レジェンド










地球侵略をされてからかなりの時が流れた
ほとんどの人間はハイグレ魔王の手先にされてしまった
残った地球人は宇宙へ逃げることしかできなかった
そして人間達の最後の希望・・・・4惑星を発見した
そう、ハイグレ魔王軍と戦うための希望










「シュウ様、起きてくださいませ。」

ベッドで寝ている高校生の横から優しい女性の声がする
眠気を抑えて、嫌々目を開けると、メイド服を着た女性が瞬きせず見ていた。

「あれ・・・。」

その高校生はベッドから降りる。
部屋には机やクローゼットなど、家具は至って普通だ。
だけど、窓から見えるのは宇宙空間だけだ。

「おはようございます、シュウ様。」

高校生がベッドから降りると、女性はお辞儀をする。
緑色の髪で短髪。でも、この女性は人間じゃない。
ほとんどが人間と変わらないアンドロイド。

「何だ501か。何か用?」

欠伸をしながら、501に話しかける。
この高校生の名前は『シュウ』
水色単色のスポーツウェアを着て、青い長ズボンを穿いている。
短い黒髪は寝ぐせでボサボサ。

「リョウコ様がお呼びですよ。遂にハイグレ魔王の方で動きがあったらしいです。」

シュウ含む人間はハイグレ魔王の侵攻によって地球から逃れることになってしまった。
今はこの宇宙ステーション『セルフェア』で暮らしている。
宇宙ステーションではあるが、かなりの技術力で安定させ無重力ではなくなっている。
とは言っても、子供、老人は付近の安全な星『ミーム』で暮らしているが。

「司令官がか。何かとんでもないことが起こるんじゃないか?」

シュウは大きくため息をついてベッドに座り込む。

「それではリョウコ様の所でお待ちしています。」

501は表情一つ変えず部屋を出て行った。

「やれやれ・・・・。」

シュウは立ち上がると、黒単色のウィンドブレーカーをはおる。
そして、普通の学校の廊下に似た通路に出る。

「司令官の部屋はここだな。」

随分と厳重にロックがかかっている部屋。
部屋の前の警備員一人に事情を説明して、中に入る。
部屋の中は変なコードだらけで少々歩く場所に困りそう。
コードを踏まないように前に進む。
その先にはさっきの501が立っていて
リョウコと思われる人物はデスクに向かって、パソコンを操作している。
沢山の研究員がいた廊下とは違い、この部屋にはキーボードを叩く音しか聞こえない。
シュウの存在に気づいたリョウコは席を立つ。

「来たか、シュウ。お前には大事な話がある。これを見てくれ。」

リョウコはパソコンの画面をシュウの方に向ける。
その画面には背景は公園でハイグレ人間と普通の人間が映っている。

「ただの人間とハイグレ人間の画像じゃないですか。」

シュウは呆れた表情で司令官を見ている。
だけどリョウコは厳しい表情だ。

「今から見せるところだ。」

リョウコがエンターキーを押すと、画像が動く。
画面のハイグレ人間は銃を使わず、人間に歩み寄る。
そのまま人間の肩をひっかいた。
そして服が鋭い切れ込みのハイレグ水着になる。
シュウは思わず息をのむ。
人間の方は倒れて、しばらくすると起き上がる。
そして、ハイグレ人間と一緒にハイグレを繰り返した。
そこで画像は止まり、リョウコはパソコンを元の向きを戻す。

