けいおん! バンド結成!放課後ハイグレタイム |
桜高の音楽教師、山中さわ子は商店街のフリーマーケット会場を歩いていた。 「ない・・・・・・・・ない・・・・・・・私を満足させてくれる素材がない・・・・・・・・・。」 彼女は軽音部の生徒たちに着せる新しい衣装を買い求めにやってきた。 「もっと、こう・・・・唯ちゃんと律ちゃんと紬ちゃんが恥ずかしがるくらいのものがないかしら・・・。」 最近ではなんでも嬉しそうにコスプレ衣装を着る唯と律と紬に物足りなさを感じているさわ子。恥ずかしがる女の子を着せ替え人形にして遊ぶのが彼女にとって一番楽しい。で、そんな彼女の目に留まる品はそうそうに出会えるものではない。澪と梓は何でも恥ずかしがるが、他の三人が恥ずかしがる衣装を手に入れて自分の欲望を満たしたい。そんな気持ちを抑えられずにいた。 ふと見た骨董屋。そこには服は置いておらず、単に怪しげな箱や壺が置いてあるだけで、客は一瞥していくだけで立ち止まる者はいない。しかし、さわ子はなぜかその店、しかもフードを被った売り子の手元にある箱に興味を惹かれた。 「ねえ、その箱には何が入ってるの?」 さわ子が売り子に尋ねる。フードを被った少女は顔を上げ、さわ子の顔を見てくすりと笑う。 「やはりこの箱に目を付けましたか。さすがは適格者。」 「適格者?何の話?」 「これはあなたにふさわしい品。無料にて進呈しましょう。このマーケットにあるどの商品よりもあなたを満足させてくれる品です。」 「えっ?ただでくれるの?ラッキー。」 さわ子は売り子から手渡された箱をそっと開く。化粧箱のような豪華な装飾を施されたケースの中には、一丁の銃が入っていた。 「何これ?モデルガンかしら?」 「いいえ、それは魔王のハイグレ銃・・・・・・・あなただけがその銃を手にする資格があります。」 「これを使うとどうなるの?」 「表通りで言うのは憚られる内容です。こちらの取扱説明書をご覧ください。」 売り子からこれまた豪華な装丁をした本を手渡される。 「うわ〜、えらくこった作りね。本当にただでいいの?」 「ええ、あなたにこの銃を差し上げる資格があるかを見極めていて、あなたはこの銃を手に取りました。ですから、既にあなたのものです。」 「そう、じゃあ貰っていくわね。えっと、あなたの名前は?」 「レインと申します。」 「じゃあ、レインちゃん、ありがとう。」 お礼を言ってさわ子はその場を立ち去った。 さわ子は他の店も回ったが、結局目新しい品には出会えなかった。例の箱以外何の収穫も無かったさわ子はそのまま自宅に帰った。 さわ子は貰った箱をテーブルに置いて眺める。何も不審な点は見当たらない。箱の中身を出せばそのまま小物入れとして使えるレベルの良い箱だった。 「結局、なんだったのかしら?魔王のハイグレ銃?適格者?まあ、ただだったからいいようなものの・・・。」 さわ子はぶつぶつと文句を言いつつも、豪華な装飾の施された取扱説明書を眺める。最初は何の気なしに眺めていたが、その内容を見ると段々目つきが変わって真剣に説明書を読み始めた。 「何これ!?ハイグレ銃・・・・かわいい女の子達に恥ずかしい格好で恥ずかしいポーズを取らせることができるですって!?・・・いやいや、落ち着け、私。こんなのどうせ嘘に決まってるじゃない。」 そう思いつつももし本当だったらという期待もあり、ハイグレ銃を手に取る。試しに空中に向けて撃ってみる。 「うおっ!?光線が出たわね。大した威力もないみたいだし、ええい、ままよ!」 自分のおなかにハイグレ銃の銃口を向ける。大きく深呼吸をして、意を決して引き金を引く。 「きゃああああああああ!!」 さわ子の体が光り、着ていた服が点滅しながらハイレグ水着に変わっていく。光が収まるとさわ子は黄色のハイレグ水着を着ていた。 「くっ・・・・・・・体と口が勝手に・・・・・・・・・ハイグレ!!ハイグレ!!ハイグレ!!」 さわ子はしばらくそのポーズを繰り返す。しばらくして・・・ 「何でこんな際どい水着を着てこんな恥ずかしいポーズを・・・・。っていうか、これって本物だったのね。でも、なんかいい気持ち・・・・。」 音楽教師をしていて運動不足になりがちなさわ子にとってはいい運動になった。 「待てよ、この恥ずかしい格好とポーズを軽音部の子たちにやらせたら・・・・。」 さわ子は悟った。売り子の言った、あなたを満足させてくれる、という意味を。どんな着せ替え用の服よりも可能性のあるハイグレ水着。さわ子は説明書を夜遅くまで読んで内容を頭に叩き込んだ。 「ふむふむ・・・・。ハイグレ姿のハイグレ人間にして、思い通りに操れる・・・・。いいわ、いいわよ、これ!あれとかこれとかいろいろ着せられるじゃない!」 こうして、不純な動機を持ちつつもハイグレ計画の一翼を担った山中さわ子はハイグレ魔王への道を突き進んでいくことになる。 「とは言ったものの、今日って軽音部はお休みじゃない・・・。」 次の日の放課後、さわ子は悩んでいた。女の子をハイグレ人間にする魔法のごとき銃・・・しかし、ハイグレ化したい軽音部のメンバーたちは音楽準備室に集まらない。 「先生、さようなら〜。」 「さようなら。気を付けて帰るのよ。」 さわ子は手を振ってすれ違った生徒に笑顔を振りまく。一般生徒や教員たちの前では美人で優しい名教師として名前が通っているので、まだ効果を実証しないうちに他の生徒たちに手は出したくない。この世界をハイグレ人間で埋め尽くして意のままに動かすにはまだ忍耐の時・・・さわ子は自分にそう言い聞かせていた。 「くっ・・・・また・・・来た・・・・。」 ハイグレ人間に来る禁断症状。それは定期的にハイグレポーズを取りたくなるというもの。自分をハイグレ人間にしてから、さわ子は昨晩からこの発作が止まらなかった。授業中にそれが来た場合はなんとか耐え、休み時間にトイレの個室へ直行してハイグレポーズを取っていた。他の教員たちには風邪をひいて下痢気味なのかと勘違いされているが、そんな体裁を気にしている余裕はなかった。 「そ、そうだ・・・。音楽準備室なら・・・・思いっきり・・・・。」 今日は軽音部は休みなので、準備室には誰もいない。準備室はさわ子が持っているもの鍵と軽音部長の律が持っている合い鍵と職員室のマスターキーだけ。部屋を閉じて思いっきりハイグレポーズをして発散できるはず・・・。さわ子は足早に音楽準備室への階段を上って行った。 「くっ・・・・。早く・・・・。」 体をもじもじさせながら準備室の鍵を取りだす。そして、鍵を鍵穴に差し込む。鍵を半回転させるが、カチリと鳴らない。鍵が開く感触もない。 「開いてる?誰か中にいるのかしら?」 さわ子は恐る恐る扉を開いて中を見る。そこには・・・・ 「あっ、先生。お疲れ様です。」 中にいたのは一年生部員・中野梓だった。アンプを出してギターのチューニングをしている。 「あ、梓ちゃん?今日は部活はお休みじゃなかったっけ?」 