らんま1/2超無差別決戦!乱馬チームVSハイグレ魔王

女に変身したらんまはあかねと一緒に海を見ていた。水平線まで360度に広がる果てしなく広い海を。
「ねえ、乱馬。」
「なんだ、あかね。」
「なんで私たち、ここにいるのかしらね?」
乱馬はその問いに無言だった。ここにいるのは自分のせいだったからだ。
「あんたのせいで・・・死ぬところだったじゃない!」
あかねに首根っこをつかまれてゲシゲシと揺すられる。乱馬はそのあまりの迫力に抵抗できなかった。
「悪かった。悪かったって!俺のせいで皆を巻き込んでごめんなさい!」
「全く・・・。お父さんや早乙女のオジサマたちとも離れ離れになっちゃったし・・・。この絶海の孤島でどうするっていうのよ。」
あかねはこの先が思いやられて大きなため息を付いた。

乱馬たち一行は九能先輩の誘いでクルージングに出ていた。しかし、乱馬が良牙や八宝斎といつものように大げんかをしていて、その拍子で船が破損。船体が真っ二つに折れて前部に乗っていた乱馬、あかね、なびき、かすみ、シャンプー、右京、小太刀の七人は海流に乗って浮き沈みを繰り返しながら無人島に漂着していた。後部に乗っていた男連中も反対方向へと流されていったので完全に離れ離れになっていた。しかし、幸いなことにこの島は以前はバカンスホテルが存在した場所で、既に潰れてはいるが、一キロ四方の島のど真ん中にホテルが解体されずに残されていた。井戸で真水を組み上げることもでき、食事も現地調達でなんとかなりそうな目処が立っていた。
「全く・・・かすみお姉ちゃんたちの料理の腕となびきお姉ちゃんの知恵がなかったどうなっていたことか・・・。この後助けが来る保証もないし・・・・ああもう!」
「じたばたしても仕方がねえ。なるようになるしかないさ。」
「あんたがそれを言うか!最悪よ・・・。しかもここ、あの幽霊島じゃない・・・。」
「幽霊島?」
幽霊島。この島の通称だが、無人島になって以降、この島に行って帰ってきたものはいないという曰くつきの島だった。理由は分かっていない。
「あかね〜乱馬君〜。ご飯ですよ〜。」
建物の方からかすみが夕食の支度ができた旨を伝えにやってくる。
「やったー!飯だ飯だ!」
乱馬は無邪気にはしゃぎながらかすみの後についていった。あかねもヤレヤレと思いつつ、それに続いた。



「全く、とんだ災難だったネ・・・。危うく溺れ死ぬところだった。女傑族三千年の歴史の恥さらしになるところだったネ。」
海で取ってきた魚を食べる手を止めてシャンプーがため息をついた。大波に飲まれそうになりながら荒れ狂う波に乗ってここまでやってきたことが脳裏をよぎる。
「まあまあ、ええやないか。前にもこんなことあったけど、結構楽しかったもんな〜。」
「私はその時には居合わせてはおりませんから分かりませんが。お兄様からお話で伺っただけですし。」
右京と小太刀が話に加わる。
「全く、あなたたちはお気楽でいいわね。本当にこの島から無事に帰れると思ってるの?」
なびきが緊張感なく和気藹々としているメンバーに呆れ顔をしている。
「どういう意味だよ、なびき?」
乱馬(女バージョン)が続きを言うように促す。
「この島の別名は幽霊島ってことはさっき言ったわよね?」
「ああ。島に行ったら誰も帰ってこられなくなるって言うんだろ?俺は全然知らなかったけどな。」
「そう。なら教えてあげる。今私たちがいる古ホテルが閉鎖されてから3年。クルージングなんかの途中で立ち寄った人がね・・・。」
ロウソクに照らされた食堂のテーブルに頬を付き、訥々と怪談話を始める。
「そのクルーザーには五人乗っていたの。で、二人が残って三人で島の中を探検に行ったの。待っていた二人はそんなに大きな島だからすぐに戻ってくるだろうと思っていたのよ。でも、二時間経っても三時間経っても戻ってこない。しまいには日暮れになってしまったので残っていたうちの一人が探しに出かけたの。そうしたらしばらくして、大きな悲鳴を上げたの。」
「まあ、恐い。」
かすみがいつものように相槌を入れる。
「船に残っていた人が異変を感じて無線で警察に連絡して、自分も島の中へと入っていったのよ。」
「それで、その人は?」
「戻ってこなかったの。そして、連絡を受けてやってきた人たちが島の中に行ったんだけど、それも戻って来ず。懸命の捜索と空からの捜索もむなしく、その人達は消えてままになってしまったのよ。それからオカルトマニアがこの島を訪れたけど、全て消息不明。かれこれ百人以上の人たちを消してしまったため、幽霊島と呼ばれているのよ。私たちはそこにいるわけ。」
なびきの話に全員が聞き入っていた。あかねが質問する。
「でも、ホテルがやっていた時はそういうことはなかったんでしょ?」
「いいえ、それがあったらしいのよ。その悪評が元でホテルが潰れてしまったのが真相らしいわよ。」

