コードギアス 反逆のルルーシュR2 ハイグレの騎士団 完成版
第一部・学園編

日本はブリタニア帝国によってエリア11と命名され、過酷な支配を受けていた。
通称ブラックリベリオンと言われる戦いからから一年。ゼロの復活により活動を再開した黒の騎士団。
しかし、太平洋奇襲作戦で新総督ナナリーの奪取に失敗し、ゼロは行方をくらましていた。

「俺よりスザクをとるとはな・・・。俺も堕ちたものだな・・・。ロロの言うとおり、このまま学生として暢気に暮らしていたほうがいいかもな。そのほうがナナリーのためだ。」
ルルーシュは例によって授業を抜け出し、一人で黙々と考えていた。
「くそっ、俺に力さえあれば、ナナリーは、ナナリーは!!」

「そんなに力が欲しいですか?」
ルルーシュの背後に忍び寄る影。
「(くっ、聞かれていたのか・・・・。ギアスをかけて口を封じるか・・・。)」
「あの?」
ルルーシュは振り返ってみると見覚えの無い服を着た女性が立っていた。部外者のようだ。
「ああ、何の用だい?ここの学生じゃないみたいだけど?」
「力が欲しいのでしょう?世界を支配し、王となる力が。しかし、絶対遵守の力をもってしても妹は救えない。」
「なぜそれを・・・・。」
ルルーシュは不審に思った。王となる力、つまりギアスについて知っているのは一部の人間だけだ。
「お前は情報局の人間か?」
「私はハイグレ魔王様の使いの者です。あなたが望むなら、授けましょう、ハイグレの力の一部を。」
「ハイグレの力?」
「そうです。人々をハイグレ人間にし、奴隷として使役できる力です。」
「ふっ、おもしろい冗談だね。面白い話を聞かせてくれたお礼に・・・。」
ルルーシュはおもむろに立ち上がり、左目に手を当てる。
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる!今聞いていた俺との会話を忘れろ!!」

ルルーシュはギアスを放つ。
「効きませんよ?」
「な、何ッ!!馬鹿な!!」
「私にはハイグレ魔王様のご加護があります。その程度では私を倒せませんよ?」
「くっ!」
「これで少しは信じる気になったでしょう?試してみませんか?」
「分かった、イレギュラーだが、少しだけ信じてやろう。その力とやらをさっさとよこせ!」
「どのような形で欲しいですか?好きな形で差し上げますが。」
「そうだな、それならギアスでくれ。俺はそれで慣れているからな。」
「分かりました。」
呪文らしきものをブツブツと唱え、ルルーシュに赤い光線を放つ。
「ぐっ!」
ルルーシュは不思議な感覚に襲われた。新しい力が体の中に宿っているのを感じる。
今まで半信半疑だったが、全幅の信頼に変わった瞬間だった。
「ふっ、これが新たな力、ハイグレのギアスか。有効に使わせてもらうぞ。」

「あなたたちの世界のギアスというものについては調べています。この世界では、コードを持っている人にはその力は通じないそうですね?」
「ああ、そうだ。」
「これはハイグレ星オリジナルの秘術なので、誰にでも効力を発します。」
「C.C.にもか?」
「はい。例外はありません。そして、ハイグレ人間になるとその人のあらゆる力がアップします。」
「なるほど、それでハイグレ人間の軍隊も作れるわけか。」
「あなたの手腕によりますけどね。では、このハイグレ銃も渡しておきましょう。あなたが軍隊を組織した暁には役立つでしょう。」
女性に一丁の銃を手渡される。
「それと、ハイグレ星七つの秘宝の一つ、魔王の剣です。必ず役に立つときが来るでしょう。」
「何の役に立つんだ?」
「時が来れば分かります。肌身離さず持っていてください。」
「なぜここまでする?何かメリットがあるのか?」
「任務ですから。あなたと同じで、利用できるものはするだけです。」
「俺と同じ・・・。ふっ、そうだな。まあいい、恩に着る。」
「では、あなたのご健闘をお祈りします。それでは。」
不思議な女性は瞬間移動のようなもので消えていった。
「ふん、最後まで予想外な奴だったな。さて、誰で試そうかな?」

「おい、ルルーシュ。」
しばらく考えていると、聞き覚えのある声が。
「何だ、C.C.か。」
黄緑色の長髪、拘束着、そしてとても涼しげな瞳。間違いなくC.C.だった。
「何のようだ?」
「カレンに頼まれた。お前、黒の騎士団に戻らないのか?別に私は構わないが、お前と私は共犯者だ。知る義務がある。」
「戻らない。黒の騎士団にはうんざりしていたからな。その代わりに俺は新しい力を手に入れることにした。」
「新しい力?何のことだ?」
「お前で試してみるか。ハイグレ魔王の力を。」
「ハイグレ魔王の力?」
ルルーシュは右目に手を当てる。ハイグレ人間にするギアスは右目に宿っていたからだ。
「お前、いつから右目にギアスが?」
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる!!お前はハイグレ人間として俺の僕になれ!!」
「私にギアスは効かないと何度言えば・・・・・えっ?う、何だ、これは!!」
C.C.の体が光る。
「「う、うわああああああああああああああっ!!」
体の点滅が収まるとそこには白のハイレグ水着を着たC.C.が立っていた。
「なんだ、この格好は!!くっ、体が勝手に・・・・。」
C.C.は苦悶の表情を浮かべる。
「ううっ・・・・。ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
C.C.は素早くコマネチのポーズを始めてしまった。

「C.C.、お前はこれから俺に仕えよ。」
「仰せのままに、ハイグレ魔王様!!」
ルルーシュは今さらながらに驚いた。あのC.C.がここまで従順になるとは。
「お前が魔女なら俺はハイグレ魔王になる、それが契約だ。」
「ありがたき幸せです、ハイグレ魔王様。」
C.C.はポーズをとりながら喜びの声を上げる。小柄な体にハイレグがきれいにフィットしていた。
「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」



「ルル〜、どこにいるの〜?」
だんだん近づいてくる声。シャーリーの声だとすぐに分かった。
「ルル、見つけたよ。また授業抜け出して・・・。真面目に授業に出なさい。」
「いいんだよ、俺は。」
「またそんな事言って・・・。ん、その後ろにいる子は?」
「えっ、あ、これは・・・。」
シャーリーはC.C.に目がいく。さっと顔色が変わる。
「ルル、これはどういうこと!?女の子にハイレグを着せて変なことして楽しんでいたのね!!」
「いや、違う、これは・・・。」
「ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
C.C.は相変わらずハイグレポーズを取っている。
「何が違うって言うの!?これが動かぬ証拠じゃない!!」
シャーリーがC.C.をビシッと指さして言う。
「ああ、これはね、世界平和のため、ブリタニアの圧政から世界の人々を解放するためなんだよ。C.C.!!」
「何でしょう、魔王様。」
「シャーリーを取り押さえろ。」
C.C.はシャーリーを羽交い絞めにする。
「くっ、何をしようっていうの!?」
「暴れるな。お前はハイグレ魔王様に直々に洗脳して頂けるんだ。ありがたく思え。」

「シャーリー、君は幸運だよ。俺の新世界の創造をいち早く身近で見ることができるんだからな。」
「何を言ってるか分かんないよ!」
「すぐに分かるさ。」
ルルーシュは右目に手を当てる。
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命ずる!!お前は、ハイグレ人間として俺に従え!!」
「きゃあああああああああ!!」
シャーリーの服が黄色のハイレグの水着になる。
「な、何これっ!?うううっ、か、体が勝手に・・・・。ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
シャーリーの水泳で鍛え抜かれた肉体、そしてふくよかな胸をさらけ出すハイグレ姿は一般的な男子にとってはたまらない魅力だった。ただ、そういう事に疎いルルーシュには効果が無かったが。
「ふふ、これでシャーリーも俺の意のままだ。」
「魔王様!このシャーリー・フィネットにもどんどん御命令を下さい!!」
シャーリーがポーズを取りながらルルーシュに言う。
「シャーリー、C.C.の二人に命令する。俺はハイグレ王国を建設し、ブリタニアを壊す。その為に、まずはこの学園を我が支配下に置く。学生を全員ハイグレ化するんだ!!」
「「はい!!」」
「俺は機密情報局を支配下に入れる。お前達は生徒会室を襲い、会長とリヴァルを味方にするんだ。」
ルルーシュはハイグレ銃を二人に渡し、情報部の基地へ向かうことにした。



C.C.とシャーリーは生徒会室の扉を開けた。
「会長!」
「あら、シャーリー。ルルーシュは見つかっ・・・・って何て格好をしてるの!」
ミレイがシャーリーの姿を見て固まってしまう。
「えっ?どうしたんですか、会長?ぶっ!!」
雑誌から目を離してシャーリーを見たリヴァルは飲んでいたコーヒーを噴出してしまった。
「シャーリー、お前、どうしたんだ!?これは会長のイベントですか?」
「知らない知らない!!そんなの企画して無いもん!!」
二人は完全に混乱していた。
C.C.は無言でミレイの背後に回り、腕を締め上げた。シャーリーがハイグレ銃を構える。
「えっ?えっ?何が起きるの?」
「会長もハイグレ人間になれるんですよ?」
「ハイグレ人間?何よ、それ。」
「この宇宙で最高の存在です。あなたとリヴァルのハイグレ化をハイグレ魔王様に命令されたんです。」
「何言ってるか分かんない!そっか、これはドッキリなのね!どこかにカメラが隠れてるのね!」
「おい、シャーリー。うるさいから早く撃て。」
「うん。」
C.C.に促され、ハイグレ銃を放つ。
「きゃあああああああっっ!!」
ミレイの服が水色のハイグレに変わった。
「私も今からハイグレ魔王様の忠実な家来・・・・・・・・・・。ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
ミレイがハイグレポーズを取って歓喜している。

