真・仮面のメイドガイ 夏だ!水着だ!ハイグレだ!?
 
・・・夏、とても暑く、海などに泳ぎに行く人が沢山いる季節。
夏休みの前日の朝、富士原家で目を覚ます少女、富士原なえか。
「うーん、今日で夏休み前の授業最後だ、起きなくちゃなぁ。」
なえかはベッドからおりて、一階に向かう。
「あっ、フブキさん、おはよう。」
なえかはメイドガイテイマーのフブキに挨拶をする。
「おはようございます、なえか様、今日で夏休み前最後の登校日ですね。」
「うん、そうなんだけど、女子剣道部の部活動もあるし、なんか夏休みだ!
って気はしないんだよね。」
「そうですね、なえか様は部活動に熱心な方ですからね。」
「えぇ、そうかな?みんなそんなものでしょ。」
なえかとフブキが話をしていると、仮面のメイドガイのコガラシが朝食をのせた皿を運びながら、なえかに言う。
「さぁ、ご主人、朝食だ。」
「あ、わかった。」
なえかは朝食を済ませた。
「姉ちゃん、早く学校行こう。」
なえかの弟の幸助が呼ぶ。
「あ、うん、行ってきまーす。」
なえかは外へ出て行った。
なえかが出て行ったあと、フブキがコガラシに言う。
「コガラシさん、そういえば、全重郎様から無人島行きのチケットをもらいました。なえか様達に楽しんでもらいたいとのことで。」
「クククク、では、とことん楽しんでもらうとするか。」
「コガラシさん?」
フブキはどうもコガラシの言葉が引っ掛かった。



なえかは私立秀峰制覇学園に到着。そして、クラスの中へ・・・
「おっはよう、なえか!」
なえかの友達の美和がなえかに駆け寄る。
「おはよう、美和。ひあっ!?」
なえかが美和に挨拶を返した途端、窓をつたって、コガラシが屋上へ上って行った。
「どうした?なえか。」
「い、いや、全然、なんでもないよ。あ、私、急用を思い出しちゃった。」
「え?学校に来たばかりなのに急用?」
美和が不思議そうに聞く。
「そうそう、急用よ、またあとで。」
なえかは屋上へ走って行った。

屋上・・・なえかが屋上に着くと、コガラシがいた。
「コガラシさん!!」
「ん?やっと来たか、ご主人。」
「なんで学校に来てるのよ。」
「主人のあるところにメイドガイあり。」
「こっちはいい迷惑よ、誰にも見つからなかったからよかったけど。」
なえかは少々怒っているようだ。
「まぁ、ご主人よ、これを受け取れ。」
コガラシは無人島行きのチケットをなえかに渡した。
「何これ?」
「夏休みを満喫したいご主人へのプレゼントとのことだ。仲良き友人でも誘うがいい。」
コガラシはそう言うと、富士原家へ帰って行った。
「・・・無人島か・・・あんなことや、こんなこと・・・よし!」
なえかはクラスへ戻っていった。クラスに入ると、美和と英子がいた。
「おおー、なえか、急用は済んだか。」
「あはは、まあね♪。」
なえかの友達の英子が首を傾げる。
「やけにご機嫌だな、どうしたの?」
「へへっ、わかる?」
「何?また、胸が大きくなったの?」
「なんでそうなるのよ。そうじゃなくて、無人島行きのチケットが手に入ってね。海よ、海、この前行ったの何時だっけ?」
嬉しそうななえかに美和が。
「なるほど、その乳を見せびらかそうと?」
「なんで乳の話になるのよ。」
「なえか=乳だから。」
「酷い・・・。」
美和と英子は何か考えているようだ。
「なえか、私たちも行っていい?」
「いいよ、誘うつもりだったし。」
「本当ですか?富士原先輩。」
なえかのストーカー?らしき後輩の田原坂沙希がなえかの目の前に現れた。
「え?どこから出てきたの?」
「廊下からです。」
「あ、そう・・・。」
「で、行っていいんですか?」
「ま、まぁ、だめなんて言えないから・・・ねぇ?」
なえかが沙希に了承すると、乳クラブのリーダー、植芝、猪口が現れた。
「ならば俺たちも。」
「あんたたちはダメ!」
「そうです、あなたたちのような害獣は論外です。」
「俺たちは富士原なえか、乳ファンクラブだぞ。」
「だから何よ!!」
そうこうしているうちに授業が始まった。
授業中、美和と英子が話しかけてきた。
「ねえ、いつ出発?」
「えっと、明後日だって。」
「「早っ!!」」
美和と英子がつい大声を出してしまった。そんな二人に先生のヘンドリック・K・ストロベリーフィールド 、通称へンドリックが話しかける。
「どうしたんだい?私の恋人たち。ん?そのチケットは?」
へンドリックはなえかの持つ、チケットを指さす。
「このチケットが何か?」
「いや、私もそのチケットを貰ってね。そうか、君たちも行くのか。」
「え?先生も行くんですか?」
「いや、行かないつもりだったのだけど、君たちが行くのなら行くことにしよう。おっと、私語が多かったね、ソーリー、授業に戻るよ。」
へンドリックは再び授業に戻る。
「はは、へンドリックさんも行くんだね。」
なえかは美和と英子に話す。
「うーん、何も起きなければいいけど。」
「ところで、私、リズに睨まれてるんだけど。」
なえかはへンドリックの妹、エリザベス・K・ストロベリーフィールド 、通称リズに睨まれていた。
「どうしたの?リズ。」
「お兄様と無人島で会うですってこの牛乳女。いいですわ私も行きますわ。」
「はぁ、なんかややこしくなってるような・・・。」
授業終了の鐘が鳴り響く。

