スターオーシャン3 〜洗脳と狂気の世界へ〜


とある所に、エリクール2号星という地球と環境が似ている星があった。




その惑星の大陸の中心部には、シランドという町があり、連日大勢の人々で賑わっていた。その外れにある町工場の中では、
穏やかな陽光が降り注いでいるのにも関わらず、カーテンやドアを閉め切って外から室内の様子を見られないようにし、
イスに座りながら、水着姿の女ばかりが写ってるエロ本にめり込むジイさんこと、薬剤調合師のゴッサムがいた。

「うほほほ・・・・やっぱり若いおなごの体はピチピチでいいのう・・w」

ゴッサムは水着姿の写真を発見するごとに鼻の下をこれでもかというぐらいにのばし、鼻血やヨダレをダラダラとたらす。

「うひひひ・・・・このおなごはムネの谷間がすごい深いのぉ〜w お、このおなごはスレンダーな上に股の食い込みも最高じゃなw。
 もしこんなおなご達がワシの傍にいてくれたら・・・。」

日ごろから若い女性に、自分がちやほやされることを頭の中で思う存分妄想しているゴッサムは、すぐそういう考えに
行き着き、雑誌もそっちの気で女性に囲まれている自分を、よだれを垂らしながら勝手に妄想をはじめる。

そんな時であった。

『オォーッホッホッホッホッホッホッホッホッ!』

部屋の中で突然、オカマの声が響き渡ったかと思うと、彼の目の前に赤い光が発生する。その光の中から、黒いマントを纏い
奇妙な仮面をつけたモヒカンオカマが現れた。

「な、ななな、なんじゃ!?誰じゃ!?」

ゴッサムは当然のことながら驚き、思わずイスから転げ落ちてしまった。
そんな慌てた様子のゴッサムを尻目に、オカマは口を開く。

「ホッホッホッ、そんなに慌てなくても大丈夫よ、あたしはアンタに敵意を持ってる訳じゃないんだから。」

「と、突然変な所から現れといて、慌てずにおられるか!ていうか、オマエさんは何者で、一体何の用じゃ!?」

当然、この光景を目の当たりにした人間なら、誰もが聞くであろうという質問をゴッサムが問いかける。
オカマはホッホッホ、と笑った後、ゴッサムの質問にさらっと答えた。

「アタシはハイグレ魔王・・・。とある異次元の星を侵略しようとしてたんだけど、変なと坊やとアクション仮面とかいう男に
 計画を阻止されちゃったのよね。それで、どこか侵略できそうな星はないかなーって探してる真っ最中、運良くここを
 見つけたのよ。」

このハイグレ魔王のセリフに、ゴッサムは思わずポカーンと口を開けてしまう。突然変なところから、変な格好で現れてきて
侵略などと口にするオカマを目の前にしては、当然だろう。
だが、そんなゴッサムを他所に、ハイグレ魔王は言葉を続けた。

「でね、あたしの本来の実力を以ってしてなら、今すぐ私が望むとおりの世界を築けるんだけど、以前の戦いの傷が
 まだ癒えてないから、力を出せないのよね・・・。
 そこで、妄想力たっぷりの実力クリエイターであるアナタに、暫く協力をお願いしたいのよん♪」

「い・・いや・・・ワシは侵略なぞ興味ないわい・・・。とりあえず、新聞でも読むから帰ってくれい・・・。」

ゴッサムはそう呟いて、これ以上関わりたくないといった様子で新聞を手に取り、読むフリを始める。
だがハイグレ魔王は、そんなゴッサムに耳打ちをした。

「侵略って言っても殺戮とかじゃないわ。・・・・女の人たちにハイレグ水着を着せて・・・忠実な部下にしようとは
 思わないのかしらん?」

その言葉に、スケベじじいであるゴッサムの目の色が変わった。彼は新聞を机にパサリと置くと
真顔になってハイグレ魔王と向き合う。

「・・・・詳しく話を聞かせてもらおうかのぅ・・・。」













数週間後


「ゴッサムはどこっ!?」

シランドの町の中心部にある集会所の会議室のドアを蹴破りつつ、鬼の形相で入ってきたのはマリアだった。

中にあるテーブルで、イスに座りながら午後のお茶を楽しんでいたソフィアとスフレは、
和気あいあいとした雰囲気から、一瞬でマリアの怒りのオーラに支配された。

「ど・・どうしたんですか、マリアさん・・・・?」

恐る恐るソフィアが尋ねると、マリアは事の次第を話し出した。

「どうもこうもないわ!私が頼んでゴッサムが作った飲用回復薬、名前ばっかりで実際は毒薬にも等しい
 ゲロマズジュースだったのよ!?
 この私にあんなモノ飲ませるなんて、ヤツの根性叩き直さなきゃ気が済まないわ!!」

そう言いながらマリアは、そばにあった壁にグーでパンチをする。パンチされた壁には、ヒビが入っていた。
そして荒い息遣いを整えると、マリアは顔を二人の方に向けた。

「それはそうとゴッサムどこだか知らないっ!?」

怒りの形相と声色で二人に詰め寄る。あまりの迫力に二人は震え上がるが、スフレが何とか口を開く。

「あ・・た・・・たしかゴッサムさんなら、ここのところファクトリーに篭って、何か・・・作ってるみたい
 ・・なんだけど・・・・。」

「そう!わかったわ!」

そう言うとマリアは腰のホルスターから銃を引き抜き、「待ってなさいゴッサムッ・・・!!」と呟きながら
足早に部屋を出て行った。

「こ・・・怖かった・・・。」

マリアが出て行った後、スフレは恐怖から解放された反動で、イスの背もたれにズルリともたれかかる。

「・・・それにしても、ゴッサムさんも運が悪いなぁ・・・。多分、失敗作を間違えて渡しちゃったんだろうけど、
 よりによってそれをマリアさんに渡しちゃったなんて・・・。」

これからゴッサムに起こるであろう悲劇を想像し、哀れみを含めたため息をつくソフィア。

「・・まぁ、さすがのマリアさんもゴッサムさんを再起不能にするまではやらないと思うから、
 多分しばらくすれば、またゴッサムさんも復活するよ。」

ソフィアは笑顔でそう言うと、スフレも気を取り戻したのか、いつもの明るさを取り戻す。

「・・・そうだね。まぁ、ゴッサムさんのしつこいほどの復活力なら何の問題もないかっ♪
 じゃ、お茶会の続きと行こうよ♪」

「もちろん。」

そう言ってソフィアは、ティーポットで紅茶を蒸らした後、カップに紅茶を注ぎ始めた。












「で、出来た・・・・・」

ゴッサムはそう呟きながら、手に持ってるフラスコに入った水色の液体を、クマの出来た目で、うっとりと
しながら見つめていた。

『オーホッホッホッホッ、完成したようね、ご苦労さま、ゴッサムさん。』

どこからともなく声が聞こえてきたかと思うと、前回と同じく、空中に赤い光が発生したかと思うと、
光の中からハイグレ魔王が現れる。

「おぉ、おぬしか・・・・。出来たぞい、おぬしの望み通りの物が・・・。
 平均睡眠時間3時間半で踏ん張った甲斐があったわい・・・・。」

そう言いながらゴッサムは、寝不足の体を動かし、ハイグレ魔王にフラスコを手渡す。

「ホッホッホッ・・・。本当、感謝の言葉も見当たらないわ。」

「ところでじゃが・・・・。」

ゴッサムが不意にハイグレ魔王に質問を投げかけた。

「?、何かしら?」

「本当に・・・あの約束は実現するんじゃろうな・・・?」

その言葉を聞いたハイグレ魔王は、ほっほっほっと笑った後、口を開く。

「心配しないでぇ。あたしは約束をちゃんと守る人は嫌いじゃないわ。安心しなさい、
 約束通りちゃあんと・・・・」

そうハイグレ魔王が言いかけていた時だった。
ファクトリーの入り口のドアがバキャッ!という音をたてて吹き飛ばされたかと思うと、
入り口から鬼の形相をした長い蒼髪の女、マリアが入ってきた。

「見つけたわよゴッサム!!!!!!」

マリアはドアの破片を踏み潰しながら足早にゴッサムに近寄ったかと思うと、ゴッサムの
胸倉をガシッと掴む。

「ひ、ひいいぃいぃぃいいいっ!!!!!」

あまりに突然の恐怖の襲来に、ゴッサムはたまらず悲鳴をあげた。

「よくもあんなゲテモノを私に寄越したわね・・・?勿論、それなりに覚悟があっての事なんで
 しょうね!?」

そう叫んでマリアは更にゴッサムを睨みつける。その視線を真正面から見たゴッサムは
恐怖のあまり、間違えて失敗作を渡したという言い訳も口に出せなかった。
このままでは自分はボコボコにされてしまう。
どうすればいいのか。
そう考えていた時だった。

「あらあら、随分とお怒りなのね。でもね、そんな顔してちゃ、せっかくの美人が台無しよぉ?」

隣からハイグレ魔王の声がした。その声に反応したのか、マリアがそっちの方に顔を向け、
一旦ゴッサムから手を放す。

「・・・・誰、あなた?ファクトリーはクリエイターと雇用主以外は立入禁止のハズよ?」

警戒を含めた視線を送るマリア。それに対しハイグレ魔王は、マリアの問いを無視し、
いきなりマリアに手を放され豪快に尻餅をついたゴッサムに顔を向けると、口を開いた。

「ゴッサムさん、さっきアナタ、私が本当に約束を守るのかって疑問を抱いていたわよねぇ?
 だったら、今、この場でそれを証明してみせるわ。この娘でね。」

「・・・は?」

訳が分からず戸惑ってるマリアを他所に、ハイグレ魔王はゴッサムから手渡されたフラスコの
液体を一気に飲み干した。

そしてそれは、液体を飲み干すのと同時に起こった。ハイグレ魔王の体が突如黄色い閃光に
包まれたかと思うと、回りに青い電磁波のような電気がビシッ!バシッ!と走り始めたのだ。

「ぬおおおお!?」

「きゃ!?」

二人は腕で目を隠す。その間にも閃光と電気は走り続け、それがようやく収まったのは
2分後のことであった。

二人が恐る恐る顔をあげると、そこには先程と変わらない姿のハイグレ魔王が立っていた。
だが、先程とは違い、そのオーラはより精力的なものに変わっており、明らかに別の何かが
ハイグレ魔王の体内に入ったという感じであった。

「フフ・・・ホッホッホッホッホッホ!!!」

突如として高笑いをハイグレ魔王に、二人はただ呆然とするしか術がなかった。

「ホッホッホッホッホ!素晴らしい、素晴らしいわよゴッサムさぁん!!この間の戦いで
 負った傷や精神疲労がウソのように消えてるわぁ!ハイグレ魔王、ここに復活よぉ!!
 本当、感謝するわぁゴッサムさん!」

「え・・う、うむ・・・・。」

相変わらず呆然としつつ、生返事を返すゴッサム。
そして、遂にハイグレ魔王は行動を起し始めた。

「さぁて・・・・体力も回復した所で、まずはそこの娘に、忠実なハイグレ女になってもらい
 ましょうかぁ・・・。」

そう言ってマリアに指先を向けると、その指先に赤い光がポオッと灯る。
その光に対し、本能的に危険を感じたマリアは、持っていた銃をハイグレ魔王の方に向けるが、
マリアが引き金を引くより先に、ハイグレ魔王の指先から赤い光線が発射された。