「会長!!」
リヴァルがミレイに駆け寄ろうとするがC.C.に阻まれる。
「くっ!どけっ!」
「この女はもうハイグレ魔王様の僕。お前がどうしようと変える事は出来ない。」
「そんな!くそっ、とにかくこここを逃げないと!」
リヴァルは生徒会室から脱出しようと試みるが入り口はシャーリーが押さえていた。
「残念だね、リヴァル。」
「シャーリー・・・・。」
後ろにはC.C.、前にはシャーリーに挟まれていた。
「リヴァル、あなたの大好きな会長のハイグレ姿、見られて嬉しいでしょう?」
「そんな事でごまかされないぞ!」
「リヴァル、あなたも一緒にハイグレ人間になろう?」
いつの間にかミレイがリヴァルの手を押さえていた。
「なっ?会長?」
リヴァルが一瞬身動きを忘れている間にハイグレ光線を叩き込む。
「うわっ!ぐっ・・・・・・・・・ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!俺もハイグレ魔王様のために働くぞ!!」
リヴァルは青色のハイグレ人間と化し、魔王に対する永遠の忠誠を誓った。

「どうします?このままこの学園のハイグレ化をしますか?」
「私が全校生徒の緊急集会ってことで人を集めるわ。そこで一網打尽にしましょう。リヴァル、用意して。」
「分かりました、会長。」
生徒会のメンバーが全校生徒を一気にハイグレ化するための作戦を立て始める。
「私は魔王様のお側に参ってくる。」
そう言ってC.C.は生徒会室を出た。



一方、ルルーシュは機密情報局の隠し部屋の中にいた。
「ふん、簡単なものだな。こうもやすやすとやられてくれるとは。」
情報局員がハイグレポーズを取っているのを眺めるルルーシュ。
「あとはヴィレッタとロロだけか。まあいい、すぐに俺の支配下に入れてやるさ。」

「兄さん!」
ロロが部屋に入ってくる。
「これはどういうこと?」
「ああ、ロロか。見ての通りだよ。」
「だって、おかしいよ!兄さんのギアスは一人に対して一回しか効かないはずでしょう?」
「ギアスじゃないからだ。とある人物から魔王の力を授かったんだよ。」
「魔王の力?」
「ああ、ハイグレ魔王になる力さ。」
「そんな怪しいもの、兄さんには必要ない!なんだったら僕がそいつを・・・・・。」
「(あいかわらず理解の悪い奴だ。だが、こいつに体感時間を止めるギアスを使われると面倒だ・・・。)」

「なあ、ロロ。黒の騎士団のことはあきらめて、一緒に暮らそうって約束しただろう?」
「うん。もちろん忘れてないよ。」
「だが、この世界情勢だ。いつ俺達の生活に土足で上がってくる奴らがいるか分からない。」
「その時は僕が兄さんを守るよ。」
「お前にはもう人殺しはさせたくないって言っただろう?だったら、そんな事をしなくていいように世界を変えればいいんだ。」
「どうやって?」
「そのためにハイグレ人間が必要なんだ。皆がハイグレ人間になればブリタニアとナンバーズの区別が無い平等な社会が作れる。そうすれば俺たちはずっと平和に暮らせる。」
「分かった、僕、兄さんのために協力するよ!」
「(ふはははははっ!!やはりこいつはボロ雑巾だ。ああ、協力してもらうぞ。ボロ雑巾になるまでな!!)」
ルルーシュは内心でほくそ笑んだ。
「じゃあ、ちょっと暗示をかけさせてもらうぞ。なに、おまじないのようなものだ。目を開けてくれ。」
「うん、分かった。」
ロロはかっと目を見開く。
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命ずる!!お前はハイグレ人間として全力で従え!!」
「えっ?な、何これっ!!話が違っ・・・・・・・・・・・・・うわあああああああああああっ!!!!!」
ロロは緑のハイグレの水着姿になってポーズをとる。
「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!これは兄さんに絶対の忠誠を尽くします!」
「ああ、頼むぞ、ロロ。」

部屋の扉が開き、ヴィレッタが入ってくる。
「おや、ヴィレッタ先生ですか。どうしました?」
「これは、どういうことでしょうか、ゼロ?」
「やだなあ、先生。俺に敬語なんて使わなくていいですよ。」
「これはなんだ、ルルーシュ?」
「この学園は既に俺の支配下に入りつつあるんです。先生も御一緒にどうですか?」
「くっ、バカな!!」
ヴィレッタが銃を構える。
「それが答えですか。」
ルルーシュはパチンと指を鳴らす。情報局員が総がかりでヴィレッタを取り押さえる。
「ヴィレッタ、あなたは身分の低い出身であることにコンプレックスを抱いていた。しかし、もうそれも今日でお終いだ。」
「どういう意味だ!?」
「ハイグレ人間として皆が平等に暮らすんだ。さあ、ハイグレ人間になってもらうぞ!!」
ルルーシュがギアスを発動する。
「うわああああああああああああっ!!いやだあああああああああああっ!!」
ヴィレッタは自分の精神に介入してくるハイグレ人間に抵抗をするが力尽きた。
「ぐっ・・・・ハイグレ人間としての私を受け入れよう・・・・・・。ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
ヴィレッタは赤いハイレグ水着を着てポーズを繰り返した。

校内放送が鳴っているのが情報局の端末で分かる。その端末をオンにする。
「なるほど、そういうことか。会長の考えそうな手だ。よし、すぐに向かおう。」



ルルーシュの携帯にC.C.から連絡が入る。
「カレンがアッシュフォード学園の中に入りこんでいます。魔王様、どうしますか?」
「(カレンか・・・。恐らくは俺に黒の騎士団に戻るように説得しに来たな。)」
「魔王様?」
「既に機密情報局は俺の支配下に入れた。彼らと協力してカレンを拘束しろ。」
「かしこまりました。」
ルルーシュはヴィレッタ達に必要な指示を与え、外に出る。

学生講堂に到着すると全校生徒、職員が揃っていた。
「おい、会長達はどこだ?全然顔を見せないぞ?」
「今度は何のイベントなのかしら。」
学生達があちこちでこそこそ話している。
「あっ!副会長!」
ルルーシュがいることに気付いた数人が手を振っている。

いきなり講堂の明かりが消える。
「さあ、学生と教職員の皆さん!今日は皆さんに重大な発表があります!」
スピーカーからミレイの声が聞こえてくる。
「今日、この学園に新しいリーダーが誕生しました!その名は・・・・・。」
学生達がガヤガヤと騒ぎ出す。
「ルルーシュ・ランペルージです!!さあ、舞台の上へ!!」
学生達がルルーシュのために道を開ける。
「ありがとう。」
ルルーシュは舞台に上った。
「今ご紹介にありましたように、このルルーシュ・ランペルージがこの学校の新しいリーダーになりました。」
学生と教職員から驚きの声が漏れる。ルルーシュが生徒会長になると思っているようだ。
「そこで皆さんにお願いがあります。それは・・・・。」
ルルーシュは右目に手を当てる。
「このハイグレ魔王・ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命ずる!!全員、ハイグレ人間として我に従え!!」
壇上のルルーシュに注目していた聴衆と目が合う。そして・・・・
「イエス・ユア・ルルーシュ!!イエス・ユア・ハイグレ魔王!!」
生徒会のメンバーが壇上に顔を見せる。
「さあ、皆で一緒にハイグレ魔王様を称える儀式を行いましょう!!」
全員が同じようにコマネチのように手を当てる。
「ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」

「何よ、何なのよ、これは!!」
講堂の中の様子を盗み見ていたカレンは何が何だか分からなかった。
「まさか、ルルーシュがギアスを!?でも、こんな事に何の意味が?」
カレンは中が暗くてよく見えないので、少しでも中を観察しようと試行錯誤していた。
「お前はハイグレ魔王様の目を直接見ていないんだな。」
カレンに聞き覚えるのある声。
「C.C.!!」
「カレン、ハイグレ魔王様の命によりお前を拘束する。一緒に来てもらうぞ。」
「くっ!!」
カレンが気付かない間に周りをヴィレッタ以下の情報局のメンバーに包囲されていた。手に手に銃を持っている。
「逆らわないほうが得策ね。」
カレンは大人しくC.C.についていくことにした。

「魔王様、カレンを連れて参りました。」
「うむ、ご苦労だ、C.C.、ヴィレッタ。」
観衆達はまだハイグレポーズを取っている。
「カレン、わざわざ来てくれて嬉しいよ。」
「ルルーシュ、こんな事をして何が楽しいの?一度作戦に失敗したからって情けないね!!」
「ゼロとしてでは世界は変えられない。俺はハイグレ魔王としてブリタニアを倒すと決めたんだ。」
「何を訳の分からないことを!!」
「君はとても幸運なんだよ。」
「何が?」
「君は日本人第一号のハイグレ人間になる。」
「は?私はそんなのごめんだよ!!」
「君の強がりもいつまで持つかな。」
ルルーシュは右目に手を当てる。

カレンはギアスにかかるまいと必死に手で顔を覆う。
「ふん、悪あがきのつもりか?」
「当然でしょ!!いくらでも抗ってやる!!」
「そうか。」
ルルーシュはパチンと指を鳴らす。
「なっ、何をするの!!」
ミレイ、シャーリー、リヴァルに腕をつかまれる。
「絶対あんたなんかの思い通りになんてならない!!」
カレンは必死に目をつぶる。
「ぐっ!!」
その閉じた目をC.C.に無理矢理開けられてしまう。
「カレンよ、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命ずる!!お前はハイグレ人間として俺に従え!!」

「うわあああああああっ!!」
カレンの体が光り、赤いハイグレの水着姿になる。
「い、嫌よ・・・・わ、私、あ、あんたになんか絶対に・・・・・・うっ、うくっ、くっ、くうっ・・・・・・・。」
「抵抗できるのも限界みたいだが?」
「う、うるさい・・・・。そ、そんな、わ、私の中にハ、ハイグレ人間が・・・・・・。」
カレンは必死に抵抗する。
「うううっ・・・・・も、もう駄目、我慢できない・・・・・・・ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
カレンはハイグレ人間としてポーズを取る。
「カレンよ、もう一度尋ねる。俺に従うか?」
「はいっ!紅月カレン、ハイグレ魔王様のために粉骨砕身してお仕えしますっ!!」
微塵も迷いのない声で言った。

「(これでこの学園は完全に俺のものになった。あとは黒の騎士団をハイグレ化して戦力を揃えるか。)」
ルルーシュは既に黒の騎士団をハイグレ化した後の青写真を頭の中に描いていた。
「ゆくぞ、C.C.、カレン。黒の騎士団をハイグレの配下に入れるのだ!!」
「イエス・ユア・マジェスティー!!イエス・ユア・ハイグレ!!」



