青き戦士 運命のハイグレバスター
エールがセルパン達と戦っていた時の話
「大変です!プレリーさんがさらわれてしまいました!!」
トランスサーバーからフルーブの声が聞こえてくる。
「え!?プレリーが!?ガーディアンベースの中にいたのに、どうして!!」
エールは取り乱しているようで、声が震えていた。
「それが・・・一瞬の出来事でわからなかったのです。煙のようなもので、視界が遮られたかと思うと、プレリーさんはいなくなっていました。今、ガーディアン達を出撃させていますが・・・・。」
「どこ!!プレリーはどこにいるの!!」
一層慌てるエール。
「お、落ち着いてください。」
「もういい!!アタシが行くから。」
エールはプレリーのことが心配で周りが見えなくなっていた。



「ハア・・ハア・・・ここ?ここにプレリーがいるのかな?」
力の限りに進んで、プレリーがいると思われる建物に着いた。
「プレリー!いるのー?」
エールは真っ暗な建物の中で叫ぶ。反響で声が響く。
「いつまで待たせるのぉ?」
「うっ・・・。」
急に電気がつき、エールは思わず目を閉じる。そして目を開けると、そこにはマントをしていて、仮面をつけている、人間かどうかもわからない奴がいた。
「あんたが・・・・プレリーはどこ!!」
「そんなに会いたい?」
その者は不敵な笑みを浮かべている。
「いいから、プレリーを返しなさい!」
『パチン』その者が指を鳴らすと、建物の奥から足音が聞こえてくる。そして、段々と誰かが見えてくる。
「プレリー!!」
まぎれもなく、いつものプレリーだった。ただ、着ている物がピンクのハイレグ水着ということ以外は・・・
「どうしたの、エール?そんなに驚いた顔をして。」
「・・・・その格好は?」
「これ?似合うかしら?ハイグレ魔王様より授かったハイレグよ。ハイグレッ!ハイグレッ!」
プレリーはガニ股になり、自分のXラインに沿って手を動かす。呆気にとられるエール。しかし、すぐに我に返り、ハイグレ魔王と呼ばれる者の方に振り返る。
「プレリーに何をしたの!!」
「おほほほ、あなたに説明する必要はないわ。今のあなたにはね。」
「許さない・・・絶対に許さない!!変身(ロック・オン)」
エールはモデルZXになった。すぐに敵にZXバスターを撃ちこむ。
「その程度かしら?」
ハイグレ魔王は軽々とZXバスターをかわす。
「だったら・・・。」
今度はZXセイバーで斬りかかる。少し、ハイグレ魔王をかすった。
「ちっ・・・まあ、これぐらいしてもらわないとね。」
「これで決める!!」
再びZXセイバーで斬りかかる・・・が、ハイグレ魔王にかわされ、エールは壁に押さえつけられる。その拍子にエールは変身状態を解除された。
「うぅ・・・。」
ハイグレ魔王の力は強く、エールは動けない。
「ライブメタル・・・?」
ライブメタルからの応答はない。
「おほほほ、無駄よ。あなたもハイグレ人間になるのよ?」
ハイグレ魔王はエールから離れて、手から光線を発射する。
「きゃああああ!!」
一瞬のうちにエールに光線が命中。そして、エールの体に合うハイレグがゆっくりと出来上がり始める。
「こんなところで・・・負けられない・・・・。」
エールは強く自我を保とうとする。だが、ハイレグが肌に触れた瞬間、今まで体感したことのない締め付け感が襲う。
「何・・・?ハイグレ・・・?」
エールの頭の中にハイグレ魔王への忠誠心が流れ込んでくる。
「あ・・・やめ・・て・・・・。」
ハイグレ人間への転向が終わり、エールは赤い光から解放される。
「こんな格好嫌・・・。」
エールの体にピッチリと着くハイレグが完成し、エールは青いハイレグ姿になった。
「これで、あなたはハイグレ人間。あたしの僕よ。さぁ、あたしに忠誠を誓いなさい。」
ハイグレ魔王の言葉を聞き、エールは自分の意思に反して、ガニ股になってしまう。そして、自分の手をXラインに動かす。
「くっ・・・そんな・・・・ハイグレ!」
エールは悔しそうにハイグレ魔王に向けてポーズをとった。
「おほほほ、とても似合ってるわ。」
「・・・ハイグレ!・・・・ハイグレ!あり・・がとうございます・・・ハイグレッ!」
エールのハイグレが段々と気合いの入ったものになってきた。そして、表情も変化しつつあった。
「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレってこんなに気持ちよかったんだ・・・ハイグレッ!」
エールはポーズをとる度に快感に溺れていく。
「エール、とても素敵よ。ハイグレッ!」
「プレリー・・・ありがとう。ハイグレッ!」
エールとプレリーは横に並んでハイグレ魔王に向かってポーズをとった。
「さてと、ハイグレ人間エール。あなたにはハイグレ化の仕事をしてもらうわ。いいわね?」
「ハイグレッ!魔王様の命令なら、アタシは何でもします。」
「それじゃあ、あなたには戦闘用の姿になってもらうわ。」

・・・そして

「これでいいわ。」
エールは頭、腕、足の装備はモデルX。胴体はもちろんハイレグのロックマンが誕生した。
「ハイグレッ!ハイグレッ!魔王様、ありがとうございます!!」
「行きなさい、ハイグレ人間エール。」
「ハイグレッ!!」
エールはハイグレ人間となり、別世界へと消えていった。これからエールは新たなハイグレ人間を増やすために活動をする。