「きゃあぁあぁああああぁあぁぁっ!?」

光線がマリアに当たった瞬間、マリアの体は赤い閃光に包まれる。そして
閃光が収まる頃には、マリアは普段着から、青いハイレグ姿へと格好を変えていた。

「ぶほぉ!!」

ハイレグ姿になったマリアの色っぽさに、思わずゴッサムは鼻血を豪快に噴出す。
そんなゴッサムを他所に、マリアの体はコマネチの体勢を取ると、手をハイレグの
股のラインに沿わせながら上下に動かし、口ではハイグレコールを叫びだした。

「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」

しかしその顔は、戸惑いと恥ずかしさが入り混じったような顔をしており
決して心から楽しんでいる顔とは言えない。
それもその筈、今、彼女の中では理性と、洗脳術による欲望とが壮絶な戦いを繰り広げて
いたからだ。

( ちょ・・なんなのよコレ!?なんで私、水着姿でこんな小っ恥ずかしいポーズ
  やってるわけ・・・!?体と口が勝手に・・・!! )

訳が分からない。最初、彼女の心の中はそういう気持ちで大半だったが、それらの
理性を突き崩すかのように、ハイグレ魔王がそっと耳打ちする。

「さぁ・・・全てを快楽に委ねなさい・・・。そうした時、あなたはその
 羞恥心から解放されて楽になっていくのよぉ・・・。」

( か、快楽!?何言ってるの、こいつ!?こんな行為に、そんなものある訳ないじゃない!
  こんな行為・・・)


トッテモ気持チイイ・・・・・


ふと、頭の中で、そんなマリア自身の声が聞こえた。

(え!?今わたし、なんて思ったの・・!?私が・・そんな事思うわけ・・・あぁ、
 けど何だろう・・・・この・・・何ともいえない、心地よさ・・・)


ソレニ身ヲ委ネマショ・・・・


(身を・・・委ねろ・・・?)

マリアは心の声に従い、心を少し其の心地よさに委ねてみる。するとどうだろう、今まで
感じることがなかった心地よさが、体全体は勿論のこと、心の奥深くまで伝わってくる。

( うそ、気持ちいい・・・!!こんな気持ちのいいことなら・・・もっとやってみたい・・
  そうよ、今の私は、こんな気持ちのいいことを知れたのよ!やらずにはおけないわ!!
  もっとよ!もっとコマネチしてハイグレコールしたい!!! もっと快楽を!!!    )

そして、マリアの理性はあっけなく崩れた。今のマリアの体は、もうマリア自身の手で
自由に動かせるのだが、マリアはコマネチとハイグレコールをやめようとせず、
自分の意志でそれを続けていた。

「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」

そしてその顔は、もう先程のような不快さが混じった顔ではなく、心の底から心地よさと
喜びを感じられているという顔であった。

やがてマリアはコマネチをやめると、ハイグレ魔王の元まで歩み寄り、跪いた。

「ハイグレ魔王様、私をこんな素晴らしい姿に変えて頂き、ありがとうございました!
 これからは、ハイグレ魔王様の為だけに尽くさせてください!」

それを聞いたハイグレ魔王は、声高らかに笑い声をあげた。

「オーッホッホッホッホ!!いいでしょう、あなた、お名前は?」

「ハッ!マリア・トレイターです!」

「よろしい、ではマリア。今からハイグレ洗脳銃をアナタに支給します。それを
 使って、同志達を増やしていきなさい。分かったわね?」

そう言うとハイグレ魔王は、空中で指をパチンと鳴らすと、光が現れ、そこから
一丁のハイレグ洗脳銃が出てきた。

「これが・・洗脳銃・・・」

洗脳銃を手に取ったマリアは、おもちゃを手に入れた子供のように、嬉々とした目で
まじまじとそれを見つめる。
そんなマリアを見ながら、ハイグレ魔王は口を開いた。

「いいこと?多分、あなた一人で同志をどんどん増やすというのはムリがあるわ。
 だから、洗脳した人間に更に銃を持たせて、活動を円滑にすること。銃は、
 ハイレグを身に纏う者であれば、必要だと念じるだけで今みたいに
 現れるわ。」

「なるほど・・・流石はハイグレ魔王様です!そのような能力を与えていただき
 感謝いたします!」

先程にもまして、マリアはハイグレ魔王に対し尊敬の眼差しを送る。

「ホッホッホ、いいのよ。ではハイグレ人間・マリアよ、お行きなさい!!」

「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」

マリアは立ち上がると、了解の意のコマネチポーズとハイグレコールを行う。
そして洗脳銃を持って、ハイレグ姿のままファクトリーの外へと飛び出していった。

そして、町のあちこちで、赤い閃光が頻発するようになったのは、それから僅か
10分後ぐらいのことであった・・・・。
















それから更に20分後


シランドの町外れにある、緑の木々に囲まれた小さなカフェでは、この国の隠密部隊の隊長であるネルとクレアが紅茶を啜りながら世間話に花を咲かせていた。
内容は主にここ最近の変わった出来事や仕事の苦労、役人の悪口などが主であるが、時折互いが密かに思っている
恋人などについても語り合っている。

「ネル、あなたの想い人っていったい誰なのよ?」

「ふふ、言えるわけないじゃないか。もしかしたらアンタと同じヤツかもしんないけどね。」

「・・・・言っておくけど、フェイトさんのことが好きなら諦めることね。彼は私の物なんだから。」

「まぁ・・・・・・それはアンタの想像に任せるよ。」

「なにそれ。」

そう言いながらクスクスと笑いあう二人。互いの恋人話のつまみに、また紅茶を口に入れようとネルが
カップの取っ手を持って口に運ぼうとした時、クレアが背にしている小道の上に現れた、マリアの
姿が目に入る。
マリアの姿が目に入った途端、ネルは口に含みかけた紅茶を思い切り噴出しそうになってしまい、
ゴホゴホとむせった。

「マ、マリア!!アンタ、なんて格好してるんだいっっ!?」

ネルが思わず叫ぶのも無理はない。常識で考えれば、余りにも場違いな格好だ。
何事かと思い後ろを振り向いたクレアも、思わずイスから転げ落ちそうになるが
かろうじてテーブルを掴んで転落は免れた。

「マ・・・マリアさん・・。一体その格好・・・。」

クレアが赤面しながらなんとか口を振り絞って声をだす。
カフェにいた他の女性客も、マリアの姿を見てざわつき始める。

「あら?ネルとクレアさん、まだ同志じゃないの?」

同志。わけの分からないクレアとネルは、マリアが言った言葉の意味を
理解しかねた。

「・・?アンタ、なに訳の分からないことを言ってるんだい・・・!?」

「・・・・・・・???」

首をかしげる二人をよそに、マリアは洗脳銃の銃口を他の女性客達に向ける。

「まぁ、とりあえず周りの人達を先に同志にするわ。」

そう言うとマリアは、女性達に向かって洗脳銃を乱射し始める。

『きゃあああああああああ!!!!』

あちこちで女性達の悲鳴と赤い閃光が起こり、それが収まる頃には、
カフェはハイグレコールで埋め尽くされていた。

『ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!』

その光景を見て、マリアはうっとりとした表情をする。

「ふふ・・・本当に心地のいい声ね・・・。」

一方、驚きのあまりクレアとネルは、しばし呆然とするが、すぐに状況を把握し、
真っ先にクレアがマリアを取り押さえようとする。

「マリアさん!あなた、一体何を・・っ・!?」

取り押さえようとマリアに向かったクレアは、自分にも洗脳銃の銃口が向けられてる
事に気づく。本能的に危険を感じたクレアは回避しようとするが、マリアが
洗脳銃の引き金を引くほうが早かった。
赤い光線が高速で銃口から飛び出し、その光線はクレアの腹部に命中する。

「きゃあああああああああああああっ!!!!!」

その瞬間クレアの体はバシュっという音とともに眩いばかりの赤い閃光に包まれ、
その眩しさのあまりネルはサッと手で目を覆ってしまった。
そして閃光が収まったと思いそっと手を目からどかしてみると、そこにはライトグレーの
ハイレグ姿のクレアが立っていたのだ。

「ク・・・・クレア・・・・?」

だが、クレアはネルの返答には答えず、ネルに背を向けたままマリアにコマネチ動作とハイグレコールをして口を開く。

「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!マリアさん、あなたのおかげで私、目覚めました。
 こんなにも素晴らしいハイグレ魔王様の偉大さを、今まで知らなかった私は本当に愚かの一言だった・・・。
 今までの愚かさの罪を償うためにも、これからはがんばります!ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」

「ええ、これからはハイグレ魔王様の為に、一緒に忠誠を尽くしましょう!
 ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」

「ええ!じゃあ、まず手始めに・・・。」

そうクレアが呟いて、マリアからもう一つ別の洗脳銃を受け取ると、バッと振り返って、洗脳銃の銃口を
戸惑って固まってしまってるネルにむけた。

「ネル、あなたも一緒にハイレグを着ましょう?」

「・・・クレアッ!正気を取り戻しなっ!」

ようやく我に返ったネルが、腰の鞘からダガーを抜き、戦闘態勢を整える。だが次の瞬間、ネルの両腕は何者かによって
後ろからがっしりと押さえられた。

「な!?」

ネルが驚いて後ろを振り返ると、そこには、先程のマリアの乱射によって洗脳されたハイグレ女が二人おり、
彼女達はネルの腕を脇の下に押さえ込んでいたのだ。

「うふふふ・・・あなたにも、ハイレグの素晴らしさを分かってほしいわ・・・。」

一人のハイグレ女がそうネルの耳元で呟く。ネルは冗談じゃない、と言わんばかりに振り払おうとするが
どうにもならなかった。
そうしてる間にも、クレアがネルの傍までより、洗脳銃の銃口をネルの腹に密着させる。

「これでネルも・・・ハイグレ魔王様のし・も・べ♪」

そう嬉しそうに言うと、クレアは銃の引き金を引いた。



























そして更に3時間後。

お茶会後、ポカポカと暖かい陽光が降り注ぐ城の庭園のベンチで、編み物をしながら
眠りこけていたソフィアは目を覚まし、軽い欠伸をしながら両腕を伸ばしてベンチを立った。

「ふぁ〜〜〜〜〜・・・・・ついうっかり寝ちゃったな〜・・。」



そして喉の渇きを覚えた彼女は、とりあえず飲み水を取りに行くべく編み物をベンチにおいて城内へと足を進める。
城内の清楚な空気が漂う廊下をしばらく歩いていると、廊下の角からスフレが慌てた様子で
飛び出してきた。

「あれ?スフレちゃん、どうしたの?なんか慌ててるみたいだけど・・・。」

「あ、ソフィアちゃん!大変だよ、なんか町に水着を着た女の人たちがいっぱいいて、その人たちが他の女の人たちをピストルで撃って
 それであんなことやこんなことにぃ!!」

