バカとテストと召喚獣 僕とハイグレ人間とパラレル世界

「・・・・・・雄二。」
「なんだ、翔子。」
「・・・・・・隣町の遊園地が今度の週末にプレオープンするって。」
「ああ、知ってるぞ。結構面白いって評判だから俺も行ってみようと思ってたところだ。」
「・・・・・・チケットをもらった。だから、一緒に行く。」
「まずは落ち着け。一文目と二文目が全くつながっていない。」
「・・・・・・どうして嫌がるの?まさか・・・・まさか浮気相手と一緒に行くの?」
「なぜそうなる・・・。一人で行くんだよ。」
「・・・・・・なら一緒に行く。」
「いや、だから俺は一人で行く。」
「・・・・・・一緒に行ってくれないと酷い目に合わせる。」
「ぐわああああっ!!もう合ってるよ!!気に入らないからって一々目を突くなっ!!」
「・・・・・・一緒に行く。」
「分かったよっ!!一緒に行けばいいんだろっ!?これ以上俺の生命が危機に瀕するよりはましだ。」
「・・・・・・最初から素直にそう言えばいい。」
「ああ、全くもってその通りだ。結局ボコにされるんだからな。」
雄二は翔子によって強制デートをすることになった。



バカテスト ハイグレ編 
第一問・問題 ハイレグ水着とは何か答えなさい。

姫路瑞希君の答え
『通常より下部の切れ込みの角度が高いのが特徴の水着。デザイナーであるギデオン・オバソンが開発後、見た目のセクシーさや動きやすさが全世界の人々に受け入れられました。』
教師のコメント
『正解です。水着の特徴だけでなく、その歴史的背景にまで述べていてよく勉強していることが分かります。』

島田美波君の答え
『水着の中でも特に両脚のボディーラインを引き立たせるために切り込みを高くした水着。近年では水着の多様化により多少廃れつつある。ペッタンコのウチが着たって似合う水着なのに・・・』
教師のコメント
『書いている内容は正解ですが、満点はあげられません。自分の主観的な考えを混ぜないでください。』

土屋康太君の答え
『ハイレグ水着とは・・・・(ブシャシャシャシャシャーッ!!)』
教師のコメント
『君の答案が真っ赤になっていて全く読めませんでした。解答する前にまず保健室に行って下さい。』



僕は登校してちゃぶ台の上に鞄を置く。最近は姉さんのおかげで規則正しい生活をするようになってきた。姫路さんや美波、秀吉の女子たちと挨拶を交わして席に腰を下ろす。
「あ、あの、明久君っ!!今度の日曜日、暇ですか?」
「ああ、うんっ。雄二たちとも約束はしてないし、何も予定はないかな。」
「でしたら、隣町にプレオープンする遊園地のチケットが二枚あるんですけど・・・。一緒にどうでしょうか?」
ええっ!?マジ!?僕、姫路さんにデートに誘われてる!?いやいや、落ち着け、僕。姫路さんと僕が釣り合うわけがないんだ・・・。きっとここで一生分の運を使い果たして、そして僕は死んでしまうんだ・・・!!
「ごめん、姫路さん。気持ちは嬉しいんだけど、でも、僕はまだ長生きしたいんだ・・・・。」
「どうして遊園地に行くだけで長生きできなくなってしまうんですか?」
ごめん、姫路さん。その優しさはすごくうれしいんだけど、僕の巻き添えになって一緒に死んでしまうことがあっては嫌だ。我慢しなければ。
「アキ、ちょっといい?」
三人いる女子クラスメイトの一人・島田美波さんが僕に話しかけてきた。
「今度の日曜空いてる?もし良かったら隣町の遊園地のプレオープンのチケットが二枚あるんだけど・・・。」
ええっ!?姫路さんと同じチケット!?そうか・・・。これはきっと姉さんの罠だ。僕を異性不純交遊の現行犯として捕まえる気なんだ!!それに美波のことだから、きっと観覧車の上からつき落としたり、ジェットコースターから投げ落したりするだろう・・・・。
「ごめん、美波・・・・。気持ちは嬉しいんだけど・・・。」
「何よっ!!せっかく誘ってあげてるのにっ!!」
「待って下さい、美波ちゃん。先に明久君を誘ったのは私です。私こそが明久君と遊園地に行く権利があるんですっ!!」
まずい、まずいぞ。姫路さんと美波の目からバチバチ電気が走っている。このままだと僕がとばっちりで殺される気がする。
「明久よ、少し良いかの?」
ああ、ありがとう、秀吉。君のそのフォロー、やっぱり僕の事を大切に思っていてくれてるんだね!?
「商店街の福引で遊園地のプレオープンのチケットがペアで当たったのじゃ。本来は女性を誘っていくべきなのじゃが、ワシにはそのような伴侶はおらん。じゃから、明久が良かったら・・・。」
「喜んでお供させてもらうよ、秀吉!!」
僕は考えるまでもなく即決していた。ふっ、決める時は素早く決断することが大切なのさ!秀吉となら形だけでは不純交遊にはならないので思いっきりデートを堪能できる!
「ちょっと、なんでウチと瑞希は駄目で木下はいいのよ!」
「そうです!木下君とのデートなんて私は認めませんっ!明久君にはお仕置きしちゃいます!」
うわあああっ!!僕の腕と足が次世代型の最新モードに!?曲がっちゃいけない方向にいろいろと曲がってるんですけど!?
「待つのじゃ、姫路に島田よ。ワシと明久はデートをするのではないぞい。男同士胸を突き合わせた付き合いをするだけじゃ。」
「秀吉!?胸を突き合わせるってそこまで行くの!?僕、まだ心の準備ができてないんだけど!?」
「お主とワシは同性のはずじゃが!?なぜそんなに顔を赤らめるのじゃ!?」
それはね、秀吉。君が実は女の子だからだよ。そんなに可愛い男の子がいるわけないじゃないか。
「ムッツリーニ、お主からも何かこやつらに言ってやってくれんか?」
秀吉は近くのちゃぶ台に座ってカメラの手入れをしている親友・土屋康太ことムッツリーニに話を振った。
「・・・・・・俺も日曜に工藤と隣町の遊園地に行く。明久とのデート写真は任せろ。」
「フォローになっておらんのじゃが!?」
ありがとう、ムッツリーニ。後で言い値で買わせてもらうよ。
「そうだ、姫路さんと美波。チケットが余ってるなら仲良く皆で行こうよ。僕が姉さんを、美波が葉月ちゃんを連れてくれば丁度人数分あるよ。」
「雄二はどうするのじゃ?」
「・・・・・・登校途中に霧島翔子が同じチケットを持っているのを見た。恐らく強制デート。」
「やっぱりね。なら、ワイワイやりながら行く方が楽しいよ。皆一緒の方がいいな。」
姫路さんと美波は少し不満顔だったが納得する。
「ま、そこで妥協してあげるわ。」
「お人よしの明久君らしいですね。」
こうして日曜に皆で隣町の遊園地のプレオープンに行くことが決まった。あれ?なんか後ろから不吉な言葉が聞こえて来るんだけど気のせいかな・・・・・?

「コロシマスコロシマス。お姉様と一緒にデートする豚なんてコロシマス・・・・。」



バカテスト ハイグレ編 
第二問・問題 ハイグレ人間の行動の特徴について簡潔に述べなさい。

姫路瑞希君の答え
『大きな特徴は二つあります。しきりにコマネチをすること、ハイグレ魔王に絶対的な服従をすることです。ハイグレ光線の力で全ての体内の細胞がハイグレ人間として変化することによって生じる現象です。』
教師のコメント
『その通りです。簡潔に要点をまとめられています。』

坂本雄二君の答え
『ハイグレ光線の力で男女を問わずコマネチの上下運動、又はハイグレ魔王に加担して破壊活動などを行う。相手を奴隷のように操るようなことは絶対にあってならないが、洗脳をした上での行動なので何をしでかすか分からない。こちらも注意して応対する必要がある。』
教師のコメント
『随分と洗脳に拒否反応を示していますね。君の日頃の行いから考えると、正義感からではないでしょう。誰かに奴隷のように扱われた経験があるのでしょうか。先生ならいつでも相談にのります。』

吉井明久君の答え
『コマネチと服従』
教師のコメント
『簡潔すぎます。もう少し回答欄を埋めて下さい。』



今日は日曜日。うん、とても清々しい天気だ。
「アキくん、くれぐれも言っておきますけど、不純異性交遊は厳禁ですからね。アキくんが女性と関係を持っていいのはお友達までです。もし約束を破ったら、今度こそ姉さんをお嫁にいけない体にしてあげますからね。」
「ああ、分かっ・・・・って、ちょっと待ってよ!!何で僕が不純異性交遊をすると姉さんがお嫁にいけなくなるの?」
「姉さんには弟を守る義務があります。アキくんがふしだらな関係を持つくらいなら、いっそ姉さんがアキくんの元に嫁ぎます。」
「それ、法律違反だから。それと、家族同士でそういうこと言う方がよっぽどふしだらだから。」
ああ、もうこのバカ姉は・・・!!なんでこんな変態の姉を持ってしまったんだろう?僕の今までの人生を呪いたいよ!
「アキくん、本気にしてしまいましたか?全て冗談です。」
冗談!?半分以上本気に聞こえたんですけど!?皆との待ち合わせ場所に行くまでに僕どんだけからかわれてるの!?