授業終了後、なえかは部活へ向かった。
なえかが着いた時には、もう部員達が部活動を始めていた。
「あ〜、みんな早い。」
胴衣に着替えてきたなえかは竹刀を握る。そこに英子が来た。
「なえか、さっき聞き忘れたんだけど、日帰りだよね?」
「えっと、4泊5日だって。」
「なんだってぇぇ!!」
「いきなり大声出さないでよ、びっくりした。」
「びっくりしたのはこっちだよ、そもそも泊まりがけって。」
「え?嫌なの?」
首を傾げるなえか。
「あのねぇ、1日だったらまだしも、4日も部活休むんだよ。部長になんて言うつもり?」
「あっ、そうか、・・・風邪でも引いたことに・・・。」
「仮病を使うつもりですか?副部長?」
女子剣道部部長の内藤昌がなえかと英子のもとに来た。
「部長、違うんです、これはバカンスでなく、無人島で特訓を・・・。」
何とか言い訳をするなえかに対し昌は。
「・・・はぁ、副部長は言いだすと聞きわけがなくて困るわ。・・・仕方ないですね、許可します。」
「さすが部長、話がわかって助かりますよ。」
「ただし、帰ってきた後の部活動は練習量は2倍です。」
「ひゃあ、そりゃきつい。」
英子は顔が引きつっている。しかし、なえかは嬉しそう。
「ありがとう、部長、やった、無人島だ♪」
「ほんと、後先考えないね、君は。」
英子はやれやれとした表情だ。そこに美和が来た。
「おぉ、英子、なえか、話は通ったか。」
「美和、3泊4日ってこと聞いた?」
「なんだって!?なえか、大丈夫か?」
「何が?」
「いや、田原坂って子もいるし、へンドリック先生もいる。」
「う、うん、なんとかなるよ、多分。」
目をそらすなえか、そこに英子が。
「ところで、水着は決めた?」
「うーん、やっぱり、無難にビキニってところかな?」
美和が答える。なえかも。
「えーっと、わたしは・・・。」
「「あんたはスクール水着でも着てろ。」」
「・・・酷い。」



部活も終わり、家に帰ったなえか。玄関で出迎えてくれたのはフブキだった。
「おかえりなさいませ、なえか様。チケットは渡されましたか?」
「あっ、うん。ところで、出発が明日って早くない?」
「ほんとは明日になるはずでしたけど、私が何とか遅らせました。」
「あ、そうなんだ。ところで、コガラシさんは?」
「呼んだか、ご主人?」
コガラシがなえかの前に現れる。
「コガラシさん、ん?何その格好?」
よく見ると、コガラシは白衣を着ていた。
「ちょいと仕事だ。」
「へぇー。でさぁ、3泊4日って本当?」
「そうだ、当然のことだが、この俺メイドガイも行くぞ、ご主人が4日間を満喫できるようにするので覚悟するがいい。」
「大丈夫かな?」
なえかは心配しつつも、心の中では期待していた。