「これって何ですか・・・。」

信じられない表情のシュウを見てもリョウコは表情を変えない。
そのまま話し始める。

「奴等も本格的に準備を始めてきたらしい。感染型のHウイルスを作っている。」

「Hウイルス?それって、空気感染とかの恐れは?」

「わからない。だけど、人間にとってこのウイルスの完成は滅びを意味する。」

リョウコの言葉で部屋に沈黙が訪れる。
少ししてシュウが言葉を放つ。

「何か策は?」

「あるにはある。だが、成功確率は限りなく低い。」

珍しくリョウコが困った表情をして、顎に手をおく。

「でも、俺をここに呼んだってことはその策についてですよね?」

「察しがよくて助かるな。このウイルスに有効な物質がわかった。でも、それは4惑星にある。」

「4惑星・・・・つまり、宇宙船でその物質の回収をしないといけないってことですね。」

「そうだ。だけど、その物質が莫大な量必要なんだ。」

「莫大な量?」

「あぁ、このステーションの宇宙船乗り一人辺り、70tは必要ってところだ。」

リョウコの言葉にシュウは固まる。
横で501も複雑な顔をしている。

「70tって・・・一度に宇宙船が積める重さは10tですよ?」

「そう。しかもそれだけじゃない。その物質はとても貴重なものだから集めるのも大変。さらに、最近はパンスト兵が4惑星に送り込まれているらしい。」

シュウの血の気はかなりひいている。
顔が引きつっている。

「そんな悪条件に悪条件が重なっているなんてな。」

「だけど、それしか方法は残っていない。最年少宇宙船乗りのお前にまで頼むのもどうかと思うが。」

「任せてくれよ、司令官。」

シュウは力強く自分の胸を叩く。
その自信にあふれた顔を見てか、リョウコは微笑する。

「お前になら頼めそうだな。よし、お前のパートナーを紹介する。」

リョウコが指を鳴らすと奥の扉を開けて中学生くらいの少女が入ってきた。
フード付きで緑色のローブを纏っている。
茶髪で後ろ髪を結っている。

「初めまして、トモカと言います・・・はわっ!」

幼い声でトモカは深々とお辞儀をする。
それによってフードが頭に被さり、慌てる。

「大丈夫か?この子。」

「トモカはかなりの知識を持っている。お前の数倍頭はいいな。」

リョウコは鼻で笑う。
シュウはため息しか出ない。

「失礼ながら、シュウさんは4惑星の知識が少なすぎると思います。そこで私が説明いたします。別にいらないなら、聞き流しても構いません。」



ミーム
「ミームは4惑星で一番地球と似ていて、人間達が移住した星と言っても過言ではありません。ここ、セルフェアに住むのは科学者。ミームに住むのは一般人というところです。情報収集には最適だと思いますが、ワクチンサンプルに関しては少ない星だと思います。」



シーディア
「シーディアは人間と体のつくりなどもほとんど同じ似人間の住んでいる星です。人間と違うところは性別が女しかいないというところです。子孫繁栄は天から授かるという教えを信じている、誇り高い種族らしいです。ちなみに水の惑星ということもお忘れなく。」



ディダーダ
「ディダーダは重罪者、またはミームなどを襲撃された際にハイグレ人間にされてしまった人間を収容する星です。大地も荒れ果て、とてもワクチンサンプルのあるような場所とは思えないのですが、最近は情報が入ったなどという話も聞いています。」



クロード
「クロードは人間が作り出したアンドロイドの星です。より人間に近い存在にしたため、肌や思考回路も基本は人間と同じになっています。ただ、アンドロイドでもハイグレ化はしてしまうのです。はっきり言って人間となんら変わりはないということです。」



「ざっとこんなところです。もっと星ごとに歴史などがあるのですが、ワクチンサンプル採取に関して必要最低限のことはお話ししました。」

トモカが話を終えると、シュウはぽかんとしている。

「今の全部を暗記するのか?」

「え?できませんでした?」

「当たり前だ・・・・それより、最初はどこの星に行けばいいのか。」

「無難なのはミームでしょう。情報も手に入りますし、安全面を考えると。」

トモカに続いてリョウコが言う。

「行く星はお前たちに任せる。ただ、時間がない。日に日にパンスト兵の襲撃は多くなるだろう。」

「つまり、早いうちにワクチンサンプルを集めないと苦しくなるんですね。」

「わかったなら行って来い。いい知らせを待っている。こちらはHウイルスの研究を続けるからな。」

リョウコは真剣な顔で再びパソコンに向かう。
それを見た501がシュウとトモカを部屋から出す。

「それではシュウ様、エンジニアの方に宇宙船の出発準備をさせておきますゆえ、いつでも宇宙港に来てくださいませ。」

廊下に出た途端、501は足早に歩き去って行った。

「それじゃあ・・・まずはミームね。これからよろしく、パートナーさん。」





『エンジンスタンバイ・・・・準備完了。』

「いよいよ出発ですね。」

宇宙船の操縦室の助手席に座るトモカが目を輝かせている。
宇宙船自体はヘリコプターのようなものだ。
操縦席に座るシュウは不思議そう。

「そんなにはしゃいで・・・何が楽しみなんだ?」

「4惑星が見つかったのは偶然でしょうか?違いますよ、運よく地球のような星が見つかるなんておかしいです。これは創造神の御心で作られた神秘なのですよ。その星を直接飛びまわれるなんて、光栄なことです。」

シュウにはトモカの言うことはさっぱりのようだ。

「じゃあ・・・出発だ。」

ただ、シュウは一つだけ気になっている。

(司令官はどうやってHウイルスの存在を知ったのだろうか)

