銀魂 最終回 ハイグレ世界を作り出した新八


「お〜い、新八。仕事もらってきたぞ〜。」
銀さんが僕を呼んでいる。
「今度は何の仕事ですか?ちゃんとしたのでしょうね?」
「ああ、もちろんだとも。SSへの登場依頼だ。文字だけだから楽な仕事だぞ?ほら、テレビみたいに顔の演技とか気を使わなくていいしさ〜。」
僕にその台本が手渡される。ざっと目を通す。
「って、ちょっと待てー!!なんだよこのタイトル!!今回が初出場なのになんでいきなり最終回になってるんだよ!!それに僕が悪の親玉みたいなタイトルじゃん!!っていうか、台本最初だけで書いてある一番後ろに鋭意制作中とか本当は後先なんも考えてないだけじゃんっ!!」
僕は全部まくし立てて息切れしてしまう。神楽ちゃんが横から首をのばして台本を読んでいる。
「大丈夫アル。この作者、行き当りばったりでもなんとか最後まで仕上げてるアル。」
「信用できるか!!そんなんだから話詰まって何週間もほったらかしにしたりするんじゃないか!!」
「まあ、怒るなよ、新八。細かいことは気にすんなって。今回はお前が主役なんだから。ってわけで、早速おっぱじめるとするか。」
「勝手に始めるなよ!!せめて台本できてから始めようよ!!ねえ、聞いてます、銀さん?神楽ちゃん?」
僕の抗議の声は理不尽な作者の権力によってかき消されてしまった。



僕は志村新八。普通の青年さ。両親を早くに亡くし、家業である道場を建て直すために万事屋で坂田銀時、僕は銀さんって呼んでるけど、彼の下で働いている。なんやかんやで同じく居候の神楽ちゃんとなんやかんやで楽しく暮らしている。で、僕の銀魂での最大の役割はご存知の通りツッコミ。そう、それこそが僕の存在意義だったりする。
「って、自己紹介から始まってるし!!そんな初期設定誰でも知ってるよ!!」
「何一人でぶつぶつ言ってるんだ、新八?あれか?ボケが始まったか?」
「ボケじゃねえ!!っていうか、銀さんにボケ扱いされるなんて不愉快だー!!」
「新八、うるさいアル。もうすぐお宝にたどり着くある。罠があるかもしれないから気を付けるネ。」
僕たちがいるのは町の地下にある大迷宮。その地下深くに眠っているとされる魔法のランプを探しに来ていた。水攻めにあったり、天井から矢が降ってきたり、なんかどこかでみたような巨○兵と戦ったりしてここまで歩いてきた。って、短っ!!今までの僕たちの苦労の説明短っ!!
「おお、ここだここだ。」
地下通路が開けたところに出る。そこで通路は行き止まりになっていた。天井から地上の光が少し入ってくる。これならヘッドライトも必要ないだろう。
「おお、なんか宝箱があるネ。この中にお宝があるのカ?」
「ああ、気を付けて、神楽ちゃん。こういうところには罠があるのが鉄則・・・って、早速触ってるし!!」
僕はいつもの癖でさっと身を守る。しかし、何も起きない。神楽ちゃんが宝箱を開けると中に古ぼけたランプが入っていた。そのランプをこすってみると○龍らしきものが出てきた。なんでランプから出て来るんだよ、お前!!設定守れよ!!
「願いを三つ言うがよい。」
ナメック星仕様?三つか・・・。
「待て、お前ら。普段俺達は自分だけいい思いをしようと欲張って結局皆が損をしている。ここは取引だ。全員一つずつ願いを言おう。」
銀さんが珍しくまともな事を言っている。この作者、銀さんの性格絶対改変してるよ。銀さんがそんな殊勝なセリフを言うわけないよ!!
「分かったアル。なら、最初は私からいくネ。お前、何でも願いを叶えられるあるカ?」
「叶えられる。なんなりと申せ。」
「肉まん一週間分が欲しいアル。」
「承知した。」
龍の眼が光って願いを叶えているらしい。って、神楽ちゃん!!なにしょうもないお願いしてるんだよ!!なんで肉まん一週間分なんだよ!!せめて一生分くらい言おうよ!!
「サービスで保温パックをつけておいた。帰ったら食べるがよい。」
「おお、ありがとな。」
せこっ!!サービスせこっ!!
「よし、次は俺だな。おい、デカブツ。俺、商店街の福引でもらった図書カード500円分川に落としちまったんだ。あれがないとジャンプの最新巻買えないんだわ。頼む、取ってきてくれ!!」
「承知した。」
あんたも何頼んでるんだよ!!そんぐらい自腹切れよ!!○龍だぞ?願えば地球征服だってできるんだぞ!しょうもないことに使うんじゃないよ!!
「おお、ありがとな。拾ってきてくれた上にきれいに掃除までしてくれるなんてな。これで最新巻買えるぜ。」
銀さんはきれいになって戻ってきた500円分の図書カードを持ってはしゃいでいた。
「おい、新八。最後はお前の番ネ。早く帰って肉まん食べたいから願い言うヨロシ。」
僕の番か。ええと、別に欲しいものないしな・・・。っていうか、とにかくこの二人よりはまともなお願いをしないと。
「ううん・・・・。」
色々な事が頭に浮かんでくる。僕に必要なもの・・・お金?地位?名誉?強さ?いやいや、もっと何かあるはずだ。昨日の行動を思い返してみよう。日常的な風景の中にヒントがあるはずだ。ええと、朝起きて姉上と朝食食べて、万事屋行って雑用して、お昼食べた後お登勢さんの手伝いして、外で夕飯食べて・・・・。あっ、途中で会った長谷川さんに貸したジュース代返してもらわないとな・・・。その後帰って三人で一緒にテレビ見て・・・。何見たんだっけ?ああ、そうそう。アクション仮面VSハイグレ魔王だ。ちょっとうらやましいな。だって、可愛い女の子があんな格好でいるなんて。もしお通ちゃんがハイグレ姿になって恥ずかしそうにポーズを取っていたら、間違いなく死ねる。
「お通ちゃんのハイグレ姿が見たい・・・・。」
僕はぼそりと呟く。
「承知した。」
えっ?今の独り言を○龍が承諾する。
「って、待って下さいよ!!今のは独り言で!!」
「おい、新八。○龍にはクーリングオフが効かないんだ。取り消しは無効だ。」
待ってよ!!僕、なんてお願いしてるんだよ!!○龍の目が黄色く光っていたのが元の赤の目に戻る。
「完了した。オプションでハイグレ魔王にしておいた。」
オプションなんて頼んでないよ!!何サービスの押し売りしてんだよ!!消費者センターに訴えるぞ!!
「では、さらばだ。」
○龍はランプの中に戻り、そして宝箱ごと消えてしまった。どこか別の場所に飛んでいったようだ。
「どうしよう!!お通ちゃんがハイグレ魔王に!?いや、嬉しいけど、いや、でも・・・!!」
僕は自分の良心と格闘していた。
「おい、新八。さっさと帰るぞ。あ〜、腹減った。」
「私も腹減ったアル。銀ちゃん、帰ったら一緒に肉まん食べよ。」
「お〜、今日は肉まんパーティーだ〜。」
僕は仕方がないので二人についていく。しかし、この時世界が変わっていたことをまだ我ら三人は知らなかった。