「明久君、玲さん、おはようございます!」
「アキたちが最後ね。」
遊園地の前で全員が待っていた。
「おはよう!姫路さん、美波、葉月ちゃん、雄二、秀吉、ムッツリーニ、霧島さん、工藤さん、それに姉さんと僕と雄二。うん、全員いるね。」
「おい、雄二って二回言ったぞ?本当に馬鹿な奴だな。人数もちゃんと数えられないとは・・・・。」
雄二が僕にあきれ顔で言う。なっ!?ちょっとしたお茶目じゃないか!!そのぐらい皆分かって・・・・って、全員僕の事をこいつバカだという目で憐れんでる!?
「バカなお兄ちゃん、おはようです!今日は葉月と大人のデートをしてほしいですっ!」
葉月ちゃん、望むところさ。お兄ちゃんが大人の世界というものを教えてあげて・・・・。
「葉月、駄目よ。馬鹿が移るから。」
「アキくん、例え小学生といえども・・・分かっていますね!?」
うわああああんっ!!ひどい、ひどいよ!!この人たち鬼だ!!
「あの、早く入らないと中がいっぱいになっちゃうよ?」
工藤さんが皆に入園ゲートに入るように促している。まあ、そりゃそうだよね。プレオープンとはいえお目当ての施設には行列ができるだろうから早くいかないと・・・・。
「・・・・・・雄二とデート。一緒に入る。」
「ぐわっ!!足を引っ張るな、翔子!!普通腕を組んだり手をつないだりだろ!?デートとか言ってる割には扱いが動物以下なんだが!?」
哀れな雄二は霧島さんに逃げないように足をロデオのように縛られ、中へと連行されていった。
「それじゃあ私たちも入りましょう。」
姫路さんがそう言うので、皆でチケットを係りの人に見せて中に入る。あれ?姫路さんと美波が僕にすり寄って来る。その後ろには葉月ちゃんも付いて来るんだけど。まずい、まずいよ!姉さんの前でそんなことは・・・!
「明久よ、お主の姉上のことはワシに任せろ。少しはこやつらの相手をしてやるのじゃ。」
「ありがとう、秀吉。僕もここで姫路さんたちから逃げると殺される気がするんだ。頼むよ。」
秀吉は姉さんの注意をひいて別の場所に連れていく。その横ではカメラを持っているムッツリーニが血の海に沈んでいて、工藤さんが介抱している。
「明久君、一緒にあの観覧車に乗りませんか!?」
「アキ、二人でコーヒーカップに乗りましょう!!」
「バカなお兄ちゃん、葉月と一緒にメリーゴーランドの馬車に乗るです!!」
や、やめて、お互いに別々の方向に引っ張らないで!!僕が三つに分裂して明久1号、2号、3号になっちゃうよ!!
しかし、この時はまだ知らなかった。僕たちがこれから挑まなければならない試練を・・・・。

「吉井君、僕は君をあきらめないぞ・・・・!」
「コロシマスコロシマス・・・・。あの豚を地獄の果てまで追いかけて八つ裂きにします・・・・。」
何か知らないけど聞き覚えのある声が小さく後ろから聞こえてきた・・・・。



バカテスト ハイグレ編
第三問・問題 ハイグレ人間のポーズの取り方の違いについて説明しなさい。

霧島翔子君の答え
『股下で手をクロスさせるか否かの有無、上半身の姿勢を前屈み・通常・後ろ反りにするかの違いがある。また、腕の振りを小さくするか、大きく上げるかも人によって異なる。』
教師のコメント
『正解です。』

土屋康太君の答え
『(ブシャシャシャシャシャーッ!!)』
教師のコメント
『一文字も書けずにまた鼻血ですか。そうですか。』

吉井明久君の答え
『ハイグレ人間になるとコマネチに似たポーズで挨拶をする。そして、洗脳されたことでハイグレ魔王に服従して周りの人を次々にハイグレ人間にしていく。』
教師のコメント
『先程のテストの答えを今更書いても点数にはなりません。』



昼になって皆集合して昼食を取る。姫路さんたちにあちこち連れまわされたおかげでクタクタだ。姉さんには秀吉がごまかしてくれたからいいけど、もうどこにも行きたくない。皆は元気そうに午前中に乗った乗り物について話し合っている。少しは話に参加しないと。
「葉月がさっきお姉ちゃんに買ってもらったお菓子にこんなものが入ってました!」
美波が葉月ちゃんにアトラクション周りの途中で買ってあげたチョコビというスナック菓子。その中のオマケのカードが金ピカに光っていた。
「これ、バカなお兄ちゃんにあげるです!」
「えっ?いいの?」
「はいです!バカなお兄ちゃんに持っていてもらいたいです!」
葉月ちゃんが僕に笑顔で渡してくれる。まあ、オマケとはいえ貰って悪い気はしない。NO.99のカード。アクション仮面の絵が描いてある金メッキのカードだ。これってすごくレアなんじゃないかな?
「ねえ、ムッツリー・・・ニ?」
ムッツリーニが詳しそうだから聞いてみようと思ったんだけど、本人は驚いた表情でそのカードを見つめている。
「・・・・・・そのカードは幻とまで言われるプレミアカード。」
へえ、そうなんだ。すごいな〜。本当に貰っちゃってもいいのかな?
「・・・・・・明久。」
「なんだい?」
「・・・・・・そのカードは何かの鍵になっている。そういう噂がある。」
鍵、ねえ。カードキーってやつなのかな?

「よし、腹も膨れたことだし、皆でお化け屋敷に行こう!」
皆お昼ごはんを食べ終わったのを見計らって僕が提案する。
「あ、明久君、私たちがそういうの苦手なの忘れてるんですか?」
「あれっ?そうだったっけ?」
「お前、本当に鳥頭だな。」
雄二が呆れている。ええと、どういう意味だろ?鳥のような頭→とさかが特徴的→モヒカンににている→常夏コンビの片割れ・・・・。
「雄二、貴様!常夏コンビに似ているなんてバカって言われるより屈辱的だよ!」
「何を訳の分からん事を言ってるんだ、お前は!鳥頭ってのはな、忘れっぽい奴の事を言うんだ!」
何だよ、そうならそうとストレートに言ってほしいな。
「残念だなあ、吉井君。僕はお化けとか全然平気だから、キャーとか言って抱きつけないんだ。」
「アキ君、あなたという人は異性とそういうことを期待してお化け屋敷に行きたいと言いだしたんですか?」
ちょっと待って!!工藤さんのからかいを真に受けないで!!
「ち、違うよ!!僕は・・・その、せっかく秀吉にチケットを貰ったのに一緒にいられないから、その・・・秀吉と二人で一緒にいたいんだ!!」
「お主、言うに事欠いて何を言い出すんじゃ!?」

で、すったもんだの挙句、お化け屋敷に向かうことにする。しかし、お化け屋敷の前には時期外れだというのに沢山人が並んでいる。
「人が多いわね〜。あっ、あっちのアトラクション、人がいないわ。あっちにしましょうよ。」
美波が指さした先に変わった形の入口がある。看板にはアクション仮面アトラクションハウスと書いてある。
「・・・・・・パンフレットに載っていない。」
霧島さんがパンフレットを見ながら首をかしげている。
「きっと本オープン前に完成したんですよ。あっちにしましょう、ね?」
姫路さんが僕の手を引いてそそくさと向かっていく。
「それなら、お化け屋敷には私が並んでおきましょう。皆さんはそちらで時間を潰してください。」
「はううう〜。」
姉さんの珍しい好意にしょげる姫路さん。何をそんなにガッカリしてるんだろう?
「ま、玲さんもこう言ってくれてるんだ。入ってみようぜ。」
僕たちは時間潰しのつもりでこのハウスに入ったのだが、それを後悔することになろうとはね・・・・。