食事後。皆各々泊まる部屋を決めて帰っていった。幸いなことに毛布やシーツなども残されていたので、女性といえども我慢すれば寝られる状況だった。
「おい、なびき。」
最後まで残っていたなびきに乱馬が話しかける。
「さっきの話、お前が皆を怖がらせるために作った話だよな?」
「いいえ、違うわ。結構有名な話よ?ねえ、あかね?」
「う、うん・・・・。」
あかねはすっかり顔が青ざめていた。週刊誌に乗っていた情報より詳しい話をなびきから聞いて余計に落ち込んでいた。
「おい、あかね?」
「ああ、気にしないで。悪党なんかの仕業だったら武闘家のあたしがギッタギタにのしてやるんだから!はっ!はっ!」
いきなりパンチの素振りを始めた。恐いのを紛らわすためなのは丸わかりだった。


ホテルは三階建て。島内は木々に覆われ、浜辺は海水浴用に整備されていた。
1F ロビー・食堂・風呂と露天風呂・職員用施設
2F 客室15・遊戯室
3F 客室7・ルーフバルコニー
周辺 散策路・テニスコート・プール
乱馬達は用心のために三階に泊まることにした。一人一部屋を宛てがい、そこで日がくれて早いがすることもないので寝ることにした。その時にはこれから始まる惨劇を知る由もなかった。



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「乱馬君!」
「天道あかね!」
あかねの姉・なびきと九能帯刀がやってくる。
「良かった、無事だったのね。」
「お姉ちゃん、一体何が起こっているの?」
「分からないわ。」
「天道あかね、僕と二人で平和な地に行こう。そして仲良く二人で暮らそう。」
九能があかねに抱きつく。反射的にボディーブローを放つ。
「誰があなたと仲良く暮らしますか!」
「そんな遊んでる場合やない。逃げるで!」
「おい、九能。なびきを負ぶってここから飛び降りろ。」
乱馬が下を指差しがら言う。
「なぜ僕が。お前が天道なびき、僕が天道あかねを・・・。」
「そんな事言ってられる場合か!」
言い合っている間にも光線が乱馬たちの周囲に届く。
「うわっ!」
九能は当たりそうになるが間一髪で避ける。
「むっ、贅沢を言っていられる状況ではないか。仕方がない、感謝しろ、天道なびき。」
「ありがとう、九能ちゃん。」
九能がなびきを担いで飛び降りる。

「俺達も行くぞ。」
あかねと右京を両腕に抱えて飛び降りようとする。
しかし、逃げようとする三人に至近距離から狙いをつける兵士が。
「避けられない!」
しかし、その兵士は何かにぶい音がした後に倒れる。倒した主を見ると・・・
「五寸釘君!」
「僕が時間を稼ぐ!その間に逃げてくれ!」
「何言ってるんだ!お前も一緒に!」
乱馬たちに光線が集中しだす。
「それは無理だ。この学校は制圧されつつある。だが、君たちなら逃げられる。」
「五寸釘・・・・。」
また一人兵士がやってくるが五寸釘が対応する。
「早乙女君よ、あかねさんを、この学校を救ってやって欲しい!」
五寸釘が一人倒し、また別の兵士に向かっていく。
「風林館男児とは、虚名にあらず!」
「すまねえ、五寸釘。」
乱馬は二人を担いで飛び降りる。
「ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!」
飛び降りる途中に五寸釘の声がする。