僕たちは地上に上がって江戸の町に戻ってきた。既に夕暮れ時だ。しかし、そんな事はどうでもいい。僕たちは町の人たちの姿に目を奪われた。
「なんじゃ、こりゃーっ!!」
町の人たちがみんなハイレグの水着姿だった。
「ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
「ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
全員股下に手を当ててコマネチをしている。男も女も関係ない。海水浴に行ってもこんな光景無いよ。
「銀ちゃん、これ、何あるカ?」
「こりゃー、あれだな。新八が○龍にお願いしたせいで、町全体がハイグレ魔王に侵略されているんだ。」
「僕のせいかー!!やっぱり僕のせいなのかー!!」
ああ、どうしよう。とんでもないことしちゃったよ。これじゃあ映画みたいにパンスト団にハイグレ光線を浴びせられてどんどんハイグレ人間が増えていくんだ・・・・。
「四の五の言ってても始まらねえ。とりあえず万事屋に戻るぞ。この世界元に戻さないとジャンプ買えねえからな。」
「おうネ!肉まん無事か確かめるアル!」
「あんたら、江戸の平和よりジャンプと肉まんかよ!いや、僕が悪いんだけどさ、でも、もっと主人公らしくかっこいいこと言ってくんないかな!?」

万事屋の入っている建物に戻ってきた。一階にはスナックお登勢がある。階段を上って鍵を開ける。
「待て・・・。人の気配を感じる。敵かもしれない。俺が先に入る。」
銀さんがそう言って音をたてないように扉を開いてそうっと中に入る。
「ぎゃあああああああああああああああっ!!」
しばらくして中から銀さんの悲鳴が聞こえた。
「銀さん!?どうしたんですか!?銀さん!?」
僕と神楽ちゃんは扉を思い切り開け放って中に入る。銀さんは部屋の中で尻もちをついて脅えていた。
「銀ちゃん、どうしたアルカ?」
「あ、あ、あれ・・・・。」
銀さんが部屋の中を指さす。恐る恐るその指さす先を見る。
「ぎゃあああああああああああああああっ!!」
「うわあああああああああああああああっ!!恐いアル!!人生で一番恐いと思ったアル!!」
部屋の中にいたのはハイグレ姿のお登勢さんとキャサリンさんだった。おぞましい。何の萌え要素もないじゃないか!二人ともコマネチをしていた動きを止める。
「なんだい。人のハイグレ姿を見て失礼だねえ。こちとら恥ずかしくてもこの格好で過ごすしかないのさ。」
「オマエラモハイグレニンゲンにシテアゲマスヨ。カンシャシナサイ。」
二人がハイグレ銃を持って迫ってくる。
「い、いやあ、僕たちは結構です。他の人を当たって頂けませんか?」
「拒否権はないよ。ハイグレ人間になることこそ人間のあるべき姿さ。そう、人間はアダムとイブに帰るのさ。」
いや、帰ってないし!!全然違うベクトルだし!!地球人って元々ハイグレ人間だったの!?僕は帰りたくねえよ!!
「目標誤差修正。対象目標三名捕捉!!」
この声はたまさん!?
「伏せろー!!」
銀さんに言われてさっと身をかがめる。頭上を赤色の光線がかすめて飛んでいく。
「避けないでください、銀時様。ハイグレ光線が当たりません。」
後ろからやってきたのは緑色のハイグレ姿のたまさんだった。って、あんたカラクリ人形だろ!?なんでハイグレ人間になってんだよ!!人間だぞ、人間!!今までのストーリー的に普通に人間みたいに暮らしてるけど、あんたの本性はカラクリだから!!
「ハイグレ魔王様のお力は種族の違いすら乗り越えるのです。魔王様を信仰する者は全て救われます。」
それ、ヤバい宗教だから!!信仰すると財産全部取られて世間からすごく白い目で見られるから!!
「ここは逃げるが勝ち!!」
銀さんが窓を開け放って下に飛び降りる。
「私たちも逃げるネ!!」
僕も神楽ちゃんに続いて飛び降りる。ヤバいよ、町の人たちがみんな敵になって襲ってくるよ!!僕たちは必死になって走った。

「おっ、ここ、お前の家じゃん。ここに隠れよう!!」
姉上はスナックにバイトしに行っていないはず。ここなら安全だろう。町の人たちは僕たちの動きに気づかず僕の家を素通りしていく。ふう、助かった。
「ったく、お前のせいだぞ、新八。」
「すみません。」
「ハイグレ魔王を倒さないと私らの安息は得られないネ。早く倒すアル。」
「でも神楽ちゃん。どこにハイグレ魔王がいるのか分からないと・・・。」
「よかった・・・みんな、無事だったのね。」
この声は・・・・・姉上!!部屋に入ってくるが、いつもの和服を着ている。無事だったんですね、姉上!!
「三人とも、これを見て。」
姉上がテレビをつける。そこには水色のハイレグ水着を着たお通ちゃんが豪華な装飾をした椅子に座っていた。
「テレビをご覧の皆様ー!!ハイグレ人間にはなったかなっとうきん!!一緒に、ほら、ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
お通ちゃんが顔を赤らめながらハイグレポーズをとる。や、やべえよ、いつもの水着姿とは違う魅力があるよ!!
「顔がキモイアル、新八。一生寄って来んな、メガネオタク。」
「何だとー!!男はみんなアイドルの照れている表情に萌えるもんなんだよ!!」
「あの〜、俺、全然興味無いんですけど。一緒にしないでもらえませんか、新八君?」
銀さんが僕を軽蔑のまなざしで見ている。くそーっ!!
「さっきからずっとこの調子でテレビやってるのよ。外に出ようとすると襲ってくるから家の中に隠れてるしかなくて・・・。」
姉上が眉をひそめてため息をつく。
「しかし、よくこの家に入ってこられないな。」
「当り前よ、銀さん。毎日ゴリラ相手に武装してるんだから、防備は万全よ。」
また近藤さん撃退用の罠を強化したんですか、姉上。僕の知らないところでそういうことしないで下さいよ。
「だが・・・それでも侵入する奴はいるみたいだ。そうだろ・・・さっちゃん?」
銀さんが天井に木刀を突き刺す。すると、ピンクのハイグレ姿のさっちゃんさんが落ちてきた。
「くっ・・・さすがね、銀さん。ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!さあ、あなたたちをハイグレ人間にしてあげるわ!!」
さっちゃんさんがクナイを両手に持って構える。僕たちもすぐに応戦の構えを取った。



