継ぐもの〜another〜















おかしい・・・・何だこれは!?











私、西嶋弥生は常識では考えられない状況に陥っている。水泳部の朝練が終わって
体操着姿でプールサイドにいた私は、その空に異様な軍団が飛んでいるのを見かけた。
最初、鳥の集団かなにかだと思っていた私は、それがヒューヒューと音を立てて、
空飛ぶオマルに乗ってパンストを被った変態達だということに気付いた。



「何・・・・・あれ?」



呆然と私を始め水泳部の部員達が空を見上げていた。


「先輩、なんですかアレ?」


私の隣にいた後輩が私に話しかけてきた。
彼女は西野陽菜。クリッとした可愛い目をしたショートカットの彼女は一年生で
県大会に出場している期待のルーキーだった。
そんな彼女も今は目を点にして私と同じく上を見ていた。









バシュッ!








その時だった。上を見上げていた先、プールサイドに閃光がほとばしった。
ピンク色に輝くそれに私は思わず目を塞ぐ。そして同時に・・・・・



「キャアアアアアアアアアアアア!!」


近くにいた部員の悲鳴が聞こえた。
あの光線が当たったのだろうか?
でも眩しくて目を開けられない・・・・・

数十秒たって光が収まった後、私はゆっくり目を開けた。


「・・・・ッ!!」


私の目の前に光線が当たったであろう部員が立っていた。
しかし何かおかしい・・・・・
水泳部の競泳水着ではない、赤いハイレグ水着を着ていた彼女は虚ろな目をして
そこに立っていた。


「ちょっと!あなた・・・大丈夫?」


とっさに私は彼女に声をかけた。そして気付いた彼女は突然足をガニ股にして
腰を下ろし、足の付け根に沿って手を動かしながら・・・・



「ハ・・・ハイグレ!ハイグレッ! ハイグレ!」




目をつぶって苦しそうな表情をしながら彼女は私の目の前でコマネチをし始めた。


「な、何してるのあなた?」


ふざけているのか?あいにくだが私は下ネタが大嫌いだ。特に同性のは・・・・
眉をまげて如何にも不機嫌な表情をした私は彼女に近づいた。


「やめなさい!」


「ハイグレ!・・・ハイグレ! ハイグレ!!」


しかし彼女はハイグレとしか言わない。しかも目に涙を浮かべながら・・・
嫌なら止めればいいじゃない。と思った時・・・










バシュウッ!  バシュウッ!   バシュウッ!











空から光線が雨のように飛んできた。



「キャアアアアアア!!」


プールサイドの部員の多数が光線を浴びているのを見た。






『ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!』




赤や黄色、紫など色とりどりのハイレグ水着を着せられた部員達はは目の前の部員と
同様に一様に足を広げガニ股になりハイグレッ!と叫びながらコマネチをしていた。



「何なのこれ・・・・・?」


私は動揺を隠せない様子で見ていた。どうやらこの光線がこのような異様な状況を
作り出しているらしい。


「先輩・・・・・」


恐怖で怯えた顔をした陽菜が私を見ている。


「陽菜!逃げるよ!」


「はい!」






私たちは校舎の中へ走って行った











『ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!』








校舎内は悲惨な様子だった。至る所で男も女もみんな女性用のハイレグ水着を着て
コマネチをしている。そして同じようにピンク色の光線が雨のように降り注いでいた。
走り回る生徒の悲鳴が聞こえる。どうやら中も危険なようだ。いったいどうすればいいの?




「先輩・・・・・」



おどおどした様子で陽菜は私を呼んだ。



「おかしいですよぉ・・・・何これ・・・・?」


恐怖で真っ青な顔になった彼女はこの状況が受け入れられないという感じで
話した。


「体育館へ逃げましょう!」


「はい・・・!」



校舎内も危ない。なら体育館に行くしかない。どうか無事でいてほしい。
私たちはパンストが放ってくる光線を避けながら体育館へと向かった。
向かう途中私には気にかけていたことがあった紗枝だ・・・・・・
まだ彼女は学校へ来てないはずだ。どうか無事でいてほしい。



体育館へ着いた。だが状況は校舎内とあまり変わらない。
困ったなあ・・・・どこへ逃げればいいんだ・・・




「キャアアアアア!!」


後ろで陽菜の悲鳴が聞こえた。



「くっ!」


気付いたら出口でパンスト達が待ち構えていた。数にして3体・・・
どうすれば・・・・




「こっちよ!」



その時遠くから声が聞こえた。向こう側に出口がある・・・・
声の聞こえる方向に私と陽菜は駆けだした。































「ハアハア・・・・・・・」


私たちは今この異様な状況から必死に逃げている。ついさっきまで平和だったのに
いったいどうしたっていうのよ!