乱馬たちは校門を出て商店街を突っ走る。
近くから誰かが戦っている音がする。
「シャンプー!」
「ムース!」
猫飯店の店前でシャンプーとムースが兵士達と戦っていた。
乱馬達も加勢して撃退する。
「アイヤー、乱馬。私のこと助けに来てくれたか?」
「そんなわけないでしょ。何であんたはそう都合よくしか物事を考えられないのよ。」
あかねがシャンプーに噛み付く。
「全く、おばば様がいない時に限ってこんな事になるとは・・・・。」
「婆さん、いないのか?」
「中国に里帰りしてるね。」
「何てこった・・・。」
乱馬が知っている中で最強の一人であるコロンがいないのは大きな痛手だった。

「あかね!」
なびきが九能を引き連れて追いついてくる。
「もう大変よ!町中のみんながハイレグの水着姿にされてるわよ。」
「かすみお姉ちゃんとお父さん、早乙女のおじ様も無事かな・・・。」
あかねが心配そうに言う。
「よし、天道道場に行ってみよう。」

天道道場・・・・
乱馬とあかねは恐る恐る中を覗いてみる。
「あら、乱馬君、あかね、お帰りなさい。」
「かすみお姉ちゃん、無事で良かった。」
「かすみさん、変な奴らが襲ってこなかった?」
「いいえ、こっちにはまだ来てないわ。でも、ニュースでは大騒ぎみたいね。」
乱馬たちが居間へ着くと、玄馬と早雲がテレビを見ていた。
「おお、乱馬君、あかね、なびき。無事だったか。」
「みんな、このテレビを見てみなさい。」
テレビを見てみると、新宿に宇宙船が飛来しているニュースがやっていた。
「何でも、こいつらはハイグレ魔王率いるパンスト団というらしい。」
「そして、ハイグレ光線という不思議な力で人々をハイレグの水着姿に変えているんだ。」
早雲と玄馬が順々に説明をする。
「要するにその新宿のハイグレ城を潰さんと元には戻らんっちゅうこっちゃな、おっちゃん?」
「その通りだ、右京君。」
「おもしろいじゃねえか。そんなみょうちくりんな奴ら、まとめて倒してやるぜ!」
乱馬たちは打倒ハイグレ魔王で一致する。

「おーっほっほっほっほっほっほっ。」
いきなり塀の上から高笑いの声がする。
「その声は我が変態の妹!」
「その通りですわ、お兄様。」
「小太刀、お前、その姿は・・・・。」
小太刀は緑のハイレグ姿だった。
「聞いてみれば、お兄様たちはハイグレ魔王様を倒そうとしているようですわね。」
「それがどうしたというのだ。」
「ハイグレ魔王様の僕として許しませんことよ。覚悟なさいませ!」
小太刀の命令でパンスト団が天道家を取り囲む。

「攻撃開始!」
ピュンピュンピュピュピュン
「うわあっ!」
「親父!」
「ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!」
玄馬はハイレグ水着を着てポーズを取る。
「うおおっ!!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!」
「お父さん!」
早雲もそれに続く。
「このままじゃ全滅してしまうだ。」
「みんな、行くぞ!」
乱馬たちは分担して敵を倒すことにする。なびきとかすみはあかねが守っている。
「火中天津甘栗拳!」
「あいやー!」
「秘技鷹爪拳!」
「かんしゃく玉ミックス!」
「突き突き突き突き!」
パンスト団を次々となぎ倒していく。

「くっ、ここまで苦戦するとは。でも、これからですわ!」
「小太刀、その余裕はどこから来るんだ?」
「ふっ、乱馬様でもこれには勝てませんわ。佐助!」
「はっ!」
ハイグレ姿にされている佐助が側にやってくる。
「あの方は?」
「もう到着してございます。」
「誰のことだ?」
「わしじゃ。」
「爺さん!」
ハイグレ人間化した八宝斎だった。手には八宝大華輪を持っている。
「喰らえ!」
次々と八宝大華輪を放ってみんな散り散りになる。
ドッカーン
「うわああっ!!」
ムースに直撃し、動けなくなる。
そこに小太刀が容赦なくハイグレ光線を当てる。
「ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!」
「ムース!」
シャンプーの声も空しくムースはポーズを取り続ける。