第二部・日本征服編

一週間後、黒の騎士団本部。そこにはハイグレ魔王・ルルーシュとハイグレ化された黒の騎士団メンバーがいた。
「さて、これからが本当の反逆の始まりだ。今は力を蓄え、必ずやハイグレ帝国の世界統一を成し遂げるのだ!!」
騎士団員から歓声が上がる。
「ラクシャータ、ハイグレ銃の量産化は進んでいるか?」
黒のハイグレ姿のラクシャータがそれに答える。
「後三日もすれば全員に手渡せる量と、ナイトメアフレームに搭載する量を確保できます。」
「ふむ、民衆教化用の小型艇は?」
「日本にあるオマルをモデルにすると効率的な操縦が可能だと言うことが分かりましたので、あと一週間ほど開発の時間を下さい。」
「分かった。開発についてはお前達技術班に任せる。十日後には万全の体制で日本ハイグレ化計画を実行をできるようにしておけ。」
「かしこまりました、ハイグレ魔王様。」
ラクシャータとの会話が終わるのを見計らって緑のハイグレ姿のディートハルトが話しかける。
「魔王様、未だに逃走中の神楽耶様と咲世子についてなのですが?」
「何か進展はあったのか?」
「はっ、現在はシンジュクゲットーに潜伏中との事です。」
「咲世子は忍びの術に長けている。強攻策に出ればまた失敗するだろう。私が行こう。」
「魔王様がご直々に!?しかし・・・・。」
「よい。まだ黒の騎士団とて準備の段階。さしたる障害ではない。」
「はあ・・・・。」
「それにあの二人はまだゼロ=ハイグレ魔王ということを知らない。それを知る暇もなく逃げたからな。」
「分かりました。すぐに手配します。」

シンジュクゲットーの潜伏先に到着したルルーシュたち。
「C.C.、カレン、ディートハルト、お前達はここまででいい。後は一人で行く。」
「どうかお気をつけて。」
「ご武運を。」

ルルーシュは一人で入っていく。
「何者!!名を名乗れ!!」
暗闇の中から出てきた女性に棒手裏剣を突きつけられる。
「咲世子、俺だ。」
ルルーシュはゼロの仮面を取る。
「これは・・・・ルルーシュ様。失礼しました。」
「いや、いい。しかし、俺が留守にしている間にまさかこんな事になっていようとはな。」
「申し訳ありません。神楽耶様をお救いするのに精一杯で・・・。」
「お前はよくやった。ところでだ・・・・。」
ルルーシュは右目に手を当てる。
「これからも俺に従ってくれないか?」
咲世子にハイグレ人間になるように命令する。
「きゃあああああああああっ!!」
咲世子のしのび衣装が白のハイグレ水着に変化する。
「なっ?これは?ま、まさか、ルルーシュ様、あ、あなたが・・・・・!!」
「今さら気付いてももう遅い。さあ、お前の能力をハイグレ魔王に捧げるのだ!!」
「くっ・・・・・これまでか・・・・・・。」
咲夜子は自我を失っていく。
「ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!あなたに絶対の忠誠を誓います!」

咲世子に案内され、神楽耶のいる部屋の前に来る。
「神楽耶様、ゼロをお連れしました。お部屋にお入れしてもよろしいでしょうか?」
「は、はい!お通ししてください。」
神楽耶が緊張した声で言う。
「失礼する。」
ルルーシュはゼロの仮面を被って中に入る。
「ゼロ様!!御無事だったんですね!!」
「ええ、騎士団を留守にしていたのが逆に幸運だったようです。」
「C.C.さんとカレンさんがハイレグの水着を着て扇さんたちを襲った時は何が何だか分かりませんでしたわ。咲世子さんが咄嗟に連れ出してくださらなければ、私も・・・・。」
「そうでしたか。」
「ゼロ様、私はこんな時に全く無意味で無力の存在です。それが悔しい・・・・。」
「いえ、あなたはこれは無意味でな存在ではなくなります。」
「どうしてですの?私には何の力も・・・。」
「なぜなら・・・・。」
ルルーシュはゼロの仮面を取り、右目に手を当てる。
「ハイグレ人間になるからだ!!ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命ずる!!ハイグレ人間として俺に従うんだ!!」
「えっ?えっ?きゃああああああああっ!!」
神楽耶はピンクのハイレグの水着姿になる。
「ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!これで私も忠実なハイグレ魔王様の僕!!魔王様に従うことが絶対の喜びですわ!!」
神楽耶と咲世子が並んでポーズを取る。
「ふん、たやすいものだ。さあ、下準備は整いつつある。一刻も早くエリア11政庁を陥落させ、ナナリーを我が手にしてやる!!」
ルルーシュは不敵の笑みを浮かべる。



日本ハイグレ化計画決行の日。それに先立って、ルルーシュは新たな体制を発表した。
「ハイグレ帝国建国に向け、以下の者達がそれぞれ中心となって仕事に励むように。」

立法府長官 皇神楽耶
軍事府長官 藤堂鏡志朗
行政府長官 ディートハルト・リート

諜報部司令 篠崎咲世子
開発部司令 ラクシャータ・チャウラー

パンスト団第一部隊司令官 朝比奈省吾
パンスト団第一部隊副司令 南佳高
パンスト団第二部隊司令官 千葉凪沙
パンスト団第二部隊副司令 杉山賢人
パンスト団第三部隊司令官 ヴィレッタ・ヌゥ
パンスト団第三部隊副司令 ロロ・ランペルージ
パンスト団後方支援部隊長 扇要
ハイグレ魔王直属親衛隊長 紅月カレン

「以上とする。C.C.は常に俺の側にいろ。」
「光栄です、ハイグレ魔王様。」
「カレン、お前もだ。俺の手足となって働いてもらうぞ。」
「はい、御期待に添えるように頑張ります。」
「当面はアッシュフォード学園をもって政庁とする。神楽耶はそこで生徒会のメンバーを副官としつつ政務に当たるように。」
「はい!」
「藤堂、お前には日本ハイグレ化計画の最前線に立って指揮をしてもらうぞ。」
「心得ました。」
「ディートハルト、ハイグレ帝国建国の宣言文の手配は?」
「事前に咲世子の率いる諜報部がテレビ局をハイグレ化し、準備は整っております。」
ルルーシュは矢継ぎ早に指示を出していく。

「親衛隊は東京、第一部隊は神奈川、第二部隊は埼玉、第三部隊は千葉を同時刻に襲撃。全ての都市部の人々をハイグレ化しろ。」
「はっ!」
「ラクシャータ、ハイグレ光線兵器については十分な量を確保しているな?」
「はい。ただし、光線銃は貫通能力が低く、ナイトメアフレームや建物越しには効果がありません。」
「では、重装備の敵にはナイトメアフレームから発射するハイグレ光線、その他にはオマル部隊のハイグレ光線銃で叩け。その方針を各パンスト団員に徹底させろ。」
「はっ!」
ルルーシュは時計を見る。
「さて、そろそろ時間だな。パンスト団は総員持ち場に移動!!」
「はっ!」
朝比奈以下隊長陣が一斉に出動する。

水色のパンスト団員がルルーシュの前にやって来る。
「どうした、玉城?」
「魔王様、俺にも役職を下さい!!」
「(ハイグレ人間になっても面倒な奴だな・・・。)今度考えておこう。」
「あの、魔王様。私からもお願いがあります!!」
神楽耶が申し出る。
「私にも出撃の機会をお与えください!!他の皆さんが戦っている時に、自分だけ後方でぬくぬくしていられません!」
「何かプランはあるのか?」
「はい、あります。少しの人数をお貸し頂ければ!!」
「ふむ、分かった。好きにするといい。では、玉城よ。お前に神楽耶率いる特別部隊の副官を命ずる。」
「俺に副官の大任を!?ありがとうございます、ハイグレ魔王様!!」
玉城は初役職に本気ではしゃいでいた。



午前10:00分
「日本ハイグレ化計画始動!!」
ルルーシュの号令と共にパンスト団の攻撃が始まった。

神奈川・ヨコハマゲットー
「なんだ、あれは?」
「オマルに乗った人?」
人々が空を見上げながら騒ぐ。
「洗脳開始!!」
朝比奈の号令の下に飛行艇部隊とナイトメア部隊が人々のハイグレ化を開始した。

埼玉・サイタマゲットー
「全部隊、降下!ハイグレ化を始める!!」
「了解!!」
パンスト団が外にいる人々を次々に狙い打つ。
「うわあっ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
「きゃあっ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」

千葉・チバゲットー
「ヴィレッタ、ブリタニアの戦闘部隊が!!」
「ロロ、ここは私に任せろ。お前の小隊は市民のハイグレ化を優先しろ。」
「了解!!」
ヴィレッタはナイトメア部隊を率いてブリタニア軍のハイグレ化に向かった。

「ふむ、今のところは順調のようだな。」
ルルーシュは本部で戦況を見つめていた。
「第一、第二、第三各部隊は予想以上のペースで人々のハイグレ化を完了しています。」
C.C.の報告を受ける。
「親衛隊もシンジュク、シブヤ、シナガワを陥落させました。この勢いでいけば今日中に東京の四分の一は攻略が終わるでしょう。」
藤堂が作戦図に×印を入れながら言う。
「あとはブリタニア政庁の動きだが・・・・。俺の計算が正しければ後一時間でラウンズたちが出撃してくるはずだ。」
「扇の部隊に包囲陣形を敷かせますか?」
「いや、扇の部隊は長距離攻撃には特化させた影響で近接戦闘に弱い。一時市民のハイグレ化を中止して親衛隊の全戦力を投入しよう。」
「分かりました。」
藤堂が次々と部隊展開の変更を命じる。
「藤堂、ここはお前に任せる。俺は前線で指揮を取ろう。」
「留守はお任せください。」
「行くぞ、C.C.。」
「はっ!」
ルルーシュはナイトメアに乗り、政庁に向かう。

