艦娘ハイグレ洗脳9(ガングート編) |
「は、はいぐれっ はいぐれっ はいぐれっ」 ガングート級戦艦1番艦「ガングート」は羞恥心を精一杯押し殺してがに股になり、自身の股間上を両手で何度もなぞる滑稽なポーズを繰り返した。加えて、いつもの赤い半袖シャツに白のコートといった制服姿ではなく、ピンク一色のハイレグ水着姿であった。 少し癖のある銀色の長い髪が乱れることも構わず、そのおかしな動作と共に「ハイグレ」という奇声も繰り返す。 表情にこそ出してはいないが、内心は恥ずかしさに加えて、怒りの感情が風船のごとく膨らんでいった。 「はいぐれ! はいぐれ! はいぐれ!」 その隣では、択捉型海防艦の1番艦「択捉」が同じ様にがに股になり、己の股間部をVの字を描くように両腕を上下させている。 朱色のボブカット・ヘアでもみあげを三つ編みにした、見た目はガングートとは対照的に小学校低学年ほどの背丈しかない少女。そんな彼女も、毎日着用している択捉型海防艦専用の白色のセーラー服に青色のスカートなどではなく、ガングートと同様にピンク色のハイレグ水着がその幼い身体を包んでいた。 脚刳りの位置がウエストラインの上まで切り込まれたハイレグ水着という、どうしても下半身に目が行ってしまうデザイン。それを着て更に股間部を強調する動作を、二人は繰り返していた。 「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ! おめでとうございます! お二人もハイグレ人間へと転向できたのですね♪」 そんな二人の姿に満足げにする海防艦の日振は、お返しとばかりに同じ様に滑稽なポーズ「ハイグレポーズ」を繰り返す。彼女も同様、ハイレグ水着姿である。 「あ、あぁ・・・、よろしく頼む、はいぐれっ はいぐれっ」 「それでは引き続き、提督の捜索に移りましょう。私はこのフロアを調べますので、お二人は隣のフロアをお願いします」 「わ、わかった、はいぐれっ はいぐれっ はいぐれっ」 「任せて下さい! はいぐれ! はいぐれ! はいぐれ!」 ハイレグ水着姿である以外は、普段の明るく頑張り屋な少女の日振と同じ様にガングートには見えた。 お願いしますと言い残した日振は、おもちゃのような外観をした洗脳銃を握ったまま、手近にあった資料室に入っていった。 「・・・なんとかバレずに済みましたね」 「あぁ、やはりこの水着が仲間の印のようだな」 日振の姿が資料室に消えたのを確認し、二人はふぅっと安堵の表情を浮かべる。がに股という足腰に負担の掛かる姿勢で居たこともあってか、二人共軽く汗ばんですらいた。 「取りあえず、怪しまれない様にここを離れよう」 辺りを改めて警戒しながら、二人はハイレグ水着姿のまま歩み出した。 「・・・残念ですが、この警備府の艦娘は私たち以外全員が洗脳されていると考えるべき・・・ですね。提督は無事でしょうか・・・?」 「まったく・・・妙なことになった。しかも・・・、こ、こんな排他的な恰好であんなポーズをせねばならないとは・・・屈辱だぞ!」 苛立つガングートは、遂に不満が口から漏れ出てしまう。 そう・・・、彼女は何も好んでこのような水着を着ているわけではなかった。 ――――――。 ――――。 ――。 弩級戦艦ガングートは、元々ロシア海軍の艦娘として深海棲艦との戦いに身を投じていた。 だが、日々熾烈になる深海棲艦との戦いには国家間の連携が不可欠であるとして、個々に戦線を構築していた各国海軍は協調路線に方針を転向。深海棲艦の活動が活発な海域へ、自国の艦娘を派遣・融通することで合意するに至った。 海軍首脳陣の間でどんな取り引きや議論があったかなどガングートに知る術はなかったが、支援の名目でここ大湊警備府へと着任することとなったのが、二週間ほど前のこと。 異国の地という事もあって慣れないこともあったが、提督や海防艦たちは良くしてくれた。特に提督は同じ女性という事もあってか、事ある毎に気にかけてくれている。他の鎮守府からの応援部隊も加わり、いよいよ北方海域における反攻作戦開始の日が近づいていた。 そんなある日、酒保での仕事終わりの一杯が日課となりつつあったガングートは、この日もほろ酔い気味で自身の部屋を目指していた。夜中とあって警備府内のほとんどの建物は灯りが付いてはおらず、等間隔に設置された外灯のみがガングートを照らしている。 「・・・む、マズいな」 不意に人の気配を感じ、ガングートは咄嗟に建物の陰に身を隠す。提督が見回りをしているのだろうと考えたからだ。 (またお小言を貰っては面白くないからな・・・) 海上自衛隊の大湊地方隊が編成されていた大湊基地では、突如出現した深海棲艦の奇襲攻撃で大打撃を受けた。部隊の再編等で自衛隊の残存艦や人員が横須賀基地などへ集約された後、深海棲艦に対抗可能な艦娘らによる部隊が置かれることとなった。部隊新設に伴って艦娘用の宿舎などが整備されると共に、この警備府の司令官を命じられたのが冴島 梨香(さえじま りか)だった。 深海棲艦の出現時は、女子高生をしていたという彼女。のちに海上自衛隊への入隊を希望していたところ、“適性がある”という事で艦娘の指揮を執ることとなったのだという。 化粧も最低限に済ませ、肩にかかるほどの黒髪をいつも後ろで束ねていた梨香。提督業は秘書艦の択捉の助けがあって何とかこなせているといった感じだが、艦娘に対しては同じ女性という事もあって、いつも親身に接してくれていた。 一方で(ガングートに言わせれば)規則には厳しい面もあった。先日、消灯時間後にイイ気分で宿舎を目指して歩いていたところ、梨香とばったり遭遇。海防艦たちと同じ消灯時間では息が詰まると抗議はしたのだが、示しが付かないと逆に星空の下で長々とお小言を貰ったばかりだったからだ。 「・・・ん?」 ところが、ガングートの予想は外れてしまう。 建物の陰から姿を現したのは、梨香ではなく海防艦たちだったからだ。 択捉型海防艦の松輪(まつわ)、佐渡(さど)、対馬(つしま)の三人が、真夜中に懐中電灯や探照灯を付けることなく、黙々と歩いていった。 対潜任務を担う択捉型海防艦は、艦娘の中でも特に幼い少女ばかりで構成されており、こんな真夜中に屋外を彼女たちだけで歩いている姿はガングートは見たことがなかった。そして松輪達三人は、指令所の入る建物の裏口に消える。 「夜更かしとは感心せんな。まぁ・・・、大方テレビゲームかアニメの上映会でもしているのだろうが・・・」 海防艦らの宿舎に娯楽施設はなく、テレビやプレーヤーは指令所のある建物の中にある娯楽室にしかない。規則では、消灯時間の30分前には娯楽室の使用を終了することになっている。ガングートが酒保を出たのが消灯時間より1時間はあとだったため、海防艦たちは既に就寝していなければならない時間帯だ。 なお、ガングート自身は“息が詰まって仕事に差し支える”という理由で喫煙所以外でパイプを吹かしたり、酒保やPX以外では飲酒禁止であるにも関わらず、酒瓶を自室に持ち込んでたりしていた。 それでも、幼い少女たちが何人も宿舎を抜け出すところを目撃しては、年上として注意をせねばならないだろう。 自身の消灯時間無視を棚に上げつつ、そう理由を付けて指令所の裏口のドアに周囲を警戒して近づく。ドアノブを回してみると、開錠された状態となっていた。ガングートは再度周囲を警戒し、ゆっくりと音を立てぬ様にドアノブを回すと指令所内へと足を踏み入れた。 「・・・人の気配はないな。ということは、やはり集会場か」 元々は地方隊の司令部として使用していた建物だったが、深海棲艦の攻撃で半壊。それを修繕、増築したのが現在の指令所だった。現在の部隊の規模と比べると不釣り合いなほど大きく、地上2階建てで提督が指揮を執る指揮所の他、会議室や食堂などが設けられている。更に艦娘らのための集会場や図書室、外には訓練用のプールまで併設されていた。 集会場のある奥の方へ、ガングートは足音や物音に注意しながら歩みを進めていく。気づかれてしまう可能性があるため、通路の照明を点けるわけには行かない。それでも、通路は最低限の照明が常時点けられていたことから、薄暗いものの足元に不安を覚えることはなかった。 いくつかの角を曲がったところで、通路の先で光が見えた。 予想通り、集会場に電気が灯っている。 「やはりあそこか。さて、どう脅かしてやろうかな」 戦艦娘として、そして軍人としてのプライドは人一倍高いガングート。 が、本人の意思に反して、最近海防艦らに舐められていると感じていた。 着任当初こそ余所余所しい所もあったが、近頃は(特に佐渡辺りに)悪戯をされたり、馴れ馴れしい態度で接してくる様になっていた。 元々面倒見のよい姉御肌な性格なので、素直に考えれば皆から慕われている証拠なのだが、ガングートとしては己のプライドが許さないらしい。 「ふふふ♪ ここはひとつ、年上として、そして戦艦娘としてしっかりと“指導”せねばな」 己の威厳を盤石?なものとするため、集会場の扉の前に立つガングート。 中からは海防艦たちの声が、僅かに漏れ聞こえてくる。 襟元を正し、軍帽がズレていないかなど一通り身だしなみを整える。そして、辺りに誰も居ないことを再度確認し、ドアにそっと手を掛けた。 (・・・・・・は??) が、集会場のドアを少し開けて中を覗いたガングートは、あまりにも予想外な室内の様子に言葉を失った。 「ハイグレッ!! ハイグレッ!! ハイグレッ!! ハイグレッ!!・・・」 「ハイグレッ!! ハイグレッ!! ハイグレッ!! ハイグレッ!!・・・」 「ハイグレッ!! ハイグレッ!! ハイグレッ!! ハイグレッ!!・・・」 (な・・・なんだあれは?!) そこには予想通り、択捉型海防艦の三人が勢ぞろいしていた。 松輪(まつわ)、佐渡(さど)、対馬(つしま)・・・。加えて、応援のために他の鎮守府から派遣されてきた駆逐艦の姿もある。 が、全員が同じ色、同じ形の水着を着用して、綺麗に整列して奇妙な動作を繰り返しているのだ。 色はピンクと女の子向けと言った感じだが、その水着は形状はワンピースタイプでありながら、脚刳りの位置がウエストラインの上まで鋭角に切り込まれていた。 ガングートも知識としては知っていた、西側で考案された「ハイレグ水着」だ。そしてそれは、決して幼い彼女たちが着ることなどないことも理解していた。 (や、ヤポンスキーの宗教か何か・・・か??) 理解が追い付かない頭が何とか導き出した、可能性がありそうな事態が口から漏れ出る。 事前に予想していた、子供の可愛らしいイメージとのあまりのギャップ。立ち去ることも声を掛ける事も出来ずにいると、集会場内で一糸乱れぬ動きをしていた海防艦らの前に、やはり同じ様にハイレグ水着を着用した、他の鎮守府から派遣されてきた軽巡洋艦が立った。 「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ! 皆の隠忍自重の日々、誠にご苦労だったのにゃ! だが、遂にこの警備府をハイグレ魔王様の支配下とする日が来たのにゃ!! パンスト兵様のご命令通り、あらゆる妨害はこれを排除、提督の拘束を最優先させるのにゃ! 諸君らの活躍に期待する! 以上にゃ! ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」 「「「ハイグレッ!! ハイグレッ!! ハイグレッ!! ハイグレッ!!・・・」」」 軽巡洋艦の多摩は、先ほどから海防艦らが繰り返していた動作―がに股となって両手で自身の着用した水着のVラインを上下になぞり上げるポーズ―を話し出す前と後で繰り返した。命令を聞いていた海防艦らも、続いてそのポーズを行っている。 ガングートは、それらが彼女らにとっての敬礼や挨拶をしているような印象を持った。 (ぱんすと・・・兵? 支配下だと? 一体どういうことだ? 茶番か何かか? それとも、まさか本当に・・・?) あまりに大真面目にポーズを繰り返す様子から、ガングートはこれがふざけてやっているのではないと感じ始めていた。 「と、忘れちゃいけないのにゃ。今日は新たに仲間となる未洗脳者を紹介するのにゃ」 多摩が手で合図を送ると、部屋の隅でハイレグ水着姿の駆逐艦二人に拘束されていた一人の少女が連れ出されてくる。 三日前に警備府に着任したばかりの、択捉型海防艦10番艦の福江(ふかえ)だった。 松輪達と同じ年頃の容姿に、やはり同じく青と白を基としたセーラー服を着ている。 が、その両手は紐で縛られ、口には猿轡。涙を流す両目には、恐怖の二文字が浮かんでいた。 「もごもご! ぷはっ!! み、みんな何やってるんだよ! あたしをどうする気なのさっ!!」 猿轡を外された福江は、直ぐに泣き叫んだ。 同じ水着を着用し、おかしなポーズを繰り返す集団に拘束され、囲まれれば当然の反応だ。 