「次はお前の番じゃ、乱馬!」
八宝斎が持っていたのは超特大サイズの八宝大華輪だった。
「八宝大華輪!」
ドッカーン
特大の八宝大華輪の衝撃で周りが何も見えなくなる。
乱馬達はその混乱に乗じて天道家から逃げ出す。
「これからどうするの、乱馬?」
「新宿に行くしかねえだろ。」
「でも、どうやって?新宿に着くまでに何度も襲われるわよ?」
「それについては心配ない。」
九能が言う。
「何か策があるの、九能ちゃん?」
「僕の家にいいものがある。」

九能家に向かって進む途中、小乃接骨院の前に人影がある。
「東風先生。」
かすみが声をかける。
「やあ、かすみさん。」
「先生はご無事でしたか?」
「ええ、おかげさまで。かすみさんはどちらへ?」
「みんなで新宿へ行くんです。」
「そうなんですか。」
東風とかすみが談笑する。
「ねえ、東風先生。」
「なんだい、なびきちゃん?」
「先生、ハイグレ人間なんじゃない?」
「どうして?」
「だって先生、かすみお姉ちゃんの前なのにおかしくならないんだもの。」
バーロ・・・・・ではなく、なびきが推理をする。
「よく分かったねえ、なびきちゃん。」
東風が服を脱ぎ捨てる。その下にはハイレグ水着を着ていた。
そして、ハイグレ銃を取り出す。
「手荒な真似はしたくないけど、ごめんね。」
東風は素早く動く。そして、全員のツボを押し、動けないようにする。
「あはは、心配することは無いよ。ちょっとの間だからね。」
東風が笑いながら、ハイグレ銃を放つ。
「きゃあ!」
「ああっ!」
かすみとなびきに命中する。
「ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!」
「ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!」
かすみはピンク、なびきは青のハイグレ人間化し、ポーズを取る。

「さて、次は君たちの番だ、乱馬君、あかねちゃん。」
「くそっ、体が・・・・。」
乱馬がもがこうとするが、全く動かない。
東風が銃を構える。
「もう駄目だ・・・・。」
「あきらめるんじゃねえ!」
「その声は・・・・!」
「爆砕点穴!」
ドドドドッ
地面が崩れ、東風を襲う。東風はかすみとなびきを抱えて逃走した。

乱馬達はすぐに体が動かせるようになる。
「ふう、助かったぜ、良牙。」
「バカ野郎!あかねさんを危険な目に合わせて何をのんきに!」
「まあまあ、落ち着きや。」
「相手が東風先生だった。無事だっただけでもありがたいね。」
「確かに。」
「それにしても良牙君、本当にありがとう。」
「いや、そんな。当然の事をしたまでですよ。」
そして、良牙にこれまでの事情を説明し、新宿に同行してくれるように頼む。
「分かりました、あかねさんの御期待に添えるように頑張ります。」

九能の家にたどり着く。そして、地下倉庫に降りていく。
「これだ。」
そこにはモグラの形をした乗り物があった。
「何だ、これは?」
「可愛いモグラ君一号だ。」
「何のために使うかと聞いているんだ。」
「これで地下を掘り進む。新宿まで30分もすれば着くだろう。」
「まあ、何でこんなものがあるかは置いといて、乗りましょう、みんな。」
乱馬、あかね、良牙、九能、シャンプー、右京の六人が乗り込み、発進する。

30分後・・・・
乱馬たちは新宿の都庁前に来ていた。
「おい、乱馬。あのモグラ君とやらでかなり地下鉄の線路とか破壊したけど良いのか?」
「地球が征服されちまったら元も子もねえんだ。仕方ないだろ。」
六人は地下鉄や水道管を破壊しまくったことは忘れることにした。
その膨大な修理費用を考えるだけで頭が混乱してしまうからだ。

