2人の声を合図に、カラフルなハイレグ水着を着た集団は、一斉にガニ股になって両津を迎えた。
 慣れた様子で両津は、ビーチに一列で並びハイグレポーズを繰り返す集団を横目に歩く。

 ハイレグ水着を着せられた女たちは、自分に決して逆らわない。逆らうことができない。この島の絶対的な支配者となった両津は余裕たっぷりにハイグレ人間たちを見回す。
 ガニ股で笑顔を振りまく女性たちは身も心も両津勘吉に屈服していた。同時に、ハイレグ水着による快楽の虜となって、刺激を味わう度にこの水着を授けた両津への忠誠心を一層強固なものにしていった。

 ハイグレ人間全員を見渡せる位置まで両津はやってきた。両津が移動するたびに彼女たちは、器用に方向を変え、常に主人の正面をキープしている。
 ハイグレ人間たちにうっとりと見つめられながら、自らに忠誠を誓うハイグレポーズのシャワーを浴びる両津。
 敵対していたり、好意を抱いていたり、親睦があったりと、様々な関係があったが、今は全員が自分の言いなりであり、手駒であり、商売道具だ。

 全く勢いの衰えないハイグレポーズは両津が片手を軽く胸元でかざしたことで、あっさりと収まった。

「今日の午前中は全員での撮影だったな。暑い中ご苦労」
 両津がハイグレ人間たちに労いの言葉をかける。
「「「ハイグレッハイグレッハイグレッ! ありがとうございます両津様!」」」
 主人からの労いに対し心から感謝するハイグレ人間たち。
 無理やり水着を着せられ、写真を撮られて、金儲けに利用されて感謝されるのだから両津も笑いが止まらない。

「うむ。送られてきた画像をチェックしたが、相変わらず良かった。これでこの島での撮影の予定分はクリアした」
 その言葉にハイグレ人間たちは少し寂しそうな表情を浮かべる。
「東京に戻ったら早速、写真集とDVDの販売を開始する。次の撮影はその売り上げ次第だ」
 売り上げという生々しい言葉に一部のハイグレ人間の顔が強張る。
「もし、自分の売り上げを伸ばしたい奴は遠慮なくワシに言うと良い。購入者への体を張った奉仕など魅力あるオマケ行為をさせてやる」
 両津は早乙女をチラっと見た。
「ハイグレッ! もちろん売り上げ1位を目指して何でも致します! 全ては両津様のために!」
 リカは真剣な表情で答える。
「「「全ては両津様のために!」」」
 残りのハイグレ人間たちも彼女に続いて、両津のために身を尽くすことを誓った。

「「「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ!」」」

 そして、自然とハイグレが沸き起こり、身も心も所有物と成り下がったハイグレ人間たちはハイグレの快楽を貪った。

「うるさい!」

 話を腰を折られた両津は怒号で一喝する。ハイグレ人間たちはビクッと震えてガニ股のまま固まった。

「まったくお前たちは下品で困る。いいか? そうやって東京で正体がバレたら全てが終わりだぞ。その格好でいたいならワシの命令に大人しく従うことだ」

「「「ハイグ――」」」
 ハイグレポーズを再開しようとするも、両津にギロリと睨まれ女たちはビシっと直立の体勢になった。

「「「かしこまりました! 両津様!」」」

 女たちは警察官らしく敬礼をする。

「結局中身はうちの書の婦警だからな。しっかり躾けてやらんとすぐボロがでる」
 東京に戻ったら手駒の教育も必要なようだ。

「ホホホ、随分と偉そうじゃない」
「誰だ!?」

 突如聞こえたオカマ口調のネットリとした声に、両津は辺りを見回す。

「ここよ」

 正面に向き直ると、ピエロのような仮面で顔を隠し、漆黒のマントで全身を覆った南の島のビーチには全く似合わない不審な男が立っていた。

「見るからに怪しいやつだな」

 両津は警戒しながらも、その現実離れした男の姿に拍子抜けする。

「あら、アンタのお仲間は既にあたしのことをご存知だと思うわよ。ねえ?」


「「「ハイグレッハイグレッハイグレッ!! はい! 偉大なるハイグレ魔王様!!!」」」

 両津ではなく、仮面男へ向けてハイグレ人間たちはハイグレポーズを開始する。

「なんだこれは……?」

 訳も分からず両津はその光景を見ながら立ち尽くす。

「あたしの星の水着を勝手に複製して……全部返して貰うわよ」
 男が小指を立てると、指の先が怪しく青く光った。

「させるか! せっかくの金儲けのチャンスなんだ! お前たち早くコイツを取り押さえろ!」
 しかし、両津の命令に従うハイグレ人間はいない。
「マリア! 麗子、纏、何をしている! 早乙女も早くしろ!」
 必死の叫びも虚しく、ハイグレ人間たちは命令に従わないどころか、マリアすら両津に目を合わせてくれなかった。