「行くわよっ、銀さん!!私と一緒にハイグレ人間になりましょう!!」
「なるか、ボケーッ!!」
クナイを素早く連続で投げるさっちゃんさんとそれを木刀ではじき返す銀さん。
「人様に刃物を投げちゃいけません。ったく、お前もハイグレ人間かよ。」
「何よ・・・その私を見下す目は・・・。何よ!もっと見下しなさいよ!ハイグレ人間になってしまった私をもっと見下しなさいよ!」
「おい、新八。縄持ってこい。」
「はっ!SMプレイ!?銀さん、ハイグレ人間とのプレイが御所望なのね!?いいわよ、好きにしなさいよ!」
「違えよ!!これ以上暴れられると面倒なだけだ!!」
ああ、もう、この人たちは・・・。非常事態だって言うのにやることがいつもと変わってないよ。
「でもね・・・銀さん。私にもハイグレ魔王様から与えられた任務があるの。プレイをする前にあなたにハイグレ人間になってもらうわよ!このクナイで!ハイグレ光線の成分を練り込んだこのクナイで!」
さっちゃんさんがまた両手に持ったクナイを投げる。銀さんはまたそれを木刀で弾く。
「ぐふっ!?」
クナイをはじき返した先にいた姉上が倒れこむ。胸には深々とさっちゃんさんのクナイが刺さっている。
「あ、姉上ーっ!!銀さん、なんてことしてるんですか!!攻撃防ぐにも味方に当たったらしょうがないでしょうが!!しかも姉上ですよ!!あんなペッタンコな胸板に刺さったら即致命傷になるでしょうが!!」
「だーれがペッタコンだ!!」
僕は姉上にとび蹴りを喰らって吹き飛んだ。しまった・・・また余計な事を言ってしまった・・・。
「あうっ・・・・。」
「姉御、大丈夫アルカ!?しっかりするアル!!」
姉上がまた倒れこんで胸を押さえる。刺さったクナイからは血ではなく、ピンク色の光線が出ている。
「神楽ちゃん・・・離れて・・・・もう・・・私が私でなくなるから・・・。」
姉上が神楽ちゃんの手を振り切って外に出る。そして・・・
「きゃああああああああああああっ!!」
姉上は大の字にあって悲鳴を上げる。体が光って赤いハイレグの水着姿になってしまった。
「ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
「姉御っ!!」
姉上は僕たちの声も虚しく、ハイグレポーズをとる。
「ふふふっ、次はあなたたちの番よ。お妙さんのようにハイグレ人間になる・・・・きゃっ!」
さっちゃんさんが転んで眼鏡を落としてしまった。眼鏡を探してはいつくばっている。
「姉上の仇・・・・思い知れっ!!」
僕は思いっきりさっちゃんさんを投げ飛ばした。さっちゃんさんははるかかなたの空へと飛んで行った。
「ちっ、ここも安全じゃなくなったみたいだな。やっぱり本丸を倒さんと駄目だな。」
「本丸ってお通ちゃんのことですよね?でも、どこにいるやら・・・。」

「教えてやろうか?」
外から聞こえる声。塀の上に黄緑色のハイグレ姿の月詠さんが立っていた。
「あんたもハイグレ人間になってたんすか!!」
「ハイグレ人間はいいものだぞ。わっちもこのような水着は初めて着たが、中々のすぐれものだ。主らにもこの快感をすぐに味あわせてやろうぞ。因みに先ほどの新八の質問だが、答えはあそこだ。」
月詠さんが空を指さす。うおおおっ!!なんだ、あれっ!!あそこにあるのって城!?要塞!?いやいや、あの姿って絶対ラピュタだよね!?ハイグレ世界になってまだ数時間しか立ってないのにいつの間に作ったんだよ!?あの城からパンスト兵が出て来るんですけど!?いつの間に軍隊組織してんだよ!!
「驚いたか。無理もない。因みに答えを教えておいてやってなんだが、主らはあそこには行けぬ。なぜなら・・・ここでわっちの餌食になるからな!!」
うわっ!!また来たよ!!ハイグレ光線含んだクナイが飛んでくるよ!!
「逃げようとしても無駄だ。この家は完全に包囲されている。ハイグレ自警団百華の手によってな。」
吉原自警団がハイグレ自警団に改名してる!?何から自分たちを守るんだよ!!これ明らかに僕たち一般市民を攻撃するためですよね!?家取り囲んで僕ら逃げられないようにするためですよね!?
「わっちと共にハイグレ人間になるのだ!!」
月詠さんが小刀を抜いて迫ってくる。銀さんがそれを木刀で対抗する。
「月詠・・・てめえまでハイグレ人間になっちまうとはなあ。」
「銀時、なぜ邪魔をする?ハイグレ人間になれば素晴らしい明日が待っているというに!!」
「俺はなあ・・・ハイグレ人間の世界なんてごめんなんだよ。男がそんなもん着られるか!!」
「相変わらず強情な奴じゃ。ならばその体でしかと分かるがよい!!」

「やれやれ、助けにやってきてみれば、何をやっているのだ、銀時。月詠殿に押されているではないか。」
「その声は・・・ヅラか。」
「ヅラじゃない。桂だ。」
桂さんとエリザベスが床下から現れた。銀さんとつばぜり合いをしている月詠さんの体がぐらりと揺れて倒れる。当て身を喰らって倒れてしまったようだ。
「さて、三人とも。この家の床下まで穴を掘ってやって来た。それを使って逃げるぞ。」
僕たちは桂さんとエリザベスの後を追って志村家を脱出した。



抜け穴を出ると、そこは少し離れた場所にある空き地だった。
「助かったぜ、ヅラ。」
「ヅラじゃない、桂だ。日頃の付き合いもある。そのお前たちを見捨てるような者が天下を変えられるわけもあるまい。それに、少々こちらも助けて欲しくてな。」
桂さんが深刻そうな顔をして腕組みをしながら喋る。
「実はな・・・ハイグレ魔王がいるあの城は元々俺がジブリ星から持ってきたものだ。あれを使って世直しをしようとしたのだが、猫の肉球を触りに行くために留守にしている間に奴らに奪われてしまったのだ。だから、一緒にあの城に乗り込んでハイグレ魔王を倒し取り返そう。江戸の人々のためにもなるしな。」
何やってんだよ、あんた!!あの城持ってきたのあんたかよ!!さも江戸の人たちのこと考えるように見せかけて、なにアホなことやってるんだよ!!だいたい留守にした理由が肉球触りに行くためってあんたそれでも志士かよ!!
「やっぱり入口の鍵かけ忘れたのがいけなかったのかな〜。」
違うよ!!そういう問題じゃないよ!!それ以前の問題だろ!!頭の鍵とかちゃんと閉めろよ!!
「まあ、頭数が多い方がいいからな。一緒に組むか。」
「どうやってあそこまで行くアルカ?」
「当てはある。行くぞ、お前ら。」
銀さんにハイグレ城まで行く当てがあるらしい。何だろう?

「ここだ。」
僕たちは真選組の屯所にやってきた。桂さんが逃げようとするのを首根っこを押さえて中に入っていく。
「やあ、万事屋の旦那ですかい。ご無事だったようで何よりでさぁ。」
侵入者の僕たちに一瞬刀を抜きかけたが、顔を見てほっとした表情で鞘に戻す沖田さん。
「そっちの御二人さんも無事ですかい。それと・・・そっちは桂!!」
瞳孔を開いて抜刀する沖田さんを銀さんが制した。
「ああ、待て、沖田君。今は非常時だ。こいつも立派な戦力なんで一時休戦だ。」
「旦那にそう言われちゃあ仕方がねえです。こっちに来てくだせぇ。」
僕たちは奥の部屋に案内された。局長の近藤さんの部屋だ。
「おお、新八君、それに万事屋とチャイナ娘も。いや、この状況だ。仲間は一人でも多い方が心強い。」
近藤さんは珍しく真面目な顔をして座っている。
「てめぇは桂!!何で平然とこんなところにいやがる!!斬るぞ!!」
土方さんが桂さんの顔を見て血相を変える。
「待て。今は逮捕するだの斬るだの言っている場合ではない。見たところ、この真選組も随分とハイグレ人間の襲撃によって数が減っているようではないか。お互いに江戸の平和を願う者同士。呉越同舟という言葉もある。戦力が減っているならば、バラバラにならず一丸となって事に当たるべきだ。」
さすがは攘夷志士。言うことに筋が通っている。
「そうですよ、土方さん。桂さんはあのハイグレ城に詳しいんです。この場は一旦喧嘩はやめて、一緒に江戸の町を元に戻しましょう。」
「ちっ、分かったよ。だが、ハイグレ魔王とやらを倒したらすぐに逮捕するからな。覚えとけ。」
ふう、これでこの場は収まった。
「ハイグレ城に向かうためのヘリを今山崎が用意している。もうすぐ終わるから、出発はそれからだ。」
この真選組の屯所には非常用のヘリが置いてある。その準備が終われば僕たちは空を飛んであそこまで行ける。