「はい。でも、家で練習しようにもアンプの調子が悪くて・・・。律先輩に鍵を貸してもらったんで、ここで練習しようかと・・・。」 「ふっ・・・・・・・くっ・・・・・・・・・・もう・・・・・・・限界・・・・・。」 「あの、先生?」 心配そうに見ている梓をよそに、さわ子はスーツを脱ぐ。その下にはハイグレ人間の証・ハイレグ水着を着ていた。 「ハイグレ!!ハイグレ!!ハイグレ!!ハイグレ!!」 さわ子は一心不乱にコマネチのポーズを取る。さっきまでずっと我慢していた感覚。膝を曲げ、両腕をまた下に伸ばし、一気に肩をあげてまた振り下ろす動作を繰り返した。 「せ、先生、何やってるんですか?こんな所でこんな格好でコマネチなんて。」 「見たわね、梓ちゃん。」 さわ子は荒い息遣いで答える。 「見てしまったからには、あなたをここから無事に帰すわけにはいかないわ。」 「は、はあ・・・?」 梓は要領を得ない顔をしている。 「あなたにもこの格好になってもらうわよ!!」 「な、なんでそんな格好をしなきゃいけないんですか!!っていうか、その恥ずかしいポーズも嫌です!!」 さわ子は脱ぎすてたスーツのポケットからハイグレ銃を取りだす。それをまっすぐ梓に向ける。梓はギターを肩から外して脇に置き、身構える。 「先生、いつも以上に変です!!」 いつも変であることは否定していない。梓は気味悪がって部屋の扉の方に逃げる。 「逃がさないわよ!!」 さわ子はハイグレ銃の引き金を引く。扉の取っ手に手をかけようとしていた梓にハイグレ光線が命中する。 「きゃあああああああああああああ!!」 背後から光線が命中し、梓は体をのけぞらせる。激しい点滅が起こる。制服がだんだんとハイレグ水着に変換され、光の点滅が収まるとピンクのハイレグを着て靴下と上履きを履いた姿になっていた。 「なっ、何ですか、これは!?ハイレグの水着姿に・・・・。」 自分の変わり果てた姿を見て愕然とする。 「さあ、ハイグレポーズを取りなさい。そして、私に従いなさい。」 「先生の言うことを聞くな、私・・・・。あっ、なっ、ひっ・・・・・・。」 彼女は頭を抱えて激しくうめく。 「だ、だめ・・・・。体が・・・・そんな・・・・恥ずかしい・・・・。」 梓はそろそろと股下に手を当てる。そして・・・ 「ハイグレ!!ハイグレ!!ハイグレ!!ハイグレ!!ハイグレ!!」 激しくポーズを取る。最初は嫌がっていた顔も、だんだんと恍惚とした表情に変わってくる。新しいハイグレ人間がここに誕生した。 次の日は土曜日。私立学校なので土曜日も授業があるが、午前で終わり。部活は午後からだが、さわ子と梓はホームルーム後すぐに音楽準備室に入り浸っていた。 「ハイグレ!!ハイグレ!!ハイグレ!!ハイグレ!!」 「ハイグレ!!ハイグレ!!ハイグレ!!ハイグレ!!」 二人はハイグレポーズで心の中のもやもやを発散させていた。 「梓ちゃん、腕を振り下ろす時の左右のバランスが悪いわ!もっと左肩の力を抜きなさい!」 「は、はい、先生!!ハイグレ!!ハイグレ!!ハイグレ!!」 「そう、その感じよ。あなたも立派なハイグレ人間に一歩近づいたわね。」 梓のハイグレポーズを眺めていたさわ子は、傍らから猫耳を取りだす。 「そうだ、梓ちゃん。猫耳つけてハイグレポーズして。」 「そ、それはちょっと・・・・。」 「ハイグレ魔王様の言うことが聞けないのかしら!?」 「喜んでつけさせていただきます!」 ハイグレ魔王であるさわ子の命令は絶対だった。梓はいそいそと猫耳を付けてハイグレポーズを繰り返す。 「か、かわいい・・・・。こんな恥ずかしがる梓ちゃんを見るなんて初めてだわ。あたし、もう思い残すことはないわ。」 「だ、ダメです!先輩たちも、全世界の人たちもハイグレ人間の世界にするまで頑張りましょう!」 「そうだったわね。先生、目的を見失っていたわ。梓ちゃんは本当にいい子ね。」 さわ子は感動して泣きながら梓を抱きしめる。二人ともハイレグ姿になっているので、お互いに体密着している。 「はあああ〜。」 抱き合う二人を見つめる一人の女子生徒。梓がそれに気づく。 「ム、ムギ先輩!?」 二年生の軽音部員・琴吹紬、愛称ムギが扉を開けて展開を見守っていた。ムギビジョンを展開させて百合妄想に浸っている。 「おーい、ムギちゃ〜ん。戻って来なさ〜い。」 「はっ!!わ、私ったら!!」 ムギは顔に手をやる。真っ赤になった頬を一生懸命さすっている。 「あの、先生、梓ちゃん。一体何をしてるんですか?」 「あら、ムギちゃんも興味ある?ふふふふっ、行きなさい、梓ちゃん!!」 「はい!!」 梓は言うが早いかムギの背後に回って後ろから抱きつく。ムギは梓を振り払おうとするが抜け出せない。 「きょ、今日の梓ちゃんは何か違うわ。つ、強い!」 「ふっふっふっ。今の梓ちゃんはハイグレ人間。ハイグレ人間は普通よりずっと強いのよ?どうやら怪力のムギちゃんでも無理のようね。」 「えっ?先生もおかしくなっちゃったんですか?」 ムギは近づいてくるさわ子に本能的な恐怖を感じる。何か未知の力・・・・それは神に与えられた天地創造に匹敵する力を持っているように感じられた。 「さあ、ムギちゃんもハイグレ人間になりなさい!!」 さわ子がハイグレ銃の引き金を引く。相手が動けない状態なので確実に目標を仕留める。 「きゃああああああああ!?」 ムギの体に命中して制服とハイレグ水着が入れ替わる。段々とムギの体にフィットする白のハイレグ水着になっていった。 「なっ!?これはなんのコスプレですか!?さ、さすがにこれはちょっと・・・。」 事態を飲み込めていないムギは自分のハイレグ姿を見てまだコスプレだと思っている。 「これはコスプレじゃないわ。進化よ。あなたはこれからハイグレ人間として生きていくの。」 「何を言ってるのか分からないんですけど。あっ・・・・。」 ムギの体に何かがこみ上げてくる。体がポカポカして顔が火照ってくる。そして、頭がアレをしろと命令してくる。 「くっ・・・・。ハ、ハイグレ!!ハイグレ!!ハイグレ!!ハイグレ!!」 ムギは前かがみになってハイグレポーズを繰り返す。新しいハイグレ人間が誕生した。 「さて、後は唯ちゃんたちが来れば、私のハイグレ人間コレクションがいっぱいになるわ。楽しみだわ!!」 ムギの携帯にメールが入る。その文面を見て、さわ子はおやつをお預けにされた子供のような表情になってしまった。唯がギターの弦を切ってしまったので楽器店に行く。全員昇降口に集合せよ、との部長のお達しだった。 「くっ、人がいっぱいる所じゃあの子たちを襲えないじゃない・・・。」 梓とムギを送り出したさわ子は一人でいじけていた。 日曜日。さわ子は昼の11頃に目が覚めた。今日は仕事が休みなので、ゆっくり起きる。顔を洗った後遅い朝食を食べる。 「ハイグレ!!ハイグレ!!ハイグレ!!ハイグレ!!」 さわ子は欲望に任せてハイグレポーズを取る。