『コレクターユイ  「我が名はハイグレ魔王グロッサー」』
何も無い
目の前にはただ空間だけが広がり
先も見えない
いや、きっと先など無いのだろう

私は……
これは破片だ
この私は破片だ
嘗てコムネットから全てを手にしようとした私の欠片
もしのも為に嘗ての私が用意したバックアップ
それが私だ

そして今、私は崩れていく
私が崩れていく
私というプログラムが崩れていく
消えていく
私が
元の私はどうした
私はどうなった
今の私は何だ

嫌だ
足りない
私が欲した物は何も手に入れていない
私は全てが欲しい
コムネットも現実も
全て総てスベテ
イヤダイヤダキエルノワイヤダ




「貴方お名前は?」

不意に目の前の何も無かった空間に道化の仮面が現れた

「…ダレダ。」

「ホホホ、貴方今にも消えそうよ。」
現れた仮面は私の前でクルクルと回る


「……キエル。」
「……ワタシガキエル。」
最早どこまでが私かすら解らない
ただボロボロと崩れていく感覚だけがあった

「初めまして。私はハイグレ魔王。」

「……カメンガナンノヨウダ。」

「あら、失礼ね。ボロボロ癖に。」

私の前に浮かんだ道化の仮面がクルクルと回っている

「まあ、私もボロボロだけど。」

自分の言葉が面白いのか仮面が上下に揺れた

「さて、貴方何が欲しいのかしら?」

逆さの仮面が私に問い掛けた

「ワタシガホシイモノ……。」

「そうよ。貴方の欲しい物。今、貴方が一番欲しい物。」

「ワタシハ、」

「貴方は。」

「スベテガホシイ!」

「全て。」

そうだ
私は何も手に入れていない
私のバックアップで有った私はまだ『私』として何も手に入れず消えて行こうとしている
私は私として何も手に入れず崩れ去ろうとしている

そんな事が有ってたまるか!

「ナンダワタシハナンダ!」

「良いわ。貴方。とても良い。とてもとても好みよ。」

仮面が私に近づいて来た
いや、今私が居る場所はそもそも崩れ行く私とその私が私を認識する為だけの空間で
この空間に距離など無い
本来なら何も無く消えるだけ
ただそれだけの私とそれだけのための私だけの空間
それなのにこの仮面は現れた
そして近づいて来た

「オマエハダレダ?」

私の問いに仮面は
「オホホホ。」
笑いながら近づいて来た

「もう一度言うわ。私はハイグレ魔王。」
「嘗て全ての支配者になろうとしたオ・カ・マ。」

「ハイグレマオウ。」

「そう、でも今の私は貴方と同じ残骸。消えかけの唯の仮面。」
逆さの仮面がユラユラと揺れる
「私も嘗てここではない何処かの世界を征服しようとしてたけど失敗しちゃったみたい。」
「そしてやられた時にバラバラになった私の欠片、それが『私』。その私が偶々今貴方の前に来れたみたいね。嫌だわタマタマ何て。ハズカシー」
逆さの仮面がクネクネと揺れる。
消えかけなどと言う割にはその動きには何処と無く余裕が感じられた。
しかしその態度とは裏腹に次の言葉は辛辣であった。

「もうすぐ私は消えるわ。」

消える
きえる
キエル

「貴方と同じ様に。」

同じ様に
消える
無くなる
無いも無い

そんな事は

「嫌よね?」

仮面の距離は近づいていた

「イヤダ。」

私は何も無い
何も残さず
唯消える
私のバックアップとして
そんな事が受け入れられる訳が無い

そんなことはいやだ
「ソンアコトハイヤダ!」

「私も嫌よ。」

また仮面の距離が近づいた
「私にはまだ足りない。何もかもが。」
「私は魔王!全てを手にし。全てを跪かせる。」
段々と仮面が近づく
「こんな所で消え無いわ!だって私は魔王だもの!」
近づく仮面の目と口は有明月のようで、その中に見える物はこの崩れ行く世界とは別の物のようだ
「私は魔王全てを手に入れる!何処に有ろうと私は支配する者!私はハイグレ魔王よ!」

この時私とこの仮面
いや、ハイグレ魔王との距離は殆ど無くなっていた
そしてハイグレ魔王は三度問う

「貴方は誰?」

「我が名はグロッサー。このコムネットの支配者!そして現実をも支配する者!」


そうだ私はグロッサー
私は全てを支配する者
コムネットも現実も全て総てスベテ

「良いわ。グロッサー。貴方は最高よ。」
ハイグレ魔王の仮面の形が愉悦に歪んだ気がした。
いや、気がしたのでは無い。
この形の無い世界、奴は喜びの感情を歪んで表現したのだ。
「そんな貴方だから私は貴方の前に来れたのかも知れないわ。」