澄み渡る青空の下、使命を背負った者は降り立つ。

「ここが今回のターゲットね。」
青いハイレグ水着姿のエールは路地裏に着いた。
「エール?聞こえる?」
通信機からハイグレ魔王の声が聞こえる。
「ハイグレ魔王様!?何でしょうか?」
「あなたならハイグレモデル]で攻めれば簡単に侵略できる世界はたくさんあるでしょう。」
「あ、ありがとうございます。」
エールは感激しているようだが
「でもねぇ・・・その前にあなたの実力をテストするわ。」
「テスト・・・ですか?」
「これからあたしがいいって連絡するまでハイグレモデル]の使用は認めないわ。」
「でしたら・・・どうすれば?」
「あなたの適応力のテストよ。もう始まっているわ。あたしの期待を裏切らないでね・・・・エール?」
短い言葉の中には色々な意味が込められているのだろう。
「・・・・ハイグレッ!かならず魔王様の期待にお応えしてみせます。」
「頑張ってね。」
その言葉を最後に連絡が切れた。
「それにしても困ったな・・・・適当に何か羽織っておくしかないか。」
エールが歩きだそうとすると・・・
「見〜つけた♪」
「へ?」


「なあ、姉さんは何処?」
「何であたしが知ってるのよ!」
「いや・・・何か言ってなかった?」
「言ってると思う?」
「ごもっとも・・・・。」
「もういいわ、今は学校に行くわよ。」
「いや、ちょっと待ってくれ。」
「だったら先に行くわよ!」
「相変わらずだな・・・・。」
「・・・・にゃあ。」



〜迷い猫オーバーラン!〜

都築 巧の働くストレイキャッツは今日もオーナー不在・・・
「はあ・・・姉さんもそろそろ危機感を・・・って、それは無理か。」
俺はため息をつく。もう慣れたけど・・・慣れたけど、やっぱり良心市はどうかと思う。
「・・・・にゃあ。」
俺の隣では希が相変わらず無表情だ。
「それとさ文乃、一緒に学校に行きたいならそうと・・・。」
俺はここで言葉を止めた。これ以上言うと、文乃に蹴り飛ばされそうだからだ。
「別にあんたと一緒に行くとかじゃなくてね、メールの返信してたんだからね!」
文乃はなんでも反対のことを言う狼少女。本当にいつもの毎日だ。

「巧〜、いい加減に学べよ〜。」
登校中、俺に話しかけてきた眼鏡は家康か。根はいいやつだけどな・・・
「家康、朝っぱらから何?」
俺の言葉に家康は眼鏡をかけ直し、語り始める。
「いいか?男のロマンは二次元にあるんだ。どうせ、今日も縞パンだろ?懲りないなぁ。そんな縞パンとなど・・・。」
家康の血の気がサーッとひいていく。わかるよ、俺の背後の文乃が鬼の形相だからね。でも、こうなるなら言わなければいいのに・・・とか言ってる間に家康が地面にたたきつけられてる。
「家康、もう少し言動には気を使った方がいいぞ。」
「わがっでまずよ・・・。」
「都築、菊池のことは任せていい。先に行け。」
後からやってきた大吾朗が倒れている家康と俺の間に入る。
「え?何で?」
大吾朗は黙って後ろを見る。その先には不機嫌そうに腕を組んでいる文乃とただこっちをじっと見ている希が待っていた。
「早く行け。」
「悪いな、大吾朗。」
俺は二人のもとに駆け寄っていった。
「遅い!もっと早くしなさい!」
近づくなり文乃から努声が響く。
「そんなに怒るなって、大した時間じゃないだろ・・・・。」
「あんたに時間を使ったのが無駄だって言ってるのよ!二回死ね!」
それだけ言うと文乃はどんどん先に進んでいった。
その様子を見ていた希は微笑していた。