宇宙船は惑星ミームへ向けて発進した。





・・・ミーム・・・

『着陸準備に移ります・・・・。』

「もう着いたんですか?」

助手席のトモカは少々驚いた表情をしている。
窓から広がる景色は地球の東京のような場所。
着陸したのも、空港のような場所だ。

「ふぅ・・・・空気も地球そっくりでいいな。」

宇宙船を下りたシュウは伸びをする。
トモカはまだ目を輝かせている。
そんな二人に紺色の警官服を着た婦警の人が近づいて来た。

「あなた達、宇宙船の免許の提示を。」

婦警はシュウに手を差し伸べる。
シュウは黒のウィンドブレーカーの内ポケットから免許証を取り出す。

「あら、噂の最年少君ね。ようこそミームへ。セルフェアの方にはホテルの部屋を用意してあるわ。」

婦警の人に案内されて、ホテルへと向かった。
街のエリアに差し掛かった時、通信機が鳴る。
婦警の人は通信機を手に取り、連絡をする。

「はい、こちらミームの宇宙港ホテル前。」

『こちらミームの都市エリア!パンスト兵の襲撃です!至急、応援を要求します。』

「・・・了解。」

連絡を切った婦警の人はシュウの方に向きなおす。

「パンスト兵達が都市エリアを襲っていますので、あなた方はホテルの中へ。」

それだけ言うと婦警は都市エリアの方へ走って行った。
残された二人はただ突っ立っている。

「シュウさん、一体どうするおつもりで?部屋で休みます?」

「まぁ、警察が動いているし、俺達じゃ足手まといだな。部屋に行こう。」

二人はホテルに入る。
エントランスには科学者思われる人達と受付の女性が二人いる。

「えっと・・・部屋を・・・・。」

「はい、こちらがお部屋の鍵です。」

受付の人はシュウが言い終わる前にささっと鍵を渡す。
シュウとトモカはお互いに自分の部屋に入って行った。
部屋に一つだけあるベッドに寝転ぶシュウ。

「個人ごとに部屋があるなんて、さすがセルフェアの科学者たちのためのホテル。」

そんなことを考えていると。
『コンコン』部屋の扉をノックする音が。

「受付の人かな?はい、どちら様?」

シュウが返事するのと同時に扉が撃ち破られた。
そこにいたのはパンスト兵だった。

「マジかよ!!」

パンスト兵はすぐさまシュウに光線を浴びせようとする。
しかし、都市迷彩服を着た女性が窓を突き破ってきた。

「こんなところにもいるなんてね。」

女性はマシンガンを乱射する。
パンスト兵は慌てて部屋を出て行った。

「逃がしたか・・・君、大丈夫?」

「い、今・・・マシンガンで殺そうと・・・・・。」

女性の持つマシンガンを指さしながら焦っているシュウ。
女性は違うと手で伝える。

「これは実弾じゃないわ、気を失わせるだけ。そんなことよりエントランス!!」

女性は険しい顔で部屋を飛び出す。
シュウもそれに続く。
部屋を出たがエントランスは手遅れだった。

「「「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」」」

さっき見かけた研究員や受付の女性はハイレグ水着姿でコマネチをしていた。
それに10体ほどパンスト兵がいる。

「ちっ・・・遅かった。」

女性は再びマシンガンを構えてシュウのいない方向に乱射する。
パンスト兵に命中して、気絶する。
だけど、物陰に隠れていたパンスト兵は光線を女性に向けて発射してきた。

「しまった!!」

突然の出来事に女性は光線をよけられない。

「危ない!!」

シュウが女性を押し倒して、回避する。
でも、パンスト兵は倒れた二人めがけて光線を放とうとする。

「今度ばかりはかわせない・・・・。」

シュウは目を瞑るが、光線は飛んでこない。
ゆっくりと目を開けるとパンスト兵はのびていた。
そのパンスト兵の前に立っているのはトモカだった。
片手には分厚い辞書を持っている。