「ここが都庁だな。」
「まずは屋上に上がってみよう。」
エレベータを使って屋上へ。それまでに多くの職員がハイグレ姿にされているのが目に付く。

屋上に上がると、ハイグレ城がそびえている。
「テレビで見たより大きいわね。」
「そうやな。」
「入り口はどこか?」
「ここだ。」
九能が指差した先に小さな出入り口がある。

乱馬たちは前後を警戒しながら一本道を進んでいく。そして、少し開けた場所に出る。
「何だ、ここは?」
「広場みたいね。」
いきなり床から人が出てくる。
「おほほほほ。」
「誰だ?」
「私はハイグレ魔王。」
「お前が敵の親玉か!覚悟!」
良牙が拳を放つ。しかし、すり抜けて当たらない。
「これはホログラムよ。いくら攻撃しても当たらないわ。」
「それで?ハイグレ魔王様が私達に何の用なの?」
「せっかくいらしたお客様への御挨拶よ。そうそう、お話がしたいなら最上階まで来なさい。」
「そうさせてもらうわ。」
「ただし、来られればだけどね。」

ピュンピュンピュン
「敵だ!」
ホログラムが消えると同時に光線銃攻めが始まる。
「待ち伏せか!」
乱馬達は手頃な場所に隠れる。格闘家は接近戦には強いが長距離攻撃に対抗する術が無い。
「もっと近づいてくれないと攻撃できねえ。」
その間にも銃撃は激しさを増してくる。
「おい、あっちにエレベーターがあるぞ。」
良牙が指差した先にエレベーターの扉がある。今の場所から少し離れた場所だ。
「乱馬、あれで上に上がれそうよ。危険だけど試してみる価値はありそうよ。」
「分かった。行くぞ、みんな!」
全員が意を決して飛び出す。
「うわっ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!」
「九能!」
振り返ってみると九能がハイグレ姿になっていた。
「立ち止まっちゃ駄目!走り抜けるのよ!」
あかねに促され、エレベーターに乗り込む。

エレベーターで行ける最上階まで行き、エレベーターを降りる。
「この上の階がハイグレ魔王の部屋みたいね。」
「目的地まで何も無ければいいんだけどな・・・・。」
五人は歩いていく。周囲を警戒しながら進むが何も無かった。
目の前にかなり幅のある階段がある。王の部屋に続くに相応しい規模だ。

「ここを上ればいいのか。」
しかし、その前面を塞ぐ者たちがいた。
「ここは通しません!」
赤い長い黒髪のハイグレ女性がそう言う。パンストを被っていない。
「あなた、日本人?」
「ええ、そうです。私の名前は音無響子。地球人部隊の隊長です。」
「地球人部隊?」
そこへ赤髪の女性が前に出る。紫のハイレグを着ている。
「ハイグレ魔王様に選ばれた崇高な地球人女性の部隊よ。」
「朱美副隊長のおっしゃる通りです。さあ、あなた方もその一員に加えましょう。」
じりじりと後退する五人。しかし、後ろにも地球人部隊がいて挟み撃ちにされる。
「管理人さん、攻撃命令はまだ?」
水色のハイグレ姿の女子高生がいきり立つ。
「少し待ってください、八神分隊長。まだ部隊がやってきますから。」
「早くしてよね。」
そこへ二つの集団がやってくる。一つはピンクのハイグレ姿の女性に率いられていた。
「七尾こずえ分隊到着しました!」
「九条明日菜分隊到着しました!」
青のハイグレ姿の女性が率いる部隊もやってくる。
「おば様、攻撃命令を。」
「分かっていますよ、郁子副隊長。全軍、攻撃開始!」
黄色のハイレグ水着を着た女性に促され、攻撃命令を出す。

「くそっ、女相手じゃ攻撃できねえ!」
「しかも相手は一般人だしな。」
乱馬と良牙が避けながら悔しがる。
「乱馬、ここは私達に任せて!」
「あかね・・・・・。」
「そうや、女のウチらならためらう必要はあらへんしな。」
「二人とも、早く行くね!」
「済まない、行くぞ、良牙!」
「おう!」
地球人部隊の相手を彼女達に任せて二人は先に進む。