スフレはかなり取り乱しながら説明するが、そんな状態では当然ソフィアが理解できるわけがない。とりあえずソフィアは
冷静な状態になるまで落ち着かせてから事情を聞いた。
それによると。

「・・・つまり、その銃で撃たれた人が水着姿になって、その撃たれた人が更に別の人を撃って水着姿にしている・・・・
 ていうこと・・・?」

「そうよ!それでさっき私も町が変なことに気づいて、とりあえず皆を取り押さえるために武器を取りに行くところだったの!」

スフレの話を聞いて大体の事態を把握したソフィアは、半信半疑だがとりあえず町が異常事態になっているということなので
彼女自身も事態の沈静化に努めてようと考えついた。
ソフィアはロッドを取り出し

「スフレちゃん、私、先に町に行ってるから後から来て。」

「う、うん!!」

そう言って、ソフィアとスフレはそれぞれ自分の目的地に向かった。
そしてソフィアが廊下を走って、町の方へ出る出口へと急いでいる途中、角から人影が現れた。
その人影は、よくソフィアが廊下などですれ違いざまに会う、今では顔見知りとなった、若くて気さくな施術師の女の子だった。
しかし現れた女の子はローブ姿ではなく、薄水色のハイレグ姿だったのだ。

「え!?・・・あ、あの・・・!?」

ソフィアが女の子に恐る恐る話しかける。しかし女の子はソフィア達の存在に気づくなり

「っ!!ソフィアさん、まだあなた方が罪深き未洗脳者だとは・・・・!!これで私達の
 同志になってくださいっ!!」

と叫んだかと想うと、彼女は洗脳ピストルの銃口をソフィアに向けた。

「!!!」

女の子の銃を見た途端、ソフィア反応してはとっさに体をサッと横に動かす。次の瞬間、ソフィアが
いた空間を赤い光線が突き抜けていった。

「ちょ、ちょっと、やめてください!!なんで私を撃とうとするんですか!?」

「問答無用!!」

ソフィアの問いは軽く無視され、女の子は第二弾・第三弾を撃ち始める。それらをなんとかよけてソフィアは、
もと来た道を逆走して逃げ始めた。

「逃がしませんよっ!」

そう言って洗脳銃を撃ちながら、女の子はソフィアの後を追いかけ始める。
だが女の子は、外ではあまり活動しない施術師だったため、足が少々遅く、その事が逃げ手のソフィアにとって
幸いし、次第に女の子との距離は離れ、遂には振り切ることに成功したのだ。

「ハァ・・・・ハァ・・・・あの人が・・・なんで・・・」

振り切ったことを確認して一旦停止し息を整えているソフィア。
何故、あの人があんな格好しているのか、色々と考えてみるが、現時点では何も思いつかない。

「・・・・多少危険かもしれないけど、とにかく一旦町の様子を見て、それから対処法を考えよう・・・。」















城下町での光景。
それはまさにスフレが説明したとおり、町はハイレグ姿の女達で溢れかえっていた。
時々、町の路地裏から普通の姿をした女が逃げるように大通りに飛び出してくると、すかさずハイレグ女達が携行していた
ヘンテコな銃でその女を撃ち、撃たれた女は閃光に包まれた後、他の女達と同じハイレグ姿になり、
男は見つかり次第縛り上げられて、どこかに連行されていった。
その光景を城の外壁周辺にある植木の影から、コソっと見ていたソフィアは一種の恐怖感を覚えた。

(・・・・・とりあえず、原因を探らないと・・・。運良く目の前に水着屋さんがあるし、あそこからちょっとだけ
 変装用の水着借りれば、完璧に変装できるから、大丈夫かな・・・)

そしてソフィアは、小走りで植木の陰から、まず正面にある水着屋に駆け込み、そこで牛の皮模様のハイレグを着込んだ。

「よし・・・こんなもんかなぁ・・・・。」

壁に立てかけてあった大型鏡に自分の全身を写すと、そこに映っていた自分の姿は、町中にいるハイレグ女達と
何ら違いはなかった。
それを確認すると、ソフィアは店を出て、町へと繰り出していった。












城下町を少し南下してゆくと、逃げ回る未洗脳の人や縛られ連行されていく男性の姿はまるで見なくなり、その代わりに大勢の
ハイレグ姿の女性達があちこちにたむろしたり、ちらかったゴミを片付けていたりしている。

(ホント、なんでこんな事に・・・・・。)

ソフィアはこんな情景が目の前に広がってるにも関わらず、未だにこれは本当に現実の出来事なのかと思ってしまうが
状況が状況でもあり、彼女自身納得せざるを得ない。
そう思っていた時、不意に後ろから知っている声が聞こえた。

「ソフィア?」

ビックリしたソフィアが後ろを振り返ってみると、そこにはネルがいた。
しかし口調は普段と変わりはしないが、身に着けてるのは普段の隠密服ではなく、赤いハイレグ姿であった。

(ウ、ウソ!?ネルさん・・・そんな・・・・・)

ソフィアはとてつもなく大きい衝撃を覚えた。自分のよき旅仲間でもあったネルがハイレグ女達の魔の手に掛かり
ハイレグ女となってしまっていたのだから衝撃を覚えるのは仕方ないのだが、ここであからさまな動揺を見せては相手に
怪しまれるだけなので、ソフィアは、外見上はいつも通りの笑顔で対応した。

「あ、ネルさん。こんにちわ。」

それに対してネルはいつものクセの腕組みをしながらソフィアに返答する。

「あんたが一人でブラブラと歩いてるなんて珍しいね・・・。おっと、(挨拶)を忘れていたね、ゴメンよ。」
 
そう言ってネルはコマネチの体勢を取り、

「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」

と言いながら、コマネチ動作を3回繰り返したのだ。

最初そのネルの行動を目の当たりにしてポカンとしていたソフィアだったが、すぐにこの動作がいわゆるネルが言った(挨拶)という
ものらしいと分析し、彼女自身もネルと同じ行為をやった。

「ハ・・・ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」

それが終わるのを確認したネルは口を開く。

「ん・・・・?あんた、洗脳銃、持ってないのかい?」

腕組みをしながら普段と変わらない口調で、ソフィアに問いただすネル。ソフィアは一瞬
返事に窮するが、なんとか適当な言い訳を返した。。

「う、う〜ん・・・言いにくいんですけど・・・・最初は持ってたんですが、未洗脳者を追いかけてる時に
 間違えて川に落としてしまって・・・。」

これが、今ソフィアが出来る精一杯の言い訳である。これで通用するかとソフィアは不安だったが、
それは杞憂であった。

「なるほどね・・・。じゃあ、この洗脳銃をあんたにあげるよ。あたしのは、ちゃんと予備もあるから
 気にしないでいいさ。」

そう言ってネルは、自分が持っていた洗脳銃を差し出す。

「あ・・すいません、ありがとうございます。」

ソフィアは、水鉄砲?のようなデザインの洗脳銃を、受け取った。
洗脳銃を渡し終わると、ネルは口を開く。

「それはそうと、スフレ見なかったかい?」

一瞬、ソフィアの心臓がドキンとはちきれそうになったが、すぐにソフィアは冷静になって答えた。

「すいません、分かりませんね・・・・。探せば、どこかにいるかもしれませんけど・・・・。スフレちゃんが
 どうかしたんですか?」

「いや、さっきからスフレの姿が見えないんでね、ちょっと心配なんだよ。まさか、まだハイレグ着用
 拒否なんていう愚行をしてるとは思わないけどさ・・・・。」

「あら?どうしたの、あなた達?」

不意に二人の横から声が入る。二人がそちらに向いてみると、そこにはライトグレーのハイレグを着たクレアの姿と
青いハイレグを着たマリアの姿。

(この・・・二人も・・・・。)

ソフィアはこれにも衝撃を受けるが、ネルの事である程度慣れた感もあり、今回の衝撃はさほど酷くはなかった。

「ああ、クレアにマリアかい。ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」

ネルが当然のように例の動作をしながらの(挨拶)を行い、ソフィアも怪しまれないように(挨拶)をする。
それを受けたクレアとマリアも(挨拶)を返した。

「『ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!』・・・で、スフレがなんとかかんとかって聞こえたけど?」


(挨拶)を終えるとマリアはコマネチの体勢を崩し、話を本筋に戻す。

「いやさ、スフレとかがどこ探してもいないんだよ。どこを探してもさ・・・・。」

「心配しないでネル、スフレちゃんならもうこの通りよ。」

そう言ってクレアが背後にある壁の後ろから何かを引っ張り出すような動作をすると、そこから
ロープで縛られたスフレの姿がソフィアの目に飛び込んできた。

(ス・・スフレちゃん・・・・!!!??)

これにはソフィアもかなりショックを受けた。なにせ遂さっき分かれたばかりだというのに、
こうもあっさりと捕まってしまったとなると、それはそれでかなりの痛手である。

「・・・どうしてわざわざ連行してきたんだい?その場で同志にすればよかったじゃないか。」

ネルが不思議そうに二人に尋ねた。

「最初はそうしようと考えたわ。だけどね、スフレがあまりにも畏れ多いことばかり発言するから、
ハイグレ魔王様直々のご洗礼を受けさせてから同志にしようってクレアさんと相談して決めたのよ。
 その方がスフレの思想矯正のためだわ。」

このマリアの言葉に、ソフィアは疑問を覚えた。

(え・・?ハイグレ・・魔王様・・・・?)

今、確かにマリアはハイグレ魔王様と言った。
一瞬、誰なんだと思ったが、状況から察するに、どうもそのハイレグ魔王様とやらが、今回の事件に
深く関わりを持っているようである。

あくまで憶測に過ぎないが、もしやハイレグ魔王様とやらは、自分だけの世界を実現するための
なんらかの方法を編み出し、自分の欲望実現のためにシランドの女性たちをこんな風に
しているのではないかという考えがソフィアの脳裏によぎった。

しかし、それだとあまりにも馬鹿げた話でもあるので、実際の所は名前を聞いても未だ半信半疑。
その人物が今回の騒動の首謀者だという決定的な場面を自分の目で見なければ、納得できない話だと
ソフィアは自分の言い聞かせた。

とその時、クレアに捕まっていたスフレが声を張り上げる。

「みんな、ハイグレ魔王とかいう変態に騙されてるんだよ!そんな格好を崇めて普通の人達を巻き込んで
 無理やり自分達の仲間にしたりしてるなんて絶対おかしい!みんな目を覚まして元に戻って!」

その言葉を聴いたネルとマリアとクレアはため息をついた。


「はぁ・・・・・確かに畏れ多いことを平然と口にするね・・・。今まで服なんてヘンテコなモノを着るのが常識だという
 あたし達の愚かな考えを改めていただいたばかりでなく、ハイレグという素敵なモノまで与えてくださった
 魔王様を、よりにもよって変態呼ばわりするなんて・・・・。」

