告白〜Side B〜 + After |
(今日はAちゃんから遊びに誘ってくれた大事な日 いつもは私が遊びに誘ってばかりだったのに今日はAちゃんから声をかけてくれた ほんの些細な事なんだろうけど、私にとってはとっても嬉しいこと だって私はAちゃんのことが…… だから今日はとっても良い日になる……はずだった) 今日はAちゃんとの楽しいお出かけの日(私はデートだと思っているけどね)。 新宿駅の待ち合わせ場所に後からやって来たAちゃんは私を見つけると屈託のない笑顔で手を振りながら近づいて来る。 この笑顔を見ると笑顔の苦手な私も自然に笑顔になる。 「Bちゃん、お待たせ!結構待った?」 「ううん、私も今来たところだから」 本当は今日が楽しみで1時間以上前から来てたけど、恥ずかしいから嘘をついた。 Aちゃんとは地元のさいたま市の小学校からの友達で運良く中学校も高校も同じ学校に通っていたけど、流石に大学は別々になってしまった。 それでも用事がなければ遊びや買い物に行ったり、お互いの家でお泊り会をしたりと密な交流は続いている。 今日はAちゃんから遊びに誘われたけど、行きたいところがあるらしい。 お昼が近いということで先ずは最近出来たカフェでお昼ご飯を食べながら講義がどうだとかバイトがどうだとか他愛ない会話をする。 話す内容によって笑ったり怒ったり恥ずかしがったりところころ変わるAちゃんの表情は目が離せないくらいに可愛い。 ぎゅーと抱きしめたくなるくらいに可愛い。 そんな衝動を抑えつつ談笑していると、Aちゃんがふと考え込むような顔をした。 「お腹ごなしにちょっと散歩しよっか この通りの先に公園があったよね?そこに行ってみよう」 行きたいところにはまだ行かなくて良いのかな、と思ったけど私は笑顔で了承した。 …… 公園へと続く通りはいつもと変わらず多くの人が行きかっている。 逸れたら大変だから、なんて理由で本当はAちゃんと手をつなぎたかったけどちょっと勇気が足りなくて手をつなげなかった。 Aちゃんと会話をしながら公園を目指しているその時、急に目の前に眩い光が発生してAちゃんも私も思わず目を瞑ってしまった。 ちょっとしたら光は収まったので、目を開いて光があった方向を見てみた。 そこには整った顔立ち、さらさらな髪、きれいな肌、そしてスタイルの良い20代くらいの女の人が立っていた。 おしゃれな服を着て街で見かければ同性でも思わず見てしまう、そんな感じの女性なのに、なぜか普通は絶対に着ない切れ込みのきつい赤いハイレグ水着を着ているのだ。 先ほどまであんな格好の人なんていなかったのにも関わらずだ。 Aちゃんや周りの人も同じようで怪訝な顔で彼女を見ていたが、男性や女子学生の数人はスマートフォンを取り出して彼女の写真や映像を撮っていた。 着ているハイレグ水着に股布がないのか、女性の性器にハイレグ水着がぴったりと張り付いてその形がはっきりと見えてしまっている。 そんなことになっているのにハイレグ水着の女性は恥ずかしがることもなくボーっとして前を見ている。 そんな状態だったのに彼女は急に腰を落としてがに股になっていた。 ただでさえ切れ込みのきついハイレグ水着だったのにがに股になったことで周りから見ても股間にぐいぐいと食い込んでいるのが見て分かった。 それに食い込んで切れ込みがきつくなったせいか、綺麗に整えられた陰毛がはみ出してしまっている。 流石に恥ずかしいのかハイレグ水着の切れ込みを隠すため手を動かしていたように見えたが、それは私の勘違いだった。 「ハイグレッ!」 この掛け声とともに切れ込みに沿っていた両手を胸の横まで一気に引き上げる、所謂コマネチのようなことをした。 「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」 奇妙な恰好、異常な行動にある人は笑い、ある人は嫌悪した顔で見つめている。 明らかに教育に悪い光景だからか、近くにいる親子連れは女の子の目を手で塞ぎそそくさとこの場を離れていった。 彼女はそんな周りの様子など意に介していないかのように、 「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」 と先ほどの動作を繰り返していた。 (ドッキリ系の番組の撮影かな…… そうだとしてもあんな美人があんなことさせられるなんてかわいそう……) Aちゃんは彼女をじっと見ていたが、私は彼女を撮影しているテレビカメラがどこにあるのかときょろきょろと辺りを見渡したがそれらしいものは見つけられなかった。 どこかのビルから撮っているのかと思い、目線を上げてみれば空中に何かが浮かんでいるのが見えた。 目を凝らして見ようとしたとき、先ほどと同じあの光が空中の何かから発射され、また目を瞑ってしまった。 すぐに光は収まったので目を開けてみれば、先ほどスマートフォンでハイレグ水着の彼女を撮影していた男性が黄緑色のハイレグ水着姿に変わっていた。 撮影に使っていたスマートフォンが地面に落ちているのに彼はそのことを気にせずにボーっとして同じハイレグ水着姿の彼女の方を見ている。 ただでさえ男性のハイレグ水着姿なんて見たくもないのに、ハイレグ水着の女性に興奮でもしていたのか、男性のハイレグ水着の股間部分は盛り上がり一物の形がはっきりわかるように浮かび上がっていた。 (おかしい!こんなのTV番組とかじゃない!) 空中を見れば何か白い物に乗った何者かがおもちゃのような銃をこちらに向けている。 再び眩い光が発射されて、Aちゃんと私のすぐ近くの女性が桃色のハイレグ水着姿に変えられた。 一瞬で衣服がハイレグ水着になる異常や蟹股で変な動きをする異様な光景から私はすぐに逃げることを決めた。 