その後は授業中に眠るという失態を犯す他、何もなかった。
そして放課後、ストレイキャッツに戻る。
「やっぱり姉さん、帰ってきてないよ・・・・。」
「もう、だったら早く仕事するわよ。」
俺達は仕事に取り掛かる。と言っても、お客は・・・
「よう巧、来てやったぜ。」
「すまんが、冷たい梅昆布茶をくれ。」
家康と大吾朗ぐらいのものだ。今日は姉さんもいないし、お客が少ないなぁ
『カランカラン』
店の扉が開いた。入ってきたのは梅ノ森。
「おい巧、私直々に来てやったぞ。お手。」
なんとも小さい手を着きだす、梅ノ森。俺はただその手に自分の手を置いた。
「ほら、早くこっち手伝って。」
文乃の声を聞き、俺達はケーキ作りを開始する。
しばらくして・・・
「みんな、たっだいま〜♪」
この声は姉さんが帰ってきた。振り向いた俺達の目に映ったのは姉さんと見たことのない少女だった。
見るからに明るそうな子だが・・・
「・・・・・・。」
誰もが言葉を失っている。(希は自然体)
そんな中、姉さんが一言。
「拾っちゃった♪」
少しでいいから自重してほしい。
「姉さん・・・まさか、その人を・・・・。」
「ピンポ〜ン♪ほら、この子可愛いでしょ。」
確かにいかにも普通そうな子だ。ただ、ストレイキャッツにお金がないことは理解してるだろうか?
・・・してたらこうはならないか。
「と言う訳で、自己紹介してくれる〜?」
「・・・・・・・。」
その少女は黙っている。ただ、こっちだけを見ている。
「あ、あらら?お名前を言ってくれるかな?」
「エールと言います。」
どうしたものか・・・・名前に突っ込むべきなのか。いやいや、それは失礼だ。しかし、変わった名前だ。
「・・・ふ〜む。」
家康が物珍しそうにしている。三次元に興味ないやつが(例外はあるが)
「何ジロジロ見てんのよ!!」
あ、なぜか関係ない文乃が家康を蹴り倒した。
「もうエールちゃん可愛い〜♪」
「うわっ!!」
姉さんがエールさんを抱きしめた。しかし、あの胸の力は凄い。胸って武器になるよな。
「それで、エールさんはどこから来たの?」
文乃が片足でうつぶせで倒れている家康を踏みながら質問をする。
「え・・・っと、遠い所・・・・かな?」
姉さんの胸から解放されたエールさんが口を開いた。だけど、かな?って・・・・どうよ?
「姉さん、事情を説明してくれ。」
「え〜?この近くにいたんだよぉ。」
猫を撫でながら大まか過ぎる説明をしてくれた。
「それってまずいんじゃないか。親が近くにいたら・・・。」
「アタシに親はいないから。」
エールさんはすかさず俺の質問に返答する。なにやら理由がありそうだが
「エールさん、どうかした?」
「別に。それと、さん付けやめて、調子が狂うから。」
どうも素っ気ない人だな・・・・
「まあまあ、エールちゃんはこれから私達の家族であり、ストレイキャッツの一員なんだから。」
姉さんは笑顔だ。
「姉さん、本人の気持ちを聞かないと。」
「エールちゃん、ここで働きたいって言ってたわよ。ね?」
姉さんが聞くと、エールは少し遠慮気味だ。
「迷惑だと思います。ですが・・・・もし、もし良かったら。」
「いいに決まってるじゃない♪ねえ?」
まあ、姉さんが言うようにいいとは思う。
「・・・・・・あの子、変わってる。」
希が俺に近寄って、小声でそう言った。
「変わってる?まあ、確かにそうかも。」
最初の頃の希も違う意味でちょっと変わってたけどね。ちょっとだよ、ちょっと。

「それじゃあ、そろそろ帰るわ。」
少しの時間がたち、家康と大吾朗が席を立つ。
「あぁ、じゃあ。」
「巧、ちょっと付き合ってくれるか?」
家康が妙に真剣な表情だ。
「わかった。」
俺は家康と大吾朗の見送りをすると言って、文乃に脛を蹴られ、ストレイキャッツを出た。
「で、どうしたんだ?」
さっきの家康の顔は何かあるはず。
「エールって子、二次元萌えに部類するんだよな。」
期待したのがバカだった。
「しかし都築、あの者は少々変わっているぞ。」
「大吾朗もそう思うの?希もそう言ってたんだよな・・・。」
俺は特には気にしなかった。まだ慣れてないだけなんだなと。



そして、夜になり、エールは用意された部屋にいた。
「・・・・うぅ、今日はずっと服を着てて凄く気持ち悪い。だけど今脱ぐとばれちゃうし・・・・。」
エールが困っていると通信機に連絡が入る。
「エール?調子はどう?」
「・・・・プレリー?」
「そうよ。」
連絡をしてきたのがプレリーだとわかりエールの表情が明るくなる。
「エール、どうしたの?何かあった?」
「ハイグレが出来なくてちょっと苛々してたの。」
「それは大変ね・・・。今はテストだもんね。」
変身出来ないエールはとても苦しい状況。ハイグレが出来ないとストレスもたまるものだ。
「でも、頑張って。魔王様はお優しい方だけど、甘くはないわ。下手するとジャージの刑とか。」
「それ・・・最悪。ジャージって品がなさすぎ。」
「ハイグレッ!大丈夫よ。エールなら失敗はないわ。」
「ハイグレッ!ありがとう。」
エールにとってはここからが本番だ。

「それじゃあ二人共、いってらっしゃい。」
姉さんとエールに見送られ、学校に向かう俺と希・・・ってやっぱり名前が気にな―
「それと・・・文乃、行くなら行こうぜ。」
いつもの通り文乃は待っていた。本人は認めてないけど。
まあ、何も変わらない一日が始まるだろう。
「ねえ巧、どうしてエールは学校に通わせないのかな?」
「そのうち通わせるんじゃない?」
姉さんは姉さんなりに考えているのだろう。

しかし、巧達が家を出て、学校へ向かって行くのを確認したエールは・・・
「さてと・・・アタシも行動開始しようかな。」
「エールちゃん、もう行っちゃう?」
「・・・あなた、本当に洗脳されてるの?」
「勿論、私はハイグレ人間よ。ハイグレッ♪」
乙女は服を脱いで、青いハイレグ姿になる。
「それにしてはマイペースね・・・・。」
「いいじゃない、エールちゃん。」
「そうだ、こうしちゃおっか。」
エールは光線銃を構える。
「ちょ、エールちゃん?」
「魔王様への忠誠心が足りないと思うし、もう一回光線を浴びてもらうわね。」
「やめて・・・きゃああああ!!」
「アタシは侵略するなら徹底的じゃないと気がすまないの。」
「ハイグレッ!ハイグレッ!あはは、ハイグレのことしか考えられな〜い♪」
乙女はさっきより格段に激しくハイグレをしている。
「あ・・・やり過ぎちゃった・・・・まあ、いいことね。じゃあ行ってくるね。」
「ハイグレッ!エール様、頑張ってください。」
「と、とにかく、切り替えていこう。」
エールはストレイキャッツを出て、巧達の後をつけていった。