「悲鳴が聞こえて出てみれば・・・・まったく、辞書は武器じゃないんですよ。」

「トモカ・・・凄いな。」

シュウは目をしばたたかせる。
トモカはシュウの方を向くと軽く笑う。

「私も役に立つんですよ?」

「あぁ、そうかもしれないな。」

シュウも笑顔を返す。
そんなシュウの下から声がする。

「助けてくれたことは礼を言うけど・・・・いい加減に下りてくれない?」

「あ!すいません。」

シュウは慌てて女性から下りる。
服の汚れを払いながら立ちあがる女性はシュウとトモカを見る。

「セルフェアにも戦える奴はいるのね。」

「警察の方ですか?」

シュウが聞くと女性は首を横に振る。

「ミームの警察は戦闘経験ない奴が多いからね。使えないわ。あたしはアンリ、この街の自警団だ。」

「ミームの自警団・・・ミームにとっては一番の防衛ラインでしょう。」

トモカが辞書を引きながら何か言っている。
アンリは二人に提案をする。

「あんた達、ここは危険だから自警団の基地に来な。」

アンリは外に出ていく。

「どうする・・・?」

シュウが聞くとトモカは明るく言い返す。

「私はシュウさんについていきます。何て言ってもパートナーなんですから。」

「行くか。自警団っていうの頼りになりそうだし。」

シュウとトモカはアンリの後を追って行った。





「「「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」」」

都市エリアに着いた、シュウとトモカは動きが止まる。
地面に倒れているパンスト兵達。
ハイレグ水着を着てコマネチをしている人間達。
そのどちらかしかいない。

「この辺も激戦区だったみたいね。直にディダーダの係りがここの人達を収容所に連れて行くわ。」

アンリは悲しそうに言う。
シュウはそんなアンリに聞く。

「パンスト兵達は・・・?」

「さぁ?こいつ等もディダーダの連中が連れていくからね、八つ裂きにでもするんじゃないかしら。」

アンリは冷たく言い放つ。
パンスト兵のことなんて知ったことか。とでも言いたいように見える。

「まぁ・・・そうですよね・・・・・。」

シュウは納得してはいないが、気にしないことにした。

「あ、そうだ。アンリさん、宇宙船から荷物をとってきたいんですが。」

「今はやめた方がいい。さっき見て来たけど、あの辺はパンスト兵が大量にいるから。奴等、破壊活動はしてないから宇宙船は無事だろうし。」

「そうですか・・・・わかりました。」

「ほら、早く行かないと。パンストの連中が来るわよ。」

アンリは路地裏の方へ走っていく。
シュウも追おうとするが、トモカが動かない。

「おい、トモカ。どうしたんだ?」

シュウが呼び掛ける。

「どうしてお互いに共存を拒むのでしょう・・・・共に生きていければ、文明の発展もしていけるでしょう。これほど素敵な惑星も見つかったというのに。」

トモカは凄く寂しそう。
シュウは駆け寄って、軽く肩を叩く。

「悲しいことだけど、奴等は支配をしないと気が済まないんだ。俺達が勝てば考え方も変わるかもしれないだろう?だから、今はワクチンサンプルの収集を頑張ろう。」

笑いかけるシュウを見てトモカは笑顔になる。

「そうですね。ここで考えていても何もなりませんね。行きましょう、シュウさん。」

二人は路地裏を駆け、廃ビルに着いた。
ビルの前でアンリが待っていた。

「この中だ。自警団のみんなもいるからここなら安全。他のメンバーは住民保護にあたっていると思うけど。」

アンリはそのまま中に入る。
シュウとトモカも後に続いた。
中は本当にボロボロだった。
だけど、パソコンなどの機器は用意されてある。
数人がパソコンをいじっている。
ビルの一階中央のメインコンピュータと思われるパソコンをいじっている女性にアンリは近づく。

「ナツキ、報告。戦況は?敵勢力は撤退した?」

アンリがナツキと呼ぶ髪の女性が画面を見せる。

「アンリちゃん、今の状況はよくないです。今回のパンスト兵達は今までにないほどの大軍です。結構な数の方がハイグレ化されてしまったらしいです。自警団の仲間も数人と連絡が取れなくなってしまいました。」

「そう・・・あ、ナツキ。こっちの二人、セルフェアの奴等。意外と戦えるぞ。」

アンリがナツキにシュウとトモカを紹介する。
長い髪のナツキ。声も少し暗い印象だけど・・・。アンリ同様、都市迷彩服を着ている。

「トモカです。よろしくお願いします・・・・はわわ。」

トモカがお辞儀をするが、またフードが被さる。
その様子を見たシュウが一歩前に出る。

「セルフェアのシュウです。よろしく、ナツキさん。」

「え・・・嫌、怖いです。」

ナツキは席を立ち、一歩下がる。

「お、俺って怖い?」

「ナツキ、平気だって。ごめんね、ナツキって人見知りが激しい子だから。」

代わりにアンリが話す。
ナツキは黙ってパソコンをいじり直す。

「それじゃあ、パンスト達の撃退活動に移るよ。ナツキ、ナビゲートよろしく。」

「はい、情報が入る度に連絡します。」

「じゃあ、行ってくる。」

アンリはビルを出て行った。
残ったシュウは近くの壁際に座ってポケットの中身を確認する。
トモカがシュウの隣に座る。

「何か持って来たんですか?」

「いや、ワクチンサンプルの資料のメモ書きしか持ってきてない。あとは宇宙船の中だ。でも、あのエリアも危険だってアンリさんが言ってたし。」

「そうですか・・・じゃあ、今はここで休みましょう。」

「あぁ、そうだな。」

しばらくして・・・・
メモ書きを読んでいるシュウ。
シュウの肩にトモカが寄りかかる。
ふわふわした髪の感触がシュウに伝わる。
疲れていたようで小さな寝息をたてながら眠っている。
顔立ちが幼いためか、寝顔が可愛らしい。

「疲れているんだな・・・・。」

シュウはトモカの頭を撫でる。
シュウはつい、赤ちゃんのような細くて可愛らしい腕も触ってしまう。

「アンリちゃん?どうしたんですか!アンリちゃん!!」

ナツキが取り乱している。
不思議に思ったシュウはトモカをそーっと床に寝せてナツキのもとに行く。

「ナツキさん、何かあったんですか?」

シュウが近づくとナツキは一歩下がる。

「・・・・・・・・・・。」

「アンリさんがどうしたんですか、教えてください。」

シュウが言うと、ナツキは小さな声で話す。

「れ・・・連絡が取れなくなって・・・・・・。」

「それって、まずいな。よし、俺が行ってくる。」

「ダメです・・・・。」

シュウがビルを出ようとするがナツキが止める。

「どうして?アンリさんが危ないのに放っておけない。」

「武器も・・・ないじゃないですか・・・・・・。」

ナツキがおどおどしながら言う。
シュウも困り顔になる。

「困ったな・・・急がないとヤバいのに。何か武器はないんですか?」

ナツキは小さな銃を渡す。

「小型の銃ならあります。弾はアンリちゃんのと同じ、気絶させるものです。ただ、性能は低いです。弾も少ないですし。」

「攻撃手段さえあれば平気。行ってくるよ。」

シュウは小型銃を持ってビルを出た。
外に出た途端、ハイグレコールが聞こえてくる。
もと来た道を辿って、ビルの並ぶ表通りに出る。
そこもハイグレ人間と気絶しているパンスト兵ばかり。
道路も車が通らず、代わりにハイグレ人間がコマネチをしている。
どこに行けばいいのかわからないシュウは途方に暮れていた。
と、そこに発砲音が聞こえた。