「雪お姉ちゃん・・・・・疲れたよお・・・」


「もう少しで家だから我慢して佳枝!」


小学校へこの子を迎えに来た時にこの状況だ・・・・
周りは人々の悲鳴とピンクの光線の一色だった。
あの光線に当たった者はどうなるか知っている・・・・
あんなことするのは御免だ!当然佳枝にも


私、由利島雪はこの子の姉だ。この子を何処か安全な場所へ避難させなくちゃ。
でもとりあえず今は家に向かっている。お母さんが心配だ・・・・



「着いた・・・・・」


ようやく着いた。どうやらこの辺りはまだ奴らが来ていないようだった。
私は玄関のドアを開いた・・・・・


「ただいま〜」

「ただいま♪」


どうやら家は誰もいないようだった。私たちは安心してソファに座る。
これからどうしようか・・・・
どこか安全な場所・・・
この子だけでもどうにか助けたい・・・

「お姉ちゃん、これからどうするの?」


「安全な場所を探して一緒に逃げようね!」


私は佳枝を不安がらせないように極力気を使った。
といってもこれといった策がない。
まあ、しばらくはここでおとなしくしていよう。


「そうだ、テレビつけよう!」


気付いたように私はテレビの電源を入れた。これだけの状況だ、なにかニュース
になっているはず・・・・



私の周りにはハイレグ姿の人々しかいません





「全国の皆さん、今私は侵略者達の手に落ちた新宿の街に来ております。」





ニュースのチャンネルにしたら実況中継に繋がった。今中継しているのは朝のニュース
で良く見る平居百合子アナウンサーだった。真剣な表情で中継する彼女はどんな危険な場所
でも飛び込んで行く、まさに真実を報道しようという姿勢が高く評価された。視聴者にも
大変に人気が高いアナウンサーだ。



「映像をご覧ください、私の周りにはハイレグ姿の人々しかいません。侵略者達は
一体何の目的でこのようなことをしているのでしょうか?そして彼らの最終目的は
何なのでしょうか?私にはその答えが分かりません」



ハイレグ姿にされた人々を映し出しながらアナウンサーは声を震わせながら語っていた。



「今や政府機能も麻痺した状況で絶望的ですがどうか希望を失わないでください、
私たちは視聴者の皆さんがもしたった一人になってしまっても、報道を続けていきます
それが私の報道者としての責務であるし、希望でありたいのです」