そして、二日後の朝。
「なえか様、起きてください。」
フブキの声で起きるなえか。
「あ、そっか、今日は無人島に出発の日だったっけ。」
なえかは急いで準備をする。
「やばい、もうすぐ英子たちが来ちゃう。」
「あ、姉ちゃん、急いでよ。」
「幸助準備早っ。」
「姉ちゃんが遅いんだよ。やれやれ、いつも寝坊だね姉ちゃんは。」
「うっさいわね。」
「なえかーーーー、行くよぉーーーー。」
「富士原先パーーイ。」
外からなえかを呼ぶ声が・・・
「やばっ、急げ私。」
「なえか様、出発ですよ。」
「あっ、はい・・・コガラシさんは?」
「何か大切なことがあるとのことで、先に行くよう言われました。」
「そう、じゃあ行こっか。と・こ・ろ・で、フブキさんは水着持った?」
「いやですわ、なえか様、メイドが主人の前で肌をさらけ出すなど、もってのほかです。」
「そう。」
なえかの顔はにやけていた。そして、外に出る。
「おっはよ、なえか。」
「おはよう、美和。」
「しっかし、いつみてもでかい乳だな。」
「富士原先輩の乳は素晴らしいですからね。」
英子と沙希は思ったことを感想にして述べる。
「やっぱり乳の話か・・・。」
「さぁ、皆様、出発しましょう。」
なえか、フブキ、英子、美和、沙希、幸助は富士原家から歩き出した。



船に乗った、なえか達・・・
「潮風が気持ちいいな。」
「うん。そういえば、リズとへンドリックさんがいないね。」
「ほかの船なんじゃない?」
美和となえかが話していると、コガラシに声をかけられた。
「ご主人。」
「コガラシさん。どこいってたの?」
「別にどこにも行っていない。家にいた。」
「!?あ、そう、あははは・・・。」
なえかは見てしまった。コガラシが赤いハイレグ水着を持っていたことに。
(ハイレグ水着?コガラシさんが着る・・・わけないか。)
そして、船は無人島へとついたのであった。



無人島へ降り立った7人はまず目に飛び込んできた物に驚いた。
「これって・・・。」
「ホテル?」
なんと無人島にたっていたのはホテルのような建物が2つ。
「フブキさん、どうなってんの?」
「全重郎様のお気づかいでしょう。右が女性、左が男性とのことです。」
「あはは、無人島っぽくないね。でも、海は綺麗だし、天気もいいし、いっか。」
特に何も考えず、なえか、フブキ、美和、英子、沙希は右のホテルへ、幸助とコガラシは左のホテルへ入っていった。
昼食を済ませ、フロントで美和がなえかに話しかけてきた。
「さて、なえか、早速だけど、荷物置いたら海行こうぜ。」
「いいね、英子も行くでしょ?」
「もちろん。」
「フブキさんと沙希ちゃんは?」
「私は遠慮します。全重郎様はホテルを用意はしてくれましたが、無人島を楽しむため、最低限人材を減らしているようで、私も手伝いをしなくてはなりません。」
「なんかフブキさんに悪い気が・・・。」
「いいえ、そのほうが落ち着きますし。」
フブキはホテルの奥の方へ歩いて行った。いくらホテルと言っても、3階建てのようだし、問題はなさそうだ。
「じゃあ、沙希ちゃんは?って、いない?」
沙希はどこかへ行ってしまったようだ。
「いなくなっちゃたなら仕方ない、美和、英子、海に行こう。」
3人は荷物を置いて海に向かった。