ああ、この者が何を言いたいかが解る。

「異世界の魔王よ。いや、ハイグレ魔王よ。」

何時の間にか私の崩壊は収まっている。

「ええ、私とは違う魔王。」

仮面が近づく。

「私達の願いは一つよね。」
「ああ、その通り。我らが願いは一つ。」

崩れつつあった体が重なる。

「全てを。」
そう全てを
「支配する。」
支配する。

電脳世界で最果てで出会った我らが一つに
我らの願いは重なり

「我ら」
そう
「願うわ」
形は違えど
「一つ」
最後は
「「全て我にひれ伏せ」」


そして私は一つになった


「私の名はハイグレ魔王グロッサー。現実もコムネットも全て私にひれ伏しなさい。」








『コレクターユイ  「我が名はハイグレ魔王グロッサー」』










その日、日課となっているコムネット探索を終えた如月春菜は現実世界へ帰るべくコムネットからのログアウトを行っていた。
探索とは言っても友人の春日結。
その彼女と共にコムネット世界の平和を見守っているコレクターズの仲間達、
そしてそのコレクターズ達の開発者である犬養博士と会話するだけである。
毎日の生活の中の他愛も無い会話この他愛も無い会話を交わせる毎日を春菜はとても愛おしく感じていた。
嘗て春菜の声は他人には無いコムネット世界の異常を正す特別な声として『コレクター』に選ばれた事が有る。
しかしその声は特別であるが故、コムネット世界そして現実世界の支配を目論むプログラム『グロッサー』に利用されてしまった。
一度はグロッサーの望む部下としてコムネット世界を支配しようとした春菜。
だが親友である結とコレクターズ達は傷付きながらも春菜をグロッサーの呪縛から救いコムネット世界と現実世界の危機を救ってくれたのだ。
さらに彼女達はグロッサーの呪縛から放たれた春菜をすぐに仲間として迎えてくれた。
その仲間達の暖かさに春菜は助けられ、また自分も皆を助けたいと思っていた。
だから春菜にとっては皆は親友であり何者にも変えられぬ仲間で有った。
特に親友の春日結
ユイちゃんの為なら何でも出来る。
結に対しそれほど大きな恩を春菜は感じていた。