「キャアアアアアアアアアアア!!」



突然画面に大きな悲鳴が響いた。途端にカメラは悲鳴が聞こえた方向へ向く。



「ハイグレッ・・・ハイグレ・・・・・ハイグレ!」


ADだろうか光線を浴びて紫のハイレグ姿になった女性をカメラは映し出していた。


「見つかった・・・・・・」


アナウンサーの声が聞こえる。


「ただいま私達は侵略者に見つかりました!しかし全力で逃走を試みてみます!」



画面が大きく揺れる。カメラと一緒にアナウンサーは全力で逃げているのがわかる。
光線銃の音がいくつも聞こえてくる。



「ハアハア・・・・・」


画面が落ち着いた・・・・どうやら逃げ切ったように見える。


「視聴者の皆様、どうにか逃げ切れたようですが・・・・多くの仲間を失って
しまったようです」


息を切らしながらアナウンサーは実況を続けていた。


「しかしながら、私たちは無事です。先ほども申しましたが私は何があっても報道
を続けたいと思います。そのためには・・・・・・・」


アナウンサーの会話は途切れていた・・・・
彼女は恐怖に染まった顔で視聴者には分からない映像の先を見ていた。


「あ、あれは・・・・・」

会話が続かない・・・アナウンサーは体をガクガクさせている。



「全国の皆様・・・私は侵略者に囲まれています。しかし、私が今まで見たこと

物が・・・・あれは・・・?」


アナウンサーだけを写していて何があるのか分からないが・・・アナウンサーは
何かを見たようだった。




「どうやら・・・ここまでのようです・・・視聴者の皆様どうか・・遠くへ逃げて!」


そういった瞬間、光線銃の音が画面いっぱいに広がり、途端に砂嵐へと変わった。







「・・・・・・」


私は画面が砂嵐になっても画面にくぎ付けになっていた。私の周りだけじゃなかった
・・・・・日本中おかしなことになっている。この報道で分かった事実だった。






「ん?」




画面が変わろうとしているザザッと現場の音が聞こえている。
アナウンサーは無事なんだろうか?
尚も私は画面にくぎ付けになる。







「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレ!全国の皆さんおはようございます!」



現場の映像になったとたん緑のハイレグ姿の女性の姿が目に入った。
真剣な表情でコマネチしながら話しているのは朝のニュースでもよく見かける
女性アナウンサー、そう先ほど身を呈してまで私達に報道してくれたアナウンサー
の変わり果てた姿だった。コマネチするたびにその綺麗な長い黒髪と豊満な胸が大きく
揺れていた。




「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレ!ただいま洗脳完了しました、平居百合子です!
これからはパンスト兵様ハイグレ魔王様の偉業を取材していきたいと思います!」



ハキハキと真剣に答える彼女のバックにはあのパンストが何体もいた。




「嫌ぁ・・・・・・・」


カメラの先にはあの光線を免れた、女性ADが壁にもたれかかっていた。
腰をガクガクさせながら彼女の顔はすっかり青ざめていた。


どうやら周りの人間もみんなハイレグ姿にされてしまったようだ。ハイグレ!という
叫び声が近くから沢山聞こえてきた。



「全国の皆さん!今回は不幸にもハイグレ光線を免れてしまった田中さんにハイグレ
を着せてみたいと思います!」


洗脳前となんら変わらない真剣な表情で中継を続けている彼女は、もはや完全に洗脳
されてしまったようだ・・・


「田中さん、現在の気分はどうですか?」


「イャぁ・・・・・・助けて・・・」


マイクを向けられた彼女は涙を流し首を振っていた・・・・



そして光線銃が彼女に向けられた。


「嫌ぁっ!あんなのになりたくない!お願い助けて!」


狂乱状態になった彼女は必死に命乞いをする。しかしアナウンサーはニッコリして
彼女の話しなど聞いていなかった。




バシュウ!!



「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」



再び画面がピンクの光線で満たされた。私は思わず目を塞ぐ。



「・・・・・・・」




やがて画面が再び元に戻った。そこには赤いハイレグ水着を着た彼女が
虚ろな表情をしながら顔を上に向けていた。


「田中さん?」


アナウンサーはマイクを向けた瞬間、ADはハッとしたように足をガニ股に開いて
腰を落とし、手を足の付け根に添えて動かしながら・・・・・・



「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」


彼女は他の人と同じようにコマネチをし始めた。


「田中さん、ハイグレを着た感想はどうですか?」


アナウンサーはコマネチを繰り返している彼女にマイクを向けた。


「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!はい!最高の気分です!」


先ほどの恐怖に青ざめていたのとは裏腹に真剣な表情でコマネチをする彼女もまた
完全に洗脳されてしまったようだ。頬の涙の跡が痛々しい・・・・


「田中さん、最後に視聴者に向けて一言お願いします!」

アナウンサーはニッコリしながらマイクを再び彼女に向けた。



「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!全国の皆様!早くハイグレを着ましょう!」



笑顔でコマネチする彼女を映し出した後、画面は再びアナウンサーを写した。



「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!視聴者の皆さん、抵抗は止めて、
ハイグレ人間への転向を済ませましょう!私は全国の皆さんが全員、ハイグレ人間
になるまで報道を続けていきたいと思います!」






さっきまで私達を励ましていたアナウンサーは洗脳によって無残にも心を捻じ曲げられて
しまった、あのADも可哀そうに・・・・・







これ以上見てられない私はテレビの電源を切った。









「怖いよぉ・・・・お姉ちゃん・・・・・」


気付いたら佳枝が私にしがみ付いていた。可哀そうに・・・・
テレビなんてつけなければ良かった・・・



ガチャン


ドアが閉まる音がした。きっとお母さんが帰ってきたんだろう。


「お母さん!」

佳枝が玄関へと駆けていった。



私も歩いて玄関へ向かう。



「お母さん・・・・・・」

佳枝が真っ青な顔で立っていた。


「ただいま〜」



お母さんが帰ってきた。それはいつもと変わらない光景、唯一つ違うのは母が
青いハイレグ水着を着ているということだった。




「あらどうしたの佳枝、雪?」


お母さんは自分の姿に何の疑問も持たないまま私達に聞いた。


「どうしたのお母さん、その格好・・・・?」


わかってはいるが恐る恐る聞く・・・


「あら、二人ともまだハイグレ着てないの?」


まるで当たり前かのような顔で母は言う。


「私もさっき、ハイグレ人間にしていただいたのよ?さあ、佳枝も雪も早く
パンスト兵様にハイグレ光線を浴びせて貰いなさい!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!」