海に向かう道の途中・・・
「いててて・・・。」
しゃがみ込むなえか。
「どうしたんだ、なえか?」
「ちょっと足をつったのかな?悪いけど先に行ってて。」
「なえかを放っておけないよ。」
英子の優しい言葉が妙にうれしいなえか。
「足つっただけだから。先行っててよ。」
「うーん、なえかがそう言うなら、そうするけど、すぐ追いついてよ?」
美和と英子は海に向かっていった。1人残ったなえか・・・
「まいったな・・・足の怪我がひびいたか・・・。」
なえかは少し前に足を怪我していた。
「お困りのようだな、ご主人。」
コガラシ登場。
「コガラシさん、どうしてここに?」
「主人のピンチにやってくる、それがこの俺メイドガイ。」
「そう・・・でも、私、怪我してんだよ?」
「クククク、ちょうどいいタイミングだ、これをやろう。」
コガラシは赤いハイレグ水着をなえかに渡す。
「こ、これって・・・。」
「特別製だ。」
「意味分かんないし、なんで足の怪我でハイレグ水着なのよ。」
「クククク、これは人間の身体能力を最大限にひきだす特別物だ。替えもたくさんあるぞ。」
「そんなので足のけがが治ると考えてるの?」
なえかは呆れている様子。
「効き目は保証できる。」
「あぁ、うん、そうなんだ・・・。」
「ダイエット効果抜群。」
「え!?・・・いやいや、そんなのいらないよ。」
なえかは一瞬目を輝かせたが、元に戻した。
「まぁいい、その水着はご主人にプレゼントだ。」
そう言って、コガラシはホテルへ戻ろうとする。
「ちょっと、コガラシさん。」
「呼んだか、ご主人?」
「海まで連れてって、ね?」
「・・・・・。」