「ホホホ……かわいいハイグレ人間たち、この男を捕まえなさい」

「「「ハイグレッハイグレッハイグレッ! 全てはハイグレ魔王様のために!」」」

 条件反射のようにはイグレポーズを行ったハイグレ人間たちは、一斉に両津へと飛び掛った。

「いて! やめろ! マリア、お前は本当にやめろ! 腕が折れるううう」
「申し訳ありません両様。マリアもハイグレ人間である以上、ハイグレ魔王様のご命令には逆らえませんわ」
 両津はあっという間に縄でぐるぐる巻きにされ、砂浜へ打ち捨てられる。

「ご苦労様」

「「「ハイグレッハイグレッハイグレッ」」」
 ついさっき現れた真の主君へ忠誠を誓うハイグレポーズを捧げるハイグレ人間たち。

「でもね、あたしはこの星は征服しないって決めているの。可哀想だけど、あなたたちにはハイグレを脱いでもらうわ」

 ハイグレ魔王の非常な言葉にハイグレ人間たちからは次々と悲鳴があがる。

「そんな……私たちははもうハイグレなしには生きられません!」
「そうや! ハイグレ魔王様、せめてウチらだけでもハイグレ人間のままに……」
「私たちも全力で地球征服のお手伝いを致しますわ! ハイグレ魔王様……どうか御慈悲を……」

 ハイレグ水着を着せられる時以上に恐怖に怯えるハイグレ人間たち。

「なぜハイグレ魔王様は地球を征服しないのじゃ? こんなに気持ち良いんじゃ。みんなハイグレ人間になったほうが地球のためじゃ」
 レモンが無邪気に質問する。
「こらレモン、ハイグレ魔王様になんて言葉使いを! 妹が失礼な真似をして申し訳ありませんハイグレ魔王様」
「だってハイグレ脱ぎたくないんじゃ……」
 レモンは寂しそうに姉を見上げる。

「ホホホ……お嬢ちゃん。これは男と男の約束なの。丁度、あなたくらいの男の子とのね」
「もしかしてプラスか?」
「いや絶対違う」
 纏が即座に突っ込んだ。

「ホホホ、それじゃあさっさと始めるわよ」
 ハイグレ魔王は小指を天に突き上げた。

「ハイグレを消えよ!」

 その言葉が発せられると、ハイグレ人間たちの着たハイレグ水着は徐々に薄くなっていった。

「せ、せめて最後にハイグレを……みんな、ハイグレ魔王様に全ての力を込めてハイグレを!」
 纏が呼びかけると、パニックになっていたハイグレ人間たちは自らを落ち着かせるようにして、ハイグレ魔王を囲んでハイグレポーズを開始いた。

「「「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ」」」

 迫り来る別れを前に、目を赤くしながらハイグレ人間たちが全身全霊で体を動かし声を枯らす。

「地球人は本当に従順ね。いつになるかわからないけど、その時が来たら必ず私のものにしてあげるわ」

 やがてハイグレ人間たちの水着は消え去り、代わりにナイロン100%のジャージが着せられていた。
「あれ……私たち一体何を……」
「確か両津勘吉に変な水着を着せられて……」
「両ちゃんとハイグレ魔王って人に操られて‥‥‥」
「そうよ! あんなことやこんなことさせられたわ!」
 婦警たちは怒りに満ちた様子で、砂浜に転がる両津を見る。

「ご、誤解だ! ワシは潔白だ。全部あの仮面男が!」
 真っ白な砂の上で暴れなあがら両津が叫ぶ。
「問答無用ですわ!」
「何が誤解よ! 絶対に許さないんだから!」
「ぎゃああああああああ」
 断末魔を残し両津はジャージ姿の人の波に飲み込まれた。
 

「ホホホ……ハイグレを楽しんだ記憶はおあずけよ」
 林の中からこっそりとハイグレ魔王はその様子を見守る。全員の洗脳が解除されたことの確認を終えて、地球を去る準備に入る。
「ハイグレ魔王様!」
「あら、なにかしらん?」