一方、ブリタニア政庁では・・・・
「何てことだ。一般市民が襲われ、あまつさえブリタニア軍が離反するなんて・・・。このまま見過ごせません!」
「総督、我々ラウンズに出撃をお命じ下さい!」
対策会議の席上でスザクとジノが主張する。
「報告では、敵は不思議な光線を使って人々を操っているそうだ。うかつに行動するのは危険ではないかな?」
「攻撃開始と同時に宣言文をばら撒く周到さから考えて、向こうもかなりの準備をしているはずよ。もっと自制しなさい。」
ギルフォードとアーニャが血気にはやる二人を抑える。
「大変です!」
ローマイヤが部屋に入ってくる。
「どうしたのですか、ミス・ローマイヤ?」
ナナリー総督がローマイヤに続きを促す。
「はい、この政庁を囲むようにハイグレ部隊が押し寄せてきます!!」
「是非はありませんね。全部隊は直ちに出撃準備を整えてください。日本の人々をこれ以上の災厄から守らねばなりません。」
ナナリーが毅然とした態度で命令を出す。
「イエス・ユア・ハイネス!!」

「魔王様、全部隊、攻撃準備は整っています!!」
カレンが言う。
「よし、扇部隊に伝達。長距離ハイグレ砲、一斉砲撃開始!!」
ナイトメア部隊とパンスト団部隊の後方に控えていた扇部隊が数十門のハイグレ砲を放つ。
政庁付近にいる警察部隊を一気にハイグレ化する。
「よし、前進開始!!」
ナイトメア部隊はブリタニア軍の待つ政庁へと進撃を開始した。

「ブリタニア軍が接近してきます!!」
スザクが正面、ジノが右翼、アーニャが左翼から部隊を率いて突っ込んでくる。
「ふむ、左翼の陣形が少し乱れているな。よし、左翼を集中して叩くぞ!!」
ルルーシュは敵の弱点を見抜き、一斉攻撃を加える。

「うわあっ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
「ぐわあっ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
弱点を突かれた左翼は一気に混乱した。
「くっ!!敵と味方がごちゃごちゃになって区別がつかない!!」
アーニャは唇をかんだ。ハイグレ化したナイトメアが味方の妨害をしているが、混戦状態で全く統制が取れない。
「あっ!!」
一瞬の隙を逃さずC.C.が背後を取る。
「ハイグレ魔王様の為!!覚悟!!」
C.C.が至近距離でハイグレ光線を放つ。その光線がナイトメアを貫通し、コクピットのアーニャを捉える。
「うわああああっ!!そんな、私の、私の体が言うことを効かない!!」
アーニャはピンクのハイグレ姿になり、ポーズを取る。
「ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
アーニャはハイグレ魔王の手に落ちた。
「さあ、みんなもハイグレ人間にしてあげなくちゃ。」

「アーニャ!!くそっ!!」
アーニャがハイグレ化されるのを見ていたジノが悔しがる。
「戦場でよそ見は禁物だよ!!」
カレンがハイグレ光線を放ってくる。
「当たるか!!」
ジノが必死で避ける。
「お返しだ!!」
頭に血が上ったジノがすかさず攻撃を仕掛ける。
「ぐっ!まだまだっ!!」
カレンがジノの間合いに入る。
「あたしの自慢の武器はね、輻射波動って言うの!懐に入られた時点で貴方の負けよ!!」
カレンがハイグレ輻射波動砲を放つ。
「うわあああっ!!」
ジノの機体にもろに命中する。
「く、くそっ!俺も、俺もハイグレ人間になってしまうのか・・・・!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
ジノは緑のハイグレ人間となってポーズを取った。

「まずい、まずいぞ。アーニャに続いてジノまで・・・。くっ、どうすればいいんだ!」
スザクは味方の建て直しをする暇もなく、ただ呆然としていた。



一方、神楽耶の特別戦闘艇では・・・・
「あの、長官。なぜ私たちまで?」
「なんか、この格好、とても落ち着かないんですけど・・・・。」
「何をおっしゃいますの、ミレイさん、シャーリーさん。これから私たちの戦いが始まるんですのよ!!」
神楽耶は一人決意を新たにしていた。
「玉城さん、準備はよろしくて?」
「はい、初めての役職ですから、精一杯頑張ります!!」

また一方で、ブリタニア政庁内・・・・
「まずいね、こりゃ完全に劣勢だよ。」
ロイドが画面を見ながらため息をつく。セシルとニーナも不安そうに画面を眺める。
「セシル君、通常の戦闘では、増援が無いのに敵が増えるかい?」
「いえ、そんな事はありません。」
「その無いことが現実に起きてるんだ。科学の力じゃ理解できないことも世の中にはあるんだねえ。」
「ロイド博士、これから私達はどうすれば?」
「総督を連れて逃げるしかないね。幸い、まだスザク君とギルフォード君がいるから、多少の時間は稼げるだろう。」

話の最中に警報音が鳴る。
「政庁の真上から一隻の小型艦が降下してきます!!」
オペレーターの一人が叫ぶ。
「迎撃システムは作動しないの?」
「駄目です、何者かに迎撃システムを破壊されているようです!」
咲世子率いる部隊が戦闘状態の混乱に乗じて破壊していたものだった。
「あっ!小型艦から何かドリルのようなものが伸びてきます!!」
モニターに映し出された映像には、黄色いドリルが見えた。
ロイドたちのいる部屋にそのままドリルが落ちてくる。
ドガドガドガッ
部屋の中にものすごい衝撃が走る。
「セシル君、ニーナ君、無事かい!?」
「は、はい・・・・。」
「何とか・・・・。」
ドリルの一部が扉になって開く。

扉から出てきた三人の少女。
「ハラマキレディース参上!!」
ハラマキを身に纏った神楽耶、シャーリー、ミレイだった。その後ろからパンスト団が次々と出てくる。
「なっ、なんて羨ましいんだ!!」
部屋の中にいた男性陣が声を上げる。ロイドも含めて。
「ロイドさん、こういう時、何て言えば良いのか教えて差し上げましょうか?」
「えっ?なんて美しい、かな?」
「なんて恐ろしい、でしょう?」
ロイドはセシルに思いっきり殴られて吹き飛んだ。

「ミレイちゃん、シャーリー!?あなたたちまで?」
「ニーナに直接会えるとはね。さあ、一緒にハイグレ人間になりましょう?」
「嫌よ!」
「ねえねえ、フィアンセ君はハイグレ人間なのに、どうしてそんな格好をしてるの?」
顔にできた青あざをさすりながらロイドが質問する。
「ハイグレ魔王様に代々仕える幹部がハラマキレディースなんです。今は不在でしたので私達が後を継ぐことにしました。」

「玉城さん、準備はよろしくて?」
「はい、リーダー。」
「お喋りはここまで。攻撃開始ですわ!!」
神楽耶の命令と共にハイグレ銃が部屋中に飛ぶ。
「うわっ!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
「ぎゃあっ!ハイグレッ!ハイグレッ!!」
次々とハイグレ化する。そのうちの一つがニーナに当たる。
「うわあっ!!そんな、ユーフェミア様・・・・・・。ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
ニーナが黄緑色のハイレグ水着を着てポーズを取る。
「逃げるんだ!!」
スタッフ達はは部屋の出口に向かって走る。
「通しませんわ!!」
神楽耶が数人で出入り口を塞ぐ。
「ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
「ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
次々と狙い撃たれ、部屋中にハイグレの声がこだまする。
「きゃあっ!!」
「セシル君!?」
「ロイドさん・・・・・・お願い・・・・・・私のことより・・・・・・逃げて・・・・・・ください・・・・・・・・・・ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
自我を失ったセシルが青のハイレグ水着に身を包み、ハイグレポーズを取る。
「後はあなただけですね、ロイドさん。」
「ミレイ君・・・・。」
「さあ、一緒にハイグレになりましょう?」
ミレイがハイグレ銃の引き金を引く。
「これが科学を超越した力・・・・ハイグレ・・・・・・・・。僕はハイグレ魔王様についていこう!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
ロイドは服と同じ白のハイレグ水着を着てポーズを取った。

「ハラマキレディース初勝利ですわね!」
「あの、神楽耶長官。やっぱり、ハイグレ人間としては、この衣装に抵抗があるんですけど。」
「シャーリーさん、なにをそんなにもじもじしてらっしゃるんですか?」
「その、股の下がスースーするっていうか・・・・。」
「そういうのは慣れですわ。私達にはハイグレ魔王様への忠誠のほうが大事だと思いますし。」
「そうですね、長官。」

今ハイグレ化したロイドたちにもハイグレ銃を渡し、部隊を増強する。
「さあ、どんどん参りますわよ。この奥にある総督府も落としましょう。」
「イエス・マイ・ロード!!」



スザクは完全に敗北を悟った。
「せめてナナリーを逃がさないと・・・・。」
そこにギルフォードがやって来る。
「スザク君。既に勝敗は決している。君に退却命令を出して欲しい。」
「分かりました。全軍撤退!!総督の安全を確保し、エリア11を離脱する!!」
スザクが全軍に命令を出す。

一方、ブリタニア政庁内・・・・
咲世子の部隊と神楽耶の部隊が共同で、外の戦闘を無視して次々と攻略。残るは総督の執務室のみとなった。
「突撃!!」
パンスト団数人が体当たりしてドアをぶち破る。

中にナナリーとローマイヤの姿があった。
「どなたですか?」
目の見えないナナリーが尋ねる。
「ナナリー様、お迎えに上がりました。」
咲世子がうやうやしく礼をする。
「咲世子さん?そうですか、あなたもハイグレ魔王の一味になってしまったんですね?」
「そうネガティブにとらえないで下さい。ハイグレ魔王様の良さをナナリー様もきっと分かってくださるはずです。」
「可哀想に・・・・。」
ナナリーがため息をつく。
「それで、私をハイグレ人間にしようと言うのですね?」
全員が無言でハイグレ銃を構える。

「お待ちなさい!総督を撃つなら私を先に撃ちなさい!」
ローマイヤがナナリーをかばうように前に出る。
「では、あなたからですわね。」
神楽耶がハイグレ銃を放つ。
「うわあっ!!くっ・・・・イレブンごときに・・・・・そんな、屈辱を・・・・・。ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
ローマイヤが緑のハイレグ水着を着てポーズを取る。
「もうこれでブリタニアもナンバーズも関係ありませんわ。そうでしょう、ミス・ローマイヤ?」
「は、はい。私が間違っておりました。これからは魔王様の崇高な理想のために尽くします!!」
ローマイヤは答える。
「さあ、次はナナリー様の番ですね。」

総督室にジェット音が鳴り響く。だんだん大きく聞こえてくる。
「何でしょう、この音は?」
ニーナが聞く。
「飛行艇のようだね。」
ロイドが答える。
総督室の窓に黒い機体が横付けし、窓ガラスが吹き飛ぶ。