「た、頼もう・・・。」
屯所の庭に入ってくる一人の人物。刀を杖代わりにして這いつくばってきた。
「九兵衛さん!?」
服は破れ、顔は傷だらけになってやってきた。ここまでかなりの死闘を繰り広げてきたんだろう。
「新八君・・・。良かった・・・・君たちと一緒なら安心だ・・・。」
「九兵衛さん!?すぐに手当てしますから!!」
すぐに傷薬と包帯で怪我をしている場所を覆う。よし、応急処置完了、っと。
「道場で稽古をしていたら、いきなり東城たちがハイレグの水着姿になって襲って来たんだ。僕はなんとか脱出したのだが、町の人たちが襲ってきて・・・。そうだ・・・お妙ちゃんは?お妙ちゃんは無事なのか?」
「姉上は・・・その・・・。」
「何っ!?ハイグレ人間にされてしまったのか!?そんな・・・僕のせいで・・・・。切腹する・・・誰か介錯を頼む・・・。」
九兵衛さんが刀を自分に向けて持った。僕は必死に止める。
「待って下さい!!落ち着いて!!ハイグレ魔王・・・お通ちゃんを元に戻せばいいんです!!そうすれば姉上も元に戻りますから!!」
「す、すまない・・・取り乱した・・・。」
九兵衛さんは暴れるのをやめて刀を鞘に納め直した。全く、本当に極端な人だな・・・。
「おい、新八君。今、お妙さんがハイグレ人間にされたと言わなかったか?」
近藤さんが慌てた声で言う。そして、立ち上がる。それを土方さんが止める。
「どこ行くんだよ、近藤さん。」
「いや、敵情視察に行こうかと。」
「あんたは女のハイレグ姿と江戸の平和とどっちが大事なんだ!!」
「もちろん江戸の平和だ!!だが、俺は局長としてではなく一人の男としてお妙さんのハイレグ姿が見たい!!」
ああ、もう、心配になってきたよ・・・。大丈夫かな、この人たち・・・。

「あの〜、もう出発準備が終わったんですけど〜。」
山崎さんが取っ組み合いをしている近藤さんと土方さんに報告する。
「行くぞ、者ども!!ハイグレ城に攻め入り、ハイグレ魔王ことお通ちゃんを元に戻すんだ!!」
「「オオーーーーーーーッ!!」」
真選組の隊士たちが歓声を上げる。僕たちを含めて人数は三十名ほど。ヘリ三機に分かれて分乗する。
「出撃!!」
次々とヘリが空に飛び出していく。目指すはハイグレ城。僕も戦わなくちゃ。木刀を握る手に自然と力が入る。
「おい、新八。あまり力みすぎるな。でないと真っ先にやられちまうぞ。」
「そもそもこんな事になったのは新八のせいアル。しっかりと自分で落とし前つけるアル。」
そうだ・・。元はといえば全部僕のせい・・・・。僕がお通ちゃんのところまでたどり着いて目を覚まさせてあげるんだ。
「そういえば、何かを忘れている気がするんだが・・・。」
九兵衛さんがふと思いついて言う。あれ、そういえば・・・。なんだろう?
「そうか?俺はないぞ。ちゃんと300円分のおやつを持ってきた。」
いや、待ってよ!!遠足のお菓子じゃないよ!!
「私は酢昆布を持ってきたアル。これはお菓子に入らないネ。」
違うだろ!!それお菓子じゃなかったらなんだよ!!
「おおい、待ってくれー!!」
地上から誰かが叫んでいる。ヘリの外を見ると長谷川さんが追いかけてきていた。
「俺を置いていかないでくれー!!うわあああああああっ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
後ろからハイグレ光線を浴びせられてハイグレ化した長谷川さん。すみません・・・・完全にあなたの事を忘れてました。っていうか、作者が今まで忘れてただけなんですけど。
「ハイグレ人間になっても全く光らないダメなおっさんアル。略してマダオね。」
「おいおい、それはあんまりじゃないか、神楽。ここは年長者を立てて、全くじゃなくてあまりに表現を改めるべきだ。」
どこの大臣の言葉のすり替えですか。失礼なのは変わりませんよ。
「ハイグレ城まであと1000!!突入準備してください!!」
山崎さんが僕たちに報告する。よし、もうすぐ決戦の始まりだ!!



ハイグレ城にヘリを着陸させ、中に入る。最下部に横付けしたので、ここから上っていかないといけない。
「桂さん、ここからどうやってお通ちゃんを探せばいいんですか?」
「分からん。この城の中は複雑でな。どこに敵が潜んでいるのか皆目見当がつかん。」
あの?それならあなたをここまで連れてきた意味ってなんですか?
「しゃあねえな。なら、手分けして探そうぜ。じゃあ、俺達はあっちに行くから、お前らはあっちとあっちを頼むぜ。行くぞ、新八、神楽!!」
僕たちは銀さんに続いて真ん中の道を進むことにした。
「おい、お前ら!!勝手に決めてんじゃねえよ!!おいっ!!聞いてんのかっ!!ちっ、しゃあねえ。残りの道は三つある。分かれて探すぞ。」
土方さんが後ろから聞こえてくるが、僕たちは銀さんについていった。


※ここからは各々のパーティの視点に合わせて放送します。

俺と九兵衛殿とエリザベスは果てしなく続く道を走っていた。一直線の道は本当にどこまでも続いている。全くゴールが見えない。おかしいぞ、これは。この城こんなに大きかったっけ?
「って、なんだこの床はっ!!この道全体が逆動く歩道じゃないか!!はっ、これは俺達の体力を削るための罠か!!なんて狡猾な敵だ・・・・。気を付けるのだ、二人とも!!こんな所で無駄に体力を使ってはいかんっ!!」
「安心しろ。無駄な体力を使っているのはお前だけだ。」
九兵衛殿が冷たい視線で俺をにらんでいる。九兵衛殿は右、エリザベスは左の壁に張り付いて前に進んでいた。ならば俺は空いている上をっ!!
「ぐわっ!!」
落ちた。当然だ。人間は天井を這うようには出来ていない。
「全くしょうのない奴だ!!エリザベス!!こいつを引っ張るのを手伝ってくれ!!」
えっ!?うわああっ!!二人ともやめてくれっ!!腕を引っ張らないでくれっ!!俺の足がマッハを超えて燃え尽きてしまう!!