バカテスト ハイグレ編
第四問・問題 仮にクラスメイトがハイグレ人間になってしまった場合、一人を例にして何色のハイレグ水着を着るか考察しなさい。

久保利光君の答え
『吉井明久・・・青。彼は周囲の悪評はあるが、実際は心の素直な少年です。その澄みきった心を象徴すること、また、日頃彼が所持している物に青が多いことを合わせて考えると、内面的にも外面的にも青が妥当です。』
教師のコメント
『君は吉井君をよく観察していますね。ですが、なぜだか分かりませんが寒気がしてきます。』

霧島翔子君の答え
『坂本雄二・・・赤。彼の赤髪によく似合うと考える。また、中学時代も喧嘩三昧の日々を送り、特に血の色である赤いには縁が深い。しかし、私はそのすべてを受け入れて雄二を押し倒してハイグレ人間の子供を作る・・・』
教師のコメント
『霧島さんは坂本君とお互いハイレグ水着を着た状態で子供が出来てしまうような行為をするのでしょうか。それとも脱ぐのか、とても興味深いところです。』

清水美春君の答え
『島田美波・・・白。お姉様の静かな海を思わせるペッタンコを堪能するためには寒色の白を置いて他にありませんっ!!そしてお姉様をエッチな目で見る豚は全て始末して・・・・。』
教師のコメント
『これまでの回答を見る限り、この問題を出した先生が悪かったようです。出題に関しては以後気をつけます。』



中に係りの人は誰もいない。自分たちで勝手に入っていいタイプなのかな?3Dシアターみたいなのと空中に浮かんでいる形の青い乗り物がある。アクション仮面の被り物を逆さにしたような形だ。
「ほお、完成途中にしちゃこった作りだな。」
雄二が一番乗りする。僕も乗ってみる。
「これ、どうやって動くのかな?」
「吉井君、ここ。さっき葉月ちゃんからもらったカードに形が似てるね。」
続いて乗ってきた工藤さんに言われて初めて気付く。一番前にカードの形をしたくぼみがある。これに入れるとうごくんだろうか?物は試し。やってみよう。
「うわっ!?」
ガチャリという音がして乗り物が動きだした。辺りが暗くなり、画面がオンになる。
「みんな、早く早く!!」
慌てて九人全員が乗り込む。そして、このアトラクションの乗り物が発進しだした。
「ようこそ、戦士の諸君!!君たちは地球を救うために選ばれた戦士だ!!悪者を倒すために共に闘おう!!」
凄いな〜。午前中に回っていたアトラクションも凝っていたけど、ここのは本当に画面から飛び出してくるみたいだ。
「なんか、子供だましね〜。」
「葉月ちゃんが喜んでいるみたいですから、いいんじゃないでしょうか。」
姫路さんと美波が後ろで苦笑しているが、葉月ちゃんは子供らしく興味を持って画面に見入っている。
「今、アクション仮面は悪の魔王の罠にかかり、ピンチに陥っている!!アクション仮面を助けられるのは君しかいない!!頼む!!この星の運命は君たちにかかっている!!」
どんどん宇宙のようなところを旅していくマシン。なんか金色の光が近づいてくる。あれ!?あれは・・・・。
「・・・・・・私たちがあっちからやってくる。」
うわ、ぶつかる!?NO.99のカードをすりぬるようにして僕たちのマシンと向こうにいる僕たちのマシンがぶつかった。
「あれっ!?」
でも、ぶつかったはずなのになんともない。振り返ってみて分かった。通り抜けたんだ。きっと、そういう演出なんだろうな。
「もうすぐ到着する!!準備はいいか、アクション戦士の諸君!!」
スピーカーからアクション仮面の声が聞こえてくる。周りがだんだん白くなる。あれ!?なんか・・・気が遠く・・・

「明久君・・・・。」
「アキ・・・・・。」
「明久・・・・・。」
「お兄ちゃん・・・・。」
ハッ!?僕は目を覚ました。マシンの中で眠っていたようだ。既にアトラクションは終わってしまったらしい。ちぇっ、最後まで観たかったな・・・。
「って、違う!!今、明らかにおかしかったよ!!」
「お前だけじゃない。全員そうだ。きっとこの画面には催眠効果か何かがあったんだろうな。」
催眠効果?
「もう終わりのようじゃし、消化不足は否めんが明久の姉上のところに戻るとしようかの。随分時間がかかったようじゃし、お化け屋敷の順番も回ってくるじゃろうて。」
なんだかんだで30分くらいはいたみたいだ。早く出ないと姉さん怒ってるかな?

外に出ると、なぜかDクラスの清水さんがいた。
「ああ、お姉様!!お久しぶりです!!はあ、この波の静かな大海原を思わせるお胸・・・・。お姉様がアトラクションハウスにに入ってから3分間待ったかいがあったというもの・・・。」
清水さんは僕が言ったらこの世の人ではなくなるようなセリフを言って、美波に抱きつく。
「何を言ってるの、美春。たった三分なんて待っているうちに入らないでしょう!?」
「待って下さい・・・・。清水さん、今、三分って言いましたよね?」
姫路さんが何か引っかかったらしく清水さんに念を押して確認する。
「はい。美春はお姉様の行動を逐一確認してストーキングをしています。間違いありません。」
何か犯罪をあっさり白状するような言葉が聞こえて来たんだけど。
「おかしいです。私たちの時計は確かに30分進んでいます・・・。」
清水さんや遊園地の時計を確認して首をかしげる姫路さん。それってつまり・・・・。
「分かったぞ!!時計怪人・クリケットが世界の時間をメチャクチャにしているんだ!!」
ボキガキュゴシュ。美波に関節を外されてまた元に戻された。ものすっごく痛い!!
「瑞希が真面目に話してるのにバカなこと言わないの!!」
「・・・・・・クリケットはスポーツの名前。吉井の言いたかった時計は英語にするとクロック。」
すんません・・・・。本当にすんません・・・・・。

「あら、皆さん、お早いお帰りですね。お化け屋敷はまだ時間がかかりそうですよ?」
姉さんは列の後ろの方でまだ待っていた。時間は本当に経っていないらしい。
「姉さん、何を手に持ってるの?」
「こういう時は新聞でも読むに限ります。いつまでもこの町が安全というわけでもありませんし、情報は集めておきませんと。」
安全とは限らない?何を大袈裟な・・・。
「あの、玲さん・・・・。それは!?」
工藤さんが新聞の一面のタイトルを見て驚きの声を上げる。
「ああ、これですか。毎日同じですからね。今更驚くまでもないでしょう。」
見出しはこうだ。早く来てくれアクション仮面。ハイグレ魔王の侵略から地球を救え。えっ!?



バカテスト ハイグレ編
第五問・問題 もしあなた以外全員がハイグレ人間にされてしまった場合どうすべきか、あなたの考えを書きなさい。

木下秀吉君の答え
『一番大切なのは自分が洗脳されないことじゃ。その場を脱出し、ハイグレ人間になっていない者を探し、友を助けるために一緒に行動するのがよいじゃろう。』
教師のコメント
『その通りだと思います。まずは落ち着いて自分の安全を確保し、その上で行動することが大切です。地震や火事の時と同じですね。』

土屋康太君の答え
『まずはカメラの撮影速度を最大限に引き上げ、ハイグレ人間になった女子の写真を大量に撮る。その後で画質を上げ、ベストショットを探していく。』
教師のコメント
『土屋君は己の欲望に忠実ですね。その情熱にだけは感服します。』

吉井明久君の答え
『ヒント 土屋康太』
教師のコメント
『問題に問題で返すとはいい度胸ですね。察するに君は土屋君から写真を買うのですか。しかし、この設問の場合、既に土屋君もハイグレ人間にされていますので買えません。』