そういってお母さんはコマネチを始めた。


「お母さん・・・変だよう・・・・」


佳枝は今にも泣きそうな声で言った。


「逃げるよ佳枝!」

そう言って私は佳枝の手を取って外へと飛び出した。



「お母さんが・・・お母さんがぁ・・・・・」











佳枝が泣いていた・・・・どうしてこんなことに・・・
もはや家も危険だ、一刻も早く安全な場所を探さなくては・・・




















「ふう〜〜〜」

私は一息ついていた。ここは保健室、どうやらやつらはまだここの存在に気付いてな
いみたいだった。


「どうもありがとうございました先生」


「いえいえ♪」


彼女はこの学校の校医である清水渚先生だ。おっとりした顔でのんびりした性格、
綺麗なショートヘアで容姿の良い彼女は学校の男子生徒の人気者だった。


「先生本当に助かりました〜どうなるかと思いましたよ〜」

陽菜も今は落ち着きを取り戻しベットに寝そべっていた。



「とりあえず、ここにましょうね?バリケードもはってあるから
やつらも簡単には入ってこれないから、落ち着いたら外にある私の車で逃げましょう」


車があるのは助かる。希望が見えてきた、安全な場所を見つけて避難しなくちゃ


「でもね・・・・・」

先生の表情が強張った。


「車のキーは職員室のテーブルに置いてきてしまったの・・・」

「なんとか持ってこれればいいけど・・・・」


「先生、私持ってきます!」

職員室への距離はそう遠くない、隙を突いて駆け足で行けばなんとかなるだろう。


「駄目よ!今は危険よ!」


「大丈夫です!必ず持ってきます!何かあったら先に駐車場まで行っててください!」


「わかったわ!でも無理しちゃだめよ?」


「はい!」




そう言って私は保健室を出て、駆けて行った。











「先輩、大丈夫かな?」

1人で行ってしまった先輩が心配だ・・・・
私も行けばよかったかな?
いや、私では足手まといになるだけだろう。


「大丈夫よ!信じて待ってましょう?」


「はい・・・・・」


そう今はこうして先輩が無事に帰ってくるのを祈ってるほかない。
それよりも私たちはその後のことを真剣に考えなければならない。
無事に安全なところへ避難できたとしてもそのあとどうする?
永遠に隠れ続けるのは不可能だ。考えれば山ほど問題が山積して頭が重い・・・・



ドンドン!!


「!?」



突然大きな音が保健室に鳴り響いた。バリケードを築いた先、外のパンスト達が
中へ入ろうとしているのだ。とうとうここも見つかってしまった・・・



「先生!逃げましょう!」


「うん!駐車場に行きましょう!」




私は先生を連れて保健室を出た。








『ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!』







保健室の外は既にハイレグ姿の人々で一杯になっていた。
先輩は無事だろうか・・・・・・
この状況じゃきっと・・・・


「大丈夫よ!」


先生が声をかけてきた。




「西嶋さんは水泳部で運動神経抜群よ?きっとうまいこと逃げ切れてるわ!」



心配する私をおっとりとした笑顔で先生は私を励ましてくれた。


「さあ!駐車場へ行きましょう!」


「はい!」


そう先輩はきっと無事だ。私達も頑張らなくちゃいけない!






私達は駐車場へ向かった。




先ほどまではハイレグ姿の人々で一杯だったが駐車場は不思議と誰もいなかった。
チャンスだ!今なら逃げられる。先輩の帰りを待つだけだ。車さえあればパンスト達
を振りきれるだろう・・・・


「どこに隠れよう・・・・」


問題は隠れ場所だ。車の隅にでも隠れようか、木が立っておりカモフラージュも聞く


「車の隅に隠れましょう!」


「うん!」


先生と一緒に車へ向かった。



しかしその時



バシュウ!!



突然、光線の発射音が聞こえた



「キャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


そして同時に目の前の先生がピンク色の光線に包まれた


「先生!!」


見てることしかできない私、しかし眩しさでそれも出来なくなってしまった。
しばらくして光が止み、そこには白いハイレグ姿の先生が立っていた。
そして・・・・・



「ハイグレ・・・・ハイグレッ!・・・・ハイグレッ!」


先生は可笑しいのか、それとも恥ずかしがっているのか苦笑いしながら私の前で
コマネチをし始めた。


「ひっ・・・・!」



恐怖に包まれた私は、腰を抜かしてしまった。足がガクガクふるえている・・・
嫌だ!あんなのになりたくない・・・・逃げなきゃ・・・・
私の目の前にパンストが一体いた・・・


「くっ!」


バシュウ!