その頃、教室にいる巧達は・・・・



「うわ・・・・眠い・・・・。」
「家康は深夜番組だろ・・・・・。」
俺と家康は机に突っ伏していた。
「都築よ。何か嫌な予感がしないか?」
大吾朗が考え事をしながら俺のところに来た。
「どうしたの?珍しいこと言うね・・・・。」
「・・・・どうもエールという少女のことが気になって、昨日の夜はなかなか眠れなかった。」
大吾朗の言葉を聞いて家康が素早く立ち上がった。
「何だ!まさか3次元に恋か!!」
「大吾朗、エールってそんなに変かな?」
「無暗に人を疑いたくはないのだが。」
俺と大吾朗は家康の方を見ないで会話を続ける。
「巧!無視か?ここで無視か!?」
「あ、そこ邪魔。」
「ぐぼぁ!!」
家康が大げさな断末魔をあげて椅子と共に床へ崩れた。
ただ、文乃は邪魔だからって回し蹴りで蹴り飛ばさなくても・・・・。
少しスカートの中が・・・・。
「何考えてんのよ!この変態!!二回死ね!!」
気付かない間に顔はにやけていたようだ。
俺も蹴り飛ばされ家康の横で散った。
「・・・・・・・・・。」
「希、どうしたの?」
窓から外をジッと眺めている希に文乃が話しかけている。
「今・・・・外に誰かいた。」
「それは・・・普通じゃない?」
二人が何か話している中、倒れている俺のもとに梅ノ森が来た。
上から俺を覗き込んでいる。
「どうしたんだ?梅ノ森。」
「佐藤と鈴木を見なかった?珍しくいないのよ。」
確か、梅ノ森に仕えているメイドの二人だよな。
「見なかったけど?」
「あの二人は何しているのか・・・その分、今日は巧に働いてもらうわよ。」
何か面倒なことになっているぞ。



授業も終わり、放課後・・・

「早くストレイキャッツに戻らないとな。」
今日はやたら疲れた。
でも店の方も休む余裕はない。
「何してんのよ!早く帰るわよ。」
少し考え事をしていると文乃に背中をひざ蹴りされた。
「わかったって、帰ろう。」
「別にあんたと帰りたいわけじゃないからね。」
「はいはい・・・。」
俺達が教室を出ようとすると、梅ノ森のメイドさんがいた
「あぁ!!今までどこ行ってたのよ。」
「申し訳ありません。ですが、大事な用があります、千世様。」
「これから?後でじゃ・・・・。」
「ダメです!今すぐです!!」
「い〜や〜、巧と帰るの〜。」
梅ノ森が連れて行かれた・・・・。
「ほら巧、行くわよ。」
「あ、あぁ。」
俺は仕方ないから帰ることにした。
すまない、梅ノ森。



「佐藤、鈴木、それで何よ。」
千世が不満そうにしている。
「そもそも校舎裏で話す意味がわからないわよ。」
「そこからはアタシが話すよ。」
エールが奥から登場。
「あれ・・・?昨日の・・・・何でそんな格好してるの?」
千世は戸惑った。
何でこんな場所で水着なんて着ているのか。
「佐藤、鈴木、どういうことよ。説明しなさい。」
「千世様もハイレグを着るのです。」
「はぁっ!?」
状況がまったく理解できない。
何で自分がそんな格好しなくちゃいけないのか。
「私達は既にハイグレ人間。先ほどエール様に洗脳していただきました。」
いつものように淡々と話す佐藤。
そして二人も服を脱ぎすて黒いハイレグ姿になる。
「あのねぇ・・・いくらなんでもテレビに影響されすぎ。」
この前、○レヨン○んちゃんの映画版でハイグレ人間だか何かやってたようなと思う千世。
「さてと・・・あなたにもハイグレ人間になってもらうわね。」
エールは光線銃を取り出す。
「じょ、冗談じゃいわよ!!何で銃を向けられなくちゃいけないのよ!!」
千世は逃げようとするが、佐藤に右腕、鈴木に左腕を掴まれる。
「千世様、逃がしませんよ?」
「ここでハイグレ人間にしてもらいましょうね。」
「こ、子ども扱いするな!!」
とにかく暴れる千世を見てエールは優しげに言う。
「ハイレグは胸がなくても平気だから♪」
この言葉は千世にとっては頭にくるものだった。
「うるさぁぁぁい!!」
より一層強く暴れる千世。
「元気があっていいわね。覚悟しなさい。」
エールの放った光線はかわすことのできない千世に命中した。
千世の着る学校の制服は薄くなり、代わりにハイレグが完成していく。
幼児体型だろうと足を魅せるハイレグは関係ない。
千世はオレンジのハイレグ姿になっていた。
「なっ、何なのよ・・・・これ・・・・。」
慌てる千世。
だけど、エールは顔色一つ変えない。
「そう、あなたはハイグレ人間になったの。あの乙女という人もアタシが洗脳した。」
「それじゃあ巧達は・・・・。」
「えぇ、次はあの子達。」
知らせないといけない、だけど千世の脳から指示が出る。
ハイグレをしろと。
何度も何度も・・・逆らおうとはするが、体はハイグレの体勢になってしまう。
「アタシがお手本見せてあげよっか?」
エールがニコッと笑う。
すぐに腰を落としガニ股になる。
「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」
エールのハイグレは他のハイグレ人間と何かが違う。
明らかに気持ちがこもっている。
真剣な眼で、飛び散る汗はスポーツ少女の流すほどにきれいに見える。
この動作が恥ずかしいものだとしても、エールは自分のやりたいことをしている。
ハイグレ人間であることに誇りを持っている。
ハイグレを嫌っていたとしてもエールのハイグレには見惚れてしまうだろう。
「うぅ〜、ダメ・・・・ハイグレッ!ハイグレッ!」
エールのハイグレを見た千世は心の隙を見せてしまった。
ハイグレを拒むことができずにコマネチを始める。
「はい、よくできました。これからあなたにも協力してもらうね。」
エールは笑顔で千世に話しかける。
「ハイグレッ!わかりましたぁ。巧も私の下僕としてハイグレ人間にして、文乃達も。」
「早く終わらせればハイグレ魔王様に褒めていただける。アタシも嬉しい、この世界の人間達も嬉しい。こんないいことはないわね。さぁ、行きなさい。」
「「「ハイグレッ!」」」
千世達は向かう、ストレイキャッツへ。