「にひひひっ♪ じゃあ、この佐渡様が福江をハイグレ人間にしてやるぜぇ♪」 暴れて抵抗する福江を両脇の駆逐艦らが押さえつけている中、佐渡がおもちゃの銃を片手に歩み出てくる。これほどのおかしな状況下でも、佐渡がおもちゃを手に近づいてくる様子に、福江の顔には一瞬「?」のマークが浮かぶ。 それは様子を伺っていたガングートも同じで、佐渡の表情だけを見れば、自分や他の連中に悪戯やちょっかいを出すときの顔と同じものに見えた。 「ち、ちょっとぉ! 佐渡! 馬鹿な真似は・・・」 「おりゃ♪」 嬉しそうな笑顔を浮かべた佐渡は、両手で構えたおもちゃを福江に向けて引き金を引いた。 「ほぉぉぉぉおおおおっっっっ!?!?!?!?」 佐渡のおもちゃの銃口がピンク色の光が放たれ、それが福江に命中する。その光はそのまま球体となって、福江の身体を包み込む。 すると福江の両手を縛っていた紐、いやそれ以前に彼女の来ていた制服が消え去り、一瞬にして裸になった。 かと思えば、すぐさまその幼い身体を隠すようにピンク色の何かが包み込んでいく。 (ど、どうなっているんだ・・・? 一瞬で水着姿になったぞ? て、手品か何か・・・か?) 光は数秒で消え去り、球体が消え去った後にはハイレグ水着を着た福江の姿があった。 「ハイグレッ!! ハイグレッ!! ハイグレッ!! ハイグレッ!!」 理解が追い付かないガングートを余所に、ハイレグ水着姿の福江は拘束されていた先ほどとは打って変わって、キビキビとした動作で滑稽なポーズを繰り返し始めた。 両脇で抱えていた駆逐艦らも、光線を命中させた佐渡も、見守っていた松輪達も皆嬉しそうな表情を浮かべている。それはまるで、仲間の晴れ姿を見守るような視線にすらガングートには思えた。 「ハイグレッ!! ハイグレッ!! ハイグレッ!! ハイグレ人間福江!! 洗脳完了致しました!! ハイグレ魔王様に永遠の忠誠を!! そして、ハイグレ魔王軍に栄光あれ!! ハイグレッ!! ハイグレッ!! ハイグレッ!!」 そして、先ほどの恐怖に染まった姿が嘘のように、福江は堂々と誇らしげに自身が洗脳を完了したことを宣言するのだった。 「急いでこのことを梨香に伝えねば!」 酔いなど、すっかり醒めていた。ガングートは気づかれぬ様に集会場を離れた。 先ほどの様子から、連中は梨香を拘束してこの警備府を支配下に置くつもりらしい。敵の正体は不明だが、瞬時に洗脳してしまう技術を持っている。 しかも、その洗脳というのが事実なら、自分以外の艦娘は信用ならない。 「っ!!」 三つ目の角を曲がろうとしたところで、ガングートは立ち止まる。 『――遅くなっちゃったね、もう集会始まってるよ』 『えぇ、急ぎましょう』 通路の先より声が聞こえる。どうやら集会場に居る連中で、全てではなかったらしい。 「・・・блин!」 ガングートは舌打ちした。 前方から複数人の足音が、徐々に近づいてくる。 来た道を戻り、どこか身を隠せそうな部屋はないかと片っ端にドアノブを回すが、どこも施錠されていた。 手荒なことはガングート自身にとっても不本意だが、強行突破することも覚悟した矢先、 「ガングートさん! ガングートさん! こちらへ!」 不意に足元から声がした。 目をやれば、通路の隅に配管点検用に設けられたハッチから、海防艦の択捉(えとろふ)が顔を出していた。 「早く!」 「・・・チッ! ええぃ、ままよ!」 択捉に急かされ、ガングートはハッチの中へ滑り込んだ。択捉はガングートの身体が完全に中へ入ったのを確認すると、素早く内側からハッチの蓋を固定する。 コツ・・・コツ・・・コツ・・・コツ・・・・・・。 択捉がハッチの蓋を閉めるのとほぼ同時に、ハッチの向こう側から足音がした。 隙間から覗き見れば、やはりこの前派遣されて来た駆逐艦たちだ。しかも、集会場の者たちと同じく、ピンク色のハイレグ水着姿をしている。 「え? え? ガングートさん、あれって・・・」 「シッ!」 驚きの声を漏らしかけた択捉の口を、ガングートは咄嗟に手でふさぐ。 幸い、足音は徐々に遠ざかっていき、最後には静寂に包まれた。 「・・・すみません、どうやら行ってしまったようですね。でも、何であんな変な水着姿に・・・」 外の様子を伺っていた択捉は、表情を緩めて安堵した。ガングートもフゥッと息を吐いたが、表情は険しいまま、択捉の方へ向き直る。 「連中はどうやら“はいぐれ魔王”と“ぱんすと兵”とやらに、洗脳されてしまっているらしいんだ」 「はいぐれまおう・・・ぱんすと・・・へい、ですか?」 「どんな奴かは私にも分からない。だが、そいつはいとも簡単に艦娘を洗脳する技術を持っている。残念だが、私もこの目で福江が洗脳される場面を見た。洗脳された者は、ああしてハイレグ水着姿の“はいぐれ人間”にされてしまうらしい」 「そ、そんな、福江が・・・?!」 「福江だけじゃない、佐渡や松輪たちも既に・・・」 「う、うそ・・・」 混乱し、理解が追い付かないでいる択捉。一方で、ガングートの険しい表情は緩むどころか益々険しくなっていた。それは海上で敵と遭遇した時と同じものといってもよい程に。 「助けてくれたことには感謝する」 「え? え?」 「で・・・何故貴様が都合よくハッチの中に居たのだ?」 感謝の言葉と共に、当然の疑問をガングートは択捉に投げかける。 その目は敵意すら帯びていた。 びくりと身体を震わせた択捉は、おずおずとしながら理由を打ち明け始めた。 「えと・・・、実は松輪達が夜中に時々宿舎を抜け出していることに気づきまして、様子を伺う為に後をつけてこちらに」 「ふん、このハッチ内に居た理由には不十分だな」 ガングートは海防艦だからと容赦することもなく、忍ばせていたナイフを手にした。 特殊部隊様に開発された、刀身が射出可能なスペツナズ・ナイフだった。 「ひっ!?」 刃先を向けられた択捉は顔をこわばらせたが、やはり弁明を続けた。 「集会場に向かう途中でガングートさんがこちらに向かってくるのが見えたので、私も消灯時間を守らなかったことを怒られると思って咄嗟にこのハッチに身を隠したんです。以前、業者の方がいらした際に立ち会ったので、このハッチの存在は知っていました。そしたら通り過ぎたガングートさんが血相を変えて戻って来られたので、ただ事ではないと思って声を掛けたん・・・です」 最後は涙声になりながらも、真っすぐにガングートを見つめ返す択捉。 その瞳は真っ直ぐ、淀みのないものにガングートは見えた。 「や、やはりお疑いですか? でしたら・・・ほら!」 刃先を向けられ続けていた択捉は自身の制服の上着をたくし上げ、その下にハイレグ水着を着ていないことをアピールする。 ガングート自身も一応確認するが、どうみても年相応な下着しか身に着けていなかった。更に、先ほど集会場に居た連中が持っていた変な銃や、無線機、盗聴用マイクなどと言った、怪しいものは持っていなかった。 加えてハッチ内部を見渡してみるが、怪しげなものは見つからなかった。元々点検・メンテナンス用に設けられた小部屋の様な場所であり、他の部屋や通路に繋がってもいない。 「む・・・疑って悪かった。怖い思いをさせたな」 謝罪の言葉と共に、ガングートはナイフをしまった。 「いえ、状況が状況ですので・・・」 ガングートがナイフを仕舞って、択捉の表情が再び緩む。 と、一方で制服を着直していた択捉の視線に気づき、ガングートは再度謝罪の言葉を口にすると自分の胸元へ手をかけた。 「すまん、貴様だけにやらせてはな」 ガングートは赤いシャツのボタンをはずし、自身の肌を露出させる。上下の下着すら見えるようはだけさせていたが、同性の択捉という事もあって抵抗感はない様子である。 「・・・はい、もう大丈夫です」 ガングートの見様見真似で、択捉はガングートを身体検査する。 ガングートにしてみれば、軍帽内に隠した小型拳銃や、背中のバックルに収めたナイフに全く気付かない様子から、択捉の幼さ、未熟さを再認識するだけに終わった。 内心、スキを見せれば本性を現すのではないか、という期待も込めて肌を露出させたのだが、杞憂だったようだ。 「しかし、これからどうしたものか・・・。あの様子だと梨香の身が危ない。何とか梨香に、最悪他の鎮守府や泊地にこのことを伝えないと・・・。だが、あのおかしな連中がうろついている以上迂闊に行動できん。捕まれば最後、あいつらと同じに・・・」 こうしている間にも、連中は提督の元へと向かっているに違いない。 が、地上に上がる術もない。 二人は無言のまま、時間だけが経過していく。 「・・・あっ!」 択捉は両手をポンと叩いた。 「ガングートさん、択捉にアイディアがあります!」 「なに? アイディアだと? よし、言ってみろ」 パぁっと明るくなった択捉の様子に、ガングートは先を促す。 が、択捉がそのアイディアを言い終わる前から、ガングートの表情は再び強張っていくのだった。 択捉の考え付いた作戦は、あのハイレグ水着を着た連中の仲間に成りすます、という事であった。 「秘書艦として見回りしていたので、ここに置きっぱなしになっているのは知っていました」 指令所内に設けられた更衣室。そこのロッカーには、艦娘たちが使用している水着が入れたままになっていたのだ。 周囲に誰も居ないことを確認した二人は、点検ハッチから這い出ると見つからぬ様に移動を開始。幸い、誰に会うことなく更衣室まで来ることが出来た。 「・・・よかった。水着はまだ置かれたままになっています」 今時、太もも辺りから首元にかけてまで着用するハーフスーツタイプも存在する世の中だが、幸運にも当警備府で採用されているのは、Vラインがハイカットされた競泳水着だった。先ほど見た洗脳者たちの水着はピンク色で統一されていたため、いくつかあった水着の中からピンク色のものを択捉は取り出す。 「夏場に何度か提督と一緒にプールで遊・・・コホン! 艤装が損傷してしまった場合に備えて、水泳訓練をした時にこのロッカーを提督が使用していたので・・・ありました!」 梨香に割り当てられたというロッカーを物色していた択捉が、丁寧に折り畳まれた水着を発見する。幸いなことに、無地のピンク色だった。丁寧に折り畳まれた水着を、択捉はガングートに渡した。 「むぅ、やはり少し小さいようだが・・・」 梨香の水着を手にし、肩紐の部分を持って自分の身体に合わせてみたガングートがぼやいた。似たような体型だと思っていたが、梨香のほうが少々細身だったようだ。 「贅沢は言っていられません。あと、制服類は更衣室に隠しておきましょう。とりあえず、軍帽とブーツ以外は脱いで下さい」 「なんだパイプも置いていかねば駄目か・・・参ったな」 ガングートはしぶしぶと、愛用のパイプも制服と共に更衣室のロッカーに仕舞う。 ここまで来てもなお不本意ではあったが、代替案を出せないガングートは、択捉の作戦に従うしかなかった。コートやシャツ、下着、ストッキングを脱いで裸になった後、水着を着てからブーツを履き直す。 (事を荒立てぬためとはいえ、こんな布面積の少ない水着を着る羽目になるとは・・・) 最後に軍帽を被り直したガングートは、壁に設置された姿見に映る自分自身にため息が出た。 水着を水泳訓練の際に着用するモノ。ある種、作業着と同列に捉えていたガングートはハーフスーツタイプしか着たことがなかった。その為、脚を大きく露出させる水着は、自身にとって全く無縁の存在だった。 しかも他人の水着とあって少々きつく、胸や股間部分を締め付けられる感覚もあった。特にVラインは小さいが故に布が引っ張られ、意図せず洗脳者たちの水着と同じ様な角度になっている。 (下の処理をしていたのは、不幸中の幸いか・・・) 下の毛が生えていない択捉と違い、第二次性徴を迎え終えていたガングートは当然大人の女性の身体である。 しかし、下の毛やムダ毛は昨日処理をしたばかりだった。 艦娘として出撃し、海の上で被弾すれば、当然艤装などと共に制服も損傷する。被弾箇所によっては下着や肌が露出することはざらである。 いくら艦娘らが同性ばかりとは言え、そんな時にムダ毛が見えたり、見られたりする事態は、流石のガングートも回避したかったからだ。 「(・・・よし、はみ出てはいないな)」 「どうしました、ガングートさん?」 「こっちの話だ」 「?」 しかし、悪いことばかりではない。 幸いガングートは姿を見られていない。択捉も同様だ。 上手く立ち回れば、誰も傷付けることなくやり過ごせるかもしれない。 「では予定通り、誰かに出会ったらその人以外の人の名前を出して、洗脳されたと言いましょう」 「うむ、分かっている」 こうしてハイレグ水着を着た二人は、更衣室を出発。 提督の捜索を開始する。 ――――――。 ――――。 ――。 「し、しかし、こうしてバレずに済んだのだから、この水着を用立ててくれた択捉には感謝しなければな」 先ほどの出来事を思い出しながら、改めてガングートは択捉に礼を言った。 