一人が部屋の中に入り込む。
「ナナリー!無事か!!」
紫の髪をした女剣士だった。
「コーネリアお姉さま!?」
「そうだ、助けに来た。来い!!」
コーネリアが素早くナナリーを抱え、窓に走る。
「コーネリア様、お早く!!」
「分かっている。」
バトレーにせかされ、船に飛び乗る。
「もういいかい?じゃあ発進して。」
V.V.が命令を出し、政庁を離脱していく。
咲世子たちはなす術なく見送るだけだった。

「あれはギアス嚮団の船!?くそっ!!」
ルルーシュはナナリーが連れ去られたことに気が動転していた。
「ナナリー!!」
ルルーシュは遠ざかるギアス嚮団の船に向かって飛ぶ。
「待て!!ここから先は通さない!!」
スザクの駆るランスロットが前を阻む。
「どけ!!」
「どかない!!」
二人は対峙する。
「ギルフォード卿、ここは自分が引き受けます。あなたは総督と一緒に撤退してください!!」
「了解した。」
ギルフォードはグラストンナイツを率いてナナリーを追いかける。カレンとC.C.がその追撃に移る。



「勝負だ、ハイグレ魔王!!」
「望むところ!!」
二人は数合交える。
「(待てよ・・・・ナナリーに動揺・・・・黒の騎士団・・・・ハイグレ魔王・・・・絶対遵守・・・・。そうか!!)」
スザクが気付く。
「お前の正体が分かったぞ、ハイグレ魔王!いや、ルルーシュ!!」
「今頃気付いたのか?バカめ!!」
「バカはお前だ!!こんな事をして何になる!!命令で従わせただけの平和に何の価値がある!!」
「何だと!?お前もあの宣言文を見ただろう?俺はブリタニアもナンバーズも無い、新しい世界を作ってやる!!」
「そんな事、ナナリーが喜ぶと思うか!!」
「うるさい!!お前に言われる筋合いはない!!」
「もういい、ルルーシュ。決着をつけよう。」
スザクは操縦桿を握りなおす。
「ぐっ!!」
ランスロットに衝撃が走る。両腕のパーツが何者かの挟撃によって損傷していた。
「くっ!ジノ!アーニャ!」
ハイグレ軍に加わったジノとアーニャの攻撃だった。ランスロットはフロートシステムが壊れ、不時着した。
「ご苦労だった、二人とも。」
ルルーシュも降下し、外に出る。スザクも外に出て、銃を構える。
「さあ、スザクよ!!ハイグレ人間として俺に従え!!」
ルルーシュはギアスを発動する。
「なっ!?俺はこんな力に負けない。負けるものか!!」
スザクが抵抗する。そのスザクの目に「生きろ!」のギアスも発動する。
「そうだ・・・・ハイグレ人間になったほうが俺は生きられる・・・・。俺は・・・・俺は・・・・ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
スザクは茶色のハイグレ人間になる。
「スザクよ、俺に従うか?」
「はい、ハイグレ魔王様!!仰せのままに!!」
スザクはハイグレ魔王に絶対の忠誠を誓った。

生身のルルーシュ目掛けてナイトメアが一機突っ込んでくる。
「お命頂戴!」
「(駄目だ、避けられない!)」
その時、ルルーシュが帯びていた魔王の剣が反応した。
「剣が語りかけている?」
とりあえずルルーシュは剣を抜いてみる。勝手に剣が動き、ナイトメアの攻撃を弾き返した。
「なんて力だ・・・・。」
スザクが駆け寄ってくる。
「お怪我はありませんか、魔王様?」
「ああ、問題ない。」
ナイトメアがもう一度攻撃のモーションを取る。
「させるか!」
ルルーシュが剣を一閃するとナイトメアの腕が切り落とされ、動きが停止した。
「スザク、中にいる者を引きずり出せ。」
「はっ!」

スザクに引き出されたパイロットに見覚えがあった。
「お前は・・・オレンジ?」
「ジェレミア・ゴッドバルトと呼んで頂きたい。」
「ブリタニアに仇をなす俺を許してはおけないか?」
「なぜあなたはそこまでブリタニアを憎む?」
「愚問だな。我が母マリアンヌの仇を討つため、そして、妹ナナリーの幸せのためだ!!」
ルルーシュの言葉にジェレミアが驚愕する。
「なんと!!マリアンヌ様のためと!?」
「そうだ。それがどうした?」
ジェレミアが涙ながらに自分の生い立ちを話す。
「貴公の忠節はまだ終わっていない。共に戦おう。」
「イエス・ユア・マジェスティー。」

「ルルーシュ様、その銃をお貸し与え下さい。」
ジェレミアがルルーシュのハイグレ銃を所望する。ルルーシュがジェレミアに銃を手渡すと、ジェレミアは自分を撃った。
「このジェレミア・ゴッドバルト、ハイグレ人間になることであなたへの忠誠を示します!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
ジェレミアはオレンジのハイレグを着てポーズを取る。
収束しつつある激戦を背景に、ジェレミアは必死にルルーシュへの忠誠を誓っていた。

夕方になり、ルルーシュは全部隊を撤収させた。
「申し訳ありません、ハイグレ魔王様。ブリタニア軍を取り逃がしてしまいました。」
「いや、良い。敵の反撃が予想以上に激しかっただけだ。」
「この失態は必ずや取り戻してご覧に入れます。」
「頼むぞ、カレン、C.C.。」
「はっ!!」
「藤堂、ハイグレ化計画の進行状況はどうだ?」
「現在、東京291万人、神奈川229万人、埼玉201万人、千葉183万人、達成率は113%です。」
「明日からはラウンズ三人もパンスト団に加わる。この調子で頼むぞ。」
「イエス・ユア・マジェスティー!!イエス・ユア・ハイグレ!!」



第三部・世界征服編

二週間後・・・・・・
ルルーシュは日本を完全にハイグレ帝国の支配化に置き、正式にハイグレ帝国を建設した。
「皆の者、今までよくやってくれた。しかし、これは終わりではない!始まりだ!ブリタニアは依然として存在する!ブリタニアを倒し、世界の全ての国々を支配下に入れ、世界統一を成し遂げる!!」
一気に民衆の歓声が上がる。
ルルーシュは次々と政策を打ち出した。ハイグレ学校の設立、ハイグレテレビ局の設営、ハイグレ魔王崇拝の宗教施設。

一方、ブリタニア皇帝はハイグレ帝国の断固征伐を厳命し、討伐部隊が結成された。
会議の席上、ディートハルトがブリタニア本国の情勢について説明した。
「もうハイグレ討伐部隊は発進したのか?」
「はい。シュナイゼル、コーネリア、ナナリー以下、ラウンズ全員が同行しているとの事です。それと、空中要塞ダモクレスが投入されるようです。」
「こちらの準備はどうだ、ラクシャータ?」
「はっ、ハイグレ光線、ナイトメアの準備は完了しております。光線銃の貫通性能が高まり、オマル部隊で直接ナイトメアを狙い撃てるようになりました。」
「フレイヤシステムを応用した巨大ハイグレミサイルはどうなっている。」
「申し訳ありません。現在はまだ進捗率が70%です。」
「となると討伐部隊に対して使用するのは時間的に無理だな。ならば、こちらが火力面でいささか不利だ。よし、ならば奇襲をかけよう。第二次太平洋奇襲作戦だ!!これは我がハイグレ帝国の存亡をかけた総力戦だ!!」
ルルーシュはパンスト団を率いて出撃した。スザク、ジノ、アーニャ以下豊富な戦力が揃ってパンスト団員になっている。

ブリタニアとの遭遇予想地点に近づく。
「あれがダモクレスか・・・・。あの中にナナリーが・・・・。」
巨大要塞の周りを無数のナイトメアが守っている。
「魔王様、先陣はこの紅月カレンにお申し付けください。」
「いいだろう。」
「ありがとうございます、ハイグレ魔王様!!」
カレンは親衛隊を率いて部隊の最前線に立つ。

カレンは新型の紅蓮聖天八極式を操り、ブリタニア軍先鋒ルキアーノ・ブラッドリーとヴァルキリエ隊に肉薄する。
「ハイグレミサイル発射!!」
親衛隊が一斉にハイグレミサイルを放つ。
ヴァルキリエ隊に次々と命中する。
「ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
「ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
ヴァルキリエ隊の制服はハイレグなので、服の色が変わるだけでほぼ形は変わらない。
「きゃああ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
「マリーカ!?」
マリーカがハッチを開いて白のハイグレ姿でポーズを取っているのに呆然とするリーライナ。
「邪魔よ!!」
カレンがすかさず懐に入りこみ、ハイグレ光線を叩き込む。
「いやあああああああああっ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
マリーカはハイグレ光線を浴び、水色のハイレグ水着を着てポーズを取っていた。

「ちっ、使えない奴らめ。私が行く!!」
単機ルキアーノがカレンに向かって突進する。
「イレブンのパイロット!!私が相手だ!!」
カレンがハイグレ光線を連射するが、ひらひらと避ける。
「ふははははは!!この吸血鬼・ルキアーノ・ブラッドリーにそのようなこけおどしは無意味!!さっさと死ね!!」
ルキアーノはスラッシュハーケンを紅蓮にぶつけてくる。
「無駄口叩いてんじゃないわよ!!あたしはハイグレ魔王様のために負けられないんだから!!」
カレンは決死の覚悟でルキアーノの間合いに入る。
「馬鹿め!!わざわざ死にに来たのか!!」
「この距離に入った時点で貴方の負けよ。あたしのハイグレ輻射波動、とくと味わいなさい!!」
ルキアーノの搭乗機・パーシヴァルの頭部を掴み、輻射波動の攻撃を放つ。
「うわあああああっ!!私の、私の命が吸われていく!!」
「命は取らない。ハイグレ人間として生まれ変わるのよ!!」
「そんなーーーー!!うわあああああっ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
ルキアーノはオレンジのハイグレ水着を着てポーズを取った。