「あぁら、とても良い話ね。ハルナ。」
「え?」

ログアウトしようと心を現実世界に向けた瞬間、春菜を呼び止める声がした。
そしてその声に引きつられる用に春菜はコムネットへと引きずり込まれる。



全身が地に叩きつけられる様な感覚がした。
コムネットは仮想現実とはいえこう言った天地の感覚がはっきりしている場所が多い。
これは現実世界との乖離を減らすためだと聞くが今はそれ所ではない。
春菜は確実に立ち上がる力を奪われている。
立ち上がろうとする力以上に全身にかかる『力』に春菜は喘いでいた。
「な、何?」
「あらぁ、久しぶりね。ハルナ。」
春菜は大きな手で体を押さえられていたその上から聞こえてくるその声。
口調は変わっているが嘗て聞いた声。
「グロッサー!」
そう、その声は嘗て自分を支配しコムネットそして世界を支配しようとした者。
グロッサーの声で有った。
「オホホホ、流石は私のハルナ。半分は正解よ。」
何が面白いのか春菜を押さえつけたグロッサーは春菜を抑える力を揺らしながら答える。
しかし春菜は違和感を感じていた。
嘗てのグロッサーはこんなしゃべり方では無かったと。
そんな違和感を感じていると
「あ〜らぁ気付いちゃったわね。」
春菜を抑えるグロッサーは笑った。
「貴方は誰?グロッサーはユイちゃんが倒したはずなのに!」
そう、嘗て春菜を支配したグロッサーはコレクターユイとその仲間に敗れたはずだ。
だからこそ今日のコムネットの平和が有り。
それに
「それに貴方はグロッサーとは違うわ!」
声は同じでも口調、そして何より嘗てのグロッサーとは身に纏う空気が違っている。
「貴方は誰なの!?」
その詰問は春菜なりの虚勢であった。
嘗て己の全てを支配されそして支配される事に身を委ねてしまった相手。
自分以上に自分を知っている可能性のあるグロッサー。
それと同じ気配を感じる敵に相対し身動き取れない自分が取れる最後の手段それはこの虚勢だけであった。
「オホホ、そうね改めて自己紹介をさせて貰うわ。」
コムネット空間から声が聞こえる。
その声に応じる用に押さえ付けられていた体が浮かび上がった。
しかし、体は浮んでも自由は奪われたままであった。
「クッ。」
中空で何も無いのに十字に貼り付けられる春菜の体。
「如月春菜。よく聞きなさい。私はお前の良く知る者。」
「私を良く知る者?」
春菜はそれが何を意味しているか理解した。
やはり相手は私の事を良く知っていると思っている者。
「やっぱりグロッサー。」
何も無い空間を見つめながら言う。
まさかまだ彼のプログラムが残っていたとは。
これはコムネットに取って多大な危機である。
(何とかしてユイちゃんに伝えないと。)
「ぶっぶぶ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ぶ。」
そんな春菜の決意を嘲笑うかのように辺りの空間から声が聞こえ。
そして春菜は空中から地面に落とされた。
「おバカね。同じ事を何度言わせたいのかしら。まあ、私がそうしてるんだけど。」
地に押し付けられる春菜の前に嘗て見知った顔が浮かんだ。
「お馬鹿なアナタに教えてあげる。私の名はハイグレ魔王グロッサー。」
「ハ、ハイグレ魔王。」
そう告げたグロッサーの顔が笑みに歪んだ気がした。
「そう私は全ての支配者。コムネットも現実もぜーーーーーーーーーーーーーんぶ私の物。全て総て私が支配する。」
大きく笑いながらグロッサーはクルクルと春菜の周りを回る。
グロッサーは春菜の目の前に止まると彼女を見下ろしながら聞いた。
「そうでしょ?春菜?」
「な、何を言ってるの。そんな事は絶対にさせない。」
「あら、そう?そんな事言っちゃうの?ウフフ。」
見えない手に無理矢理顔を上げさせられた春菜の眼前にグロッサーの顔があった。
「でもそんなの関係無いわ。だってアナタには私の手伝いをして貰うんだから。」
「さっきも言ったけど私は全てが欲しいのでも今の私の力ではちょーーーっと難しいのよね。」
「生憎とコムネットも部下も現実の部下も居なくなっちゃったし。」
「現実の部下?」
コレクターユイに倒される前のグロッサーには確かに部下が居た。
しかしそれはコムネッと世界のみで現実の世界まで彼の力は及んでいなかったはず。
「あ、あなた一体……。」
困惑する春菜を見ながらグロッサーは嬉しそうに言う。
「やっぱりあなたは賢いわね。それでこそ私の部下に相応しいわ。」
「ま、また私にコレクターをさせる気!?」
「半分正解。半分不正解。」
嬉しそうに言うとグロッサーは再び春菜を宙に貼り付けた。
「喜びなさい。春菜。あなたには二つの物をあげる。」
「一つは本当のあなた。そしてもう一つは新しいあなた。」
「何を……。」
浮かんだ春菜の前には浮かんだグロッサー。
両者の間に黒い手が現れる。
「い、いや!」
「まずは本当のあなたの姿から。」
怯える春菜の胸元に現れた黒い手が近づく。
そして手は春菜の体に触れるとそのまま春菜の体へと沈んでいく。
「さあ、思い出しなさい春菜あなたに相応しい姿を私の部下だった本当のあなたを。」
「いやーーーーー!」
手が体に沈みきると春菜の着ていた制服が胸元を中心に黒く染まって行く。
そしてそのまま春菜の体を首から下全て黒く包んでしまった。
「な、なにこれ!?」
「さあ、春菜変わりなさい。あ、違うわね、この場合は。」
「元に戻りなさい春菜。」
グロッサーがそう言うと春菜の体に次の変化が訪れた。
「まずは手足から。」
「あぁ!」
グロッサーの言葉に応答するかのように黒紫でエナメル質のロンググローブとオバーニーロングブーツが手足にそれぞれ現れる。
「次は肩。」
「ぐぅふぅぅぅ。」
先ほどまで制服だった物の肩の部分が盛り上がり肩パットになる。
「そして体。」
制服だった物の残滓が黒く体に密着していく。
「胸はもう少し大きかったわね。」
グロッサーがそう言うと春菜の体に張り付いた黒い膜が春菜の胸を下から持ち上げた。
「あ、あ、ああああ!」
臍の部分で黒い膜は二つに別れ上半身と下半身に別れていく。
上半身に向かった膜は先ほどから持ち上げられている春菜の胸に集まると胸を厚く包んでいった。
「やめて私のおっぱいを変えないで!」
胸を包んでいない僅かな膜はそのまま形を変え。
胸を覆うチューブトップと短なジャケットそして胸元で縦に開いた目の様なブローチへと変化した。
上半身の黒い膜が変化を終えるとそこには大きく胸元が開かれた赤いチューブトップに包まれ
一回り大きくそして突き出すように自己主張する形になった春菜の胸があった。
「わ、私の胸が!」
いやらしく変化してしまった上半身に驚いている暇もなく次は下半身の変化が始まった。
下半身に向かった膜は春菜のお尻を持ち上げながら黒いエナメル質のパンツへと変化していく。
そしてパンツへの変化が終わると最後にスカートに変化した。
「かなり元の姿に近づいてきたわね。じゃあ最後の仕上げよ。」
そういうとグロッサーの目から赤い光線が放たれた。
「キャァッ!」
赤い光線を受けた春菜の体に変化が訪れる。
「がぁああああああ!」
背中からは大きく黒い羽が生え。
お尻からは何かが迫りだしパンツと一体化し先端が矢の様に尖った尻尾に。
そして耳は悪魔を思わせる大きく尖った耳当てへと変化した。
「オホホ、すっかり元の姿に戻った様ね。春菜。どうかしら久しぶりの本当の姿は?」
春菜の姿を見て満足げに尋ねるグロッサー。
しかしそんなグロッサーに肩で息をしている春菜はそれでも真っ直ぐグロッサーを見据えて言った。
「私は一度はあなたに心の隙間を突かれて屈してしまった。でもユイちゃんが、皆が私を救ってくれた。」
「私の事を本当に大切な友達だって言ってくれた。」
「だから、私は変われた。そして今も皆が居る。私の事を親友だって言ってくれるユイちゃんがいる。」
「だから!私は!こんな風に姿を変えられても!グロッサー、あなたには絶対に負けない!」
「私はもう昔の私じゃない!」
姿を変えられ未だ体の自由も奪われたままだが春菜は敵をグロッサーを見据えて毅然とした態度で春菜は言った。
これが今の自分にできる精一杯の反攻。
そして大事な友人から教えられた諦めない勇気だから。