「くっ、この量は多いわね。」
「全員背中をくっつけるね。そうすれば後ろからの攻撃は防げるね。」
「了解や。」
三人はお互いに背中通しに肩をくっつけあう。
「行くわよ!」
三人は光線を避けながら次々と敵を倒していく。
地球人部隊は元々は一般市民なので銃の死角に入ってしまえば弱い。
「くっ、地球人部隊が押されるなんて・・・・!」
響子隊長が唇をかんで悔しがる。
「魔王様の御前で無様な戦いは出来ません!」
響子が隊長自ら銃を取って前に出る。
「覚悟!」
ビュン
「あいやー!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!」
シャンプーに当たってしまう。彼女は赤いハイグレ人間となる。
「シャンプー!きゃあ!!」
シャンプーが撃たれた事に動揺した右京にも光線が当たる。
「ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!」
右京は黄緑色のハイグレ水着を着てポーズを取っている。
「後はあなただけですね。」
響子が銃を持って迫ってくる。
「そう簡単にはやられないわよ!」
あかねは構える。が、しかし・・・・
「ちょっと、何するのよ!」
シャンプーと右京があかねを押さえつける。
「シャンプーさんと右京さんも地球人部隊の一員だということを忘れてませんか?」
「くっ。」
「さあ、よいハイグレ人間になりましょう。」
ビュン
「きゃあ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!」

三人の状況を当然知らない乱馬と良牙はハイグレ魔王の部屋に着く。
「あら、よく来られたわね。」
「さあ、大人しく地球から出て行くか、それとも俺達にぶちのめされるか、どっちだ!」
「うふふふふ、威勢のいいこと。望みどおりにしてあげたいけど、でも駄目よ。」
「そうかい。良牙、行くぞ!」
乱馬と良牙は左右から同時に飛び掛る。
「火中天津甘栗拳!」
「爆砕点穴!」
二人の攻撃がハイグレ魔王に当たる。
「あら、貴方達の本気はその程度なの?」
「何、全然効いてないだと!?」
「私の力、少しだけ見せてあげる。」
ハイグレ魔王が光を放ち、妖怪のような形に変化する。
「これがお前の本気か?」
「そうよ。この状態になれば電撃を放てるのよ。それっ!」
ハイグレ魔王が手をムチのように伸ばす。それが良牙の首に巻きつく。
「ぐああああああ!!」
「どう、苦しいでしょ?さあ、足掻いてせなさい!いーっひっひっひっひっひっ。」
「良牙、今助ける!」
「邪魔よ!」
「ぐわっ!」
乱馬はハイグレ魔王の攻撃を受けて噴水に突っ込む。
当然のように女の子に変身する。
「ぶはっ。やりやがったな!」
「あら、あなた水を被ると女の子になるの?」
「それがどうしたってんだ。」
「ふーん、まあ面白くていいけどね。」
「俺は女になったほうがスピードが上がるんだ。行くぜ!」
「しゃらくさい!」
ハイグレ魔王はまた乱馬を弾き飛ばそうとする。しかし、乱馬はそれをうまく避ける。
「何ですって?私の攻撃を避けた?」
「おめーの技は見切ったぜ。うりゃー!」
乱馬が蹴りを放つ。その弾みで良牙から手が離れる。
「はあ、はあ。どいてろ、乱馬!」
乱馬はハイグレ魔王から離れる。
「全く、こんな攻撃を喰らっちまって・・・・俺は不幸だ・・・・・・・獅子咆哮弾!」
「ぐわああああっ。」
ハイグレ魔王が吹き飛ぶ。
「何よ、この重い気は・・・・。ここまで私を追い詰めるとはやってくれるわね・・・・。」

「来い、ハイグレ魔王!俺が最後の一撃を見舞ってやる!」
「あら、女の体で?スピードがあっても破壊力にかけるんじゃないかしら?」
「そいつはどうかな。」
「なめんじゃないわよ、クソガキ!」
怒ったハイグレ魔王が飛び掛ってくる。
「今だ!飛龍昇天破!!」
乱馬は冷気を身に纏い、熱気に満ちたハイグレ魔王に一撃を与える。
「ぐわあああああっ!!」
ドッカーン
崩れ落ちたハイグレ魔王が爆発し、元の姿に戻る。