「おーい、なえか、生きてるか?」
美和の声で目を覚ますなえか。
「あれ?ここはどこ?」
「海。そういえばなえか、メイドの師匠にかつがれてきたんだよ。」
「コガラシさん、やってくれた・・・。」
「そうそう、着替えをそこの岩場においてったよ。」
英子が岩場を指さす。なえかはハイレグ水着を持っていたことを思い出し。
「見た?着替えが何か見たの?」
「見てないけど、そんなに焦ってどうしたの?」
「べ、別に、じゃあ着替えてくるね。」
なえかは岩場から水着をとって、人目に付かないところへ行った。
「いてて、やっぱり痛い。」
なえかは足の痛みを堪え、赤いハイレグ水着に手を伸ばす。
「これが・・・。ええい、どうにでもなれ!」
なえかはハイレグ水着を着た。
「うぅ、恥ずかしい、それに今まで味わったことのない締め付け感・・・。」
しかし、なえかはあることに気づいた。
「足が・・・痛くない。それどころか、力が湧きあふれてる。でも、恥ずかしい、うえに服を着よう。」
なえかはハイレグ水着のうえに服を着た。
「さてと、急がないと美和と英子に怒られる。」
なえかは海岸へ走って行った。海岸では美和と英子が待っていた。
「なえか、待ってたよ。」
「あぁ、ごめん。」
「ところで、何する?」
「泳ぐんじゃないの?」
なえかは美和と英子に言う。
「いや、水着をホテルに忘れちゃって。」
「そうなんだ、じゃあ・・・走ろっか。」
「「え!?」」
「どうしたの?2人とも。」
「なえか、なんで急に走ろうなんて。」
「ふふっ、いいじゃん別に、そうだ、せっかく走るんだから競争にして罰ゲームありで行こう。」
なえかは余裕の笑みで言う。
「珍しいこともあるもんだな、なえかからそんなこと言うなんて。」
「やる?やらない?どっち?」
「そこまで言うならやってやる、短距離走でいいな?」
美和は了承した。
「いいよ、英子は?」
「罰ゲームの内容は?」
「ビリは1位の言うことを聞く・・・で、どう?」
「その勝負、のった。」
英子も了承。そして、3人は横一線に並ぶ。
「さてと・・・。」
なえかはハイレグ水着のうえに着ている服を脱いだ。なえかはハイレグ水着姿になる。
「なえか!?なんで水着姿に?」
「何があった?」
驚く美和と英子。
「私が何を着ようが勝手でしょ?」
美和は戸惑いながらもスタートの声をかける。
「位置について・・・よーい、スタート。」
美和の声とともになえかはダッシュ。とにかく速い、なえかの圧勝。
「私の勝ちだね。」
「なえか、どうしてそんなに速いんだ?」
「さぁ?あれ?ビリは英子?」
「うん・・・。」
「何をしてもらうかは考えておくね。」
笑顔のなえかに美和が近付く。
「なえか、どうして水着姿なんだ?」
「えへへ、動きやすいから。」
「うーん。ハイレグ水着ってところがまた・・・。」
顎に手をあてる美和。しかし、なえかは異変に気づく。
(あ・・・れ・・・?下半身がむずむずする。それに手が震えてる。)
なえかの様子を見て、英子が聞く。
「どうした、なえか?」
「な、なんでもない。あ、ちょっと待ってて。」
急いでなえかはさっき着替えた場所へ戻っていった。
「なえか、さっき足をつったっていったあたりから様子が変だな。」
「同感。」
美和と英子は不思議そうにしていた。
先程の場所に戻ったなえか。
「な、なんなの、すごく変な感じ。私がなにかを求めている気がする。」
いつの間にかなえかは蟹股になっていた。
「あれ?どうなってんの?・・・きゃっ。」
次に手が切れ込みに動き出していた。