「はあ、はあ・・・・。生きた心地がしなかったぞ・・・・。」
俺達は罠を抜けた。さて・・・この先どうやって進んだものか・・・。
「エリザベス。お前、道順を覚えていないか?・・・エリザベス?」
さっきまで一緒にいたはずのエリザベスがいなくなっている。どこへ行った?全くしょうのない奴だ。俺がまた一からしつけをしてやらないと。んっ・・・気配を感じる。九兵衛殿もすぐに剣を構える。
「誰だっ!!」
「あらあら、九ちゃんに桂さんじゃありませんか。」
お妙殿が現れた。いや、違う。今の彼女はハイグレ人間だ。いつも凶暴だが、今のお妙殿にはそれ以上の狂気が表れている。
「お妙ちゃん・・・・君と戦わなければいけないのか?」
「そうね。今の私と九ちゃんは敵同士。でも、すぐに仲直りできるわ。あなたもハイグレ人間になるのよ、九ちゃん!!」
「い、嫌だっ!!僕はそんな・・・・女の子の水着なんて着たくないっ!!」
九兵衛殿も女性のはず。つっこんでもいいんだろうか?いや、むしろそうしてあげるのが筋ではなかろうか。つっこみの天才・新八君ならどうするだろう?
「つべこべ言わずにハイグレ光線を浴びなさいっ!!」
お妙殿がハイグレ銃をバンバン撃ってくる。こんなのを避けることなど他愛もない。
「やめるんだ、お妙ちゃんっ!!僕は君を傷つけたくないっ!!」
「無駄だ、九兵衛殿!!今のお妙殿は操られているっ!!倒すしかあるまいっ!!」
「桂っ!!後ろだっ!!」
後ろを振り返ると赤いハイグレ光線が飛んできた。挟み撃ちかっ!!
「おやおや、あんたも相変わらず逃げるのだけはうまいねえ。」
幾松殿!!彼女もハイグレ人間にされていたかっ!!黄色いハイレグ水着に身を包んでいる。
「よそ見は駄目よ、九ちゃん。」
「へっ!?う、うわああああああああっ!!」
一瞬こちらに気を取られていた九兵衛殿にお妙殿がハイグレ光線を浴びせる。彼女は体を大の字にして苦痛の声を上げる。彼女は一瞬にして青いハイレグの水着姿になってしまった。
「い、嫌だ、こんな格好・・・・!!」
「最初だけよ、九ちゃん。ほら、一緒に、ハイグレッ!ハイグレッ!」
お妙殿が九兵衛殿に介添えをしてハイグレポーズを取らせる。洗脳しているぞ、彼女を。
「コマネチをしてはならん・・・・九兵衛殿!!」
「も、もう、限界だ・・・。ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
九兵衛殿は恥ずかしそうにしながらもポーズを一人でとる。
「あんたもハイグレ人間になるんだよっ!!」
し、しまっ!!俺は幾松殿の懐への侵入を許してしまった。俺の攘夷志士としての意識はそこで途絶えた。



俺は副長として真選組の連中を率いて進む。幸い敵は対して強くない。ハイグレ人間とやらになって多少強化されたとはいえ所詮は一般人。峰打ちで倒さなければならないのは面倒だが、それは仕方がない。そんな事よりもむしろ重要なのは・・・
「総悟・・・なんで俺とお前が組まなきゃいけねえんだぁ!!」
「近藤さんが割り振ったんだから仕方がないでさぁ。ま、土方さんだけだと頼りないですし、強い俺をつけることで味方の全滅を防ぐための近藤さんなりの温情でさぁ。」
「なんだよ!!俺がお前よりも弱いみたいな言い方じゃんっ!!」
「なんだとこの野郎。土方、お前なら言えるはずだ。総悟がいてくれて実は心の中でほっとしてるって言えるはずだ、土方〜。」
この野郎!!ハイグレ魔王より前にてめえからぶっ飛ばしてやる!!
「やめてください、二人とも!!喧嘩してる場合じゃないでしょうっ!!」
周りの奴らが止めに入ったのでここは踏みとどまっておこう。ハイグレ魔王倒した後で思いっきりぶん殴ってやる。

「副長!!沖田隊長!!敵襲です!!」
またおいでなすったか。性懲りもなくよくやるぜ。俺は抜刀して敵に斬りかかる。ハイグレ銃など当たらなければどうということはない。総悟の力もあり、瞬く間に十人以上のハイグレ人間を倒した。
「ほう・・・主ら、かなり腕が立つではないか。常日頃より鍛えているだけの事はあるな。」
誰だっ!?物陰から現れたのは頭にクナイの簪を付けている女。吉原自警団の頭・死神大夫、月詠か。
「ここでハイグレ人間になってもらう。行くぞっ!!」
目にも止まらぬ速さでクナイを投げつけてくる。
「ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
「ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
や、やべえ・・・。こいつらじゃ全部は避けきれねえ。
「俺と総悟が防ぐ。その間にてめえらは後ろに下がれ!!」
「そうはさせないわよ!!」
俺と総悟が壁になって死神大夫の攻撃を防いでいる隙に敵が後ろに回り込んでいた。新手か。
「ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
「ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
逃げていた隊士たちが次々ハイグレ化していく。残るのは俺と総悟だけになっちまった。
「うふふ、名高き真選組も大したことないわね。ハイグレ魔王様の前には赤子同然。」
後ろからやってくるのは松平のとっつぁんが目をかけている始末屋・さっちゃん。くそっ、前には死神大夫、後ろにはメス豚か。
「総悟、俺は前を倒す!!てめえはそっちを倒せ!!」
「仕方ありやせん。ただ、敵が敵ですぜ。ちっと逆刃じゃきつそうです。本気で行かせてもらいやすぜ。」
総悟は刀を返して鞘に納める。こいつの得意技・居合か。俺も刀を握り直す。よしっ・・・行くぞ!!



俺は局長の後ろについて敵を倒しながら進んでいく。局長はいつもバカで余計な面倒ばかり引き起こして、監察の俺がいつも後始末ばかり引き受けさせられている。でも、こと戦闘になると心強い。隊内一の剣客だし、心の広さと思い切りの良さも若い連中の心を惹きつけている俺達の大将だ。今日はいつにも増して局長の心が昂っている気がする。江戸の平和を守るため、巨悪と戦っているからだろう。
「気合入ってますね、局長。」
「こんなところでやられるわけにはいかねえんだよ、俺は。」
「そうですね。俺もハイグレ人間にされるのはごめんですよ。」
「俺は・・・俺はなあ、山崎。お妙さんのハイグレ姿をこの目に焼き付けるまでは死ぬわけにはいかないんだああ!!」
ズコーーーーーッ!!俺は盛大に前のめりになって転んでしまった。
「局長、あんた久しぶりに真面目にやってると思って感心してたらなんだよ!!姐さんのハイグレ姿が見たいから張り切ってただけかよ!!」
「山崎、貴様には分からんのか。あの可憐で美しいお妙さんのハイグレ姿。いつも元気はつらつとしている彼女が恥ずかしそうにポーズを取っているギャップ萌えを!!そんなんだからお前は一生地味なんだ!!」
関係ねえよ!!そんなんで一生地味扱いならむしろ一生地味の方が本望だよ!!