「これは・・・・もう直々のご洗礼は確実ね。こんな思想異常の未忠誠者を野放しにしていては、魔王様にお向け出来る顔がないわ。」

「全くですね。じゃあネルにマリアさんにソフィアさん、早速ハイレグ魔王様のいらっしゃる
 本部へ一緒に行きましょうか。」

「それもそうね。ほらスフレ、さっさと来なさい!!」

クレアの提案に乗ったマリアは、嫌がるスフレを力ずくで連行しようとし、ソフィアも事実を確認のため
抵抗するスフレをあえて無視して一行に続いた。












そして1時間後。


ネル達が行き着いたのは、シランドでも最高級のホテルとして有名なホテルだった。
床に敷きつめられている赤い絨毯がいかにも高級感を漂わせ、ドアや壁の装飾も気品にあふれており、
ここだけは何も変わっていなかった。
ただいつもと違う点と言えば、普段清楚でおしとやかなメイド達が、町の女性達と同じようにハイレグ姿に
なっており、ネル達とすれ違うたびに「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」と恥ずかしげもなく言いながら
コマネチをする所だった。
しかも、その度に一行は一斉に挨拶しかえしたため、ソフィアはそれだけでもかなりの疲労感を覚える。
やがて一行は、ホテルの最上階にあるロイヤルスイートルームのドアの前に着く。


「失礼いたします、ハイグレ魔王様。」

ネルはノックをした後そう言うと、ドアノブに手を掛けてガチャリとドアを開ける。
室内は廊下と同じように赤い絨毯が敷き詰められており、所々に高級そうな家具が置かれ、暖炉や、一枚数百万はするのではないかと
思うほど高価そうな動物の毛皮もある。

そしてハイグレ魔王はというと、部屋の中心にある玉座みたいなイスに座っていた。

ネルとマリアとクレアは、ハイグレ魔王の前まで歩み寄ると、ハイグレポーズの体勢をとり、

『ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!』

と、ハイグレ動作とハイグレコールを行う。

(この人が・・・ハイグレ魔王・・・。)

ソフィアは、自分の目の前にいる、黒マントと変な仮面を身に付けた赤モヒカン頭のオカマに、
不快感と警戒感と持ちつつ、ネル達と同じようにハイグレ動作とハイグレコールを行った。

「どうしたのかしらん、そんなに大勢で?それに、その小さい女の子は?」

ハイグレ魔王は四人がハイグレをしたのを確認すると、イスに座りながら用件を尋ねつつ、
ロープで捕縛された状態のスフレをじろじろと見る。

「ハッ、実は・・・・。」

ネルは、スフレの言動や行動についての詳細な報告を、ハイグレ魔王に対して始めた。

「・・・・という訳で、このような思想異常の未忠誠者は、ただ洗脳光線を浴びせるだけでは
 改心しないだろうと考え、ハイグレ魔王様による思想矯正をお願いしたく、失礼ながら参上いたしました。」

「なるほどねぇ・・・。」

報告を聞き終えたハイグレ魔王は、スフレの方に再び視線を戻す。一方のスフレは、ハイグレ魔王に対して
これでもかという程の侮蔑と嫌悪感を含んだ視線を送りつつ、

「ふんだっ!何なのよ、ハイグレ魔王って!?だっさいネーミングセンスにも程があるよ!?」

と、吐き捨てるように言う。そのセリフに真っ先に反応したのはマリアであった。

「っ!!!スフレ!!偉大なるハイグレ魔王様に対して何なの、その無礼な言動は!?子供だから
 容赦されると思ったら大間違いよっ!?」

部屋中にマリアの怒声が響き渡る。

「ホッホッホ、マリア、少しは落ち着きなさい。」

そんな状況にも関わらず、ハイグレ魔王は、視線に対して不快感を示すどころか、逆に静かに笑い、余裕の
態度を見せた。

「ですがハイグレ魔王様っ!!このような無礼者を・・・。」

マリアはなお食い下がるが、、そんなマリアに対し、ハイグレ魔王は静かに一言を発した。

「・・・マリア、あたしの命令が聞けないのかしら?」

その一言は、マリア達のようなハイグレ女達にとって、最も恐ろしい言葉であった。
自分達が尊敬するハイグレ魔王の不興を買うような事があってはならないからである。

「・・も・・申し訳・・・ございません・・・。」

マリアは怯えたように詫びの言葉を述べた。

「分かればいいのよ。・・・・さて、じゃあ、洗脳の準備に入るとしますか・・・。
 出番よ、お入りなさい。」

そう言ってハイグレ魔王は指をパチンと鳴らす。すると、入り口とは別のドアが
ガチャリと開き、一人の人物が入ってくる。
その人物が誰かというのを確認したソフィアは、思わず息を止めてしまった。

(え・・・!?ゴ、ゴッサムさん!?)

部屋に入ってきたのは、ソフィアもよく知る、薬剤調合師のゴッサムであった。しかし
彼の目は何故か焦点が合っておらず、そして何よりも驚くべきことは、入ってきたゴッサムの
格好がブリーフパンツ一丁だったということである。

ゴッサムはスフレを見ると、思わずヨダレをジュルリと飲み込んだ。

「うひひひひひひ・・・・・こりゃあ、やりがいがありそうじゃわい・・・。」

その時のゴッサムの顔は、最早いつものゴッサムではないほど、気味悪く笑っていた。

「ちょ・・ちょっと!ゴッサムさんに何したのよ、あんた!?」

あまりのゴッサムの異常さに、スフレは思わずハイグレ魔王に向かって叫んだ。

「オッホッホッホ・・・。ほら、彼って結構ご老体だから、精力が落ちてるかもしれなかったでしょ?
 だから、洗脳したハイレグ女を自分の思うがままにしたいって言った時、ちょっと精力を高める
 エネルギーを、手助けのつもりで注入したのよ。そしたら、ヤることしか考えないセックス
 人間になっちゃってねぇ・・・♪」

と、ハイグレ魔王は淡々と答える。
あまりの事にソフィアやスフレは言葉を失うが、そんな彼女達を他所に、性欲獣と化した
ゴッサムは、近くにあったベッドの上にどっかりと乗った。

「ふぉっふぉっふぉっふぉ・・・では、味あわせてもらおうかのうぅ・・・・。」

ニタニタと気持ちの悪すぎるニヤけ顔のゴッサムに対し、スフレは背筋に悪寒を走らせた。
後ずさりしようとするが、マリアやクレアにガッチリと抑えられ、無理矢理ベッドの方に
連れて行かれた。

「いやっ!!離してよ!!あんな変態オヤジに犯されたくないよぉ!!」

涙声で必死に抵抗するスフレだが、いくら戦いなれしていても所詮は子供の力、腕力があるマリアとクレアの拘束を
振り払うことはできず、そのままベッドに仰向けに押し倒され、そのまま2人に両腕をつかまれたまま押さえ込まれてしまう。
普段のソフィアなら、こんな光景を目撃したら、ウソだったとしても適当な言い訳をして事態を回避している所なのだが
今の彼女は、頭の中が真っ白になっとり、スフレに同情心を感じながらも頭が回らず、助け舟を
出すことができなかった。

そんなスフレの様子をいやらしい目つきで舐め回すように見つめていたゴッサムはというと、
傍の引き出しの中から紫色の液体の入った小さな小瓶を取り出し、瓶のフタをあけ液体を全部ゴクゴクと飲む。

「・・・?」

スフレが恐怖で顔を歪ませつつ、ゴッサムが飲んでいるものが何なのか分からず、戸惑いの色も見せる。

だが、その液体は何なのかは、嫌でも知ることとなった。飲み終わって数秒後、ゴッサムのイチモツは
ぐんぐんと大きくなり、履いていたブリーフを突き破り、天を見上げるかの如く勃ったのである。

その光景にスフレやソフィアは唖然とするが、ゴッサムはそんな事はおかまいなしに、
スフレの服に手をかけると、乱暴にビリビリと破き始めた。

「いやっ、なにすんのよぉ!!」

しかしスフレの叫びも空しく、あっという間にスフレはゴッサムの手によって裸にされてしまい、更にゴッサムは、
新しく取り出した透明な液体を、スフレの秘所のあたりに塗りたくったのだ。

「ひゃ!冷た・・!!」

液体の冷たさに、思わずビクンと体が反応してしまうスフレ。そのことを確認したゴッサムはニヤニヤとしながら
すぐにはスフレの体には手を出さず、いつでも行為に突入できるように体勢を準備するにとどまり、それから動こうとしなかった。

「・・・?」

すぐさま手を出さないゴッサムの奇怪な行動に、スフレはもちろんのこと、押さえつけているクレアとマリアも首を傾げる。
しかし彼らは、何故ゴッサムがすぐに行動に移らなかったのかということを、その十数秒後に知ることとなった。

「!!あふぁっ、やぁあ!!!な、体が・・体が熱いぃ!!あぁん!!!」

突然スフレが発情期のネコのように体を激しく動かし始めて悶えだし、それと同時にスフレのマンコからは大量の愛液が
まるで洪水のように噴出し始め、シーツにまたもや新たなシミを作り始める。その様子はまるで大雨で決壊したダムから
蓄えられていた水が一気に鉄砲水となって下流に押し寄せるような感じだった。

「ふぉっふぉっふぉ、どうやら催淫剤が効き始めたようじゃのう・・・。」

ゴッサムは激しく悶えるスフレの姿を見て、指でちょんとスフレの乳首を突く。

「あっん!!!!!」

突いたと同時にスフレの体がビクッと大きく海老ぞりに跳ね上がり、ベッドを大きく揺らした。

「ふぅむ・・・そろそろ頃合いじゃのぅ・・・。」

そう呟くと、ゴッサムは今にも先端から白濁液を出しそうな勢いにまで張り詰めている自らの一物をスフレのマンコに
宛がう。

「や・・やぁあ・・・・・!!!」

悶えながらゴッサムの一物を拒むスフレだったが、そんなささやかな拒否反応や抵抗も、クレアやマリアの押さえつけによって
空しく阻まれ、そしてスフレのマンコにゴッサムのぶっとい一物が侵入を開始した。

「ああああぁあーー!!!!」

入れられた瞬間、スフレの目がカッと開き、それと同時に口から断末魔の悲鳴のような声があがる。それを無視してゴッサムは
根元までズイズイと入れ終わると、スライド運動を開始した。

「んくっ・・!あぁ、ひゃ・・・んぁっ!!あ、あ、あ、・・・!!」

最初は抵抗して、苦しそうな顔をしながら声一つ出さなかったが、意思とは裏腹に、押し寄せ始める快感の波に喘ぎ声をあげ始める。
ゴッサムの一物がスライドする度に、結合部分からグチュグチュと音が鳴り響き、それが淫欲的な音楽として部屋中に響き渡っていた。

「んぬぅ・・・なかなか締めがよいぞ・・・・・」

スライド運動をしながらゴッサムは呟く。

「や・・んく!はぁ・・・気持ち・・イイっ・・・!!!」

しばらくすると、スフレは快感の波に負けてしまったのか、最初に抵抗があったことを払拭させるような言葉を放つようになり
その言葉がゴッサムの性欲を更に掻き立てた。

「ひょっひょっひょ・・・・可愛い顔して喘いどるのぅ・・・・。」

「ん、やぁあ!!あ、っは・・・んぅっ!!あぁぁ、ん、はっ・・・・!!」

だがスフレは、ゴッサムのロリコン的発言など耳に入ってないかのように、ただひたすら快感を傍受するようになり始めており、
やがて、突かれている快感に勝てなくなったスフレの体に絶頂が近づき始め、ゴッサムもまた、膣内の締め付けに耐えられなくなり
彼の体にもまた絶頂が近づきつつあった。