バンドで歌い終えた後に似た爽快感に完全に取りつかれていた。ムギと梓も今頃ハイグレポーズを取ってるのかと思いをはせる。 「早く軽音部を、いいえ、全世界を私のものに!そうよ、こんな楽しいものを皆が知らないなんてもったいないわ!」 ハイグレ魔王としての責務を果たすため、さわ子は町に出る。 「誰かいないかな〜。」 日曜日の商店街は多くの買い物客で賑わっている。さわ子は人込みの中をぶらぶらと歩いていた。 「あれ、さわちゃん?」 後ろから声をかけられる。振り向くと、そこには・・・。 「さわちゃんも買い物?」 「りっちゃん!!」 軽音部長・田井中律が偶然にも同じ商店街にやってきていた。今日は澪が家族と用事があるので、一人で来ていた。 「ああ、これこそ神のお導き!!感謝します、神様!!」 「何やってんの、さわちゃん?」 「さあ、こんな所で油を売っている暇はないわ!!こっちに来なさい!!」 「ちょ、さわちゃん、思いっきり引っ張るな〜!!」 さわ子は律の手をぐいぐい引いて近くの大きな公園に連れ込んでいく。 「ふう、ここでいいわね。」 さわ子は茂みから頭を出してあたりを警戒する。誰も近くにいないのを確認して頭を引っ込める。 「実はね、りっちゃん。大事な話があるの。」 「えっ?う、うん。なに?」 律は真剣な表情のさわ子にただならぬ気配を察した。表情を引き締めてさわ子の言葉を待つ。 「私と一緒に・・・・。」 「一緒に?」 「ハイグレ人間になりましょう!!」 「はい?」 律の頭の思考回路が一気にパニック状態に。頭上にクエスチョンマークが浮かんでいる。 「今日は誰もハイグレ人間にできないと思っていたけど・・・あなたに出会えたのは運命だわ!!さあ、このハイグレ銃で!!」 興奮しながら力説し、ポケットから銃を取りだす。 「おいおい、さわちゃん。真面目な顔してピストルごっこ?小学生か!!」 「いいえ、これは遊びじゃないわ。覚悟しなさい!!」 そう言ってさわ子は不意打ちでハイグレ銃を放つ。光線の狙いが外れて律の頬を掠める。 「うおおっ!!ちょ、それ危なくないか?」 律は身の危険を感じてさわ子と距離を取る。 「この服動きずらくて邪魔ね。えいっ!!」 さわ子は着ていた私服を脱ぎだす。 「さわちゃんのアホ!!公共施設のど真ん中で服を脱ぐな!!」 しかし、律はすぐに気づく。さわ子が黄色いハイレグ水着を着ていたことに。 「ふっふっふっ。ハイグレ人間状態になった私はハイグレ魔王!!すなわち無敵!!決着をつけさせてもらうわよ、りっちゃん!!」 「は、速い!!」 さわ子は律が呆気にとられているうちに背後に回り込む。そして、頬にハイグレ銃の銃口を突き付けた。 「もう逃げられないわ!!さあ、あなたも私のしもべに!!」 さわ子は顔に悪魔の笑みを浮かべて引き金を引く。 「うわああああああああっ!!」 律の体がハイグレ光線で激しく光る。光が収まるとオレンジのハイレグ姿になっていた。 「な、何だ、これ!?」 自分の着衣の変わりように驚きを隠せない。こんなことがあるえるのか、という表情だ。 「さあ、りっちゃん。私に服従しなさい!!どうすればいいかは分かるはずよ!!」 「なっ!?か、体が勝手に・・・・。」 律は体を屈めて腕をまっすぐ下に伸ばす。 「うふふ、こうやって屈んだ姿勢だとりっちゃんのおっぱいも大きく見えるわね〜。」 「よ、余計な御世話だ〜!!くっ・・・・・。」 律は苦しそうに顔をゆがめる。ハイグレ光線の力が体をむしばんでいる。 「だ、だめ・・・・・。もう・・・・・あたし・・・・・。」 「みんな通る道よ。受け入れるのよ、ハイグレ人間の全てを!!」 「うわあああああああ!!ハイグレ!!ハイグレ!!ハイグレ!!ハイグレ!!」 律は激しくハイグレポーズを取り始めた。その顔には一片の迷いもなく、ハイグレを受けれ入れた。 〜唯side〜 日が明けて月曜日の昼休み。唯は隣の教室の澪のところへやってきた。 「ねえ、澪ちゃん。聞きたいことがあるんだけど。」 「真面目な顔してどうしたんだ?」 「実はね、りっちゃんとムギちゃんの様子が変なんだ〜。」 「変?どういう風に?」 「なんかね、授業が終わるたびにトイレに行くの。それに、二人ともいつもより落ち着きがないっていうか。」 「唯にそう見えるとはな・・・。トイレに行くなら風邪でもひいてるんじゃないのか?」 「うーん、なんか違う気がするんだけどな〜。」 唯は律と紬の異変に気づいた。妙なところで洞察力を発揮する彼女には、いつもの二人が別人に入れ替わったように感じていた。 「放課後には部活だ。二人の体調が悪いなら今週の予定を組みなおさないとな。」 「えっ?あ、うん・・・。」 澪はいたって一般的に、二人の変化は体調が悪いと考えていた。 放課後、律と紬は一番乗りで音楽準備室にやってきた。 「なあ、ムギ。なんか今日、唯の様子がおかしくなかったか?午後になってあたしらと距離を取って他のクラスの奴らとばかり一緒だったぞ?」 「もしかしたら私たちがハイグレ人間になったことに気づいたのかもしれないわね。」 「なっ!?それ一大事じゃん。はやく、ハイグレ魔王様に報告しないと。」 「平気よ。お昼休みに澪ちゃんの所に行ったけど、風邪だろうって言われたらしいから。特に動きはないはずよ。」 「ごめん、うちのクラスだけホームルームと掃除が長引いちゃって。」 澪がベースを担いで準備室に入ってくる。 「よお、澪。」 「今お茶を入れるわね。」 律はお菓子を、ムギがお茶を淹れながら澪を出迎える。 「なんだ、二人とも元気そうじゃないか。やっぱり唯の思い過ごしだな。」 「へえ、唯が何か言ってたのか?」 椅子に腰かけた紅茶をすすめながら言う。 「ああ、二人が頻繁にトイレに行ってて様子がおかしい、って言ってたんだけど。何か二人が別人に入れ替わったみたいだって。」 「唯ちゃん、そこまで気づいてたの。別人になってるのに気づくなんてさすがね。」 「んっ?何の話だ?・・・・・・!!」 澪は飲んでいたティーカップを取り落とす。紅茶の中身が机の上に飛び散る。 「どうしたんだ、澪?いきなりむせたりして。」 「ムギ・・・・この紅茶に何を入れたんだ?何か変な物が混じってるぞ?」 「あら、残念。ただの痺れ薬だったんだけど。」 「何!?」 澪は咄嗟に危険を感じて二人のそばを離れる。しかし、立ち上がった瞬間薬の効果でよろめく。 「仕方無いなあ、ムギ。実力行使と行こうか。」 「ええ。戦闘モードON。」 律とムギは制服を脱ぎすて、ハイレグの水着姿になる。握った拳をポキポキ鳴らし、少しずつ近づいてくる。 「どうしたんだ、二人とも。くっ、唯が言ってたことをもっと真剣に考えてれば・・・・。」 その刹那、二人が動く。律が右ストレートを澪の顔面にめがけてつっこませてくる。反射神経のいい澪は咄嗟に横にかわす。その避けた先へムギのひざ蹴りがもろに入る。 「ぐはっ!?」 さらに、体勢を崩した澪に律の左アッパーが決まり、床に放り出された。 