「何を驚いているのですか?ここ一週間毎日のようにニュースでやっているでしょう?」
姉さんは僕たちがなぜ驚いているのか全く分からない感じだ。この新聞は今日の朝刊。冗談とは程遠い感じだ。
「いつこの町もハイグレ魔王に襲われるか分かりません。楽しい休日は今日が最後かもしれないと最初に行ったのはアキ君たちではありませんか?」
僕がそんな事言ったっけ?どうなってるんだ?
「・・・・・・もしかしたら・・・・。」
霧島さんと姫路さんが顔を見合わせる。同じ事を考えていたみたいだ。
「もしかしたら、ここはパラレル世界ではないでしょうか?」
パラレル世界?えっと、ゲームとかでよくやるあれ?
「・・・・・・私達全員の腕時計と携帯電話の時計の時間は一致している。玲さんの時計とその他のお客の時計も別の時間で一致している。つまり、ここは別の時間の27分前の世界。」
「それなら、清水さんの3分間の発言も説明できます。つまり・・・私たちがあのアトラクションハウスの世界ですれ違ったのは向こうの世界の私たちです。」
と、いうことは・・・。僕たちは世界同士で入れ替わってるのか・・・・。
「まあ、二人の言う通りだ。それなら不自然な状態を説明しやすい。なら、とっとと元の世界に戻らないとな。こっちの世界は面倒くさそうだ。」
雄二が引き返そうとして足を止める。
「どうしたのさ?」
「ない・・・。さっきのハウスがなくなっている・・・。」
ええっ!?僕も驚いて探してみたけれど、影も形もなくなっている。どういうこと?
「何か・・・理由がありそうですね。」
「そういえば、アキの持っているアクションカード・・・・。あれがカギになって動きたしたわよね?」
美波にしがみついている清水さんを引っぺがしながら美波が言う。
「吉井君の持っているそのカードに何か秘密がありそうだね。」
ちょっと、皆!!僕の分からないところで話を進めないでよ!!
「皆さんは何の話をしているのですか?私にも分かるように説明してください。」
姉さんも話についていけずチンプンカンプンのようだ。
「つまりじゃな、それは・・・・。」
秀吉が説明しようとしたところで、遊園地内で大きな悲鳴が上がった。
「きゃああああああ!!」
「うわああああああ!!」
あちこちで悲鳴が上がる。その方向を見ると、変な格好をした人が銃を担いで飛んでくるのが見えた。
「ま、まさか!!この町にも奴らの手が!!」
姉さんが驚愕している。えっ?何?
「お姉様・・・・!!それに皆さんも!!美春と一緒に逃げましょう!!あの薄汚い豚たちの光線に当たったらハイグレ人間にされてしまいます!!」
ハイグレ・・・・人間?なんだろう?姉さんも清水さんもすごく怖がっている。
「うわああああああああっ!!」
あっ!!あれは久保君!?こっちに走ってくる久保君に飛んでる変な人が撃った光線が当たっている。
「ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
ええっ!?久保君の服が一瞬で変化してハイレグの水着姿になってコマネチをしてる!!周りのお客さんたちも次々に狙い撃ちにされて同じようにハイレグ姿でコマネチをしてる!!
「パンスト団め・・・・!!次々と皆をハイグレ人間に!!」
パンスト団って何!?ハイグレ人間って何!?
「とにかく逃げましょう!!葉月、行くわよ!!」
「はいです!!」
美波が先頭を切って葉月ちゃんをおんぶして走り出す。僕らも訳が分からないまま走り出した。



バカテスト ハイグレ編
第六問・問題 自分がハイグレ人間になってしまった場合、どのような行動をすると思うか述べなさい。

姫路瑞希君の答え
『私は普段引っ込み思案で消極的な方なので、そのタガが外れて積極的に暴走すると思います。』
教師のコメント
『自己分析が的確ですね。姫路さんのように普段真面目な人は理性が飛ぶととんでもない行動をする可能性があります。十分気を付けてください。』

坂本雄二君の答え
『ハイグレ魔王を倒して天下を取る。そして絶対的な権力を手にして霧島翔子との一方的な婚約を潰す。』
教師のコメント
『覇者になりたいという野望の大きさは若々しくてよいのですが、その後でやることが貧弱すぎます。』

工藤愛子君の答え
『ハイグレ世界に競泳水着を着なければいけない日を設ける。』
教師のコメント
『それは工藤さんがハイグレ人間にならなくても取ると思える行動です。』



一体なんなんだ!?何が起きているっていうんだ!?
「散らばれっ!!」
雄二が叫ぶ。僕たちが左右に避けるとそこに例の光線が飛んできた。危ない・・・。もう少しで当たるところだった。
「いやああああああっ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
「うわああああああっ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
そんな事を言っている間にも周りの人たちが次々とハイレグ姿にされてコマネチを繰り返すだけの存在になっている。
「とにかく遊園地を出るぞ!!」
遊園地の入口には多くの人が流れている。この流れに乗って逃げるしかない。

「何とか出られましたけど、この後はどうするんですか?はあ、はあ・・・・。」
遊園地のゲートから外に出たけど、体の弱い姫路さんはもう限界みたいだ。う〜む、困ったぞ。
「とりあえずここから遠くに逃げられる乗り物があれば・・・。」
「・・・・・・安心しろ。調達済み。」
ムッツリーニがいつの間にか僕の後ろに立っていた。手には車の鍵を持っている。
「ムッツリーニ、これをどうしたの?」
「・・・・・・拾った。持ち主は光線に当たったから今乗る人はいない。ナンバーも確認済み。」
「さすがムッツリーニ。鼻から流れている赤い液体がなんなのかは置いといて頼りになるよ!」
ムッツリーニの誘導で該当する車へ。姉さんに鍵を投げて渡す。
「きゃっ!!」
清水さんが足をもつれさせて転倒。
「大丈夫、美春?立てる?」
「はい、お姉様!!美春はお姉様のお側を片時も離れ・・・・」
清水さんは助け起こそうとする美波にいつもの調子で答える事が・・・・できなかった。
「美春!?」
「きゃあああああああああああっ!!」
清水さんに赤い光線が命中して彼女を中心にして赤く光っていた。流れ弾に当たってしまったんだ。普通の服とハイレグ水着が入れ替わり、オレンジ色のハイレグの水着姿になっていた。
「ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
清水さんは苦悶の表情を浮かべてコマネチを繰り返す。
「美波お姉様!!美春と一緒にハイグレ人間に・・・・・っ!!」
彼女の特徴的な縦ロールが揺れる。そして、そのまま前のめりに崩れ落ちた。
「ごめんなさい、美春。」
クロスチョップをした美波は悲しそうな表情で清水さんを見守った。
「発進しますよ!!皆さん乗ってください!!」
清水さんの事は仕方がない。僕たちはそのままワゴン車に乗ってその場を走り去った。

「ところで皆さん。ハイグレ人間について全く知らないように見受けましたが、なぜなのか教えてください。」
やっぱり姉さんは気付いていたか。僕が説明すると全く伝わらないからと雄二たちが代わりに説明した。
「なるほど。俄かには信じがたい話ですが、嘘をついている目ではありませんね。」
運転に集中していて耳でしか聞いていないくせに何でわかるのかはつっこまないでおこう。
「皆さんの話が本当だと仮定すると一つこちらの愚弟と異なる点があります。こちらの世界のアキ君が葉月さんから貰ったお菓子のおまけカードは金色ではありませんでした。」
えっ?ってことは、ここにいる僕だけにこのカードが当たったの?しげしげと眺めてみる。
「まあ、そういうわけですので、こちらの世界の情報を教えて差しあげましょう。」
宇宙からUFOがやってきたのは一週間前。そのUFOはハイグレ魔王という侵略者が城主のハイグレ城。そこから出てくるパンスト兵と呼ばれる兵士たちが放つハイグレ光線という特殊な銃で人々を次々に襲ってハイグレ人間を作り出した。ハイグレ人間になると男も女も関係なしにハイレグの水着姿になり、コマネチを繰り返すだけでなく、ハイグレ魔王の手下として洗脳されてしまう。世界中の人々がいつそうなってしまうのかとビクビクしている状態。こうして地球はハイグレ魔王によって征服の途中にあった。って、地球征服!?僕たち、そんな世界に来ちゃったの!?
「というわけで、この世界にアクション仮面が来てくれない限りは地球人はハイグレ魔王の奴隷にされてしまうでしょう。」
「アクション仮面?玲さん、誰ですか、そのアクション仮面って?」
「あなた方の世界には存在しないのですか。地球を守る正義の味方です。」
ううむ、つまり、アクション仮面を呼ぶ方法を考えないといけないってことか・・・・。
「ボクたち、とんでもないことに巻き込まれちゃったみたいだね。」
「・・・・・・本当に。」
工藤さんと霧島さんがため息をつく。
「んっ?なんじゃ?この車を付けてくる者がおるぞ?それも沢山じゃ。」
秀吉が外を見て気付く。本当だ・・・・。車に乗ったりバイクに乗ったりして大勢のハイグレ人間がこの車を追いかけてきてる。
「あっ!信号が赤です!」
葉月ちゃんが前を指さす。前の交差点の信号は赤になっているが、追手が来るのでアクセルを思いっきり踏んで強行突破。80km以上のスピードを出して通行する。
「姉さん、こんなにスピード出したら危ないよ!?一発で免許停止になっちゃうよ!?」
「そんな事を言っている場合ではありません。あの後ろの連中を引き離さないことには!!」
そう言ってさらにスピードを上げる。ひいいっ!!
「他の人たちはハイグレ人間にせずにこの車だけを追ってきますね。なぜでしょう?」
姫路さんが外を見ながら冷静に観察している。なんでこんな状況で落ち着いていられるの、姫路さん?君は随分と肝っ玉が大きいね!!
「テレビにアキが映ってる!!」
電気屋のショーウィンドウに飾ってあるテレビに僕の顔が映っている。ええっ!?なんでっ!?カーラジオを付けると、こんなキャスターの話が。
『凶悪犯・吉井明久は同乗者とともに逃走中です。ハイグレ人間の皆さん、吉井明久の逮捕拘束に全力を尽くしてください!!』
『吉井明久はNO.99のカードを所持しています!!すぐに吉井明久を捕まえてください!!抵抗した場合は無理にハイグレ化せず射殺してください!!』
僕、指名手配犯になっちゃってるたんだ・・・・。
「やっぱり、明久のせいか。バカだとは思っていたが、犯罪に手を染めていたとは。さっさと自首して俺達の前に二度と現れるな。」
「待ってよ、雄二!!このカード持ってるだけでなんで罪になるのさ!!」
「落ち着くのじゃ、二人とも。ハイグレ人間たちはこのカードを恐れているようじゃ。何かワシらがこの世界に呼ばれたことと関係があるのではないかの?」
「僕の味方なんだね、秀吉!!やっぱり君は僕の救いの女神だよ!!」
「ワシは男じゃ!!女神ではない!!」
この際性別なんてどうでもいい。
「っ!!」
姉さんが慌てて急ブレーキを踏んだ。車内が大混乱になる。
「前を塞がれました。」
僕たちの行く先には大勢のハイグレ人間がバリケードを築いていた。後ろからは追手が来る。あれっ、でもここって・・・。
「ひとまず学園の中に逃げ込め!!」
雄二が真っ先に車を降りて霧島さんの手を引っ張って文月学園の中に入っていく。僕も車を捨てて走り出した。