光線が発射されたのと同時に私は逃げ出した。そして周囲が光りで満ち溢れているのを
利用してとっさに車の下へ隠れた。









「・・・・・・」


光が止み、私はじっと車の下で過ごす・・・・もう五分たった・・・
もう大丈夫だろう・・・・


私は車から出た。
どうしようこれから・・・


「はっ!」


そうだ!先生だ!大丈夫だろうか?


「先生!」


私は近くでコマネチをしている先生に駆け寄った。



「ハイグレ♪ハイグレ♪ハイグレ♪」


先生は先ほどと違い何故か笑顔でコマネチをしていた。嫌がっていない・・・
むしろ自分から進んでやっているような・・・


「大丈夫ですか?・・・先生?」

私はそっと先生に話しかけた


「ハイグレ♪ハイグレ♪ハイグレ♪ええ、大丈夫よ、西野さん♪」

先生は嬉しそうにコマネチしながら私に答えた。



「ハイグレ♪ハイグレ♪ああ、ハイグレってこんなに気持ちいいとは知らなかったわ♪
西野さんも早くパンスト兵様にハイグレ人間にして頂きなさい?そこにいらっしゃるから♪」



「!!」


しまった!とっさに後ろに振り向くと、そこにはパンストが立っていた。
会話に夢中で気がつかなかった・・・・




バシュウ!!


至近距離からの発射に逃げられるわけがなく、光線は私に命中した・・・・











「見つかった!」

なんとか奴らの攻撃からくぐりぬけて職員室で鍵を見つけることができた。
これで逃げられる!
二人は保健室にいるはず、さっきよりも奴らが増えてきたような気がする・・
急がなくちゃ、

私は駆け足で職員室をでた。



『ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!全校生徒の皆さん、無駄な抵抗は止めてみんなハイグレを着ましょう!』



全校放送が聞こえてきた。放送室もみんな洗脳されてしまったらしい・・・


「紗枝・・・・・」


私の唯一の親友、彼女は無事だろうか・・・彼女のあんな姿は決して想像したくない。
落ち着いたら彼女の家に連絡しよう。無事でいてほしい・・・






「着いた・・・」


そうこうしている内に保健室へ着いた。二人は中にいるはず・・・
私はドアを開けた・・・


「おかえりなさい!」

ベットにいるのだろうか、カーテンで見えないが先生の声が聞こえてきた。
どうやら大丈夫なようだ。良かった・・・・


「先生、車の鍵持ってきました!」

これで3人で逃げられる・・・

「ありがとう!でもごめんね〜もうそれは必要じゃなくなったの」

「へ?」

必要じゃなくなった?一体どういうことだ・・・


「ごめんね〜こういうことなの♪」


カーテンから出てきた先生は白いハイレグ姿をしていた。


「先生!?」


しまった!遅かった・・・既に先生も・・・
これでは陽菜も・・・


「来るのがもう少し早ければ良かったんだけどね〜♪でも来るのが遅れて良かった♪」

おっとりした顔で話す先生は洗脳前となんら変わらない笑顔だった・・・



「ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!さあ!西嶋さんもハイグレ人間にして頂きなさい!」

コマネチしながら話す先生の横からパンストが出てきた


「!?」


バシュウ!


とっさに床に伏せて光線をやり過ごした。待ち伏せしていたなんて・・・

「くっ!」


私は保健室から出て逃げだした。こうなったら私一人で行くしかない!
車の運転はまだ仮免だけどなんとかなるはずだ・・・・

駐車場まで駆けて行った私は先生の車を探す。

「これじゃない!」

何十台も車がある駐車場から先生の車を探すのは至難の業だ。だけどやるしかない


「これだ!」

やっとみつかった!少々時間がかかってしまったが、これで大丈夫だ!
車に乗ったらまずは紗枝を助けに行こう、無事なら一緒に逃げるつもりだ





カチャ





車に乗ろうとしている私の頭に冷たい何かが当てられた


「せ・ん・ぱ・い♪」


振り返ると陽菜が立っていた、それも灰色のハイレグ姿で・・・・


「陽菜・・・・・」

震えながら私は陽菜を見つめる・・・


「酷いじゃないですか〜1人で逃げるなんて♪」


玩具のような銃を私に向けた陽菜は笑顔で言った。



「先輩も早くハイグレ着ましょうよ?とっても気持ちいいですよ?」


「陽菜・・・・!」



私は陽菜を睨みつけた。だが彼女は全く動じない



「さあ、先輩もハイグレ人間にしてあげますから♪」


そういって陽菜は引き金を引こうとした。
もう駄目だ・・・・



バシュウ!