「Aちゃん!ここから離れるよ!」 赤い顔でハイレグ水着の男性の変な動作を見るAちゃんの手を取り駅の方へ駆け出した。 先ほどまでいた場所からは遅れてこの異常に気付いたのか、叫び声や悲鳴、そしてあの「ハイグレッ!」という声が聞こえてくる。 後方の人たちの悲鳴や逃げだす姿から私たちの前にいた人たちも逃げ始め、多くの人達が日常を過ごすその場所はすぐに混乱を極めた非日常の場所となった。 大勢の逃げる人たちに揉まれて、私は何度もAちゃんの手を離しそうになる。 「Aちゃん!もしはぐれたら駅のいつもの待ち合わせ場所に逃げて!そこで落ち合おう!」 「うん!Bちゃん!」 もしものために言った言葉だったけど、その後すぐに他の逃げる人に押されてしまい私はAちゃんの手を離してしまうのだった。 …… 逃げ惑う人ごみの中を掻き分けて私はいつもの待ち合わせ場所になんとか辿り着いていたが、その場にはAちゃんの姿はなかった。 (Aちゃん……ちょっと遅れてるだけだよね) 人々の悲鳴が聞こえる中でAちゃんが来ると信じて待つが、数分経ってもAちゃんは待ち合わせ場所に現れなかった。 この数分で悲鳴以外にもあの「ハイグレッ!」という掛け声が徐々に混じり始めてきた。 このままここに留まれば私もあの光でハイレグ水着姿に変えられてしまうのかと怖くなって、急いでAちゃんと連絡を取るために携帯電話を取り出したけど、そこには圏外と表示され電話をかけることは叶わなかった。 携帯電話の待ち受けにはAちゃんと一緒に撮った写真が表示されている。 (Aちゃん、なんで……Aちゃん……早く来てよ) なんでAちゃんの手を離してしまったのだろう。 走るのが苦手なAちゃんのために遠回りになっても人がちょっとでも少ない道を探さなかったんだろう。 (Aちゃん、ごめん……無事でいて) 私は過去の自分の行いを後悔しつながらない携帯電話を握りしめAちゃんの無事を祈る。 「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」 Aちゃんとの待ち合わせ場所の近くからもはっきりとあの掛け声が聞こえてくる。 (ここから逃げないと……でも何処に……それにAちゃんが……) 携帯電話が通じないのにここから移動してしまったらどうやってAちゃんと合流すれば良いんだろう。 でも留まっても空を飛ぶ何かにハイレグ水着姿に変えられてしまう。 悩んで怯えている間にもあの掛け声が徐々に大きくなっていく。 (怖い……あんな格好にされたくない…… 誰か……誰か助けてよ) 非現実的な状況による恐怖に私は耐えることができなくて、現実を見ないようにその場にしゃがんでむせび泣く。 涙は目に溜まってはぼつぼつと落ちていき、地面を濡らしていく。 「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」 あの掛け声はすぐそこまで迫って来ている。 私は溜まった涙を手で拭おうとするが、その時に手に持っていた携帯電話を落としてしまった。 反射的に目を開けて携帯電話を拾おうとした私には待ち受け画面が目に入った。 私の大好きなAちゃんの笑顔が映っている。 (Aちゃん……Aちゃんも何処かで泣いてるのかな……) 小学生の時にどんくさいからって男子にからかわれて何度も泣かされていたAちゃんを何度も私は助けていた。 中学生の時もそりの合わない女子との言い争いで泣かされていたAちゃんの下に駆けつけていた。 そして高校の時も。 (私が駆けつけると泣き止んで笑顔を向けてくれてたな…… またあの笑顔が見たい) 「迎えに行かなきゃ……Aちゃんを助けないと!」 (先に逃げるからAちゃんも早く逃げてね、っと これなら私のことを気にせず直ぐに逃げてくれるよね……) Aちゃんと入れ違いにならないようにメモを書いて待ち合わせ場所に置いた。 逃げてきた方向からは「ハイグレッ!」という声が響いていたけど、 きっと泣いているAちゃんを救うために勇気を振り絞って駆け出した。 …… 空を飛ぶ何かに見つからないように路地の陰に隠れつつ、私は逃げてきた道を遡っていく。 ほんの少し前まで色々な人たちが歩いていた道にはあの光に当たってしまったであろうハイレグ水着姿の人たちが埋め尽くしている。 「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」 老若男女問わずがに股で奇妙な動作をする人々の中には幸いなことにAちゃんの姿はなく安堵する。 (Aちゃん……どこにいるの……) 空を確認しあの空飛ぶ何かがいないことを確認し、ハイレグ水着の集団の間を縫ってAちゃんを探す。 遠くからではわからなかったがハイレグ水着姿の人々はその行為に快感を覚えているのか皆淫らな表情を浮かべている。 男女ともにハイレグ水着の切れ込み部分はてらてらと妖しく光るように濡れている。 「お父さん!お母さん!」 集団の中には運良く光に当たらなかったのか普通の服を着た少女の姿が見える。 少女の近くには茶色のハイレグ水着の男性と紫色のハイレグの女性ががに股で立っている。 少女の両親であろう二人は少女の呼びかけに全く反応せずに「ハイグレッ!ハイグレッ!」とあの行為を続けている。 あの少女には見覚えがあった。 最初に赤いハイレグ水着の女性を見た時に両親と一緒に離れていった少女だ。 (あの子の両親は逃げきれなかったんだ……) 少女には申し訳なかったけどそのまま先に進むと他にも無事な人たちがいて、どの人も声をかけている相手は反応せずあの行為を繰り返している。 (Aちゃん……無事でいて……) Aちゃんもハイレグ水着姿にされれば私の声に反応しなくなるんじゃないか。 