バカテスト ハイグレ編
第七問・問題 あなたがハイグレ人間になった場合の敵は誰か答えなさい。

姫路瑞希君の答え
『アクション仮面とその協力者』
教師のコメント
『その通り。』

島田美波君の答え
『アクション仮面と北春日部博士、バストサイズの大きい人』
教師のコメント
『最後の一文は島田さんだけの敵です。』

吉井明久君の答え
『アキちゃんの写真撮影』
教師のコメント
『先生には理解できない闇の部分があるようですね。』



「ねえ、どうするのさ、雄二。このままじゃ動けないよ?」
僕たちは校舎の周りの茂みに隠れている。周りにはハイグレ人間たちがうろうろしているので下手に動けない。
「明久、お前が囮になれ。奴らの一番の狙いはお前だ。その隙に俺達はとんずらする。」
「待ってよ!!それじゃあ僕が犠牲になっちゃうじゃないか!!皆が生き残るような作戦を立ててよ!!」
「バカなお前でも役に立つ唯一の作戦だったんだが、気に入らないか。」
「なっ・・・!!バカと鋏は使いようって言うだろ!!もっと考えろよ!!」
「明久よ、それは威張って言うことではなかろうに・・・。」
秀吉がツッコミを入れるのはなぜなのかが分からなかった。

「見つけましたわ、お姉様!!」
「美春!?」
僕たちの隠れている茂みの木の上にハイレグ姿の清水さんが立っていた。
「ひどいです、お姉様!!美春にひどい仕打ちをした上に薄汚い豚どもと逃避行なんて許せません!!お姉様は美春と一緒にハイグレ人間になるのです!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
清水さんは木の幹から飛び降りて着地する。そして、ハイグレポーズを取った。
「って、ムッツリーニ!?撮るのはやめてあげてよ。」
「・・・・・・一枚百円。」
「十枚もらうよ。清水さんだってこんな格好でコマネチをするのは恥ずかしいはずだよ。」
「明久君、しっかり注文していますよ?」
しまった。つい本音が・・・。
「あなた達のような豚には興味ありません!!全員ハイグレにおなりなさい!!」
清水さんが懐からハイグレ銃を取り出した。そして、銃を乱射し始めた。
「さあさあさあさあお姉さま!!美春と共に新しいハイグレ人間の世界へと旅立つのです!!」
清水さんは美波を執拗に狙っていた。
「へっ!?」
一発がまっすぐ美波のいる方向に!!くそっ、美波に当てさせるか!!僕はその前に立ちふさがった。
「来い!!」
僕はハイグレ光線を前にぐっと身を縮めた。しかし・・・・
「きゃああああああああああああああっ!!」
僕に光線があたっていない。なぜ・・・・?恐る恐る目を開けてみると、そこには姉さんが・・・・。
「姉さん!?僕をかばって!?」
「早く・・・・・早く・・・・・・・逃げて・・・・・・。」
姉さんを包んでいた光が収まると、そこには黒いハイレグ姿の姉さんがコマネチをしていた。
「ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
「明久!!何をしている!!早く校舎の中に入れ!!」
雄二が昇降口で大声で叫んでいる。姉さん、ごめん・・・。女の子を助けようなんて僕が考えたのがいけなかった・・・。すぐに戻ってくるからね!!

校舎の中にもハイグレ人間がうようよしている。雄二は喧嘩が強いし、ムッツリーニはスタンガンを持っているけど、ちょっと多すぎるな・・・・。なんて考えている間にハイグレ光線が飛んできたよ!!
「おや、外しましたか。少し計算に狂いがあったようです。」
高橋先生!?スマートな紫色のハイレグ姿に身を包んだ高橋女史が僕たちの前に立ち塞がった。
「ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
ああ、やっぱり高橋先生はハイグレ人間になってもきびきびしててかっこいいな。スタイルもいいし、顔も美人だし、彼女の知的なイメージがハイグレ人間になっても素晴らし・・・・・
「明久君、なんで鼻の下を伸ばしているんですか?」
「アキ、顔がゆるみきってるわよ?」
これ以上高橋先生を観察していると死亡フラグが立ちそうなのでやめておこう。
「皆の者、ここは先に行け。ここはワシが引き受ける。学園内なら召喚獣が使えるはずじゃ。」
ああ、秀吉!!女の子をそんな戦場に送り出すなんて!!僕が代わってあげたいけど・・・・!!
「おや、木下君。私に勝てる可能性は低いですよ?いいでしょう、サモン!!」
「時間くらい稼げるはずじゃ。サモン!!」
僕たちは秀吉が時間を稼いでいる間に三手に別れて校舎の中を進んでいった。



バカテスト ハイグレ編
第八問・問題 ハイグレ魔王の攻撃技について答えなさい。

姫路瑞希君の答え
『通常状態ではハイグレ光線と電気ショック、魔人化しての巻きつき攻撃、他にも剣技や体術に精通しています。』
教師のコメント
『正解です。ハイグレ魔王はあらゆる武術を学びアクション仮面に対抗していますね。』

坂本雄二君の答え
『投げキッス』
教師のコメント
『それは正解ではありませんが、アクション仮面のような真面目な人には有効です。』

吉井明久君の答え
『かめはめ波』
教師のコメント
『分からないからってなんか書けばいいってものではありません。』


秀吉が高橋先生を食い止めている間にFクラスの中に入った。
「ふう、今日が日曜日で助かったね。平日だったら生徒が一杯で面倒だったよ。ボクたち全員ハイグレ人間にされていたかもね。」
「・・・・・・でも、高橋先生や他の先生がいる。召喚獣を出されたら私たちがいくら束になっても勝てない。」
確かに霧島さんの言うとおりだ。ハイグレ光線とやらと違って試験召喚獣は完全に実力差だからな・・・・。
「秀吉は大丈夫かな?」
「わしを呼んだか?」
そう言って秀吉がFクラスに入ってくる。疲れているのかそのまま倒れこむように座った。
「ここまで逃げてくる間に何度もハイグレ人間にされるかと思ったぞい、」
「とにかく無事でよかったよ。」
「よし・・・明久よ、心配をかけてすまぬ。」