「きょ、局長・・・・。どうしましょう・・・・。」
先に前に進んでいた隊士たちが慌てた表情で戻ってくる。
「どうした、お前ら。何か見つけたのか?敵なら俺に聞かずに倒していいと言ったはずだ。」
「ち、違うんです・・・・・。そ、それが・・・・き、来たああっ!!」
前にいる隊士たちが次々に倒されていく。えっ!?あれってまさか!?
「トシ!!総悟!!てめえら、なんて格好してやがる!!」
副長と沖田隊長だった。二人ともハイレグの水着姿で刀を振るっている。後ろには副長が連れていたはずの隊士たちがハイグレ姿になって続いている。
「近藤さん、あんたも俺達の仲間にしてやるぜ。俺らと一緒にハイグレ人間になろうぜ。」
「ト、トシ!!何言ってやがる!!お前、ハイグレ人間に操られちまったのか!!やめろ!!てめぇはそんなのに操られる男じゃねえはずだ!!」
「近藤さん・・・往生際が悪いですや。すぐに分かりやすぜ。俺らの正義が。」
「総悟!?お前・・・俺に刃を向けるのか!?」
言うが早いか、沖田隊長が斬りかかってくる。
「局長、危ない!!」
俺は呆然としている局長を突き飛ばす。後少し遅かったら局長は斬られてハイグレ人間になっていただろう。
「何やってるんですか!!今の副長と沖田隊長はハイグレ人間に洗脳されているんです!!倒すしかありません!!」
「許せ・・・・トシ、総悟。うおおおおおおっ!!お前ら!!こいつらを倒せ!!」
俺と局長、他の隊士たちは刀を振るって戦った。

この通路で立っている人間は俺と局長の二人だけだった。他の隊士は全員ハイグレ姿になって転がって気絶している。死闘の末に残された俺にはこの世の無情に思えた。しかし、その屍(死んでないけど)を乗り越えて俺達は進まなければならない。仲間の仇をとるために。
「この扉、なんか今までの扉と違うな。すげえ立派な作りだ。」
確かに・・・。今までぶち破ってきた通路の扉とは違う。この先にはもしや・・・敵の大将の部屋。俺は得意の諜報技術で鍵穴から(自主規制)を駆使して鍵を開けた。音をたてないようにそっと扉を開いて中に入る。
「来たわね・・・近藤さん。それに山崎さん。ハイグレ魔王の部屋にようこソーセージ!!」
中は全て絨毯敷で奥の上段にハイグレ姿のアイドル・お通ちゃんが衛兵に守られて座っていた。



僕たちは敵を倒しながら先に進んでいく。ハイグレ光線を少しでも浴びてはいけない。危ないと思ったところもあったけど、銀さんと神楽ちゃんの助けもあってここまで無事に済んだ。
「お通ちゃんのいる部屋はどこなんだあ!?この城案内図とか作っとけよ。」
「そうアル。さっきから同じようなところをずっと走っている気がするネ。」
確かに・・・・。さっきから同じ風景の繰り返しの気がする。ずっと右カーブが続いている。いつまで続くんだろう、これ。んっ?待てよ?僕は持っていたハンカチを床に置いて先に走り続ける。三分後・・・・
「この廊下、円になっててずっと同じ場所通ってますよ、銀さん!!」
「何かおかしい・・・・。そんな気がした・・・・。」
そんなネタフリいいよ!!タイムリーネタのつもりだろうけど、全然面白くねぇよ!!
「これは敵の罠か・・・。やっちゃったなあ・・・・。やっちゃったよ・・・・。」
やっちゃったなあ、ってそのセリフ言いたかっただけだろ!!っつーか作者が一番ドツボにハマったセリフなだけじゃないか!!
「どうすればここ抜けられるアルカ?私、もう疲れたアル。」
「ヅラの奴・・・。しょうもない仕掛けばっかり作りやがって。これじゃあ城に入った時に毎回罠に引っ掛かって面倒じゃないか。」
桂さんだからきっとそういうことは考えていないだろう。自分で作った罠の場所も道順も全部忘れてるもんな。
「とにかくここは外側の壁を破壊しましょう。一刻も早くこのループを抜け出さないと。」
「いや、違うな、新八。ヅラのことだ。そういう普通の思考とは逆を考えているはずだ。おい、神楽。内側の壁を壊せ。」
「おうネ!」
神楽ちゃんが右側の壁を思いっきり蹴る。壁が崩れたところからエレベーターの入口が出現した。あっ、押ボタンのところに行き先が書いてある。マジックで黒く塗りつぶして、その上に魔王の部屋直通って書いてある。
「行くぞ、お前ら!!」
なんて簡単な要塞なんだ。っつーかバカだろ。直通なのになんてややこしいところにあるんだよ。これじゃあ普通に遠回りした方が早く着くよ。なんやかんやで僕たちはそのエレベーターに乗り込んで魔王の部屋に向かった。



僕たちは豪華な装飾の扉の前にたどり着いた。神楽ちゃんが思いっきり傘で突き刺して粉々に粉砕して中に乱入する。
「来たわね!銀さん!新八さん!神楽ちゃん!」
ハイグレ姿のお通ちゃんが魔王の椅子に座っていた。
「お通ちゃん・・・・。ごめん、僕のせいで・・・!必ず目を覚まさせてあげるからね!」
「何を言ってるのかな。目を覚ますのはあなただよ、新八さん。この城の中でハイグレ人間化していないのはあなたたちだけ。ほら、私にはこれだけの忠実な奴隷がいるの。」
お通ちゃんが指を鳴らすと部屋にぞろろぞろとハイグレ人間たちが入ってくる。
「新ちゃんは悪い子ね。ハイグレ人間にならない子にはお仕置きしなくちゃ。」
姉上!?それに九兵衛さん!?桂さんも!?
「俺たちもいるぜ、弟よ。さあ、俺達と一緒にハイグレ人間の世界に足を踏み入れよう!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
近藤さん!?土方さん!?沖田さん!?山崎さん!?
「どう?あなたたちの仲間は全員心を入れ替えてハイグレ人間になったの。」
「う、嘘だっ!!心を入れ替えたんじゃなくて洗脳されているだけなんだ!!心を入れ替えるのはそっちの方だ!!」
銀さんが興奮している僕を後ろに下がらせて前に出る。
「あのさあ、新八。こういう奴には理屈なんて通じねえんだよ。目を覚まさせるにはぶっ倒して頭から水でもかけるしかねえ。構えろ。」
確かに洗脳から覚めさせるにはショックを与えるしかない。やるしかない!
「戦いは早い者勝ちね!覚悟するアル!」
神楽ちゃんが言うが早いか高く跳躍する。そのままお通ちゃんに蹴りを・・・入れられなかった。
「甘いよ。ハイグレ魔王の私には・・・ね。」
いつの間にかお通ちゃんが神楽ちゃんの後ろに回り込んで首を絞めてハイグレ銃を突き付ける。
「そんな・・・馬鹿な・・・・。」
「ハイグレ人間になるのよ・・・・!!」
「う、うわあああああああああっ!!」
神楽ちゃん!!神楽ちゃんの体が赤く光って真っ逆さまに地面に落ちる。いつもの赤いチャイナドレスが赤いハイレグ水着に変わっていた。
「な、なにアルカ・・・・!?ハッ、ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!アルッ!!」
「神楽ちゃんっ!!」
そんなバカな!?つい数秒まで一緒に戦っていた神楽ちゃんが僕たちに敵意を見せている。他の皆と一緒にハイグレ銃を持って迫ってくる。
「くっ、くそっ!!」
襲ってくる仲間を次々に倒していかなければならない。姉上ならともかく、他は皆一級の強さを持っている。僕と実力差がある以上銃と剣との間合いの差を生かして一気に決めるしかない。
「はあっ・・・・はあっ・・・・こっちは全員倒しましたよ。銀さんは・・・!?」
「こっちも終了だ。後は・・・・お通ちゃんだけだな・・・。戦いの最中にどこ行ったんだ?」
お通ちゃんは玉座に座っていなかった。もぬけの殻だ。
「銀さん、大丈夫ですか!?すごい傷ですよ。」
「安心しろ。んなこと言ったらてめえもだよ。」
僕たち二人は全身傷だらけ。この状態で神楽ちゃんを一瞬で倒したお通ちゃんことハイグレ魔王を倒さないといけない。
「くくくくっ、いい様だな、銀時よ。」
この声は!?部屋の上から飛び降りてくる男性。奇跡的にハイレグ水着を着ていない。その顔は見覚えのある顔だった。
「高杉・・・・!!」
「お前たち、さすがにこの展開は予想外だったぞ。遊び心のつもりだったが、こんなに江戸も幕府も壊してくれるとは思わなかったぞ。」
高杉が笑っている。遊び心・・・・?まさか!!
「定春が拾ってきた地下迷宮の魔法のランプの紙・・・・あんたの仕業だったのか!!」
「そうだ。いつも何かをやらかしているてめえらなら、魔法のランプの力で俺の発想の及ばないようなことをしてくれるんじゃないかと思ってな。それがどうだ。予想以上に幕府を潰し、真選組も江戸の町もハイグレ魔王とやらの新秩序によって取って変わられている。後は俺が・・・・そのハイグレ人間ごとこの腐った世界を壊すだけだ!!」
僕たちと違ってハイグレ人間とか幕府とか関係なしに滅ぼそうとしている。全てを。
「新八。先に行け。お前には高杉の相手は務まらねえ。俺がやる。」
「分かりました。必ず・・・お通ちゃんを元に戻してみせます!!」