「んはっ・・あっ・・やぁぁ・・・も、もうイキそぅ!!あっ、あっ、あっ、あんっ!」

「ク・・・ワシもそろそろじゃ・・・・。」

スフレの絶頂が近いことを悟ったゴッサムは、スパートをかけてスフレの膣内を激しく攻め立てる。たまらずスフレは大声で
喘ぎ始め、やがて彼女は絶頂を迎えた。

「あっ・・・はっ・・・・・はあああぁぁぁぁぁぁん!!!!!」


「ぬおおおおおおおおおっ!!!」

またゴッサムの方もスフレと同じく絶頂を迎え、膣内にあるゴッサムの一物の先端から白濁液が発射され、膣内を埋めてしまう。
それと同時にスフレの体がバヒュッという音と共に真っ赤な閃光に包まれ、周りにいた人間は思わず手で目を覆う。そしてしばらくして
閃光が収まってゆき、手をどかした時に目に映ったスフレの姿は、黄緑色のハイレグ姿であった。

(ス・・スフレちゃん・・・・・・。)

もう知人がハイレグ姿になってしまっていることに対しての免疫は、ソフィア自身の中である程度できていたが、目の前で犯されながら
ハイレグ姿にされたとなると、ソフィアのショックは決して小さいものではなかった。
一方のスフレは暫く俯いたままの状態であったが、すぐ彼女は顔をあげて、ハイグレ魔王に口を開いた。

「ハイグレ魔王様・・・あたし、なんかとんでもないことをしちゃったんです・・・。
 魔王様のことを侮辱したりして、どう謝ればいいのかわかんない・・・・。」


段々とうる目になってゆくスフレに対し、ハイグレ魔王は笑いながら言う。

「オッホッホッホ、いいのよ。その分、あたしの為に今後がんばってくれればそれでよろしい。あんまり気にしちゃだめよ。」

その言葉を聞いたスフレの顔に、一気に普段の明るさが戻る。

「え!?ということは・・・あたしの愚行を許してくれるの!?」

「こらスフレ!その言葉遣いは魔王様に失礼よ。」

マリアがスフレの言動を横から注意すると、スフレは「ゴメン」と舌を出しながらマリアに謝る。

「もちろん。今更過去のことを気にしていても仕方ないからねぇ、全て許しましょう。」

「あ、ありがとうございますハイグレ魔王様!これからは魔王様のためにぅんと働きますね!今日は本当に何から何までありがとう
 ございました、ハイグレッ♪ハイグレッ♪ハイグレッ♪」

スフレは感謝の意を込めて、元気よくコマネチ動作とハイグレコールを笑顔でやる。
それを見た確認したハイグレ魔王は、スフレを含んだ、そこにいる全ハイグレ女達に
指令を下す。

「さぁて、新たに仲間も増えたのだし、あなた達はまた町に行って、洗脳活動をお続けなさぁい。
 更なる吉報を待ってるわよ?」

『ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!』

それを聞いたハイグレ女達は一斉にハイグレポーズを取ると、コマネチ動作とハイグレコールを行った後、
部屋を後にした。







「よぉーっし、張り切っていこー!」

ホテルを出て、町の大通りに繰り出した一行のうち、洗脳後初めて洗脳活動に入るスフレは、
活動に従事できる喜びで、これでもかという程張り切った様子だった。その様子を見たクレアは
微笑しながら、思わず口を開く。

「ふふ、なかなか威勢がいいわね、スフレちゃん。」

「期待してるわよ、スフレ。支給されたその洗脳銃で、どんどん同志を増やしていって、
 ハイグレ魔王様の為に一緒に貢献しましょう。」

と、クレアの後に言うマリア。それに対し、満面の笑みで「うんっ!」と答え、和気藹々と
した雰囲気を作り上げていった。
しかし、そんな雰囲気とは裏腹に、ソフィアの心は、不安で一杯であった。何せ、万が一
自分がハイグレ人間ではないという事がバレでもしたら、即刻スフレと同じ目に遭う。
今回の事件の原因は突き止めた。しかし今のソフィアは恐怖のあまり、それに対して如何に対処するべきか、
という事ではなく、如何にして洗脳から逃れるか、という事に思考を終始させていた。

(・・嫌・・・ハイグレ人間なんて・・・なりたくない・・・!)

ソフィアが心の中でそう思っていた矢先、近くの路地裏から、ハイグレ女の大声が聞こえてきた。

「未洗脳者よ!大勢いるわ!!」

その直後、声がした方向から、赤い閃光が何回かパッ、パッと起こった。
途端、ネル達は待ってましたと言わんばかりに洗脳銃を取り出す。

「よし!いくよあんた達!遅れるんじゃないよ!」

そう叫ぶと、一行は駆け足で現場へと急ぐ。
現場に着くと、洗脳銃を持った一人のハイグレ女と、洗脳されて間もないであろうハイグレ女が
「ハイグレッ!ハイグレッ!」とハイグレポーズを決めていた。

「その人達で全員?」

現場に駆けつけたマリアが、洗脳銃を持ったハイグレ女に問いただす。

「いえ、10人以上いたのですが、この人達を除いて、逃げられました。」

それを聞いたクレアは、元隠密らしく、テキパキと他のハイグレ女達に指示を出し始めた。

「未洗脳者は大勢いるようですから、何手かに分かれて、この一帯を捜索、発見次第各個に
 思想矯正をしていきましょう。未洗脳者達は武器か何かを持ってる可能性があるから、十分注意
 してください。」

「OK、わかったわ。」

クレアの指示の元、ハイグレ女達は一斉に町に散らばっていった。





ソフィアは、持ちたくもない洗脳銃を持って、単独で付近の路地裏へと足を運んでいく。
だがその足取りは重く、表情は曇りっぱなしであった。

(うぅ・・・こんなことやりたくない・・・けどやらなきゃ怪しまれるし・・・。)

彼女自身の身の安全を守るためとはいえ、普通の女を、あんなオカマの手下に洗脳するなど
当然のことながら、ソフィアは進んでやる気など起きない。
だが、それなりのアクションを起さないと、ヘタしたら自分が洗脳されてしまう。
出来れば、自分の前には普通の人が飛び出してきませんように・・・とソフィアは願って
いたが、そんな儚い希望はすぐに崩れ去った。

道なりに歩いていくと、前方にある家のドアがバンと開かれ、そこからハイグレ姿ではない女達が、
3人出てきたのである。

「こっちに行きましょう!こっちなら敵は・・・・・っ!」

先頭に立っていた女とソフィアの目が合う。お互いを見た途端、両方とも驚愕した。

「ミ、ミラージュ・・さん・・・!」

「・・・ソフィアさん・・・。」

そこには、自分の旅の仲間であったミラージュがいた。ソフィアはミラージュが無事な事に少しホッと
したが、一方のミラージュは、洗脳銃を持ったハイグレ姿のソフィアに、警戒を一気に強めた。
ミラージュが警戒を高めたのに気づいたソフィアは、慌てて自分の姿について訂正を始める。

「あ・・えっと・・・こ、この格好は違うんです!私、まだ洗脳されてなくて、普通の服のままじゃ
 ろくに動けないから、こうやって変装のために着てるだけでなんですよ!」

「・・・その格好で信じろと言われても、まるで説得力がありませんね。」

と、ソフィアの必死の訴えは軽く一蹴されてしまった。それどころか、ミラージュは話にならないと
言わんばかりに、ファイティングポーズを取り戦闘態勢を整える。

「残念ですよ、ソフィアさん。あなたはまだ、敵の毒牙にかかってないだろうと思ってました
 からね・・・。本当に残念です。ですから・・・・苦しまないよう、倒させて頂きます。」

ミラージュがそう言うと、他の二人の女も、鉄パイプを構えた。

「ちょ、ちょっと待ってくださいミラージュさん!!」

「これ以上、騙し言葉など聞きたくもありませんよっ!」

そう言ったのを皮切りに、ミラージュ達はソフィアに攻撃を加えるため、ソフィアの方に
駆け出す。

「てやぁ!!!」

ミラージュの高速蹴りがソフィア目掛けて飛んでくるが、ソフィアはなんとかソレを交わす。
その直後、鉄パイプが続け様にソフィアに降ってくる。

「ひぃいい!」

ソフィアは涙目になりつつ、悲鳴を上げながらソレを紙一重で交わし、ステップを使い
慌てて距離を取るが、ミラージュは一瞬のスキも作らせないよう、再び彼女に向かって
高速で詰め寄ろうとする。

(いやぁ!このままじゃ・・・やられちゃう!!)

本能的に危機を感じたソフィアは、何とかやられない為に術を必死に模索する。
お得意の魔法を使って防ぐという案が最初に浮かんだが、魔法ロッドを水着屋に置いてきてしまった
為、それは出来ない。逃げるという手も考えたが、恐らくスピードではミラージュの方が上だ。
では、他に自分の身を守る術はないか。それを考えてるうちに、ソフィアは自分が手に持ってる
物に気づく。

(・・せ・・・洗脳銃・・・!)

ソフィア自身としては、こんな、人をハイグレ人間にしてしまうようなバカげたモノは
使いたくなかったが、今はそんな事を言ってられない。躊躇してたら自分の危機を逃れられないのだ。
決心したソフィアは、洗脳銃の銃口を水平に向け、

「・・・・ごめんなさいっ!!!」

と叫びながら、引き金を3回引くと、銃口から赤いビームが乱射された。

『あぁああぁああぁぁああっん!!?』

赤い閃光がミラージュ達を包み込む。それと同時に、二人の女達が持っていた鉄パイプがカランという
音をたて、地面に落ちた。その閃光の激しさに、ソフィアは思わず腕で目を隠すが、閃光はすぐに収まった。
ソフィアが腕をどかして見てみると、そこには黄色いハイレグ姿のミラージュと、同じくハイレグ姿に変わった
女達の姿があった。
三人は暫くうつむいたままであったが、すぐに顔をあげる。ミラージュが最初に口を開いた。

「ソフィアさん、さっきは本当に申し訳ありませんでした。同志である貴女に、あんな攻撃を
 加えてしまって・・・。」

と、申し訳なさそうな顔で陳謝するミラージュに続き、他の女達も口を開きだす。

「本当、今までの私達って、愚かの一言だったのね・・・。こんなにも素晴らしいハイレグを拒み続けたなんて
 今考えても、正気の沙汰とは思えないわ・・・・。」

「だけど、貴女に思想を矯正してもらったお陰で、これからは何も後ろめたいことなく、ハイグレ魔王様の為に
 忠誠を尽くせるわ!ありがとう!」

最後の一人がそう言うと、三人はハイグレポーズを取り、ハイグレコールとコマネチ動作を行った。

『ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!』

彼女達にとっては、これは喜ばしい事なのかもしれないが、ソフィアにとってはまるで嬉しくない。
むしろ、自分の身を守る為だったとはいえ、自分のせいでハイレグ姿となった三人の女の姿を
見ているのは精神的につらいものがあり、一刻も早くこの場から立ち去りたいと思っていた。
だがソフィアは、そんな自分にムチを打って、あたかも祝福するように、とりあえず笑顔でハイグレポーズと
ハイグレコールを決める。