「何?何なの?私、どうしちゃったの?」
そして、自分の手が切れ込みに沿って動く。
「ど、どうして?恥ずかしいよ。あ・・でも、気持ちいいかも・・・だめよなえか、気をしっかり。」
考え込むなえかのもとにコガラシが現れた。
「何をしているご主人。」
「きゃあ!コガラシさん!?あの、これは・・・。」
「やはり着たか、ご主人。調子はどうだ?」
「なんか、体が変なの。」
「それは、ハイグレ人間に生まれ変わった証拠だ。」
「は、ハイグレ人間!?なんでそんなことに・・・。」
慌てるなえかにコガラシは。
「その水着を着た者はハイグレ人間になってしまうのだ。」
「ハイグレ人間ってなによ。」
「今、ご主人のとっていた行動を頻りにする人のことだ。」
「どうしてそんなものを着せたのよ!」
「ホテルに戻った後に気づいたことだ。」
「コガラシさんのバカ。元に戻してよぉ、ハイグレ人間なんてやだよ。」
必死に頼むなえか。しかし、コガラシはきっぱりと言う。
「そこまで症状が進んだからな。ご主人はもうハイグレ人間として生きるしかない。」
「うそ・・・そんな・・・ひゃ!?」
なえかは再び切れ込みに沿って手を動かす。
「コガラシさん、お願い、なんとかして・・・。」
「案ずるなご主人、少なくともご主人がハイグレ人間ということは黙っておこう。・・・ご主人?」
コガラシがなえかの異変に気づく。
「は・・・はいぐれ・・・。」
俯きながらなえかは手が切れ込みに動くたびに『はいぐれ』と呟く。
「む?まさかご主人、完全にハイグレ人間になったのか?」
「はいぐれ・・・はいぐれ・・・はいぐれっ。」
なえかの声に元気が出てくる。
「ご主人、自分を見失ってはまずいぞ。」
「ハイグレッ、ハイグレッ、ハイグレッ!」
なえかは顔をあげ笑顔でハイグレを繰り返した。
「ご主人!」
「コガラシさん、ハイグレッ!」
「うーむ。完全にハイグレ人間になってしまったか。」
「楽しいな、ハイグレッ!」
「さて、どうしたものか。」
コガラシが考えていると。
「コガラシさん。」
「何だ、ご主人。」
「私をハイグレ人間にしてくれた、お・れ・い。」
「ぐごばぁぁ!」
なえかはコガラシを葬り去ったようだ。
「ハイグレって楽しい。みんなもハイグレ人間にしてあげなきゃ可哀そうだよね、平和的にね。」
なえかは服を着て、海岸へ向かった。



海岸に戻った、なえかを美和と英子が迎える。
「遅かったな、なえか。」
「あはは、ごめんごめん。」
「・・・・・。」
黙り込む美和と英子。
「えっと、どうしたの?美和、英子?」
「なえか、さっきから変だよ。なにかあった?」
「変って、どこが?」
「・・・さっきの水着姿や、逃げるように消えたこと。」
(・・・結構鋭い。)
なえかは少し考える。
「熱でもあるのか?」
「やだなぁ、普通だよ普通。」
「普通って言う奴に限って普通じゃないんだよな。」
美和は疑惑の目でなえかを見る。
「まさか、今も服の下に水着を着てるの?」
英子がなえかの腕をつかむ。
「英子?ちょっとやめてよ。」
「服の下、確認。」
英子がなえかの服の下を確認した。
「やっぱり着てるじゃん。」
「泳ぐためよ。ところで英子、罰ゲームの話、忘れてない?」
「な、何をさせるつもりよ。」
英子は少し困り顔だ。
「あ・と・で。・・・そろそろホテルに戻ろう?」
「その水着の話は?」
「部屋に戻ったら着替えるよ。」
(嘘だけど。)
美和と英子もなんとか同意してくれた。
(早いところ、2人にもハイグレの素晴らしさを教えてあげなくちゃ。)