「ただいま・・・・。」
俺がストレイキャッツに戻ると、姉さんが待っていた。
「おっ帰り〜♪」
「はぁ、よかった今日はどこにも行かなかったみたいだね。」
俺の後ろにいる文乃達も安堵のため息をついている。
「ほら、そんなところにいないで上がって上がって。」
姉さんに流され、俺達はいつもの通りに店で・・・・。
っと、梅ノ森が追いついてきた。
「巧!今日は重大な発表があるぞ!!」
どうせろくでもないことかな。
変な話だったら適当に流すさ。
「今日からストレイキャッツの制服はハイレグ!!」
「「「「はぁ!?」」」」
梅ノ森がこんなことを言うとは・・・・
まったくの予想外だ。
そもそもハイレグって・・・女ものの水着だったような・・・・。
「いいじゃん、そうしよ〜う♪」
姉さんが何か間違った方向のことを言い出した。
「姉さん、店の制服が水着なのはおかしすぎるって!」
「お客がいっぱい来そうじゃない?」
そういう問題ではないと思うんだけどな・・・・。
「梅ノ森も急に何言ってんだよ。」
「巧、下僕のくせに私に従えないのか。」
「当然でしょ!!」
なぜか俺のかわりに文乃が答えた。
「ハイレグだかなんだか知らないけど、絶対にお断りよ!!」
「何でよ、いいじゃない。」
「よくない!!」
文乃と梅ノ森が言い合っている。
姉さんがハイレグなんか着たらまた胸の部分が破ける気がするんだけどな・・・・。
って、そんなこと言っている場合じゃない!
「姉さん!いくらなんでもこれはおかしいって。」
「う〜ん・・・そっか。わかったよ♪」
やけに素直だ。
まぁ、そうでないと困るか。
「・・・・それじゃあ、文乃、希、始めよう。」
正直、今日の姉さんは普通じゃない。
少し気になるけど、ストレイキャッツにそんな余裕はない。
さぁ、仕事仕事。



エールはというと、人気のない路地裏で待機している。
「・・・・あのハイグレ人間達、上手くやれてるといいけど。」
エールは少々不安そうにしている。
日差しが強くて外にいると、かなり暑い様子。
上から服を着ているだけあって、苛立ちも伺える。
「エール?聞こえるかしらぁ?」
通信機からハイグレ魔王の声が聞こえる。
「ハイグレッ!ハイグレ魔王様、いかがいたしましたか?」
「侵略状況はどうかしら?」
エールは少し返答に困る。
状況は悪いわけではないけど、特別誇れるほどではない。
ハイグレ魔王の期待を裏切るわけにはいかない。
「現状ではもう少しだけ時間が必要です。」
「そう。いい知らせを待ってるわ。あたしの方も準備が整ってきたから。」
そこで通信は切れた。
だけど、エールは何か考え事をしている。
(ハイグレ魔王様が準備?何のこと・・・?っと、気にしてばかりじゃダメね。ハイグレ化を本格的にしていこうかな。)
エールは考え事を止めて歩きだした。