しかしそんな春菜に対しグロッサーは
「オーッホッホッホッホッホ。」
笑った。

「何が可笑しいの!?」
「そりゃそうよ。ちゃんちゃら可笑しくてヘソで餅が焼けちゃうわ。」
そう言うとグロッサーは春菜に近寄った。
「確かにあなたは変わったかもしれないわね。私のデータにある如月春菜とは確かに違うわ。」
「でもね、変わったのはアナタだけじゃ無いのよ。春菜。」
クスクスと笑いながら春菜と距離を取るグロッサー。
「今一理解が足りてないみたいだからもう一度言ってあげるわ。」
「私は魔王!ハイグレ魔王グロッサー!」
「春菜、あなた言ったわね。『私は変われた。』って。でもね、変わったのはアナタだけじゃ無いのよ。」
「見なさい。これが新しい私。」
そう言うとグロッサーの仮面が歪み完全に笑顔の仮面へと変化した。
「オーッホッホッホ、春菜、アナタが変われたように私も変わったのよ!」
しかし春菜は変化したグロッサーに臆せずジッとその目を見据えていた。
「フッフッフ、良い目をするようになったわね。でもまだ解って無いわね。」
「私は言ったはずよ。二つの物をあげるって。」
「まず一つ目は『本当のあなた。』そしてもう一つは『新しいあなた。』ってね。」
強く言い放ったグロッサーに力が集まる。
「な、何!?これ!?」
「さあ、春菜アナタが変わったならもう一度変えてあげるわ。私が全てを手に入れるための忠実な駒!」
「ハイグレ人間としてね!」
グロッサーから力が放たれる。
その力は赤い光線となり春菜の胸元のブローチへ走った。
赤い光線を受けたブローチの中の目が大きく開かれる。
「イィヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!」
それは先ほどの変化とは比べ物にならない位の衝撃だった。
「さあ、変わりなさい春菜。全て私の為にだけに存在するハイグレ人間に。」
ブローチから入った力が春菜を侵食していく。
「ヤメテェェ!私の中に入らないで。」
それは身体の中を、細胞一つ一つを這いずり廻られ舐められているような感覚だった。
そして春菜の細胞を変化させる。
次に春菜の中に入った力は春菜の中で春菜を書き換えるプログラムへと変化する。
一つは衣装変更プログラム。
先ほど変化した衣装の内、胴体に着けている服が再び黒い膜に変わっていく。
黒い膜は先ほどと違い水着状に変化していった。
「ふ、服が。」
そして水着状に変化し終えると春菜の体を締め付け始めた。
「えぅあ、く、苦しい。」
春菜の体の形を確かめるような動きで締め付けると今度は一転、春菜の体を優しく締め付け始めた。
そして形状を春菜の体に合わせ変化させる。
一通り変化が終わると春菜の体は羽などはそのままだが、
服装のみ先ほどよりも少しだけ黒みと光沢の強くなった紫の水着とロンググローブとオバーニーロングブーツが装着されていた。
その着心地は体全体を優しく締め付けているが股間の部分と臀部のみ少し締め付けが強めになっており、
その独特の違和感は春菜に体が締め付けられていると云う事をより一層意識させた。
(な、なんで?)
疑問に思い股間を確認すると股間の部分の変化が終わる所であった。
「え!何これ!?」
そこには今まで春菜が履いたことのないようなV字のハイレグラインが形成されていた。
そして春菜の股間にハイレグが形成された瞬間、春菜に最後の変化が訪れた。
そうハイグレ人間としての変化が。
「あ、頭が!」
衣装の変化が完了したことによりもう一つのプログラム、人格変更プログラムが春菜を変え始めた。
嘗てグロッサーの部下であった頃の記憶をベースに現在の春菜の人格と記憶を強制的にバージョンアップ。
「頭に何か入ってくる!止めて!私の頭弄くらないで!」
そして価値観の変化。
その変化は『人』としての価値観を根底から変化させ。
「違う違う違う!私は人間!私は如月春菜!」
次に春菜の中の『人』としての部分を消去し。
「いや!止めて!私を消さないで!」
『人』であった部分を『ハイグレ人間』に置き換える。
「イヤァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーー助けてーーーユイちゃん!」