ルルーシュは親衛隊がルキアーノ隊に善戦しているのを確認し、次々と部隊を前線に送り出した。
「藤堂、朝比奈、千葉、ヴィレッタはカレン部隊を援護!!ジノ隊、アーニャ隊は左右から敵を圧迫しろ!!C.C.、スザク、ジェレミア隊は我に続け!!」
カレン部隊とパンスト団の働きにより、ルキアーノ隊は壊滅。中央に陣取るギルフォード隊とモニカ隊に進撃を開始。
右翼のドロテア隊にはジノ、左翼のノネット隊にはアーニャが喰らいついた。
パンスト団の団長達によってグラストンナイツが次々とハイグレ化する。
「よし、初戦は上々だ。このまま行くぞ!!」



ルルーシュが率いる部隊はスザクとジェレミアの一騎当千の働きで何なく前進していく。
前方にモニカ隊、ギルフォード隊が展開していて、カレン隊と藤堂率いるパンスト団が交戦している。
「苦戦しているようだな、藤堂。」
「はい、ビルマルク隊もこちらに集中攻撃をかけてきて、ハイグレ化しても後ろから代わりがやってきます。」
「ふむ、三部隊が相手では少しきついな。よし、スザク。お前はここに残れ。」
「はっ、ご期待に添えるよう努力します。」
「行くぞ、C.C.、ジェレミア。」
ルルーシュは敵部隊を適当にあしらいつつ、ダモクレスに侵入する。
「司令官がいなくなれば敵は空中分解する。中にいる皇族を全員拘束しろ!!」
「イエス・ユア・マジェスティー!!」

「くらえっ!!」
ジノが剣を抜いてドロテアに斬りかかる。
「ジノ!なぜ皇帝陛下への忠誠心が厚いお前が反逆を!」
「俺は知った!シャルル陛下よりも高みにある存在を!それがハイグレ魔王様だ!」
「狂っている・・・。」
「狂っているのはどちらか、すぐに分かる!!」
ジノはスラッシュハーケンをドロテアの機体に打ち込む。
「さあ、ハイグレ人間になってもらうぞ!!」
スラッシュハーケンからハイグレ光線が出て、ドロテアの機体に侵入する。
「な、何だこれは!?うわああああああっ!!ラウンズ一の剛を誇るこの私が・・・・・・。ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
ドロテアは青のハイグレ人間と化した。
「そうか・・・・。私が間違っていた。ハイグレ魔王様こそ私が仕えるべきお方!!」
ドロテアはハイグレポーズを取り続けた。

「何のこれしき!!」
ノネットはアーニャのハイグレ光線入りミサイルを避ける。
「ちょこまかと避けてくれるわね。うっとうしい。」
「コーネリア殿下のお相手を毎日のようにしていたからな。当然だ。」
「でも、これならどうかしら?」
ノネットのナイトメアの両手両足にハイグレ化されたブリタニア軍が絡みつく。
「くっ、お前達、どけっ!!」
ノネットが必死にもがくが離れない。むしろ他の機体が寄ってきてさらに邪魔をする。
「ねえ、その状態で私の攻撃を避けられる?」
「おのれっ!」
「ハイグレミサイル、発射!!」
モルドレッドの全ての砲口からハイグレミサイルが発射され、ノネットの機体に命中する。
「うわあああああっ!!だ、駄目だ、私の体がハイグレを欲している・・・・。ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
ノネットは灰色のハイグレ水着を着ている。
「ハイグレ魔王様万歳!!ハイグレ魔王様に忠誠を!!」
ノネットはポーズを取り続けながらハイグレ魔王への忠誠を誓った。

「しまった!!」
モニカはカレンにナイトメアを破損させられ、敵からも味方からも離れていく。
「まずいわ・・・・。早く戦線に戻らないと・・・・。」
ナイトメアの機動システムがやられ、システムを再起動しても回復しない。
レーダーに後方から急速接近する敵影が映る。
「くっ!こんな時に!!」
モニカが後ろを振り返るとハラマキレディースのオマルが三機見えた。
「逃げるしかないわね・・・。戦えればあれくらいわけないのに・・・。」
モニカはエンジンの出力をできるだけ上げる。
一方、ハラマキレディースは・・・・
「リーダー、敵が南西方向に逃げていきます。」
「シャーリーさん、ミレイさん、このまま予定地点に引き込みますわよ。」
「了解!」

目標地点でオープンな小型艇に乗って待ち構えている咲世子、セシル、ニーナの三人。
「目標確認!距離3000!」
ニーナがレーダーを見ながら報告する。
「セシルさん、船を右に0.3度、上方修正1.1度お願いします。」
「はい!」
セシルが操縦桿を持って微調整する。
「うまくこちらの誘いに乗っているようですね。」
咲世子がバズーカを構え、モニカ機に照準を合わせる。
「2400、2300、2200、2100、2000!!」
「ハイグレバズーカ、発射!!」
咲世子がバズーカを発射する。弾は吸い込まれるようにモニカ機に命中する。
「そんな、この私が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
モニカの服が白のハイレグ水着に変わった。
「うふふ、後で日焼け止めクリームを塗っておかなきゃ・・・。ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
モニカはさんさんと降り注ぐ太陽を背景にポーズを取り続けた。

一方、中央戦線では・・・・
「ふははははっ!!我がギアスは未来を読むギアス!!お前達の攻撃など通じん!!」
ビスマルクは左目の戒めを解き、戦場を駆け巡っている。
「すみません!!後退します!!」
乗っていたナイトメアを破壊され、南が脱出する。
「杉山に続いて南もか。何て強さだ・・・。」
思わしくない戦況に悔しさをにじませる千葉。
「千葉、危ない!!」
「えっ?」
ヴィレッタの掛け声で気付いた時には遅かった。
「うわああっ!!これまでか・・・・。」
千葉は脱出用のレバーを引いて脱出する。すかさず扇の率いる後方部隊が飛んでいく。
「うわああああっ!!」
ヴィレッタ機もビスマルクに破壊され戦線離脱。
「下がってください!!自分が行きます!!」
ビスマルクに対処しようとする藤堂と朝比奈を押さえ、スザクが前に出る。
「驕るな、枢木スザク。このナイト・オブ・ワンに勝てると?シャルル陛下を裏切った貴様が?」
「今はハイグレ魔王様への忠誠心に偽りはない!」
「忠誠心と忠誠心のぶつかりあいか。いいだろう、来い、枢木卿!!」

「くっ・・・・。何て強さだ・・・。これがビスマルク・ヴァルトシュタインの実力か・・・。何が違うんだ・・・・。」
「貴様は所詮裏切りを繰り返すだけの節操無し。我こそはシャルル陛下に命を捧げている!!それが違いだ!!お前の攻撃は既に見切っている。勝てる要素は皆無!!」
ビスマルクが猛然と斬りかかってくる。
「(こうなったら、魔王様のためにこの命を・・・・・・・・・。いや、生きろ!生きてもう一度ハイグレ魔王様にお会いするんだ!!)」
スザクはビスマルクの攻撃を寸前で避ける。
「なにっ!?」
「ビスマルク、あなたに一つ教えよう。俺の忠誠心、それは生きて生きて生き抜いて、常にハイグレ魔王様のお側にあることだ!!」
ランスロットからハイグレ光線を放つ。
「なに!?馬鹿な!!この未来は見えていない!!うわああああああああっ!!」
ビスマルクにハイグレ光線が命中する。
「この私が・・・・。ナイトオブワンの私が・・・・・・。ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
ビスマルクは黒のハイレグ水着を着てポーズを取る。
「勝った・・・・・・。」
ビスマルクが敗れたことに他の部隊が動揺する。ギルフォードが立て直そうと必死に努めるが、一気に総崩れになる。
カレン隊、藤堂隊、スザク隊は残党狩りに移った。



ルルーシュ率いる潜入部隊はコーネリアの執拗な抵抗に遭っていた。
「さすがはコーネリア。歴戦の勇士だ。」
コーネリアとバトレーの率いる部隊は攻防一体の先陣を敷き、押しては引き、引いては押している。
「(しかし、妙だな・・・・。シュナイゼルはなぜ何も仕掛けてこない?コーネリアやラウンズがいくら優勢だろうと、ハイグレ人間が増える以上は時間が経つほど不利になる。何か策があるのか?)」
ルルーシュが考え込んでいる隙を突いて、コーネリアのナイトメアが突っ込んでくる。
「死ね、ハイグレ魔王!!」
ルルーシュは避けきれずに被弾してしまう。
「魔王様!?」
「心配するな、C.C.。ただ、機体は駄目そうだな。」
ルルーシュは脱出する。それと同時にナイトメアが爆発する。
「この場はこのジェレミア・ゴッドバルトとC.C.にお任せください。魔王様は安全圏へのご避難を。」
「王たる者、常に前に進まなければ人はついてこない。俺だけ逃げることはできない。」
「しかし・・・・。」
「この場はお前とC.C.に任せる。俺にはこの剣がある。むざむざとやられたりはしない。」
「分かりました。貴方様の足かせにならないよう、この場でコーネリア殿下を足止めします。」
「頼むぞ、ジェレミア卿。」
ルルーシュは魔王の剣を抜き、敵の攻撃を弾き返して敵陣を走り抜けた。

一方、未だに交戦中の外側では・・・・
「どうした、ギルフォード!この程度か!早くそこをどくがいい!!」
「私は姫様の盾。死んでも通さん!!」
藤堂とギルフォードは何度も剣を交える。
「藤堂さん!」
朝比奈が割って入ろうとする。
「朝比奈、私のことはいい!お前とロロ君はダモクレスの中にいけ!魔王様をお助けするんだ!」
「分かりました!」
朝比奈は残存部隊を率いてロロと一緒にダモクレスの中へ。
「何とも余裕だな、藤堂。」
「当たり前だ。私にはハイグレ魔王様のご加護がある。貴様ごときに負けるか!」
「ほう?ならば見せてみるがいい!私の忠義を上回る力を!」
「言うに及ばず!」
藤堂は背中から新しい剣を引き抜く。
「ハイグレ魔王様が私に下されたハイグレソードの力、しかと見届けるがいい!!」
藤堂がギルフォード機に剣先から真っ直ぐ突っ込む。
「うおおおおおおおおっ!!」
「させんっ!」
ギルフォードが盾を前に掲げる。しかし、その盾をハイグレソードによって粉々に粉砕される。そのままの勢いでギルフォード機にソードが貫通する。
「私の勝ちだ、ギルフォード!」
「うわああああっ!!姫様、お許しを・・・・・・・・・・・!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
ギルフォードは青のハイグレ水着を着て魔王への忠誠を誓った。