「お前の負けだ、ハイグレ魔王。」
「そうね、私の負けね・・・・・・・・・・・なんて言うと思ったら大間違いよ!」
「男らしくないぞ、ハイグレ魔王!」
「いいの、私は男じゃないの、オ・カ・マ。」
数十人のハイグレ姿の女性達が集まってくる。
「この二人をハイグレ姿にしておしまい!」
ピュンピュンピュピュピュン
「良牙、ひとまず逃げるぞ!」
「仕方ない!」

二人はハイグレ城の屋上に出る。
「壁沿いに降りていくしかねえな。」
「先に行くぞ、乱馬。」
先頭になって降りていく良牙。
「早く来い!」
「おう!」
「待って!」
呼び止める声。乱馬が振り返る。
「あかね!」
あかねが銃を構えている。
「お前、その格好は・・・!」
黒のハイグレ人間と化している。
「乱馬も一緒にハイグレ魔王様に忠誠を誓おう?」
「何を言ってるんだ、あかね!」
「すぐに楽にしてあげるからね。」
ビュン
「うわああああっ!!」
女になった乱馬の体を光線が包む。
「ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!」
白のハイグレ姿になった乱馬がポーズを取る。

「乱馬!」
良牙が叫ぶ。
「良牙、人の心配より自分の心配をしたいほうがええんとちゃう?」
「その声は右京!」
「私もいるね。大人しくする、よいな、良牙?」
右京の脇からシャンプーも出てくる。
「そうはいかねえんだ。俺はみんなを救わなきゃならねえ。」
「その必要は無いで。」
右京が良牙にハイグレ銃を放つ。
「うわっ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!」
良牙はハイグレ姿にされ、ポーズを取る。
こうして、乱馬軍団は全滅してしまった。




一週間後の天道家・・・・
ハイグレ魔王がアクション仮面に敗れて去っていく。
みんなはハイグレ魔王と戦ったことは覚えていたが、光線に当てられた後のことはそれぞれ記憶に無かった。
そして、お互いに話をしていって記憶が補完されていく。

「ふーん、じゃあハイグレ魔王には勝ってたんだ。」
「ああ。その後あいつが男らしく負けを認めていればな。」
「ところで、あたしがハイグレ人間になって乱馬を襲った時どう思った?」
「え?別に?普通に驚いただけど。」
「他には無いの?」
「別にお前みたいな色気が無くて寸胴の水着姿なんて見ても何も思うわけ無いだろ。」
乱馬が無神経な一言を言う。
「誰が色気が無くて寸胴なのよ!」
あかねが竹刀を振り回して乱馬を追い回す。
本当は自分の水着姿を褒めて欲しかったのだが、乱馬にそのような素直さはなかったのだ。

「乱馬君は女心に疎いようだが、誰に似たんだろうね、早乙女君。」
早雲が将棋の駒を動かしながら言う。
「さあてね、天道君。」
玄馬がとぼけて答える。

「ねえ、かすみお姉ちゃん。あたしとお姉ちゃんは最初のうちにハイグレ姿にされちゃったのよね?」
「そうらしいわね。」
「ああ、惜しかったなあ。あかねと乱馬君の写真をいっぱい撮って九能ちゃんに売りつけるチャンスだったのに・・・。」
「まったく、悪い人ね、なびき。」

「乱馬のばかああああああ!!」
あかねの放った一撃が乱馬の頭に直撃する。
「うわあああ!!」
乱馬は庭の池に頭から突っ込み、女体化する。
「うわっ、大丈夫、乱馬?」
ちょっとやりすぎた、と後悔するあかね。
乱馬は立ち上がると、いきなりコマネチをしだす。
「何やってるのよ、乱馬、まさか!」
「俺は今日からハイグレ魔王様の家来。ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!って、あれ?ウケなかった?」
「つまらない冗談を言うなー!」
乱馬はさらにあかねから叩かれる羽目になってしまった。


MKD
2010年03月22日(月) 13時53分11秒 公開
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らんま1/2のSSリメイクです。内容に詰まったので、別路線でいきます。随時更新します。