それにあんな行為で淫らな顔となるAちゃんなんて見たくない。 「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」 私はこの異常な喧騒の中をなんとか進んで、ハイグレ水着の集団の中で佇むAちゃんを見つけることができた。 Aちゃんの姿はハイレグ水着ではなく先ほど別れた時と同じ姿のままだった。 ただAちゃんは異常な現状に現実逃避しているようでぼんやりとハイレグ水着姿の人たちを見ている。 「Aちゃん!逃げるよ!」 「逃げるってどこに!? 見渡す限りこの変な人たちばっかりなんだよ!」 「それでも逃げるの!」 ハッと我に返ったAちゃんの問いに答えを言うことが出来なかった私はAちゃんの手を引いて駆け出す。 「あの空飛んでるのから逃げないと、私たちもあんな格好にさせられる! Aちゃん、あんな格好になりたくないでしょ!?」 「う、うん」 「Aちゃん、向こうに逃げるよ!」 「え、駅に行かなくて良いの」 「駅はもうハイレグ水着の人たちで埋め尽くされてる! あいつもいるかもしれない! 私が守るから安心してついてきて」 駅を利用して遠くに逃げることも出来ず携帯電話も使えず私も恐怖で押し潰されそうな中でなんとかAちゃんを安心させるように言葉を吐きながら駆けていく。 逃げる最中に何度もあの光が私たちの近くを通り過ぎていった。 いずれも運良く外れたか、別の人に当たったことでハイレグ水着姿になることなく、近くにある大きな公園まで逃げ延びることができた。 ここまでずっと走り続けたせいで私もAちゃんも呼吸は乱れ汗が噴き出している。 (このまま逃げ続けるのは無理だ……Aちゃんも辛そう…… 何処か隠れられる場所があれば……) 「はぁはぁ、あそこの茂みに隠れるよ! あそこなら空からも周りからも見えないはず……」 上空からは木で、地上からは茂みによって見えないその場所にAちゃんと私は逃げ込むことにしたのだった。 …… 茂みに隠れた当初は逃げ惑う人の叫び声やハイレグ水着姿に変えられてしまった人の「ハイグレッ!ハイグレッ!」という声が何度も聞こえていたが、今では聞こえなくなっていた。 「なんとか逃げられたかな」 暗い顔をしているAちゃんを少しでも安心させるために私は微笑みかける。 「Bちゃんのおかげだよ! 私だけだったらあのままで逃げられなかった」 Aちゃんは少しだけ笑顔を向けてくれたがすぐにぼんやりとした表情でどこかを見つめ、何かを考えているようだった。 (私だってAちゃんがいなかったら動くことすらできなかった…… Aちゃんがいたから……Aちゃんのためなら……) 「思いつめてるように見えるけど、大丈夫?あんなことがあったから仕方ないか」 「う、うん、大丈夫!」 携帯電話を取り出して通信状況を確認してみたけど、駅にいた時と同じように圏外と表示されている。 「携帯もずっと圏外のままだ…… 震災の時もこんなことはなかったよね…… せめて避難先でもわかれば動けるのに……」 Aちゃんを救うために無我夢中で逃げ切ってみたが、現状で把握できていることは少ない。 携帯電話が使えない中でわかっているのは空を飛ぶ何者かの光を受けるとハイレグ水着姿にされ、がに股で変な行動を繰り返すようにされるということだけだ。 Aちゃんと合流するという目標が達成された今、無我夢中で考えられていなかった今後の不安とハイレグ水着姿にされる恐怖が襲い掛かってきた。 自らは絶対に着ない股間に鋭く切れ込むハイレグ水着を無理矢理着させられ、恥も外聞も無いかのようにがに股で股間を見せつけて「ハイグレッ!」という言葉とともにする変態の行動をする自分を想像してしまう。 絶対にあんなことはしないと心で思っていてもあの光を浴びてしまえば、強制的にあの変態行為を行ってしまう。 周りにいた何百人もの人たちが例外なくそうなっていたのだから私だけそうならないなんてことは考えられない。 「私たちもあんな格好にさせられちゃうのかな……」 同じようなことを考えているのかAちゃんの目から涙が溢れハイレグ水着姿にされる不安を漏らした。 「……きっと自衛隊の人たちがなんとかしてくれるよ それに私も一緒にいるからね!」 涙を流すAちゃんを安心させるために、私は無理をして明るい声でAちゃんを励まし抱き寄せた。 「うん……うん、ごめんねBちゃん……」 「大丈夫……大丈夫だから……」 胸の中で泣くAちゃんを優しく抱き、背中をポンポンと叩く。 Aちゃんを安心させるため、そして自分に言い聞かせるために大丈夫という言葉をぽつりぽつり言うが、私の目にもAちゃんと同じように涙が溜まっていた。 …… 茂みに逃げ込んでから何時間も経過し辺りは次第に暗くなり、今は街灯だけが周りを照らし出している。 「お腹空いてない? あまりないけど、お菓子なら少し持ってるよ」 私が背負ってきたリュックには少ないながらもチョコレートが入っていた。 「えっ? それBちゃんのでしょ? Bちゃんだけで食べなよ」 「はいっ半分こ! Aちゃん何も持ってないんでしょ」 私が取り出したお菓子は明らかにお腹を満たす量はなくAちゃんは遠慮してしまっていた。 そんな言葉は無視してチョコレートを半分に割ってAちゃんに笑顔で渡す。 「本当に良いの?」 「良いの!こういう時は助け合わないとね!」 嘘だ。 Aちゃんでなければ、きっと分けないで一人で食べてる。 私の好きなAちゃんだからこうやって助けようと思えてる。 実際にAちゃんを探す途中で幼い女の子を見捨てていた。 (Aちゃんが知ったら嫌われちゃうのかな…… そんなの嫌……嫌だよ) 心の中は暗い気持ちでいっぱいだったけど、Aちゃんに悟られないようにいつも通りの笑顔を作った。 