同じ艦娘とはいえ、駆逐艦や海防艦が戦艦に馬力で叶うわけがない。先ほどもだが、ガングートは(最後の手段とは言え)洗脳者たちを制圧し、強行突破も辞さない覚悟だった。祖国での厳しい戦闘訓練や格闘訓練をクリアしていたことも、ガングートの自信となっていた。 だが、あっさりと仲間だと誤認され、無事にやり過ごすことが出来た。 着任して僅か一か月とはいえ、仲間に手を掛けるような事態を回避できて、ガングートは胸を撫で下ろす。 「はい、ありがとうございます!」 一方、疑いが晴れ、尚且つ挽回できたとでも思ったのか、この様な状況でも択捉は嬉しそうに返事をする。 どうやら数人を残して他の洗脳者たちは指令所の外に移動した様で、先ほど遭遇した吹雪以降、誰とも会わずに来れていた。 「第一目標は提督の保護だが、最悪の場合は他の鎮守府や基地への連絡を優先するぞ。・・・いいな?」 「は、はい。分かりました」 「おっ! 択捉姉にガングートさんじゃんか!」 不意に声を掛けられ、ガングートと択捉はハッとしてする。 声のする方を見れば、海防艦の佐渡が笑顔のまま駆けてくる。 その手には例の銃が握られていたため、笑顔のままガングートはいつでも反撃できるよう神経を集中させる。 「いひっ! なんだ、択捉姉もガングートさんも仲間だったのかぁ」 「あ、ああ、先ほど外で多摩に出会ってな、こうして洗脳してもらったんだ。提督の捜索を手伝ってほしいと言われてな、択捉と一緒に探してたんだ」 「へぇ、流石多摩さんだ! 戦艦のガングートさんも、簡単に洗脳しちゃうんだからな! ひひっ♪」 銃を振り回して、佐渡はけらけらと笑った。 ガングートにしてみれば、その雑な扱いに暴発でもしないか冷や冷やしたが、無事に佐渡もこちらの言ったことを信じたようだった。 「それにしても提督はどこに行っちゃったんだろうな。こうしてハイグレ魔王様に支配された方が、幸せになれるのに♪」 「そうだな。さっさと私たちの様に、洗脳されれば良いのだ。なぁ、択捉」 「そうですね」 ボロを出さぬ様に、ガングートは慎重に言葉を選ぶ。択捉も当たり障りのない相槌を打つ。 「んじゃあ、こっち側の捜索は任せてくれ! 全てはハイグレ魔王様の為に! ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」 軽い会話の後、佐渡は自分の主人の名と共に、例のがに股でのポーズを繰り返す。 ガングートは予め予測していたとはいえ、遅れまては不味いと直ぐにがに股となって腰を落として続いた。 「わかった! はいぐれ魔王様に栄光を! はいぐれっ はいぐれっ はいぐれっ」 「ハイグレ魔王様、万歳! はいぐれ! はいぐれ! はいぐれ!」 通路の中央で三人がそれぞれ向かい合う形で立ち、洗脳者の挨拶を行う。 大きくがに股となった大人の女性一人と幼い少女が二人、何度も自身のVラインを両手でなぞる。 (くそっ! なんて屈辱だ! しかし、我慢だ・・・我慢!) 正に滑稽な光景との言葉がぴったりだが、ガングートは恥ずかしさを押し殺してその動作を繰り返した。 「よーし! 提督を見つけるのは、この佐渡様だぜぇ♪」 ハイレグ水着姿である点を除けば、その様子はまるで虫取りを楽しむ子供のようだ。 佐渡は銃をぶんぶん振り回して、通路の向こうへと走って行ってしまった。 「・・・ふぅ。今回も上手く誤魔化せましたね」 択捉が、佐渡の走っていった方向を警戒しながら言った。 しばらく様子を伺っていたが、戻ってくる気配はない様だった。 「連中、逃げ隠れているのが未洗脳者という先入観があるのだろうな。軍人としては失格だが、今はその未熟さに感謝だ。・・・急ごう」 「はい!」 ――――――。 ――――。 ――。 指令所を出て少し歩いたところで、洗脳銃を手にしたハイレグ水着姿の少女と出くわした。 「はいぐれっ はいぐれっ はいぐれっ。どうだ? 提督は見つかったか?」 コソコソしていては逆に怪しまれると考え、ガングートはあえて自分のほうから声を掛ける事にした。 「あ、ガングートさん。それに択捉姉さんも・・・」 択捉の妹の対馬だった。 同型艦とあって、背丈は択捉と同じくらいの垂れ目の少女。択捉型共通の帽子をかぶっていたが、その幼過ぎる身体を制服ではなくピンクのハイレグ水着が包んでいる。 「ハイグレッ ハイグレッ ハイグレッ。残念ながら、提督発見の報はまだ・・・」 「そうか・・・どこに隠れたんだろうな」 「・・・姉さんたち、いつの間にハイグレ人間になったの?」 対馬特有のおっとりとした口調で、当然の疑問を口にする。 「先ほど多摩さんに洗脳して頂いたんです、ね? ガングートさん」 「あぁ、その通りだ。早速提督を捕まえるよう言われてな、こうして探していたんだ」 「多摩さん・・・ですか・・・そうですか。でも・・・多摩さんは・・・あそこに」 少々独特の言い回しで、対馬はガングートらが歩いてきた方向とは反対を指さす。 「「え?」」 綺麗にハモってしまった二人は、対馬の指さした方に首を振る。残念ながら、洗脳銃を手にした多摩がこちらに歩いてくるところだった。 「にゃあ! ガングートに択捉じゃにゃいか?」 (ま、マズい!!) (どうしましょう?!) このままでは自分たちが未洗脳者だとばれてしまう。 ナイフ類は水着に着替えた際に隠し持つことが出来ないとして、置いてきてしまっていた。頼みの綱は軍帽内の拳銃だが、対馬も多摩も例の洗脳銃を保持している。撃ち合いとなって片方を制圧できたとしても、もう片方が発砲してくれば防ぎようがない。 となれば逃げるしかないが、それも騒ぎを聞きつけて他の者たちが集まって来る可能性もある。 (・・・やるしかないのか) 油断しているのか、二人とも銃は下に向けた状態だ。スピードで全てが決まる。 多摩が確実に仕留められる距離まで近づいたところで、一気に・・・。 「にゃにゃっ!? パンスト兵様っ!!」 突如歩みを止めた多摩が、驚きの声を上げる。 視線の先を見れば、赤い全身タイツ姿の人物が宙に浮いていた。 (なんだ!? こいつは!?) どういう原理なのか、アヒルの顔の付いた、オマルにも似た飛行体に跨った状態で宙に浮いている。覆面代わりなのか、頭にはパンティストッキングを被っていた。体格や体のラインから男性とみられるが、顔はおろか髪の毛や肌すら伺いすることはできない。武器の類は携行していないように見え、またボディアーマーの類も装着しているようには見えなかった。 「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!・・・」 「ハイグレッ ハイグレッ ハイグレッ・・・」 「はいぐれっ はいぐれっ はいぐれっ・・・」 「はいぐれ! はいぐれ! はいぐれ!・・・」 慌てた様子でハイグレを行う多摩や対馬に倣い、択捉とガングートもハイグレポーズをその男に向けて繰り返した。辛くも、パンスト兵に意識が移ったことで、洗脳の話題にはならずに済んだ。 (こいつが・・・ぱんすと兵とか言うやつか? なるほど、パンティストッキングを被っているからパンスト・・・兵か。ふざけやがって・・・) 多摩や対馬達を洗脳し、この警備府を我がものとしようとする者。そして、着たくもない水着を着る羽目にした張本人。 ガングートとしては、警告なしに鉛玉の2、3発を顔面にぶち込んでやりたいところだが、こいつをどうにかしたとて、洗脳された者たちの洗脳が解ける保証はない。すかさず、多摩や対馬の洗脳銃を浴びてしまうだろう。ましてや、ハイグレ魔王という親玉らしき者もいるらしい。 パンストの覆面で表情はおろか、目線すらわからない。パンスト兵は黙ったまま、オマルに跨ってこちらを眺めているようだった。 怪しまれぬ様に多摩達に倣ってハイグレポーズを続けていると、パンスト兵がすっと手を挙げてポーズをやめさせる。多摩と対馬はポーズを止めると直ぐに気を付けの姿勢をとったため、ガングートらもそれに続いた。 「ご苦労・・・状況はどうだ?」 「ハイグレッ! 残念ながら、提督の発見には至っておりませんにゃ! 現在、岸壁や工廠のほうまで捜索範囲を広げて捜させておりますので、もう少々で良いご報告が出来るかと思いますにゃ!」 「うむ・・・彼女が敷地外に出ていないことは確かだ。頼んだぞ」 「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」 多摩からの報告に小さく頷いたパンスト兵は、今度はガングートと択捉のほうに顔を向けた。 (・・・バレたか?) 最悪の場合、せめてこの男だけでも始末せねば。そう考えたガングートはいつでも反撃も逃げ出すことも出来るよう、神経を研ぎ澄ませる。 「パンスト兵様!!」 突然、パンスト兵を呼ぶ声が響く。 派遣されてきた駆逐艦の村雨だった。パンスト兵の乗っている物と同型と思しきオマルに乗り、工廠のある方向から文字通り飛んで来た。 「ハイグレ! ご報告申し上げます! 見回り中の提督を工廠内で発見、拘束致しました!」 オマルに乗ったままハイグレを行った村雨が、パンスト兵に報告する。 「よくやった。執務室まで連行しろ、洗脳は俺自身が行う」 「ハイグレ! ハイグレ! ハイグレ!」 「お前たちは引き続き、警備府内の警戒に当たれ。もし未洗脳者が残っていれば即洗脳を許可する」 「「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」」 パンスト兵は提督の執務室のある司令部へ、村雨は工廠の方角へとそれぞれ飛び去っていった。 多摩や対馬とも別れ、ガングートらはようやく二人きりになれた。 「が、ガングートさん、どうしましょう・・・提督が・・・提督が!」 余程怖かったのか、択捉は涙目でガングートに縋りついてくる。 提督が捕まってしまった以上、最早二人で警備府を脱出し他の鎮守府へ応援を呼ぶしかない。提督を見捨てざるを得ない状況なのは択捉にも解っていたが、いつも一緒にこの警備府を切り盛りしていた分、尚更辛いのだろう。 「・・・・・・」 周りには洗脳者ばかり。今まで上手くいっていたとは言え、いつまで誤魔化せるか分からない。 それに警備府外にも、奴らの仲間や協力者が居る可能性もある。電波の弱い無線機などでは、他の鎮守府へ連絡などできない。この状況下で通信施設や電話の使用も、モニターされている可能性が高い。捕まってしまえば、誰がこの危機を伝えるのか。 「択捉、よく聞いてくれ」 片膝立ちとなって目線の高さを択捉と同じにしたガングートは、諭すように優しい口調で話し始めた。 「これから梨香を・・・提督を助けに行くぞ」 「え・・・でも、提督は捕まってしまったんですよ」 「だから奪還する。洗脳がまだなら、その前に助けるんだ」 択捉の涙を手で拭い、出来るだけ優しい口調を心掛けながらガングートは説明を続けた。 ――――――。 ――――。 ――。 執務室では、ここの提督を務める冴島 梨香がハイレグ水着を着た駆逐艦や海防艦らに拘束されていた。 ちょうど夜間の見回り中で、警備府敷地内の端にいたために発見に時間がかかったらしい。 「な、何なのよあなたは?! それにみんなもそんな変な水着着て、どうしちゃったのよ?!」 当然ながら、全身タイツにストッキングを被った男が現ればそういう反応にもなるだろう。 一方のパンスト兵は、そんな梨香の言葉など気にも留めない。 「この警備府はハイグレ魔王様の支配下に置かれる。光栄に思うがいい」 「はいぐ・・・? はぁ?」 「ただ他の部隊に気取られては困るので、明日からもいつも通り業務は続けてもらうがね」 梨香は、言っている意味が解らないという顔だ。 「ばっ・・・バカじゃないの?! そんなストッキング被っちゃってさ。みんなまでそんな格好して、ふざけてるの?! 」 「ふむ・・・あまり手荒な真似はしたくないんだがね」 やれやれといった素振りで、パンスト兵は銃の様なものを取り出す。例の光線銃だった。 だが、梨香はそれがどれだけ危険なものなのか解らないからか、突然突き付けられた玩具の様な銃にキョトンとするばかりだ。 「まずい! 択捉、今だ!」 『はい!』 執務室の外で室内の様子を伺っていたガングートが、小型無線機で合図を送る。 無線機より択捉の返事がするのとほぼ同時に、執務室を含めて司令部全体の照明が落ちて真っ暗となった。屋外に設置されていた配電盤のブレーカーを、合図と同時に落とすよう択捉に言っていたのだ。 ハンカチで作った簡易の眼帯で片方の目を隠していたガングートは、暗くなると同時に眼帯を取って暗闇に慣らしていた方の瞼だけを開いて応接室のドアを蹴破る。 そして、軍帽内に隠し持っていた小型拳銃をパンスト兵に向けて3発撃ち込んだ。 「な、何っ?!」 この間、僅か1秒足らず。 パンスト兵の手にしていた洗脳銃は光を放つことなく、床に転がる。