「とどめだ!!」 「ひっ!?」 「どうしたの?何の騒ぎ?」 律と紬が澪に止めの一撃を見舞おうとした時、さわ子が準備室に入ってきた。澪はすかさずさわ子の後ろに隠れる。 「せ、先生!!この二人が変なんです!!私を襲って来るんです!!」 澪はさわ子に涙目になって必死に訴える。藁にもすがる思いだった。 「りっちゃん、ムギちゃん。そこに正座しなさい。」 「えっ?は、はい。」 律と紬は床に正座する。 「こんなにかわいい澪ちゃんの顔に傷でもついたらどうするの?」 「す、すみません。」 澪はほっと胸をなでおろす。先生が来たからにはもう安心だ、と。恐らくは二人の悪ふざけだろう、先生にお説教をされればすぐに元に戻るだろう、と。 「澪ちゃん。怖かったでしょう?この二人も悪気はなかったと思うの。許してあげてね。」 「い、いえ、私は別に怒ってませんから。ただ、ちょっと驚いただけで・・・。」 「それは良かったわ。じゃ、ご褒美にハイグレ人間にしてあげるわね。」 さわ子は澪の頭に銃を突き付ける。当然ハイグレ銃だ。 「へっ?せ、先生、一体何を?」 「あら、ハイグレ人間にするって言ったじゃない。今からりっちゃんとムギちゃんと梓ちゃんとお仲間よ?唯ちゃんも揃えばハイグレ人間だけでバンドを組めるわね〜。」 「えっ?えっ?もしかして・・・・先生もグル?」 「今頃気づいてももう遅いわ。さあ、澪ちゃんもハイグレ人間になりなさい!!」 さわ子はためらう事無くハイグレ銃の引き金を引く。 「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 澪はしゃがみこんだままハイグレ光線の力で強制的にされた。 「なっ!?なんだ、この格好は!?」 「それが人類に与えられた最高の姿よ。さあ、この私・ハイグレ魔王様を称えなさい!!」 「い、いや、こんな恥ずかしい格好で・・・・・うっ・・・・。」 最初は嫌がっていたが、そこはハイグレ光線。だんだんと体を光線の力が蝕んでいく。 「うっ・・・・なんだ、この感覚・・・・・ハ、ハイグレ・・・・ハイグレ!!ハイグレ!!ハイグレ!!」 澪は黒のハイグレ姿でポーズを取り、ハイグレ魔王・さわ子への忠誠を誓った。 〜唯side〜 唯はドア越しに騒ぎの一部始終を見ていた。音楽準備室にやってきて扉を開けようとしたところ、澪がハイグレ化する瞬間を目撃してしまった。驚きのあまり、準備室の扉を閉じた。準備室の中からはハイグレ!と叫ぶ澪と他のメンバーがそれに合わせる声が聞こえてくる。 「澪ちゃんがハイグレ人間・・・・さわちゃんがハイグレ魔王・・・・。どどどどどどどどうしよう!!」 唯は混乱していた。自分の虫の予感は正しかった。みんな何かに操られていて、それに気づいているのは自分だけ。自分が何とかしなくては、と考えた。しかし、動こうにも足がすくんで動けない。 「何やってるんですか、先輩?」 唯はビクンと体を震わせる。恐る恐る振り返ってみると、そこには後輩の梓が立っていた。 「あああああああ・・・・あずにゃん・・・・。」 「どうしたんですか?顔色が悪いですよ?まるで、何かとてつもないものを見てしまったかの様な・・・。」 「(ま、まさかあずにゃんも・・・・。)ご、ごめん、ちょっと風邪気味で・・・。今日は家に帰って休むよ。みんなにはよろしく伝えといて。」 唯はそう言って下り階段に向けて歩く。右手と右足を同時に出しながら歩いている。かなり動揺しているのが傍目に分かる。 「体の調子が悪いんですか?だったら、準備室のソファーで休みましょう?悪いようにはしませんから。」 「(ひいいいいいいっ!!今あずにゃんが悪魔の笑みを!?ここにいたら殺される!!)」 唯は全速力で階段を駆け降りる。梓の制止を振り切って準備室を遠ざかっていく。 「のどかちゃーーーーーーーーーーーーーーーーん!!」 唯は生徒会室の扉を思いっきりよく開けた。中には仕事をしている幼馴染・真鍋和と生徒会のメンバーがいた。 「唯?今会議中よ?用なら後で・・・・。」 「和ちゃん和ちゃん和ちゃん和ちゃん和ちゃん和ちゃん和ちゃん!!」 唯は和に抱きついておいおい泣きだす。和はとりあえず唯にお菓子をあげ、会議の間大人しくさせることに成功した。 「で、何があったの?」 会議が終わった後の生徒会室。メンバーは残務整理でまばらになっている。 「助けて和ちゃん!!私、追われているの!!」 「またテレビの見すぎね?だからあれほど程々にしなさいと・・・。」 「本当に追われてるの!!ここじゃ事情を話せないけど!!だから和ちゃん、一緒に帰って〜。」 唯に終始抱きつかれつつも仕事を終わらせた和は、唯を連れて学校の外に出た。 「で、いつまでだきついているつもり?」 「家に帰るまで〜。はっ!!」 唯は抱きついていた和からとびすさって近くの自動販売機の陰に隠れた。 「何やってるの、唯?」 「シーッ!!奴らが来てる!!うまくやりすごして!!」 唯は震えながらも和に指示を出す。和はなんのことか分からなかったが、道の向こうから律と澪がやってくるのが見えた。 「おーい、和。」 「あら、澪に律。二人お揃いでどうしたの?」 「いやー、別にどうってほどでもないんだけどさ。学校の帰りだよ。」 「その割には何か探してるみたいだけど?」 和が二人のそぶりについて指摘すると、二人は少しうろたえた。 「ああ、そうそう。唯知らない?気分が悪いって先に帰ったんだけど。」 「そういえば廊下ですれ違ったわ。顔色が悪いから、本当に体の調子が悪かったのかも。」 澪と律は和に背を向けてひそひそ話を始める。 「おい、澪。これは本当に・・・。」 「いや、でも・・・。」 和は何か不審に感じる。この二人は何かを隠している。 「じゃ、じゃあ、私たちはこれで帰るから。また明日な、和。」 そう言い残して二人は去って行った。 「お姉ちゃん、おかえり〜。」 帰ってきた姉を妹の憂が玄関まで出迎える。 「憂〜!!会いたかったよ〜!!」 唯はまた泣きながら妹に抱きつく。憂はそれを優しく抱きとめる。 「さあ、唯。家に着いたんだから、ちゃんと説明してもらえるかしら?」 傍らにいた和に説明を求められる。三人はリビングに移動し、そこで唯が今までのあらましを説明した。 「ハイグレ魔王?ハイグレ人間?いったい何を言ってるの?」 和は唯の説明を聞いた後の第一声でそう言った。常識人である和には全く理解できない内容だった。 「本当なんだって!!さわちゃん先生も、ムギちゃんも、りっちゃんも、澪ちゃんも、たぶんあずにゃんも、全員何かに操られてるんだよ!!お願い!!信じてよ〜。」 「私、お姉ちゃんのこと信じるよ。お姉ちゃんは嘘つかないもん!!」 「ありがとう、憂〜。」 唯は妹に信じてもらえたことに喜んで手を握り合った。 「あんたたちねえ・・・・・。」 和は呆れつつも思い返してみる。唯は普段はボケボケしてるが、今の彼女が嘘をついているようには見えない。