「自警団が近くにいるのか?向こうの方から・・・・。」

シュウは発砲音のした方へ進む。

「この辺から・・・・ッ!!」

シュウが今曲がったT字路の右にはパンスト兵が何体かいた。
それにハイグレ化してしまった人も数人。
シュウは慌てて角に戻る。
地面に銃が落ちていたところを見ると、抵抗も虚しくやられたのだろう。

「一旦戻った方がいいか・・・・。」

シュウの武器は小型銃が一丁。数体のパンスト兵の相手をするのは苦しい。
シュウは足音をたてないようにもとの道を戻ろうとする。
だけど、聞き覚えのある声がする。
今の曲がり角からパンスト兵達のいる方を見ると、アンリが行き止まりに追い詰められそうだった。
もう背後はビルの壁になっていて、マシンガンも持っていない。このままだと確実にやられる。

「アンリさんが危ない。助けないと!」

シュウは角から飛び出す。

「パンスト兵!俺が相手だ!」

挨拶代わりにシュウはパンスト兵1体を銃で気絶させる。
パンスト兵がシュウの方を向く。
アンリも驚いた表情でシュウの方を見ている。
残りのパンスト兵の数は2体。
だけどパンスト兵も光線銃で反撃してくる。

「ヤバい!!」

シュウはコンクリートの地面に伏せて光線をかわす。
そのまま銃を撃ち、1体気絶させた。
残ったパンスト兵が光線を放ってくるが、シュウは右に転がり、かわす。

「これで終わりだ!」

シュウは最後の1体も撃つ。
パンスト兵は気絶して地面に落ちる。

「なんとか勝てた・・・・。」

シュウは立ち上がる。
アンリがシュウに近づく。

「シュウ、ありがとな。通信機もマシンガンも落として、拾いに戻っていたら奴等にやられる状況だった。」

アンリは苦笑いしている。
シュウはそんなアンリを見て安心した。

「これでナツキさんも喜びます。凄く心配してましたよ。」

「そうか、ナツキは昔からあんな感じの子でな。あたしにとって大切な仲間なんだ。」

「それじゃあ戻りましょう。」

シュウが帰ろうとすると、アンリが呼びとめる。

「アンリさん?どうしました?」

「誰かに見られている・・・・。」

アンリの目が鋭くなる。
周りを見渡すが誰もいない。

「あれ?ごめん、気のせいだったみたいだ。」

「ほら、早く帰らないとナツキさんが心配してますよ。」

シュウは軽く笑うと歩き出す。
T字路に差し掛かろうとした時、パンスト兵が現れた。
それも待っていたかのような不自然な形に。

「しまった!このっ!」

シュウは銃を構えて撃つ。
『カチッ、カチッ』嫌な音がする。

「嘘だろ・・・?」

弾切れだった。シュウは急いでリロードしようとするが、パンスト兵は待ってくれない。
光線はシュウめがけて発射された。

「!!」

シュウは突き飛ばされた。
目を開けると、大の字になって服からハイレグ水着への転換をされているアンリの姿があった。
そして光から解放された時にはオレンジ色のハイレグ姿になっていた。

「は・・・ハイグレッ!ハイグレッ!」

アンリは顔を真っ赤にしてコマネチを始める。
シュウはその場から立ち上がる。
その顔はいつもの優しい目をしたシュウのものではなかった。

「よくも・・・アンリさんを・・・・こいつ!!」

シュウはリロード完了した銃でパンスト兵を撃つ。
パンスト兵は気絶して地面に落ちる。

「終わったか。アンリさん・・・・。」

アンリはまだ顔を真っ赤にしながらコマネチをしている。

「ハイグレッ・・・・シュウ・・・・ハイグレッ!・・・あたしがおかしくなる前に逃げろ・・・・・ハイグレッ!ハイグレッ!」

アンリの表情は快楽に溺れているようにしか見えなくなってきている。
ハイグレをする度に感じているようだ。

「ハイグレッ!気持ちいい・・・締め付けが、あはぁ・・・ハイグレッ・・・ハイグレッ。」

アンリはどんどんハイグレの虜になっていく。
あまりの快楽に口がにやけてしまっている。
変わり果ててしまったアンリ。

「アンリさん・・・・俺が・・・・・俺がもっとしっかりしてれば!!」

シュウはその場に膝から崩れおちる。
アンリは構わずハイグレを繰り返す。

「ハイグレッ。この快感、ナツキにも味わってもらいたい・・・・。」

アンリはシュウの横を過ぎて行こうとする。
シュウはなんとか立ち上がる。

「アンリさん、目を覚ましてください。あなたは自警団リーダーじゃないんですか!」

シュウが呼び掛けるとアンリは振り返る。
そして不敵に笑う。

「あたしはもうハイグレ人間アンリ。自警団なんてくだらない。これからはハイグレ魔王様の奴隷として生きるの。凄く気持ちいいことだから。残念だな、光線銃さえあればシュウも仲間にできたのに。」