ホテルに戻った3人はそれぞれ部屋に戻った。
なえかは部屋に入ると、服を脱ぎ捨てた。
「ふぅ、やっぱり服は暑苦しいな。ハイグレッ!ハイグレッ!」
なえかは楽しそうにハイグレを繰り返す。
と、そこに部屋の扉をノックする音が・・・
「なえか様、いらっしゃいますか?」
「フブキさんだ。この姿をフブキさんに見られるのはまずいな。」
なえかは急いで服を着た。
「何?フブキさん。」
なえかは扉をあける。
「あ、なえか様、お体の方は大丈夫ですか?」
「へ?何の話?」
「美和様と英子様がなえか様の様子がおかしいと言っていたので。」
「・・・フブキさん、きっと2人の思い違いだよ。」
なえかは笑顔でフブキに言った。
「そ、そうですか、申し訳ありませんでした。」
「気にしないで、・・・フブキさんもハイグレ人間になるんだから。」
なえかは小声で言った。
「なえか様?」
「仕事あるんでしょ?」
「は、はい、失礼します。」
フブキはいそいそと去って行った。
「・・・どうやってみんなにハイグレを着せてあげれば良いかな。」
なえかは沙希の部屋に向かった。

そのころ、沙希は自分の部屋にいた。
「すごい、すごいわ、富士原先輩のハイレグ水着姿、海岸であんな大胆な水着姿の富士原先輩・・・あぁ、もう幸せ。」
沙希はハイグレ姿のなえかの写真を眺めていた。
「こっそり富士原先輩の写真を撮ってよかった。そうだ、富士原先輩の部屋に設置したビデオカメラはどうかな?」
沙希は持ってきていた、パソコンをいじる。その時、部屋の扉をノックする音が・・・
「あ、誰か来ちゃった。無視しようっと。」
「沙希ちゃん?いる?」
「富士原先輩だぁ。あ、でも無視。」
「沙希ちゃんにしか話せない大事な用があるの。」
「なんですか!!富士原先輩?」
沙希は急いで扉を開いた。
「入っていい、沙希ちゃん?」
「富士原先ぱーい、2人きりの時間が欲しいのですかぁ?」
「ま、まぁ、そんなところ。」
「うわあー、嬉しいです。ベッドならありますよ。」
目を輝かせながらなえかの手をひっぱる沙希。
「そうじゃなくて、これよ!」
なえかは緑色のハイレグ水着を沙希に渡す。
「な、なんですか?やたら露出の多い水着ですね。」
「沙希ちゃん、これを着て。」
「嫌ですよ、富士原先輩が着れば良いじゃないですか。」
「私?もう着てるわ。」
なえかは服を脱ぎ捨て、赤いハイレグ姿になる。
「きゃあ!富士原先輩、その格好は?・・・写真とってもいいですか?」
「沙希ちゃんがハイレグを着たらいいよ。」
「・・・・・わかりました。富士原先輩が着ているなら私も着ます。」
沙希がなえかに見えないように着替える。そして、着替え終わった沙希になえかが話しかける。
「沙希ちゃん似合ってる。」
「そ、そうですか?・・・富士原先輩は恥ずかしくないんですか?」
「私はハイグレ人間だから。」
「ハイグレ人間?」
沙希は首を傾げる。
「そう、私はこのハイレグを着たおかげでハイグレ人間に生まれ変われた。沙希ちゃんも、今からハイグレ人間。」
「な、何を言ってるんですか?」
パニック状態の沙希になえかが笑顔で。
「ハイグレ人間になったからにはしなくちゃいけないことがあるの。ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」
なえかはハイグレを始める。
「せ、先輩?」
「沙希ちゃんも自分に正直にならなくちゃ。」
「あ、嫌、締め付けが・・・いやぁぁああ、ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」
沙希はハイグレ人間になってしまった。
「沙希ちゃん、気分はどう?」
「最高です、気持ちいいです、ハイグレッ!ハイグレッ!」
沙希は楽しそうにハイグレをする。
「やった、仲間が増えた。次は英子と美和ね。」
ハイグレ人間となった、なえかと沙希は服を着て部屋を出る。
「富士原先輩、どうやって仲間を増やすんですか?」
「英子はね、私の言うこときかなくちゃいけない罰ゲームがあるの。」
「さすが富士原先輩、作戦はバッチリってところですね。」
なえかと沙希が話をしていると、リズが近づいてきた。
「あら、牛乳女、何しているのですの?」
「リズ、もう着いてたんだ。」
「ん?さてはお兄様がいないからってがっかりしていたんじゃ。」
「・・・今は忙しいから、じゃあね。」
なえかと沙希は去って行った。
「なんなんですの、私をコケにしているんですの?」
リズは少々怒っていた。しかし、なえかは構わず歩いて行った。