それに、先ほど出会った律と澪が何かを隠しているのが分かる。 「そういえば・・・・昼休みに職員室行ったんだけど、その時に山中先生の様子がおかしいって話が出てたわね。」 「えっ?本当?もしかしてやたらトイレ行きたがるとか?」 「どうして知ってるの?」 「今日りっちゃんとムギちゃんもそうだったんだよ!ねえ、憂。あずにゃんは?」 「そういえば・・・梓ちゃん、土曜も今日も朝からずっとそわそわしてて授業が終わるたびにどこかに行ってたよ?」 三人は黙り込む。さわ子、梓、ムギ、律に重なっている行動パターン。これを偶然と言い切るのは少々無理があった。和が詳細な話を聞いてまとめてみる。 山中さわ子 金曜日朝から様子がおかしい(和の証言) 中野梓 土曜日朝から様子がおかしい(憂の証言) 琴吹紬 土曜日放課後から様子がおかしい(唯の証言) 田井中律 月曜日朝から様子がおかしい(唯の証言) 秋山澪 月曜日放課後に襲撃(唯の証言) 「おかしくなった順に並べてみると、先生に何か原因がありそうね。」 和は持っていたシャーペンを机の上に置いて、腕を組む。 「さわちゃん先生がハイグレ魔王だからだよ。みんなを次々にハイグレ人間に変えてるんだよ、こうピカーッって。私も逃げてなかったら危なかったよ。」 「良かったね、お姉ちゃん。お姉ちゃんのことは、明日から私が守ってあげるからね。」 「ありがとう、憂〜。いい子いい子〜。」 唯が憂の頭をなでなでする。 「ねえ、和ちゃん。どうしたら皆をハイグレ人間から元に戻せるのかな?」 「いや、まだ私は完全に信じてるわけじゃないんだけど・・・。っていうか、現実的な話じゃないし・・・・。私が信じられないんだから、他の人はもっと信じてくれないわよ?」 「そんな〜。でも、このままじゃきっと私たちもハイグレ人間にされちゃうよ?」 「いや、だから・・・。まあ、明日は澪を見張っておくから、様子を見てまた考えましょう?不審な行動をしたら、私が会長に掛け合って生徒会権限で調査するから。」 和が最大限の譲歩案を示す。現状でできることはこれくらいだろう。 「お姉ちゃん、私も梓ちゃんを見張ってみるよ。クラスの仲のいい友達にもそれとなく言っておくから。」 「ありがとう〜、二人とも。」 和が席を立ち、憂が玄関まで送る。こうして、月曜日の夜は更けていった。 〜さわ子Side〜 火曜日の朝、生徒たちより早くさわ子は出勤する。職員室で朝のデスクワークとホームルームを済ませ、音楽室へ向かう。二時間目に一年の授業がある。その準備をしていた。 「なんか、周りの視線が厳しくなってきたわね・・・。」 コーヒーをすすりながらため息をつく。金曜日からずっとハイグレ人間の禁断症状がとまらず、定期的にハイグレポーズを取っている。そのためにトイレに行く頻度が高いわけだが、体調不良で通すのも難しくなってきている。ある先生は病院にいくように勧め、別の先生は消化のいい健康食品を買ってきてくれる。どんどん自分の注目度が高くなっており、自分の正体がハイグレ魔王であることがばれるのは時間の問題になりつつあった。 「そろそろ私も被っている猫の皮を脱ぐ時か・・・・。この世界をわがものにするには、この学校くらい簡単に支配下に置けるぐらいでないとダメよね。」 しかし、その前に排除すべき障害がある。それは平沢唯。梓の話からすれば、澪のハイグレ化を目撃している。そして、彼女のそばには優秀な妹と幼馴染がついている。うかつに手を出せば自分の世界征服計画が台無しになる。まずは外堀である憂と和をハイグレ化しなければならない。彼女たちはハイグレ化のいい素材だし、一石二鳥だ。 昼休み、昼食を終えたさわ子は校舎の裏に足を運ぶことにした。廊下から梓と澪がそちらへ向かっていく姿が見えたからだ。恐らく、校舎の死角になっている場所でハイグレ姿になるのだろうから、自分もその仲間に入れてもらおうと考えた。上履きを履き替えて外に出ると、梓と澪がいる場所の手前の物陰に一人の女子生徒がいるのが見えた。片手に携帯電話を持ち、二人がいる場所を遠くから伺っている。 「何をやってるのかしら、鈴木さん?」 女子生徒はビクンと体を震わせ、恐る恐るさわ子のいる後ろ側を振り返る。憂のクラスメイト・鈴木純だった。 「や、山中先生・・・。ちょっっと外の空気を吸いに・・・。」 「あら、それだったらグラウンドの方が涼しい風が来るわよ?」 「そ、そうですね。じゃあ、失礼します。」 純はさわ子にお辞儀をして踵を返して早歩きする。その彼女の前を阻んで通せんぼする。 「見たのね、鈴木さん?」 「な、なんの事ですか?私にはさっぱり・・・・。」 しかし、その言葉とは裏腹に純の顔には焦りと脅えの表情が浮かんでいる。梓と澪がハイグレポーズを取っているシーンを見ているのは明らかだった。 「梓ちゃん、澪ちゃん、カモン!!」 「はっ!ここに。」 梓と澪が素早くさわ子の元にやってくる。ハイグレ姿で今までポーズを取っていたのか、制服の着衣が少し乱れている。 「鈴木さんがあなたたちのハイグレ姿を目撃してしまったわ。近くに憂ちゃんもいるはずよ。探して捕えてきなさい。」 「仰せのままに。」 二人はさわ子のそばを離れ、校舎の裏側の捜索を開始した。さわ子は足がすくんで動けない純に視線を戻す。 「さあ、鈴木さん。分かってるわね?あなたに残された道はハイグレ人間になることのみ・・・。」 さわ子はポケットから取り出したハイグレ銃を純に向けて構える。 「ハイグレ人間になりなさい!!」 「きゃあああああああああああっ!?」 純は光線に当たったショックで携帯電話を落とす。大の字になって苦悶の表情を浮かべる。光が収まると水色のハイグレ姿になっていた。 「きゃっ!ハイグレ!!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!!」 純はハイグレポーズを激しく繰り返す。すぐに順応してしまったようだ。 「うふふふ、私に逆らうとこうなるのよ。おほほほっ!」 さわ子は笑いが止まらなかった。 「純ちゃん!?純ちゃん!?」 純とは反対の方向から梓と澪を見張っていた憂は、連絡を取り合っていた純がハイグレ化されたことに愕然とする。携帯電話からはハイグレ!と叫ぶ純の声が聞こえてくる。 「あっちから梓ちゃんと澪さんが・・・。早く逃げないと律さんと紬さんもやってくる・・・。純ちゃんの犠牲を無駄にしないためにも、絶対逃げのびなくちゃ!」 自分には今目撃した現実を唯と和に伝える義務と責任がある。そう自分に言い聞かせ憂は走り出した。 〜唯Side〜 唯・憂・和の三人は放課後に生徒会室に行った。憂の調査、和が気づいた澪の異変、唯の目撃証言を合わせて説明し、生徒会権限を発動するためだ。その上でこの学校を守らなければならない。 生徒会室の扉を開くと会長が一人で書類にペンを走らせていた。 「あら、真鍋さん。