光線が迫ってくる


「紗枝・・・・・」


最後に親友の名前を発した私の体はピンクの光線に包まれた。
















「ふうっ・・・・・」


あれから私たちは山奥の倉庫の中に身を隠していた。風のうわさでこの先には
避難者を匿ってくれる研究所があるという話を聞いた。私はともかく佳枝だけでも
なんとか避難させたい・・・


「疲れたね、お姉ちゃん」

佳枝が笑顔で言った。わかっている、無理をしているんだ。私を心配させないように
我慢している。同世代の子供なら泣いてもおかしくないのに・・・・
この子はこの極限の状況からなんとか適応しようとしているんだ・・・


「うん、今日はゆっくり休もうね」

私も佳枝を心配させないように笑顔でいった。


「いいお姉ちゃんね」


私達の前、ドラム缶に座っている女性が話しかけてきた。彼女は私達がここに
来るよりも前からここにいたようだった。


「私達まで匿ってもらって、ありがとうございます!」


「いいのよ、困った時はお互いさまだから」


彼女はジーンズにTシャツというラフな格好だったが顔からは理知的で何かを
秘めているかのような目をしていた、綺麗な茶髪ショートヘアもそれを際立出せている。


「これからどうなるんだろうね」

彼女は私に呟く。


「研究所に向かいます」

確証はない、だが他に行くあてもないのだ。幸い山奥なので奴らもほとんど
いないようだ・・・・

「まあ、ここにいてもしょうがないしね、夜が明けたら出発しましょうか」

「はい!」


もう夜中だ、今日はゆっくり休んで明日に備えよう・・・・














「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」


水色のハイレグ水着を着せられた私は他の人々と同じくコマネチをしていた。
恥ずかしい・・・・・逃げて友達を助けるはずが、自分もこんな姿にされるなんて・・・・


「ハイグレ♪ハイグレ♪ハイグレ♪」


すぐ隣には陽菜が灰色のハイレグ姿で嬉しそうにコマネチしていた。
もう校舎には普通の人間はいないようだった、どうやらみんなやられてしまったらしい。
パンスト兵様達がオマルで次々と飛び立っているのが見える・・・
私ももうじき陽菜のように洗脳されてしまうだろう・・・・
でも、私の本当の心は誰にも奪われない、きっと奇跡が起こるはずだ・・・



信じよう・・・こんな姿にされたが希望もある。そう紗枝だ。彼女ならきっと
助けてくれる。なぜなら私の親友で困っている時はいつもお互い助け合ってきた
中だからだ。



「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」


パンスト兵様達はもう全員いってしまったようだった。学校の生徒はみんなハイグレ人間
にしていただいたということだ。そして私の洗脳も完了したようだ。
ハイグレを着ることがこんなに気持ちいいことだとは知らなかった。
どうして私はこんな素晴らしいことに逃げていたのだろう・・・
みんな正しいことをしていたのに・・・

さあ、親友を助けに行かなくちゃ、紗枝にもこの素晴らしさを教えてあげたい。
紗枝、そして由利ちゃんも早くハイグレ人間にしてあげよう・・・










陽菜から洗脳銃を受け取り、私は学校を出た。







「どうしたんだろう・・・?」



心配だ・・・
先ほど姉から電話がかかってきた、ひどく動揺していたようだった。
なにか事件が起きたらしい。私に家に隠れてるように言われた。
いったい何がおきているんだ?窓から見る限り火事でも災害でもなさそうだが・・・


テレビでもつけてみよう。私はテレビの電源を入れた。



『ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!地球人の皆さん!早くハイグレを着ましょう!』


テレビで女性アナウンサーが緑のハイレグ水着を身にまといコマネチしていた。
なにかの冗談だろうか?間違ってお笑い番組をつけてしまったようだ・・・

私はテレビのチャンネルを変えた。




『ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!』



ニュースの映像のようだった、そこには男も女もみんな女性用のハイレグ水着を
着て一斉にコマネチをしていた。そして逃げ惑う人々、そこには悲鳴と掛け声、
それを追う、映像ではわからないが浮遊物があった・・・


「おかしい・・・・」

姉が言っていたのはこれのことだ・・・
お姉ちゃんが危ない・・・
どうしよう・・・


とりあえず玄関を出てみた。



『ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!』



外は既にニュース映像と同じことになっていた。
呆然とその場に立ち尽くす私の目の前におかしなものが飛んできた。
それはオマルに跨って、パンストを被った、いわゆる変態といわれる奴で
肩にバズーカみたいなものを背負っていた。


バシュウ!!