アンリはそのまま歩き去ろうとする。

「待て!行かせないぞ!」

シュウが追いかけようとすると、パンスト兵が飛んできた。

「ハイグレッ!ハイグレッ!パンスト兵様、シュウをハイグレ人間にしてあげてください。あたしは光線銃を手に入れて・・・・。」

アンリは一度シュウを見て走り去って行った。

「くそっ!お前らの相手をしている暇はないんだ。このままじゃ、トモカやナツキさん達が危ない。」

シュウは光線銃を構えた。





「はっ!寝てしまうなんて。」

トモカは自警団の廃ビルの床で目を覚ます。
周りの自警団は慌ただしくビルを出て行く人もいれば
ずっとパソコンをいじっている人もいる。
やっとトモカはシュウがいないことに気づく。

「シュウさん?どこに行ったんですか?」

寝ぼけているのか、トモカはふらふらしながら立ちあがる。
すると、目の前には女性が立っていた。
トモカは眠そうな目をこすりながら、その女性に話しかける。

「シュウさんを見ませんでした?」

その女性も自警団のメンバーらしく、シュウと同じくらいの歳だろう。

「さっき外に出て行ったわよ。アンリを探しに行ったみたいね。」

その女性は優しくほほ笑む。
トモカは頭を下げる。

「ありがとうございまちゅ。」

噛んだ途端、トモカは顔を赤くしてそっぽを向いてしまう。
女性はそんなトモカを見て笑う。
トモカもそっぽを向いたまま笑ってしまう。

「ナツキ!」

突然、ビルの中にアンリが入ってきた。
ナツキは振り返って、アンリに駆け寄る。

「アンリちゃん。よかった・・・無事だったんですね。」

ナツキが笑顔で言うと、アンリも笑顔を返す。

「ナツキも無事ね。よかった・・・っと。」

アンリはふらつく。
ナツキは倒れそうなアンリを抱える。

「アンリちゃん、大丈夫?」

「あ、平気。ちょっと疲れが出ただけだから。」

アンリはナツキから離れる。
でもナツキが不思議そうな顔をする。

「シュウさんがアンリちゃんを探しに行ったはずですが・・・。」

「あぁ、シュウね。もうハイグレ人間になってるかもね。」

「アンリちゃん!?どういうことですか!!」

ナツキは驚いた表情で聞く。
アンリは一歩下がる。

「説明が必要?・・・・ハイグレッ!ハイグレッ!」

アンリは自警団の都市迷彩服を着たままコマネチをする。
その瞬間、ビルの窓が割れてパンスト兵が数体入ってくる。
そして素早く自警団のメンバーに光線を浴びせる。
次々にハイレグ姿の人が増えていく。
ハイグレ人間にされた自警団は苦しそうにコマネチを始める。
ハイグレコールが増え続ける中、トモカは唖然としている。

「アンリさんがハイグレ人間・・・・・。」

そんなトモカにも光線が飛んでくる。
光線が命中した・・・。
だけど、それはトモカじゃない。
シュウと同い年くらいの女性だった。
トモカに命中しそうになったところをかばったのだ。
トモカの目の前でハイグレ人間への転向作業が始まる。
衣服は消え去り、女性用のハイレグ水着に変わる。
自警団の人は黄色のハイレグを身に纏うと苦しそうにコマネチの体勢に入る。

「ハイグレ、ハイグレ、ハイグレ。」

ここまできてしまったら抵抗はできない。
トモカは絶句する。
こんな至近距離でハイグレ化を見てしまった。
パンスト兵の次の狙いはトモカだ。

「ひっ!!」

トモカは後ろに下がるが背中が壁にぶつかる。
逃げ場がない、このまま撃たれる。

『バシッ!!』

妙な音が聞こえたかと思えばパンスト兵達は床でのびている。
そのすぐ後、大型銃を構えた人達が入ってくる。
更に、ハイグレ化した自警団の人達も銃で気絶させていく。
トモカの前でコマネチをしている女性も気絶させられ連れて行かれる。

「気絶させたパンスト兵。及び、ハイグレ化した人間を捕獲しなさい。」

後から高校生くらいの少女が入ってくる。
白のブラウスを着ていて、上に青のベストを着ている。
薄茶色の髪でロングヘア。
厳しそうなリョウコの目とは少し違った、冷たい目をしている。
大型銃を持った人達はその少女の命令に従い、パンスト兵とハイグレ人間を外へ連れて行く。