「あら終わったみたいね。」
静になった春菜を見てグロッサーは彼女を地面へと降ろした。
しかし降ろされた春菜は立ち上がらず地面に横たわったままであった。
「さて、どうなったかしら。」
細胞を変化させられ精神を改造された春菜。
「さあ、起きなさい。春菜。」
グロッサーが声をかけると春菜は緩慢な動きで起き上がった。
しかしその目は虚ろでどこも見ていなかった。
「ふっふっふ、まだ自分が認識しきれてないみたいね。じゃあちゃんと起こしてあげましょうか。」

「さあ、起きなさい。『ハイグレ人間コレクターハルナ』。」

グロッサーがそう呼びかけると春菜の瞳に光が宿った。
「さあ、アナタの産声よ。私に聞かせて頂戴あなたが誰なのか。」
グロッサーの声に春菜は答えた。
「ハイグレ!ハイグレ!私はハイグレ人間 コレクターハルナです!ハイグレ魔王グロッサー様!」
「私は誰?」
「貴方様はハイグレ魔王グロッサー様全ての支配者です。」
「あなたの何?」
「私はグロッサー様が全てを手に入れる為の駒です。どうぞ私の全てをご自由にお使い下さい。」
「あなた、私が言えば誰とでも戦えるわね。」
「はい、勿論です。全てはグロッサー様の為。」
「人間でも?」
「ハイグレ人間である私が人間と戦うのに何ら躊躇など有りません。」
「元仲間でも?」
「はい、勿論です。」
「親友でも?」
一瞬春菜の頭にユイの顔が浮かんだ。
しかし
「私はハイグレ人間 コレクターハルナです。グロッサー様に敵は全て私の敵です。」
そう言った春菜の双眸に嘗ての柔らかさはなく股間の食い込みの様に鋭いものだった。

「おーっほっほっほ、良いわ。それでこそアタシのハルナ。さあハルナ、始めるわよ!」
「全てを!総てを!スベテヲ!」
「ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!」
「もっと奉げなさい!アナタのハイグレをもっとよ!」
「はい、グロッサー様。お言葉のままに。ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!」


コムネットの片隅で復活した魔王が狂ったように笑い
従者にされたものはハイグレを捧げ続けた
これこそ野望の胎動音にして
世界が侵蝕される音であった


SETU
2010年03月28日(日) 10時07分34秒 公開
■この作品の著作権はSETUさんにあります。無断転載は禁止です。
■作者からのメッセージ
私悪堕ちヒロイン好きなんですよ  (挨拶)

どうもSETUです

これ書いてる時
「あールシーズとか良いよねー。
洗脳されたヒロインを再洗脳とか良いんでね?」
って思いました
でもルシーズはビキニアーマーが魅力だよねー
いっそハイグレの上にビキニアーマー?
もろちん股間の部分は排除ね

え?うまく書けないからって現実逃避してるだろ?
チガウヨーチガウヨー

さて一様このお話もまだ続くので続きも読んでいただけると幸いです
では次回続きでお会いしましょう
うん、多分続き
きっと続き
もしかしたら続き

ではまた