「はいっ!飲み物もあるからね! と言っても飲みかけなのは我慢してね」 「飲めるだけありがたいよ ありがとう、Bちゃん」 少量しかなくて申し訳ないけどAちゃんがチョコレートを少しずつ食べる姿が可愛くて私はニコニコとその姿を見守った。 Aちゃんが飲み物に口を付けた時にこれが間接キスだと気付いて顔に熱くなってしまった。 (Aちゃんと間接キスしちゃった!嬉しいけど……顔に出てないよね) Aちゃんとの間接キスでさっきまでの暗い気持ちが吹き飛んでしまった。 …… 空腹を満たすほどの量ではなかったけれど、今日一日で巻き込まれた非日常の中でようやく日常を感じさせる食事を済ませたことで、Aちゃんと私は人心地を付いた。 「周りには誰もいないけど、下手に動かないほうが良いよね」 私は茂みからこっそり顔だけを出して確認し、Aちゃんに言う。 「今日はここで眠る?」 「そうするしかないよね」 夜になり気温の下がった中で体が冷えないようにAちゃんと私は互いに身を寄せ合った。 「きっとこれは悪い夢…」 「……明日になったら、きっといつも通りの日常になっているよ」 「……うん」 今日の出来事が夢だなんて思っていない。 だけどAちゃんを安心させるために言葉に詰まりながらも安心させる言葉を言ってみたけど、Aちゃんもわかっているのか暗い顔で頷いた。 「Aちゃん、いっつも寝坊するんだから、朝早く起こしに行く身にもなってね」 「ご、ごめん」 (Aちゃんは申し訳なさそうに謝ってるけど、本当は起こしに行くのもAちゃんの寝顔が見えるから全く苦じゃないんだけどね) 「冗談よ、Aちゃんのそんなところも好きよ」 「私もBちゃんのこと好きだよ」 「ふふっありがとう」 よく寝坊するAちゃんを起こした時に言う冗談で少しだけAちゃんは笑顔になった。 (良かった……やっぱりAちゃんには笑顔が似合うよ それに好きって言われちゃった! どうしよう嬉しい!嬉しいよ!) 「おやすみ」 「おやすみなさい」 お互いのおやすみの言葉に合わせてAちゃんは目を閉じる。 (どうしよう嬉しすぎて眠気がなくなっちゃった…… Aちゃんの寝てる顔も可愛いな…… すぐに眠れるかな) …… (眠れなかった……) Aちゃんが目を閉じてから一時間くらいは経っていたが、好きと言われた興奮が治まらなくてまだ眠りにつくことが出来なかった。 目を開けてみれば静かな寝息を立てて眠るAちゃんの姿が映る。 眠る前の不安や恐怖はAちゃんの寝顔からは読み取れないので、しっかりと寝ているようだ。 (眠れないならせっかくだし明日どうするか考えるかー あの飛んでるやつからはどうやって逃げようか…… 暗いうちに遠くに逃げた方が良かったかな…… 今からAちゃんを起こすのは可哀そうだし、明日相談しよう それにハイレグ水着姿にされた人、ここから姿も声も確認できたのに夜になったら消えてた…… 移動したのかな……だとすればどこに…… もしあの人たちが襲い掛かってきたらどうしよう…… ……ダメだ……考えれば考えるほど不安になってくる……) 不安で一杯の私は心を落ち着かせるために横で寝ているAちゃんの寝顔をじっと見つめる。 (あれこれ考えてもダメ! 私はAちゃんを守ることだけ考えてれば良いの!) 「Aちゃん……おやすみ……」 Aちゃんに2回目のおやすみを言って今度こそ眠るためゆっくりと目を瞑った。 「Aちゃん……好き……好きだよ……愛してる」 そして起きてるAちゃんにはまだ恥ずかしくて言えていない言葉を言って眠りについた。 …… ガサゴソという茂みの音で私は目を覚ました。 横になってまま体を伸ばしていると後ろからAちゃんの声が聞こえてくる。 「あれっ起こしちゃった? ごめんね」 「Aちゃん、どこか行ってたの? まだ暗いからって危ないよ」 「ごめんね、でも危ないことなんてなかったよ」 「Aちゃんが無事なら良いんだけど」 いつも通りのAちゃんの口調に安心して、ゆっくりと立ち上がってAちゃんの方を向いた。 そこには寝る前に見たAちゃんの姿はなく、昼間見た人たちと同じようにハイレグ水着を身に着けたAちゃんが立っていた。 「その格好……」 「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」 Aちゃんは赤いハイレグ水着がより股間に食い込むように腰を落としてがに股になり、ハイレグ水着に沿って両手を上下させた。 Aちゃんの顔は確かに笑顔だけど、それはいつも私に向けてくれた笑顔からは程遠い淫らな顔だった。 ハイレグ水着は股間部分が街頭に照らされててらてらと光っている。 「ちょうどパンスト兵様にお会いすることが出来てね、洗脳して頂いたの!」 「なっ、何を言ってるの? 冗談だよね? ねぇ!?」 Aちゃんは淫らな笑顔のままあの動作をずっと続けていて、感じているのかたまに嬌声が漏れる。 そのAちゃんの姿は、私が愛したAちゃんからは考えられない姿だった。 「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ! 本当はね、Bちゃんが寝ている間に洗脳してあげるはずだったんだけど、ごめんね 怖いのは今のうちだけだから!」 「洗脳って……私もその格好にする気なの?」 「当たり前だよ! 全ての人間はハイグレ人間になってハイグレ魔王様に尽くさないとね」 「ハイグレ人間、ハイグレ魔王って何を言ってるの?」 「大丈夫、ハイグレ人間になれば全部わかるから」 Aちゃんはどこから出したのかわからないが変な形の銃を取り出して私に向けてきた。 「Bちゃん、洗脳される前の私は意気地なしで言えなかったけど…… AはBのことを愛してる 一緒にハイグレしようね」 Aちゃんに愛してると言われたことに喜ぶ時間もなく私の体はあの光に包まれたのだった。 …… (Aちゃんを守ることが出来なかった……) 光に包まれながら後悔する。 無理をしてでも暗いうちにもっと遠くに逃げていれば良かった。 Aちゃんに一人で茂みから出ないようにしっかりと言っていれば良かった。 今さら後悔しても遅いがこの状況を防ぐことの出来たであろう選択肢が頭に次々と浮かぶ。 私が着ていた服の感触は薄れていき、その代わりに優しく肌に吸い付く何かが体を包んでいく。 「あっ……」 私の体を包む何かがしっかりと生成された後、優しく吸い付いていた股間部分が急に食い込み始め思わず声を上げてしまった。 普通であれば痛みを感じるはずのその食い込みは不思議と快感をもたらしてきた。 光が収まった後に自分の体を見れば、黄色いハイレグ水着を身にまとっていた。 「Bちゃん!そのハイレグ姿とっても似合ってるよ! 私の赤いハイレグと色が違うのは残念だけど……」 Aちゃんはハイレグ水着姿になった私に近づいてまじまじと見つめてきたが、ハイレグ水着姿が恥ずかしいのでしゃがみ込んで隠そうとした。 (は、恥ずかしい……でもハイレグがどんどん股間に食い込んできて……気持ち良い) 「Bちゃん!ハイグレ人間がハイレグ姿を恥ずかしがっちゃダメだよ!」 Aちゃんはそう言うとしゃがみ込んだ私のハイレグ水着の肩紐をぎゅっと掴んで、無理矢理立たせようとしたのか上に引き上げてきた。 「いひぃぃぃぃん!!?」 (な、なんで!?なんでこんなに気持ち良いのぉ!? ハイレグでイッっちゃう!食い込みでイッちゃうぅぅ!!) Aちゃんの行動のせいでただでさえ快感をもたらしていたハイレグ水着の食い込みが増々食い込んできてこの世のものとは思えない快感を覚え股間を濡らしてしまった。 「あれぇ?もうハイレグこんなに濡らしちゃったの?Bちゃんってえっちぃんだね」 Aちゃんは私の濡れて光るハイレグを見て言葉を発するが、快感に溺れている私には反論することが出来なかった。 (こんなの耐えられない!こんな凄い快感耐えられないよ! 怖い……怖いよ……どんどん私が私でなくなっていく……) ハイグレ光線を受けた私の体はハイグレ人間としての体に改造され、だんだんハイグレ人間としての知識とハイグレ魔王様への忠誠心が植え付けられいく。 (助けて……助けてAちゃん!) 一縷の望みをかけてAちゃんに助けを求めようとしたけれど、なぜか言葉を口にすることは出来なかった。 「もしかしてハイグレ人間になることが怖いの? 大丈夫だよ……私がついてるから」 言葉を発することはできなかったけれど、Aちゃんは私の心を感じ取ったのか安心させるように後ろから抱きしめてくれた。 (Aちゃんのハイレグと私のハイレグがこすれて気持ち良い…… それにAちゃんの温かさを感じて安心する……) 「初めてのハイグレは私が手伝ってあげるから安心して」 Aちゃんはそういって私の体を優しく触って足をがに股に、両手は股間の切れ込みに沿わせた。 「あとはハイグレッ!て言って両手を引き上げるだけだから 早くちゃんとしたハイグレ人間になって一緒にハイグレしよ!」 Aちゃんはいつもと同じ口調、そして笑顔で私にそう伝えてきた。 ハイグレ人間になってもAちゃんは変わっていない。 私の愛しているAちゃんはここにいる。 (ハイグレをすればAちゃんと同じハイグレ人間になれる…… 怖くない……Aちゃんがそばで見守ってくれる……) Aちゃんに見守られた私は安心した表情となり、がに股になることによって股間に食い込んだハイレグに添えられた両手を一気に引き上げて叫ぶ。 「ハイグレッ!」 こうして私はハイグレ人間として生まれ変わったのだ。 …… 「「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」」 ハイグレ人間となった私とAちゃんはお互いの姿を見せつけ合いながら何度も何度もハイグレを刻む。 ハイグレを刻む度にハイグレ人間としてハイグレ魔王様へ隷属することへの悦楽が心を満たし、ハイレグが食い込む女陰からは経験したことのない快感が全身へ駆け巡る。 向かい合わせでハイグレを行うAちゃんの顔はハイグレ人間らしくハイグレで快感に浸るだらしなく淫らな笑顔となっている。 ハイグレによって、そしてハイレグと擦れることによって固くなった乳首はハイレグの上からも分かるくらいに浮かび上がっている。 ハイグレとがに股によってハイレグが食い込む股間からは愛液が漏れハイレグを濡らしてらてらと輝かせ、垂れた愛液は足元に水たまりをつくっている。 ハイグレ人間になる前では有り得ないこのAちゃんの姿の全てが愛おしい。 Aちゃんのハイグレ、Aちゃんのだらしなく淫らな笑顔、Aちゃんの固くなった乳首、Aちゃんのハイレグを食い込ませるがに股、Aちゃんのハイレグが食い込む女陰、それら全てが愛おしい。 (ハイグレ人間になれて良かった…… 幸せ……Aちゃんとハイグレ人間になれて幸せだよ…… Aちゃんとハイグレできて幸せ…… なんでパンスト兵様から逃げたりしちゃったんだろう…… 全ての人間はハイグレ人間になるのが正しいのに…… あの時にハイグレ人間になっていればAちゃんともっとハイグレできたのに…… 今日一日、Aちゃんのためと思って行動してきた全てが間違っていた…… あの女性がハイグレ人間になった時にAちゃんを差し出してでもハイグレ人間にしてもらうべきだったのに…… ごめんね……Aちゃん……) ハイグレ人間になることを遅らせてしまった自分の行いを恥じ、より一層集中しハイグレを決める。 「「ハイグレェ!ハイグレェ!ハイグレェ!」」 もう何時間ハイグレを続けているか分からない。 