それに・・・平沢さん、だったかしら?」 会長はにこやかに笑みを浮かべて三人を出迎える。 「あの、会長。相談があるんですけど。」 「何かしら、改まって。真鍋さんがそういう顔をするってことは余程の事情があるみたいね?」 「はい。実は・・・・。」 和がかいつまんで説明する。何も前提条件を知らない相手を説得するのに骨が折れる内容であったが、最後まで説明しきった。 「う〜ん。あなたたちが嘘をついているようには見えないんだけど・・・。ちょっと信じられないわね。」 「私も最初は全然信じていませんでした。でも、確かに何かが変なんです!」 「証拠とかあるの?」 「はい、これです。」 憂がすかさず携帯を取り出して画像を見せる。澪と梓がハイグレポーズを取っている画像だった。 「これは・・・・。」 「ひとまず生徒の風紀を乱すってことで考えてもらえないでしょうか?高校生がこんなことをしてたら不自然ですし。」 「ふふふふ、あなたたち、ここまで調べていたのね?さすがだわ。」 「では生徒会で調査の方を?」 会長は期待をにじませる和に構わず笑い続ける。 「あの、会長?」 「うふふふ、ごめんなさい。でも、おかしくって。しっかり調べている割には無警戒にノコノコやってくるなんてね。ツメが甘いわ。」 「和さん、危ない!!」 憂が和に抱きついて倒れこむ。その頭上を赤い光線が掠めていった。 「さあ、もう出てきていいですよ、ハイグレ魔王様!」 会長が掃除用具ロッカーに向かって大声で言う。バンと扉が開き、そこから出てきたのはさわ子だった。 「さわちゃん!?どうしてこんな所に?」 「うふふふ、あなたたちの考えそうな事はお見通しよ。鈴木さんの話を聞いて放課後にあなたたちがここに来ることは容易に予想がついたわ。」 「じゃ、じゃあ、まさか会長は・・・。」 「そうよ、既に私のしもべよ。もういいわ、会長さん。楽にして。」 会長は制服の上着を脱ぎ、ブラウスを脱ぐ。その下には紫色のハイレグ水着を着ていた。 「ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!」 会長はさわ子の前でハイグレポーズを繰り返す。 「憂ちゃん、この携帯電話は没収させてもらうわ。すぐに返してあげるけど。なぜなら・・・・ハイグレ人間になってもらうから!」 そう言いざまハイグレ銃を放つ。憂の頬を掠めて壁に当たって消えた。 「うふふふ、助けを呼ぼうと思っても無駄よ?他の子たちに命じて生徒会室近辺に人が近づかないようにしているから。」 「二人とも、逃げるわよ!」 和は素早く後ろの扉へダッシュ。取っ手に右手を掛けて開く。三人は廊下を全力疾走する。 直線廊下をまっすぐ進むとその先には澪とムギが立っていた。 「なんだ、三人とも逃げてきたのか。だけど、ここから先は通さないよ。」 「唯ちゃんも憂ちゃんも和ちゃんもハイグレになりましょう。」 二人が通せんぼする。後ろからはさわ子と会長が後を追ってくる。挟み撃ちになっていた。 「えいっ!」 強行突破しようと和が突進する。しかし、すぐ二人に取り押さえられてしまった。 「唯!憂!私に構わず逃げて!」 「やだよ!和ちゃんを置いて逃げるなんて・・・。」 その横をさわ子の放ったハイグレ銃が飛んでいく。そのまま光線は和の方向に。 「きゃあああああああ!?」 取り押さえられていた和は二人を弾き飛ばして大の字になる。そして、制服姿から黄緑色のハイレグ姿になってしまった。 「和ちゃん!?」 「ごめん・・・唯・・・・ハイグレ!!ハイグレ!!ハイグレ!!」 和は苦痛の表情でハイグレポーズを取りだす。ゆっくりと小さく腕を振ってポーズを繰り返す。 「お姉ちゃん!!」 呆然としている唯の手を憂が引いて走りだす。 「和ちゃん!!」 唯はハイグレ姿の和に必死に呼びかけながら、その場を離れた。 唯と憂は階段脇の倉庫に隠れた。追手は二人に気づかずそのまま通過していった。 「なんとか凌げたみたいだね、お姉ちゃん。って、お姉ちゃん?」 「も、もう動けない・・・。」 唯は激しく息をしてへたりこんでいる。 「しっ!」 憂が倉庫に近づく足音に気づいて唯の口を押さえる。倉庫の扉を開けたのは律と梓だった。中をうろうろ見る。唯と憂は物陰に隠れてやり過ごした。 「もう平気だよ、お姉ちゃん。」 「どうしよう、憂。このままじゃみんながハイグレ人間になっちゃう。私達で止めないと。」 「うん、そうだね。あっ、また誰か来た!お姉ちゃん、隠れて!」 次に倉庫にやってきたのは和と会長だった。同じように倉庫の中を見て引き上げていく。 「このままじゃ出られないよ・・・。」 「お姉ちゃんは待ってて。私が助けを呼んでくるから。」 「ええっ?だったら私も一緒に!」 「二人だと見つかりやすくなっちゃうよ。すぐに戻ってくるから、ここにいてね。」 「う、うん・・・。」 憂は素早く左右の安全を確認して部屋を出る。そして、追手を警戒しながら職員室までやってくる。 「失礼します!」 職員室の扉を開けて中に入る。そこには教員たちがいる・・・・はずだった。 「ハイグレ!!ハイグレ!!ハイグレ!!ハイグレ!!」 「ハイグレ!!ハイグレ!!ハイグレ!!ハイグレ!!」 男性教諭も女性教諭も関係なくハイレグ水着を着ていた。そして、ハイグレ人間と同じポーズを・・・・。 「そ、そんな・・・。」 憂は絶句した。助けを求めに来たはずの職員室が既にハイグレ魔王の手に落ちていた。先ほどからさわ子だけを見かけていなかったのはそういうことだったのか、と悟ったが時すでに遅し。 「と、とにかくお姉ちゃんに知らせなきゃ・・・。」 携帯電話を取り出そうとしたが、手が震えて落としてしまう。拾おうとして手を伸ばしたが、その携帯は誰かによって取り上げられた。 「せ、先生!!」 「落し物よ、憂ちゃん。」 「あ、ありがとうございます。じゃ、じゃあ、失礼します・・・。」 憂はそのまま立ち去ろうとするが、さわ子の目が光る。 「うふふふ、逃がさないわよ。さあ、皆さん!憂ちゃんの処刑の時間よ!」 さわ子の言葉を聞いた他の教員たちが憂を取り抑え、仰向けに寝かせる。憂はじたばた暴れるが身動きが取れない。 「目を覚ましてください、先生!先生は悪い人に騙されているんです!」 「うふふふ、これは私の意思よ。このハイグレ銃を手にした時から全部ね。」 「皆をハイグレ人間にして何をしようっていうんですか!」 「あら、決まってるじゃない。女の子達を全員水着姿にして、その後は私の着せ替え人形になってもらうの。私は王様だから全てが思いのままになるの。」 「そんなことのために次々と犯罪を・・・。」 「憂ちゃんもすぐに分かるわ。それと・・・唯ちゃんをハイグレ人間にするのはあなたよ。そっちの方が面白そうだわ。」 「だ、誰が、お姉ちゃんを!そんなこと絶対にしません!」 「あら、そう?ハイグレ人間になってもそれが言えるかしら?うふふ、楽しみね。」 