間髪入れず、提督を拘束していた駆逐艦に向けて閃光手榴弾を投げつけた。 「きゃっ!!」 「うわぁっ!!」 咄嗟に洗脳銃を取り出そうとする者も居たようだが、それより先に手榴弾が炸裂した。閃光手榴弾は爆発音と強烈な閃光で対象を無力化することを目的とした、非致死性兵器だ。殺傷能力はないが、一時的に視力や聴力を奪うことが出来る。 隙をついて、ガングートは跪いていた提督の身体を抱きかかえ、そのまま執務室の窓を蹴破って外へと飛び出した。 「なに? なに? 何なの!? が、ガングート?!」 閃光の影響で涙目の梨香が、自分を抱えている者の名を呼んだ。 「無事そうだなっ! 話はあとだ、直ぐにこの警備府から脱出するぞ!」 どこに連中の仲間や協力者がいるか分からない。 警備府の外だろうと、油断できない。 「ガングートさん!」 「よくやったぞ、択捉!」 択捉も無事に合流し、三人は脱出のため車両置き場を目指した。 背後では、慌てる声と共に、事前に仕掛けていた閃光手榴弾を流用した時限爆弾やブービートラップの炸裂音も聞こえる。 仕掛けた場所は逃走方向とは真逆なので、これで少しは時間が稼げるだろう。 ――――――。 ――――。 ――。 「・・・ふむ、岸壁から海へ脱出を図るかと思ったが、車両置き場を目指したか」 「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ! ご報告致します。警備府全体を覆うシールドは完璧に作動しており、今回の騒動が外に伝わった様子はございません」 「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ! 警察や自衛隊の無線傍受、通信システムへのハッキングを行いましたが、やはり特段変化はしておりません」 「うん、ご苦労。・・・退屈だからとはいえ、まさかこの様なお戯れをお考えになるとは・・・」 「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ! 全ハイグレ人間に車両置き場を包囲するよう伝達を完了、いつでも行動可能です」 「よし、解った。では、手筈通りお迎えに上がるとしよう」 「「「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」」」 ――――――。 ――――。 ――。 警備府敷地内の岸壁や工廠といった建物とは反対側にあたるエリアに、車両置き場は設けられていた。警備府周辺は深海棲艦の攻撃によって破壊され、住民のほとんどが避難したこともあって夜は灯りもなく寂しい印象を受ける。その為、必要な時しか照明を点けない車両置き場は、ほとんど真っ暗と言って差し支えない状況だった。 以前ならもっと多くの車両を保有していたのだが、海上自衛隊再編に伴ってその大半が他の鎮守府や陸上自衛隊の駐屯地等へと移っていた。それでも最低限の輸送能力は必要という事で、専用の車庫内には数台の輸送用トラックやジープがいつでも使用可能なように整備がなされていた。 事前にジープの鍵は拝借していたので、エンジンを掛ければ直ぐに逃げ出せる。 幸い、予算不足もあって車両置き場からゲートまでの間に、車止めなどの障害物は設置されていなかった。また、閃光手榴弾によるトラップのお陰か、周辺に人の気配はない。 それでもガングートは周辺の警戒を怠らず、物陰から物陰へと身を隠しながら慎重にここまでやって来た。 「うーん、まだ目が変・・・」 「提督、大丈夫ですか?」 涙目の梨香を、択捉が気遣う。 梨香の白い制服は汚れ、破れている個所もあったが、梨香自身にケガがなかったのは不幸中の幸いか。 「すまないな、ああいうやり方しかできなかった」 車両置き場にある車庫まであと少しという所で、ガングートは梨香に謝罪した。 「いえ・・・むしろお礼を言わなくちゃいけないわね。でも・・・、あの男は一体なんなの? 他の子達まで一緒になって・・・今でも悪い冗談にしか思えないわ」 ガングートと択捉は、これまで見聞きしてきたことを梨香に説明する。 半信半疑だった梨香も、今自身が置かれている状況を考えれば、信じるしかなかった。 「そんな連中が存在するなんて」 「そうは言うが、私達が戦っている深海棲艦の連中の事だって、未だによく解っていないだろう」 「それも・・・そうね。でも情けない。提督なんて立場に居ながら、捕まるまで気づけなかったんだもの・・・」 警備府のトップの身でありながら、何もできなかった自分自身が不甲斐ない。 そんな落ち込む梨香の気持ちを察してか、勇気づけようと択捉はあえて明るく振る舞った。 「大丈夫ですよ司令! 択捉やガングートさんが付いてます! 三人で脱出して、助けを呼んで、みんなを救いましょう!」 先ほどは不安で涙すら浮かべていた択捉が、精一杯の強がりではあったが梨香を励ました。 「皆を操っているらしい男を射殺したお陰か、連中は混乱している。この隙に乗じれば、ここを脱出する事も難しくない」 「二人共・・・」 「らしくないぞ梨香。貴様はこの警備府の提督だろう? なんなら、この間のお返しに私が指揮官とは何たるかを教育してやろうか?」 「ふふ・・・遠慮するわ。・・・ありがとう・・・ガングート」 涙を拭う梨香の肩をポンと軽く叩いたガングートは、改めて周辺の様子を探ると小型拳銃を手にしたまま姿勢を低くして駆け出す。車庫にたどり着くと、いくつかある電動式シャッターの一つを作動させ、ジープの車高ほどの高さまで上昇させると停止スイッチを押した。シャッターの作動音を聞かれる危険や、全開になったシャッターを見られるリスクを、少しでも小さくするためだ。 更にガングートは念には念をと、車庫内に誰も居ないことを確認してから択捉と梨香に合図を送る。 「ごめんねガングート、やらせてしまって・・・」 「気にするな・・・あったぞ、こいつだ」 ガングートは鍵についた札の番号と車両のナンバープレートの番号が一致する車両を見つけ、運転席側よりアナログ式の燃料メーターを覗き込んだ。 メーターの針はEとFの中間より少々E寄りを指してはいたが、逃走には十分な量だ。車両自体も整備されたままの状態で、壊されたりはしていないようだった。 「ガングート・・・」 「なに、我らは同志ではないか。必ず警備府を奪還するぞ」 そうだ。 ここを脱出し、他の鎮守府や泊地へと連絡をとる。そして体勢を整えて、速やかに警備府を奪還するのだ。 洗脳されてしまった海防艦らを元に戻して、すべての元凶であるハイグレ魔王という親玉を倒さなくてはならない。 そんな決意を新たにしたガングートは、手を一旦止めて、目線をメーター類から車体後部側に立っていた梨香へと向けた。 「・・・えっ?」 そこには、洗脳銃をこちらに向けている梨香が居た。 「ホントに、ごめんね❤」 再度謝った梨香は、何の躊躇もなく笑顔で引き金を軽く引いた。 「おひょひょひょひょひょおおおおおぉぉぉぉぉっっっっっ!!!!!」 全くの無抵抗で、至近距離からピンク色の光線をガングートは浴びてしまう。間抜けな悲鳴を上げながら、両手足を大きく投げ出したガングートの身体をピンク色の光が球体となって包み込んでいった。 「く、くそ・・・浴びてしまった! り、梨香! これはどういう事だっ!!」 元々水着を着ていたこともあって、ガングートの姿に外観上の変化は見られない。 また、両手を投げ出した拍子に手にしていた小型拳銃は落としてしまっていた。 が、拳銃を拾うことも、ましてや逃げ出すこともガングートにはできなかった。変化は既に内面で起こっていたからだ。 「ぐっ・・・身体が・・・?!」 ガングートの身体は鉛に置き換わってしまったかの様に重くなり、思うように動かすことが出来なくなっていた。 「さぁ、ガングート、ハイグレをしなさい」 「は? 誰があんな・・・あ、なんだ!?」 梨香の言葉に反応し、動かすこともままならなかったガングートの身体はキビキビと動き出し、一度気を付けの姿勢をとる。そして先ほど何度もやったように、腰を大きく落とし両足を自身の肩幅以上に広げた。 「い、嫌だっ! 誰があんな無様なっ・・・あ、ああ、は、ハイグレっ! ハイグレっ! ハイグレっ!」 口では拒否を示しても、身体はぎこちなく、だが確実にハイグレポーズを敢行する。 大きく腰を落とした状態から、自身のVライン上を両手で一気になぞり上げた。 「ハラマキレディ様! 手筈通りでございます!」 「ホホホ・・・、ご苦労でした」 不敵な笑みを浮かべた択捉が、ガングートと梨香の前に立った。 「択捉・・・!? いや・・・、貴様は誰だ?!」 いつもとは違うその怪しげな笑みと態度、そして雰囲気に、目の前の少女が択捉ではない誰かだとガングートは直感する。 「フフッ・・・」 ハイレグ水着姿の択捉の身体が、テレビの画面が乱れた時のようにザザザ…と歪む。それは徐々に大きくなり、身体全体が覆われたかと思えば、ガングートや梨香の身長と同じくらいの大きさまで広がっていく。 「はじめまして、ガングート」 姿を現したのは、腹巻をボディコンのように着た、髪の長い女。 だが、その肌は青く、一目で人間ではないと示している。 緑色の髪は腰まで伸びており、両手と両足にはやはり緑色の手袋とハイヒールブーツを装着している。更にヘッドフォンの様なものを装着し、ピンク色をしたマントすら羽織っていた。 「私はハイグレ魔王軍の幹部、ハラマキレディ。ハラマキレディースのリーダーをしているわ」 「はらまき・・・レディ・・・だと?!」 すると空中に複数の光源が出現し、暗闇から一転して辺りを煌々と照らし出す。 「ハラマキレディ様、ご無事ですか?!」 「ホホホ、ご苦労様」 そして、アヒルの顔のついたオマルの様な飛行体に乗ったパンスト兵が、上空からゆっくりと降下してくる。それに同じくオマルに跨った対馬や佐渡らも続く。 周囲にはいつの間に近づいてきたのか、洗脳銃を手にした駆逐艦らの姿もあった。 「ハイグレっ! くそぅ・・・梨香! ハイグレっ! 騙していたのかハイグレっ! 梨香っ!!」 強制的にハイグレポーズをさせられているガングートは、悲鳴にも似たハイグレコールの合間に助けたかった女性の名を呼ぶ。 が、梨香はそれを無視して自身が来ていた制服を脱ぎ捨てていく。 下にはやはりピンク色のハイレグ水着がその身体を包んでおり、ガングートの隣に立つと自分らの主人をハイグレポーズを繰り返して迎えたのだった。 ――――――。 ――――。 ――。 ハラマキレディが査察の際の拠点として、パンスト兵に警備府の地下へ設けさせた亜空間。そこには宿泊に必要な施設のほか、仕事用の専用デスク、通信用機器なども完備されている。 その専用のデスクにハラマキレディは腰を下ろし、その傍にはパンスト兵とハイレグ水着姿の梨香が控えている。 「くそっ! 貴様には確かに鉛弾をぶち込んでやったはず・・・」 その3人と対面で気を付けの姿勢で立つガングートが、パンスト兵が何食わぬ顔をして立っていることに驚きを隠すことなくそう漏らした。 「まぁ、この私に的確に3発撃ち込んだ腕前は褒めてやろう」 「ふん! そりゃどうも」 射撃の腕には自信があったし、先ほども確かに手ごたえを感じた。身体のラインが出る全身タイツを着用していたことから、防弾チョッキといった類いのものを着用していたとも、ガングートには思えなかった。 しかし、撃たれたパンスト兵には何事もない様子で立っている。 再度眉間に弾丸を撃ち込みたいのは山々だが、ガングートの首から下は一切言うことを聞かない。 「にしし♪ パンスト兵様はハイグレ魔王様のすんごい技術で作られたバリアーを張っているから、ピストルはおろか46センチ砲の直撃もへっちゃらなんだぜ♪」 部屋の壁際に控えるハイグレ人間達、その中の一人で元海防艦の佐渡が、まるで自分の事のようにどや顔で自慢する。 普段、悪戯や嘘をついて揶揄ってくる佐渡の言葉ではあったが、目の前にその証拠が居たのでは否定するのも難しい。 「ホホホ。この警備府は貴女以外既に、ハイグレ魔王様のものだったのよ。残念だったわね。それに・・・」 ハラマキレディが指を鳴らすと部屋の中央、ガングートの目の前に空中投影型のスクリーンが出現する。 「な・・・これは?!」 スクリーンには、ガングートの姿が次々と映し出されていった。画面には演習中、哨戒任務中、警備府内での様子等々ガングートの行動のすべてが映されていった。 「貴女の行動は、こうしてすべて把握していたのよ。そう、最初からすべて・・・ね❤」 ガングート自身、撮影されていたことにはまったく気が付かなかった。場面は進み、遂にはガングートが集会所の中を覗く様子が映し出された。 「これはさっきの・・・?」 画面にはガングートが慌てて廊下を掛けていく姿から、点検用ハッチ内に身を隠すところまでのすべてが記録されていた。 更に場面は移り、先ほどまでガングートらが居た指令所の廊下が映される。