「ちっ・・・・敵の増援か。」
コーネリアは歯切りして悔しがる。ハイグレ騎士団の戦力が増してブリタニア側の損耗が増している。
「コーネリア様、一度引きましょう。体勢を立て直さないと各個に撃破されてしまいます。」
「そうだな、バトレー。Eブロックまで各自後退だ。」
コーネリア自身が殿になり、ブリタニア部隊が後退していく。
「コーネリア殿下、お覚悟!!」
ジェレミアがコーネリアにハイグレ銃の照準を合わせる。
「駄目だ、避けられない!!」
「コーネリア様!!」
バトレーがコーネリアを身を挺してかばう。そのバトレーにハイグレ銃が命中する。
「うわあああっ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
バトレーは緑のハイグレ水着を着てポーズを取る。
「バトレー、貴殿も忠義に殉じて散るか。敵とはいえ、敬服に値する。」
ジェレミアはバトレーに敬意を表する。

「よくもバトレーを!!」
「人の心配より自分の心配をしたらどうだ?」
C.C.がコーネリア機に猛然とダッシュ。
「ぐはっ!?」
コーネリア機はC.C.に弾き飛ばされ壁に激突する。
ナイトメアから這い出てきたコーネリアにC.C.がハイグレ銃を構える。
「お前もハイグレ人間になれ、コーネリア。」
C.C.はそう言い放ち、引き金を引く。
「ぐわあああああああああああっ!!私が、私が、こんな恥ずかしい格好を・・・・・。ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
コーネリアは赤いハイグレ人間になり、苦悶の表情を浮かべながらポーズを取る。

「あーあ、コーネリアもやられちゃったのか。」
V.V.はため息をつく。
「ここも危なそうだし、そろそろシャルルの所に戻ろうかな。」
今までずっと高みの見物をしていたV.V.は戦場に背を向けて歩き出す。
「戻る?それは無理ですよ?」
前方にロロがいた。
「なっ?いつの間に?」
「あれ?分からないんですか?あなたの体感時間を止めている間ですよ?」
「僕にギアスは効かないはずじゃ?」
「ハイグレ人間になると全ての力がアップするんです。だから、僕のギアスもあなたに効くし、心臓にもあまり負担がかからなくなるんです。」
「何だって!?失敗作のくせに僕に上から目線で話しかけるのか!?」
「まだ理解していないようですね。僕とあなたの力が逆転したことが・・・・。」
ロロがギアスを発動する。V.V.が停止している間にV.V.の後ろに回りこむ。
「くっ?またしても!!」
「あなたもハイグレ人間になれば全てを理解できますよ?」
ロロはハイグレ銃を放つ。V.V.の体が光り、茶色のハイグレ姿になる。
「うわあああっ!!ギアスの頂点に立つこの僕がギアスに負けるなんて・・・・・・・・・・!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」



ルルーシュはダモクレスの中央部までやって来た。ハイグレ人間化した兵士からシュナイゼルの居場所は分からなかったが、ナナリーの居場所を聞きだすことができた。
「ここがナナリーの部屋か・・・・・・。よし、入ろう。」
ルルーシュは剣を一閃し、扉をぶち破った。
「誰です?この部屋に入ってくるのは?」
「俺だ。」
「お兄様?」
「さあ、迎えに来た。一緒に行こう、ナナリー。」
「近寄らないで下さい!」
ナナリーが警戒して言う。
「どうした?兄さんが今まで助けに来なかったから拗ねてるのか?」
「違います!あなたがお兄様のはずがありません!お兄様はとても優しくて私を大事にしてくれる人!あなたからは邪な力しか感じません!」
「さすがだな、ナナリー。そうだ、俺こそがゼロにしてハイグレ魔王。世界を支配する存在だ。」
「やはりそうなのですか。咲世子さんやシャーリーさんたちが相当な地位にいる時点でもしやとは思っていました。」
「俺はこの星の全てをハイグレ化してお前が安心して暮らしていける世界を作る。お前も俺の計画に協力しろ。」
「嫌です!人の心を捻じ曲げて手に入れた世界の平和なんて何の意味もなしません!」
「まだまだ子供だな、ナナリー。そんな奇麗事よりハイグレ人間としての平和を享受するほうが数倍幸せだ。それが力だ。」
「私はそんな力に屈したりはしません!」
「ほう?試してみるか、ナナリー?」
ルルーシュはナナリーにハイグレ銃を向ける。
「私をハイグレ人間にできるならばしてみて下さい!」
「いいだろう、ナナリー。ハイグレ人間になれ!!」

車椅子に座るナナリーにハイグレ光線が命中する。
「きゃああっ!!」
ナナリーは青のハイグレ水着姿に変身する。
「えっ?目が?」
ナナリーの決して開かれることの無かった目が大きく開けられる。
「そんな、どうして・・・・?あっ・・・・・・・。」
ナナリーは体の求めにしたがって立ち上がる。
「そんな、私は歩けないはずじゃ・・・・・。どうして・・・・・。」
「それがハイグレ魔王の力だ!目が見えず歩けないお前を自由にしてやれる!」
ルルーシュは前もって赤ん坊や足の不自由なお年寄りが歩けるようになったということを知っていた。なのでナナリーに必ず効くという確信があったのだ。
「さあ、ハイグレ人間になって兄さんの作る平和な世界で暮らそう。」
「嫌です!そんなのは誰にでも優しくなれる世界ではありません!」
ナナリーはハイグレ人間になるまいと抵抗する。
「(なぜナナリーはハイグレ人間にならない?ナナリーの持つ優しい心が抵抗しているのか?それならば・・・・。)」
ルルーシュは右目に手を当てる。
「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命ずる!!お前は素直にハイグレ人間になれ!!」
「あっ・・・・・そんな・・・・・・・・・・うっく・・・・・・・・・・・・ひっく・・・・・・・・・・・・・・。」
「ふふ、限界のようだな。」
「も、もう駄目です・・・・・・・・・・・・・・いやああああああああああああっ!!」
ナナリーは激しくハイグレポーズを取り出す。
「私、お兄様に誠心誠意お仕えします。ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」

「ふむ、シュナイゼルの居場所は知らないか。」
「はい。ただ、シュナイゼルお兄様はハイグレ魔王を消し去る策があるとおっしゃっていました。」
「(まずい・・・。奴は着々と準備を進めているはず・・・・・。どうせダモクレスごと吹き飛ばして俺達を抹殺する、といったところだろう。急がねば・・・・。)」
「ハイグレ魔王様?」
「安心しろ、ナナリー。必ず二人で生きて帰ろう。」
「はい!」

「ハイグレ魔王様!!」
C.C.の声。その後ろからはジェレミアもやって来る。スザクやカレン、ラウンズたちもやってくる。
「お前達、シュナイゼルの居場所を知らないか?」
「いえ、存じません。誰も知らないようです。」
「そうか・・・・。万事休すか・・・・。」
「まだあきらめるのは早いでしょう、我が君。外にいるパンスト団も使い、くまなく捜索しましょう。」
「いや、シュナイゼルのことだ。逃げられないような手も打っているはず。」
ルルーシュはおもむろに魔王の剣を取り出す。
「この剣が今まで俺を導いてくれた。こいつに縋ってみるか・・・・。剣よ、ハイグレ魔王・ルルーシュの問いに答えよ!シュナイゼルの居場所を指し示せ!!」
剣はルルーシュの声に反応し、床を突き刺した。
「なに?この下にいるのか?」
「魔王様、この下には確か非常時用の第二コントロールルームがあるはずです。」
「本当か、スザク?よし、その可能性に懸けてみよう。全員下がるんだ!」
ルルーシュは全員を部屋の隅に下がらせ剣を振りかざす。
「せいやっ!!」
切り刻んだ床が崩れだす。

一方、下では・・・・
「うわあああっ!!」
「げほっ!げほっ!」
「シュナイゼル様、お怪我は?」
「ああ、問題ない。しかし、これは一体どういうことだ?」
「分かりません。いきなり天井が崩れてきたようですね。」
「カノン、ダモクレス爆破の準備は続けられそうかい?」
「問題ないと思われます。」

「それは困るな!」
「その声はルルーシュ!?」
ルルーシュがランスロットの手のひらの上に乗って降りてくる。
「久しぶりだな、シュナイゼル。」
「よくここを見破ったね、ルルーシュ。私の計算の上を言っていた。賞賛に値するよ。」
「お褒めの言葉をありがとう、兄上。お礼にこの言葉を贈ろう!」
ルルーシュは右目に手を当てる。
「まさか、ギアス?」
「ふっ!その通り!ハイグレ魔王に与えられしハイグレ人間化のギアス!さあ、ハイグレ人間として我に従え!!」
部屋の中にいたシュナイゼルの親衛隊が一斉にハイグレ人間に変身していく。
「うわああああっ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
カノンも緑のハイグレ水着を着てポーズを取る。
「カノン!?」
シュナイゼルだけは咄嗟に目を隠し、ハイグレ化を免れた。
「往生際が悪いぞ、シュナイゼル。この部屋にはスザク以下全員のラウンズが揃っている。お前に勝ち目は無い。」
「奥の手は最後まで残しておくものだよ、ルルーシュ。」
シュナイゼルはそう言い放ち、壁に手を当てる。すると壁が凹み、隠し扉が開いた。
「シュナイゼル殿下が逃げるぞ!!」
「魔王様、追撃のご許可を!!」
「案ずるな、ジノ、アーニャ。既に手は打ってある。」
ルルーシュは全く動じずに言う。

「はあ・・・・・・・・・はあ・・・・・・・。万が一のために別の脱出艇を用意しておいてよかった。」
シュナイゼルは脱出艇の場所に辿り着く。
「シュナイゼルお兄様。」
後ろから呼び止められる。
「その声はナナリーかい?よし、一緒に脱出を・・・・・・・なっ!!」
さすがのシュナイゼルもナナリーが目を開き、その上自分の足で歩いていることに驚いた。
「君は本当にナナリーか?いや、違う。そんなわけがない!!」
シュナイゼルは混乱していた。
「本物ですよ?いつもお側で仕えていた私が申し上げるのですから間違いありません。」
シュナイゼルは脱出艇に隠れていた咲世子、神楽耶以下ハラマキレディース部隊に取り囲まれていた。
「ふ、ふはははははっ!恐れ入ったよ。私の負けだ。」
「さあ、お兄様もこれからは私達の仲間ですね?」
ナナリーがハイグレ銃を放つ。
「ぐわあああっ!!これが、私を負かした超越的な力・・・・・・。ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
シュナイゼルは黒のハイレグ水着を着てポーズを取った。