「ふぅ・・・一段落ついたな。少し休憩するか。」
今日はそこそこお客も来てくれた。
だけど、梅ノ森も不機嫌そうだし、姉さんも様子がおかしい。
休憩なのにあまり休めない。
「何か、外が騒がしくない?」
確かに騒がしいかもしれない。
さっきから希がそわそわしている。
「希、どうしたんだ?」
「何か・・・・いる。」
「何かって・・・何?」
「わからない・・・・でも、嫌な気がする。」
希は小難しそうな顔で外への扉を開ける。
外には常識からかけ離れた状況だった。
みんなハイレグ水着を着て、異様なポーズを繰り返していた。
その上、『ハイグレッ!』と叫び続けている。
「な・・・何これ!?」
「あ、もうエール様が行動を開始したんだ。そろそろ私達も動かないとね。」
姉さんから嫌な気配を感じる。
特に姉さんの笑い方が不敵で、恐怖すら覚える。
「乙女師匠から禍々しい気を感じるぞ。」
大吾朗・・・俺も同じ思いだ。
だけど、気って・・・戦闘力かなんかか?
俺達が呆気にとられている間に、姉さんが服を脱ぎ捨てる。
青のハイレグ水着を着ていた。
「ね、姉さん!何やってるんだよ。」
「いい?これからはみんなハイグレになって生きるのよ。ハイグレッ!ハイグレッ!」
いい訳ない。
それにそのコマネチ的ポーズはおかしい。
「巧!逃げるわよ!!」
既に文乃が外に出ている。
確かに、今起きているのは尋常じゃない。
俺も出ようとするが、オレンジハイレグを着た梅ノ森が入口に立つ。
「巧もハイグレにしてやるからな。」
「おい、まさか梅ノ森もハイグレ人間なのかよ。」
「ハイグレッ!そうだ、巧もハイグレ人間になるんだ。下僕として命令を聞くのは当然・・・はふぅ。」
希のゴールドフィンガーが梅ノ森をなだめる。
ナイス希!ファインプレー!
「巧!後ろ!!」
外にいる文乃が指をさす。
後ろ?俺が振り返ると、姉さんがおもちゃにも見える銃を構えている。
「ね・・・姉さん?」
まずい・・・撃つ気だ。
「乙女師匠は俺が食い止める。」
大吾朗が姉さんの前に立ちふさがる。
大吾朗・・・・なんていい奴なんだ。
そして、すぐに逃げ出した家康・・・・なんて奴だ。
「大吾朗、すまない。」
俺と希は外に出て、文乃と合流する。
「とりあえず、学校に逃げた方がいいかな。」
走りだそうとした時、前方から青いハイレグを着たエールが・・・。
「残っているのは3人ね。」
家康は・・・いいか。
「エール、何をするつもりなんだ?」
「アタシはこの世界をハイグレに染めるためにいるの。拒否権はないわ。全員ハイグレを着なさい。」
エールの目には闘志の炎が燃えている。
かなり強い意志を持っているようだ。
銃も持っているし、どうするか。
「・・・先に行って。」
今度は希が前に出る。
でも、さすがに希一人に任せる訳にはいかない。
「希を置いていけない。」
「・・・・・平気。」
そう言って屋根の上に飛び乗る。
「巧、あんた貧弱何だから、これだと逆に足を引っ張るわよ。」
文乃の言うことはもっともだ。
「・・・・悔しいけど、先に行く。」
俺と文乃は走りだす。
エールは横目で俺たちを見たが、止めはしなかった。
「文乃、学校に行ってどうするつもりだ。」
俺は走りながら文乃に聞く。
「正常な人さえいれば何とかなるんじゃないの。」
今はさすがに文乃も真面目みたいだ。
俺と文乃が走っていると高級そうな黒い車が俺たちを抜いて、前方で止まった。
「夏帆さん!!」
夏帆さんが車から降りてきた。
ハイレグは着ていないから平気だろう。
「先程千世様に会いに来たのですが、何やら様子がおかしいもので。」
夏帆さんも困った様子だ。
まぁ、それは当り前か。
「夏帆さん。信じられないと思いますが、この街の人たちがおかしくなっているみたいで。」
普通に考えたら俺の言っていることはおかしい。
だけど、この状況だったため、夏帆さんは信じてくれた。
「とにかくここは危険ですね。車に乗ってください。」
俺と文乃は夏帆さんの車に乗る。
車はすぐに走りだした。



その頃、エールと希はお互いに屋根の上
下にはエールによってハイグレ人間にされた人達のコールが響く。
希はいつもの表情のまま聞く。
「・・・・どうしてこんなことするの?」
希の質問を聞いて、エールは自信満々に答える。
「決まってるじゃない。ハイグレが素晴らしいってことを伝えてあげてるのよ。」
そんなエールを見て希は悲しそうな顔をする。
「・・・エール、本心は違う。」
希が言うと、エールは希を睨む。
「アタシがハイグレを望んでいないと思ってるの?だとしたら、どうかしてるわ。アタシはもうハイグレなしじゃ生きていけない。そう、全ての人間もそうなるべき。」
エールは言い終えると光線銃で希を狙う。
「ッ!!」
希は光線を素早くかわす。
エールが何発撃っても上手くかわす。
「速い・・・・。」
さすがのエールも困る。
希はかなり素早い。光線銃で洗脳するのはかなりキツイ。
希はエールの後ろに回り込む。
「っ!!いつの間に・・・・。」
「・・・・エール、もう止めよう。」
希はエールを翻弄しつつ、説得を試みる。
希も攻撃を仕掛けることはできそうもない。
「この動きをなんとかできれば・・・・。」
そんな時、通信機に連絡が入る。

『エール、そろそろ終わらせなさい。』

その一言だけだった。
だけど、エールにはとても意味のある一言だった。
「この時を待ってたわ・・・・変身(ロック・オン)」
エールのハイレグが一瞬消える。
そして、再びハイレグがエールの体を包む。
エールは紫色のハイレグを身に纏う。
ハイグレ・モデルPXになっていた。
ハイレグを着ている以外はもとのモデルPX。
「・・・その姿。」
希が驚いた表情をしている。
「ここからが本番よ?」
エールは笑顔でピンク色に光るクナイを取り出す。
「・・・・・・・。」
希は再び素早く動く。
だけどエールは余裕の笑みを浮かべる。
そしてクナイを投げる。見事に希を捕えていた。
右肩にクナイはささると光線にかわり、希の体を包む。
希は大の字になり、服がハイレグに変わっていく。
光から解放された希は水色のハイレグを着ていた。
「・・・・・・・。」
希は逆らうことができず、腰を落としてガニ股になる。
無表情のままだけど、頬を赤らめながらコマネチを始める。
最初は動作だけだが、段々と声が出てくる。
「ハイグレ・・・ハイグレ・・・・。」
希がコマネチを始めるとエールは変身を解く。
もとの青いハイレグ姿になった。
「どう?これがハイグレよ。」
エールが聞くと希は微笑む。
「ハイグレ、ハイグレ、気持ちいい。」
ハイグレ化した希を確認したエールは方向転換する。
「さて、あとは2人だっけ。行くよ。」
エールは巧と文乃の向かった道を進み出した。



