らき☆すた〜もってけ!ハイレグみずぎ〜
「さあ始まるざますよ」
「行くでがんす」
「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」
「まともに始めなさいよ!!」

「さて、今日はもう終わりっと・・・」

春日部市内を走る一台のパトカー、そこには三人の婦警が乗っている。
1人は今年の春配属になった新米警官、それとやっと1年目のまだまだ駆け出しの警官
そして、彼女達の教育係を勤めるのが26歳のそこそこベテラン、成実ゆいであった

「先輩、そこの建設中のビルでいいんですよね?」
「ああ、暴走族がたむろしているって通報があったからね、まあ2〜3人だから、大したこと無いかなと・・」
「でも先輩!!相手がもし襲ってきたら・・・」

ガクガク震える新米警官、当然だ、ついこの間まで学校という安全を保障された世界にいたのだから
それをいきなり無法地帯という地獄へと叩きつけられる現実

「なぁに、心配しなくていいよ、そんな時は・・・ドン!!」

まるで映画の主人公のようにピストルを撃つしぐさをしながらゆいは彼女達に懸命に笑顔をかけている、これも
いつも底抜けに明るい彼女らしい励まし方である

「さて、と・・出陣と行きますかぁ?」
「わかりました」

丁度建設中のビルに着いたようだ、ゆいと後輩は拳銃の装備を確認すると、パトカーから降りた
新米警官を1人残して・・・

「あ、あの先輩!!私は・・・」
「君はパトカーに残っていたまへ〜♪」
「な!い、嫌ですよ!!私1人で待っているなんて!!私も!!」

当然彼女も行きたいはずだった、自分だけ仕事ができない、それは社会人にとってどれだけ苦痛だろうか?
いや、それもあるが彼女の場合、1人だけパトカーに置いていかれることの方が不安であろう
1人でいる時に襲われたらひとたまりも無い、アニメで言うなら死亡フラグ立ちまくりである

「いや〜連絡係だよ、連絡係、5分で帰ってくるよ、5分たって帰ってこなかったら応援を呼んでくれたまへ〜」
「ほ、ホントに5分で帰って来て下さいよぉ!!」
「ははは、このシャープシューターゆいちゃんを信じたまへ〜」

そう言い残しゆい達は建設中のビルへと消えていった・・・

「も〜!!早く帰ってきてよ〜!!」

仕方が無い、大きくため息をつきながら彼女はシートを倒しゆいが帰ってくるまで休むことにした・・・

「あと3分もあるのか、意外と長く感じられるんだよね・・・」

プレッシャーにはどうも弱いようだ、コーヒーでも飲んで落ち着こう、そう思った
幸いにも近くには自動販売機がある、ちょっとぐらいなら出歩いてもいいかな、そう考えていた

「ふ〜、やっぱジョージアだよね♪あと、2分か、先輩達早く帰ってきてよぉ〜」

ガタッ!!

「な、何今の音?」

不意に後ろから物音がした、一体何だ?例の暴走族か?怖い、だが自分は警官だ、怖がっているわけにはいかない・・・
彼女は勇気を出して振り向き拳銃を構えた

「だ、誰だ!!動くな・・・抵抗すれば・・・・」

バシュバシュバシュ!!!!!!

どうやら向こうの方が撃つのが早かったようだ・・・・・

「ん?何か向こう光りませんでした?」
「気のせいじゃないの?ネオンの光だったりして?」

しかし一向に暴走族とは出会わない、一体どういうことか?

「先輩、手分けして捜しませんか?どうも広すぎます」
「そうね、何かあったら無線で呼んでね?」
数分後

「なんだ、こっちにもいないじゃないか・・・・」

二手に分かれて捜してみるも、全然見つからない
建設中のビルなのだから、すぐに見つかるはずなのに
煙草の火、バイクの爆音、見つかる要素はたくさんあるのに・・・

「発見に至らずか・・・仕方が無い、そろそろ戻るか」

そうやってゆいは無線で後輩の婦警を呼んだ

『あ、もしもし、そっちはどうだった?どうぞ」
『はい、こっちも異常ありません、どうぞ」
『そう、だったらさっきのところで待っててくれる?』

異常なしか、結局自分達がここに来るまでに逃げてしまったようだ
イライラしながら待っているとやっと後輩が待ち合わせ場所に来たようだ

「見つかりませんでしたね」
「逃げちゃったんだよ、あ〜あ、無駄骨だ、早く帰ってコーヒーでも飲もう」
「そうですね、ではあの新米に連絡を取りましょう」

すると後輩は無線機を取り出して、後輩に異常無しと笑顔で報告する
きっとたった一人で待っている後輩を安心させてやろうという彼女なりの優しさなのであろう
しかし・・・

「先輩!!大変です!!」
「え〜?どうしたの?」
「さ、さっきの暴走族に絡まれてるらしくて・・・」
「えっ?」

「は、早く行かないと・・・」

そう聞くや否や二人は駆け出した、まさか暴走族がいるとは
手遅れにならない内に、早く助けなくては、そう思いながら拳銃の装備をしなおした

「静かですね?」
「うん」
「ま、まさか連れ去られて大変なことに・・・」
「バカね!この暴走族は女よ、そんなことするわけが・・・」
「だってそっちの方面の人かも・・・」

確かにそうだ、さっき聞いた情報によると、暴走族は女のようだ
最近ここを荒らしまわっている無法者だが、彼女に危害を加えるとは到底思えないが・・・

「お〜い、こっちですよぉ〜!!」
「あ、なんだこんな所にいたのか?」

ふと後ろから声がする、どうやら無事のようだ、向こうでニコニコ笑っている新米の婦警がいた

「で、でも暴走族が・・・」
「はい、1発、威嚇射撃をしたら逃げていきました」
「い、威嚇射撃って!」

なんということだ、日本では威嚇射撃をしたならわざわざ書類に書かないといけない
その上逃げられたとあっては・・・
その時・・・

ブルルルルルルルルルルルルルル!!!!!

「な、何よあれ?」
「ぼ、暴走族です!!!」

するとバイクに乗った大勢の暴走族のような人間が大量に建設現場へと乱入してきたのだ、それだけではない
彼らの衣装は異形とも言える格好で、頭にはストッキングのような物を被り、肩には銃のような・・・

「ぶ、武器を持っています!!!」
「くっ!!こりゃ敵わないわ、逃げるしかない!!」
「は、はい!!」

バシュバシュバシュ!!!

「ひいっ!!な、何よこれ!!」

一瞬ゆいの横を高速で赤い光が通過した、それは壁に当たるとすぐに消えて・・・

「ま、まさかあの光線に当たったら死んじゃうの?」
「そ、そんな・・・」

二人の後輩も怯えているようだった、レーザーか何かはわからないが、当たったらとてもじゃないが
無事では済まされない

「あっ!!!」

油断した、ゆいはうっかり落ちていた石で躓いてしまい床に転げた

「だ、大丈夫ですか?」

すると新米の婦警がゆいに手を差し伸べる、だが・・・

「あ、あれ?」
「先輩がいません!ま、まさか成実さんを置いて・・・」
「クソッ!!まさかアイツ1人で逃げて・・・」
「きゃあああああああああああっ!!!」
「な、何今の声?」

向こうの方から聞こえた、これは一体?この声はゆいの後輩の婦警、どういうことだろう?

「と、とにかく行ってみよう・・・・」

だんだんと声のした方へと進んでいく、すると二人を待っていたのは・・・

「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」
「な、何やってんの?アンタ・・・・」
栄都
2008年04月20日(日) 23時12分21秒 公開
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