笑ったさわ子はハイグレ銃を両手に持ち、憂に銃口を向ける。そして・・・・ 「きゃああああああああああああ!!」 仰向けに寝かされていた憂はそのままの姿勢で大の字になる。光線の激しい点滅が収まると、憂は青のハイレグ水着を着たハイグレ人間になっていた。 「か、体が勝手に・・・・。」 憂はハイグレポーズを取るまいと必死にこらえる。 「ねえ、憂ちゃん。唯ちゃんをハイグレ人間にする気になったかしら?」 「い、いや・・・絶対に・・・お姉ちゃん・・・・。」 目を閉じて精神を集中しようとする。が、しかし、体が既に止まらなくなっている。コマネチポーズを繰り返している。 「もう・・・・ダメ・・・・・・・ハイグレ!!ハイグレ!!ハイグレ!!」 憂は今までこらえてきた分を一気に放出する。 「もうこれまでね、憂ちゃん。さあ、唯ちゃんをハイグレ人間にしてくるのよ!」 さわ子は憂にハイグレ銃を渡す。憂の答えは・・・・。 「分かりました、ハイグレ魔王様!すぐに姉を魔王様の下にお連れします!」 「憂〜憂〜早く戻ってきてよ〜。」 唯は倉庫で妹の帰りを待っていた。不安に駆られて寂しさがより一層募ってくるのを抑えられずにいた。 「誰か来る・・・!」 唯は警戒して隠れる。扉が開く音がして、何者かが入ってきた。 「お姉ちゃん・・・・お姉ちゃん・・・・。」 「憂!?無事だったんだね、良かった〜。」 憂に抱きついてほおずりする。大好きな妹にするスキンシップだ。しかし、毎日のようにスキンシップをしている唯はすぐに異変を察知した。 「憂・・・制服の下に何を着てるの・・・かな?」 「えっ?なんのこ・・・きゃっ!!」 答えを聞く前に唯は憂の制服をたくしあげた。制服の下には下着ではなく、青のハイレグ水着を着こんでいた。 「やっぱりそうだったんだね。抱きついた時に水着のナイロン生地のような音がしたから。」 「ばれちゃったんなら仕方ないね。」 憂は制服を脱ぎすててハイグレ姿になる。すかさずハイグレポーズを取る。 「ハイグレ!!ハイグレ!!お姉ちゃんも一緒にハイグレになろうよ!!」 「う・・・憂だけは私の味方だって信じてたのに。」 「今だって味方だよ?だからこうしてお姉ちゃんも素晴らしいハイグレ人間の仲間になってもらおうと思って・・・。」 「い、いいよ、私は。ハイグレ人間になんてなりたくないから。」 唯は目配せをして逃げ道を探す。しかし、憂に前を取られていて強行突破は厳しそうだった。 「そ、そうだ、憂。トイレに行ってもいいかなあ。さっきから我慢してるんだ。ほら、水着姿などトイレに行くの面倒だからその前に・・・。」 「それなら心配ないよ。ハイグレ人間になったらそんな必要ないから。普通の人間と違って全てのエネルギーを吸収できるんだって。」 「へ、へえ。よく分からないけどすごいんだね。」 「うん。だからお姉ちゃんもハイグレ人間に!!」 憂は脱ぎすてた制服からハイグレ銃を抜き取る。両手に構えてまっすぐ姉に銃を向ける。 「お姉ちゃん覚悟!!」 ハイグレ光線を放つ。距離は3mくらないので普通なら当たるはず。しかし、ここで唯は常人には真似できない集中力を発揮した。 「!!」 唯はハイグレ光線を軽々と避ける。その足で憂を横切って扉へ向かった。逃げるという一つの目的だけに特化した彼女の前に憂の攻撃も当たらず、廊下へ飛び出した。 「えっと、どうしよう。とにかく逃げなくちゃ!」 唯は飛び込んだ教室の鍵を閉める。憂はしばらく扉をガチャガチャ動かそうとしたが、あきらめて去って行った。ハイグレ化した職員室に鍵を取りに行ったのだ。代りにハイグレ化したメンバーたちがぞろぞろ集まってくる。 「助けて〜!!って全然聞こえてない・・・。」 校庭ではまだハイグレ化していない生徒たちが部活をしている。しかし、唯に気づく生徒も近くを通る生徒もいない。 「このままじゃ・・・・このままじゃ・・・・あ、そうだ!この前りっちゃんが!」 律が見たアクション映画を回想する。絶壁にそびえたつ秘密結社のアジトに潜入して敵に追われて逃げる主人公。隅っこの部屋に逃げ込んだ主人公が取った行動は・・・・ 鍵が開けられる。ハイグレ化した面々が中に入ってくる。彼女たちが見たのは破ってつなぎ合わせた白いカーテンが手すりに結び付けられて風にはためく姿だった。 〜さわ子Side〜 さわ子は窓から顔を出して校庭を見下ろした。唯の走っていく姿も隠れている姿も全く見えない。 「どういうことかしら、これは?」 「まだこの教室の中にいるってことじゃないでしょうか?」 「うん、探してみよう。」 「いや、それよりもいい方法がある。」 澪が携帯電話を取りだして電話帳を検索する。ワンタッチで唯の番号を引っ張り出し、コールボタンを押す。ブーという低いバイブ音が教卓の下から聞こえた。 「唯?見つけたぞ!」 教卓にダッシュ。逃げないように周囲を取り囲んで中から唯を・・・引っ張りだせなかった。 「なっ!?」 教卓の下には唯の携帯電話があるだけだった。全員があっけに取られていた時、教室の扉が開く音が。 「唯!?」 「ごめんね、みんな!」 そう言い残して唯は駆けて行った。 「これは・・・あたしがこの前見たアクション映画そのままではなかろうか?」 「律が見たあれか?確かにカーテンとこの携帯のネタは・・・。」 「だったら、次はアレよね?」 律、澪、ムギにはすぐに唯のこの後の行動が手に取るように分かった。 さわ子は音楽準備室の扉を開く。最近はあまり使っていない楽器が点在している。それを横目に室内に入る。部屋の奥に置いてあるテーブルに目標がいた。 「見つけたわよ、唯ちゃん。」 「さ、さわちゃん先生!?ど、どうしてここが!」 「りっちゃんの見た映画、その主人公は自分が閉じ込められていた牢屋に舞い戻って追手を撒くのよね?」 「うっ、どうしてそれを・・・。」 「ふふふふ、あたしたちから逃げようなんて百年早かったわね。」 さわ子は服を脱ぎすててハイグレ姿になる。 「ハイグレ!!ハイグレ!!ハイグレ!!唯ちゃんもハイグレ姿になるのよ!!」 「そ、そんな格好、あたしだって恥ずかしいよ。」 「それがいいんじゃない?っていうか、あなたたちが悪いのよ。りっちゃんもムギちゃんもあなたも、どのコスチュームでも恥ずかしがらずに着るじゃない!!これこそがあなたたちが恥ずかしがる究極の形態よ!!」 さわ子が力説する。どんな人間でも恥ずかしがって着るハイグレ水着。そして、段々と洗脳されていって自分の僕になるハイグレ人間。律もムギも征服した。残るは唯のみ。 「澪ちゃんりっちゃんムギちゃん!!」 さわ子の号令とともに三人が唯を左右真ん中から動けないようにする。 「唯ちゃん。あなたもハイグレ人間に!!」 さわ子はにやりと笑ってハイグレ銃を放つ。恐怖で震える唯に命中した。 「きゃああああああああ!!」 唯は苦痛の叫びをあげる。激しい制服とハイレグ水着の入れ替わりの点滅。そして・・・ 「な、何これ!?」 