「ディダーダ収容所の奴等・・・・。」

アンリが光線銃を構えるが、リーダーと思われる少女はガラスでできているような杖を構える。

「人間の名折れね。恥を知りなさい。」

少女が杖を振りかざすと光がアンリを包む。
そのままアンリは気を失う。
そこに息を切らしながらシュウが帰ってきた。

「はぁ・・・はぁ・・・・・これは一体・・・・・。」

「そこの自警団リーダーも連れて行きなさい。」

少女はシュウを無視して指揮をする。
少女が命令すると大型銃を持つ人はアンリを連れて行こうとする。

「止めて!アンリちゃんを連れて行かないで!」

ナツキが倒れているアンリの前に立つ。

「ハイグレ化していない人間は黙っていてください。」

少女は冷たく言い放つとアンリを連れて行こうとする。

「おい、そこまでしなくてもいいだろ。」

シュウが少女の前に立つ。
少女はシュウを睨む。

「セルフェアの人間ですか。そこまでと言われても私は4惑星、そしてセルフェアが決めた秩序を守るっているだけですよ。」

言い寄ってくる少女にシュウは一歩下がる。

「でも、アンリさんはナツキさんの大切な人なんだぞ。」

「情に流されるのは弱者の証です。もしあなた方が邪魔をするのでしたら4惑星、セルフェアを敵に回すということです。」

一歩も譲らない少女。
シュウも言い返す言葉がない。

「それでいいんです。これからは軽率な行動は控えるように。」

ハイグレ人間とパンスト兵の捕獲を終えた少女はビルを出て行こうとする。
だけど、シュウが呼びとめる。
少女は冷たい目でシュウの方に振り返る。

「お前・・・何者だよ」

「そんなことですか。私はセイナ、ディダーダ収容所の管理人。」

セイナはそれだけ言うと去って行った。
廃ビル内はシュウとトモカとナツキ、あと数人の自警団しかいない。

「アンリちゃん・・・・。」

ナツキも他の自警団の仲間も沈んでいる。
トモカはフロアの隅に座っている。
シュウはトモカのそばに行く。

「トモカ、どうした?」

「争いばかりですね・・・どちらかが勝つまで被害が出続けます。お互いに認め合わない限り、本当の平和はこないでしょう。人間もハイグレ星人も愚行を犯しているんですよ。人を洗脳という手段で奴隷に変え、人間はそれに抵抗して武力で抑えようとする。」

トモカが思っていることを語ると、シュウは固まる。
さっぱりわからないようだ。

「まぁ、さっきのセイナって奴のやり方は気に食わねぇな。」

シュウは右手で頭をかきながら言う。
トモカは静かに頷く。

「そうですね。ディダーダ収容所の管理人、セイナ。彼女は冷酷なる囚人殺しの異名を持つ方ですから。」

「囚人殺し!?」

驚いた表情のシュウを見てトモカは慌てる。

「あ、あの、本当に殺しはしませんよ。躊躇いなくハイグレ化した人を牢屋に入れることから、そう呼ばれているだけですから。」

シュウは一安心する。

「本当に殺しているのかと思ったよ。それより・・・ナツキさんも自警団の人達もかなり沈んでいるな。」

シュウがナツキ達に視線を向けるが、かなり暗い雰囲気だ。
だけど、ナツキがシュウとトモカに近づいてきた。

「シュウさん、アンリちゃんをかばおうとしてくれてありがとうございました。」

ナツキはシュウに頭を下げる。

「・・・・止めてください。俺はアンリさんをかばうどころか、助けられたんですから。」

シュウはため息交じりに言う。
ナツキは笑顔で言い返す。

「でも、最善は尽くしてくれた・・・ですよね?」

「・・・・・・・。」

シュウはただ黙っている。
トモカも空気を読んで何も言わない。

「シュウさんならハイグレ魔王を倒せます。私、応援してます。」

ナツキは優しく言う。
シュウは右親指を立てる。

「さぁ、シュウさん。この星は自警団に任せて、次はシーディアに行きましょう。」

トモカがシュウに近寄って言う。

「シーディアって・・・似人間の?」

「はい、そうです。美しい水の惑星です。ここからだと一番近いですし・・・ディダーダに行くのは気が引けます。クロードはここから少し遠いです。」

「わかった。次はシーディアだ。それじゃあ、ナツキさん、行ってきます。」

「頑張ってください・・・。」

シュウとトモカは宇宙港へ向かって行った。
ビルの中に一人残ったナツキ。
自警団の仲間はみんな街の方に向かっている。
パソコンに向かうが・・・・。

「アンリちゃん・・・ハイグレ人間になってしまうなんて。ハイグレ魔王様め・・・・あれ?私、今・・・ハイグレが・・・・嫌っ!ハイグレ?わ、私、どうしちゃったの。もしかして・・・・。」

ナツキは自分の言動がおかしいことに気づく。
ナツキが腕を見るとひっかき傷がついていた。
段々と服がハイレグ水着に変わっていく。

「さっきアンリちゃんが倒れかかった時、何か当たったと思ったけど・・・爪がささって、ハイグレ?あはは、ハイグレ!・・・・嫌だよ、私は自警団のハイグレッ!嫌ぁああああああ!ハイグレッ!ハイグレッ!」