Aちゃんと私のハイグレの掛け声は嬌声になって、Aちゃんの顔がさらにだらしなく淫らに崩れている。 私の顔もきっとAちゃんのようになっているのだろう。 ハイグレによる快感は止まることを知らず高まり続け、今すぐにでも絶頂するところまできている。 今の私の望みはひとつだけだ。 (Aちゃんと一緒に絶頂を迎えたい……) Aちゃんの顔を見れば向こうも同じことを考えているのか、私の目をじっと見つめている。 「「ハイグレェ!!ハイグレェ!!ハイグレェ!!」」 お互いの声が徐々に大きくなっていく。 「「ハイグレェェ!!ハイグレェェ!!ハイグレェェ!!」」 「「ハイグレェェェェェェェ!!!」」 お互いの思いが通じ合ったのか、Aちゃんと私は一緒に絶頂を迎えた。 私の体を今まで以上の快感、頭が真っ白になるような快感が脳を突き抜け、ハイグレポーズのまま上半身が後ろに反り成すがままにアヘ顔を決める。 ハイレグが食い込んだ秘所からは愛液が放たれる。 先ほどまでハイグレの掛け声が轟いていたこの場所は静寂に包まれ、Aちゃんと私は愛液の溜まった地面へと倒れるのであった。 …… ハイグレ絶頂により正体をなくしていた私だが、目を覚ますとすぐにがに股で地面に倒れているAちゃんに覆いかぶさった。 ハイグレほどではないがハイレグ同士が擦れ合ってとても気持ちが良い。 私にはAちゃんに言わなければならないことがある。 「Aちゃんっ!Aちゃんっ!」 まだ正体をなくしたままでアヘ顔のAちゃんにハイレグを擦り合わせながら声をかける。 「……Bちゃん?」 目を覚ましたAちゃんは私の名前を呼び、目と目があった。 「Aちゃんっ!Aちゃんっ!私も好きっ!好きなのぉ!!愛してるのぉ!! もう我慢できないのぉ!!」 私はそれだけを言って欲望のままにAちゃんの唇を奪った。 いきなりのキスだったけどAちゃんは抵抗することはなかった。 ハイグレ人間になりAちゃんとお互いに愛し合っていることを確認出来、私たちは幸せの絶頂にいる。 そんな幸せが続く中、Aちゃんは私の口に舌を入れ始めた。 Aちゃんの温かい舌と唾液が私の口の中に侵入し私の舌と唾液とねちゃねちゃと混ざり合う。 絡み合う舌は気持ち良く、ハイグレ人間の唾液は媚薬なのか気持ちが高ぶってくる。 私も負けじとAちゃんの口に舌を入れ、お互いの舌をねっとりと絡ませ合う。 舌を絡ませ、そしてハイレグに包まれた体を絡ませ、私たちは愛を確かめ合いながら混ざり合い悦楽に堕ちていった。 …… Aちゃんとの情事が終わり、2人揃って地面に横になる。 手は恋人繋ぎでしっかりとつながっている。 もちろん足はがに股でハイレグを食い込ませ、余っているもう片方の手は切れ込みに沿わせている。 ハイグレ人間のハイレグは特別性なのか、あれだけ濡れていたハイレグは既に乾き汚れ一つない状態になっていた。 空を見てみればまだまだ星々が輝いていて、夜が明けるまではまだ時間がありそうだ。 あれだけハイグレをしたりいちゃついたりしたのにハイグレ人間になったおかげか疲れも眠気も全くない。 それどころかAちゃんともっと愛を確かめたい気持ちが抑えられない。 Aちゃんも同じ気持ちなんだろうかと横を向けてみれば、Aちゃんもこちらを向いていた。 「Bちゃん……えっちでごめんね……もっとしたいの……」 Aちゃんは紅潮した顔でハイレグ越しに秘所をいじりながら申し訳なさそうに言ってきた。 「Aちゃん……大丈夫!ほらっ、私もAちゃんとえっちがしたくてこんなに濡れてるの」 がに股をAちゃんに向けてハイレグの食い込みがしっかりと見せた。 先ほどまで乾いていた食い込みは再び濡れて妖しく光っている。 「来て……Aちゃん」 私はそう言うと座った状態でがに股のままの足、そしてハイレグの食い込む秘所をAちゃんに向ける。 何を行うのか理解したのか、Aちゃんも同じように秘所を私に向けてくれた。 お互いのがに股で相手の股間を挟み込むように足を交差させてハイレグに包まれた秘所と秘所をゆっくり近づけていく。 「「あっ♡」」 お互いの秘所を包むハイレグが擦れ合う、その快感にAちゃんも私も嬌声をあげてしまう。 想像以上の快感に体を止めてしまったが、ゆっくりとAちゃんの秘所を擦るように腰を動かし始める。 「Bちゃんっ?きっ気持ちぃ……気持ち良いよぉ♡私もぉ♡」 私の腰の動きと同じようにAちゃんも腰を動かし始める。 お互いが腰を動かし合ってハイレグが擦れる毎に快感が押し寄せ、すぐにハイレグは私たちの愛液でぐしょぐしょに濡れ卑猥な音を奏で始めた。 快感が押し寄せるほど、ハイレグが愛液で濡れるほどにAちゃんでもっと感じるため、そして愛するために腰の動きを早めていった。 それはAちゃんも同じように考えてくれているのか、腰の動きがどんどん早くしてくれている。 私は早くなる度にAちゃんの愛情を感じ、与えられた愛情の感謝を示すために腰の動きをさらに早めていった。 「Bちゃぁん♡ハイグレしよぉ♡」 ハイレグの食い込んだAちゃんの秘所にハイレグの食い込んだ私の秘所を何度も何度も貪るように擦り続けていた時に、ハイレグの切れ込みに両手を合わせながらAちゃんがそう言った。 擦り合わせただけでこれだけ気持ち良いのに、これにハイグレを加えれば夢のような快感が味わえる違いない。 そんな魅力的な提案に私も直ぐに同意して腰の動きを止めることなくハイレグに両手を添えてハイグレの準備を完了させる。 「Bちゃん……イクよ?」 「Aちゃん?」 「「せーの……」」 「「ハイグレェェェェェェェェェ♡」」 両手を一気に引き上げてハイグレを決めた瞬間、ハイレグを通して頭が真っ白になるような強烈な快感が襲い掛かってきた。 