夕方になって討伐部隊の全滅が確認された。
「ハイグレ人間の力を結集した一大決戦に勝利を収めることができた!!諸君の働きに感謝する!!」
「オール・ハイル・ハイグレッ!!オール・ハイル・ハイグレッ!!オール・ハイル・ハイグレッ!!」
「さあ、勝利の宴だ!存分に楽しんでくれ!」
ダモクレスを会場にして祝勝会が開かれた。
「魔王様、よろしいでしょうか。」
宴もたけなわになった頃、ディートハルトが声をかける。後ろにはロイドとラクシャータがいる。
「どうした?急用か?」
「はっ、できれば早く伝えたかったものですから。」
「魔王様、開発部の総力をあげて製作していたあれが完成しました。」
「ハイグレフレイヤシステムが?」
「はい。テストはまだなんですけどね〜。セシル君とニーナ君が仕事ほったらかして出かけちゃったんで、手が回らなかったんですよ〜。」
「魔王様、洋上の適当な場所で実験をしたいと思います。できれば御観覧いただきたいのですが。」
「いや、それよりももっと実験に適した場所がある。」
「と、いいますと?」
「ふっ、知れたことよ!」
ルルーシュは悪魔の笑みを浮かべてほくそ笑んだ。



帝都ペントラゴンでは討伐部隊の敗北に完全に浮き足立っていた。
「何てことだ・・・・。ラウンズは全滅、シュナイゼル、コーネリア、ナナリーは敵の軍門に降ってしまった。これからどうすればいいんだ・・・・。」
第一皇子オデュッセウスはため息が止まらなかった。
「オデュッセウス兄様ったらさっきからそればっかり。早くハイグレ魔王なんてやっつけちゃえばいいのよ。」
「カリーヌ、今の状況は我々に不利なんだ。もっと穏便に何とかしないと。」
「兄様は二言目には『穏便に』なんだから。」
そこへギネヴィアがやってくる。
「おや、どうしたんだい、ギネヴィア?」
「そろそろ皇帝陛下への謁見の時間ですわよ?」
「そうか。ならいくか。」

「父上・・・・・。我々は一体これから先どうすればいいのでしょうか?」
「気に病む事は無い、オデュッセウスよ。奴らの世界など長くは続かん。」
「なぜでしょうか?」
「ワシはこの生涯をかけて世界の嘘を壊す。アーカーシャの剣さえ揃えばハイグレ魔王など砂上の楼閣のように崩れ去るわ。」
「アーカーシャの剣・・・・。以前シュナイゼルに少しだけ聞いたことがありますが・・・・。」
「ほう・・・・。シュナイゼルもそこまで知っていたか。まあ、奴らが攻めてくるまで時間があろう。それまで帝都と各エリアに臨戦態勢を命ずれば良い。」
「かしこまりました。」
会議室に侍従が入ってくる。
「失礼します!」
「何事だ?」
「はっ、それが・・・・。ハイグレ魔王が皇帝陛下とテレビ会談をしたいと・・・・。」
「何と無礼なハイグレ魔王!父上、その様な者を相手になさる必要はありません!」
ギネヴィアがいきり立つ。
「押さえよ、ギネヴィア。話を聞いてやるくらい良いではないか。」
「はあ・・・・。」
侍従がハイグレ魔王との会見をセッティングする。

会議室の巨大スクリーンにハイグレ魔王の姿が映し出される。
「久しぶりだな、ブリタニア皇帝。」
「ルルーシュ!?」
「そんな、死んだはずじゃ!!」
ギネヴィアとカリーヌが驚く。
「ほう、やはりルルーシュだったか。」
「予測はしていたようだな。まあ当然だろう。」
「で、今さらワシに何を話しに来た?己の行いが恐ろしくなって命乞いでもしたいのか?」
「ふん、違うな。これを見ろ!」
ルルーシュのアップからアングルを変え、傍らにいるラウンズとシュナイゼル、コーネリアなどが映される。
「今の俺はこれだけの人間を側に従えている。しかるに貴様は戦力の大半を失い、もはや俺に対抗する力は無い。」
「ふん、アーカーシャの剣の前にお前の権威など崩れ去るわ。」
「そうかな?C.C.とV.V.も俺と同じく東京にいるぞ?」
「東京など目と鼻の先よ。コードを奪い返す算段などいくらでもある。」
「で、降伏するか否か?俺はそのために会見を用意した。」
「知れたことよ。降伏など一片たりとも考えてはおらぬ。遺言の一つでも用意して待っておるが良い。」
「ほう。やはり降伏拒否か。分かった。これから全面戦争だな。」
「ふん、戦争など愚か者のすることよ。」
「そうかな?愚かではない戦争のやり方を見せてやろう。・・・・・・・・・・やれ、ナナリー!!」
ルルーシュが右手を振り下ろす。

「た、大変です!!帝都ペントラゴン上空にダモクレスが出現!!」
大慌てで士官が報告に来る。
「何だと!?ルルーシュ、貴様!!」
「見せてやろう、戦術と戦略の違いを!!」

「ハイグレフレイヤミサイル、発射!!」
ナナリーがフレイヤのスイッチを押す。
ダモクレスから数発のハイグレ光線搭載のミサイルが発射され、ペントラゴンに命中する。
「うわああああっ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
「きゃああああっ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
フレイヤの着弾地点から広範囲にわたって人々がハイグレ化していく。
難を逃れた航空部隊が集結してくるが、ジェレミアとコーネリアによって次々とハイグレ化していく。
「ナナリー、止めを刺すんだ!!」
「はい、仰せのままに!」
ナナリーがフレイヤの最後の弾丸を宮殿に向けて打ち込む。
「きゃあああああ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
「うわあああああっ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
「うおおおおおおっ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
カリーヌはオレンジ、ギネヴィアは紫、オデュッセウスは青のハイグレ人間になった。
「馬鹿な!!このワシが!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
皇帝は緑のハイグレを着てポーズを取った。

「よくやった、ナナリー。よし、そのままアメリカ大陸の侵略に移ろう。お前は総司令官として指揮を執れ。」
「はい、分かりました。ハイグレ魔王様は?」
「俺は中華連邦を叩く。皆もよく聞け!ブリタニアを倒した今、我々に敵は無い!ハイグレ・レクイエムを実現するんだ!」



三ヵ月後・・・・・
世界はハイグレ魔王によって完全に征服され、統一王朝が築かれた。
ナナリー、スザク、C.C.、カレンなど、おのおのが力を尽くし、中華連邦やEUを壊滅させたからだ。
ルルーシュは宰相に中華連邦出身で自分に匹敵する智謀とスザクに肩を並べる武略を持つ星刻を据え、立法府、軍事府、行政府の組織を再編して統一国家に相応しいものにした。
ハイグレ魔王はその上に統治者として君臨する王座につき、世界に平和が訪れた。

これは夢か現か。ルルーシュが見た部屋の中には仮面を被った男と一人の女性がいた。
「うふふ、うまくいったようね。」
「はっ、魔王の剣を介してハイグレパワーがどんどん蓄積されています。」
「まだまだアクション仮面を倒すには力が足りないわ。あとの三つの秘宝もパラレルワールドにばら撒きなさい。」
「はっ!現在選定作業を進めております。」
「そう・・・・。前の時みたいに私の大切な道具を破壊されないようね。」
「分かりました。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ま・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「う・・・・・・・・・・・うん・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・さま・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハイグレ魔王様!!」
「!!」
ルルーシュは目が覚めた。
「やっとお目覚めになりましたか、魔王様?」
「ナナリー・・・・・・。」
海の潮風の臭いがルルーシュの鼻をつく。その傍らにナナリーがいた。
「そうか、寝ていたのか。変な夢を見ていたな。」
「せっかく海に来たというのに、ついてそうそう寝てしまうなんて・・・・・・。」
「ああ、すまない、ナナリー。それと、誰もいないときは今までどおりお兄様でいい。」
「はい、お兄様。でも、随分お疲れなんですね。」
「そうだな。ハイグレ魔王の戴冠式、世界各国のハイグレ帝国への統合、諸制度の改革・・・・。やることがたくさんあるからな。」
「ふふ、それだけではないでしょう?知っていますよ?」
「ああ、ディートハルトが王たるもの妻や妾くらい侍らせるものだとあいつらをかけしかけたせいだ。」
C.C.はルルーシュとキスをしたこと、カレンは黒の騎士団時代から忠実に仕えていたこと、シャーリーは付き合いが一番古いこと、神楽耶は自分が一番に結婚を申し込んだこと、ミレイは年長者であることを理由にハイグレ女王の座を争っていた。
「まったく、気苦労が絶えない。やっぱりお前が一番だよ、ナナリー。」
「私が一番なんでしたら、もっと遊んでください。」
「そうだな。せっかく目も見えるようになって歩けるようになったんだから、もっと遊んでやらないとな。」
「そうですよ。私、お兄様に感謝しています。ハイグレ人間にしていただいて、こんなに元気に暮らせるなんて。」
「はは、そう言われると嬉しいよ。そういえば今日は違う色のハイグレなんだね?」
ナナリーは今日は緑のハイレグを着ていた。
「咲世子さんがたまには違うハイグレを着て気分転換をしたほうがいいと言ってましたから。」
「そうか・・・・。なら、今度は白いのがいいな。」
「はい、次に遊びに来る時はそうしますね。」

「お兄様〜!!」
ナナリーが少し離れた波打ち際からルルーシュを呼んでいる。
「今行く!」
ルルーシュはナナリーの下に走っていく。
「(ハイグレ魔王として・・・・いつまでもお前のそばにいるぞ、ナナリー。)」
ナナリーのハイグレ姿が太陽を浴びてまぶしく輝いていた。

MKD
2008年11月23日(日) 10時10分04秒 公開
■この作品の著作権はMKDさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
コードギアスのハイグレ小説はこれでおしまいです。最初に枠組みを考えた時よりかなり長くなりました。
ナナリーは立たせるか否か悩みましたが、原作で赤ちゃんも立っていたので立たせました。
次は柊かがみが主人公の小説がいいかなあ、と思っています。