「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!皆さん、これからはハイグレ魔王様の為に、一緒にがんばりましょう!
 そ・・・それでは、私は別の任務がありますのでこれでっ!!」

そう言うと、ソフィアはその場を駆け足で立ち去っていく。












(あぁ・・・・私、とんでもない事しちゃった・・・・)

不本意ながらミラージュ達を洗脳してしまったソフィアは、路地裏から大通りへと出るため、
罪悪感に苛まれながら、とぼとぼと歩いていた。

ソフィアの反応は、至って自然だろう。何せ、自分と共に長い間旅をしてきた、仲間のミラージュや
他の一般の女を、自衛措置とはいえハイグレ女に洗脳したのである。
しばらくソフィアは罪悪感と格闘していたが、彼女は吹っ切れたように顔をあげた。

(・・・だけど、いつまでも気にしてても仕方がないよね・・・。やるなら後悔じゃなくて、
 これから私が出来る事をやらなきゃ・・・。一刻も早くこの事態を解決する方法を探し出して、
 ミラージュさん達や他の人達を、早く元の姿に戻してあげないと・・・。)

そう自分に言い聞かせたソフィアは気を取り直し、大通りへと足を進める。
大通りに出ると、そこには大勢のハイグレ女達が、あちらこちらにたむろしており、さっき自分が大通りを
通った時よりも、確実にその数は増えていた。

「ソフィアー!」

ふと、自分を呼ぶ、マリアの声がした。そちらの方に振り返ってみると、そこにはネルとマリア、クレアに
スフレの姿。
ソフィアは四人に歩み寄ると、四人は挨拶代わりのコマネチ動作とハイグレコールを決める。

『ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!』

「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!・・・そちらは、もう探してた人達の思想矯正は終わったんですか?」

ソフィア自身も挨拶し返した後、さりげなく進行状況を尋ねた。

「ええ、まとまって納屋に隠れてたから、合流したみんなと一緒に洗脳してあげたわ。」

そう言ってマリアは視線を、商店の前でたむろしているハイグレ女達の集団にむける。ハイグレ女の一人が
マリアの視線に気づくと、やがて全員が視線に気づく。そして感謝の意を込めてなのか、一斉に
ハイグレポーズを取ると、『ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!』とコマネチ動作とハイグレコールをした。
それに答えるかのように、四人も同じ行動を集団に向けて行う。

「それで、これからどうするんですか?」

二人が返事の挨拶を終えたのを確認すると、ソフィアは二人に聞いた。すると、今度は
クレアが口を開く。

「今はちょっと小休止です。もう少ししたら、また未洗脳者を探しに行きますから、そのつもりで
 お願いしますね。・・・・それよりソフィアさん、そちらの戦果はどうでした?」

唐突にクレアがソフィアのことを聞いてきた。ソフィアは、ミラージュ達との一件を思い出し、内心
罪悪感が再び出たが、そこをぐっと押さえ、淡々とした口調で報告した。

「はい、すぐそこの路地裏で、ミラージュさんと二人の女の人と出くわしたので、全員ハイグレ魔王様の
 忠実な部下として、思想矯正してきました。」

それを聞いた四人は、意外そうな顔をする。

「へぇ・・・なかなかの戦果じゃない。」

と、マリアが呟く。
そこへ、路地裏から今ウワサのミラージュが現れた。

「あら、皆さん、お揃いなんですね。ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」

『ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!』

ソフィアも、手馴れた様子でネル達と一緒にハイグレポーズを決める。何回もやっていると、
最早嫌でも慣れてきてしまっていた。

(あぁ・・・なんか嫌だなぁ・・・・)

そんな自分にある種の嫌悪感を抱いて、内心で呟くソフィアだったが、挨拶が終わってから
ミラージュの口から出た言葉に、ソフィアは今日最大のピンチを迎える。



「ソフィアさん、先程、私の思想を矯正してくださった時に、洗脳銃をくださいました?」





一瞬、ソフィアは何のことだか戸惑った。

「え・・・?な、何のことですか・・・?」

「ですから、洗脳銃ですよ。先程、町の掲示板に、洗脳銃についてハイグレ魔王様から告知が
 あったんです。
 『諸事情により、思想矯正を受けた者は、思想矯正を施した者より洗脳銃を受け取るように』と・・。
 ですから、こうして戴きに参りました。」

その言葉を聴いた四人は、ふ〜ん、と軽く頷く。

「どういう事情があるかは知らないけど・・・。魔王様からそういう告知が出た以上、ちゃんと
 ミラージュに洗脳銃を(念じて)出してあげなきゃだめだよ、ソフィアちゃん。」

「そうだよソフィア、今すぐにでも、念じて洗脳銃を出してあげな。」

と、スフレとネルは言うが、いきなり洗脳銃をミラージュに渡せと言っても、ないものを
渡せるハズがない。さすがに、予備がない限り、自分のを渡したら変に思われるため、迂闊に行動できず
ソフィアは段々と窮地に追い込まれ始めた。

「?どうしたのソフィア?魔王様にお仕えする者であれば、洗脳銃は必要なとき、「必要だ」と念じれば
 すぐに空中で創り出せるハズよ?」

と、言うマリア。だが、そんなこと言われても、ソフィアは本物のハイグレ人間ではないため、
そんな事できるハズがない。

「・・・まさか、出来ないの?」

スフレが発した言葉に、一瞬ソフィアはドキリとする。

「い・・・いやだなぁスフレちゃん、冗談キツいよ。」

苦笑いで何とか応答するソフィアだが、その額には冷や汗がだらだらと流れている。
そんなソフィアの様子に気づかない者は皆無であり、段々とソフィアに対して
疑惑の目線を送るようになってきた。
そして、そんな状況のソフィアに更に追い討ちをかけるが如く、今度はネルがある事に気づいた。

「・・・ん?ソフィア、なんだい、ハイレグの右肩の部分についてる小さい紙は?」

「え?」

ソフィアは自身のハイレグの右肩の部分に手をやると、そこには確かに何かボール紙のようなモノが、
水着に糸でくくり付けられていた。
何だろう、とソフィアがそれを取る前に、クレアの手が伸び、問題の紙をブチッと取る。
そして、その紙を見たクレアの表情が険しいモノとなった。

「・・・・・値札表・・・。なんで神聖なハイレグに、こんなモノがついてるんですか?」

その単語を聞いた途端、ソフィアに対する全員の視線に、懐疑の色が宿った。ソフィアは
水着屋で変装用の水着を着込む際、予めついていた値札表をうっかり外し忘れていたのだ。
洗脳された女が着るハイレグには、当然そんなモノはついてない。
すぐその事に気づき、慌てて即席の言い訳を考えようとするが、今度はなかなか上手いモノが考えられない。

「あー・・・え〜っとですね・・・それは、その・・・・」

しどろもどろしてハッキリしないソフィアに、一同の視線は更に疑惑の色を強めていく。
と、その時だった。
通りの先の方から歓声が上がったと同時に、大ハイグレコールが巻き起こる。

「ハイグレ魔王様よ!ハイグレ魔王様がいらっしゃったわ!」

誰かがそう叫ぶと、周りにいたハイグレ女達は、嬉しそうに一斉に通りの先の方へと走り始める。
ソフィアは、それを話題を逸らす為のチャンスと捕らえ、すぐさま口を動かした。

「あ、ハイグレ魔王様らしいですよ、皆さん!ご挨拶に行かないと!」

だが、このソフィアの言動は浅はかであった。追い詰められて混乱してるソフィア本人には感じ取り
にくかったかもしれないが、はたから見れば明らかに話題逸らしである。
しかしネル達は、顔を見合わせた後、何故か頷き合った。その仕草にソフィアは、遂にバレたかと
ビクついたか、出てきた言葉は意外なモノだった。

「・・・・まぁ誰だって体調次第では、普段と様子が違ったり、出来る事が出来なくなる時だってあるさ。
 値札だって、もしかしたらソフィアが気づかないうちに、どっかで着いただけかもしれないしね。」

「それもそうね。ふぅ・・・なんか下らない事で余計な考え事しちゃったわ。それじゃ、ハイグレ魔王様に
 ご挨拶に行きましょうか。」

ネルとマリアがそう言うと、クレアやスフレ、ミラージュも頷き、駆け足で通りの先へと行く。
絶対バレた、とソフィアは思ったが、案外違った事にポカンとしつつも、とりあえず危機を一旦
回避できた事にはホッとし、そのままネルやマリアと一緒にハイグレ魔王の方へと向かい始める。

(あ、あぶなかった〜・・・。もう少しでバレるとこだったよ・・・・。けど、あそこまで一旦
 疑われちゃったからには、これ以上ネルさん達と一緒にいるのは危険かな・・・。
 あの魔王に挨拶し終わったら、一旦この町から脱出して再起図った方がいいかもね・・・。)

そう思いながら駆け足していると、あっという間に群集が群がってる地点にまで到着した。








視察の為に外に出てきたハイグレ魔王の両サイドには、大勢のハイグレ女達で埋め尽くされていた。
ハイグレ女達はハイグレ魔王への敬意を表する為、ハイグレコールをしながらハイグレポーズで
コマネチしている。

『ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!』

それに対し、ハイグレ魔王は通りの中央を悠然と歩きながら笑う。

「オッホッホッホッホッホ〜、みんな、ご苦労様〜。」

そんな中、ネル達も到着し、同じくハイグレポーズをとってコマネチした。

『ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!』

勿論ソフィアも、その挨拶をやる。そして、挨拶を終えて体勢を崩しかけたその時、
傍にいたネルが大声を上げた。

「ハイグレ魔王様っ!」

その声は、ハイグレ魔王は足を止めさせたばかりか、周りでハイグレコールをしていたハイグレ女達をも
静かにさせた。

「なぁに?何か御用?」

ハイグレ魔王はおっとりとした口調でネルに問いただす。すると突然ネルは、隣にいたソフィアの
首根っこを掴み、自分の前まで引きずり出したのだ。

「え!?ネ、ネルさん!?」

あまりにも突然のネルの行為に、思わずソフィアは大声で驚きの声を上げた。そんなソフィアを無視してネルは
ソフィアの首を掴みながら、再び大声を出して言った。

「この牛柄模様のハイレグを身に纏いし女・ソフィアの思想調査を願います!この者は、ハイレグを着て変装してる
 未洗脳者の可能性があるのです!」

この言葉が発せられた途端、そこにいた大勢のハイグレ女達が一斉にざわつき始めた。

一方のソフィアは、その言葉を聞いた途端、顔から血の気がサーッと引いていった。
それと同時に、ソフィアは先程のシーンを思い出し、ようやく真実に気づく。
ネル達が顔を見合わせて頷き合っていたのは、納得したからではない。
自分を未洗脳者として大衆と魔王の面前で告訴する気だったからである。
その事を考えると、これから起こるであろう出来事に対し、心の底から恐怖感が湧き上がってくる。

(い・・・いやぁ・・・!!)