通常のハイグレと同じようにハイグレ魔王様への隷属による充足感、ハイレグからの悦楽は変わらず感じ取れている。 それらに加えてAちゃんとハイレグを密着させたハイグレは、愛する人とハイグレをするという充足感、そしてハイレグを通してAちゃんが感じている悦楽や私への想いが伝わってくる。 2人分のハイグレの快感が一度に襲ってきたためか、目の前のAちゃんは快感に耐えることだけで限界かのようにアヘ顔で身を震わせている。 私も快感に耐えるだけで精一杯ではあるだけど、このハイグレでもっとAちゃんと快感を味わいたい、そしてAちゃんからの愛を受け取りたいという想いが強くなる。 「A……Aひゃん……もっひょ……もっひょハイグレ♡」 強烈な快感のせいでうまく呂律が回らない。 Aちゃんからは同意の言葉はなかったけど両手をしっかりとハイレグの切れ込みに移動させていた。 「い、いくよぉ♡せーの♡」 「「ハイグレェェェ♡ハイグレェェェ♡ハイグレェェェ♡」」 いつ正体をなくしてもおかしくもない快感が全身を駆け巡るが、私もAちゃんもハイグレを止めることなく何度も何度も繰り返す。 ハイグレをするたびにAちゃんと私がお互いを愛する想いがどんどんと流れていくからにはハイグレを止めてやることなんてできない。 目の前のAちゃんも白目を剥いている状態だけどハイグレはビシッと決め、ハイレグを通してもっとハイグレをしたいという想いが伝わってくる。 「「ハイグレェェェ♡ハイグレェェェ♡ハイグレェェェ♡」」 ハイグレを繰り返していると私の目の前は真っ白になった。 Aちゃんと同じように白目を剥いてしまっているのか、快感に浸りし過ぎて脳が映像を処理できなくなったのかわからない。 Aちゃんの姿が見えなくなって残念だけど、ハイレグからしっかりとAちゃんを感じられている。 「「ハイグレェェェ♡ハイグレェェェ♡ハイグレェェェ♡」」 ハイグレを始めてから何時間も経ったように感じるし、数分しか経っていないようにも感じる。 Aちゃんとハイグレでつながり続けているせいか、全身を巡る快感が自分のものかAちゃんのものかもはや判別がつかなくなった。 言えることはAちゃんと快感を共有しお互いに愛を確かめ合い幸せということだけ。 そうAちゃんと一心同体になっている。 ハイグレ人間になれたからこそ、こうしてAちゃんと一心同体になれている。 ハイグレ人間になれて良かった。 ハイグレ魔王様に隷属出来て良かった。 「「ハイグレェェェ♡ハイグレェェェ♡ハイグレェェェ♡」」 私の心、Aちゃんの心からハイグレ魔王様への感謝が溢れ出した。 声は届かないけど、Aちゃんと私の感謝はきっとハイグレ魔王様に届いている。 「「ハイグレェェェ♡ハイグレェェェ♡ハイグレェェェ♡」」 この幸せな時間も終わりが近づいてきた。 いくらハイグレ人間の素晴らしい体であっても延々とハイグレで快感を貪り続けることはできない。 Aも私もイキ過ぎて体が限界になりつつある。 きっと次が最後になる。 最後はAと一緒に終わりにしたい。 『A……愛してる……最後は一緒にイコッ?』 もうハイグレ以外の言葉を発することもできないので、心の中でそう念じる。 『B……私も愛してる……私も一緒にイキたい!』 「「ハイグレェェェ♡ハイグレェェェ♡ハイグレェェェ♡」」 耳にはハイグレとしか聞こえていないのに、確かにAの声が聞こえている。 「「ハイグレェェェ♡ハイグレェェェ♡ハイグレェェェ♡」」 『A!愛してる♡愛してるよぉ♡』 『B!私も……私も愛してる♡』 「「ハイグレェェェ♡ハイグレェェェ♡ハイグレェェェ♡」」 『ハイグレェェェ♡ハイグレェェェ♡ハイグレェェェ♡』 『ハイグレェェェ♡ハイグレェェェ♡ハイグレェェェ♡』 『『「「ハイグレェェェェェェ♡」」』』 …… 「B……B!起きて!」 Bの声により目を覚まし、まだ快感の抜けきっていない体を起こす。 「A?おはよー?」 私はそう言ってAに抱き着きハイレグを擦り合わせる。 ハイレグを通して快感とAの温もりが伝わってきてとても安心する。 「B!?それどころじゃないの!そりゃ私もしたいけど!上見て!上!」 Aは慌てたように擦り合わせていた体を離して空を指し示した。 温もりが消えて不貞腐れながら空を見上げた。 そこにはパンスト兵様がおまる号にお乗りになっていらっしゃっていた。 そのお姿を見た瞬間に私は固まってしまった。 パンスト兵様の前でなんてことをしてしまったんだろう。 どう謝れば良いのか。 どうして周りを確認せずAに抱き着いてしまったんだろう。 「パンスト兵様!大変申し訳ございません!」 そんなことを考えて動けない私を見かねたAは土下座でパンスト兵様に謝り始めた。 私もハッと我に返って直ぐに同じように土下座で謝り始めた。 「パンスト兵様!!大変申し訳ございませんでした!!」 2人で土下座をしているところにパンスト兵様から『もう良い』という思いが心に伝わってきた。 パンスト兵様からは声も聞こえてこなかったが、なぜか直接心に伝わってくる。 ハイグレ人間に指示を出すための特別な力なのかもしれない。 正座のまま顔を上げてパンスト兵様を見上げた私たちにパンスト兵様は続けて指示をお伝えになった。 その指示は私たち二人はスパイとして未洗脳者の中に紛れ込み洗脳活動を行えというものだった。 その指示だけをお伝えになったパンスト兵様はすぐにおまる号でお帰りになってしまった。 私たちは直ぐに立ち上がりパンスト兵様のお姿が見えなくなるまでハイグレでお見送りをした。 お見送りが終わって直ぐにAとスパイについて相談することにした。 「スパイってどうやれば良いんだろう? ハイレグ姿のままじゃ出来ないよね……前の服に戻らないと駄目なのかな……」 「B……凄い嫌そうな顔をしてるよ……パンスト兵様直々の命令なんだから」 「でもあんなダサい服に戻すなんて!