「さてと、夏帆さん。これからどうするつもりですか?」
俺が聞くと夏帆さんは困った様子で言う。
「今のところ安全な場所はないようですね。」
「じゃあ、学校は?」
文乃が学校に行くことを提案した。
他に行く場所もないし、頼りになる人もきっといるだろう。
「それではそちらへ向かいましょう。」
俺達の乗る車は学校へ向かった。

少しして学校に到着。
車から降りると、背後からエールが来ていた。
それも青いヘルメットと腕に銃でもつけたような格好。
「文乃!夏帆さん!急いで校舎に入るんだ!」
俺が言うと、二人も車から降りる。
「な、何あれ・・・武装?」
文乃が呆気にとられていると、エールは銃のついた腕をこっちに向けてきた。
「文乃!走れ!」
「え・・・あ、うん!」
文乃も素直に従い、校舎へ走って行った。
俺も後を追おうとしたが、エールの腕の銃が光っているところを見ると何か撃ってくるとしか思えない。
「巧!あんたも早く!」
俺も後を追いたいが、あの銃がある以上背中を見せる訳には。
「・・・・ッ!」
一瞬だった。
エールの腕から発射された光は俺に飛んできた。
だけど、夏帆さんは俺をかばっていた。
「夏帆さん!」
「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」
夏帆さんは苦痛の表情でコマネチをしている。
また、エールが俺を狙っている。
夏帆さんのためにも俺は逃げ切らないと。
俺はそのまま校舎に逃げ込んだ。
「巧!ダメ、校舎内の人もおかしくなってる。」
やはり学校もダメか・・・・。
「私、もっと奥の方見てくる。」
文乃は校舎の奥に走って行った。
「いつまで逃げるの?」
すぐ後ろにはエールが来ていた。
「案外早く終わりそうね・・・・。」
エールが通信機らしきものを手に取った。
仲間から連絡がきたのか・・・・?
「・・・?それは本当ですか?はい、わかりました。」
エールは通信を終える。
「おい、エール。仲間からの連絡なのか?」
エールは俺に冷たい視線を浴びせる。
「誰でもいいでしょ。ここでやることは終わったわ。あら?もう一人いたはずだけど・・・・?」
エールは文乃が校舎の奥に向かったのを見てないのか。
「まぁ、どこかでハイグレ人間になってるでしょ。それじゃあ、最後の仕事を済まそうかしら。」
エールが銃を構える。
「エール・・・あんた、それが本心なのか?」
「・・・・何が言いたいの?」
「いや、何かエールは本当はこんなことしたくないんじゃ・・・・。」
「そう思うならあなたは相当異常ね。いいわ、終わらせてあげる。」
予想以上にエールの動きは早かった。
俺はそれから何があったかは覚えていない。
ただ・・・文乃はどこへ行ったのか分からないんだ・・・・・・・。





エールはもとの世界へと帰還した。
そう、ガーディアンベース。
ただ、ガーディアンは誰もいない。
「あら、お帰りなさい、エール。」
「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレ人間エール只今帰還しました。」
エールはハイグレ魔王に向かってハイグレをした。
「さてと、それじゃあ結果を見させてもらうわ。」
ハイグレ魔王はモニターを確認し始める。
「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」
「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」
エールの向かっていた世界の人間は全てハイグレ人間になっていた。
「さすがね、エール。これなら・・・・いけそうね。」
ハイグレ魔王が不気味に笑う。
「何がですか?」
「入っていらっしゃい。」
ハイグレ魔王が言うと、ゼクスが入ってきた。
「・・・・・・この方は?」
「これから私があなたのパートナーとなります。」
ゼクスが言うと、エールは黙りこむ。
「あら、どうしたの、エール?」
「いえ、別になんでもありません。魔王様のお決めくださった方なら喜んで。」
慌てて笑顔を取り繕うエール。
「次のあなたの行先はゼクスの知恵が必要なのよ。きっとエールの力になるわ。」
「・・・・ハイグレッ!わかりました。ゼクスさん、よろしくお願いします。」
「それじゃあ、少し二人で話でもしてなさい。もう直、目的地に向かってもらうわ。」
ハイグレ魔王は去って行った。
部屋に沈黙が訪れる。
「ハイグレッ!ハイグレッ!よろしくね、エールちゃん。」
「・・・・アタシはまだあなたのことを信頼してるわけじゃないから。」
ツンとした態度をとるエール。
ゼクスは困った表情をしている。
「あなたとは話したいことがあるんだけど・・・・仕方ないか、それはまた次の機会で。」
「・・・・・・・・・・・。」





「おほほほ、私達の勝ちのようね。それじゃあ失礼するわ。」
「くっ・・・・・逃げられた。」
「・・・・・今回は向こうが一枚上手だったわね。」
「次は絶対に逃がさないよ。」
「・・・・わ、私も頑張ります。」
「ネロ、エリー、コーデリア。次こそはアルセーヌを捕まえよう。」
「「「オォーーー!」」」
「お・・・・おぉー。」



〜探偵オペラ ミルキィホームズ〜



「エール・・・・そろそろ時間よ。」
「そうね、じゃあ行きましょうか。ゼクスさん?」
まったく打ち解けようとしないエール。
「今回は前回と違って変わった力を持っている人がいるみたいだから気を抜けませんよ。」
「気を抜くつもりはありませんから。」
「ふふっ、そうでなくては待った意味がありませんよね。」



