 葛飾署では、婦警たちは旅から戻り、体調不良を訴えていた男子署員も復帰し、日常を取り戻そうとしていた。

「いてて……」
 中川は首をさすりながら書類の整理をしている。
「圭ちゃん、まだ痛む?」
 麗子が洗脳時の蛮行を反省し、中川を気遣う。
「僕は大丈夫。今日は先輩の謹慎が解除される日だっけ?」
 中川はカレンダーを見ながら言った。

「あいつは帰ってこない。ハイグレ星に作って貰った『さいはて署』に移動だ。永久にな」
 部長はお茶をすすり、窓の外を眺めながら言い捨てる。

「まさか宇宙進出とは‥‥」
「纏ちゃんだけ洗脳が解けなくて、一緒にハイグレ星へ行ったみたいよ」



 ハイグレ星のはずれに、ひっそりとたたずむ派出所。
「ハイグレッ、ハイグレッ、ハイグレッ、ハイグレッ」
 入り口の扉で日課のハイグレポーズをこなす纏。
「ほら、勘吉も良い加減ハイグレを着なよ」
 地球の時と変わらず、青いハイレグ水着を着ている纏。
「嫌だ! わしは絶対地中に帰る!」
 警察の制服を着た両津が机に突っ伏す。

「地球に帰る方法なんてないよ。一緒にハイグレ魔王様に忠誠を誓って、ハイグレ人間として生きていくのが1番だよ! ハイグレッハイグレッハイグレッ!」
 纏は淀みなく輝いた瞳と笑顔で両津に投降を呼びかける。

「今度は私が勘吉にハイグレの素晴らしさを気づかせてあ・げ・る。ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ!」

「絶対に嫌だ! 助けて下さ〜い、中川ァ! 麗子ォ! ぶちょおおおおおおおおおおお!」








 あれから年も変わり、春の風が香ってきた頃、亀有公園前派出所に自転車の車輪が軋む音が聞こえてきた。甲高いブレーキ音は耳障りだがどこか懐かしい。派出所の扉の前に後輪を持ち上げられながら止まった自転車には1人の警察官が跨っていた。

「両津勘吉! さいはて署から只今戻ってまいりました!」

 笑顔で敬礼する両津への反応はない。所内の警官たちはまるで彼がいないかのように黙々と仕事を続ける。

「あの……」

 両津が所内に立ち入っても反応しない。

「丸井ヤング館……いや寺井くん? お腹大丈夫だった? ちょっと期限切れの食材使いきっちゃかなって……ハハハ……。………………」
 机に向かって書物をする寺井は全く反応しない。

「中川くん……この前はゴメンね? ちょっとした出来心でさ……」

 中川も棚の書類を整理したまま振り返らない。

 所内には2人しかないようだ。部長がやってきたら怒鳴られても首を絞められても必死に謝ろう。それで何度も乗り切ってきた。今度もきっと大丈夫。

「りょおおおつうううううううう!!」

 来た。部長の声だ。

「両津の大バカ野郎はどこだああああああ!?」

 濃い紫色のセダンに乗って派出所に突っ込んできた大原部長は、顔を真っ赤にしながら車から飛び出して、即両津の首を絞めた。

「ぐえええ……すびばぜんぶちょおおおお……」

 ここまでは想定内だ。ある程度苦しんだら土下座でもしよう。両津はタイミングを伺いながらうめき声を漏らす。

「ぐるじいですよ部長ォ……」

「お前ってやつは本当に一変しなないとこのバカな頭は治らんのか!? さいはて署に飛ばされてもまだ懲りずに彼女たちにまた水着を着せるなんてこの大バカモンが!」

「反省してますから……手を離して……また……?」
「そうやって今回も知らばっくれるつもりか!? 今度は特殊刑事課たちと何を考えている! 全部素直に吐いてすぐに警察官を辞職しろ! ワシも一緒に辞めてお前を介錯しやる!」