ナツキは黄色のハイレグ姿になりコマネチを始める。
そう、ナツキはHウイルスに感染していた。

「アンリ・・・ちゃ・・・・・ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」

少しの時間がたった後には気持ちよさそうにコマネチをするナツキがいた。
シュウ達はそんなことはまったく知らずに・・・。





ミーム宇宙港で出発準備をしているシュウとトモカは

「街のハイグレ人間もパンスト兵もディダーダの方々が連れて行ったみたいですね。」

トモカが言うとシュウは不機嫌そう。

「ほら、出発するぞ。」

「はい、わかりました。」

操縦席にシュウ、助手席にトモカを乗せて宇宙船は宇宙港を離れる。





「すぐに着きますか?」

助手席のトモカが息を弾ませながら聞く。
足をぶらぶらさせている。

「どうだろうな。それよりさ・・・トモカに兄妹いる?」

シュウは操縦しながら質問する。
トモカは笑顔で言い返す。

「いませんよ。一人っ子です。」

「やっぱりそうか。なんかそんな感じしたからな。」

「シュウさん?」

トモカが聞くとシュウの顔が一瞬暗くなる。
だけど、すぐに明るくなる。

「いるよ、姉さんが。だけど、離れ離れになった。今はもうハイグレ人間にされているだろうな。」

「そ、そうですか・・・失礼しました。」

「いや、気にしないでくれ。」

シュウは優しく言うと、操縦に集中し直す。
トモカは助手席付近のテレビをつける。

「トモカ、何を見るんだ?」

「ニュースですよ。」

『はい、やってまいりました。シーディアニュースの時間です♪ニュースキャスターは私、エリナでお送りします。』

テレビ画面に女性が映し出される。
長髪のアップヘア。凄く明るい顔立ち。
トモカが画面に集中している。

「トモカって、そんなにニュースが好きなのか?」

シュウが苦笑いしながら聞くと、トモカは驚いている。

「シュウさんはエリナさんを知らないんですか?」

「・・・・知らない。」

「エリナさんは凄い方ですよ。ニュースキャスターなのに危ない現場でも飛び込む行動派な方なんですから。それに、かなりの知識を持っている学者さんでもあります。エリナさんは私の憧れの方なんです。」

トモカは尊敬する人について熱く語る。
だけどシュウは冷めていて、凄い温度差になっている。

『最初のニュースはミーム襲撃事件についてです。』

「ミーム襲撃・・・・。」

シュウも操縦しつつ、テレビ画面を見る。

『先程、パンスト兵達によってミームの住人達がハイグレ化されてしまったとのことです。駆け付けたディダーダ収容所の方々のおかげで鎮圧できたようです。』

「自警団の人達が抑えてくれていたからだろ。何でディダーダの奴らだけなんだよ。」

シュウは不満そうに言う。
トモカは残念そうに言い返す。

「自警団は正式ではありませんからね。なかなかニュースにはあげられないんですよ。」

「・・・・・・。」

シュウは黙ってテレビ画面を見る。

『今日は特別ゲストにディダーダ収容所管理人のセイナさんを呼んでいます。』

画面の脇からセイナが出てくる。
服装も先程と同じ。生放送だから直接来たのだろう。

「こいつ・・・・アンリさんを連れていった奴じゃねぇか。」

マイクがセイナの手に渡る。

『テレビをご覧の皆さん、ディダーダ収容所の管理人をしています、セイナです。
今日は皆さんに言いたいことがあります。我々ディダーダのやり方に不満がある方は沢山いるでしょう。
そのことに関してはお詫びいたします。ですが、これは4惑星、そしてセルフェアが決めたこと。
我々はその正義に従うまで。どうかご理解をしていただけるよう。以上です。』

セイナは一礼して、画面外に消える。

「こいつ、テレビの時は随分丁寧な話し方だな、おい。」

シュウはかなり頭にきているようだ。
怒りが顔に出ている。
画面では再びマイクがエリナに渡る。

『セイナさん、ありがとうございました。テレビの前の皆さんも理解してくださいね。
今日のシーディアニュースはここまで。ニュースキャスターはエリナでした〜。』

ニュースが終わるとトモカはテレビの電源を落とす。

「トモカ、もうすぐシーディアだ。それで、どこに行くかあてはあるのか?」

「はい、シーディア一霊力を持つ巫女様のイーシス様に会いに行こうと思います。」

「巫女か・・・・よし、行くか。」

宇宙船はシーディアの宇宙港へ向かって行った。







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2010年08月29日(日) 00時58分55秒 公開
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■作者からのメッセージ
更新しました。
次回はここまでの量は書けないと思います。
一応忙しくなるので
まぁ、次更新もぼちぼちやっていけたらいいですが
今日はキャラに愛着が湧いて二次元エンドになるって人の気持ちが理解できた日でした