画面内には日振の後ろ姿が映り込み、少しして水着姿のガングートと択捉も映し出された。しかも、どのように収音していたのか、音声まで記録されている。 海防艦らの姿を目撃させたところから、全てが仕組まれていたのだ。点検用ハッチ内に択捉が潜んでいたのも、都合よく水着があったのも・・・。 『は、はいぐれっ はいぐれっ はいぐれっ』 『はいぐれ! はいぐれ! はいぐれ!』 『―――おめでとうございます! お二人もハイグレ人間へと転向できたのですね♪』 『あ、あぁ・・・、よろしく頼む、はいぐれっ はいぐれっ』 日振を欺くためとは言え、恥辱に耐えながらがに股になった自身が映し出され、ガングートは目を伏せる。 すると場面が飛び、別の通路が映し出された。 『んじゃあ、こっち側の捜索は任せてくれ! 全てはハイグレ魔王様の為に! ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!』 『わかった! はいぐれ魔王様に栄光を! はいぐれっ はいぐれっ はいぐれっ』 『ハイグレ魔王様、万歳! はいぐれ! はいぐれ! はいぐれ!』 今度は佐渡と出くわした際の様子だ。 三人が同じハイレグ水着を着てお互いに向き合い、腰をくいっくいっと振って両手を上下させている。 「いやぁ、この時はガングートさんのハイグレが下手くそ過ぎて、笑わない様に我慢するのが大変だったぜ♪ ・・・ぷぷっ♪」 「ふふふっ! ホント・・・なんて無様なハイグレ・・・くすくすくす!」 「はははは! こんなの見せられたら、あたいだったら我慢できなかったかも・・・ぷぷぷっ!」 先ほどのガングートの姿を思い出してか、佐渡は笑いを堪え切れない様子だ。それに釣られて、同じく壁際に控えていた日振や大東ら、他の者たちも笑い出す。 ガングートにしてみれば彼女たちの行うハイグレポーズと自身が真似て行ったものと、どう違いがあるのか理解できない。ましてや、無様などと言われても何がどうおかしく見えるのかすら解らなかった。 「貴様ら! 私の無様な姿が見れて、そんなにおかしいのか!」 それでも、自分に対して向けられる侮蔑した様な態度に、ガングートは怒りを隠さなかった。あんな屈辱的な恰好をしたのは、他ならぬ佐渡らに手を掛けずに済むようにと思ってのこと。それを当の本人たちに侮辱されたのでは、何のためにあの恥辱に耐えたのか分からない。 「ホホホ・・・でもいい暇つぶしになってよかったわ❤」 「ひ、暇つぶし?!」 「査察なんて言ってもこの星は問題なさ過ぎて、退屈していたところだったの。この星と我が軍との戦力差・技術差は明らかだもの、まぁ当然と言ってしまえば当然よね。・・・でも、貴女との逃走劇、それなりにスリルがあって楽しかったわ」 暇を持て余していた。 そんな身勝手な理由で年端もいかない少女たちを洗脳し、人前で着ることをためらう様な卑猥な水着を着させる。 そして自分自身すら・・・。 ガングートの怒りのボルテージは、一気に上昇した。 「ふざけるなっ!! そんな理由のために、あの子たちをあんな姿にしたのかっ!? 狂ってるっ!!」 目の前の異星人の女に、ガングートは敵意を剥き出しにした。 それは海戦で深海棲艦に向けていたものとは異なり、あからさまな憎悪や嫌悪感を帯びたものだった。 だが、そのガングートの敵意に満足そうにしたハラマキレディは、立ち上がると両手を後ろに組んでコツコツと歩み出した。 「ところでガングート、貴女のことは調べさせてもらったわ。戦艦として、そして兵士としての戦闘能力。祖国のためならば、例え仲間であっても排除する覚悟と意思。気質、素質は申し分ない。だからこそ、貴女は一人でここから脱出を図るとふんだのだけれど・・・」 スクリーンの場面が再び切り替わり、今度はガングートが対馬や多摩と出会ったところだ。画面の中のガングートは、択捉と別れると執務室へと向かってハイレグ水着姿で駆け出していった。 「だから試してみたの。他の者を排除し、この警備府からの脱出を最優先させると思ったのに・・・」 言いながらハラマキレディはガングートの前に立つと、彼女の顎に手を当ててくいっと顔を上向かせた。 「いくら戦艦と言えど、やはり情でも湧いたのかしら?」 「汚い手で私に触れるな!!」 そう叫ぶと、ガングートは唾を吐き付けた。 「貴様らの言いなりになど、なるものか! さっさと殺せ! ソビエト軍人の死に際を見せてやる!!」 ハラマキレディの頬を、ガングートの放った唾が滴り落ちる。 「は、ハラマキレディ様っ?! ガングート! 貴女なんてことをっ!!」 「ふふ・・・、気にしなくていいわ」 ヒステリックな悲鳴を上げた梨香を、ハラマキレディが制止する。 「ますます貴女の事が気に入ったわ、ガングート。その威勢の良さに免じて、最後のチャンスをあげようと思うの」 「チャンス・・・だと?」 「今からここでハイグレポーズを10回やりなさい。10回無事にやり遂げたら、私たちはこの星から去るわ。もちろん、他の子達の洗脳は解いて、ね」 「あのポーズを、たった10回・・・? いや、信用できるものか! そうやってまた私を晒しものにする気だろう!」 「ホホホ❤ でも、今の貴女は手も足も出ないのよ? 可能性がある方にかけた方がいいと思うわ?」 「くっ・・・」 少しの沈黙のあと、ガングートは口を開いた。 「・・・本当だな?」 「約束は守るわ、妨害もしない。それに私がこの賭けに敗れたとしても、侵略予定・候補の数千の星のうちの一つを失うだけ。わが軍にとって、星間飛行すら満足にできない星の一つを失ったところで、正直痛くもかゆくもないの・・・どうかしら?」 再び、ガングートとハラマキレディの間に沈黙が訪れる。 「・・・わかった、やろう」 残念ながら、ハラマキレディの言う通りだ。 身体の自由が奪われた孤立無援の状況下で、ガングートに与えられた選択肢はなかった。敵を信用するしかないのが苦々しい限りだが、ガングートは腹をくくる。 「そうこなくっちゃね❤」 嬉しそうにハラマキレディが指をパチンと鳴らすと、気を付けの姿勢を続けていたガングートの身体は自由になった。また、壁際に控えていた海防艦らが円になってガングートを取り囲む。 (たった10回・・・10回の我慢だ・・・待っていろお前たち・・・) 直ぐにでも目の前の異星人を射殺してしまいたい気持ちを抑え、ガングートは先ほど何度もしていた様にがに股となった。 一呼吸おいて、ガングートは股間のVラインに沿えた両手を一気に引き上げ、あの卑猥なポーズを開始する。 「ハイグレ! ・・・んおおっ❤?!」 最初のハイグレをした直後、両手でなぞった股間からガングートの全身を快感が駆け巡った。 (な? なんだ今のは?!) 「ほらほら♪ 休んじゃ駄目よ?」 「う、うるさいっ!! ・・・ハイグレんひぃっ❤❤!!」 ガングートが再び両手を引き上げると、再度股間から快楽が全身を舐めていった。 (くそっ! やはり何もない筈がなかったか!) 正直なところ、妨害がないわけはないとガングートも覚悟していた。しかし、がに股で両手を水着のVライン上を上下させただけで、自慰行為など比べ物にならない快楽に襲われるなど思ってもいなかった。 (あ、あの光線にこんな効果もあったのか? だが耐えてみせる! こんなことに屈す私ではない!) 「ハイグレっおほぉっ❤❤❤!!! ハイグレお゛お゛お゛っっっ❤❤❤❤!!!! ハイグレえぇぇぇっっっ❤❤❤❤❤!!!!!」 シュッと両手を引き上げる度に、ガングートは惨めにも嬌声を上げてしまう。耐えようにも、回数を重ねる度に身体を舐めていく性的快楽はどんどん強くなり、身体は素直に反応していった。 拷問に耐える自信はあったガングートだが、性的快楽への耐性など皆無。ハイグレポーズを繰り返すたびにみっともないアへ顔を晒し、嬌声も大きくなっていく。 (頭が・・・意識が・・・だ、だが・・・あと5回!) 「ふーっ❤ ふーっ❤ はっ❤ ハイグれぇぇっっっ❤❤❤❤❤❤!!!!!!」 (気持ちイイ・・・くそっ! 耐えるんだ! あと4回っ!!) 「ふひーっ❤ んひーっ❤ はいぐっ❤ っほぉ❤ ハイグレッ❤❤❤❤❤❤❤!!!!!!!」 (ハイグレ気持ちイイ❤ ち、違う!! あと3回! あと3回で皆を・・・っ!) 「ほぉっ❤ んほぉ❤ んんっ❤ は・・・❤ は・・・ハイグれぇぇっっ❤❤❤❤❤❤❤❤!!!!!!!!」 (あと・・・あと・・・2? いや3・・・回?) 「うほっ❤ うほぅ❤ んっふぅ❤ ハイ・・・ハイグレッ!! ほおおおぉぉぉっっっ❤❤❤❤❤❤❤❤❤!!!!!!!!!」 9回目のハイグレポーズをやり終えたタイミングで、ガングートは盛大に潮を吹いた。水着越しながら、透明な液体を辺りにまき散らす。そして、がに股の姿勢からストンと尻もちをついたかと思うと、そのまま仰向けに倒れ込んでしまった。 その姿は地面でひっくり返ったカエルのごとく、股を広げたみっともない姿を白目をむいたアへ顔と共に、助けようとした者たち、敵意を剥き出しにした者たちに晒したのだった。 「なかなか頑張ったじゃない♪ でも、残念だったわねガングート❤ まぁ、洗脳光線を浴びた状態でハイグレポーズをすれば、例え10回やり遂げたとしても無事でいられるわけはないのだけれど❤」 そう言うとハラマキレディはパチンと指を鳴らす。すると天井から筒状の光が下りてきて、ピクピクと痙攣し、舌を垂らしたまま倒れたガングートを包み込んだ。横たわったガングートの身体は、そのままエレベーターで運ばれるように地面へと沈むように消えていった。 「さぁお前たち❤ 約束通り、今日は可愛がってあげるわ❤ 下に降りて“解して”なさい❤」 「「「「「ハイグレッ ハイグレッ ハイグレッ」」」」」 両手をパンパンと叩き、ハラマキレディは壁際に控えていた元艦娘たちに命ずる。それを聞いた日振たちはハイグレポーズを行うと、皆嬉しそうに光の筒へと入り、ガングートと同じ様に地面の下へと消えていった。 「ガングートの仕上げはこの私が行います。地上の事は任せましたよ」 くるっと後ろを向いたハラマキレディは、部屋に残ったパンスト兵と梨香を呼びつける。 「ハイグレッ! 畏まりました」 「ハイグレッ! 後始末はお気になさらず、お楽しみ下さい」 パンスト兵と梨香が真面目な表情でハイグレポーズをした。その言葉を満足げに聞いたハラマキレディは、自身も光の筒の中へ歩みを進めるのだった。 ――――――。 ――――。 ――。 警備府地下に設けられた亜空間。 その空間の中で、最も下層に位置し、最も多くの面積を占めるのがプレイルームだった。 プレイルームの中央には、キングサイズの丸いベッドが置かれ、そのほか大小様々なサイズのソファーやテーブル、ポールダンス用ステージ、各種拘束具・性具などが備え付けられていた。 「ああぁぁあぁぁぁ❤ 大東ぅ❤ おまんこ気持ちいいよぉ❤」 「日振ぃ❤ 日振ぃ❤ イクっ❤ イクっ❤ イクぅうぅぅぅぅ❤」 「んい゛い゛い゛い゛い゛い゛っっっ❤❤❤ またアクメゅりゅうううぅぅぅぅぅっっっ❤❤❤」 「あ❤ あ❤ あ❤ あ❤ あ❤ あ❤ アナル気持ちいいよぉっ❤ もっとほじってぇ❤」 「お゛お゛お゛お゛ぉぉぉぉぉっっっ❤ イ゛グぅぅぅぅっっっ❤❤❤」 そのプレイルームのソファーの上で、壁際で、器具の上で、身体をねちっこく絡め合ういくつもの影。元艦娘、今はハイグレ人間となってハイグレ魔王への忠誠を誓う雌たちが、お互いの性器を擦り合わせたり、愛撫しあったりと思い思いの体位やプレイでレズセックスに興じていた。 ほぼ全員が元駆逐艦や海防艦という事もあって、性交渉とは無縁そうな幼い顔つきながら、表情は発情していることが一目で判るほど蕩けている。 だが、そんな中にあって中央に置かれたベッドは誰も使うことはない。そこはハラマキレディの許しがなければ近づくことの出来ない、ある種の聖域だったからだ。 その聖域のベッド淵にハラマキレディは腰かけ、その横にはガングートが気を付けの姿勢で立たせられていた。先ほどの絶頂から自力で立てるまでには回復したものの、股間部分は濡れて大きなシミになっており、その整った顔も涎や涙で綺麗とは言えない状態だった。 「日振・・・大東・・・みんな・・・」 ガングートも知らないような性具やテクニックを用いて、幼い娘達がよがり合う。自身が守りたかった、しかし守ることの出来なかった幼い雌たちの宴を、ガングートはただ見ていることしかできない。 そんな絶望的で背徳的な状況も、ロシアの極寒の大地のごとくハイグレなど寄せ付けまいと閉ざしていた心に、少しづつ綻びを作っていく。 「ホホホ❤ 貴女もあんな風によがらせてあげるわ?」 「な?! だ、誰があんなっ!!」 ガングートは口では否定するが、その内面の変化をハラマキレディが見逃すはずがない。 