「んじゃ、ここで整理してみるぞ。奴らは地球を侵略しにやってきた異星人。まあ、それは検証していないから分からないが、とりあえず俺たちの科学力を超えている何かだ。」
ふむふむ。あのハイグレ光線とかオマルとかはどこの国にも無いよね。
「で、奴らはなぜかアクション仮面カードNO.99を狙っている。そもそも俺たちをこの世界に引き込んだのもそいつの力のせいらしい。」
ハイグレ人間にされた姉さんがそう言っていた。姉さんは僕をからかう以外の目的で嘘はつかないから多分本当だろう。
「ここからが本題だ。この後どうするか。このカードは俺たちにとっては相手が脅威に感じている武器だ。何か有効な使用法はないだろうか?」
「明久、そのカード、もう少しよく見せてくれんかのう?」
「ああ、うん。」
秀吉にカードを手渡す。秀吉はカードを上に翳して眺め回す。なぜだか笑っている気がした。その後ろで教室の扉が開く。そこから入ってきたのは・・・・秀吉だった。ええっ!?
「おお、お主ら、ここにいたのか。やられてしまったのかと心配したぞい。かく言うわしも今まで逃げまわっておったのじゃが。」
秀吉がつかつかと足を早めて入ってくる。
「だ、誰だ!!お前は!?」
「何を言っているのじゃ、明久。ワシは木下秀吉・・・・男じゃ。おや、そこにおるのは・・・・。」
秀吉がカードを持っている秀吉に目が行く。どっちが本物なんだ!?
「・・・・・・あなた、優子!?」
「代表ともあろうとも人がこんな簡単な入れ替わりに気づかないとはね。えいっ!!」
カードを持っている秀吉は制服を脱いだ。下には黄色のハイレグ水着・・・・・。
「って、秀吉のお姉さん!?」
そ、そんな!!秀吉のふりをした木下さんが例のカードを!?
「よく事情は分からぬが、お主らは嵌められたようじゃな。」
くそっ!!確かにこの教室にやってきてから妙に男の子っぽい気がしていたけど、そんな罠だったとは!!
「木下さん、人の物を盗ってはダメです!!そのカードを一体何に使おうっていうんですか!?」
「あら、姫路さん。知らないの?ニュースでもやっているのに。」
僕らはこの世界に来てまだ一時間くらいしか立っていないんだけど・・・・。
「そのカードはバカなお兄ちゃんにあげたカードです!!返してください!!」
「ダメよ。このカードはアクション仮面を呼び出せる危険物よ。あなた達をハイグレ人間にする前に渡すはずないじゃない。」
木下さんは勝利の高笑いをしながら悦に浸っている。ムッツリーニがその隙を狙って僕に小声で話しかけてくる。
「・・・・・・明久。」
「うわっ!!ムッツリーニ。カメラのシャッターも切らずに大人しくていたからどうしたのかと思ってたよ。」
「・・・・・・スタンガンで気絶させるために後ろに回り込む。注意を引け。」
「木下さんを?うん、了解。」
ムッツリーニが行動を開始する。今の木下さんはハイグレ人間。何をしだすか分からないからとくかく注意をひきつけないと。
「木下さん、君に話があるんだ。」
「何かしら?」
よし、木下さんがこっちを向いたぞ。ええと、そうだな・・・・
「僕はハイレグ水着同好会に所属しているんだ。できればそのハイレグ水着を僕に貸して・・・バカァァァ!!何を言ってるんだ!!」
し、しまった。つい本音と妄想が入り交じったとんでもないことを・・・。
「アキ、あんた、競泳水着だけじゃなくてハイレグ水着も守備範囲なの!?」
「明久よ、お主の趣味は時々分からんのう。」
全員が僕を蔑んだ目で見ている。何か真面目な話題を振らないと。
「そ、そうだ。そのカードでアクション仮面を呼び出すにはどうすればいいのかな、木下さん?」
「はあ?教える訳ないでしょ?ハイグレ人間になれば分かるんだから。」
「そこをなんとか。」
「まあいいわ。学園長が持っているスペアのアクションストーンとカードを合わせて助けてって叫べばアクション仮面が出てくるの。」
アクション仮面?あれってアニメの中の想像上の人物じゃなかったのか?ふむ、世の中には不思議が多い。
「さあ、おしゃべりもここまで。さて・・・誰からハイグレ人間にしようかし・・・・っ!!」
「ナイス、ムッツリーニ。」
木下さんはスタンガンを最低電圧で押し付けられてその場に崩れ落ちた。手に持っているハイグレ銃を踏みつけて破壊する。これでひとまず脅威は去った。
「学園長が持っているアクションストーンという石を手に入れればいいみたいですね。」
「よし、お前ら。これは戦争だ!!気合入れて行くぞ!!」
「「オオッ!!」」



バカテスト ハイグレ編
第九問・問題 ハイグレ光線に当たった時に残る外見上の特徴について述べなさい。

島田美波君の答え
『靴、靴下、眼鏡など普段の生活で身につけていたもの。また、腕時計やイヤリングなども残る。』
教師のコメント
『正解です。ハイグレ人間は通常の水着姿と違い様々なものが残りますね。』

土屋康太君の答え
『ハイレグ水着』
教師のコメント
『服の下に最初からハイレグ水着を着込んでいる人はそう多くないと思います。』

吉井明久君の答え
『ハイグレ人間の本能』
教師のコメント
『君は洗脳という意味を根本的に誤解しているようですね。』



「まず翔子、工藤、そして俺とムッツリーニが陽動として教師陣を引き付ける。その間に姫路、島田、秀吉は中に突入。恐らく学園長室内の周りも伏兵がいるはずだ。それを蹴散らせ。」
「僕はどうするの?」
「お前は大事な観察処分者だ。恐らく学園長室内には鉄人がいるはずだ。それを倒せ。」
鉄のハイグレ人間姿・・・・。ぎゃ、ぎゃああああああああっ!!
「想像するな、アホ。俺だっておぞましくて吐いちまいそうなんだからな。」
「ああ、OK・・・・。」
「葉月は何をすればいいですか?」
そうだ、葉月ちゃんにはまだ役割がない。
「チビッ子はこの部屋に隠れて危なくなったら逃げろ。悪いがお前を庇いながら戦う余裕はない。」
「そ、そうですか・・・・。」
雄二の冷たい一言にしょんぼりする葉月ちゃん。まあ、これも小学生を戦いに巻き込みたくないという思いやりなんだけど、かわいそうだな・・・。
「だが、無事に戦いが終わったらバカなお兄ちゃんが大人のキスの味を教えてくれるからな。絶対にハイグレ人間にされるんじゃないぞ。」
「はいです!葉月、お利口さんにして待ってるです!」
あれ?なんで?
「ちょっ、ちょっと雄二!!なんてこと言ってくれちゃってるのさ!?何か背後からすごく黒いオーラを感じるんですけど!?」
「ああでも言わないと絶対についてくるだろ。ガキンチョだからすぐにそんなこと忘れちまうさ。」
くそっ、他人事だと思って。よし、こうなったら・・・・
「霧島さん。」
「・・・・・・何?」
「雄二がこの戦いが終わったら結婚しようって。」
「・・・・・・本当?」
「うん。だから、将来の家庭づくりのために頑張ってよ。僕も応援するからさ。」
「おいいいいっ!!何勝手に捏造してやがる!!」
ふっ、これで復讐は果たした。これで心置きなく戦いに臨めるというもの。
「明久君、後で葉月ちゃんとのキスについてみっちりと話しあいましょうね。」
「戦いが終わったらあんたがまずすべきことはこの世への未練を断つことよ。」
ちょっと、それ僕は処刑されるってこと!?こんなんじゃ戦いに集中できないよ!!
「早く出発せねばならんというにお主らは・・・・。」
「・・・・・・自然体。」
「相変わらず見ててあきないね、君たちは。」

「アウェイクン!!」
雄二が召喚フィールドを作成。雄二、ムッツリーニ、霧島さん、工藤さんが次々に召喚獣を呼び出す。ハイグレ人間にされた五十嵐先生、布施先生、船越先生、大島先生、どんどん他の教師たちも集まってくる。
「お前らも行動開始しろ。先に言っておくが、俺らがやられても引き返すな。目的だけを達成しろ。」
「「了解(じゃ)(です)!!」