 部長は両津の首を前後左右に激しく揺らしながら怒鳴りつける。

「ちょっと待ってください! ワシはさっき地球に帰ってきたばっかりですよ!」
「何?」

 驚いた部長は思わず両津の首から手を離す。
 やっと解放された両津は目に涙を滲ませながら咳き込んでいる。

「ゲホッゲホッ、今朝やっと地球に戻ってきたばかりですよ」

「纏くんも一緒か?」

 部長の質問に逆に両津が驚いて聞き返した。

「会っていないんですか!? 纏は2週間前に帰ってるはずですよ」

「じゃあこれも知らんのか!?」

 部長がポケットから辞令とか書かれた封筒を取り出した。中には1枚のA4用紙が折られて入っていた。

「なになに……4月1日付で以下の者を特殊刑事課へ移動を命ずる……擬宝珠纏、秋本カトリーヌ麗子、磯鷲早矢、早乙女リカ……なんであいつらが特殊刑事課なんかへ?」

 文書を読み上げながら両津は部長を見る。

「ええい、本気か演技かわからん。とにかく一緒に来い!」
「いででで!」

 耳を引っ張られて両津は車に乗せられて葛飾署へと連行された。



 葛飾署の最上階を陣取る特殊刑事課の葛飾署分室。入り口の前には纏が立っていた。地味なあずき色のハイレグ水着を着て、女子警察官用の帽子をかぶっている。太ももに巻かれたベルトには水鉄砲を模したような拳銃が装備されていた。

「あ、両津に大原部長!」

 纏は2人に気づくと笑顔で駆け寄ってきた。

「ハイグレッハイグレッハイグレッ!」

 あの挨拶を爽快に決める纏に部長だけでなく両津も少し戸惑ってしまった。

「お前……これは一体どういうことだ?」
 両津の問いに纏は得意気に答えた。

「地球でもハイグレ姿でいられる方法をいっぱい考えてね、特殊刑事課に移動すれば毎日この格好でいられるんじゃないかって思ったんだ。だって海パン刑事なんてまるでTバック男爵様みたいな人もいるくらいだからね」

「だからってそんな要望が通るわけないだろ……」

「纏ちゃん1人だけだったら通らなかったかもしれないわね」
 特殊刑事課葛飾署分室のプレートが掲げられた部屋の扉がゆっくり開かれた。

「お前ら……」

 扉の向こうから制服のように落ち着いたハイレグ水着を来た麗子、早矢、リカが現れた。みんな纏と同じ装備を着用していた。

「ハイグレ星のものじゃないけど、みんなにハイグレを着せたらその素晴らしさを思い出してくれたんだよ」

 3人の同僚を従えて纏が笑う。

「じゃあワシのことも……?」

「そんなわけないでしょ!」
 リカが鬼の形相で否定する。
「今の私たちのご主人様は纏さんです」
 代わりに早矢が答える。
「ハイグレの素晴らしさに罪はないわ。だから制服にする纏ちゃんのアイデアに賛成したのよ」
 麗子が真顔で言う。この勢いに負けて所長が許可をしたのだろう。

「さあハイグレのイメージ回復のためにも、今日からみんなでバリバリ仕事するぞ! ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ!」
「「「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ!!」」」

 廊下で公衆の目も気にせずハイグレポーズを開始する4人。

 両津も部長も彼女たちの奇行をただ見つめるしかなかった。

「「「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ!!」」」


/



「「「ハイグレッハイグレッハイグレッハイグレッ!!」」」





【おわり】

ぬ。
http://haiguress.blog.fc2.com/
2017年09月25日(月) 00時00分00秒 公開
■この作品の著作権はぬ。さんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
ここまでお付き合い頂きありがとうございました
無事最終話の投稿を完了する事ができました

zさんのこち亀作品の再現度と原作愛の強さをリクペクトして女性キャラてんこ盛りのお祭り仕様で挑んでみました
クレヨンしんちゃんと同じくこち亀も様々なネタや設定を飲み込んでこち亀にしてしまうという魔力を秘めていました
かなり原作のノリに助けられながらの更新でしたが、なんとか形になって良かったです

改めまして、3ヶ月以上に渡ってお読みいただきありがとうございました。

この作品の感想をお寄せください。
三ヶ月に渡る執筆、お疲れ様でした。
zさんのイラストを大幅に上回る登場人物も然る事ながら、じわじわと侵食して徒党を組み放尿、通電、幼女の初体験と多種多様なプレイの数々が光りもうお腹一杯です!
手広く展開しながらも最後はこち亀特有の急展開で落とし、イラストへ繋げられる長編構成力はもうさすがの一言。
楽しい作品をありがとうございました!!
牙蓮 ■2017-09-25 00:22:35 38.117.168.203.megaegg.ne.jp
四人もの絵師さん作品を同時にSS化しておきながら まさかの追加SSで企画作品全てをコンプリートするとは…ぬ。さん 恐ろしい子
ハイグレを絵崎コロ助が開発する流れが自然すぎて 原作にもありそうな話に仕上がっているのがゴイスー どの作品に対しても原作愛を忘れないぬ。さん流石っす
週刊連載とはこの焦らし上手め!
ROMの人 ■2017-06-19 02:15:25 softbank126122114204.bbtec.net
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