「大丈夫よ、貴女を立派な雌奴隷にしてあげるわ、私の手でね❤」 ハラマキレディが指をパチンと鳴らすと、天井からベッド横に円柱状の光が伸びてくる。 そして光の柱が床まで到達すると、光の中にがに股の姿勢を維持した見知った顔の少女が姿を現した。 「あ・・・❤ あぁ❤ ハラマキレディ様ぁ❤ 酷いですよぉ❤ 択捉だけ作戦に参加させて下さらないばかりか、ハイグレも禁止だなんて・・・❤」 「え、択捉?!」 姿を現したのは、バイザーの様なもので頭部を覆われた本物の択捉だった。 ピンクのハイレグ水着姿で自身の涎で胸元にはシミが出来ており、秘部を覆う布から内股に掛けてはお漏らしでもしたかのようにびしょびしょに濡れている。 バイザーで目から上が隠されているが、頬は赤く染まり、物欲しそうに口をパクパクさせていた。 「択捉! 私が解るか! おいっ!」 「無駄よ、聞こえはしないわ。朝から“おあずけ”させてるから、頭も身体も発情期の雌のごとくピンク色。もう交尾することしか頭にないでしょうね❤」 そう言いながら、ハラマキレディは空中に表示させたコンソールを操作し、択捉のバイザーを外した。 「あ・・あぁ・・・❤ あっ❤ ハラマキレディ様❤」 「待たせて悪かったわね、択捉。早速だけど、この子に奉仕してあげて欲しいの」 主人の命令を受け、パァっと択捉の表情が明るくなる。 「ハイグレ❤ ハイグレ❤ ハイグレ❤ お任せ下さいませ❤」 ガパッと両足を開いて忠誠のポーズをハラマキレディに捧げた択捉は、いそいそとガングートの下に歩み寄ると両膝をついた。涎を垂らしたままの択捉の顔面は、丁度気を付けをしたガングートの股間を正面に膝立ちの姿勢となる。 ガングートが間近で見た択捉の表情は蕩け、最早少女のしていい顔ではなかった。瞳は微睡み、ガングートの姿は映ってはいない。 「失礼しますね❤」 相手がガングートだと解らないのか、解っていたとしても主人の命令に忠実なのか、択捉は何の躊躇もなくガングートの秘部を辛うじて隠していた水着の布を丁寧に横に退かした。 「択捉っ! 止めろっ! 私が解らないのか?! おいっ!! そんなことしては駄目だっ!! 目を覚まsオ゛オ゛オ゛ッッッ❤❤❤」 当然の様に制止を無視した択捉は、突き出した舌でガングートの淫豆をこねくり始めた。 舌先で丁寧にクリ皮を剥き、くりくりと円を描くように刺激する。かと思えば、舌の表面で優しく撫でる様に擦る。膣口には手を出さず、ガングートの未開発のクリトリスだけを集中的に可愛がっていった。 気を付けのまま動くことの出来ないガングートは、択捉を引き離すことも腰を引いて逃れる事も出来ない。 「え❤ えとろ・・・ふっ❤ んひぃっ❤ よ、止せぇ❤ ふぅっ❤ やめろぉ❤」 先ほどのハイグレポーズによるハイグレアクメにより、ガングートの身体は既に敏感な状態であった。 加えて、部屋の至る所で行われるハイグレ人間たちのレズセックスによって、室内には雌の愛液や汗の匂いが充満している。それには僅かながら、ハイグレ人間特有のハイグレ粒子が含まれている。ガングートは知らず知らずのうちに、それらに身体の内側から浸食されていたことから、幼い少女の攻めにガングートは情けない悲鳴を簡単に上げ始めてしまったのだった。 「ホホホ、中々可愛い声を上げるじゃない。択捉、イかせなさい」 ハラマキレディの指令を、択捉は迷うことなく実行へと移した。 散々こね回しピンッと勃起させたガングートのクリトリスを、択捉は前歯で甘噛みしたのだ。 「――――――――――――ッッッッッッッッッ❤❤❤❤❤❤❤❤❤!?!?!?!?」 ガングートが声にならない悲鳴を上げた直後、択捉の顔面目掛けて盛大に潮をぶちまける。 気を付けの姿勢でありながらビクンビクンと身体を震わせたその様から、択捉のトドメで絶頂してしまったのは明らかだ。 「よくやったわ」 「ハイグレッ❤ ありがというございます❤」 上半身をガングートの愛液まみれのまま、択捉はハラマキレディへハイグレを捧げる。 「はーっ❤ はーっ❤ はーっ❤」 一方のガングートは気を付けの姿勢をしてはいたが、足はがくがくと震え、既に満身創痍の状態であった。 誰にも見せたことのなかったアクメ顔を、自分より幼い駆逐艦や海防艦、今日会ったばかりのハラマキレディの前で無様に晒してしまったのだ。 しかし、身体の自由が利かず顔を隠すことも、逃げだすことも、見ないで欲しいと懇願することも敵わない。 「幼い娘にイかされて、ホント無様ねぇ❤」 「あ・・・❤ あぐ❤ だ、黙れぇ・・・❤ だまれぇ❤」 絶頂によって緩んだガングートの思考は、ハイグレ人間に相応しいそれへと書き換えが進行していった。だが、まだ残る艦娘としてのプライドが、彼女に抵抗の意思を繋ぎ留めさせる。 「ホホホ。それでも抵抗しようとするのは立派よ、ますます気に入ったわ。そんな貴女が雌へと堕ちる姿は、さぞ素敵でしょうね❤ ・・・さぁ、いらっしゃい❤」 ハラマキレディの命令により、ガングートの身体は動き出す。足元がおぼつかない様子だが、そのままハラマキレディの左隣に腰かけた。 「あぐっ・・・くそぅ! 止めろぉ・・・私に触れるなっ!」 「ほらほら、抵抗しないの❤」 ハラマキレディはガングートの太ももに手を這わせる。 それはガングートの濡れてシミが出来たハイレグ水着をなぞり、優しくその秘部へと滑り込んだ。 「お゛ん゛っ❤」 択捉に弄られたクリトリスを、指の腹で擦られる。 既に敏感になっていた部位を再度刺激され、ガングートは又しても嬌声を上げてしまった。 「さぁ、自分だけ気持ちよくなってないで、私も気持ちよくしてもらおうかしら?」 そう言いながら、ハラマキレディは誘うように両足を少しだけ開く。 誰がそんなことするか、と拒否したいのだが、ガングートの右手は言われるがまま、ハラマキレディのボディコンと両太ももの間へ侵入していく。 程なく、指の先が柔らかいものに触れる感触。 が、それは円柱状で温かく、柔らかい触感だった。 「フフフ・・・どうすればいいのか、今の貴女には既に判るはずよ」 戸惑うガングートに、ハラマキレディは耳元で今触れているものを扱く様に命じた。“それ”を上下に扱くと、その柔らかい感触は熱を帯び、徐々に固く、肥大化していった。 「ひっ?!」 そしてそれは、太ももの間から自身の存在を主張するようにそそり立った。 「そうそう、その調子よ❤ 貴女を可愛がってくれるチンポに、しっかりと奉仕なさい❤」 女性にはない筈の男性器が、ハラマキレディの秘部から生えていた。 経験のないガングートには分からないが、ハラマキレディのそれは一般的な成人男性のものよりかなり太くて長い。亀頭の部分はカリ高でパンパンに膨らんでおり、竿も血管が浮き出て、ビクンビクンと脈打っていた。 当然ハラマキレディはこの星では宇宙人に当たる訳だから、女性の様な容姿をしているからと言って、生殖器までも地球の人間の女と同じとは限らない。 しかし、そんなことは今のガングートには関係のないことだった。 自らの手の中で肥大化した肉棒が、これから行われるであろう行為の中で、自分が大事に守ってきた部分を貫く。そんな未来を想像して、ガングートは一気に青ざめた。 「や、やめてくれっ・・・こんなもの・・・入る訳がない・・・」 右手でそそり立つ雄の象徴を扱きながら、唯一自由にできる口で拒否の意思を示す。 が、それも直ぐに叶わなくなった。 「それなら最初は、たっぷりと貴女のお口にハイグレザーメンをぶちまけてあげる❤ さ、しゃぶって頂戴❤」 命令に従い、ガングートはハラマキレディの下腹部へ顔を近づける。一言二言悲鳴を発したが、抵抗する事も出来ず、反り返ったチンポを頬張った。 (あ、熱い! それになんてニオイだ! こ、これが雄の・・・ニオイ?) 思考では拒否しても、身体はハラマキレディの命令を忠実に遂行する。 そそり立つペニスを一気に喉奥まで咥え込み、頬を窄めて吸い付く。暑い雄を喉で感じながら、喉壁でゴリゴリと亀頭とカリ部分を擦っていった。 そして、間近で嗅ぐ雄のニオイは、ガングートの抵抗の思考を徐々に崩していく。 「あああああっ❤ やっぱり初物喉まんこはイイわぁ❤ あっ❤ あっ❤ 初めての口の中を無遠慮に穿るの最高❤❤ あ゛あ゛あ゛ぁぁぁっっっイクイクイクッ❤❤❤」 びゅるるるるるっっっっ❤❤❤❤!!!! ぶぶっっっ❤❤❤!!! ぼりゅりゅりゅりゅっっっっ❤❤❤❤!!!! 「んぶうぅぅうううぅぅぅっっっ?!?!?!?!」 ガングートの腔内で、ハラマキレディのペニスが更に膨らんだ次の瞬間、一気に爆発した。大量に出されたハイグレザーメンは、直ぐに行き場を失ってガングートの鼻やペニスを咥えた口の隙間から溢れ出る。 「ごぼっ! ごぼぼっ! げほっ!! おえっ・・・!」 人間のものとは比較にならない量をガングートの喉奥にぶちまけ、ハラマキレディはガングートの頭を掴んでゆっくりとペニスを引き抜いた。 精液塗れのガングートの顔は、普段の凛々しい姿とは程遠い。口は開いたまま舌はだらしなく垂れ下がり、逆流してきた精液が鼻の穴や口からだらだらと滴り落ちていた。 ザーメンを流し込まれた食道から胃にかけては、まるで溶けた鉄でも流し込まれた様に熱くなっていた。 (あ・・熱い・・・❤ これが・・精液・・・❤) 「ホホホ❤ 雌として奉仕するのはどう?」 「ち、ちくしょう・・・おえっ・・・こ、こ・・・ろせぇ・・・」 「まだそんなこと言って・・・しょうがないわねぇ❤」 ハラマキレディは、再び指をパチンと鳴らす。 今度も天井から光の柱が伸びてきて、指を鳴らしたハラマキレディの手の平を照らした。 光の柱が消え去ると、その手には拳銃の様な物体が握られている。 遂に殺されるのか・・・こんな無様な姿をもう晒さなくて済む・・・。 それを見たガングートは、朦朧とした意識の中でも覚悟を決める。 だが、ハラマキレディはその銃をガングートではなく、傍らに控えていた択捉へと向けた。 「・・・な?! よ、止せっ!!」 「安心なさい❤ 害はないわ❤」 ハラマキレディが引き金を絞ると、発砲音はしなかった。 銃口から無音の黄色い光が放たれ、択捉の下半身を照らす。すると、その何もない筈の股間部分の水着の布が、徐々に膨らみを持ち始める。 「肉体改造光線銃よ❤ これで、私の様に女の身でありながら男の快楽も味わうことが出来るわ❤ 外見だけじゃないのも、証明済みだからわかるでしょ❤」 「ハイグレ❤ ハイグレ❤ ハイグレ❤ ハラマキレディ様❤ ありがとうございます❤」 択捉の水着の布を押し返しているのが何なのか、嫌でもガングートには察しがついた。 「択捉、貴女に初アナルは譲ってあげるわ。この子にチンポの素晴らしさを教えて上げなさい」 「ハイグレ❤ ハイグレ❤ ハイグレ❤ 畏まりました❤」 ハラマキレディはガングートの手を引くとベッドの中央で仰向けとなり、その上へガングートを導いた。既にガングートの身体は愛液や自身の精液でドロドロだったが、ハラマキレディは気にしていないようだ。 「はぁ❤ はぁ❤ あ、アナルまんこ❤ 初物アナルまんこ❤」 抵抗の出来ないガングートの腰を、後ろに回った択捉が両手で押さえる。 その女性らしい丸みを帯びていながら、決して無駄なものが付いていないガングートの尻に、択捉は自身に生えた可愛らしい男性器を露出させてこすりつけ始めた。 「やめろ択捉! 目を覚ませ! お、お願いだ!」 ガングートの懇願をやはり無視し、その綺麗な菊門に択捉は集中的に生えたばかりの逸物をこすりつけ始める。ハラマキレディのものとは比べるべくもない可愛らしいチンポは、それでも徐々に固くなっていった。 が、そんな小さいチンポにさえ、洗脳が進んでいるガングートの身体は反応し始める。 菊門は緩み、入り口はここだと言わんばかりに誘い始めるのだ。 完全に勃起しても10pにも満たない択捉の子供チンポも、先走り汁を垂らし始めそれが潤滑油の役割を果たして、菊門を舐るストロークは徐々に間隔を狭めていった。 「あんっ❤ んひっ❤ や❤ 止めろ❤ んっ❤」 「可愛い声出す様になったわね❤ 択捉、貴女のチンポをこの子に味あわせてあげなさい❤」 「ハイグレ❤ それでは、失礼します❤」 択捉の子供チンポが、ガングートのアナルを捉える。 抵抗は声ばかり。ガングートのゆるゆるアナルは、徐々に侵入してくる子供チンポを優しく迎え入れていく。 「お゛っ❤ お゛っ❤ お゛っ❤ お゛っ❤ お゛っ❤ お゛お゛お゛ぉぉぉっっっ❤❤❤」 「はぁぁぁぁああああ❤❤❤ あったか〜い❤」 繋がった二匹の雌が、甘い嬌声を上げ悶えた。 緩くなったアナルに、子供チンポはほぼ無抵抗で根元まで侵入を果たす。そんな小さな雄に、ガングートのアナルは雌として奉仕を始めてしまう。 淫靡な水音と共に、リズミカルな肉と肉が当たる音が響き始めた。 