なんでハイレグじゃなくてあんな服を着てたんだろう!」 文句を言う続ける私にAは笑顔でハイグレ光線銃を向けてきた。 「A?ど、どうしたの?」 「Bがこんなに我慢できないなんて思わなかったなー さっきも起きて直ぐに抱き着いてくるし……」 「それはAへの愛が強すぎて、つい……」 「それは嬉しいけどスパイ中は色々と我慢してもらわないといけないし、ちょっとでも練習しないとね♪」 Aはそう言うと笑顔でハイグレ光線中の引き金を引いた。 発射された光線は直ぐに私に当たって体を包み込んだ。 ぴっちりと体を包み込み秘所に食い込んでいたハイレグの感触は直ぐに消え失せてしまい、代わりにごわごわとした不快な服の感触がし始めた。 その数秒後には光が収まり、少し前までの私の姿に戻っていた。 「いやぁ……私のハイレグが……」 「スパイなんだからハイレグが着れるわけないでしょう B、我慢してね」 Aはそう言って自分にも光線を撃ってハイグレ人間になる前の姿に戻っていた。 ハイグレ人間になる前はあんなに可愛いと思っていたAの服装だったけれど、Aが着ていても今は不快なものにしか感じなくなっていた。 「うー……Aにはあの赤いハイレグが似合うのに……もったいない!」 「そう思うなら洗脳活動を進めてハイグレできる場所を作らないとね! Bなら出来るって信じてるよ!」 Aはとても良い笑顔でそう言ってくる。 ハイグレ人間になって想いが通じ合ったせいか、Aの私の扱い方が上手くなっている気がする。 嫌な気はしないけど……むしろ興奮するけど。 「じゃあ作戦会議しよっか!」 …… 次の日の昼、新宿を囲うように展開されていた自衛隊にAと一緒に助けを求めて駆け込んだ。 ハイグレ人間についてある程度知られているのか、服の下を調べられたけど普通の服装ということで避難場所に移送してくれた。 移送してくれた自衛隊の方が言うにはハイグレ魔王様との戦いは予断を許さない状況だそうです。 首都圏の鉄道網は停止していたけど、他の避難者と一緒にその日のうちに家族の待つさいたま市へと移送が許可されました。 (避難所生活にならなくて本当に良かった 避難所じゃ洗脳活動はやりにくいからね) そう思っていた時はきっと悪い顔をしていたと思うけど、誰にも気づかれることはなかった。 …… 「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」 さいたま市のある民家で私の両親がハイレグ水着姿で一心不乱にハイグレを繰り返している。 先ほどまで泣いて私の帰りを喜んでいたけど、今はハイグレ人間になったことを凄く喜んでいる。 私って親孝行者だなぁ、なんて考えながらすぐ横で同じようにハイグレを刻んでいる。 そんな風に家族で団欒していると電話が鳴った。 「もしもしA?うちの両親の洗脳は終わったよ」 『ごめん!うちのお父さんがまだ帰ってなくてお母さんしか洗脳できてないの』 「そうなんだ……早く終わらせてAとハイグレしたいのに…… そうだ!今日は予定を変えてAの家でハイグレで良い? それなら待ってる間も一緒にハイグレできるし!」 『もう!わがままなんだから! うん!うちでハイグレで良いよ!』 「ありがとう!すぐにAの家に行くね!」 『まだ街の洗脳は終わってないんだから、ちゃんと服は着てきてね』 「わかってるよ! じゃあ最後に……A、愛してるよ」 『B、愛してるよ』 「『ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!』」 |
モミジ
2018年05月02日(水) 23時31分49秒 公開 ■この作品の著作権はモミジさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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遅くなりましたが、続編完成おめでとうございます。 まさか後日談までたっぷり膨らませていらっしゃるとは……、予想外のボリュームにビックリしました。 冒頭の独白から続くBちゃんの人となりや心の変化が表情豊かに描かれていて、チャットで読ませて頂いた文章とは比べ物にならないほどしっかりとしたキャラ立ちしたAちゃんとBちゃんが可愛くて仕方がありません! 少しでも私の感想がお役に立てたのかと思うと、嬉しい限りです。 私も負けないように、密度の濃い物語を書いていかなければ……。 今後もお互い、頑張っていきましょう。お疲れ様でした! |
牙蓮 | ■2018-05-14 22:53:39 | 81.103.168.203.megaegg.ne.jp | |
改めまして執筆校正お疲れ様でした! 茶室で初稿を読ませていただき、夜中の二時間で四千字以上のご指摘を差し上げてからそんなに経ちましたか……。独断と偏見ばかりで申し訳ありませんでした。 しかしそれを反映した上で更に完成度を高められており、驚くとともに嬉しく思います。 他の皆様が誤解なさいませんよう申し上げますが、初稿の時点でモミジさんは前作『告白』よりも展開力・文章力・長編をまとめる力などの実力をしっかり上げておられました。 ですから次回作では、もっともっと惹き込まれる作品を読ませてくれることは間違いないでしょう。期待しています! |
香取犬 | ■2018-05-03 23:59:16 | i223-218-0-86.s42.a013.ap.plala.or.jp |
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