「!?」

パンストがいきなり打ってきた。ギリギリかわした私は衝撃で尻もちを突く


「うっ・・・・・!」

こいつは危険だ・・・・
逃げなきゃ・・・






私は立ち上がるとパンストから逃げ出した。










「ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!」


逃げている途中でハイレグ姿にされた人々をたくさん見かけた。
みんな苦しそうだったり笑顔だったりと色々な表情でコマネチをしていた。
自分はああなりたくない・・・姉が帰ってくるまでなんとか逃げ続けるしかない。


「・・・・」


拳をギュッと握った。それは決意の証かもしれない、でもそれ以上に姉の安否が
心配だ・・・
もうだいぶ逃げた・・・そろそろ疲れてきた・・・
きっとこの町で普通の人間は私だけかもしれない・・・

そうあきらめかけていた時


「由利ちゃん!」

私を呼ぶ声がした。


「弥生さん!」

姉の親友であり私も良く知っている人だった。

「良かった、無事だったんですね!」

思わず駆けよってしまった。それほどまでに嬉しいのだろう。まともな人間がいなかった
から・・・・


「ええ!紗枝は?」


「いいえ、私に家から出るなって・・・でも無事だと思います」

弥生さんなら姉の事を知っているかもしれないと思ったが違ったみたいだ。


「そう・・・・」


そう言って弥生さんは突然、今まで見たことないような妖美な笑顔を見せた。


「由利ちゃん、これなんだと思う?」

弥生さんは私に玩具の様な銃を見せてきた

「玩具ですか・・・・?」


どうして突然こんなこと聞いてくるんだろう・・・?


「これを浴びるとね、身も心もハイグレ魔王様の忠実な奴隷にしてくれる素晴らしい
ものだんだよお?」

怖いほどニッコリした笑顔で彼女は私に銃を向けてきた。




「弥生さん・・・・!」









バシュウ!!











会話は続かなかった・・・ピンク色の光線に包まれた私は言葉を発することが出来なかった
んだ・・・

目の前がピンクと青に激しく点滅する、そして着ている服が一瞬なくなり裸になったかと
思うと、体にフィットしたハイレグ水着が私の体を締め付けた


「くっ・・・・」


目を閉じて耐えている・・・やがて光線が収まると視界がハッキリした。
目の前にはいつの間にか制服を脱いで水色のハイレグ姿になった弥生さん
そして私はピンク色のハイレグ水着を着ていた・・・


「・・・・・・」

私は呆然と仁王立ちしていた。しかし突然、頭の中から声が聞こえてきた。
私は足をガニ股にし腰をおろして手を足の付け根に添えた。そして・・・


「ハイグレ・・・・ハイグレッ!・・・・ハイグレ!」

私は頭の中から聞こえる声に従ってコマネチをし始めた。
苦痛で顔が歪んでいるのがわかる・・・


「ハイグレ♪ハイグレ♪ハイグレ♪」



隣では弥生さんが笑顔でコマネチをしていた。
こんな変態みたいなポーズとらされてなんで嬉しがってるの?






「ハイグレッ!・・・ハイグレッ!ハイグレッ!」






これからどうなるんだろう・・・・・一生こんなことしてるの?
怖いよぉ・・・・
助けて・・・お姉ちゃん・・・・






















「ハイグレ♪ハイグレ♪ハイグレ♪」


うれしい!由利ちゃんをハイグレ人間にしてあげることが出来た!
となりでは可愛らしい声をあげてポーズをとっている由利ちゃんがいた。
もうじき洗脳が完了するだろう・・・・
紗枝がまだ洗脳されていないというのも好都合だ。私自身の手で彼女を
ハイグレ姿にしてやることができるからだ。