「んひっ❤ ・・・んっ❤ ・・・う゛んっ❤ ・・・ふっ❤」 「ひぃ❤ ひぃ❤ んひぃ❤ 腰止まんない❤ 腰止まんないっ❤❤ チンポしごかれるっ❤❤ ハイグレ人間ザーメンッ❤❤ 搾り取られるぅっっっ❤❤❤」 幼い少女が、獣の交尾の様に腰を振る異様な光景。しかも組み伏せられているのは、明らかに大人な女性。 その女性の表情は、羞恥と絶望と快楽が混ざり合ってぐちゃぐちゃだ。択捉を払いのけることも逃げだすことも出来ず、嬌声を上げぬ様に声を堪えることが唯一出来る抵抗だった。 「お゛❤ んお゛❤ んお゛❤ ハイグレふたなりザーメンッ❤ 上って来るぅ❤ 出ますっ❤ お゛っ❤ おおおっ❤」 肌を打ち付ける音と淫靡な水音の間隔が、どんどん短くなっていく。 突かれる度に頭の中をかき回されるような快楽に襲われながら、ガングートは択捉の限界が近づいていることを悟った。無論、悟ったところで、どうすることも出来ないのだが・・・。 「いぐっ❤ いぐっ❤ いぐいぐっ❤ハイグレザーメン❤ アナルまんこにっ❤ 出ますぅっっっ❤❤❤!!!」 獣の交尾の様に腰を激しく打ち付けていた択捉のストロークが突然止まり、ガングートの尻に密着させたままブルブルっと腰を震わせる。 びゅるるるるっっっびゅるるるっびゅびゅっっっっ❤❤❤❤ 「お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っっっっっっ!?!?!?!?!?!?❤❤❤❤❤❤❤❤」 択捉の子供チンポが、ガングートの中で白いマグマを放った。 身体の内側で広がる熱い脈動の感覚は、今のガングートには強烈過ぎた。舌を突き出し、白目になりながら雌の咆哮を上げる。 「ホホホ❤ 貴女のイキ顔、とっても素敵よ❤」 ガングートは身体の力が抜けたのか、自身の下にいるハラマキレディにしなだれかかってしまった。自分の胸元に顔を埋め、肩で息をしているガングートの頭を、ハラマキレディは優しく撫でた。 「どう? 雌の最高の悦びはチンポを突っ込んでもらう時、チンポに満足してもらう時だって解るでしょう?」 「はぁ・・・❤ はぁ・・・❤ こ・・・こんなことで・・・私の心は・・・」 身体は満身創痍。涙や涎でぐちゃぐちゃの呆けた顔をしていても、ガングートはうわ言の様な抵抗の言葉を吐く。 だが、最早ガングートの心は、踏めば容易く割れる薄氷と同じだった。 「あなたは“女”なのよ❤」 「違う・・・私は戦艦・・・だ」 それでもなお、ガングートは“艦娘”という存在意義に縋ろうとする。 「ふふっ♪ なら、どうしてここをちゃんと処理しているのかしら? 戦艦なら、こんなことをする必要はないでしょう?」 動けないガングートを優しく撫でながら、もう一方のほうの手をガングートの秘部へと這わせる。愛液や択捉の唾液で濡れていたが、そこは綺麗に処理されていた。 「そ・・・それは・・・」 「指先や爪も綺麗に手入れしてあるし、海に出ている割には髪や肌も傷んでないわ❤ 手入れを怠っていない証拠ね❤」 ガングートの耳元に優しい言葉を掛けながら、その銀色の長い髪の毛を手ですいた。 「貴女は戦艦じゃない、女なのよ❤」 「わ・・・たしは・・・戦艦ガングートだ・・・女では・・・ない・・・」 ガングートの否定の言葉を更に否定するように、女性らしい丸みを帯びたその身体をハラマキレディは優しく抱きしめる。 「怖がる必要はないわ、自分に素直になりなさい❤ 雄の象徴を咥えた時、身体を貫かれた時、熱い精液を浴びた時、貴女には答えが出ていたはずよ?」 「・・・・・・」 ハイグレ洗脳、そして度重なる快楽で頭の中をかき回されたガングートに、真面な思考はできるはずもない。ハラマキレディはまるで子供をあやす様な口ぶりで、優しい言葉をガングートにかけていく。 「・・・貴女達のを見ていたら、またこんなになってしまったわ❤」 「んひっ?!❤」 答えに詰まるガングートに催促するかの様に、ハラマキレディは再び膨張し反り返った逸物をもたれ掛かったガングートの身体に擦り付けた。 びくりと身体を震わせたガングートは、慌てて両手をベッドについて上半身を持ち上げる。 「・・・・・・❤」 「はぁ・・・はぁ・・・」 聞こえるのは、ガングートの粗い息遣いのみ。 再び沈黙が二人を包んだ。 「・・・あ・・・わたし・・・は・・・」 先に口を開いたのは、ガングートだった。 左手で上半身を支え、もう片方の腕は自身の下腹部へと伸びでいた。 (戦艦と雌・・・) 伸びた手が熱い肉棒を捉える。 (どちらが幸せなのかなんて・・・) そのパンパンに張った亀頭に、手で優しく触れる。 (そんなの・・・決まっている・・・) そして、その熱い雄を、だらしなく涎を垂らす自身の雌の部分に当てがった。 「はぁ❤ はぁ❤ はぁ❤ ・・・あ、わ、わた・・・しは・・・」 抵抗が嘘のように、最後はあっけないほど簡単に、そのままガングートはストンと腰を落とした。 「んはああああああっっっっっっ❤❤❤❤❤❤」 破瓜の痛みなど無かった。ハイグレ洗脳、択捉による愛撫もあって、ガングートの膣は容易くハラマキレディのチンポを受け入れた。 直後、脊髄を伝って頭まで快感が駆け抜けていく。 「おほ❤ んほ❤ おぉっ❤!」 初めての余韻に浸る訳でもなく、直ぐにガングートはじゅぽじゅぽと腰を上下に振り始める。それが新たな快楽を生み、更に腰を振らせた。 「いいわガングート、その調子❤ ハイグレ人間の雌はチンポに奉仕することこそが、存在意義なのよ❤」 「はいっ❤ ハラマキレディ様の仰る通りですぅ❤ お゛っ❤ お゛お゛っ❤ チンポ気持ちいいですぅ❤」 ガングートは騎乗位の体勢へと移り、ハラマキレディのふたなりチンポで自分の膣を掘り返すように、何度も腰を振る。 「申し開けありません、ハラマキレディ様! 怖かったんです・・・自分の弱い・・・女の部分を他人に晒すのが・・・!」 軍人として、戦艦として期待され、それに応え様と女であることを忘れようとした艦娘としての日々。それが、自分が再びこの世に生を受けた理由だとガングートは思っていた。いや、思おうとしていた。 女として生きれば、きっとまた仲間を、祖国を失ってしまう。 船だった頃の記憶もまた、ガングートを縛り付けたのだ。だからこそ、粗暴に振る舞う様なこともした。 「ふふっ❤ 貴女は女としての幸せを享受する資格があるわ❤ 安心なさい❤ 私が貴女を導いてあげる❤」 真情を吐露するガングートに、ハラマキレディは優しく諭した。 二度目の絶頂が近づき、ハラマキレディはガングートの腰を両手で掴むと、少々乱暴に腰を突き上げる。 「お゛んっ❤ お゛っ❤ 素敵でぅ❤ ハラマキレディ様っ❤ お゛おっ❤ もっとおまんこの奥❤ ほじくって下さいっ❤」 「んくぅ❤ チンポが食いちぎられそう❤」 ガングートの膣はせがむ様に、ハラマキレディのチンポを締め付ける。 それに応える様に、ハラマキレディは突き上げるペースを上げていった。 (あぁ・・・私は今、女として扱われている・・・幸せぇ・・・❤) 抵抗も反抗心もすっかり消え失せ、ガングートは自分の新しい存在理由を理解する。 「さぁ、ガングート❤ 私に貴女の無様なイキ顔をみせて頂戴❤」 それを見計らったかのように、ハラマキレディはふたなりチンポから特濃精子を放った。 ぶびゅるるるるるるっっっっっ❤❤❤❤❤!!!!! ぶりゅりゅりゅりゅっっっっっ❤❤❤❤❤!!!!! 「んあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああああああああっっっっっっっっ❤❤❤❤❤❤❤❤!?!?!?!?!?!?!?!?」 ハラマキレディが絶頂を迎え、ガングートの全身を快楽が駆け抜けていく。完全に思考はハイグレ人間のものへと描き分かり、白目を剥きながら鼻の下を伸ばした無様なアへ顔を晒す。そこに軍人として振る舞っていた頃の、凛々しい姿はもうなかった。 ――――――。 ――――。 ――。 「ハイグレッ!! ハイグレッ!! ハイグレッ!! ハイグレ人間ガングート、洗脳完了致しました!! 艦娘という呪縛から解放して下さったハラマキレディ様に感謝し、ハイグレ魔王様に絶対の忠誠を誓います!! ハイグレッ!! ハイグレッ!! ハイグレッ!!」 絶頂による快感が収まると、ガングートは一転して大真面目な顔でハイグレをしながら洗脳が完了したことを宣言した。ハラマキレディが放った白濁液が膣からあふれ出し、股間から股にかけてテラテラに濡れているが、その表情はどこか晴々としており、先ほどまでのハイグレに対する嫌悪や憎悪といったものは一切ない。 「おめでとうガングート❤」 「ハラマキレディ様! ハイグレの素晴らしさを理解できなかったとはいえ、ご無礼の数々、申し開きも出来ません! どの様な罰も覚悟しております!」 洗脳前の自身の行動を本気で恥て、ガングートはハラマキレディに謝罪する。 「そんなこと気にしてないわよ。これからハイグレ魔王様の為にしっかり働けば、それでいいわ」 「し、しかし・・・、それでは私の気が済みません! 何卒罰をお与え下さい!」 ハイグレ魔王の偉大さ・素晴らしさを理解できない未洗脳時の行いを咎める気など、ハラマキレディには更々なかった。それでも、ガングートは処罰を希望した。完全に思考がハイグレ人間のものとなり、洗脳前とは言えハイグレを侮辱した行いを後悔しているのだ。 「しょうがないわねぇ・・・。なら、今日から私専従のメイドとしてでも、働いてもらおうかしら?」 少し考えた後、ハラマキレディはやれやれと笑いながらそう告げる。 「ハラマキレディ様の・・・専従メイドでございますか?!」 一方のガングートは、思ってもみなかったハラマキレディの提案に驚きを隠せない。 「ハイグレ魔王軍幹部の専従メイドなんて、洗脳されたばかりのハイグレ人間には普通なら任せることはないのだけれど・・・。貴女なら立派にやり遂げる事が出来る、期待していますよ?」 「は、ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ! 私の様な者に勿体ない大役! 必ずやハラマキレディ様のご期待に応えてみせます! ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」 自分を見込んで、自身の手でハイグレ人間へ転向させてくれた大恩人が、自分に大きな期待を寄せている。ガングートはそれだけで胸が一杯になり、心が躍った。 「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ! 凄いです! ガングートさん!」 「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ! おめでとうございます!」 他の元艦娘、今はガングートと志を同じくするハイグレ人間たちがハイグレで祝福する。 「皆、私の為にありがとう! ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ!」 大役にうれし涙すら浮かべたガングートも、ハイグレで答えた。 もう戦艦や海防艦と言った区別はない。皆がハイグレ人間として、ハイグレ魔王の下僕という同じ志を持った同志となった。 「それじゃあ、新しい仲間が加わったお祝いをしましょうか❤」 ハラマキレディが、肉体改造光線銃を日振たちに浴びせていく。 効果は直ぐに表れ、それは自身の存在を主張するかの如く、凹凸のなかった股間部分の水着の布を押し返す。 しかも択捉の様な子供チンポではなく、成人男性ほどのサイズのものが水着の布をずらした横からボロンと顔を出した。加えて、その形は犬や馬など動物のペニスを模したものだったり、人間のものと同形状ながら、ブツブツと突起が無数についていたりと、一つとして同じ形のものはなかった。 「ああっ❤ こんなにブツブツが一杯❤ これでおまんこゴリゴリ擦ったら、直ぐにイっちゃいそうです❤ ハラマキレディ様、ありがとうございます❤ ハイグレ❤ ハイグレ❤ ハイグレ❤」 露出させ、反り返った自身の逸物を嬉しそうに撫でながら、日振は感謝を表した。 「ハイグレ❤ ハイグレ❤ ハイグレ❤ ハラマキレディ様、ありがとうございます❤ ほぉ❤ 馬チンポ❤ はぁ❤ 早くあたいのチンポからハイグレザーメンぶちまけたい❤」 深江は感謝の言葉は言えたものの、堪え切れずに自分で扱き始めてしまう。 「はぁぁぁ・・・❤ ハラマキレディ様、感謝致します❤ ハイグレ❤ ハイグレ❤ ハイグレ❤」 松輪のおとなしい性格とは真逆の、側面に血管が浮き出たカリ高チンポをいきり立たせた。 「あ・・・❤ あぁ・・・❤ チンポが一杯❤」 自身へと向けられる、無数の逞しい雄の象徴。そのすべてが雌である自分を意識して、はち切れんばかりに勃起している。 その光景に満ち足りた様子でいるガングートに、一人の幼い少女が声を掛けた。 