「ハイグレ人間になりなさい!!」
五十嵐先生が霧島さんにハイグレ人間バージョンになった召喚獣の攻撃を受ける。
「先生、失礼します!」
工藤さんが横槍を入れて霧島さんを助ける。
「おやおや、坂本君。押されていますよ?」
布施先生の攻撃を受けて雄二の召喚獣の点数がどんどん減っていく。その隙にムッツリーニが召喚をせずに布施先生の懐に飛び込んでスタンガンを浴びせた。
「ぐふっ!!」
「・・・・・・抹殺完了。」
その横ではムッツリーニが渡した予備のスタンガンで気絶させられた五十嵐先生が転がっていた。
「土屋、お前がハイグレ人間にならんとはやはり問題児のようだな!!」
「・・・・・・大島先生。ハイグレ人間などというエロには興味が無い。」
嘘だッ!!ムッツリーニが嘘をついた!!
「遠藤先生よ、そこを通してもらうぞ!!」
「ちょっ、坂本君、教師に暴力を振るうのは・・・がはっ!!」
雄二の右ストレートをくらって召喚獣を呼び出す暇も無く遠藤先生は倒れ込んだ。召喚フィールドが干渉しあうのを防ぐため、教師たちは分散して戦わなければいけない。その隙を縫って次々に攻撃していく。
「よし、このままなら・・・。」
僕は学園長室に向かって走りながらも戦況を見守っている。これなら雄二たちもすぐに追いついて・・・・。

「た、高橋先生!!」
工藤さんの叫び声。教員たちの増援にやってきたのは高橋先生だった。学年主任の才女。学年首席の霧島さんの二倍の点数を持っている猛者だ。
「全員ここでハイグレ人間になってもらいます。アウェイクン!!」
高橋先生は総合科目の召喚フィールドを作り出した。
「まずは・・・一番点数の低い土屋君からですね。各個撃破させてもらいます。」
召喚獣と一緒に突進しながらハイグレ銃を片手にムッツリーニに迫る高橋先生。それを身構えて迎えるムッツリーニ。しかし・・・
「と見せかけて本当はこちらです。」
「えっ!?」
高橋先生の召喚獣の攻撃は工藤さんの召喚獣を貫いていた。一瞬で消滅。工藤さんがあっけに取られているうちにハイグレ光線が命中する。
「きゃあああああああああっ!!」
工藤さんが悲鳴を上げて大の字に。一瞬で黄緑色のハイレグ姿に変えられていた。
「ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
工藤さんが楽しそうな顔をしながらコマネチをしている。
「・・・・・・愛子!!」
「工藤!!」
「・・・・・・工藤・・・・・!!」
工藤さんは三人の呼び掛けを無視してコマネチを続けている。
「さて、お次は坂本君ですよ!!」
動きをひらりと変えて今度は雄二の方へ・・・。
「・・・・・・雄二はハイグレ人間にさせない!!」
霧島さんが雄二を助けようと雄二のいる方に向かう。が・・・・
「邪魔しちゃだめだよ、代表。坂本君のハイグレ姿を見届けてあげようね。」
「・・・・・・愛子!!」
霧島さんは工藤さんに羽交い締めにされて動けない。霧島さんの目の前で雄二にハイグレ光線が浴びせられた。
「・・・・・・・・いやああああああああぁっ!!雄二ぃぃぃぃぃぃ!!」
「ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
霧島さんの目の前に映っていたのは赤いハイレグ水着を着てコマネチをしている雄二の姿だけだった。



バカテスト ハイグレ編 閑話休題
「ねえ、雄二。このコーナーは何?」
「ここはハイグレ人間についていつも疑問に思っているようなことを考える場所だ。明久、何か質問はないか?」
「そうだな・・・・。そうだ、ハイグレ人間ってハイレグ水着を着替えたりしているの?」
「それはいい質問だ。ハイグレ人間は実は毎日ハイレグ水着を着替えているんだ。家にハイレグ水着を沢山しまっているらしいぞ。」
「えっと、それって毎日同じ色なの?」
「ああ、基本的にハイグレ光線で決められた色だ。だが、月に三回だけ自分の好きなハイレグ水着を着ているんだ。いわば私服だな。」
「へえ〜。ハイグレ人間にもいろいろ決まりがあるんだね。」
「ハイグレ人間といえども人間だからな。ちなみにハイレグの色にも秘密があるんだ。」
「へえ、どんな?」
「赤は肉弾戦に強い。青は知能が高い。黄色は後方支援に回すと力を発揮する。俺たちの試召戦争と同じで個々に得意分野があるんだ。」
「へえ〜。じゃあうちのクラスの女の子に当てはめると、姫路さんが青、美波が赤、秀吉は黄色って感じかな。」
「秀吉は男だぞ?」
「何を言ってるんだよ。あんなかわいい男の子がいるわけないじゃないか!!さては雄二、そんな事を言って僕をたぶらかして、秀吉を自分のものにする気だな?」
「はっ!?お前、何を言って・・・・ぐわっ!?翔子!?」
「・・・・・・雄二。木下との浮気なんて許さない。」
「ち、違う、俺はそんなことこれっぽっちも・・・ぐわああっ!!頭蓋が軋む・・・・!!」
「・・・・・・言い訳はハイレグ水着を着てコマネチを500回する罰ゲームをしてから聞く。」
「はっ!?そんなふざけたこと・・・・ぐほおっ!!」
「・・・・・・恥ずかしいなら私も一緒にハイレグ水着を着てあげる。連行。」
「あ〜あ、雄二の奴、霧島さんに連れてかれちゃったよ。」



工藤さんと雄二がハイグレ人間にされてしまった。しかし、立ち止まるわけにはいかないんだ。僕が正義のヒーローを呼んで皆を元に戻すんだ!!
「・・・・・・っ!?ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
「・・・・・・ハイグレ、ハイグレ、ハイグレ。」
霧島さんが白いハイレグ水着を着てコマネチをしている姿が遠くで見える。その横ではムッツリーニも。残念だ、霧島さんのハイレグ姿をこの目で見ることができないなんて・・・・。
「学園長室の周りには伏兵はおらぬようじゃな。」
あ、本当だ。学園長室の前に着いたけど、人っ子ひとり見当たらない。
「罠があるかもしれません。気を付けて下さい、明久君。」
姫路さんが召喚獣でドアを破ろうとしている僕にアドバイスしてくれる。
「うん、心配しないで。三人はドアから離れていて。」
姫路さんと美波と秀吉が十分に離れたのを確認してから召喚獣を動かし、ドアを破壊する。フィードバックで体が痛むが、そんなことを構っている場合じゃない。
「おやおや、クソジャリ。仲間を連れて殴り込みかい。」
学園長室の奥の机にはハイグレ人間にされた学園長・藤堂カヲル先生が座っていた。
「目的は分かっているさ。このアクションストーンが欲しいんだろ?だったらハイグレ人間になる前に自分の力で奪いな。じゃ、吉井の相手は頼んだよ、西村先生。それとアンタたちはその三人をハイグレ化してしまいな。」
「はい、分かりました。」
学園長の横に控えていた鉄人がゆっくりとこちらに向かって構えをする。入り口からは姉さんと清水さん、それとピンクのハイレグ水着を着た葉月ちゃんが・・・・。
「葉月、あんたハイグレ人間にされちゃったの!?」
「はいです、お姉ちゃん。ハイグレッ!!ハイグレッ!!お姉ちゃんたちも全員ハイグレ姿にしてあげるです!!」
葉月ちゃんがかわいい顔をしてハイグレ銃を持ちながらコマネチを・・・・。
「明久君。この三人は私たちが食い止めます。明久君は西村先生と学園長先生を!!」
「OK!!」

「吉井よ。俺は教師だ。お前たち教え子に社会の正しいルールを教えてやらねばならん。」
「ハイレグ水着を着ている男の人には言われたくありませんよ。先生こそ正しい服装を思い出した方がいいんじゃないですか?」
「世の中の正義など相対的なものだ。今までの我々の生活スタイルは間違っていた。ハイグレ魔王様の与えてくださったこの世界こそ正しい。お前も矯正しなければならんな、吉井。」
「もう何もいいません。僕が正義か、先生が正義か、勝負です!!」
僕は鉄人に向けて木刀を振りかざしながら飛びかかる。鉄人はそれを片手で受け止めた。
「甘いな、吉井。召喚獣が強いと言ってもそれは普通の人間相手の話。ハイグレ人間の俺には通じん。」
「僕を甘く見ないで下さいよ、鉄人。僕の腕輪の能力は知っているでしょ?」
僕は召喚獣を二つに分ける。僕が持っている腕輪の能力だ。左右から鉄人を撹乱する。
「くっ・・・しかし、今の俺ならこれしき・・・!!」
鉄人は両手で僕の召喚獣を片方ずつつかむとそれを壁に思いっきり投げ飛ばした。かなり痛い。
「これで貴様の召喚獣は戦死。これで抗う術はなくなっ・・・・ぐふっ!?」
鉄人は泡を吹いて倒れた。股間を抑えながら悶絶している。
「貴様・・・・金的蹴りを・・・・!?」
「ハイグレ人間になってもそこだけは鍛えられなかったようですね。」
ハイレグ水着なんて薄い服装だから余計に今の攻撃は身に染みただろう。鉄人はそのまま気を失った。