「よお、銀時。長かった俺とお前の因縁。ここでしまいとしようや。」
「高杉・・・!!てめえ!!」
二人は抜刀して構える。僕はそれを見届けることができない。お通ちゃんを追って部屋を出る。
「終わらせてやるよ。お前がずっと見続けてきた長い悪夢もな。言っただろう、銀時。俺はただ壊すだけだ。全てを!!何度でも!!」
「はああああああああっ!!」
「うおおおおおおおおっ!!」
二人の交える刀の音が段々と遠ざかっていった。



「お通ちゃん・・・・決着をつけよう。僕の手で君を助け出してみせる!」
城の屋上にお通ちゃんはいた。既に日が暮れかけている。
「今の私はハイグレ魔王。全てのハイグレ人間を守らなければいけないの。手加減はできないの。構えて、新八さん。」
お通ちゃんはフェンシングのように、映画のハイグレ魔王のように右手で頭上に構える。僕はアクション仮面のように正眼に構える。
「行くわよ!!」
お通ちゃんが素早く突いてくる。僕はそれを弾き返す。強い・・・。ハイグレ人間の力なのか・・・。一般的な剣士よりずっと重い一撃だった。
「やるわね、新八さん。なら・・・これはどう!?」
水平斬り。それにつなげての上段からの斜め斬り。だが、僕も伊達に剣道をやってるわけじゃない。このくらいなら・・・!
「さすがは新八さん。お通の親衛隊長なだけあるね。これくらい強いと頼もしいよ・・・!」
攻撃のスピードが上がっていく。だけどハイグレ人間であるとはいえ一般人。必ず隙があるはず・・・・。
「そこだ・・・・っ!!」
一瞬の隙を見逃さず、刀同士を絡めてはじき落とす。お通ちゃんの手から刀が転がり落ちた。すかさず近づいて打ち込みを・・・・。っ!!
「ちっ、惜しかったな・・・。避けないでよ。」
僕は間一髪のところで避けきった。マントの中に隠し持っていたハイグレ銃で僕を狙おうとしていた。僕はそれをもはじき落とす。
「さあ、ハイグレ魔王・・・。お通ちゃんの体を返せ!!そして、姉上や神楽ちゃんや皆を元に戻せ!!」
僕は気を込めた一撃をお通ちゃんにお見舞いする。ごめん、お通ちゃん・・・。でも、こうするしかないんだ・・・。
「ぐ、ぐわあああああああああああっ!!」
お通ちゃんの体から何やら黒い瘴気が出てくる。これがハイグレ魔王の本体・・・。○龍の力で取りついていた悪霊。それは苦しみ悶えてどこかに消えてしまった。
「起きて、お通ちゃん・・・お通ちゃん!!」
「ん、んっ・・・。」
お通ちゃんがぼんやりと目を開く。少し頭を抱えながらも立ち上がった。
「あれ、新八さん・・・。久しぶりだね。あたし、なんでこんなところに・・・。うわっ、なにこの格好!?」
良かった・・・・。元に戻ったんだ・・・・。本当に良かった。

「お〜い、新八〜。」
屋上に上ってくるこの声は・・・銀さん!!多少の傷を負っているが大したことは無さそうだ。
「高杉が戦っている途中でどっか行っちまったから加勢に来たんだが、どうやらその必要もなかったみたいだな。」
「ええ、全て終わりました。」
「んじゃ、神楽たち連れて帰るとするか。夕飯の肉まんが冷めちまうぜ。」
あんた、それだけはちゃんと覚えてたんですね・・・・。今までの騒ぎの中で僕はすっかり忘れていましたよ・・・・。
「さあ、お通ちゃんも行こう。日が暮れてきたし、そんな格好じゃ風邪引くよ?」
「うぐっ・・・・・・うぐっ・・・・・。」
お通ちゃんがいきなり胸を押さえて苦しみだした。尋常でない痛がりようだ。
「どうしたの!?大丈夫!?お通ちゃん!?」
「離れて・・・・。こっちに来ちゃダメ、二人ともっ!!きゃあああああああああああああっ!!」
お通ちゃんが僕と銀さんを突き飛ばしてその場で大の字になる。彼女の体が眩く光り、そして・・・・
「ハ、ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!お通は普通のハイグレ人間に戻ります!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
お通ちゃんがいきなりハイグレポーズを取り出した。前かがみになってコマネチをしている。
「な、何でっ!?確かに・・・確かにこの手でハイグレ魔王を倒したのに!!」
分からない・・・。確かに瘴気がお通ちゃんの体から抜けたはず・・・・。
「新八、危ねえっ!!」
銀さんに後ろから抱え込まれるようにして倒れる。その真上を赤い光線が通り過ぎていく。
「ちっ、外したアル。銀ちゃん、素直にハイグレ光線に当たるヨロシ。」
ハイグレ銃を片手に立っていたのは神楽ちゃんだった。
「何やってるのさ、神楽ちゃんっ!!悪ふざけはやめてよ!!」
「違う、こいつは神楽じゃない・・・。さっきハイグレ人間になった時の気と似ている。いや、寧ろこのお通ちゃんのさっきまでの気と似ている。」
それってまさか!?
「そんなの簡単アル。なぜなら・・・私がハイグレ魔王の位を継承したからネ!」