「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」

由利ちゃんが真っ赤な顔でポーズを繰り返している。だいぶ洗脳が進んできたようだ
気持ちよさそうな顔をしている。


「由利ちゃん、気持ちいい?」

私はたまらず彼女に聞いてしまった。


「ハイグレッ!・・・・ハイグレッ!・・・ハイグレッ!・・・・
ああ、ハイグレ気持ちいぃ・・・・」


気持ちよさそうな顔で言う由利ちゃんは可愛かった。早く紗枝も同じ快感を
味あわせてやりたい。ハイグレ魔王様の忠実な奴隷として生きていくこの素晴らしさを紗枝に教えてやりたい。

さあ、そろそろ活動を再開しよう。研究所にも潜入に成功した。紗枝を早く見つけて
研究所に引き込まなくちゃ・・・・
残念だが今はまだ駄目だ・・・
魔王様の命令だから・・・




洗脳が完了した由利ちゃんは家に帰った。
さあ、紗枝はどんな反応してくれるだろう?
由利ちゃんのハイグレ姿気にいってくれるといいな




私は紗枝が来るまでここで待ち伏せすることにした








「行きましょう!」




さあ行こういつまでもここにはいられない。
私は佳枝を連れて倉庫を出る。


そうだあの人にお礼を言わなくては。
倉庫とはいえ一夜の宿を恵んでくれたあの人に


「佳枝探してくる!」



と言って佳枝は倉庫の奥にある扉を開けて言ってしまった。











「あのひとどこにいるんだろう〜?」

倉庫を出て探すけど、なかなか見つからない。
辺りは森だからおしっこしてるのかな?


「・・・・ッグレ!・・・・ハイ・・・・ッレ!」



何か聞こえる?
あたしは声のする方向に進んだ



「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!」


進んだ先、そこにはお姉さんがいました。
でも黒い水着を着て、お母さんや他のみんなと同じようにおかしなポーズ
をとっていました。


「お姉さん・・・・・」

怖くて足が震えてる・・・・



「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!おはよう!佳枝ちゃん!」


自分が取ってるポーズに何の疑問を抱かないまま、あたしにあいさつしてきました。


「な、なにしてるんですか・・・・?」


「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!ついさっきにねパンスト兵様にハイグレ人間に
して頂いたの!」


「!?」

怖いよぉ・・・・・お姉さんの後ろにはあのパンストのおかしな人がいました。



「ハイグレッ!ハイグレッ!ハイグレッ!さあ佳枝ちゃんも一緒にハイグレしましょう!」


「イャアアアアアアア!!」


怖くなって私は逃げ出しました・・・・








「お姉ちゃん!!」

佳枝が蒼い顔をして扉から飛び出してきた。
その後ろにはパンストが・・・・


「逃げるよ!佳枝!」

私は佳枝の手をとり逃げだす
幸いパンストは一体だけのようだ



必死に逃げだす私たち、周囲の草や木が邪魔して速く走れない、なのに向こうは
スイスイと向ってきてる。これでは追いつかれてしまう・・・・



バシュウ!バシュウ!


光線が容赦なく放たれている。



「!?」

私は佳枝を抱いてとっさに草むらに転がった。
パンストが勢いよく通り抜けていくのを見て林の中に隠れる。


「ハアハア・・・・・」


パンストは周囲をしらみつぶしに探している。
見つかるのも時間の問題だ・・・・どうしよう・・・


「怖いよ・・・お姉ちゃん・・・・」

佳枝が震えながら私の腕を掴んでいる。
この子はこの子だけはなんとか逃がさなきゃ!


「佳枝ちゃん」

佳枝は見開いた目で私を見た。

「お姉ちゃんおとりになるから、お姉ちゃんが出たらすぐに逃げなさい」

穏やかにあまり怖がらせないように言った。


「やだよぉ・・・・お姉ちゃんも一緒に逃げようよぉ・・・・」

小さく泣きじゃくって佳枝は言うことをきかない。


「いい子だから、ね?」

佳枝をあやす、佳枝は泣きながら頷いた。


さあ、行かなくちゃ・・・時間がない・・・・



私は林を勢いよく抜けて姿をさらした。


パンストは気づいたようだ・・・


「妹はここにはいないわ!さあ、打ちなさい!」


パンストが光線銃の照準を合わせる、数秒の動きだが私にとって長く感じた。
やっぱり怖い・・・あんなことしたくない・・・あんな姿、佳枝には見せたくないよ・・・・




バシュウ!


私は眼をつぶった。でも光線が私に向かっていくのがわかる・・・



「キャアアアアアアアアアアアア!!」




どうか逃げ切って・・・・佳枝・・・・・
コッペパン
2010年09月19日(日) 02時13分17秒 公開
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