 『運命のハイグレバスター』
          もう一人の戦士



「エール・・・平気かしら。」
ピンクのハイレグを着たプレリーは司令官席で悩んでいる。
自分はこちらの世界の侵略をしないといけない。
大体はハイグレ化ができたようだけど、不安要素が一つ。
「さっき魔王様に大事な用があるって言われたけど、どうしたらいいのかしら。」
話によると、かなりの技術力で作られたものらしい。
「とにかく、行かないといけない。魔王様を待たせるのはよくないわね。」
プレリーは立ち上がり、あの時の真っ暗な建物に向かう。
「来たわね。」
その中にはハイグレ魔王がいた。
「ハイグレッ!ハイグレッ!魔王様、大事な用とは何ですか?」
しっかりとハイグレ魔王にハイグレを捧げてから質問をする。
「おほほほ、優秀なハイグレ人間がいるのよね。こっちにいらっしゃい。」
ハイグレ魔王が言うのと同時に一人のハイグレ人間が近づいてくる。
茶髪のショートヘア。
エメラルドグリーンの瞳にメガネをかけている。
メタリックなピンクのハイグレ姿。
「この方がですか?」
「えぇ、そうよ。名前を言ってあげたら?」
ハイグレ魔王が言うと、その女性は一礼する。
「名乗るような者ではありません・・・・強いて言えば、ゼクスと呼んでいただきたいですね。ハイグレッ!ハイグレッ!」
「ゼクスさん?」
プレリーは興味深そうにゼクスを見る。
「そうよ。このハイグレ人間は特別技術力の高い三人のうちの一人。」
「この装置をプレリーさんに渡しに来ました。」
ゼクスはプレリーにピンク色の腕輪を渡す。
「これは何ですか?」
「それはプレリーさんに必要なものです。」
「あなたの力が必要になるのよね。」
プレリーが不思議そうな顔をする。
「どういうことですか?」
「とにかく、あなたにやる気があればの話よ。あたしのために働きたい?」
プレリーにとってその質問の答えはすぐに出る。
「ハイグレッ!ハイグレッ!当然のことながらハイグレ魔王様のお役に立ちたいです。」
プレリーは真剣そうな表情でハイグレ魔王を見る。
「よろしい。それじゃあ、実践を始めるわよ。」
「実践?」
「エールさんは青き戦士。プレリーさんはもう一人の戦士となるんですよ。」
ゼクスの一言でプレリーの顔つきは少し変わる。
「もう一人の戦士・・・・。」
「いいわね、プレリー?」
ハイグレ魔王の問にプレリーは力強くハイグレをした。





「おい、いい加減に動かねぇか。」
「ダメ・・・今はまだ・・・・。」
「パンドラ、いつまでも待ってられねぇ。俺は行くからな。」
「プロメテ・・・・まだ、早い。」
「関係ねぇ。今回ばっかりは俺の自由にさせてもらう。」
「あいつ・・・今、動いてる・・・・・少し・・・近づいてる。」





プレリーがガーディアンベースに戻った後・・・

「魔王様、プレリーさんを戦場に立たせて平気でしょうか?」
ゼクスの言葉にハイグレ魔王は軽く笑う。
「あら、あなたなら理由はわかっているでしょう?」
「ハイグレッ!ハイグレッ!もちろんです。」
ゼクスはいつでも平静を保つ。
「あなたの求めている少女は今も他の世界で働いているわよ。早く会いたいかしら?」
「そうですね、是非ともお会いしたいです。それで、失礼ながら魔王様はしばらくこの世界にいるおつもりで?」
「今はいるつもりよ。でも、直に来るわ・・・アクション仮面への復讐の時が。」
「それでは私は準備をしますね。あの子の歓迎会の・・・・。」





ガーディアンベース

プレリーは司令官席に再び座る。
やらなくてはならないこと・・・。
それは危険因子の排除。
エールが他の世界に行っている間はプレリーがこちらの世界を守る。
この世界での危険因子は言わずと知れた奴だ。
特に冷静に物事を決めて動く方は厄介だろう。
ガーディアンが集まったのを確認するとプレリーは司令官席を立つ。
「ハイグレッ!ハイグレッ!これから行動を開始します。私の指示には従い、確実に成功させるように。」
「「「ハイグレッ!ハイグレッ!」」」
ガーディアン達は司令官席の前に立つプレリーにハイグレを捧げる。
プレリーはその様子を見て、優しく頷く。
そう、まだこの世界には危険因子が残っている。
エールのことを思うプレリーは強い使命感を持っている。
ガーディアン達は動きだす。
プレリーを先頭にガーディアン達はエリアCを歩く。
住人達は全員、色とりどりのハイレグ姿でコマネチをしている。
プレリーに気づくと、ガーディアン達にハイグレを捧げる。

『司令官が戦場にいることによって、指揮の効率は上がります。そのためにプレリーさんには前線に立ってもらいます。目標は・・・彼女です。』

続く
DY
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2010年10月16日(土) 00時13分35秒 公開
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■作者からのメッセージ
はい、DYです。
随分と更新が途絶えてました。
この時期は本当に忙しいですね。
さて、次回からはミルキィホームズです。
この作品はかなり見る人を選ぶ作品ですので・・・
自分はかなり好きですよ。

しかし文章力が未熟ですね、自分。
もっと丁寧に描けるよう精進するので気長に待って頂ければと思います。
高い完成度でできる限り早く更新できるといいですが。