一方のハイグレ魔王は、そんなソフィアの方につかつかと歩み寄り、顔をじろじろと嘗め回すように見る。

「あなた、ついさっき私の部屋に来ていた娘よね・・・・・・・あら?」

ハイグレ魔王はソフィアに、他のハイグレ女達とは違う何かに気づいた。

「あら?あらららら?なんであの時に気づかなかったのかしら・・!!???
 この娘の着てるハイレグ・・・・柄が付いてるじゃないの!あたしは柄つきのハイレグを支給しようと
 考えた覚えはなくてよっ!!」

そのハイグレ魔王の言葉が決定打であった。それを聞いた群集は、鬼のような形相に自身の顔を変えて
烈火の如く怒り出したのだ。

「な・・・なんて女なの!?神聖なハイレグを汚しただけでなく、ハイグレ魔王様まで
 欺いてたなんてっ!!」

「信じられないわっ!そんな愚かな未忠誠者、今すぐにでも思想矯正して、自分の
 やった愚かさをわきまえさせるべきよ!!」

あちこちで罵声と怒号が飛び出し始め、やがてそれは通り全体を埋め尽くす。
だが罵声や怒号は、ハイグレ魔王が恐怖で震えてるソフィアを、通りの中央に連れて
くると、殆どが止んだ。

「さて、いま告発があった通り、私に従わないどころか、変装していた娘がいたわ・・。
 だけどね、どんな人でも、ハイレグの素晴らしさを分かってもらえば、きっと改心して
 忠実な私の部下になると思うのよ・・・・。そこであたし、この娘に自らの手で思想矯正を
 やろうと思っとね。」

ハイレグ魔王のセリフを聞いたハイグレ女達は、魔王を欺いてた相手にも関わらず、
最後まで改心させて救済しようとする魔王の心の寛大さに胸を打たれた。

「あぁ・・・なんて寛大な御心なのかしら・・・。ますます尊敬しちゃうわ・・・。」

「さすがハイグレ魔王様だね。これでソフィアも、心の底から改心してくれる
 だろうさ。」

マリアやネルが感嘆の声を上げると、クレアやミラージュ、スフレも、微笑しながら頷き
同意した。

一方、ハイグレ魔王と面と向き合う形を取らされたソフィアは、目の前にいる黒マントの
オカマ仮面に、これから一体何をされるのか、という恐怖でいっぱいだった。
そのため顔の表情は歪んでおり、体の方も、何とか立ててはいるが、少しでも突いたら倒れて
しまうのではないかというぐらい、ブルブルと震えている。

「さぁて・・・・じゃあ、覚悟はいいわね、子猫ちゃん?」

そうハイグレ魔王が呟いたかと思うと、ハイグレ魔王は黒マントと仮面をバッと剥ぎ取る。
魔王は赤いハイレグを下に身につけていた。

「い・・いや・・・変態・・・!!」

恐怖で震えながらソフィアは、目の前に姿を晒したハイレグ姿のオカマを目にして、思わず
口走る。
それを聞いたハイグレ魔王は高らかに笑った。

「オーッホッホッホッホ!そうじゃないわよぉ!あたしは変態じゃなくてぇ・・・オ・カ・マ♪」

そう言い終わると同時に、ハイグレ魔王は片腕の手の平をソフィアに向ける。そしてエネルギーを
送りこむと、手の平に赤い光が円形に出たと同時に、それは放射線状にはじけ飛ぶ。
それと同時に、ソフィアが身に着けていたハイレグ水着が一瞬にして消し飛んでしまった。

「い、いやぁあああっ!!」

全裸にされ、たまらずソフィアが悲鳴をあげる。だが彼女には、露になった胸や秘所を腕で隠す事すら許され
なかった。ハンドパワーか何かで、両腕を頭の上の方に拘束され、そのまま空中に宙吊りにされてしまったのだ。

「あられもない姿ねぇ。だけど大丈夫、すぐに終わらしてあげるわぁ。」

そう言うとハイグレ魔王は、どこから取り出したかは分からないが、ピンク色に輝く、ビー玉ぐらいの
大きさの水晶を取り出すと、それをソフィアの股間へと持っていく。

「え・・いや、何それ・・・やめて!!」

だがハイグレ魔王はソフィアの必死の抵抗にも耳を貸さず、片手でソフィアの秘所の奥の方へと、
その水晶玉をググッと押し込んだ。

「ひゃ・・あうぅ・・・・な、何を入れ・・・!!」

たまらずソフィアは、喘ぎ声をあげてしまうが、それでも何とかハイグレ魔王に
問い詰めた。

「んーっふっふっふ、あなたが気持ちよく私の部下になるためのクスリ・・・・。
 ま、洗脳効果のある内服催淫剤って言ってもいいかしらねぇ・・・・。つ・ま・り
 イッた瞬間、あなたは私のしもべなのよ♪」」

「な・・・。」

そんなモノを自分の秘所に入れられたと聞き、思わず言葉を失うソフィア。
今すぐにでも取り出したいが、両手を頭上で拘束されている以上、それも叶わぬ
夢である。

と、その時であった。ソフィアの中に入れられた水晶の催淫剤が急激に溶け出し、
ソフィアの体の中へと浸透しはじめたのだ。溶けて液状になった催淫剤は
彼女自身の内壁を刺激し、それがソフィアに快感として伝わっていく。

「あっ!!ひぅう・・・あぁ・・ん・・・くっ・・!」

仮にも公衆の面前である。絶対に自分の乱れた姿をそんな所で晒すまいと、彼女は歯を
食いしばって、快感に声を出さないよう耐えた。

「あらぁ、なかなか頑張るじゃないの。けどねぇ、あの水晶の威力はその程度じゃ
 なくてよ?」

そう言いながら、妖しげに笑うハイグレ魔王。そしてその5〜6秒後、水晶の威力が
発揮され始めた。

「!!!っあ、ああああああ!!!な、なにこれぇぇぇーーっ!!?ゃああああああ!!!」

突然、ソフィアの下腹部あたりが疼きだしたかと思うと、うずきの度合いが一気に高まり、
それが体中にあっという間に広がったのだ。まるで、雷の電気が人間の体を通り抜ける時と
同じような速さで。

「おーっほっほっほ!いいわねいいわねぇ、効いてきたみたいじゃなぁい!」

突如として狂ったように、かなきり声にも近い喘ぎ声を出してしまうソフィアに、
ハイグレ魔王が高らかに笑いながら、指先でソフィアの乳首をキュッと摘む。

「あっっっん!!!!!」

乳首を摘まれただけで、ソフィアの体はビクンと大きく反応する。それを見て
面白いと思ったのか、ハイグレ魔王はおもちゃを見つけた子供のように、
今度は両手を使って体のあちこちをさすり始める。

「ひゃっ・・!やぁあ・・・ん・ふっ・・はあぁあ!!」

催淫剤の影響で、体をさすられるだけでも、ソフィアは喘ぎ声を出すようになってきている。
しかしソフィアは、快感に悶えながらも、醜態を見せまいと必死に声を出さないよう
自分の快感と戦っていた。

「ほほほ、おもしろいわぁ。けどアナタ、そんなにいつまでも堪えてるのも
 苦痛でしょ?もうそろそろ観念して、快楽に身を委ねなさぁい。」

ソフィアの体をさすりつつ、ハイグレ魔王がソフィアの耳元で耳打ちする。
だがソフィアは、快感に悶えながらも、ハイグレ魔王をキッと睨みつけ、口を開く。

「ふ、ふんだ・・・あぁっ!あな・・たの・・・んあ・・部下に・・・なるぐらいな・・ら・・
 ひゃぁ・・・これぐら・・い・・はぁん・・なんなの・・よ・・・!」

悶えつつもも、必死に抵抗して悪口を吐くソフィア。そんなソフィアの様子を見た
ハイグレ魔王は体をさするのをやめると、腕組みをする。

「う〜ん・・・あの水晶を使ってここまでやれば、普通の子ならとっくのとうに
 何の恥ずかしげもなく快感に喘いでるはずなんだけど・・・・。
 どうやら、あなたには、もっと強烈なモノが必要みたいねぇ・・・。しょうがない、
 一気にレベルアップといくわ。」

そう言ったハイグレ魔王はソフィアの足を大の字に開かせると、ハイグレ魔王は全開になった足の
根元にあるソフィアの秘所に、右手の指を二本ピタリと垂直にくっつける。
その光景を見て、ソフィアはこれから何をされるのか、瞬時に悟り、激しい拒否反応を起した。

「!!いやっ!それだけは、それだけはだめぇええ!!」

「んっふっふっふ〜、ダ・メ♪」

ハイグレ魔王はソフィアの抗議を軽く一蹴すると、自分の指をソフィアの秘所の中へ
ズブズブと挿入していった。

「ああああぁあぁぁぁぁあぁあぁっ!!!!!!!!!!」

その瞬間、ソフィアは目をカッと見開き、叫ぶように悲鳴にも似た喘ぎ声を出した。
口からはヨダレが一筋たれ、体はビクン、ビクンと激しく反応している。
更にハイグレ魔王は、挿入した指を上下に動かし、ピストン運動を始めたのだ。

「あっ!あっ!あっ!あぁんっ!」

今までは何とか快感に堪えてきたが、今回ばかりはソフィアも、その快感には
対抗のしようがなかった。
だがハイグレ魔王は、そんな状態のソフィアに対して、更なる一手を打ってくる。

空いている左手の手の平を、ソフィアの額の前で広げたと思うと、そこに球形の赤い光を
作った。そしてソフィアの頭の中へと、ソレをゆっくりと浸透させていったのだ。
普通ならその事に気づかない訳がないのだが、ソフィアは下半身から伝わってくる
快感に気を取られ、それにも気づかない様子であった。





(き、気持ち・・いい・・・・!だけど・・絶対、あんな人の部下になんか・・!)

ソフィアの理性は、押し寄せる快感の波に押されつつも、ハイグレ魔王の部下になど
なりたくないという一心が、彼女の理性を支えていた。

だが、そんな彼女の精神に、もう一人の自分の声が聞こえてくる。


『ホラ、モウ快感ニ身ヲ委ネヨウヨ』

突然、自分の頭の中で響いた、別の自分の声に驚愕するソフィア。

(!?・・・だ、誰・・・!?)

『アタシハ、アナタダヨ。我慢スルアナタヲ、助ケニ来タノ』

(や、我慢なんて!そんなつもりは・・・・!)

『ナンデ?実際、コンナ気持チノイイコトヲ、ツマラナイ意地デ拒否シヨウトルデショウ?』

(い、意地じゃないもん・・!第一、気持ちいいなんて・・・!)

『アッレェ〜?サッキ、「気持ち・・いい・・・!!」ッテ聞イタンダケドナ〜?』

(そ、それは・・・!!)

『自分ノ気持チニハ、正直ニナッタ方ガイイヨ〜♪』







一方、ハイグレ魔王はソフィアの体に連続的に快感の波を与えつつ、チラチラとソフィアの
顔を見る。先程まで、抵抗の意思で輝いていたソフィアの瞳は、だんだんとその光を
失いつつあった。つまり、「普通の人間」としてのソフィアが、消えかかり始めているのである。

「んっふっふっふ・・・この娘の頭の中に送り込んだ擬似体が、上手く理性を
 崩してるようね・・・。」

ハイグレ魔王は、そう呟くと、更に愛撫を続けていった。










『気持チイインデショ〜?正直ニ言ッテミナヨ?少シハ楽ニナルヨ?』

擬似体ソフィアの侵入から、10分以上の時間が経った。
最初の方こそ、擬似体の話をなんとか突き返していたソフィアだったが、洗脳効果が
入った話術、それに外部からの快感の波により、今では落城寸前である。

(う・・うん・・・気持ち・・・いいよ・・!)