「神楽ちゃん・・・どうして?」
「お通ちゃんから出たハイグレ魔王の魂は新しいよりしろを探していたアル。だから近くにいた私が選ばれたアル。二人ともハイグレ人間にしてあげるネ。」
神楽ちゃんはハイグレ銃を取り出して構えた。
「そんなおもちゃみたいな銃が俺に当たるとでも思ってるのか、神楽?」
「銀ちゃんもまだまだアル。」
空にヘリが飛んでいる。そこからキラリと光る金属が・・・・あれは!?
「銀さんっ!!」
「へっ!?」
僕が叫んだ瞬間、銀さんの体が宙に浮いた。狙撃されたんだ。
「ぐ、ぐわああああああああああっ!!」
「銀さんっ!!」
「すまんっ・・・・!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
銀さんは白のハイレグ水着を着てハイグレポーズをとりだしてしまった。
「さあ、銀ちゃん。私に傅くネ。まずは私の足を舐めるヨロシ。その後にハイグレポーズで私に服従の姿勢を示すネ。」
神楽ちゃんが悪魔の笑みを浮かべて銀さんに命令する。
「仰せのままに。ハイグレ魔王様!!」
やってるよ!!銀さんが神楽ちゃんの足を舐めてハイグレポーズ取って服従してるよ!!
「お次は・・・・新八を取り抑えるネ。」
「はっ!!」
早い!!いつの間にか後ろを取られて肩をつかまれて動きを封じられてしまった。
「新八・・・今からお前はハイグレ人間にしてあげるアル。これでダメガネからも卒業ネ。」
「や、やめてよ!!神楽ちゃんも銀さんもハイグレ人間なんかに操られないで!!」
銀さんが僕の必死の叫びを鼻で笑う。
「ふんっ、元々はお前が作りだしだ世界だぞ。自分で作っといてそれが嫌だって?てめえは好き嫌いしないで何でも食べなさいって姉ちゃんに習わなかったのか?」
「話が違うでしょっ!!とにかく放せ!!」
「ああ、もう興ざめアル。さあさあ、ハイグレ人間にするアル。速攻で。」
や、やめて・・・・まだ心の準備が・・・・!!
「う、うわあああああああああああああああああっ!!」

あれ・・・・どこだ・・・・ここは・・・・これは僕の心の中・・・・
「・・・・どこなんだ・・・・・ここは・・・・」
どこまでも続く真っ暗闇の世界・・・・寒い・・・・苦しい・・・・時間という概念はあるのか?ずっと進んでいるようで実はそんなに立っていない気もする・・・上に上っているのか・・・下に落ちているのか・・・横に滑っているのか・・・・
「くそーっ!!ここから出せーっ!!」
「なら、ハイレグ姿になるアル。」
神楽ちゃんの声。でもあたりは暗くて見えない。これは僕の幻聴?
「おい、さっさとしろよ、新八。みんなハイレグ姿で待っているんだ。てめえ、仲間外れにしてやるぞ。」
今度は銀さんの声。幻聴じゃない・・・・
「新ちゃん・・・私と一緒にハイグレ人間として暮らしましょう。」
僕は嫌です。姉上だけ勝手に暮らしてください。
「新八君・・・君は死ぬんじゃない。生まれ変わるのだ。新しい世の中を俺と一緒に切り開いていこうではないか。」
あんたで勝手に作ってください、桂さん。あんただけ勝手に新しい世の中に行って下さい。
「新八君、恥ずかしがることはない。侍なら侍らしく思い切りよく決断するんだっ!!」
恥ずかしくないってあんたはいつもフルティンさらけ出してるからそう思うだけでしょ、近藤さん。
「てめえ、いつまで迷っている気だ?生きるか死ぬかはっきりしやがれ。」
ハイグレ人間になるなんて死ぬほど恥ずかしいんですよ。少しは考えさせて下さい、土方さん。
「特に無いんでパス。っていうか、さっさとハイグレ人間になりやがれ、このヤロー。」
沖田さんの棒読み口調、ムチャクチャ腹が立つんですけど!?
「新八君、君も俺と同じように地味キャラから抜け出すチャンスなんだ。気をしっかり持って!!」
山崎さん、あんたに言われたくないわ!!
「もう、新八さん。いつまで迷っているの!?そんなんじゃお通の親衛隊長失格だよ!?お通は・・・新八さんが応援してくれていればどんな姿でも頑張れるの。だから、お願い。ハイグレ人間になって!!」
お通ちゃん・・・・。そうだ・・・。例えどんな姿になっても僕は僕自身。変わらないじゃないか。
「へっ!?う、うわああああああっ!!や、やめろおおおおおっ!!」
一瞬ハイグレ人間に肯定的な考えを持った瞬間、僕の頭の中にデスノートの記憶を取り戻した時のように情報がたくさん入ってくる。
「そうだ・・・・僕はハイグレ人間・・・・ハイグレ人間の志村新八・・・・。」
だ、ダメだっ!!頭に入ってくる情報が止まらない!!こ、これが洗脳!?う、うわああああああああああっ!!

気づくと僕は真っ暗闇ではなく、ハイグレ城の屋上にいた。青いハイレグの水着姿になっている。
「時間かかったなあ、新八。これでお前もハイグレ人間の仲間入りだ。」
「ポーズを取るアル。それがハイグレ人間の存在意義アル。」
そうだ・・・僕はしなくちゃいけないんだ・・・・ハイグレ人間のポーズを。
「ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
僕はハイグレポーズをとった。気持ちいい。これからは皆でハイグレ人間になって生活していく。なんて素晴らしい世界なんだ!!
僕たちの冒険はここから始まるんだ!!







「って、ちょっとーーーーっ!!僕たちやられちゃいましたよ、全滅ですよ!!洗脳されちゃいましたよ!!神楽ちゃんがハイグレ魔王になりましたよ!!収拾つきませんよ、この世界!!」
「安心しろ、新八。どのアニメにもハイグレ人間になった世界となっていない世界があるんだ。今回やったのはあくまでも平行世界だ。」
なんですか、そのひぐらし理論。そんなんで逃げないでください。
「そういえば、お絵かき掲示板でハイグレ人間になったの私とたまだけアル。女キャラが全員ハイグレ人間にならないと銀魂の征服は完了しないアル。」
「いや、作者だって頑張って書こうとはしたんだよ、神楽ちゃん?でも、元々の才能がないから他の絵師さんみたいに書けないんだ。所詮は線画でなぞって二次裏に簡単なのを試しにアップするくらいしかできないんだよ。ってわけで、他の絵師さんに期待だね。」
作者のMKDは書くのが髪を描く量が少ない中野梓ちゃんと古河早苗さんの線画だけで5時間もかかった人だからSSの挿絵なんて十年たっても無理だよ、うん。集団絵なんて描けるころには二十二世紀になってドラえもんが生まれてるんじゃないかな。
「ま、なんやかんやでここまで読んでくれてありがとう、読者のみんな。次回作も絶対見てくれよな!!作者に代わってお願いするぜ。」


MKD
2009年12月31日(木) 11時42分06秒 公開
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■作者からのメッセージ
銀魂のSS完結です。年内に終えられて良かったです。皆さん、よいお年を。