「そっちは!?」
僕は三人の方を振り向いた。姉さん、清水さん、葉月ちゃんが床に倒れている。
「こっちもなんとか片付けたわよ、アキ。」
「はい。一時はどうなるかと思いましたが。」
さあ、後は学園長を残すのみ。ババァ長は鉄人達がやられても眉ひとつ動かさずに椅子に座っていた。
「さあ、アクションストーンを渡して下さい。そうすれば老い先短いババァに手荒な真似はしません。」
「ふんっ、あんたたちはまだ甘いね。物事ってのはね、徹底的にやるもんだよ。」
何を言ってるんだ、この老いぼれは。強がっているのか・・・?
「アキ、危ない!!」
「へっ?」
僕が振り返ると倒れていた葉月ちゃんがハイグレ銃を僕に向けて撃った。僕は思い切り横に突き飛ばされた。
「うわああああああああああっ!?」
秀吉!?僕を突き飛ばした秀吉が身代わりになってハイレグの水着姿にされてしまった。光が収まると緑色のハイレグの水着姿になっていた。しかもパレオ付きで。
「なぜワシだけパレオ付きなのじゃ!?ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」



バカテスト・ハイグレ編
最終問・問題 ハイグレ魔王がなぜアクション仮面に敗北したのかとその対策を論述しなさい。

姫路瑞希君の答え
『アクション仮面を封じたこと、ハイグレ城に乗り込んできたのが子供だったため、油断してしまったことが敗因です。戦力を逐次投入せず、退路を塞いでおくことが対策として考えられます。』
教師のコメント
『そうですね。しんのすけ君たちが研究所から逃げる時、スーパー三輪車が壊れて一人で歩いていたときは恰好の餌食だったと思います。』

土屋康太君の答え
『エロが足りなかった。もっと露出を多くすべき。』
教師のコメント
『ハイレグ水着はかなり刺激的です。土屋君はこれ以上何を求めるのでしょうか。』

吉井明久君の答え
『アクション仮面と戦っときにお腹が減っていたから。対策は塩と砂糖を補給しながら戦う。』
教師のコメント
『そんな粗末な栄養補給で激しいバトルが出来るのは宇宙中を探してもおそらく君だけです。』



「ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
秀吉は葉月ちゃんの最後の気力を振り絞った一撃の前にハイグレ人間にされてしまった。
「今はアクションストーンだ!!ハイグレ魔王を倒せば秀吉だってすぐにもとに戻れる!!」
僕は学園長に飛びかかって押し倒した。
「おやめ!何をするんだい!いくらあたしが美人だからってそういうことは生徒と教師で・・・・・。」
「誰がお前なんかに発情するか、このクソババァ!!」
学園長はハイグレ人間になっても全然変わらない人だな。僕は力任せに学園長が持っている鞄を奪い取った。その中には虹色に輝くビー玉くらいの石が入っている。
「よし、これだ・・・・。助けて、アクション仮面!!」
僕はアクションストーンとNO.99のカードを重ねあわせて叫んだ。すると、カードから眩いばかりの光が・・・・。
「何よ、この光・・・・!!」
「眩しいです!!」
美波と姫路さんが両腕で両目を覆う。僕も眩しくて目が見えない。
「うわっ・・・・しまった・・・・」
学園長が金色の光に目を細めながらバツの悪そうな顔をする。よし、これで・・・・・
「とおおおおっ!!」
カードから誰かが出てきた。アクションカードと同じ仮面を被った筋肉質の男の人が。緑色のハイレグ姿で・・・・・あれ?
「ワハハハハハッ!!アクション仮面改めハイグレ仮面、只今参上!!」
決めポーズをして高笑いをしている。えっと・・・・アクション仮面だよね?正義のヒーローなんだよね、この人?
「おや、なんだい。アクション仮面もハイグレ人間になっていたのかい。これだ安心だよ。あたしゃてっきりまだハイグレ人間になっていないものと思っていたよ。」
「それは心配ありません。つい先ほどハイグレ魔王様に古来の儀式の洗礼を受けてきたところです。既に私の身も心も生粋のハイグレ人間と同じです。」
「そうかい。なら、この生徒三人をハイグレ人間にしておくれ。この子たちが抵抗してて手間取ってたところさ。」
「かしこまりました。学園長殿。」
学園長との話を終えると、アクション仮面は僕たち三人の前に立った。そして、両腕を伸ばして両手を重ねて力を入れた。
「な、何をしようっていうんですか?」
「アクションハイグレフリーズ!!」
アクション仮面の手から出てきた光が僕たちの周りを包み込む。そして、ドーム状になって取り囲んだ。
「何よ、これ!?動けないじゃない!!ちょっとアキ、どこ触ってんのよ!?」
「どんどん狭まってくるんだから仕方ないじゃないか・・・!それに美波の胸なんて無いも同然だからどこからが胸か分からないし・・・・。」
「ちゃんとしたスペースがあれば手と足の指を一本ずつ折ってやるのに・・・・!」
「二人とも、こんな時に喧嘩なんて・・・・きゃっ!明久君!ズボンが!」
僕が姫路さんに言われて自分のズボンを見てみる。スラックスのはずだったんだけど、足先から靴と靴下だけになってズボンがどんどん消えていく。そして、僕のトランクスにさしかかるとそこは青いハイレグカットの布地になっていた。
「って、ちょっと・・・僕、もしかしてハイレグ姿になってる!?うわっ!姫路さんと美波もスカートが!!」
「きゃ、きゃああああ!!私、どんどんハイレグ姿になってます!!明久君、助けてください!!」
「ハイレグ水着はいやあああ!!ウチの胸が締め付けられる・・・・!!」
美波は無い胸を抱えて恥ずかしがっている。一方、姫路さんは大きい胸を揺らしてもじもじしている。僕もいつの間にか青いハイレグの水着姿になっていた。
「よし、もういいだろう。」
アクション仮面が僕たちを覆っていた光りのドームを消す。僕たちは床に倒れ込んだ。
「さあ、立つんだよ、お前たち。三人とももう立派なハイグレ人間さ。」
「うふっ・・・・くっ・・・・・・ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
「もう・・・・・ダメ・・・・・・ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!ハイグレッ!!」
姫路さんは赤、美波は青のハイレグ水着姿で僕の前でコマネチをしている。そ、そんな・・・・ここまで来て・・・・。
「明久君もハイグレポーズをしないとダメです。」
「ほら、アキ。一緒にハイグレ、ハイグレ、ってやるのよ。」
僕は立ち上がると、なぜか無性にコマネチをしたくなった。なぜ・・・・?小さくし始めると、今度は無性に叫びたくなった・・・・そう・・・・・
「ハイグレ!!ハイグレ!!ハイグレ!!ハイグレ!!」



ここは文月学園某所。
「島田美波を全種類買います。」
「・・・・・・5500円。毎度あり。」
ハイグレ人間の世界になってからムッツリ商会は盛況を呈していた。毎日のようにハイグレ姿の女性達の写真が撮れるからだ。客は引きも切らない。
「・・・・・・いらっしゃい。」
「土屋君。明久君のハイグレ姿の写真、十枚下さい。」
「・・・・・・1000円。それと、いつもの通り二次配布は禁止。」
「はうっ・・・・。禁止ですか。でも、私だけでも明久君の男らしいハイグレ姿を知ってあげられれば満足です!」
「・・・・・・今度はアキちゃんのハイグレ写真特集をする。いつも買ってくれているお礼に割引サービス。」
「はい!楽しみにしてます!」
姫路瑞希はコアな一部のファンに人気の吉井明久のハイグレ写真を抱えて帰っていった。
「・・・・・・坂本雄二を全種類。」
「・・・・・・1600円。」
ムッツリ商会の売上アップは止まらない。皆さんもムッツリ商会をよろしくお願いします。


MKD
2010年01月25日(月) 18時57分26秒 公開
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■作者からのメッセージ
バカテスのアニメ化記念SS完結です。
この作品でよく扱っている同性愛は自分には縁遠いのでちょっと書くのは無理でしたね。