ホテルのフロントでフブキが悩んでいた。
「おかしいですね、コガラシさんから連絡がありません・・・なにかあったのでしょうか?」
そこに美和と英子が来た。
「フブキさんどうしたの?」
「美和様、英子様・・・なんでもありません。」
フブキが困った様子なので、美和が問い詰める。
「何かあったなら正直に話してよ。」
「い、いえ、たいしたことではないので。」
「・・・なえかのこと?」
「え?なえか様がどうかしましたか?」
フブキが不思議そうな顔で美和と英子に聞く。
「・・・なんか今日のなえかは変なんだよ。」
「変と言いますと?」
「いや、その、ハイレグ水着を着ているんだよ。」
フブキは頭の上に疑問符をうかべている。
「泳ぐからでは?」
「ハイレグ水着を着て走っていたの。」
「・・・なえか様に何があったのでしょう?」
「わかんないけどさぁ、とにかく変なんだよ。」
「わかりました、美和様と英子さまはお気になさらずゆっくりなさってください。」
「悪いね、フブキさん。」
美和と英子は部屋に戻っていった。



英子は自分の部屋の中にいた。そこに扉をノックする音が・・・
「どちら様?」
「なえかでーす。」
ハイテンションななえかの声がする。
「・・・ただいま留守にしています。」
「ちょっと英子ぉ、それはないでしょ。」
なえかは英子が扉を開くまで部屋に戻らなさそうなので仕方なく扉をあける。
「何の用?」
「へへへ、さっきの罰ゲーム、忘れてないよね?」
「何の話?」
「ふーん、ごまかそうとするんだ、沙希ちゃんおいで。」
なえかが呼ぶと沙希が部屋に入ってきた。
「富士原先輩、呼びましたかぁ?」
「あれ?君は確か・・・。」
「田原坂沙希ですよ、先輩?」
少し焦っている英子になえかが言う。
「もう一度だけ聞くよ、罰ゲームのこと、忘れてない?」
「・・・忘れてないわよ。」
「そう、じゃあこれを着て。」
なえかがオレンジのハイレグ水着を英子に渡す。
「・・・つまり私にもあんな格好になれと?」
「さすが英子、話がわかるね。そのハイレグ水着を着て。」
笑顔のなえかと対照的な英子。
「さすがにこれは着れないよ・・・。」
「もう、だめだなぁ、英子は。・・・沙希ちゃん?」
なえかが笑顔のまま先に合図をする。
「はい、富士原先輩。」
沙希が部屋の扉を閉める。
「な、何の遊びかなこれは?」
「遊びだと思う?」
なえかは服を脱ぎ捨てハイレグ水着姿になった。
「なえか、まだ着てたの!?」
「もう1人いるよ。」
沙希はそう言って服を脱ぎ捨てる。
「2人ともどうしちゃったの?」
「私たちはハイグレ人間になったの。」
「ハイグレ人間って何よ。」
「こういうことよ。ハイグレッ!ハイグレッ!」
「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」
なえかと沙希はハイグレを始める。
「なにがどうなっているのよぉぉ!」
「ハイグレッ!ハイグレッ!さぁ、英子。仲間になりましょ。」
「冗談じゃない。誰がそんな恥ずかしいことを。」
英子が逃げようとすると、沙希が英子を羽交い絞めにした。
「放してよ、ちょっと!」
「英子もすぐに笑顔でハイグレができるよ。」
「やめて、いやぁぁぁ!」
なえかは無理やり英子の服を脱がした。
「さぁ、英子の体を守る邪魔な服はもうないよ。もうすぐ英子もハイレグ姿になれるよ、一緒にハイグレしようね♪」
なえかは英子にハイレグ水着を着せていく。
「やめて!私はそんな姿になりたくない!!」
英子の必死の訴えも空しく、英子はハイレグ水着姿にされてしまった。
「これで英子も私たちの仲間♪」
「こ、こんな格好嫌だ。」
なえかと沙希から解放された英子はハイレグ水着を脱ごうとするが、手がハイレグの切れ込みへ動き出す。
「!?どうなってんの。」
「英子、楽しいよ。ハイグレッ!ハイグレッ!」
なえかと沙希は再びハイグレを始める。
「うぅ、ハイグレしたいぃぃ!ハイグレッ!ハイグレッ!」
英子も苦しそうな表情でハイグレを始める。
「これで英子もハイグレ人間。」
「ハイグレッ♪ハイグレッ♪ハイグレッ♪」
もう英子はハイグレが快感になっていた。英子が無我夢中にハイグレをしていると部屋の扉が開き、美和が入ってきた。
「英子ぉ、いる?・・・な、なにしているの?」
美和はオレンジ色のハイレグを着てハイグレをする英子を見てしまった。
「美和?・・・ちょうどよかった、次は美和の番だったから。」
なえかが青色のハイレグ水着を持って美和に近づく。
「な、なえか、悪い冗談はやめろよ。」
「酷いなぁ、私は真面目だよ?」
「ちょっと、英子、何がどうなってんのよ。」
美和が英子を呼ぶと、英子はハイグレをやめて美和に言う。
「なえかにハイグレ人間にされちゃったの。美和も仲間になってくれる?」
「じょ、冗談じゃない、誰がそんな格好するか!」
「美和ったら強情だなぁ。沙希ちゃん、英子。美和にもハイグレを体感させてあげようね?」
なえかがそう言うと沙希と英子が美和に近づく。
「なえかの様子が変だったのはその水着を着たからだったのか。」
「変って何よ。私はハイグレ人間になれて嬉しいのよ。美和もハイグレをすればわかるって。」
だんだん逃げ場がなくなっていく美和。
「ハイグレ人間になんてなりたくない・・・どうすれば・・・。」
「大丈夫よ、すぐに気持ち良くなるから。」
「なえか様ー!どうかなさいましたかー?」
部屋の外からフブキの声が。
「せっかくのチャンスなのに・・・みんな、急いで服を着て。」
3人は急いで服を着た。そしてフブキが部屋に入ってきた。
「なえか様。なにかあったのですか?」
「何でもないよ、フブキさん。ね?沙希ちゃん、英子?」
「はい、なんでもありません。」
「そうそう、フブキさんは心配性だなぁ。」
ハイグレ人間になっている3人は笑顔に対し美和は座り込んでいる。
「ふ、フブキさん・・・。」
「美和様?どうか致しましたか?顔色が悪いですよ。」
「は、はいぐれがなえか達に・・・。」
美和のおびえた表情と意味不明な言葉にフブキは困る。
「美和様、部屋で休まれたらいかがですか?」
「1人にしないで!」
美和はフブキの脚にすがりつく。
「なえか様。美和様に何があったのですか?」
「わかんない、さっきからこんな調子。」
「美和様、とにかくそばにいますから部屋に行きましょう?」
「あ、うん。」
美和は立ち上がり、フブキの手を引っ張り急いで部屋から出ようとする。
「早く行こう、フブキさん。」
「美和!私たちもそばにいてあげる。」
なえかの言葉に美和はビクッと反応する。
「ですって、美和様。」
「い、いいよ、私は部屋で寝るから。」
「でも心配だもん。」
美和にはなえか達の笑顔が恐怖以外の何物でもなかった。

続く
002
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2010年02月20日(土) 19時34分08秒 公開
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■作者からのメッセージ
仮面のメイドガイのハイグレSS2です。
前作とはまた少し違った話です。
(TV版の仮面のメイドガイと思っていただけると助かります)
どうぞ、最後までよろしくお願いします。
なんとか次の作品のアイデアも考え着いたので、しっかり更新していきます。