唯は点滅が収まった自分の体にフィットする赤のハイレグ水着に驚いた。 「お姉ちゃん、ハイグレ魔王様に忠誠のポーズを取らないと。」 「そうよ、唯。それがハイグレ人間の第一歩なのよ?」 憂と和が左右から唯の腕をつかみ、また下のハイグレポーズ開始点に動かす。 「あっ・・・も、もうれつに・・・・・・来る・・・!!」 唯は必死にこらえる。しかし、ハイグレ人間の本能ともいうべき欲望に抵抗する方法はない。 「うっ・・・・・・・・・ハイグレ!!ハイグレ!!ハイグレ!!ハイグレ!!」 唯は笑顔でハイグレポーズを繰り返した。 一か月後・・・ さわ子は音楽準備室にいた。既に日本全土のハイグレ化を全て完了。襲撃したあちこちの工場でハイグレ銃を増産し、自衛隊とアメリカ軍、警察の機動隊などの拠点を次々に攻め落とし、楽々一般人をハイグレ化できた。さわ子自身はハイグレ魔王の地位にありながら、世界征服の作業は他の者たちに任せていた。ハイグレ化を効率よく進めるためには、戦略、政治などの知識が豊富である方が良いので、音楽教師である自分は身を引いていた。 「ふう、しっかしあなたたちも毎日毎日よく私に付き合ってくれるわね。」 ハイグレポーズを取りながら軽音部員に感謝する。 「当り前じゃないですか!先生はハイグレ魔王、私たちのご主人さまです。」 梓が言う。毎日のハイグレポーズの時間はいつも彼女たちと一緒だった。 「でも、先生。先生はハイグレ魔王だから、忙しくなったら先生をやめるんですか?」 「辞めないわよ、澪ちゃん。私はハイグレ魔王であると同時にあなたたちの顧問よ。ずっとここにいるわ。」 全員が嬉しそうな表情。さわ子先生の事が大好きだったので、ほっとしている。 「ハイグレ!!ハイグレ!!ハイグレ!!」 「唯ちゃんもハイグレポーズがうまくなったわね。先生もうれしいわ。最初は嫌がってたのに。」 「そうかな〜?あたし、最初は嫌だったけど、だんだん気持ち良くなってきたよ。」 「そうえいばハイグレ王国の国歌を作んなきゃいけないんだけど、全然考えてないのよね〜。ムギちゃんと澪ちゃんで代わりに作ってくれない?」 「分かりました。この琴吹紬、全身全霊を込めて作曲します!」 澪もそれに同意。他の三人も協力することになった。 数日後・・・ 「できました!」 澪がハイグレ国歌をさわ子に提出する。さわ子は一瞥してその完成度の高さに目を見張った。 「いいじゃない、これ!即採用よ!これからは皆でこの曲を歌うのよ!」 「だったら、皆で演奏しようぜ!あたしたち軽音部で!」 「うん、やろうよ、りっちゃん!!」 そんなこんなでとんとん拍子に初めての国歌演奏の重責を担うことに。 体育館には教職員、生徒が詰めかけた。 「うわ〜、人でいっぱいですね〜。」 「うっ、緊張してきた・・・。」 澪が胸を押さえて心を落ち着かせる。 「このライブ、全国放送なんですって。先生の力でテレビ局からゴーサインが出たって。」 「マジかよ、ムギ?こりゃああたしたちの全国デビューだな!」 その横では唯がチューニングをしている。 「ハイレグ水着の上に当たってベルトが痛い〜。」 「我慢しろ、唯。あたしだってベースが擦れて痛いんだから。」 「唯先輩、最初の挨拶のハイグレポーズを忘れないようにしてくださいね?」 「え〜、長らくお待たせしました。これからハイグレ王国国家のお披露目を行います。バンド名は放課後ハイグレタイム。皆さん、拍手でお迎えください。」 和が司会進行をし、緞帳が上がる。憂が客席から盛んに応援する。 「お姉ちゃん、頑張って〜!!」 五人は壇上で目配せをしあってタイミングを計る。 「よし、行くぞ!ワン、ツー、スリー、フォー、ワン、ツー、スリー!!」 舞台袖でハイグレ魔王こと山中さわ子は演奏を見守っていた。 「ふふ、ハイグレ人間になってもあの子たちはあの子たちね。あたしも負けないようにいいハイグレ国家を作らなきゃ!」 いずれハイグレ王国は世界を制覇するだろう。皆がハイグレ姿で楽しく暮らせるように願っていた。 完 特別編・夢 睡眠中に夢の中で見た内容です。書かないともったいないかな〜、と思ったんで書きます。夢なんで設定や内容はカオスです。 「ハイグレ魔王がうちの学校にやって来るんだよ!!」 唯は教室でなぜかハイグレ魔王の恐ろしさを力説する。 「ははははっ。馬鹿だな〜、唯は。」 「そんなものいるわけないだろう?」 「唯ちゃん、疲れてるのよ。お菓子食べてね。」 律も澪もムギも全然本気にしてくれない。 「本当だもん!!」 唯は教室を飛び出す。泣きながら部屋を飛び出していく彼女を妹の憂が心配そうに見守っている。 「あ、あれは!!」 一本向こうの廊下からパンスト団がなぜかオマルに乗らず整列して行進してくる。唯が走ってきた廊下とは別の廊下をずーっと歩いていく。 「きゃああああ!!」 梓たち一年生が次々とハイグレ化されていく。唯には隠れて見ているしかできない。 「ど、どうしよう、みんなに知らせなくちゃ!!」 しかし、二年生の教室にもパンスト団が迫っていく。 「唯?何してるの?」 和が唯に気づいてやってくる。 「た、大変なんだよ!!」 唯は身振り手振りで説明する。 「唯は先に逃げて。私がみんなを説得してくるから。」 和は二年生の教室に向かって走っていく。 「だ、ダメだよ、和ちゃん。今戻ったら和ちゃんもハイグレ人間に!!」 しかし、和に言われたとおり学校の外に出る。通学路を歩いていると、変な乗り物に乗ったおじさんが現れる。 「見つけたぞ!!」 「あんた、誰?」 「ティーバック男爵様だ!!」 「知らない。」 「知っとけ!!それよりもお前、アクションストーン持ってるだろ?」 「アクションストーンって何?」 「こう飴玉くらいの大きさできれいに光ってるやつだ!!さあ、大人しく渡すんだ!!」 「欲しいんならあげる。」 唯は男爵にアクションストーンを手渡す。 「渡せと言ったからって素直に渡す奴があるか!!」 ティーバック男爵は泣きながら帰って行った。 唯は唐突にハイグレ城へ。そこでハイグレ魔王を倒すために最上階行きのエレベータに乗ることに。 「あれ?電気切れてるのかな?真っ暗。」 唯は受付に行き、職員(パンスト団)に声をかける。 「すいませーん、電球交換してくださーい。」 そして、新しい蛍光灯をエレベーターに付け、中が明るくなってボタンが見えるようになる。 唯は最上階へ向かうボタンを押す。エレベーターはぐんぐんと最上階に上がっていく。 唯の冒険はまだまだ続く!!(ここで起きてしまったので結末を知らない・・・) 要約と補足をするとこんな感じです。後で考えるとツッコミどころ満載でした。 |
MKD
2009年07月14日(火) 17時39分55秒 公開 ■この作品の著作権はMKDさんにあります。無断転載は禁止です。 |
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