「ハイグレ人間への転向、おめでとうございます❤ ガングートさん❤」 先ほどの子供チンポではなく、大きく成長したズル剥け極太チンポを扱きながら、択捉は新しい仲間を祝福する。 「択捉・・・ありがとう❤」 こうして肉欲の宴が再び始り、警備府内最後の艦娘は消え、新たなハイグレ人間が誕生したのだった。 ――――――。 ――――。 ――。 「パンスト兵様より提供頂いた・・・ふぅ❤ リカバリー技術により、警備府内っ❤ の損傷は全て、修復が完了致しました❤」 執務室に備わる、本来は来客の為に用意されたソファに腰かけながら、パンスト兵は梨香からの報告を聞いた。 「そうか、ご苦労。ガングートも無事にハイグレ人間に転向できたようだ」 しかし、梨香の姿はパンスト兵の腰の上にあった。 対面座位の体位でパンスト兵のものに貫かれながら、嬉しそうに腰をくねらせている。 「んっ❤ ハラマキレディ様に直々にっ・・・❤ 転向して頂けるなんて・・・あん❤ ガングートも・・・幸せ者です❤」 ハラマキレディの酔狂に突き合せた褒美と、パンスト兵は後片付けを終えた梨香を抱くことにしたのだ。ハイグレ人間にとって、パンスト兵に抱かれるのは名誉なことであるから、梨香は喜んで腰を振っている。 「貴様たちの協力のおかげで、だいぶ工作活動も進んだ。ハラマキレディ様からの認証も得たし、これからは忙しくなるぞ?」 「ハイグレ❤ お任せ下さいませ❤ 必ずや、ハイグレ魔王様の理想郷実現のため❤ そして、ハイグレの素晴らしさを全人類に理解させるため❤ パンスト兵様がお与えになった役目、やり遂げてみせます❤」 執務室内に響く水音が、徐々に大きくなる。絶頂の予感から、甘い吐息交じりの梨香は腰振りのストロークを速め、主人を最初の絶頂に導いていったのだった。 ――――――。 ――――。 ――。 ハラマキレディのデスクに設けられたモニターの、映像を受信したことを知らせるアラームがなった。 椅子に腰かけていたハラマキレディが空中に投影されたコンソールを指でなぞると、モニターが起動して一人の女性の姿を映し出す。その女性はハラマキレディと同じく青色の肌をしており、腹巻ボディコンを着用したパーマがかった紫髪の持ち主だった。 「リーダー、報告宜しいでしょうか?」 「ええ、首尾はどうかしら?」 その女性に向けて、ハラマキレディは尋ねる。 「はい、無事に調印式を終えることが出来ました。これでブラックホール第三惑星で産出されるスペースチタニウムの85%は我が軍のものです」 「そう、ご苦労様」 「議事録等の詳細は圧縮して転送しますので、ご確認下さい」 ここでモニターに再度、映像受信のアラームが表示される。リーダーと呼ばれたハラマキレディがコンソールをもう一度操作すると、画面に割り込むように別の映像が映し出された。やはり青色の肌をした腹巻ボディコンの女で、今度はオレンジ色の髪をしていた。だが、先ほどとは打って変わり、オレンジ色の髪の女性はかなり疲れた様子だ。 「どうしたの?」 「申し訳ありません。マカオ様とジョマ様がかなり気まぐれな方々で、散々振り回された挙句、こちらは協議継続に留まることになりました」 「ふむ・・・やはり一筋縄ではいかなかった様ね・・・」 「うぅ、中間管理職って辛いですよねリーダー・・・」 与えられた任務中に余程苦労したのだろう、その声はかなり弱弱しいものだった。 「もう、分かったわ、今度の“査察”はあなた達にお願いすることにするから」 「え?! ほ、本当ですか!?」 その言葉を聞いた途端、オレンジ髪の女は目を輝かせた。 「あ、ズルいです! リーダー、是非わたしも!」 話を聞いていた紫髪の女も、話に加わる。 「あーはいはい、分かったわよ。今後の任務の事はハイグレ魔王様に進言しておくから、二人とも今の仕事はしっかりやりきるのよ」 「「ハイグレッ ハイグレッ ハイグレッ」」 正に水を得た魚のごとく、シャキシャキとハイグレポーズを繰り返した二人は嬉しそうな表情を残してモニターから消えたのだった。 「やれやれ、あの子たちにも困ったものだわ・・・」 通信を終了させ、モニターを閉じたハラマキレディは椅子の背もたれにもたれかかった。 すると、今まで見えにくかったデスクの下に、もう一人女性が四つん這いになっている姿が露わとなった。 銀色の長い髪にピンク色のハイレグ水着を着た、ハイグレ人間のガングートだった。 「んっ❤ ちゅるるっっ❤❤ ちゅぱっ❤ ちゅっ❤」 ガングートはハラマキレディの股間に顔を埋め、露出したハラマキレディの女性器に口で奉仕していた。ガングートはハイレグ水着のほか、頭には白いカチューシャ、そしてフリルの付いた丈の短いメイド服を模した、ベビ―ドールを着用していた。 忠誠の証しであるハイレグ水着が隠れない様に透ける素材を使用していることから、メイド服としての実用性は皆無。視覚的なインパクトを重視した、嗜好性の強いコスチュームである。 洗脳前のガングートなら“低俗だ”と吐き捨てたであろう、絶対に身に付けなかっただろうコスチューム。しかし、今は主人が喜ぶなら、望むなら進んでどんな格好をすることも厭わない。それがハイグレ魔王へ忠誠を誓い、下僕として扱われることに喜びを見出すハイグレ人間なのだ。 「あぁ・・・いいわよガングート❤」 「ちゅるっ❤ ありがとうございます、ハラマキレディ様❤ ちゅぱ❤ あむっ❤ んんっ❤」 水音が徐々に大きくなり始める。 ガングートは自身の主人の反応を伺いながら、愛撫の仕方を的確に変えていく。 「ちゅっ❤ ちゅっ❤ ちゅっ❤ ちゅっ❤ ちゅるるるるっ❤ ちゅぱっ❤」 「・・・んくっ❤ イクッ❤」 気持ちよさげな表情を浮かべ、ハラマキレディは軽く身震いすると軽く潮を吹いた。 当然、奉仕していたガングートは顔面でハラマキレディの絶頂の証しを浴びる形となる。が、ガングートはそれがまるで神聖なものの様に受け入れるのだった。 「ふぅ・・・❤ よかったわよガングート。私が見込んだだけはあるわ、また腕を上げたわね❤」 「ハイグレッ! ハイグレッ! ハイグレッ! ありがとうございます、ハラマキレディ様!」 実用性はないとはいえ、ガングートは着ているメイド服が表すように、ハラマキレディ専従ハイグレメイドとして身の回りの世話から性処理までを任されていた。 己の主人に尽くす幸せ、必要とされる喜びに満ちた毎日は、軍人・艦娘として己を律していたガングートを奴隷へ、そして女へと変えた。 主人を喜ばせるために着飾ることも、奉仕することも進んで覚えた。そしてそれが実を結び、主人に感謝の言葉を掛けられる幸福。艦娘の頃とは比べ物にならない、充実した日々。 だが、それもあと少しで終わってしまう。 ハラマキレディの査察期間の終了日が近づいていたからだ。査察が終われば、また違う星へ、違う次元へとハラマキレディは去ってしまう。 (自分も連れて行って欲しい) そんなわがままをガングートは心に仕舞い、今日も主人に尽くすのだ。 「・・・ところで、地上では何か変わったことはなかったかしら?」 奉仕の後始末をしているガングートに、ハラマキレディは尋ねた。 「ハイグレッ、先日連絡のあった新しく配属となる艦娘の件について、続報がございます」 既にハイグレ魔王軍の手中にある大湊警備府だが、表向きは普通の警備府の一つとしてその機能を維持し続けている。よって、他の鎮守府や泊地の重要情報へのアクセスも限定的ながら可能であり、魔王軍が欲している情報の入手が格段にやりやすくなった。また、正規の増援要請を行うことで何も知らない艦娘を当警備府へ呼び寄せたり、逆に洗脳済みの元艦娘を他の艦隊へと潜り込ませることも決して難しいことではない。 現に、ガングートはこの警備府へと呼び寄せられたのだから。 「手続きに問題がなければ、着任は二週間後となります」 「あら、それじゃあ私がここを発った後ね、残念だわ。ま、あなた達の事は信用しているから、大丈夫でしょう」 「ハイグレ! お任せ下さい!」 そしてまた一人、未洗脳者が配属されてくる。加えて、その未洗脳者を歓迎する準備も既に完了していた。 「もうちょっとで、この星ともお別れね。残念だけど、貴女を連れていくことはできないの、悪いわね」 ハラマキレディの不意の言葉に、ガングートは心を見透かされたのかと動揺する。 「・・・! な、なぜそれを?!」 「ふふっ❤ どうしてかしらね?」 狼狽えるガングートを揶揄うように、ハラマキレディは笑いながらはぐらかした。 「安心なさい、この星にハイグレ魔王様が降臨される時は、私も同行することになっているの。貴女なら・・・、貴女達なら私の期待に応えることが出来ると信じています。期待しているわ♪」 「は、ハラマキレディ様っ・・・!」 ハラマキレディが自分に期待を寄せている。 そう言って貰えただけで、ガングートは天にも昇るような幸福感に包まれた。 ハイグレ魔王軍の幹部の役に立てるというだけで、ハイグレ人間には大変光栄なことである。ましてや期待している、などと言われては嬉しくないわけがない。 「ハイグレ! ハイグレ! ハイグレ! ハイグレ人間ガングート、立派に任務をやり遂げ、ハラマキレディの期待に応えてみせます! ハイグレ! ハイグレ! ハイグレ!」 綺麗なハイグレポーズを主人に捧げながら、ガングートは自分に掛けられた期待を嬉しさと共に噛みしめる。そして、必ず期待に応えてみせると決意を新たにするのだった。 ――――――。 ――――。 ――。 フレンチベージュのロングヘアを黒いリボンで結ったツインテールに、琥珀色の瞳。赤い長袖シャツに白いコート、その上に空色のケープを羽織り、頭には黒のウシャンカを被った少女が、艦娘用の岸壁より上陸した。 派遣されてきた、ロシア海軍の駆逐艦娘タシュケントだった。 先日の北方海域での反攻作戦で、深海棲艦の潜水艦部隊排除に大きく貢献した海防艦らが所属する大湊警備府。今日からタシュケントが配属になる警備府だ。 「同志!」 タシュケントは異国の地で見知った顔を見つけ、思わず声を上げた。 「よく来たな、タシュケント」 愛用のパイプを手にしたガングートが、白のコートをはためかせ新たな仲間の到着を歓迎する。 「久しぶりだね。先日の作戦では大活躍だったそうじゃないか?」 海外で自国の艦娘が活躍したというニュースは、すでにタシュケントの耳にも入っていた。同じ国の艦娘として、それは自身の事と同じ様にタシュケントには嬉しかった。 「なに、私だけの力ではない。この警備府の全員で勝ち取った勝利だ」 そう言いながら、先の戦いの戦果を誇る様にガングートは胸を張る。 「・・・同志ガングート、なんだか・・・変わったね?」 「む? そうか?」 「こう・・・丸くなったような」 祖国で共に戦った頃に比べて、ガングートの物腰が少し変わったことにタシュケントは気が付いた。 「なんだ? 太ったと言いたいのか?」 「い、いや、そういう意味じゃなくて・・・」 タシュケントは慌てて訂正する。 そんな様子を見てガングートは悪戯っ子の様に笑うのだった。 「ふふっ・・・まぁいい。それよりも、今日は貴様の着任を祝って“歓迎会”を予定しているのだが、どうだ?」 「え?! 本当かい? それは是非、参加させてもらうよ」 初めての異国の地。 不安や期待といった感情が入り混じった中で、突然のサプライズにタシュケントは思わず嬉しさを露わにする。 だからか、気づくことが出来なかった。 ガングートが一瞬だけ、不敵な笑みを浮かべたのを・・・。 |
冬みかん
2019年03月24日(日) 06時21分48秒 公開 ■この作品の著作権は冬みかんさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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執筆お疲れ様です!! なななんとガングートが犠牲に!? ということで、もうタイトルから最後まで 楽しませていだだきました!!!! 気の強いガングートが堕ちるまでの過程は勿論、 ガングートを嘲笑うかのような海防艦達のハイグレ人間っぷりに 女性提督も含め、完全にハイグレに屈した鎮守府が とてつもなくエロすぎて、最高です!! 次作も楽しみに待ってます! ・・・私も、頑張らなければ・・w |
008900 | ■2019-03-10 22:13:20 | softbank221079234150.bbtec.net | |
執筆お疲れ様です! 下の毛がはみ出ていないか心配したりする生々しい部分、好きです! 冬みかんさんの言うとおりで気の強い女性が羞恥に耐えるシーンは良いものですね〜 |
満足 | ■2019-03-10 11:43:46 | softbank126194177048.bbtec.net |
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