『モット気持チヨクナリタイトハ思ワナイ?』

(なり・・たいよ!だけど、あの人の・・部下・・・には・・)

『魔王様ノ部下ニナッタラ、嫌ナ事ハ何モカモ忘レテ、気持チイイ事バッカリダヨ?
 今、少シダケ思想矯正ニ堪エタラ、後ハ嫌ナ事ハ何モナイ、ハッピーナ世界ガ
 ズット続クノニナー。』

(・・・・・・。)

『マァ、嫌ナラ仕方ガナイネ。ソレダッタラ、アタシハ帰・・・・』

(待って!)

ソフィアは、どこか遠くへ行きそうな擬似体を呼び止める。

(私・・・ホントは・・もう限界なの・・・気持ちよくなりたいよ・・!気持ちよくなるには
 どうしたらいいの!?)

それを聞いた擬似体は、ニヤっと口元を綻ばせる。

『ソンナノ簡単ダヨ!我慢ヲヤメテ、快感ニ身ヲ任セレバイイダケ!ソウスレバ、
 スグニ快感ヲ味ワエルヨ!』

(そうなんだ・・・!ただ・・それだけの事なんだ!!)

その瞬間、ソフィアの理性は音を立てて崩れ去っていった。
 








「あぁ、いい!!もっと、もっと動かしてぇーっ!あんっ!あんっ!」

遂にソフィアの瞳から、普通の人間としての輝きが消え去った。それと同時に、ソフィアの口からは、
さっきまでの彼女からは絶対に聞けないような言葉が次々と飛び出してきたのである。

「あぁあん!気持ち・・いいよぉー!!ひゃあぁあっ!」

ソフィアの変化を確認したハイグレ魔王は、送り込んだ擬似体がソフィアの理性を突き崩した事を
確信し、ニンマリと笑った。

「オーホッホッホッホ!!!ようやく正直になったわね!さぁ、その口で言って御覧なさい!
 これからどうして欲しいの?」

ハイグレ魔王は意地の悪い質問をする。当然、ソフィアから返ってきた答えは一つであった。

「イカ・・・して・・。イカしてくださいぃ!!!」

あられもない言葉を、何の恥ずかし気もなく大声で言う。それを聞いたハイグレ魔王は、
再び高笑いをした。

「ホッホッホッホ!いいでしょう、だったらお望みどおり、イカしてあげましょう!」

そう言うとハイグレ魔王は、今までの指のピストン運動の速度を、倍以上に加速させ、
ソフィアの秘所を刺激しだした。

「ああぁぁ!!!」

指の動きのピッチが上げられる。より強くなった快感に、ソフィアは喜びの表情を
見せた。
やがてソフィアの体は、与えられ続けている快感に対し、絶頂を迎えようとしていた。

「あああっ、も、もうダメェエーッ!!!」

「ホホホホホ!イくのね!?いいわ、思いっきりイきなさい!!!」

ハイグレ魔王は、ソフィアの膣内から抜け出る寸前まで自身の指を引き抜き、そして思い切りソフィアの最奥にまで
叩き付ける。それがソフィアのとって決定打となった。

「ひゃ、ひゃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーッ!!!!!」

その直後、ソフィアの体は眩いほどの赤い閃光に包み込まれていった。






















一ヵ月後





シランドの町から遠く離れた山中。
空には青空が広がり、地肌には草や花が咲き乱れており、付近からは川のせせらぎが聞こえてくる。

だが、そんな大自然の光景には不釣合いな、石垣で出来た砦が山頂付近にあった。
そこの砦の上からは、大勢の男女が石や弓矢を、すぐ下の斜面の方に放っており、そこには
ハイグレ銃を持った、大勢のハイグレ女達の集団が、斜面のそちらこちらに点在する巨大な岩を盾に身を守っていた。

「ちぃっ!これじゃあマトモに銃の狙いもつけられやしないよ!!」

集団の中にはネルの姿もあった。攻撃部隊の隊長である彼女は、岩の陰から顔を少し出して、砦の方を
睨みながら舌打ちをする。

ハイグレ女達は、山頂の砦に立てこもった女達を包囲、洗脳すべく出撃してきたが、予想以上に
堅い守りに、手も足も出ずにいたのだ。

「マリア!ミラージュ達の方はどうなんだい!?」

ネルが再び岩影に身を潜めると、同じ岩の陰に隠れていたマリアに問いただす。

「ダメみたい!向こうもこっちと殆ど同じ状況だって、さっき伝令が来たわ!」

その報告に、ネルは思わず顔を顰める。

「く・・・!これ以上ここにいたってラチが開きやしない・・・!一旦引いて
 作戦の練り直しを・・・!!!」

そうネルが呟いた時だった。突然、砦の城壁が轟音と共に爆発し、砕け散ったのである。
その光景を見たネルとマリアは、突然の事に驚くが、すぐに、それが誰がやったものかであるかということを
把握し、つい笑った。

「ふふ・・・・そうだわ、あの娘がいたんだわ。」



一方、砦の中にいた人々は、突然爆発した城壁に驚きを隠せなかった。

「一体なんだ!!敵の攻撃かっ!?」

「応急班、消火急いでっ!」

だが、今まで破られなかった城壁がいとも簡単に破壊されても、人々は冷静を失わず、
野営テントに燃え移った火の消火活動を始める。
しかし、それも長く続かなかった。
爆破され、もうもうと立ち込める煙の中から、破壊された城壁を超えて、一人のハイグレ女が入ってきたのだ。


その女こそ、つい1ヶ月前、ハイグレ魔王の手で洗脳されたソフィアであった。
彼女は最後までハイグレ魔王に対し抵抗を続けていたが、魔王の巧みな洗脳術により、
遂には理性を崩されてしまい、今ではピンクのハイレグ姿を身に纏い、ハイグレ魔王に仕える身であったのだ。

「っ!!敵だぁ、攻撃しろ!!」

ハイグレ女の姿を確認した誰かがそう叫ぶと、そこにいた全員が消火活動をやめ、武器を持つ。そんな光景を
見たソフィアは、手に持っていた魔法ロッドを空にかざし、呪文を唱える。

「サンダーストライク!!」

すると、雷鳴と共に、どこからか雷が落ちてきて、そこにいた男達に直撃したのだ。

「ぐおおおおおおおお!!!??」

たまらず男達は悲鳴をあげ、全員気絶してしまう。

「え・・!?」

それを見た女達は、あまりの事に動揺するが、今度は彼女達に立ち直る余裕は与えられなかった。

「覚悟してくださいっ!マインドウォッシュッ!!」

そうハイグレ女が叫ぶと、彼女が持っていたロッドの先に赤い光が灯り、その数秒後には、
数え切れないほどのの線となって、女達の方に放射状に飛んでいった。






それから数十分後、砦は完全に制圧された。
女達はハイグレ魔王に忠実なハイグレ女として生まれ変わり、男達は建設労働者(ほぼ奴隷)として、
シランドの町まで連行されていく。

そんな中、ソフィアは砦にあった、爆破を免れた城壁の上に上り、ある方角に向かって
ハイグレポーズを取りつつ、ハイグレコールとコマネチ動作をしていた。

「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」

地上で戦闘の後処理を終えたネルとマリアは、声の発生源がどこと突き止めると、一緒に城壁へと
あがり、一人でコマネチするソフィアに問いかける。

「ソフィア、何をしてるの?」

マリアの声に気づいたソフィアは、コマネチをやめると、笑顔で返答した。

「ふふ、シランドの町にいるハイグレ魔王様に、戦闘に勝利した事の喜びを伝えようと
 思ったんですよ♪勿論、こんな距離で実際に伝わる訳ないんですけど、それでも
 やらずにはいられなかったんです♪」

そう言って、ある方向を指差すソフィア。その方角で視界に入るのは山の峰のみだが、その先には
確かにシランドの町があるのだ。
一種のお祈りみたいなものだが、それを聞いたネルとマリアは、ソフィアの魔王に対する忠誠に感嘆した。

「なるほどね。確かに本当に伝わる訳じゃないけど・・・それでも、その喜びをハイグレ魔王様に
 お伝えしたいと思う事は当然だね!」

「全くの同感よ!あぁ、なんか私もやりたくなってきちゃった・・・。ねぇ、今から三人で一緒に
 やらない?」

マリアの提案は急なモノではあったが、それを拒む理由は彼女達にはなかった。

「名案じゃないですか!じゃあ、横一列に並んで一緒にハイグレしましょうよ!」

そのソフィアの言葉に、嬉しそうに頷きながら、ネルとマリアはソフィアを挟んで横に並び、
シランドの町がある方向に向き、ハイグレポーズを取る。

だが、そういう行動を取った者は彼女達だけではなかった。城壁の真下でソフィア達の会話を
聞いていたハイグレ女が、素早く口コミ的に他のハイグレ女達に伝えており、
ソフィア達が横一列に並ぶ頃には、そこにいたほぼ全員がシランドの町に向かって
ハイグレポーズを取っていた。

「それじゃあ、いきますよ!」

準備が終わったのを確認すると、ソフィアは大声で言う。そしてその数秒後、
ソフィアがハイグレコールとコマネチ動作を始めたのをきっかけに、他の
ハイグレ女達も一斉にそれらの行為を始めた。

『ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!』


その光景はまさに、ハイグレ魔王の侵略完了を示す、紛れも無い事実としてのモノとなっていた。
女性達は、昔の理性をなくしてハイグレ魔王の忠実な部下となり、今はただひたすらハイグレ魔王への敬意と
喜びを表すために、コマネチをしながら叫んでいる。

そんな中、唯一最後まで抵抗を続けていたソフィアも、身も心もハイグレ魔王の僕となってピンクのハイレグ姿となり
ネル達や他の女性達と一緒に、ただひたすらハイグレコールを嬉しそうに叫びながら、力一杯コマネチを繰り返している。
ハイグレ魔王の目から見たら、まさに滑稽以外の何物でもないだろう。


「ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ネルさんにマリアさん、声が小さいです!!それじゃハイグレ魔王様に失礼ですよ!!
 これぐらい大きく!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」

「ああ、悪いね!指摘感謝するよソフィア!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」

「声が小さいのね、わかったわ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」


こうして大勢のハイグレ女達は、ハイグレ魔王の忠実な部下として、砦を陥落させた喜びを魔王に伝えるという
意気込みで、ひたすらコマネチとハイグレコールを続けた。
そしてその日は一日中、砦からハイグレコールが消えることは無かったという・・・。


『ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!』





END
ルアン
2008年04月07日(月) 18時33分18秒 公開
■この作品の著作権はルアンさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
スターオーシャン3をネタに使ってハイレグ小説を書いてみました。
原作分かって無いとキツいかもしれませんが、一応載せるだけ載せておきます。